真・恋姫無双 〜虎と狐の三国演義〜
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壱之三 『虎に威を貸す狐 V 』

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「さてと、祭や冥琳の面白いかおも見られたしそろそろ始めましょうか。」

雪蓮の言葉に周瑜は隣にいる雪蓮を軽く睨みつけ、黄蓋は一瞬で纏う雰囲気を変える。

今の講蓋からは戦場に立つ武将であり、その切り替えの早さはさすが孫堅の代から仕えるだけのことはある。

「それじゃあ、始め!」

シュッ

シュッ

シュッ

「うおっと。」

雪蓮の合図と同時に黄蓋が放った三本の矢を狐燐は横っ飛びでかわす。

「ほう、なかなかいい動きじゃ。」

言いながらも手を休めずに次々と矢を放つ。狐燐はかわすかあるいは剣で払い((鑽心釘|さんしんてい))を投げつけるがことごとくかわされてしまい防戦一方になってしまう。

「どうしたどうした。お主の実力はそんなものか?」

黄蓋の言葉に少しムッとしながらもこのままではジリ貧なのは目に見えている。なんせ、黄蓋はその場を動かず矢を放つだけなのに対し、狐燐は矢をかわす為にほとんど動きっぱなしなのである。たとえ肉薄したところで普通に攻撃しても簡単にかわされるだろう。だから考える。おそらく、黄蓋は勘や才ではなく理で攻める武将である事。そんな相手にもっとも効果的で自分に可能な戦法。その答えに溜息が出る。本当ならこんなにムキになる必要は無いのかもしれない。だが・・・。やっぱり雪蓮の前で負けたくなかった。

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「このままでは((蘇業|そごう))の負けだな。」

「そんなことないと思うわよ。」

「そうは見えないが、根拠はあるのか?」

「あるわよ。私の勘。」

「お前がそう言うのであればそうなんだろうが、並の者では祭殿は倒せんぞ。」

「それは私も知ってる。でも狐燐はまだまだ奥の手を沢山隠してる気がするの。」

周瑜との会話の合間でも雪蓮は片時も試合から目を離さなかった。狐燐の使う武器もそうだったが、それ以上になにか『面白いもの』が見られる予感がして、それを見逃したくなかった。

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スー、ハー・・・。

深呼吸をしながら狐燐は作戦を整理する。

(「普通に考えたら、卑怯だよなぁ。・・・でも。」)

でも、すごく自分らしい・・・『狐』らしいやり方だと思った。

「黄蓋さん!今度は僕から行きます!!」

「!おう、来い!!」

狐燐の表情を見て黄蓋は((嗤|わら))って応える。

それを合図にするかの様に狐燐は黄蓋に向かって一気に直進して行く。放たれる矢も最小限の動きでかわし進んでいく。

「転身!」

ポワン

二人の距離があと数歩にまで迫ったとき狐燐が叫ぶと同時にその身を白い煙が包み込む。

(「目くらましかっ!」)

そう思った黄蓋は距離をとろうと後方へ跳び矢をつがえる。だがつがえた矢は放たれることは無かった。煙の中から飛び出してきたのは先程までの青年ではなく、一人の少女だった。少女は長い金髪をなびかせながら黄蓋の眼前に剣を突きつけて、

「僕の勝ちですね。」

可憐な笑みでそう宣言した。

 

