真・恋姫†無双―二つの呂旗―
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真・恋姫†無双―二つの呂旗― 第九話「天の御使い」

 

 今俺は洛陽の町で子供たちに囲まれています。その中にねねが混ざってるのは・・・うん、ご愛嬌って事で。

 

 ねね「むー!ねねはこんな事ではめげませんぞ!!」

 

 ちなみに今は鬼ごっこの最中だ。勿論俺が教えた。向こうの知識も役に立つものだ。勿論町の治安にも一役買っている。楽市楽座、割れ窓理論など近代政治の理論も絡めて洛陽はかつて以上の繁栄を見せているのだから。ちなみに十常侍は恋のこんな一言から解決した。

 

 恋『・・・羽虫は殺せばいい。』

 

 色々溜まってたんだね?すごい殺気でしたよ。でも詠が・・・

 

 詠『それいいわね。もうどうしようもないぐらい腐ってるなら切り落とすのが一番よ。料理でもそうでしょ?腐ってる部分を切り落としてまともな部分を使う。あいつらはもう性根も腐ってるから総切り落としでいいでしょ。』

 

 と、言う事だった。良いんだろうか?ま、十常侍の圧迫が無くなって劉宏も気が楽になったと言ってたか・・・しかし、彼も病に伏して俺から見ても長くないと思う。いずれ彼は・・・勿論彼からは娘たちを頼むと言われている。頼まれなくとも守るつもりだ。

 

 一刀「さてと・・・ねね、俺はひとまず街を見回る。子供たちを頼むぞ!!」

 

 ねね「ま、まかせるのですー!!」

 

 一刀「さて、行くか。」

 

 言い忘れたが俺は洛陽の町の警備の仕事中だ。サボってたわけじゃない、休憩だ。休憩だよ?

 

 一刀「・・・あれは。」

 

 楽進「むむむ・・・これは激辛なのか????」

 

 店主「ええ、辛口党の方に大人気の唐辛子まんでございます。」

 

 楽進「それを一つ。」

 

 店主「はい、毎度あり。」

 

 楽進「さて・・・洛陽の激辛どのようなものか試させてもらうぞ!あむっ」

 

 一刀「どうですか?」

 

 楽進「もぐもぐ、いいですね、私好みです。って、あ、あなたは!?」

 

 一刀「えっと、大分変ってしまったけど籠売りの子だよね?」

 

 楽進「お、覚えてくださっていたのですか!?」

 

 一刀「ははは、当然だろ。あの籠、9年の歳月でまったく壊れないよ。多少の補強はしたけど・・・今でも現役だよ。」

 

 楽進「あ、ありがとうございます!!・・・あ、あの。あの時は名前を聞きたかったのですが聞けずじまいで・・・私は楽進文謙と言います。」

 

 一刀「!?・・・そうか、俺は呂北、字を丁郷だ。」

 

 楽進「あ、あなたが!?・・・・・」

 

 楽進は俺の名前を聞いた途端多少だが警戒の目を向けて来た。どうしたんだ?もしかして・・・曹操の間者?

 

 一刀「・・・ねえ、ちょっと話いいかな?」

 

 楽進「な、なんでしょう。」

 

 一刀「君は曹操の所の間諜かな?」

 

 楽進「!?そ、その様な事は―――っ!」

 

 一刀「ん・・・少し違うみたいだね。誰と来たの?」

 

 楽進(まずい・・・噂通りの方ならまずい!!)

 

 一刀「・・・俺は君みたいな子を捕らえたくない。だから・・・“それらしい理由”なら話を聞くだけにとどまるけど?」

 

 楽進「・・・・え?」

 

 一刀「どうかな?」

 

 楽進「あ、そ、そうですね。私は曹操様に仕えていますが休暇で洛陽に旅行に来てるんです。そ、その・・・私の知人と・・・」

 

 一刀「そうか!それは良かった。間諜の類なら捕らえて尋問に掛けなきゃなかった。勿論その知人さんも、ね?」

 

 楽進「はい、そうですね。」

 

 一刀「なら・・・その知人さんも見てみたいなぁ・・・」

 

 楽進(・・・見逃す対価でしょうか・・・案外抜け目ないです。)

 

 一刀「勿論無理にとは言わない。」

 

 楽進「いえ、紹介いたします。」

 

 楽進(こういう方なら天の御使いが曹操様の元に居ると分かれば味方になってくれるかも!!)

