真・恋姫†無双 〜胡蝶天正〜 第三部 プロローグ |
この作品は、北郷一刀の性能が上方修正されています。はっきり申しましてチートです。
また、オリジナルキャラクターやパロディなどが含まれております。
その様なものが嫌いな方はご注意ください。
「かーずと、あの店の焼売食べたーい」
「ちょっと一刀!わたしの部屋の扉、姉さんの部屋と違って閉て付けが悪い!明日までに何とかしなさいよね!」
「一刀さん、次の公演の衣装、前回とは方向性を変えて大人向きの感じにしたいのだけど」
新平から南東にある都、長安。
黄巾の乱で被害を受け、復旧支援をしたにも関わらずこの地の爪跡は色濃く残っており、修繕するよりも街の建物をまるごと全て建て直した方が早いという結論が出たのが三ヶ月前。
その時にどうせ建て直すのならば、州牧になった一刀の拠点を交通の便の良いこの地へ移してはどうだろう。
そう稟から提案があったのでこれを快諾。
壊された城砦や市街地の建物、新平にある研究施設類と同等の物を新設し、移動に伴う雑務処理を終わらせて人材や物資を全て移し終わったのが一週間前の事。
現在は移設した施設類が滞りなく機能しているかどうかを見て回っていた一刀だったが、その途中で天和達こと"数え役満☆しすたぁず"と遭遇。
食べ物を強請られたり、部屋の事で文句を言われたり、次の公演の相談を受けたりしていた。
最初の頃は、脅された事による恐怖心から一刀を警戒していた彼女達だったが、普段の姿や公演での支援を見ているうちに彼に対する認識を改め、今ではこの様な状態になっている。
「解ったよ地和、扉の閉て付けに関しては今日中に直すように伝えておくよ。衣装に関しては三人の意見も聞きたいから、その店で焼売を食べながら話そうか」
「わーい、かずとー。愛してるー♪」
一刀の許可を得た天和は彼に謝辞を伝えると浮き足立たせながら店へと向かう。
他の三人も彼女の後に続いて店へと入ると、中に居る客の殆どがこちらを覗いながらヒソヒソの隣同士で話し合い始める。
どうやら彼女達が何者なのか客の殆どが察した様で、隣に居る俺が何者なのかを探っているのだろう。
天和たちが数え役満☆しすたぁずとして興行を行ったのは黄巾の乱が終結してから数度だけ。
それにも拘らず彼女達の知名度は今や新しく州牧に就任した一刀を上回っており、一刀にとってはいい目晦ましになっていると内心喜んでいた。
そうこうしていると店の店員がこちらに気付き、声を掛けてくる。
「いらっしゃいませ。先ほどのお客さんのお連れさんですね?どうぞこちらへ」
店員も客と同様に彼女達を察し、天和と同じ卓へと案内する。
案内されたのは店の一番奥にある他の物よりもやや大きめの卓で、そこには先に店に入った天和が一人ぽつんと座っているのが目に入った。
「あ、ちーちゃんたちおそーい!もう注文お姉ちゃんが済ませちゃったよ」
「姉さん!自分の好きな物だけ頼んでないわよね!?」
「だーいじょーぶだよー。ちぃちゃんの好きな肉焼売もちゃんと頼んであるよ♪」
「わたしが好きなのは海老焼売よっ!」
じゃれあっている姉二人を見ながら妹の人和と席に着いた一刀は次の公演の打ち合わせを始める。
「それじゃあ、話を始めようか。次の公演の衣装を大人向けの装いにするって話だったね」
彼女達が公演で使っている衣装は黄巾党の時とは違い、鄒が作ったオーダーメイドの物を使用している。
この時代にはまだない斬新なデザインで注目を集めたり、彼女達の魅力を引き立たせると言う目的もあるのだが、その最大の目的は彼女達に来てもらう事でその服を宣伝し、同じ物を独自ブランドを起てて専売する事。
幾ら新しく良いデザインの物であっても、宣伝をしなければ誰も買いはしない。
そしてこの時代で宣伝をするからには、一発で覚えてもらえるような強いインパクトが必要であり、それには彼女達の存在は打って付けだった。
この思惑は功をそうし、昨今問題となっていた裏での資金繰りの新しい収入口となっている。
