インフィニットストラトス 受け継がれる光の絆 Episode.19 事情 −スタンス−
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「あの巨人は正体は――――――お前か」

「!!」

ラウラの言葉を聞いてその場にいた全員が驚いた。箒達は一夏の方を見た。

「一夏!本当なのか!?」

「・・・・」

箒は一夏に問いかけるが一夏は答えない。

「答えてください!一夏さん!」

「何で何も言わないのよ!一夏!」

セシリア、鈴が問い掛けても一夏は答えない。

「一夏!答えろ!」

千冬も言うが一夏は答えない。

「みんな・・・ごめん・・」

一夏は謝るかのように言った。しかしラウラはレールカノンを一夏に向けてた状態だった。

「貴様があの巨人ならやる事はただ一つ、貴様を倒す」

ラウラはカノンを発射体勢に入った。

「やめろ!ボーデヴィッヒ!」

千冬が叫ぶがラウラはレールカノンを発射した。

「くっ!」

一夏はエボルトラスターを前に出した。一夏はバリアを張りレールカノンを跳ね返した。

「何!?」

ラウラはレールカノンが跳ね返され驚いた。一夏はブラストショットを取り出し空に向かって光の弾を撃った。すると謎の物体が降りて来た。

 

 キイイイイィィィィィ

 

「な、何だこの音は!?」

「耳が痛いですわ!?」

「体が・・痺れる!?」

「この音!」

「デュノア、知ってるのか?」

「一夏のボイスレコーダーに入ってた音です!」

 

謎の物体は一夏の前に降りて来た。一夏は光に包まれ物体の中に入っていった。

その時、音が鳴り止んだ。

「くっ、これでも喰らえ!」

ラウラはレールカノンを放った。カノンは物体に直撃した。しかし物体には傷一つなかった。

その時、黒い物体が輝き白と赤の色に変わった。

適合者(デュナミスト)が召喚する石柩――――ストーンフリューゲル

再び音が響いた。

「な、なんだ一体!?」

シュバルツェア・レーゲンのシステムがダウンした。

ストーンフリューゲルは上昇し飛び去っていった。

 

 

『怪物は地底に潜って逃走しました』

真耶は千冬に報告をしていた。

「それで飛行物体は?」

『物凄い振動波を放っていたので探知できませんでした』

「そうか、わかって」

 

 ピッ

 

千冬は通信機の電源を切った。

「・・一夏・・・どうして・・何でお前が・・」

 

 

夜、寮の一夏の部屋に一つの光の球体が入ってきた。

光がやみ、そこに居たのは一夏であった。

「・・・どうやって皆に説明しようか・・」

一夏はベットに座り考えこんだ。自分がウルトラマンである事が箒達に知られてしまったのだ。

(・・でもみんなを戦いに巻き込みたくない)

一夏が考えこんでいるとシャワールームの扉が開いた。

「・・・え?」

バスタオルを巻いたシャルルが出てきた。しかしシャルルに『胸』があった。

(え〜と、つまり・・)

一夏は頭の中を整理した。

 

 シャルル+胸=シャルルは女

 

「い、いちか・・」

シャルルは顔を赤くした。

「シャ、シャルル・・俺部屋出るから・・着替えてくれ」

「う、うん・・」

一夏は部屋を出た。

 

 

「入っていいよ・・・」

シャルルが着替え終わったらしく一夏は部屋に入った。

「シャルル、どうして男のふりをしていたんだ?」

一夏がシャルルに聞いた。

「その……、実家、デュノア社の方からそうしろと言われたんだ。社長…、父からの命令でね」

「命令って……親だろう?どうしてそんな」

「僕はね、一夏。愛人の子なんだよ」

 

「え?」

 

「二年前、母さんが亡くなった時に父の部下がやってきて引き取られたんだ。色々と検査する過程でIS適性が高いことが解って、非公式だけどデュノア社のテストパイロットをやることになったんだ」

 

一夏はシャルルの話を聞いた

 

「父に会ったのは二回ぐらいで会話は数回ぐらい。本妻の人には一度だけ会ったけど、『泥棒猫の娘が!』って殴られたんだ。母さんもちょっとくらい教えてくれたら、あんなに戸惑わなかったのにね」