 

 一刀「じゃ、街の案内は任せて。」

 

 楽進「は、はい!」

 

 こうして俺と楽進の奇妙なデートが始まった。と言っても情報を引き出すためなんだけどね。何度も言うけど情報を引き出すためだよ?再三言うけど情報を引き出すためだからね!?

 

 楽進「あの、呂北様。あの区画はなんですか?」

 

 一刀「ん?ああ、よく気がついたね。あそこは職人区画だよ。」

 

 楽進「職人区画?」

 

 一刀「今洛陽は大きな通りを複数持ってるんだ。正面の洛陽大通り。東に延びた職人通り、西に延びた行軍通りの三つだね。今居る位置は洛陽大通りと職人通りの距離が同じで十字に交わる地点なんだ。今指摘した区画が職人区画、正確には第2職人区画だよ。各職業に割り当てられた区画での仕事があるんだ。」

 

 楽進「へぇ・・・陳留に似てて、少し違いますね。」

 

 そんな話をしていると目の前に居た女性が持ってる荷物を取り落とすのが見えた。

 

 楽進「あ、静香様。」

 

 一刀「・・・・なん・・・・だと?」

 

 静夏「・・・・・・・・そんな。」

 

 楽進「だ、大丈夫ですか?静香様。荷物が・・・ああ、桃が転がって・・・」

 

 静夏「・・・・・・・・・・一刀。」

 

 一刀「!?」

 

 チャキ

 

 静夏「!?」

 

 楽進「な!?し、静香様訂正を!!それはその方の真名なのでは!?」

 

 静夏「・・・訂正しないわ。・・・だって・・・息子なのだから。」

 

 楽進「・・・へ?・・・・ええええええええええええええええええええええ!?」

 

 一刀「・・・俺を息子と呼ぶな。北郷静香。」

 

 静夏「あら、静香は私の真名に当たるわよ?」

 

 一刀「当たるだけだろ?俺はこの世界で10年過ごした、呂北丁郷だ。真名を許したつもりはない!!」

 

 静夏「・・・そうね・・・なら切って頂戴。」

 

 二人「!?」

 

 静夏「あなたにはその権利があるわ。私を殺す権利。私は・・・いい母親じゃないもの・・・母親ですら・・・ない・・・資格なん・・・て・・・」

 

 ・・・俺の目の前の女はなぜ泣いている?なぜ・・・どうして!俺を忌み嫌ってたんじゃないのか!?

 

 一刀「なんで・・・なんでそんな顔でそんな事言うんだよ!!俺は・・・どうしたらいいんだよ・・・」

 

 静夏「・・・」

 

 楽進「あの・・・此処では目立ちますし移動したほうが。」

 

 一刀「そうだな・・・俺の客人として城に招く。問題はあるか?」

 

 静夏「無いわ。好きにして頂戴。」

 

 一刀「こっちだ。・・・帳、何の用だ。」

 

 帳「申し訳ありません。可及的速やかに報告が・・・」

 

 一刀「すぐに聞く。ちょっと待っててください。楽進さん・・・・母さん。」

 

 あの涙は嘘じゃない。なら俺は・・・

 

 静夏「!?・・・・・・・えぇ。」

 

 楽進「静香様・・・」

 

 一刀「・・・どうした?」

 

 帳「これを・・・」

 

 一刀「・・・!?そうか・・・まだ早いと思ったが・・・袁紹め、予想より早い。」

 

 帳「馬鹿は何かと判断が早いのが厄介です。」

 