「ええ、この前着たあのヒラヒラした衣装は私や地和姉さんは良いのだけど、天和姉さんに関しては受けが悪くてね。今度はもっと姉さんの体系に合う物をって話が私達の間で決まったのよ」
前回の公演で着たというヒラヒラした衣装、その外見は黒を基調としてレースやフリルなどで飾った華美な服、いわゆるゴスロリだ。
「確かにこっちの売れ行きも小さめの服は生産が追いつかないほどの売れ行きだけど、大きい物は売れ残って生産比率を変えたばかりだったなぁ。じゃあ次回は大人向けの衣装にするとして、どんなのが良いか要望はあるかい?」
「やっぱりもっと明るい色の服がいいわねっ!舞台での栄えが良いし!」
「大人向けのが良いって言ったのはわたしだしー、それさえ守ってくれればお姉ちゃんは何でもいいよー♪」
「私はもう少し踊りに合う服の方が良いですね。前のは年齢層の問題の他にも動き辛いというのもあったので」
「明るい色彩で大人向けの動きやすい服かぁ・・・・・・となると・・・・・」
一刀は鄒が管理している書物の中で、彼女達の要望に沿った物が無いか頭を捻る。
そして、河内に居た頃に書いた物の中にそれに該当する衣装が在る事を彼は思い出した。
「よし、次は巫女服で行こう!神楽舞とかでも着るし三人にはピッタリの衣装だ!」
「みこふくー?」
「まぁとりあえず、詳しい話は鄒を交えて後でゆっくり話そうよ。作る本人が居ない場所でそこまで話を煮詰めてもしょうがないしね」
「あの、お客様。少しよろしいでしょうか・・・・?」
公演での衣装の話が一段落すると、一刀達の話を見計らったかのように店の者が彼らに話しかけてくる。
注文した物を持たずに話しかけてくる事を怪訝に思いながらも、一刀はその店員に言葉を返す。
「ん?どうしたんだい?注文した物が品切れとか?」
「いえ、ご注文の御料理は間も無くお持ちします。誠に申し訳ありませんが、相席をお願いしてもよろしいでしょうか?」
そう言われて一刀は辺りを見渡すと、いつの間にか店内は大混雑していて入り口には野次馬の様な人だかりが出来ていた。
どうやら天和達がこの店で食事をしているのがこの辺一帯の人に知られたらしく、プライベートの彼女達見たさに押しかけてしまったようだ。
その事を理解した一刀は軽く苦笑いをしながら店の人に返事を返す。
「構いませんよ・・・・・。何か面倒な事になってしまってすみません」
「いえいえ、お陰でお店が繁盛して大助かりですよ」
そう言うと店員は入り口の方へと向かい、相席する客人と思われる二人組みの女性を一刀達の卓へと案内する。
(あの二人、何処かで・・・・・・)
一刀がその客人達に既視感を抱きながら視ているうちに、店員は彼女達を卓の前まで連れてきた。
「こちらになります。ご注文が御決まり次第、お呼び下さいませ」
「あ、はい。ありがとう御座います・・・・。ねぇ文ちゃん、何か周りのお客さん皆こっちを見てて怖いよ」
「なーに言ってんだ、気のせいだって。それにこの店が美味そうだって言ったのは斗詩の方だろ?」
「それは、昼時にこんなに混んでるからひょっとしたら美味しいのかなぁって言っただけで、入るって言ったのは文ちゃんじゃない」
「美味いのかどうか気になるって言ったら入るのが常識だろ。一度言い出したんなら最後までドーンと構えて無いと駄目だぞ斗詩」
威勢の良い口上を述べた後、文ちゃんと呼ばれている女性は特に一刀達を気にする様子も無くドンと席に着く。
その振る舞いを見て申し訳なさそうに斗詩と言う人物が一刀達へ話しかけてきた。
「文ちゃん、先に座ってる人に断らないと駄目だよ!あの、本当にすみません」
「いえいえ、お気遣い無く。見たところこの辺の人じゃないみたいですけど、どちらからお越しですか?」
未だに既視感を拭えない一刀は、彼女達から情報を聞き出すためにそれとなく聞いてみる。
「あたい達は南皮から来たんだよ、麗羽様の言いつけでな」
「!」
文ちゃんと呼ばれる人物の返答に、一刀は懐かしい人物の名前を耳にした。
