OtherSide 超次元の外れ者
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『正しいと思える道』

 

…あれから探し続けた結果、やっとこさあの少年を見つけた。

あの高度から落ちたにもかかわらず無傷…一体何が起きたんだ……

念の為に俺は少年を連れて、プラネテューヌの病院に行った。

診てもらった結果、『気を失ってるだけ』との事。

病室にて眠っている少年を眺めていた時、携帯電話が鳴った。

開いてみれば上司の怒鳴り声、慌てて状況説明をしたが、その途中でクビを宣告された。

まぁ…度重なる注意に加え、契約にも失敗したんだ、とても反論出来る立場じゃない。

寮の荷物は…廃棄処分される前にこっそり忍び込んで取りに行こう、うん。

しばらくしてから、少年が目を覚ました…それだけで救われた気がした…

クビになった挙句恩人の死…なんて考えたくもないシナリオだった。

少年の名前は((担徒有座|ニナイトユウザ))、元々この街に住んでいたようだ。

両親は既に他界、今は養父に育てられているらしく、危険種狩りも義父に憧れてなったようだ。

クエストの試験内容は一応倒したので合格との事。

ふと、職と住まいを失ったことを呟いていたら、「良かったら、僕の住んでる街に来ません?」とユウザに誘われた。

他に行く当てもないのでその話に乗る事にした、「大丈夫だろ、多分」とかなり軽い気持ちで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正直、女神とかはどうでも良かったんだよ」

 

あの時俺は、嘘をついていた…本当は迷ってたんだ…女神の事…自分の事…

 

【ラステイション付近・山地】

「………ハッ!!」

ようやく目が覚めた…意識がはっきりした……出来るだけ早く起き上がり、状況を整理する。

ここは…ラステイション近くの山!何をしに来たか…ギルドの試験を受けに!目的地は…あと6km!

よし、ちゃんと覚えてるな…って違う違う違う!!

何で山登りしながらバトルロワイヤルやってるんだ!これは本当に試験か!?普通筆記試験とかだよね!?

よし、落ち着こう…話は数時間前にさかのぼってるよな……

 

(数時間前)

 

試験の簡単な手続きをした後、俺達受験者はここに集まった。

試験官はギルド長直々に行うらしく、彼が試験官の場合に限り、受かる確率は通常の千分の一となる…

ちなみにギルド長はガタイの良い竜人族のオカマである。

ギルド長

「先ず皆さんにはぁ…この山に登っていただきまぁすっ☆あ、詳しいルールは後で配るから♪それじゃっ」

受験者一同

「…………………………………はい?」

ギルド長はそう言った後、駆け足で頂上に登って行った。

ルールは以下の三つ

・制限時間内に頂上に上る事

・人数制限とかは設けてないが、妨害アリ

・罠満載

こうして…俺たち受験者同士の潰しあいの競争が始まった…

 

(そして現在)

全速力で走る!走る!距離はあと残り時間はあと…1時間!

横からの丸太を潜り、他の受験者が落ちたと思われる穴を避け、他の受験者との激戦を退けて…

ついに頂上に着いた。残り時間4秒…ギリッギリだった。

ギルド長

「あら…アナタが最後なのね……」

頂上の景色は上等なモノ…そうとは限らないと言う事を思い知らさせる状況がこの場にあった。

ギルド長の周囲には大勢の人(?)達が倒れている…恐らくその全員が受験者なのだろう……

ギルド長

「では次は『試練』よ…私と闘いなさい。」

試練?試験で良いのでは?と思った。その直後……

 

ドッッ!!

 

「ガ………ッッ!!」

一瞬で距離を詰められ、寸動を直に喰らい、吹っ飛び、うつぶせに倒れた

その後俺は腹を押さえながら、何とか立ち上がった。

ギルド長

「あら、意外と根性があるのね。自ら疑問を持ち、迷っている割には」

よろめきながら銃剣を構える。…ってん?今なんて言った……?

ギルド長

「貴方のオーラを見れば分かるわ…試験前にちらっと見たけど、他の受験者とは違い、アナタだけが迷っていた!」

まるで何でも知っているかのような口ぶりで、自信満々に言う…その度に、俺の心に何かが深く突き刺さっていく。

「知ったような口でええええええええ!!!」

それは俺を激高し、何も考えずに突っ込ませるのには十分だった。

それから突っ込んでは倒れ、突っ込んでは倒れの繰り返しだった……

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「ゼェ…ゼェ…ゼェ…」

暫くして…俺は仰向けに倒れて動けなくなっていた。対してギルド長はピンピンしている。

あまりにも余裕だからか、化粧直しをしていた。

「…何が…正しいんだろう……」

ふと呟いた。そう…何もかもが分からなくなった。

「どうでも良かった」なんて思ってすらいない、それ以前の問題だった。

何が正しいのか、今までやった事は間違いだったのか、頭の中はそれで一杯だった。

ギルド長

「合格よ。」

「……え?」

きょとんとした表情でギルド長を見た。合格?何故?他の皆と同じように倒れている俺が…?

ギルド長

「試験官によって、採用条件は違うモノ…私の採用条件は、『迷える子羊である事』なのよっ!!」

………えっと…どういう事ですか?

ギルド長

「ギルドとはっ!様々な人々が行き交う場所…生き方、在り方はそれぞれ違うモノ…だからこそっ!貴方のような人達を採用してるのよ。」

ギルド長はくるくると回りながら語っている…つまりこの人(?)は………

ギルド長

「その中での出会い!それは人を変えてゆくものっ!私は見てみたいのっ!!『迷える子羊』がその中で立派に成長する時をっ!!」

敢えて迷っている人を採用しているのか。

そしてギルド長は回るのを止め、俺を指さし高らかにこう言った。

ギルド長

「さあ、今日から貴方はギルドの受付係よっ!これから貴方は、様々出会いを体験するでしょうっ!そこで見つけて見なさいっ!『自分が納得できる道』を!『自らが正しいと思える道』を!!!」

こうして、俺の就職先は決まったのであった…

ギルド長

「さーてそうと決まったら一発気合いを注入しなきゃねー♪」

「え、ちょっと?なんでズボンのボタン外して…ってちょっまっ………!!」

それと同時に、大切な者を失ったのであった…………

 

そして翌日…

ハーピー

「あの…ギルドに依頼を発注したいのですが………」

「はい、少々お待ちを……」

俺の新たな人生は、ここから始まる。納得のいく答えが見つけられるかは分からない。

けど、いつか見つかる事を信じて、俺はこの仕事をやっていく………

 

 

 

 

 

OtherSide『とある兵士の物語編』…End

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