 一刀「そうだな。この報告は上に通せ。俺は・・・軍議には出ない。この二人の方が・・・俺にとって重要だ。」

 

 帳「はは!」

 

 帳はその軽い身のこなしでまた気配を消して行った。

 

 一刀「待たせた。」

 

 静夏「大丈夫なの?」

 

 楽進「あの・・・」

 

 一刀「場合によってはあなた達を拘束します。」

 

 二人「!?」

 

 一刀「まずは城まで。抵抗しなければ客人です。誰にも・・・手出しさせない。」

 

 楽進「・・・」

 

 静夏「行きましょう。凪ちゃん。」

 

 楽進「は、はい。」

 

 楽進(・・・何があったんだ?呂北殿が静香様の御子息と言う話も・・・それが本当なら呂北殿は今まで・・・)

 

 俺達はそのまま城に向かった。勿論帳の報告は重要だが今この二人を帰す訳にはいかなかった。何より・・・俺は母さんの真意を聞く事をしていないのにいまさらながら気付いてしまったから。

 

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 俺達はあわただしくしている兵の隙間を縫って俺の部屋へと来ていた。

 

 一刀「さて・・・ここなら邪魔は・・・たぶん入らない。」

 

 楽進「た、たぶんなんですね。」

 

 静夏「・・・一刀。――――――ごめんなさい!」

 

 一刀「!?」

 

 静夏「謝って済む問題じゃないのは分かってるわ。あなたを見て見ないふりをした卑怯な母親よ。でも当時私は戒刀さんに逆らえなかった。怖かった。良い訳でしかないけど・・・その時には・・・沙耶が、おなかに居たから・・・」

 

 一刀「サヤ?」

 

 静夏「あなたの・・・妹よ。」

 

 一刀「・・・そうか・・・俺に、妹が。」

 

 静夏「・・・ただ、戒刀さんの方針であなたの事は知らされてないの。・・・ごめんなさい。」

 

 一刀「あのクソ親父のしそうなことだ。」

 

 ああ、この人は俺を・・・忌み嫌っていたんじゃなかったんだ。今ならわかる、この人は正しい。確かに息子の境遇を見て見ぬふりなんてひどい話だ。だが・・・自らの命を、さらに宿った命を守る為にした行為なら俺は・・・

 

 一刀「ねえ母さん。あいつの元に居続けるの?」

 

 静夏「え?」

 

 一刀「母さんなら・・・此処に残ってもらっても。」

 

 楽進「そ、それはなりません!!このお方は曹操様の元に降り立った天の御使い様です。その様な事は―――!」

 

 一刀「・・・楽進さん、天の御使いって言うのは確かに魅力的な言葉で肩書だね。でもそれは・・・諸刃の剣でもあるよ。だって・・・この反董卓連合で諸侯が負けたら御使いがいても平和が来ない事になる。」

 

 楽進「え?」

 

 静夏「まさか、あの報告は!?」

 

 一刀「ああ、袁紹の馬鹿が生き急いだ。俺は月を・・・董卓を守る!それは俺の命を賭しても成し遂げる・・・それが俺の・・・此処に居る理由だ。」

 

 楽進「・・・あ、あなたは張三姉妹を無きものにした。時代の被害者を殺した人で・・・」

 

 人和「一刀さん、何があったんですか!?」

 

 地和「ちょっとちょっと、一刀。話が違う。協力はするけど、戦争には巻き込まないでよ!!」

 

 天和「え〜、私は一刀と居られる方が嬉しいけど・・・」

 

 地和「それは私だってそうよ!!」

 

 天和「・・・・お邪魔だったかしら?」

 

 一刀「いや、いい時に来たね。母さんなら察しがつくんじゃないか?」

 

 静夏「・・・そう・・・凪ちゃん。あの報告は嘘よ。三姉妹は生きているわ、ここにね。」

 

 楽進「・・・・・な・・・・・では・・・・・」

 

