超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ルウィー編 |
「ッ…いや、本当に良かった」
「うん、ちゃんと話したら持ってけ泥棒!みたいな感じでくれたよ!」
ネプテューヌはゲイムキャラの力の一部が物質化した紫色のディスクを持って大はしゃぎしていた。
横ではポチさんが拍手をしてネプテューヌを讃えていた。これが成功しなければ、かなり不味い物を引っ張り出さないといけないと語っていたから余計に嬉しんだろう。俺自身も、一人でネプテューヌを任せて大丈夫かなと思ったが、彼女は女神であることを受け入れて頑張ると言ったんだ。だから、最初から心配する必要はなかった。
懐に入れていた携帯(自分のは壊されたままなのでアイエフに貸してもらった)を見るとメールや電話もないってことは、あっちでも特に変わりなく進んでいるということだ。
「テケリ・リ」『おめでとうございますネプテューヌ様。私が今までの事を伝えて時は色を損ずる様子でしたが、見事に説得しましたね」
「ううん、私だけの力じゃないよ。コンパやあいちゃん、こぅちゃんがいたから私の気持ちを伝えれたんだし、これはみんなで勝ち取った物だよ!」
「はは、そうだな。それじゃとっとと戻ってルウィーを救ってみんなで大団円を迎えようぜ」
そうしてポチさんとディスクをポケットに詰め込んだネプテューヌは歩き出した。
ゲイムキャラの力は見ただけで正直な所、頭痛がした。
デペアからはブラッディハードのことをは大体聞いている。
ブラッディハードは女神と対極の存在。それはつまり、希望の象徴の逆であり絶望の象徴という意味で、その力の源はもちろん人々の日々の負のエネルギーだ。神聖さが垣間見れるそれは俺にとって真逆の存在で、体が拒否反応を起こしているようだ。
ブラッディハードになれば、デペア曰く更に負に乗ってしまい無条件で女神対しての殺意が溢れ出す。これはデペアが必死で抑えてくれるが、負の力を使うがゆえに負に意識が流されやすい。それは空がくれたペンダントがある程度は抑制してくれるが、やはりこの力は諸刃の剣だ。
デペアの鎧は爆発力はあるが、継続力と汎用性がなく。
ブラッディハードは汎用性はあるが、安定性と爆発力がない。
いや、ブラッディハードの力はあんなものじゃないことは感覚で分かる。しかし、あれ以上に入ってしまえば戻れない予感がある。だからと言って、デペアの力をブラッディハード時に使ってしまえば殺意は抑えきれない状態になってしまう。やるとしたら孤立した状況だけだな。
「テケリ・リ」『あ、言い忘れていました』
「どうしたの?」
突然、ポチさんの足が止まり俺達も止まる。
「テケリ・リ」『主様に急遽伝えなければならない問題がありまして、念話で連絡をした結果。私も協力者と言う形であなた方のパーティーに加入することになりました』
「問題?それって、ルウィーで起きている事件関係なの?」
「テケリ・リ」『いえ、全然関係ありません』
「マジかよ。結構俺達いっぱいいっぱいだぞ」
これから急いでルウィーに戻ってゲイムキャラの力を借りてギルド過激派の本拠地を抑えないといけないこの時期に別の所で問題発生?
「一体どんな問題なんだ?それってどのくらいヤバいんだ?」
「テケリ・リ」『マジェコンヌ…といっても伝わらないですね。あなた方がリーンボックスで戦った魔女のような姿の女性を覚えていますか?』
「う、うんあの一回目は時代遅れの笑い声が特徴的で、二回目はなんだか闇墜ちした姿になって襲ってきた不審者だよね」
「俺は一度しか会っていないけど……」
思い返せば、体の半分は瘴気の様な物を纏っていた。そして、ずっと((苦しそう|・・・・))に笑っていた。
まるで壊死している部分に蛆虫が沸き、肉体的にも精神的にも激痛に苦しむ壊れていく笑い声のような叫び。ーーそう、あれは誰かに浸食されているように見えたんだ。あの『闇』に。
「テケリ・リ」『誘拐事件で様々な場所を検索、調査した結果…目撃情報が多数報告されています』
『あの魔女の力は今でも紅夜の中だよ?完全に吸収してやったから……あ』
「どうしたんだ?」
『思い出してみれば、あいつの体を消滅するぐらいまで吸収したけど体の一部は残っていたんだ』
((魔龍|ジェノサイドドライブ))使用時の俺には意識は無かったが、デペアには感情を一時的に排除されても何が合ったのかを覚えているんだった。
『確か、杖を持っていた方の腕を切り落としたんだ。戦闘の余波で消し飛んだと思うけど…誰かが回収して、利用した?』
「……まさか、裏に誰かいるのか?」
「テケリ・リ」『えぇ、その可能性が高いかと』
「え?あの邪神がラスボスじゃなくて、もっと別にラスボスがいたりするの?」
「テケリ・リ」『そもそもナイア様は自分で戦うことを嫌う性格なので、貴方達の前に姿を現すことすら怪しいのですか……』
『もし戦うことになったとしても、無理だよ。あいつ素の状態の破壊神と同等だよ?勝ち目ない』
デペアの言葉にネプテューヌと俺は顔を青くした。素の状態である空は、存在そのものを破壊するという当たれば即死技を扱うことが出来る。そもそも空がいつも使っている炎の太刀だって馬鹿げた破壊力なのに5%と語っていたし、戦う以前に近づけるイメージが沸いてこない。それと同じくらいに強いと言われるナイアーラトホテップも同様だ。更にどのように戦うかも分からないんじゃ、余計に絶望的だ。少なくてもFDVシステムを作り出した故に女神の事を知り尽くしているだろう。
