超次元の外れ者・リメイク
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『ヴラド』

 

ユウザ

「う…ううん………」

身体が重い…と言うかダルい。ついでにマブタも重い…意識が戻った時、最初にそう思った。

その次に感じたのは、上から柔らかくてふかふかした感じ…下からは布といくつかのバネのような物を感じる………ベットの中かな?

それと薬の…消毒薬の匂い?って事は病室………?

直後、最後に意識を失った時の事を思い出す。そうだ…僕は確かハイマっていう女の子と戦って、大怪我負って、途中で訳が分からなくなって………

男の声

「ふむふむ…機械種限定飲料のニトロジャンキー、ま〜だ裏で出回ってたのか。飲み過ぎると引火って…一時期これが公式飲料になってた理由が良く分からん。」

状況確認している時、何やら声が聞こえた……男の声…聞いたことがある声だ。

この声は確か…保険医のハックル・クラッキン?そうか、ここは学園の保健室か。

ユウザ

「うっ…………」

重い目蓋を開くと、真っ白な光が入り、顔をしかめて目を瞑る…物凄く眩しい……

少ししてから目が光に慣れ、重く感じる身体を起こ…あれ?

ハックル

「ああ、目が覚めたか……」

ユウザ

「ん…ぐっ………」

可笑しい…『起きれない』?というか…身体が動かない!?

ハックル

「起きよーとしなさんな、簡易呪術で動けねーよーにしといてるからからね。ま〜君程の問題児の場合、それでも足りないぐれーだがね、ニナイトユウザ君」

………どうやら目の前にいるこの人が原因のようだ。似合ってない白衣、その下は上下カーキーの長袖長ズボン、右がはねている髪型、無精髭…と思いきや付け髭…

ハックル・クラッキン…央共学園の保険医…なのだが、本人曰く、出来るのは軽い怪我の応急処置のみだそうだ…本人の本業は戦闘らしく、テストなしでSクラスになった程。

流石Sクラスだ…簡易とはいえ、まさか呪術すら扱えるとは……

そんな彼が何故ここにいるのか、しかも保険医として…それには理由がある。

何でも、大けがして倒れてた人(モンスターだけど)が(種族の特徴上)勝手に治り、偶然そこに居合わせた所を第一発見者他数名に見られ、誤解されたまま強引にスカウトされたらしい…