 静夏「で、もしかすると董卓さんはとても良い方なのかしら?」

 

 一刀「ああ、とってもかわいい子だよ。」

 

 楽進「・・・あの、話が見えないんですが・・・」

 

 一刀「楽進さん。よく聞いて。」

 

 俺は楽進さんにこの慌ただしさの理由を話し、そしてこれが月を生贄にした群雄割拠の時代の前哨戦である事を話した。

 

 楽進「・・・か、華琳様がその様な事を・・・するはずが・・・」

 

 静夏「凪ちゃん・・・これは間違ってないわ。たぶん華琳ちゃんは分かった上で参加するでしょうね。」

 

 楽進「そ、そんな・・・私は、どうしたら。」

 

 一刀「楽進さん、俺達に味方してくれとまでは言いません。ですが・・・帰るのは辞めてもらえませんか?真実を知ってそういう反応を見せるあなたと俺は・・・戦いたくありません。」

 

 楽進「・・・・わ、分かりました。私は・・・呂北殿に協力します。私も戦列にお加えください!」

 

 一刀「・・・いいんですか?」

 

 楽進「はい。・・・静香様、申し訳ありません。その話が本当なら私は華琳様の道につき従う事ができません。現実を見てないと言われればそれまでですが・・・私は私の信じる道を違える訳にはいきません。」

 

 静夏「私も同じ意見よ。息子が掲げた正義、私も支えたいと思うわ。これも償いよ。良いでしょ?一刀。」

 

 一刀「・・・うん、ありがとう、母さん。」

 

 静夏「・・・いいのよ。」

 

 俺は・・・この人を母と呼べて喜んでいる・・・本当は俺は・・・はは、腐っても親とはよく言ったものだ。憎しみを越えて、俺は家族を取り戻さなきゃならないんだな。きっとその先に本当の笑顔が待ってるはずだ!

 

 一刀「それじゃ改めて・・・我が名は呂北、字を丁郷、真名を一刀だ。」

 

 静夏「ふふふ・・・いい名前をもらったようね。北郷静香、これからは母として、そして罪深き女としてあなたの傍で償いを・・・」

 

 楽進「我が名は楽進文謙、真名を凪と言います。一刀様、よろしくお願いします!!」

 

 一刀「うん、よろしく。二人には曹操を裏切ると言う行為をさせてしまった事をこの場を借りて詫びさせてもらうよ。」

 

 静夏「いいのよ。正直戒刀さんの態度にも飽き飽きしてたし・・・沙耶には華琳ちゃんが付いてるから。」

 

 凪「私にも幼馴染が華琳様の所に居ますが・・・私は私の正義を貫きたいと思っています!」

 

 一刀「ありがとう。」

 

 天和「私は天和だよ〜よろしくね。」

 

 地和「私は地和よ。よろしくしてあげる。」

 

 人和「人和です。よろしくお願いします。」

 

 一刀「それじゃ天和、地和、人和。3人はひとまず兵の招集を重点に置いて動いてくれる?俺は二人の紹介を兼ねて軍議の間に行くから。」

 

 3人「分かった!」

 

 一刀「行こうか。」

 

 静夏「ええ、董卓さん・・・ちょっと楽しみ。」

 

 凪「はい!・・・か、一刀様・・・やっぱり思った通りの人だった。」

 

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 俺達はそのまま軍議の間へと足を運んだ・・・んだけど。

 

 恋「・・・おなか減った。」

 

 月「詠ちゃん、こっちはどうするの?」

 

 詠「これは・・・こっちね。後これは・・・」

 

 霞「う〜、頭痛い・・・」

 

 幽香「はぁ・・飲み過ぎだ霞。だから自重しろとあれほど・・・」

 

 ねね「恋殿、今から食事を用意しますぞ!!」

 

 奈々「だから・・・今は軍議だから駄目だってあれほど・・・」

 

 ・・・・・カオスだ。

 