「テケリ・リ」『邪神関係は主様と私が全力でサポートするので問題はないでしょうが、この魔女ーーー名前はマジェコンヌは危険です』
ポチさんは懐から一枚の写真を取り出して見せてくれた。
その写真には、画質は荒かったが確かにリーンボックスでネプテューヌ達を襲っていたあの魔女がいた。
「…幽霊?」
ネプテューヌが写真を見て呟いた。
マジェコンヌ、その姿は真っ黒だった。まるで影が人間の形をしているだけで、実体になっているのは俺が切り落としたという腕と杖しか物理的に存在していなかった。
「テケリ・リ」『マジェコンヌが出現した地域はモンスターの活発化と大量発生が発生します。故に住民はマジェコンヌを魔王ユニミテスと恐れています』
「ユニミテスって、モンスターをどこからともなく生み出すボスだよね。絶対に許しちゃいけない相手だよ!こぅちゃん!」
「あ、ああ……」
……モンスターを生み出しているのは空だ。
人間を殺して女神に倒させることで女神の存在価値を示してシェアの調整をするため道具だ。
こいつは空と何かしらの関係があるかと疑問に思ったが、目の前にいる人物ポチさんは空の従者だ。空と最も関係を持つ彼が俺達にこのことを説明した目的はなんだ?罠かと考えたが、どうしてゲイムキャラの居場所を押してくれたのか理由が分からない。もし、ゲイムキャラの力を奪うつもりなら既に手を出している筈だ。どう思うデペア?
『(ん、……破壊神が純粋にこいつに教えていないのか……それとも、破壊神以外にモンスターを造れる環境か、能力を持っている奴がいるってことが考えられるよ)』
「(なるほど、だとすればポチさんは無害だと思っていいのか?)」
『(破壊神は信用できないけど、こいつは信頼できる。大丈夫だよ)』
デペアが言うのならば、それが真実だろうとポチさんに向けていた警戒心を解く。
「テケリ・リ」『このことに関して、先ほど連絡した結果、あなた方と動向と共にせよと伝言を受けました。よろしくおねがいします』
「え、それて私達のパーティーに入るってこと?」
「テケリ・リ」『えぇ、しかし私にとって主様の命が最優先事項であり抜ける事もあります。短い付き合いかもしれませんが、よろしくお願いします。ネプテューヌ様、零崎様』
「うん、よろしくね!イケメン執事なポチ君!」
「空の従者ってことは、かなりの使い手をなんだよな。こちらこそよろしくな」
「テケリ・リ」『はい、皆さんの足手まといにならないように頑張らさせていただきます』
ニッコリとポチさんは笑みを作って握手を求むように手を指しだしてきた。勿論俺とネプテューヌをそれに答える。
『破壊神の従者 ポチが 仲間になった!』
「…いきなりどうしたんだ?」
「こぅちゃん!ゲーム的にはこういう時を言うのが鉄則なんだよ!」
「テケリ・リ」『えぇ、基国民的RPGなら当然の儀式です』
「(えっ、俺が可笑しいのか?)」
◇
「ということで、新しいパーティーだよ!」
「テケリ・リ」『ポチと申します。よろしくお願いします』
「よろしくですぅ、私はコンパです」
「アイエフをよろしく…、なんというか特徴的な鳴き声?ね」
「ブランよ。よろしく」
「……どうして僕の部屋で紹介するんだよ」
プラネテューヌからルウィーに戻ってきた俺達。
ネプテューヌは早速、みんなにポチさんを紹介していた。見た目といい物腰の柔らかな姿勢で凄く話しやすい
人だ。空は喋れるまでに回復したらしく、煩いと言いたげな目でこちらを睨んでいる。
「空から聞いたわ。マジェコンヌ……まさか、彼女がモンスターを生み出していたなんて…」
「マジェコンヌについて、知っているのかブラン?」
「マジェコンヌは先代の女神よ」
静かに吐息を零してブランは呟いた。
空とポチさん以外の傍にいる全員が口を空けた。
「あいつって元女神なの!?」
「私は何度か会ったことある程度だけど、そんなことをするような人じゃなかった。彼女は女神を引退しているから、もう女神の力はほとんどなく人と大差ないわ。だから、モンスターを生み出すほどの力があるとは考えにくいわ。そもそもモンスターがどのようにして生まれるかすら解明されていない」
同じ女神として、思うところがあるのかブランは少し落ち込み気味で話した。
「ネプ子、まさかあの人に逆鱗に触れるようなことをしたの?」
「ねぷねぷ、悪いことをしたら謝るのが基本ですよ」
「ちょとちょと!なんでいきなり私が悪いことをした前提に話が進んでいるの!?」
「……緊張感が抜けるわね」
「それがパーティーの一番の長所だと思うぞ?」
少なくても毒気を抜かれる意味で凄く気が楽になる。
そして、マジェコンヌというキーワードが出た瞬間、窓に目を向けた空を俺は見る。絶対に事情を知っていますって顔をしているが、俺の視線に気づいて直ぐに体ごと背を向けた。
「……はぁ」
表の世界はこんなに明るいのに、裏の世界は複雑に絡まって底が見えないな。
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