華琳達ほどではないが、この大陸に生まれてから比較的親しい人物の名前を・・・・。
そしてその名前を聞いた事により、彼女達に感じていた既視感も漸く納得がいき、一刀はこれから起きる事も全て読めてしまった。
「文ちゃん、真名で言っても見ず知らずの人が解るわけ無いよ。えっとですね、私達は」
「なるほど、彼女の使いという事はこの前の何進暗殺。それから台頭してきた董卓の一件で来たと言うところかな?文醜さん、顔良さん」
「「!」」
一刀が返した台詞を聞いた途端、瞬時に席を離れて臨戦態勢に入る二人。
名乗っても居ない自分達の名前を口にした上に、この街に来た目的まで当てられては警戒するのは当然と言えよう。
顔良は何処からか出した武器を構えながら一刀に対して質問する。
「あなた、何者ですか!?」
気迫の篭ったその声を気にする事も無く、一刀は座したまま彼女の問いに答える。
「・・・姓は司馬、名は懿、字は仲達。君達が主に言われてこの地に来た目的の人物だよ」
「へ?」
「お?」
一刀の答えを聞くと警戒していた彼女達の気が一気に緩み、唖然とした顔で彼を見つめる。
そんな彼女達の反応を余所に一刀は言葉を続ける。
「解ったら武器を仕舞って貰えないかな?俺が治める民が脅えてる」
「え?・・・・あ!」
一刀の言葉を聞いて顔良は辺りを見回すと、周囲で食事をしていた他の客は勿論のこと、厨房で調理をしていた料理人や店の入り口付近に居た野次馬連中まで彼女達の気迫に当てられてすっかり脅えてしまっていた。
星や春蘭達の様な一線級の武は持ち合わせていないとは言え、彼女達も麗羽の下で一軍の指揮を取る武将。
そんな彼女達が戦場で放つような気迫を放てばただの町人程度では気が折れてしまっても仕方の無い事だった。
「す、すみません!雍州の州牧であらせられる司馬懿殿とは知らずについ・・・・」
「気にしなくていいよ。込み入った話になりそうだから城で話を聞こうか」
そう言うと一刀は席を立ち、人和の方へと向いて彼女に話しかける。
「悪いけど急用が入ってしまった。ここの代金はさっき頼んだ料理の五倍の額を払っておくからそれでやり繰りしてくれ」
「後で城に請求が行くようにしていてもいいんですよ?」
「それをやるととんでもない金額が来そうだからさ。まぁそういう訳でここで失礼するよ」
「今度埋め合わせしなさいよ一刀!」
「いや、俺街の見回りの途中だったんだけど・・・・・」
そう独り言を言いつつ一刀は顔良達と共に店を後にする。
途中、文醜が"あ!昼飯食いっぱぐれた!"と口にしたのは完全スルーして・・・。
説明 | ||
今回から第三部スタート。 事故の心配をしてくださった方にこの場を借りて御礼申し上げます。 有難うございました。 今後も頑張っていきますので、宜しくお願い致します。 |
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コメント | ||
董卓軍に参加した一刀をみて繊維ゲフンゲフン・・・戦意喪失しそう(デーモン赤ペン) これは面白い展開ww 一刀くんのことを知った麗羽さまの行動に期待ww(神余 雛) 麗羽が司馬懿の正体が一刀だと知ったら一悶着が起きること間違いなしですねw(本郷 刃) ↓そうは問屋が卸さないのも「主人公」の悲しい所……。(劉邦柾棟) ↓そりゃ主人公だからね、仕方ないね(親善大使ヒトヤ犬) この世界は、 一刀が中心で廻るのですか?(いた) ↓寧ろ、『一刀』目当てで華琳と麗羽が連合を組みそう。(劉邦柾棟) あれ、一刀次第では連合回避可能?(アルヤ) ↓蜀√!? 所々混じりそうだ(頭翅(トーマ)) ↓「我が君」とか言いそう。(劉邦柾棟) 幼少時代に一刀に婚約を申し込んでいた麗羽、再会したらどうなるのだろうか?w(nao) 袁家の二枚看板の登場ですね・・・・・・・・・袁紹と一刀が会ったらとんでもない事が起こりそう(アサシン) |
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