雷電の里帰り・1
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「雷電の里帰り 第1話」

その世界には天上界から神が降りて来て、地上に住んでいる、と言う伝説がありました。

しかし、地上の人間は誰もそんな言い伝えを信じておらず

そんな伝説も忘れ去られた世界のお話---

 

 

 

 

 

 

 

ツンドラ地帯に位置する緯度の、遠い国の異世界の魔法国家…

まだ寒い真冬の極寒の時期、細々と農業を営むその家の主は、イコノスと言う

金髪で、オッドアイと言う少し珍しい容姿の持ち主でした。

しかし、オッドアイ以外は普通で、街に出て売る為の酪農用の牛や

趣味にしては大きめの庭に、沢山の野菜や植物を植えていました。

 

 

そして、彼の家族は

 

 

人に変身する能力を持った、普段は6本足のヘビのような生物、「もきゅ族」とか

「もきゅ〜ん」と呼ばれる可愛らしい生物の「アルヴィー」で

本名を「アルヴィス」と名付けてとても可愛がっている女の子(両性体)がいました。

そんな人間に変身する能力を持ったアルヴィーは、迷子の名人で

イコノスと出かけると、いつも迷子になってしまうため

ある時、予期せぬ出会いで出会った、妖精騎士、アシュリルにより

アルヴィーを護衛するために、と、一角獣である雷電が贈られます。

それ以来、雷電はイコノス宅の馬となり、ずっとアルヴィーを護り続けています。

雷電は普段、角のある人の姿をして家事をしています。

 

 

 

「そう言えば俺は大人の麒麟族になったから見合いをしろと言われているんだ。」

 

雷電はリビングで言いにくそうに、でも、一気に言いました。

 

「お見合い!?そんな話があったの!?」

 

アルヴィーが驚いて首を上げて雷電の顔を見て言いました。

そこに暖炉前のリビングでソファーに座って、会話をしていたイコノスが言いました。

 

「麒麟族は希少な種族だから、麒麟族の人達は雷電にお見合いして欲しいと思っているだろうね。

雷電はどうしたいんだい?」

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「俺は見合いなんか興味ないです。でも…、族長や兄が見合いをしろと…。

神様も見合いをしろと言うなら、見合いをします。

子孫を作るのが義務とも言われたし…。」

 

雷電は麒麟族の里に帰る事に少し抵抗を感じているように、戸惑いながら答えました。

すると、アルヴィーが小さな声で聞きました。

 

「雷電……結婚したら帰って来ないの…?」

 

「いや、俺はアルヴィーの馬だし、ここが俺の家だから帰って来る。」

 

「今すぐ答えを出す事ではないんだね?

ならば、どうしたいかよく考えてからでもいいんじゃないかな?

相手がいて成立する事だし、相手の気持ちも大事だよ。

結婚するのだからお嫁さんの事も大事に考えてあげないとね。」

 

イコノスは雷電に慎重に尋ねました。

 

「雷電はホントはお見合いしたくないんじゃないかな…。

だったらお見合いしなくていいんじゃない?

でも、そう言うわけに行かないのが麒麟族の風習なのか…。」

 

クロネは、本当は雷電はお見合いに行きたくないんじゃないいかな、と思いながら

独り言のほうに呟いていました。

 

(雷電…お見合いしたくないのにしないといけないなんて、可哀想…。アルヴィーもイヤ…。)

 

「いや、俺個人の考えとかそう言うのは麒麟族の中では問題にならないから。

大事なのは、純血種を残す事だからな…。俺もそれは思うし…。」

 

「雷電のばかぁああああああああ!!!。・゜・(ノд`)・゜・。

アルヴィーが、アルヴィーが麒麟族だったら赤ちゃん産んであげるのに!!

わぁああああーん。・゜・(ノд`)・゜・。」

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アルヴィーは叫ぶと恥ずかしくなって、走ってドアについている小さな

もきゅ〜ん用の小さなドアをバン!と頭で開けて

廊下の方へ逃げて行ってしまいました。

 

「何だあれ…。こっぱずかしくて死ぬんだけど…;」

 

「あはは!!いいじゃないか(笑)

アルヴィーなりの必死の愛情表現だよ、きっと。

雷電、ちゃんと追ってあげて。」

 

雷電は「無理」と言う顔をしながら、仕方なしにアルヴィーを追いました。

 

クロネとアルヴィーの息子、ゼルクは揃って声を上げました。

 

「よし!見に行くぞ!ヽ(*´Д`)ノ」

 

「ぷきゅ〜!ヽ(*´Д`)ノ」

 

「こら、二人共やめなさい。

二人だけで話しをさせてあげなさい、いいね?」

 

「はぁああ〜い(ΘωΘ)」

 

「ぷきゅう〜(ΘωΘ)」

 

「うきゅぅ〜(ΘωΘ)」

 

「レジィまでマネをしなくていいの。」

 

