両軍の動きを管理者達は物見遊山で見る事は無く、真剣な表情をしている。。

「如何致しましょう？　思い切って介入しますか？」

「馬鹿者、それはあくまで強制的に終わらせるための最終手段だ。それにこの戦いは正史の事を考えれば起こるべくして起こった思う

べきだ。尚更手は出せん」

「しかし、転生者同士の戦い……一体どうなるかは想像が出来ません。本来の流れが覆される可能性は大いにあります」

　報告者の言う事は彼も思っていた事だ。多くの外史では北郷一刀やその他の召喚者、転生者が本来の歴史を大きく変えて来た。たっ

た一人でも。

　今回の外史では、北郷一刀が記憶が無いこともあり、晋の物語が三国の物語と同時進行している事以外はほぼ変わっていない。しか

し今考えるとそれは奇跡に近かった。

　何故なら五胡との戦いが既に転生者同士の戦いだった。あの戦いで北郷一刀が負けても可笑しくは無かったのだ。

　そして今、さらに一人の転生者が直接戦いに挑もうとしている。ここまで考えれば今の状況がどれだけ危険かは想像に容易い。

「分かっている、しかし……異なる在り方した外史を終わらせるのはまだしも、正しいと思われる外史を無理やり終わらせようとする

とその反動がどんなものか想像がつかん。それを考えればやはり手を出すべきでは無い」

「くっ……あの二人の行方が分からなくなった時、もっと良く調べるべきでした……北郷一刀と接触するまえに転生した事を判明して

いれば始末出来たものを」

「今ではどうする事も出来ん、今はただ奴が勝利することを願い、そしてもしもの時はすぐにでもこの外史を終わらせるように準備す

るべきだろう」

「承知しました。では……」

　報告者はもしもの時の為の準備を始める。

（まさか、奴が勝つ事を願う時が来ようとは思わなかった）

　そう、今は願うしかない。一刀が勝つ事を。

　最早、この乱の勝敗の行方は誰にも分からない。