本来ならここで働いてる事自体有りえないのだが、人数不足との事で、代わりが来るまで暫くここにいるらしいとか。

だがここ最近は、辞めてほしくないという人達がいるという。それは彼が『なんとなく』でやった事、とある生徒の相談に乗った事がきっかけだった。

それが噂として広がり、今ではけが人よりも相談に乗って欲しい人や、愚痴をこぼしに行く人が圧倒的に多いとか。

そんな事を思い出している時、ある疑問を浮かんだ。

ユウザ

「あれ…ハイマは……?」

そうだ…僕がいるという事は、彼女もここに運ばれた筈…だが気配がない……そもそもいたら、僕が起きたと解った時に何かあるはず…襲い掛かるとか、何か言って来るとか……

ハックル

「ああ、俺が野暮用で離れた内に行ったのかもな。何せここには『奇跡』があるんだし、それが起きたんじゃね?」

奇跡…?そう言えば聞いたことがある、ここにはちょっとした七不思議的な事が起きるとか…

『保健室の奇跡』…ここの保健室のベットで寝ると、どんな酷い大けがでも、起きた時には完治するらしい……

ソレは奇跡と言うモノであり、まるで何事もなかったかのように傷痕さえも残らないという…

以前僕が返り討ちにした不良達もその恩恵によってなのか、何事もなかったかのように、数々の悪行から停学処分を受けたらしい。

それが何時起きたのかは定かではないが、職員達の間でも噂になっており、現在捜査中。

ハックル

「君には『奇跡』は起きなかったよーだが…いや、それはそれで幸運だったかな。」

幸運……?それはどういう事なのだろうか……

ハックル

「もし君にも奇跡が起きたら、またあの娘は直ぐ君に襲い掛かるだろう。そして……君に狩られるだろう。」

『狩られる』…?それってどういう………

ハックル

「ふむ…その様子だと、記憶が飛んでる…いや、無意識でやった事なんだろうね。」

ユウザ

「??????」

言ってる事が良く分からなかった。僕に何があったのだろう…

ハックル

「まー気になさんな、どーせ一時の奇跡…またそんな事は起きないだろーね。あ、そーなると今度は君が狩られるだろうな……」

ユウザ

「…………………」

ハックル

「んー…やっぱ言って置くか。」

どうやらこの先生、コロコロと気分が変わるようだ。

ハックル

「君にはね…」

 

ばんっっ!!

 

生徒(ゴーレム)

「大変だ先生!!姐さんが…ってうおおおおおおおおお!!!」

ハックル

「何かね騒がしい。」

思いっ切り扉を開け壊し、保健室にゴーレムが入って来た…あ、よく見たら見覚えのある顔だった…あの時僕をいびろうとしたグループの一人(?)…所謂ハイマの子分じゃないか。

子分(ゴーレム)

「な…な…な…何でお前がここにっ!?」

コアが青ざめている…どうやら手刀で貫くかれたのが相当応えたのだろう。

ゴーレムのコアは、そのゴーレムのコンディションを語る。頭はあるが顔…と言うより表情が無い為、心臓部でもあるコアを見る事は、コミュニケーションを取る事において結構大事だったりする。

ただその特性上、隠し事がしにくいんだとか。…本当なのだろうか?

ハックル

「心配スンナ、コイツ動けねーし、そもそも動けても襲おうとしねーよ。取り敢えず何の騒ぎかね?」

極めて落ち着いた様子…と言うより単にマイペースなだけなのかもしれないが……

子分(ゴーレム)

「ほっ…実は今日、姐さんのBクラス認定試験の日なんだけど、俺…廊下を歩いてた姐さんとすれ違ったんだけどさ……ボロボロだったんだ!!」

ハックル

「なっ……!まさかあの身体のまま…!?」

ハックル先生は酷く驚いた…それ程に重い傷なのか?それを聞く前に会話は進む。

ハックル

「試験は何時やるんだ?」

言葉使いが変わった…珍しいと思った。

生徒(ゴーレム)

「さあ…そういやあの時の姐さん、何か焦ってたらしかったな……『あいつをワーカーの子なんて…アタシの弟なんて認めない』って漏らしてたし……」

ハックル

「――――っ!!成程な…((コイツ|ユウザ))に接触したのもそーゆー事か!!全く…病み上がりの負けず嫌いってホントにめんどーだなっ!!」

ハックル先生は慌てた様子で電話をかけた。そして少しして……

ハックル

「……………チッ…どーやら既に行っちまったよーだ…だがギルドには連絡しておいた…これでひとまずは大丈夫だろ……」

子分(ゴーレム)

「…姐さん…………」

子分はハイマの身を案じていた。僕もそうだった…筈だったのだが、それよりも気になる事があった……

ユウザ

「…『弟』って………?」

『弟』?『ワーカーの子』って言うのは分かるけど、『弟』……?

ハックル

「あ…………」

ハックル先生が目を逸らした…けどこの状況で誤魔化せない事を悟ったのか、諦めの意味を込めた、深いため息をついた

…ちなみに、ため息をつくと幸せが逃げると言うが、どう見ても幸せではない状況だとどうなるのだろうか…この((緊急事態|えまーじぇんしー))の中では激しくどうでもいいことだろうけど。

ハックル

「…秘密だったんだが仕方が無い……いや、お前らは知っておくべきだろーな、アイツの事について……」

ハックル

「これはな、ある時アイツがここに来た時に話した事なんだが……」

彼の口から出た事実は、衝撃的な物だった。

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ハイマ・ヴラド…彼女は一族で唯一のハーフ…父親が人間なのだ。