 一刀「は、はははははは・・・」

 

 静夏「・・・賑やかね。」

 

 凪「これが董卓軍・・・なんか楽しそうですね。」

 

 一刀「面目ない。ちょっと耳ふさいでて。」

 

 二人「??」

 

 一刀「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。ピタ」

 

 二人「!?ババッ」

 

 一刀「いい加減にしろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

 全員「!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

 キーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 一刀「月、それは内政の竹簡だから向こうに置いておこうね。」

 

 月「へぅ・・・・」

 

 一刀「詠、気付いていて見ないふりは良くない。後それは軍備予算の竹簡だから内政の奴と一緒に向こうね。」

 

 詠「うん・・・・」

 

 一刀「霞、酒飲み過ぎたの?だったら自業自得。我慢しない子には後でお仕置き。」

 

 霞「うぅ、ごめんなさい。」

 

 一刀「ねね。軍議の場に食事を持ってきてはいけません!」

 

 ねね「う・・・正論なのです・・・・」

 

 一刀「恋・・・・ほ〜ら肉まんですよ〜」

 

 恋「パァァァァァ」

 

 全員「今までのが台無しだよ!?」

 

 一刀「はっ!ご、ごめんつい・・・恋のモキュモキュ分が足りなくて・・・」

 

 恋「もきゅもきゅ」

 

 全員「ほわわ〜ん・・・・っは!」

 

 一刀「さ、さて。場もまとまった所で皆に紹介しとくよ。元曹操軍の天の御使いこと北郷静香と楽進文謙だ。俺達に協力してくれる事になった。ちなみにこっちの人は俺の実の母になる。」

 

 詠「はぁ!?あんたの母親って・・・それっていいの!?」

 

 恋「・・・・・・」

 

 一刀「恋、この人は悪い人じゃない。俺はそう判断したよ。」

 

 恋「一刀が言うなら・・・」

 

 静夏「改めまして、一刀の母の静夏です。この世界には北郷は三人いますので静夏とお呼びください。」

 

 凪「楽進文謙です。真名を凪と言います。一刀様に事情を伺い自らの義に従い董卓軍にご協力させていただきます!」

 

 月「・・・・私は董卓仲穎です。真名は・・・月と言います。よろしくお願いします。」

 

 詠「月!?・・・・ま、一刀が認めたなら心配ないわね。私は賈?文和、真名は詠よ。」

 

 恋「恋は・・・呂布奉先。真名は恋。・・・・よろしく。」

 

 と、次々と真名を許していく面々。一刀はそれを少し離れた所で見ていた。

 

 一刀「・・・はは。本当に現金だなぁ、俺。あんなに両親を疎ましく思ってたのに・・・」

 

 母さんは俺を少なからず思ってくれていた。罪の意識だろうと10年、いやそれ以上か・・・思われていた。愛されていたんだ。そう思うと胸が熱くなる・・・皆は他多少の警戒はしているようだけど・・・そんな時。

 

 ???「本当に認めていいのかい?一刀。」

 

 一刀「いいんだよ、紅母さん。それにしても早い到着だね。」

 

 紅「・・・ま、追い出された人間だからね。」

 

 一刀「噂は本当だったんだ。孫文台を追い出すなんて・・・思い切った事するなぁ。」

 

 紅「ま、これも時代の流れさね。ま、張勲の入れ知恵でいた仕方なくせざるを得なかったらしいがね。」

 

 静夏「あの・・・・」

 

 紅「ん?あぁ、お初にお目にかかる。私は孫文台、一刀のこちらの母をやってるよ。」

 

 静夏「!?そ、そうですか・・・」

 

 紅「・・・一刀、ちょっと二人きりで話をさせてくれないかな?」

 

 一刀「ん?ああ、いいよ。静夏母さん、紅母さん。俺は作戦立案の為に軍師執務室に居るから、何かあったら呼んでね?―――おーい皆騒がない!詠、ねね、俺達は作戦会議だ!恋、霞、幽香、奈々。4人は外で騒いでる兵達を纏めて、ひとまず落ち着かせてきて。凪はしばらく俺に付いて董卓軍に慣れてくれ。」