 

一夏はそれを聞いて自分の拳をきつく握り締めた

 

「それから少し経って、デュノア社は経営危機に陥ったんだ」

「…『イグニッション・プラン』か」

「うん」

 

イグニッション・プランとは欧州連合第三次統合防衛計画の事である。

現在、トライアルに参加しているのはイギリス、ドイツ、イタリアである。

セシリアやラウラは実稼働データを採る為にIS学園におくられたと考えていい。

 

「フランスは統合防衛計画『イグニッション・プラン』から除名されていてね、第三世代機の開発は急務だったの。デュノア社でも第三世代機の開発をしていたんだけどラファールは第二世代機最後発でデータも時間も圧倒的に不足していて中々形にならなかったんだよ。それで、政府からの通達で予算を大幅にカットされたの。そして、次のトライアルで選ばれなかったら援助を全面カット、IS開発許可も剥奪されることになったんだ」

「流れは分かったがそれがどうして男装に繋がるんだ?」

「簡単だよ。注目を浴びる為の広告塔。それと――」

「男ならば特異ケースとされる俺と接触して、本人及びその使用機体のデータを盗み出すことが出来る、だろ」

「うん、一夏と白式のデータを盗んでこいと言われているんだよ。あの人にね…」

シャルルは悲しそうな顔をした。

「まあ、こんなところかな。でも一夏にばれちゃったし、きっと僕は本国に呼び戻されるかな。デュノア社は潰れるか他社の傘下に入るか、僕にとってはどうでもいいことかな。はあ、話したら何か楽になったよ。聞いてくれて有難う。そして、今まで嘘ついていてゴメン」

「…それで、いいのか?」

 

一夏は呟いた。一夏はシャルルの肩を掴んで顔を上げさせていた

 

「いいはずがないだろ。いくら親でも子供の自由を奪う権利があるわけないだろ!親がいなけりゃ子供は生まれない。そりゃそうだろうよ。でも、だからって、親が子供を何したっていいなんて、そんな馬鹿なことがあるか!生き方を選ぶ権利は誰にだって、そいつ自身にあるもんだろ!親なんかに邪魔される筋合いなんかない!!」

 

一夏は怒るように言った

 

「ど、どうしたの一夏」

「すまん、熱くなり過ぎた。…実は俺、家族が羨ましいんだ・・」

「え・・。一夏の両親は?」

「両親は俺と千冬姉を捨てた。今更会いたいとも思わないよ」

「……そう、なんだ…。ゴメンね…」

「気にするな。シャルルはこれからどうするんだ?」

「どうもこうもないよ。フランス政府も事の真相を知ったら黙ってないだろうから代表候補生をおろされてよくて牢屋行きかな」

「いいのかそれで」

「仕方ないよ」

シャルルは悲しそうな顔をした。一夏はシャルルの手をそっと握った。

「大丈夫だよシャルル。俺が守る」

「一夏?」

「俺は脅威から皆を守る。シャルルも」

「一夏・・・」

シャルルの顔は笑顔になった。

 

「ねえ、一夏」

「何だ?」

「あの巨人と怪物について教えてくれない」

「・・・それは・・」

「何で一夏はあの怪物と戦うの?教えて」

「・・・わかった」

一夏が話そうとしたその時

 

 コンコン

 

『デュノアさん、ちょっといいですか?』

ドアの所でセシリアの声がした。

「入っていいよ」

シャルルがそう言うとセシリアが入った来た。

「デュノアさん、ちょっとお話が・・・い、一夏さん!?」

セシリアは一夏を見て驚いた。

「おいセシリア、何をやって・・・一夏!お前!」

箒も驚いた。

「一夏、聞きたい事がある」

「私も聞きたい事が」

「巨人と怪物の事か?」

「え・・」

「何故わかったのですか?」

「シャルルに聞かれたからだ。ちょうどいい。箒、鈴を呼んできてくれ」

「あ、あぁ」

「セシリアは山田先生」

「・・わかりましたわ」

「シャルルは織斑先生を呼んで来てくれ」

「うん。どうするの?」

シャルルの質問に一夏は答えた。

 

「皆に全てを話す」

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