真・恋姫無双 〜 虎と狐の三国演義 〜 |
弐之三 『 賊、討伐戦 T 』
「冥琳!何があったの?」
兵士からの連絡を受けた雪蓮と狐燐が城に戻るとすでに冥琳と祭、それにもう一人…丸眼鏡を掛けた女性が地図を囲んで話し合っている最中だった。
「戻ったか。今は説教をする時間も惜しい、すぐに軍議に加わってくれ。」
冥琳に促され二人が加わったところで雪蓮が再び問う。
「それで、なにがあったの?」
「簡単にいえば近くの邑に賊が出たんだが…」
と、冥琳の答えはなんとも歯切れが悪い。すると丸眼鏡の女性が進み出る。
「冥琳様ぁ〜。ここからは私がご説明しますぅ〜。」
「そうか。たのむ((穏|のん))。」
「はいはい〜。」
穏と呼ばれた間延びした口調の女性は冥琳に代わって説明に移る。
「少し前に邑の付近を((哨戒|しょうかい))していた兵隊さんが持ち帰った情報なんですが、賊の数はおよそ三百。ですが〜、警告を発しても応答は無し。矢で射掛けても構わず前進を続けているそうなんですぅ〜。」
「なにそれ?かなり不気味じゃない?」
「そうだ。ただの賊ならすぐに鎮圧すればいいがあまりに不気味でな。出陣の前に狐燐の意見が聴きたい。」
全員が注目する中、冥琳に指名された狐燐は前に出て今の考えを述べる。
「正直、今ある情報だけだと断定は出来ないけど、なにかしらの術者が絡んではいると思う。多分、((傀儡|くぐつ))の術。」
「…そうか。それでどうすればその術は破れる?」
「術者を直接叩くか、普通に全滅させればいい。」
「ねえ狐燐、((傀儡|くぐつ))の術ってどういうものなの?」
今まで聞き手だった雪蓮が訊いてくる。まあこの中で術についての知識が最も豊富なのは狐燐なので仕方が無いが。
「そのまんまの意味だよ。術に掛かった者は術者の思い通りに動く人形になってしまう。」
「…最っ低ね。」
雪蓮は狐燐の説明に心底ムカツクといった顔でそう吐き棄てる。
「あのぉ〜。ところで此方の方はどちら様ですか〜?」
「ああ、そういえば穏は狐燐と初対面だったな。今の内に真名の交換を済ませておけ。」
冥琳の言葉にお互いに一度コクンと頷く。
「蘇業、白貴。真名は狐燐です。」
「陸遜、伯言。真名は穏ですぅ〜。」
「よし、ではこれより一刻後に出陣する!穏、留守は任せるわ。」
雪蓮の号令で一同に部屋を出て行こうとした時、
「狐燐。」
と冥琳に呼び止められた。
「お前に荷物が届いていたので部屋に運んである。一応確認しておいてくれ。」
「わかりました。」
部屋に戻った狐燐は冥琳の言っていた荷物を早速あけてみる。その中には何枚かの薄布と羽衣、包丁、丸い玉、二本の投刃、それと一枚の手紙が添えてあった。
手紙を取り出して読んでみると思わず笑みが零れる。そこには凜とした字で
『うまく使え』
とその下に少し丸っこい字で
『がんばリっ☆』
と書いてあった。
狐燐は手紙を机に仕舞いこむと羽衣を腰布代わりに巻き、投刃と獏耶の宝剣・改を腰に差して部屋を出る。
心の中で『叔母さん達』に御礼を告げながら。
あとがき
賊の討伐となり新たに((宝貝|パオペエ))が増えました。といっても半分はネタですけど。
あとは、ちょっと間が空いたので仙界の人をチラつかせたかった。痛い叩かないで!!
まあ次回は小規模ながら一応I☆KU☆SAになります。お楽しみに。
では、また次回
…それにしてもどれくらいの人が張三姉妹を仙界サイドと勘違いしただろうか。
説明 | ||
穏さん登場だ〜〜〜。 注:オリ主作品です。一部オマージュもあります。 |
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