【MGSD2nd】小栗はじめの覚醒・その2 〜抉られるトラウマ〜
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小栗はじめがホーリーリボンに敗北した夜のこと。

小栗はじめの正体・小栗甲は布団の中で苦しんでいた。

 

「つーかまえた♪」

「な、何をするのじゃ!」

 

ホーリーリボンは、自らのリボンではじめを捕らえた。やけにサディスティックな笑みを浮かべている。

 

「それじゃあ、はじめちゃんの魔力をぜーんぶ取っちゃうね。」

 

リボンを介してはじめの魔力が吸い取られ、変身はあっけなく解除され完全に一少女・小栗甲に戻ってしまった。

 

「う…うう…。」

 

元に戻ってしまうともはや用済みだ、とばかりにリボンから解放され、甲はその場にへたり込む。

へたり込んだ甲を取り囲むのは何人もの魔法少女たち。皆一様に蔑むような視線で甲を見ている。

 

「ったく、根性ねーな。」

「弱っちいですね。」

「こんな体たらくでは魔法少女失格ね。」

「もう運休したほうがいいんじゃない?」

「ふふふ、無様ですぅ。」

「はじめさん、もう戦うのやめよ?ね?」

「…わかった?もう甲ちゃんの居場所は魔法少女の世界にはないんだよ?」

 

「う…うわああああ!」

「お、おねえちゃん?!」

 

絶叫と共に甲は目覚め、がばと布団から起き上がった。隣で寝ていた妹の乙(つぎよ)もその声で目覚め、心配そうな様子で姉を見つめている。

 

「ゆ…夢か…。」

「おねえちゃんだいじょうぶ?…すごいあせだけど…。」

「う、乙か…。妾は大丈夫じゃ。」

「で、でも…。」

「明日も学校なのだろう?早く寝ないと遅れるのじゃ。」

「…わかったよ。おやすみ、おねえちゃん。」

 

甲に促され、乙は眠りに就いた。

再び静かになった寝室の中、一人残された甲は言いようのない寂しさに押しつぶされていた。悪夢から解放され、気持ちの糸が切れてしまったらしい。

 

「う…う…。」

 

涙が甲の目からとめどなく溢れていく。その後甲は朝まで眠ることができなかった。

 

おわり

 

※あとがき

まあ自分でもかなり内角を突いた話になっちゃったかな、という反省はあります。

甲の夢の中に出演いただいている魔法少女の皆さんですが、これはあくまで「甲の見ている悪夢の世界の住人」なので実際の皆さんよりはるかに悪い方向に性格の補正がかかっているのです。

それから、この話はアニメ「セーラームーン」の通算91話(SSの2話に相当)が元ネタ。

説明
前回:http://www.tinami.com/view/642252

TV中継で下着姿を晒し失神する、という屈辱的敗北を喫した小栗はじめのその日の夜の物語。
(はじめの夢の中に出てくる魔法少女たちは1stでいなくなられたキャラも多いので紹介は割愛)

次:http://www.tinami.com/view/642262
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