真・恋姫†無双〜黒の御使いと鬼子の少女〜 18
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〜終結〜

 

「敗残兵がいるかもしれん。各員、警戒を怠るなよ!」

 

 関羽が周囲の兵に指示を飛ばしている。

 

 ここは黄巾党がさっきまでいた陣だ。敗走した黄巾党の奴らはここを放棄してどこかへ行ってしまった。まぁ、数十名程度だったから、逃げたところで大した戦力にはならんだろうし、別の諸侯に見つかっている可能性もある。

 

(戦闘の途中で細作らしき奴も見たしな)

 

 おそらく、そう遠くない場所にいるはずだ。となれば、その残党を仕留めるか、わざと泳がせることもありうるが、なんにせよ、命はないだろう。

 

「ふぅ……ようやく終わった、かな?」

 

 と、今まで神経を張りつめていたのだろう。北郷が一息ついて、体から力を抜いた。

 

「ご主人様もお疲れ様。私も疲れたよ〜」

「そうですね。本陣の指揮をずっと執られていましたし」

「お姉ちゃんにしてはいい指揮だったのだ」

「うっ。 ……実際は朱里ちゃんのおかげだったり」

 

 まぁ、この劉備にあの指揮は出来るとは思えないのもまた事実。悲しいけど、これって現実なのよね。

 

(なんてセリフ、親父がよく言ってたな)

 

 おかげでたまに使ってしまう。と、親父の思い出から現実へ意識を戻す。

 

「いえ、そんなことはありませんよ♪ 桃香様も必死で戦っていたのは兵のみんなが知っています。だからこそ、みんなついてきたんですよ」

「え、えへへ。そうかな?」

 

 嬉しそうに照れている劉備を見ながら、張飛は自慢するような口調で話し始める。

 

「朱里もすごかったかもしれないけど、雛里もすごかったのだ!」

「あ、あわわ!?」

 

 言われた当人は慌てて、思わず帽子で顔を隠してしまっているが、それに構わず張飛は話を続ける。

 

「鈴々が指揮しなくても、雛里がやってくれたから鈴々はすっっっっごく楽だったのだ! おかげで戦いに集中できたのだ! ありがとなー、雛里!」

「い、いえ……」

 

 隠していても分かってしまうほど顔を真っ赤にする鳳統に俺は追い打ちをかけてみる。

 

「確かに、俺も鳳統が指揮してくれたおかげでだいぶ助かった。俺からも礼を言わせてくれ」

「ふ、ふみゅうぅ……」

 

 で、今度は小さくなってしまう。

 

「で、でも、鈴々ちゃんも、玄輝様も、すごかった、です」

 

 何て言われると、張飛が胸を張って自信満々にそれに返答する。

 

「鈴々が凄いのは当然なのだ!」

「こらっ、調子に乗るな」

 

 で、関羽に軽く小突かれるが、口をとがらせてそれに抗議する。

 

「調子になんて乗ってないのだ。鈴々が強いのは事実なのだ」

「まぁ、確かにね」

 

 小さく笑う北郷だが、

 

「ご主人様まで……。あまり鈴々を甘やかさないでください」

 と、関羽に注意される。

 

「ごめんごめん。でもさ、桃香が朱里を、鈴々が雛里を凄い奴だって認めたように、この大陸にはもっと凄い奴がいるって鈴々だって分かっていると思うからさ」

「そんなの当り前なのだ!」

 

 元気よくそれを肯定する様は、どこかそのことを楽しみにしているように見えた。

 

「だよな。でも、俺はそれよりも今の状況が嬉しいんだ。みんなが認め合って仲良くなれたこの状況が」

 

 なんてことを爽やかな笑顔で言ってくる。でも、その表情に嘘は見えない。本心からそう思っているのだろうな。

 

「まったく、お人好しというかなんというか」

「そ、そうかな?」

「まっ、その辺は置いといて、あれだけの統率力を見せられて認めない奴がいたらそいつは愚者としか言えないな。なっ?」

 

 そう言いながら関羽へ視線を向けると、彼女は“ええ”と頷いて素直な意見を述べた。

 

「あの統率は見事の一言に尽きます。大陸広しと言えども、そうはいないでしょう」

「だよね! もう兵隊さんをまるで手足のように操ってたよね!」

 

 と劉備が体でその様子を必死で表している。それに張飛も力強く頷いた。

 

「まったくなのだ! とっても力強い“仲間”なのだ!」

 

 この軍のトップたちに絶賛された二人は嬉しそうに顔を真っ赤にして、小さくお礼を言っていた。

 