その人間と言うのは、なんと僕の義父である、リンク・ワーカーその人なのだ。

きっかけは義父さんがまだ国に雇われてもいないフリーのころ、ある村を騒がせている吸血鬼の退治の依頼を受けた時だった。

その吸血鬼とは、ハイマの母である『クローフィ・ヴラド』その人だった。

義父さんは挑んでは敗れ、挑んでは敗れた。

だが義父さんは諦めること無く挑み続けた。そして遂に、クローフィはその村に姿を現す事が無くなった。

が、当の本人は((現れなくなっただけ|・・・・・・・・・))、((来なくなっただけ|・・・・・・・・))であり、今も生きている。

ではなぜ来なくなったのか…そもそもクローフィが村を襲った理由は単なる暇つぶしであり、近くの村に姿を現し、名乗り、住民を騒がせた。

そうすれば、自分を倒しに女神がやってくる…そう、元々の狙いは女神だった。

だが自分に挑んできたのは人間達だった。彼女は自分を倒しに挑んで来た人間たちを軽くあしらった。

挑む人間は幾らかいたが、、一度挑んだ人間が、彼女自身に挑むことは無かった。

だがリンク・ワーカー…義父さんは違った。退いたが挑み、また退いたがまた挑んだ。

その中で、義父さんから何かを感じた彼女は、何時からか姿を現さなくなり、村の住民は退治したと解釈したという事である。

村ではその祝い宴を開いた。その主役であった義父さんは、暫くその村に居続けるようになった。

だがある時、義父さんは神隠しにあった。その一週間後、村の前で倒れている所を見つかった。干からびていたらしく、予定よりも長く村に滞在していたという。

ハックル

「あの時ワーカーはな…クローフィアにさらわれ、一族の館でヨロシクやってたんだ……羨ましいぞ畜生ッッ!!」

ハックル先生は涙を滝のように流し、血管が浮かびがるほどに拳を強く握っていた。

『ヨロシクやってた』…?何なんだろう、それ。直後、ハッとした表情をした後咳き込んだハックル先生。

その姿を子分が白い目で見ている…目は無いけど、なんとなくそれっぽい雰囲気だった。

ハックル

「…まーそれから、クローフィアは子を授かった。その子ってゆーのがハイマだ。」

子分(ゴーレム)

「え、え…ええええええええええええええええええええええ!?」

子分は絶叫した…無理もない、そんな事があるものかと普通なら信じられない。

僕も初めは信じられなかったけど、そうでなきゃ辻褄が合わないし、きっとそうなのだろう。

ハックル

「ハーフってのはな、汚れた血だの一族の恥だのと疎まれる事が多いんだ。ハイマがそれさ…アイツは自分の生まれと血の事で、同じ吸血種からも『出来そこない』だの『半人前』だの言われた。」

子分(ゴーレム)

「―――――――――――――」

子分の方は放心状態のようだ、コアの色がかなり薄い。

ハックル

「だがな、アイツは自分の血に誇りを持っている。高潔の母と、不屈の父、その両方の血を受け継いだって言ってたよ。」

成程…という事は、僕に勝負を挑んできたのも、『リンク・ワーカーの子』である僕を試すためのものだったのか。

けれど何かの事情で中断…それでは認められず、

ハックル

「そーいやAクラス位になったら、((身内|グループ))にも話すって言ってたなー…ってあれ?もしかして…今これ話したらヤバくね?」

多分、そうだと思う…僕には良くわからないけど…

ハックル

「やっべーよやっべーよ、トンデモやっべーよ…ってあり?あのゴーレムは?」

そう言えばいつの間にかいなくなった……何処行ったんだろう?

その後僕はと言うと、呪術の効き目が切れた後、ハックル先生に帰宅許可を得て、帰る事にした。

…と思ったが、途中でクエストを受けていた事を思い出し、ギルドに行くことにした。

…それによって、帰宅までかなり時間が掛かってしまうのだが、その時の僕は知る由もなかった。

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コメント
日野さんじゃないですかー!ベッドにねるだけで治るなんて素晴らしいですよね。そう、そんなベットがあれば変なこと沢山しちゃいまふwwwwww(駆蘭)
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