 

 全員「は〜い。」

 

 そんな気の抜けた皆の返事の後軍議の間は静夏母さんと紅母さんの二人の空間となった。

 

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 以降静香視点

 

 この人が孫文台・・・とても凜とした方だ、それが一刀の母変わりをしていた・・・か。何を言われるのだろう、責められるのだろうか?なら、私はそれを受けなければならない、責任を・・・取らなければならないのだから。

 

 紅「・・・ねえ、私は詳しい事情を知らないんだけど・・・話してくれない?」

 

 静夏「え?」

 

 紅「ん、一刀はね本当の家族については話してくれなかったからね。詳しく知りたいんだよね、母親としてさ。」

 

 静夏「・・・はい。」

 

 話すしか・・・無いのだろう。これは言い訳だ。限りなく身勝手な・・・酷い言い訳。

 

 静夏「あの子が2歳の時です。私は驚きました。戒刀さん、あの子の父親の仕事書類をあの子が読んでいたんです。悪戯だと最初は思ったんですが・・・書類上の問題点を指摘して来たんです。私は戒刀さんの性格を知っていたのであの子にはきつくその事は戒刀さんに言わないよう言い付けたんですが・・・戒刀さんも勘がいい人だったので一刀の能力に気がついたんです。それから6年あの子は戒刀さんの執拗な嫌がらせを受けてました。最初のころは私もたしなめていたんですが・・・あの子が家に居た最後の一年、私はおなかの中にもう一人の命を宿していました。あの人も紛いなりにも北郷流の習得者ですので闘気を出す事も出来ました。おなかのこの事を考えると戒刀さんに逆らう事も出来ず・・・最後の一年は私は一刀に・・・辛い思いをさせていたんです。」

 

 紅「・・・そうか・・・それを一刀は?」

 

 静夏「・・・所詮いい訳です。簡単には話しましたが。」

 

 紅「そうかい。償う気はあるんだろ?」

 

 静夏「はい。もちろんです。」

 

 紅「ん、ならよし。同じ母親としてあの子を支えようじゃないか。」

 

 静夏「はい!」

 

 紅「でだ・・・モノは相談なんだけど、あんた酒は飲める方かい?」

 

 静夏「・・・もちろん。」

 

 紅「よし、なら私達はこれから母親同盟だ!城下町で呑むよ!」

 

 静夏「ふふふ、そうですね。親交を深める意味でも・・・」

 

 紅「よし、なら繰り出そうか。」

 

 その後私と紅さんは街で呑みに呑み・・・自分の足で帰れないほどになっていた。その後・・・

 

 一刀「・・・・さて、言いたい事は分かるよね?」

 

 二人「はい。」

 

 一刀「俺は丁爺で飲兵衛の扱いはわきまえてる。な、の、で!御覚悟を(ニコ」

 

 二人(目が笑ってない!!)

 

 一刀「フフフフフフフフフフフフフフフ」

 

 二人(ひぃいいいいいいいいいいいいいいいい!?)

 

 あの子は酒呑みには容赦がない事が判ったわ・・・

 

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 次回

 

 一刀「・・・普通の人代表ッて・・・」

 

 静夏「一刀、この街はいい街ね。」

 

 月「静香さん・・・お義母さんって呼んでいいですか?」

 

 紅「さて・・・少し灸をすえるとするかね。」

 

 第十話『作戦会議』

 

 少年は一つの区切りにむけて策を練る。大切な家族を守る為に。

 