 

雷電とアルヴィーは

雷電が馬に戻り、アルヴィーが人型に変身して

雷電の背に乗って、パカパカっと走ってどこかに行ってしまいました。

 

それを廊下の窓から見ていたクロネが

 

「あれっ、どっかにいっちゃったよ。外は雪が降っていて寒いのにな…。」

 

「なに、大丈夫だよ。雷電がついているから心配ない。」

 

イコノスが心配ない、とみんなに行った後、ゼルクがそうだといいのに、と言う

想像で言いました。

 

「異種族同士で結婚します、と言いに言ったのかな?」

 

「雷電はそんな子じゃないよ。麒麟族はそう言う、規定に反する事は絶対しない。

多分すぐ戻って来ると思うよ。」

 

イコノスに言われ、クロネとゼルクは「そう言えばそうだよね」と納得しました。

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雷電と人型になったアルヴィーは、イコノスの屋敷から一番近くの大きな街へ行っていました。

街の中の、ドームのある暖かい広い時計塔を中心に

花が植えてあり、その周りにしゃれた大きな傘と椅子が置いてあり

ソファーやベンチもある、市民の憩いの場のような場所でした。

 

人々は好き好きにランチやティータイムを楽しんでいるようでした。

そこに雷電とアルヴィーは向かい合って座り

ミルクティーを飲みながら話をしていました。

 

「ここ、パパと一緒に来た事ある!

でも、アルヴィーはパパの腕に巻きついてたの。

みんな楽しそうにしてるな〜って思って見てたんだ〜。」

 

「なぁ、アルヴィー

お前が嫌だと言うなら、俺は見合いも嫁も貰わない…。」

 

「Σ!!何言ってるの!雷電!そんなのダメだよ…。

雷電、ちゃんとお嫁さん貰って赤ちゃん作って…。※パパも喜ぶよ…、麒麟族の赤ちゃん見たがってたし…。」

 

※パパと言うのは、イコノスの事。

 

「……。」

 

雷電は難しそうな表情でため息を一つついて、重い口調で言いました。

 

「アルヴィー…、俺は…お前の馬なんだ。

妖精王子アシュリル様から神様へ贈られた時から

俺はお前を護るためだけに存在しているんだ。

だから、お前が嫌なら俺は族長の命令も拒否する覚悟がある。」

 

 

「雷電、いつもアルヴィーの事虐めるのに

どうしてそんなに優しいの?(*'ω'*)うふふ

アルヴィーは雷電に無理に結婚しないで欲しいとか、願ってないよ。」

 

雷電は思わずアルヴィーの小さな可愛い手を握って言いました。

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「アルヴィー……。」

 

「雷電の手、あったかいねヽ(*´ω`)ノうふふ!

……ねぇ、約束して。ちゃんと帰って来てくれるよね…?

アルヴィーを一人にしないよね?だって、雷電がいなかったら迷子になっちゃうもん(*'ω'*)」

 

「ええっと、すぐ帰って来ますよ…

馬の種つけなんてすぐ終わるんだs( ´_ゝ`)」

 

「やだぁ〜、愛のないえっちなんて〜…。ふけつぅ〜!!」

アルヴィーは軽蔑しきった目で雷電をじとっ、と見つめました。

すると雷電は焦ったように早口でしゃべりました。

 

「馬だから、馬だし!」

 

「雷電、アルヴィーに、雷電の気持ち伝わったよ。

だから、お見合いして来て。アルヴィーは雷電の事好きだよ。」

 

アルヴィーは、少し小首を傾げつつ、にこっとほほ笑んで雷電を見つめました。

 

「う…っ」

 

アルヴィーの手を握る雷電の手に力が籠ったのと同時に

見る見る雷電の顔が真っ赤になりました。

 

「そろそろ…帰ろう…。神様が心配する…。」

(本当は俺もお前が好きだと大きい声で言えたらどんなにいいだろう。)

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3時のおやつごろ、アルヴィーを背中に乗せた雷電の二人がイコノスの屋敷に帰って来ました。

アルヴィーが雷電の背中から降りると雷電は

のそっと人型に戻って、髪や肩についた雪を払いました。

 

「アルヴィー寒くなかったか?」

 

「ううん、雷電の背中あったかかったよ!

雷電、白くて綺麗〜ヽ(*´Д`)ノ」

 

「な、何言ってんだ、お前…;

風邪ひくから家に入るぞ。」

 

二人が2重構造の玄関に入ると、イコノスが迎えてくれて

丁度おやつを作ったところだよ、と言ってくれました。

 

雷電はその日の夕食の時、「麒麟族の里に数日間帰らせて欲しい」とお願いして

お見合いする事を話ました。

 

イコノスは快く許可して、雷電は一人で近いうちに里帰りする事になりました。

 

(つづく)

説明
オリジナルキャラの雷電とアルヴィーのお話です。
2013年2月の作品。
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