真・恋姫†無双 裏√ 第十九話 |
プロポーズ大作戦
零士「さぁ、今日は失敗は許されない。
お客様に最高の時間と最高のおもてなしを提供し、最高の思い出を作ってもらおう」
みんな「はい!」
今日の『晋』はどうしても失敗するわけにいかない理由があった。
事の発端は数日前、とあるお客さんの訪問から始まる
数日前
張済「お久しぶりです。と…月様。お元気そうで何よりです!」
月「まぁ、張済さん。お久しぶりです。許昌にいらしてたんですね」
来店してきたのは、元董卓軍武将の張済さんだった。
張済さんは現在、雇われの傭兵として生計を立てており、
時々こうして『晋』に来ることがある
張済「呂布殿は相変わらず、店の入り口で寝ておられるのですね」
月「ふふ。ここに来てからは、恋さんあそこで寝るのがお気に入りみたいなんですよ」
詠「あら?張済じゃない?久しぶりね」
張済「お久しぶりです。か…詠殿も、お変わりない様子で安心しました」
咲夜「ゆっくりしてってくれ。今茶を出すよ」
それからしばらく張済さんと話していた。
どうやら張済さん、今回は霞を頼って華琳のところに士官しに来たらしい。
と言うのも
月「まぁ、好きな人ができたのですね!」
詠「へぇ。どんな人よ?」
張済「実は鄒氏という女性なんですが…
以前この近辺で仕事をした時に偶然出会い、
お恥ずかしながら一目惚れしてしまい…」
月「恥ずかしい事なんてないですよ。とっても素敵な事です」
詠「そうよ。あんた、ちゃんとその鄒氏って人とは会ってるの?」
張済「はい。しかし、私も浮浪の身故、あまり頻度は多くありませんでした。
なので今回は、曹操殿に士官し、ここに住もうと思っています。
おっと、私はそろそろ行きますね。また夜お伺いします!」
そう言って張済さんは出て行った。
それに入れ替わるように、零士と悠里が買い出しから帰って来た
悠里「ただいま帰りましたー!」
零士「ただいま。今さっき張済さんに会ったよ」
咲夜「おかえり。実はさっきな…」
私は先ほどの事を説明する。
すると悠里が目を輝かせていた
悠里「素敵です!私たちで応援しましょうよ!」
月「それいいですね!」
詠「仕方ないわね。このか…詠様の智謀、貸してあげましょう!」
あんがいみんな乗り気だった。
やはりこういう話題に興味があるのだろう
その日の夜
張済さんは霞とねねも連れてやってきた。
董卓軍の面子が勢ぞろいだな
張済「協力…ですか?」
零士「あぁ。僕たち『晋』の従業員が総力を挙げて、君の恋の成就を手助けするよ」
張済「あ、ありがとうございます!」
霞「なになに?なんの話?」
私は霞とねねにも説明する。
まぁ、ねねは恋に抱きしめられ、幸せそうにしているから聞いてないだろうな
霞「なんやそれ!めっちゃおもろそうやん!よっしゃ!うちも協力したんで!」
零士「ふふ。じゃあこれより、張済さんのプロポーズ大作戦を決行する」
悠里「まずはやっぱり好感度上げですよ!いっぱいお出かけに誘うんです!」
咲夜「そうだな。景色のいいところや買い物なんかが、女性は喜ぶんじゃないか」
詠「身だしなみも重要よ。汚い格好じゃ引いてしまうわ」
月「かと言って、あまり気合いを入れるのもダメだと思います。
平時はあくまで普通を意識した方が良いかと」
霞「美味い飯と酒!これも重要やで。
告白する時にクソまっずい飯やと、気分下がってまうでな」
零士「それならここで告白すればいいよ。その方が僕たちも色々仕込めるからね」
現在
そしてあの冒頭に戻る訳だ。
この日までの数日間、いろいろな事があった。
服装や装飾品を見繕ってやったり、お出かけ名所や美味い飲食店を探したり。
そして今日、張済さんはいよいよ結婚を申し込む
張済「では、行って参ります」
零士「あぁ。その時計の短針が七、長針が十二を指したらここに来るんだ」
張済「わかりました。
何から何まで、ありがとうございます!この恩は忘れません!」
咲夜「その台詞は成功したら、もう一度聞かせてくれ。
ほら、女を待たせるのは感心しないぞ」
張済「はい!では!」
そして張済さんは小走りで去って行った。
さぁ、私たちも気合い入れるぞ
私たちは通常通り営業し、その傍ら準備を進めていく。
霞の言うとおり美味い飯と酒の仕込み、奥のテーブル席の装飾、
そしてなんと
地和「私たちの出番になったら言いなさい!」
天和「お姉ちゃん、頑張るよー」
人和「他ならぬ『晋』さんの依頼、私たちを救ってくれた事は聞いてるわ。
この依頼、必ず成功させます」
あの数え役満☆姉妹を雇った。