「はっはっはっ。いやぁ〜この歳でこんなに驚かされるとは思わんかったぞ。」

「笑っている場合ですか!蘇業!お前に質問がある!」

「えっと、なんでしょうか?」

「貴様は何者だ?仙人か?妖怪か?」

「その両方・・・妖仙です。といっても半妖ですけど。」

狐燐の回答に周瑜は頭を抱える。ちなみに狐燐はあの後再び青年の姿に戻っている。

「でも、仙人とか妖怪とか空想の産物だとおもってたわ。あの光を灯す棒・・・鑽心釘だっけ?あれもなにかのカラクリだと思ってたもの。」

「そ・れ・で、その妖仙が何をしにこんなところにいるのだ?」

割り込んできた雪蓮を睨みながら再び訊ねる。

「雪蓮に逢いにきたんです。」

「それだけか!?」

「はい。」

「本当にか?」

「ん〜、しいて言えば、雪蓮が困ってるなら力になりたいって位ですよ。」

あまりにも純粋すぎる狐燐の回答に唖然としてしまう。黄蓋は特に興味がなかったのか「策殿は愛されておりますのぉ。」などと茶化している。

「雪蓮。どうするかはお前に任せる。」

「そう?なら採用!」

予想どうりの即決だった。

「なら、真名を預けねばならんかのう。儂は黄蓋、((字|あざな))は((公覆|こうふく))真名は祭じゃ。」

「はぁ、私は姓は周、名は瑜、字は((公瑾|こうきん))真名は冥琳だ。」

「うん。じゃあ、僕のことは狐燐って呼んでください。」

そう言って、真名を預けてくれた二人に笑顔で応える。

「そういえば、半妖ってことは妖怪の親がいるのよねぇ?いったいどんな妖怪なの?」

「おっ、それは儂も気になるのう。差し支えなければ教えてくれんか?」

雪蓮の質問に祭まで食いついてくる。冥琳もなにも言ってはこないが表情は興味津々といった感じで狐燐の顔を覗き込んでくる。

「えっと、一応周りには秘密にしておいてね。」

狐燐の前置きに三人ともコクコクと頷く。

「母親の方がそうなんだけど・・・」

「「「うんうん。」」」

「((千年狐狸精|せんねんこりせい))なんだ。」

「は?」「「???」」

狐燐の告白に冥琳が固まるが残りの二人はまだピンとこない。

「だから、僕の母さんは((蘇妲己|そだっき))なんだ。」

「「「・・・えええええぇぇぇ!!」」」

狐燐の告白に江都はこの日最大の驚きに包まれるのだった。

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江都の上空、そこに一人の道化と一匹の虎が下界を見下ろしていた。

「王のもとに辿り着くとはやはり因果ですかねぇ。」

「ねぇねぇ、これからどうするの?」

「ん?どうもしませんよ。少なくともしばらくは・・・ね?」

下界では雪蓮に詰め寄られ激しく揺さぶられる狐燐がいて、道化はそれをただ眺めていた。

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あとがき

 

どうも、最近ガンダムブレイカーにハマっているツナまんです。今回は拙いながらも戦闘描写に力を入れてみました。ついでに狐燐の正体について語ってみたりチラリと道化の人が出てきたりといった感じになりました。ここからどう広げていこうかいろいろ考えてはいますが、実質まだ半分くらいしか固まってません。まあ((宝貝|パオペエ))はまだいくつかは出す予定ですけどね。皆様の暇つぶしにでも読んでいただければ嬉しいです。

 

では、また次回。

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キャラ紹介

 

姓・((蘇|そ))

名・((業|ごう))

字・((白貴|はっき))

真名・((狐燐|こりん))

性別・男

武器・((宝貝|パオペエ))((獏耶の宝剣|ばくやのほうけん))・改+その他((宝貝|パオペエ))と妖術

 

殷・周時代に世を乱した悪女として知られる((蘇妲己|そだっき))を母にもつ半妖の仙人(妖仙)火を扱う術や転身(ここでは性別が入れ替わる的なもの)の術が使える。((宝貝|パオペエ))を使用すれば、強力な術も使えるかも。

幼少の頃に雪蓮に出会っていて、その時に名乗った名前を以後真名にしている。また、再会の約束に((鑽心釘|さんしんてい))を雪蓮に贈っている。金髪、金眼の青年で左眼には眼帯をしている。普段は白地に金の刺繍が施された拳法着だが転身の術を使うと、長髪になる。

説明
今回はあとがきの後ろにオリキャラの紹介があります。

注:オリ主作品になります。一部オマージュもあります
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タグ
封神演義 宝貝 パオペエ オマージュ オリ主 オリジナルキャラクター オリキャラ 真・恋姫無双 恋姫†無双 

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