説明
第九話です。
ペースが速いですな・・・反省です。
クズ母扱いはさせませんわ!?ということで本編どうぞ。
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コメント
…ふむ、元々は義勇軍を率いていただけあって、何とも楽進は真っ直ぐだな。本来の時代的には、忠義を尽くすべきは組織や個人であって、信念を優先するのは愚かなのかもしれないが、恋姫外史でなら許されるかなと思う。(クラスター・ジャドウ)
【注】しかしここのコメント読む限りみんなどんだけ劉備勢嫌いなんだよっ・・・って(;^_^)(M.N.F.)
なるほど・・・どうしようもないのは親父だけですか。 妹大丈夫かな?(M.N.F.)
華琳はなんか一刀をモノにする代わり…とかいいだしそうだなぁ。今は彼女が内心で思っているだけとはいえ、ね。(Jack Tlam)
取り敢えずあれですね妹の救出と屑父の制裁を後ほど行うとして、呉の方々は紅母さんからのO・HA・NA・SHIが待っていますね^^ 次回の更新も楽しみに待っているので頑張ってください。(ジン)
屑は親父だけと判明。これはもう屑親父は木原数多の刑(平たく言えば存在を消滅させる)だな。(頭翅(トーマ))
D8さん、ありがとうございます。読み直したら曹操軍に親父いましたね。(牛乳魔人)
にしても、屑父の本質を曹操は見抜いているのかな?いなければ最低の人間を手元に置いているわけだし、それに天の御使いと称している人物がいる軍が負けたらそれこそその軍は終わりだけどなwww(act)
ん?ハムの人がくるのか?w この先事実を知った時の妹の反応が見物ですな。父親は前話で「黄巾党殲滅に出てる」と書いてありますな。>殴って退場さん:そんなことしたら華琳さんが叩き出すでしょうな(氷屋)
娘に八つ当たりなんてしたら、一刀がマジギレして、父親といえど惨殺するだろうな。それだけの差はあるだろうし、戦場に最近出た父親と10年間いた一刀とでは天と地の差。それだけ、10年の歳月は大きい(act)
曹操の所に、沙耶(妹)と 屑親父(自称 天の御使い【小物】)・・・董卓勢に 屑親父ボコラレソウダナ・・・w(howaito)
嫁に裏切られたと思った屑な親父が娘に八つ当たりしなければいいが…。(殴って退場)
親父屑だけど一刀ほど強くは無さそうだし〜敵としては雑魚キャラじゃwそして月w(nao)
屑は父親だけか。お腹の子供のことを思えば見て見ぬふりも仕方のないこと。母親と凪が抜けて曹操と娘の沙耶がどんな反応をするのかな?それにしても屑父は何処の軍にいるのやら。劉備軍なら反董卓連合の時に全員まとめて惨殺希望(act)
牛乳魔人さん、全員曹操のところにいますよ?黄巾党の殲滅に出てるとか曹操が言ってましたし。(D8)
北郷が3人ってことは糞親父も来てるのか・・・なんか劉備軍にいそうだなぁ・・・。もしいるのなら劉備軍諸共鏖殺希望(牛乳魔人)
普通の人代表、そう言われて思い浮かぶのはハムの彼女しかいないんだけど、一体如何なるんだか(俊)
しかし物語終盤になって母親が結局一刀を騙していて裏切るなんてことはないよな?(D8)
おお。屑は父親だけだったか。妹を人質に取られていたようなもんか。母親と凪が抜けて、曹操と屑父の反応が楽しみです。にしても予告の月のセリフww(D8)
母親だけでも完全に屑でなくてよっかった。そして親父はブレない屑。(GUN)
次回は次回で面白い事が起きそうだ。馬勢も加勢に来るだろうから、連合も弱体化するでしょうね。(俊)
成る程、母親は母親だったって事ですか。こうなると娘もまともだろうから、屑は父親だけだったと。それなら何の問題も無いですね。後は戦場で出会うだけって事ですね。(俊)
ほぉー。旦那を捨てて、息子を選んだか。旦那の立場いうか、息子に対して、あの仕打ちはないかと・・・・。(Kyogo2012)
月・・・・・・切り込むなぁwww次回が楽しみだ(アルヤ)
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