店内の音楽担当として、雰囲気のいい、落ち着いた恋愛系の歌を歌ってくれと頼んだ。
さらにさらに
悠里「もうすぐですねー」
月「へぅ、詠ちゃん、緊張してきたよ〜」
詠「月が緊張してどうするのよ」
カランカラン
「お邪魔するぞ」
咲夜「星」
そう言って入って来たのは、二人の男女。
一人は星と、もう一人は見慣れない白い服を着た男だった
零士「やぁ星ちゃん、それに一刀君も。よく来たね」
一刀「はい。お久しぶりです」
一刀?………あぁ、こいつが
咲夜「お前が、天の御使い、ってやつか?」
一刀「確かに、世間ではそう呼ばれてるかな」
そう言った北郷一刀は苦笑していた。
すると後ろから凄い勢いで悠里が走ってきた
悠里「あなたが天の御使いさんなんですか!?」
一刀「えっと、はい。あの、あなたは?」
悠里「あ、申し遅れました!私は張?って言います!」
一刀「あ、北郷一刀です。天の御使いやってます」
悠里「うぉー!天が味方したー!」
悠里が北郷一刀の手を掴み、ぶんぶん振り回した
零士「……なるほど。悠里ちゃん、そういうことだね?」
悠里「はい!手伝ってもらいましょう!」
一刀「はい?」
そして私たちは今夜の事を説明する。
すると星も北郷一刀も、笑顔で了承してくれた
星「素敵な事だ。主、しっかりやるのだぞ」
一刀「もちろんだ。プロポーズ大作戦、成功させよう!」
北郷一刀と星の役割は、告白が成功した時に祝ってあげること。
これは他のお客さんにも協力してもらう事だが、
北郷一刀にはその後にも、天の御使いとして祝ってくれるよう頼んだ
零士「もうすぐ時間だ。総員、配置につけ!」
今回は零士と悠里が厨房。そして私と月と詠で給仕を担当している。
恋には店の入り口付近で警護として働いてもらう。
今日に限り、不躾な輩は徹底排除とお願いした。
星と北郷一刀はカウンター席にいる。
実はこっそり霞とねねも来ていた。結末が気になるのだろう
カランカラン
咲夜「いらっしゃいませ。お食事処、『晋』へようこそ」
やがて扉が開かれ、張済さんと鄒氏さんの二人が入ってくる。
時間通りだな。それにしても鄒氏さん、かなりの美人だ。
大人の魅力ってやつか?色気が凄い
咲夜「ご予約のお客様ですね?ご案内します」
私は奥の席へ誘導する。
そして月と詠が椅子を引き、座りやすいように工夫した。
見れば張済さんだけでなく、鄒氏さんも緊張しているようだった
鄒氏「ここって、最近人気の『晋』さんですよね?いつもこのようなことを?」
咲夜「いえ。ご予約のお客様に限り、こういったおもてなしをさせて頂いています」
鄒氏「ちょ、張済さん、大丈夫なんですか?私みたいな人がこのような場所」
張済「大丈夫ですよ。私に任せて下さい」
月「では、お飲み物をご用意しますね。少々お待ちください」
月はカウンターに行き、零士特製の酒を用意している。
私は奥の張三姉妹に出番を伝えた
地和「私たちの歌で、最っ高にいい雰囲気にしてあげるわ!」
天和「任せてー」
地和「恩に報いる為にも、精一杯やらせてもらうわ」
零士が芸人用に作った小さな舞台。
張三姉妹がまだ有名でない頃、うちに来てはそこでよく歌っていったな。
それが今や大陸でも有名な歌手だ。ホント、よく頑張ったよな
詠「こちら、自家製の果実酒になります」
穏やかな曲が流れる中、月と詠は酒を注いでいく。
桃を基盤にした、零士特製の酒だ。甘めだが、香りが良く、また色も鮮やかだ。
女性に人気の一品だな
一刀「なんだか、バーみたいな雰囲気ですね」
零士「まぁ、そう意識してやってるからね。
さぁ、一刀君と星ちゃんも、食べて行ってくれ」
星「私はメンマ丼を頼む」
一刀「め、メンマ丼…俺は…うわ!すげぇ!ハンバーグがある!」
零士「ふふ。じゃあハンバーグにしようか」
一刀「お願いします!」
その後は食事を堪能してもらう。
果実酒に合わせ、ステーキと呼ばれるものを食べてもらった。
評価は…
鄒氏「柔らかい…とっても美味しいです!」
上々だな
食事を終え、二人はしばらく談笑していた。
すると張済さんは、意を決したように、身を引き締めた。
いよいよだな
張済「す、鄒氏さん!少しよろしいでしょうか?」
鄒氏「!!…はい…」
あの二人の緊張感がこっちにも伝わってくる。
やばい、私まで緊張してきた気が
張済「俺…いえ、私と!結婚して下さい!!」
張済さんは気合いを入れて申し込んだ。
すると鄒氏さんは一粒の涙を流し、すぐに笑顔に戻しそして
鄒氏「は、はい!こちらこそ、よろしくお願いします!」
パンッパンッ!!
