超次元ゲイムネプテューヌmk2+ ほのぼのあにねぷでぃーでぃー 【今日のまじぇこんぬさんち】
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〜某年某月某日 ギョウカイ墓場〜

「世界とは常にこんなはずじゃないことの連続である。byクロノ・ハラオウン」

 

赤い空、赤い地面に覆われた地獄、ギョウカイ墓場の一角。

がれきの山を集めて作られたベッドの上で素肌に黒いマントを覆っただけの少女、マジェコンヌがつぶやく。

その傍らに佇む青白い肌の女性、マジックがどういう意味だろう、と考えるような表情を見せ、マジェコンヌはマジックを見て笑った。

 

「そのままの意味だよ。たまに思うんだ、私が生きる意味とはなんなのか」

「……マジェコンヌ様は最強の女神。マジェコンヌ様を捨てた者への復讐…かと」

「じゃあそれを終えたら?仮に復讐を終えたとして、そのあと私が生きる意味はなくなってしまうの?」

「そんなことはありませぬ。マジェコンヌ様に統治されることこそ至情の喜びかと」

「生まれながらに忌まわれてた私に統治されるのが喜び、か。マゾヒストか何かなのかなぁ?」

「………」

 

マジェコンヌがゆっくりと起き上がり、マジックの頬に触れる。

世に言われる破壊神、犯罪神マジェコンヌのイメージとはかけ離れた優しい笑みに、マジックは見とれていた。

はっとして目を逸らすもマジェコンヌにくすくすと笑われる。

部下にして姉弟達に見られたらきっと珍しいと言われるだろう。そんな顔をマジックはしていた。

 

「世界に、女神に、人間にとって最大の【こんなはずじゃないこと】。それが私。女神に生まれながら反女神の極致に存在するもの」

「………マジェコンヌ様、外にて…何がありましたか?」

「……」

 

突然マジェコンヌの顔から表情が消えた。

頬から手を離し、マジックに背を向けてひたひたと肉に似た感触の土の上を歩く。

 

「……希に、思うことがある。何故、あなた達が私の前に現れてくれたのか。何故、そのような幸運を、私が生まれたときにまともな存在であるという幸運がなかったのか」

「……お言葉、よろしいでしょうか」

「何?」

 

マジックに言葉に反応して振り向くマジェコンヌ。

両手を広げてくるりと回るように振り向いてはいるもののその顔に表情は見当たらない。

一瞬呑まれかけながらも意を決して口を開く。

 

「……我ら四天王がマジェコンヌ様の下に集ったのは、偶然ではございません」

「………続けて」

「ま、マジェコンヌ様の絶大なお力は、マジェコンヌ様一人には余りあるものだったのです。その余った力が意思を持ち、形どったものが、我ら四天王にございます」

「私があなたたちに会ったのは、必然だったってこと?」

 

マジックは問に頷くことで答える。

今にも泣き出しそうなほどに涙が潤みながらも表情は変わらないマジェコンヌ。

ふるふると震える小さな体をマジックは咄嗟に抱き寄せていた。

 

「……我らは、マジェコンヌ様、貴女様に仕える下僕にして、貴女様の子供にございます…」

「………」

「決して、孤独などではありません………我らが、家族が、そばにおります………!」

 

胸の内から小さく「ありがとう」と聞こえたマジックは微笑み、マジェコンヌの頭をそっと撫でる。

その後、脱力したマジェコンヌから寝息が聞こえるまで、頭を撫で続けた。

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〜それからどうした〜

「なれねぇことやってんじゃねぇのマジックよぉ」

「だが、基本性別プログラムが男性型の我らよりは女性型のマジックのほうが側近としてふさわしいだろうな」

 

適当に瓦礫をどけただけの広間。

黒いスーツの男性、ジャッジ。鎧姿の女性、ブレイブ。そして見てくれだけは幼女のトリック。

マジックを入れて四天王の内三人はマジックがマジェコンヌをあやすのを待っていたようだ。

あの会話も全て聞かれていたのかと思うと頭を抱えたくなるマジックだが、ぐっと堪えて気丈に口を開く。

 

「我らはマジェコンヌ様のために存在している。そのためならばあのようなことは神よりの褒美に等しい」

「ヒッヒッヒ、羨ましくねぇ褒美もあったもんだなァ」

「まぁ、よいであろうジャッジ。基本性別プログラムの差というのはそういうものよ」

「……だが、本当によかったのか?」

 

笑うジャッジにそれを諌めるトリック。

賑やかな二体をよそにブレイブが腕を組み瓦礫に背を任せながら呟いた。

 

「我らが主の定めは――――――」

「それ以上の踏み込みは許さんぞ、ブレイブ」

 

手に鎌を持ち切っ先をブレイブの首に当てるマジック。

それと同時にジャッジが大斧をマジックの肩に当てていた。ブレイブが「……失礼」と呟くと同時に二人共武器を下ろす。

 

「我らはマジェコンヌ様を導くことはできない。ただ守り、支えることのみ許される」

「まぁ、オレはそんな賢くねェしな……」

「吾輩の智勇はそのためにあるのやもしれぬしな」

「……それが、私たちの正義であるならば。貴様にも従うよ、マジック」

 

ジャッジは対して考えがあるわけでもなく、トリックは智謀ができるならなんでもいい。この二体はともかく【正義】をワードにしたブレイブはどことなく不満げだ。だが、現状何かするつもりもないとマジックは見た。

 

「よし、ではマジェコンヌ様はお休みだ。食事にでもするとしよう。これからの方針についてもな」

「よっしゃ、オレ肉な」

「せっかくなら外にでも行くか?主への土産も用意する必要があるが」

「甘味……そう、甘味を食したい」

「ええい一斉に言うな!まずは紫の国からだ!」

 

ぎゃいぎゃいと騒ぎながら、一人ずつ広場から姿を消していく。

三体を見送ったのち、マジックはマジェコンヌが眠っている場をちらと見、また消えていった。

 

賑やかな四体がいなくなった広場は、妙な液体が流れるパイプの駆動音と、土からなるうめき声のような音だけが残った。

 

説明
生存報告のような短編!すっごい短いから読み流す方向で!
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コメント
「信じあうのが、家族です。 by巽 律子」母のために健気に頑張る子達。忠誠心とはまた違ったウェットな感情が見えました。(柏中ロージュ&ミヤウエ)
>Z&H御中 マジック「母親なんだが」マジェコンヌ「娘相手にって何か背徳的。そういえばどっかでは試し腹って」ジャッジ「やめろォ!」ブレイブ「規制中規制中」(リアルではおぜうタイプ@復帰)
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超次元ゲイムネプテューヌmk2 マジェコンヌ マジック 

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