「おめでとう!!」
みんなで一斉に、クラッカーと呼ばれるものを鳴らし、大声で祝ってやった。
それに対し二人は驚き、そしてすぐさま顔を赤らめた
月「おめでとうございます!」
詠「おめでとう!」
恋「…おめでと」
ねね「おめでとうなのです!」
霞「おめでとさーん!」
悠里「おめでとー!幸せになってくださいね!」
咲夜「おめでとう。よかったじゃないか」
零士「ふふ。おめでとう」
みんながそれぞれ、祝いの言葉を並べて行く。
この時、食いに来てくれていた一般のお客さんも、
心の底から祝ってくれているようだった。
そして
一刀「おめでとうございます。この場に居合わせた事、心から幸運だと思います」
張済「あなたは?」
一刀「私は北郷一刀。世間では天の御使いと呼ばれている者です」
鄒氏「み、御使い様!?」
一刀「あ、畏まらないで下さい。
天とついてますが、私もあなた方と同じ人の子です。
そして私からもう一度、お祝いの言葉を。
本当におめでとうございます。
お二人の新たな門出、影ながら応援させて頂きます」
張済「あ、ありがとうございます!」
鄒氏「ありがとうございます。
御使い様に祝われるなんて…今日の事は一生忘れません!」
ふぅ…どうやら成功したみたいだな。
あの二人の笑顔が見れたんだ。
それだけで、ここまで仕込んだ甲斐があったってもんだ
やがて閉店時間になる。
張済さんと鄒氏さんは先に帰宅して行った。
その後、霞やねね、張三姉妹を始めとした客達が次々に帰っていく。
私たちは店を閉め、片付け始めた
悠里「いやー、今日は本当によかったですよ!あたし感動しちゃいました!」
月「私もです。少し泣いてしまいました」
詠「あの二人、お似合いだったわね」
星「我々も、このような良き日に立ち合えるとは思ってもみませんでしたぞ」
一刀「俺もなんだか、元気貰いました。
今日は美味しい料理もありがとうございます。
それでは俺たちはこれで。行こう星」
星「御意。それではな。またくるよ」
咲夜「おー。二人とも今日はありがとうな。また来てくれ」
私たちは二人を見送り、そして再び後片付けに入った。
今日は充実した一日だったな。
そういや、星と北郷一刀は何しに来たんだろう。
あいつらって確か、平原、いや今は徐州だったか?にいるはずだよな。
なんでわざわざこんなところまで…
一刀「ちょーっと待ったーー!!」
なんて考えていると、北郷一刀が勢いよく戻ってきた。
なんだこいつ、騒々しいな
零士「どうかしたかい?一刀君」
一刀「いやいやいや!あなたに会いに、話を聞きに来たんですよ!」
話ねぇ…
どうやら今日は、まだまだ終わらないらしい
説明 | ||
こんにちわぁ 日常&導入です 楽しんでもらえると幸いです |
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コメント | ||
↓曹操は新婚さん、零士は牡馬の話しに対して「だが断る!!」と言って欲しいかな、曹操は無論冗談ですがね(禁玉⇒金球) その辺の心配は大丈夫です!さすがの華琳さんもネトリはしません(笑)(桐生キラ) ↓俺もそれは思った。鄒氏と見た瞬間、華琳止めろよ?と思った。彼女が自重することを願うばかり。魏と晋の亀裂フラグではありませんように(ohatiyo) |
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