「これからも宜しくね。二人とも」

『はい!』

 

 北郷が差し出した手を二人はしっかりと握った。

 

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 新しい仲間とつながりを深めた、そんな時だった。

 

「申し上げます!」

 

 慌てた様子の兵士が一人飛び込んできた。

 

「んっ? どうしたの?」

「はっ! その、陣の南方から官軍らしき軍団が現れ、この軍の指揮官に会いたいと……」

「官軍らしき? どういう意味だ?」

 

 関羽の問いかけに兵は頭を下げたままそれに答える。

 

「その、通常、官軍が用いているはずの旗を掲げておらず、“曹”と書かれた旗を掲げているのです」

「だから官軍らしき、ってことか」

「は、はい」

 

 おそらく、さっきの細作を放っていた張本人だろう。このタイミングで接触できるとなれば、戦況を見ていなければできないはずだ。

 

 そして、その一団が何者なのか、その答えを一番に導き出したのは孔明だった。

 

「官軍を名乗っているにもかかわらず、その旗を用いないという事は恐らく、黄巾党討伐に乗り出した諸侯でしょうね」

「曹、と言えば、許昌を中心に勢力を伸ばしている曹操さんだと思います」

「曹操?」

 

 たしか、三国志の内の一国、魏の親玉じゃなかったか?

 

「何で曹操が……」

 

 北郷も驚いているようで、動揺が見て取れた。だが、すぐに何か答えを導き出したようで、劉備に話しかける。

 

「どうする? 会うだけ会ってみる?」

「曹操さんって味方だよね? なら会っておいた方がいいと思う」

(味方、か?)

 

 てか、どちらかと言えば敵のような……? 気にしすぎか?

 

「そうですね。上手くいけば、共同戦線が張れるかもしれません」

 

 孔明は劉備の意見に賛成のようだ。しかし、

 

「だが、我らの手柄を横取りする可能性もあるのではないか?」

 

 関羽は反対のようだった。だが、それに異を唱えたのは鳳統だった。

 

「官軍なら、ほぼ間違いなくそうするでしょうが、私が聞いた限りの話ではそんな恥知らずな事をする方ではないと思います」

「というと?」

 

 俺が聞くと、恥ずかしそうに帽子で顔を隠してしまうが、問いにはしっかりと答えてくれた。

 

「誇り高き覇者、その言葉がふさわしい方だと思います。器量、能力、兵力、そして財力。その全てを兼ね備えていると言っていいと思います」

「ンな……!? なんだそりゃ?」

 

 完璧超人か!? 現実にそんな人間がいるなんて……。

 

「だが、そんな人物がどうして我らのような弱小部隊に……?」

 

 関羽の疑問は尤もだ。俺も同じような疑問を持ってしまう。

 

「そんなのは会って聞けばいいのだ」

 

 ……それもそうか。

 

「だな。その理由を考えたって答えが出るわけじゃない」

「うん、俺もそう思う。会ってみよう」

 

 北郷のその一言で俺達は曹操に会うことが決まった。そして、さっきの兵士にここで会うという事を伝えるように指示すると、俺達は簡素ながらその場を作り、曹操を待つことにした。

 

「にしても、曹操さんってどんな人なのかな?」

 

 待っている間、劉備がぽつりと言った言葉に孔明が答えた。

 

「治政の能臣であり、詩人であり、そして乱世を生き抜く奸雄だと噂されています」

「ふむ、善悪定まらず、と言った所か」

「そうですね。あと、確実に分かっていることは、自分にも他者にも誇りを求める事です」

「誇り? 誇りってどういう意味?」

 

 その問いに答えたのは孔明でもなく、鳳統でもなく、ましてや北郷でもない。

 

「誇りとは、天へと示す己の存在意義。誇り無き人物はどんな有能な者であれ、人としては下品の下品。そのような下郎は我が覇道に必要なし。……そう言う意味よ」

 

 突然現れた金髪の美少女だ。その左右には長身の美女が二人連れ添っている。

 

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「ほわぁ!? び、びっくりした!」

「貴様、何奴!」

 

 関羽が思わず劉備の前へ出て刃を向ける。が、それに臆することなく右側にいた赤い装束に身を包んだ長髪の美女が大きな声で応対する。

 

「控えよ! この御方こそ、我らが盟主、曹孟徳様だ!」

 

 なんだと?

 

「……先程、伝令が出て行ったばかりなのだが?」

 

 俺が問いかけると、曹操は鼻で笑ってその説明をしてくれた。

 

「他者の決定を待つような人間がこの乱世で生き残れると思うのかしら?」

「……なるほど。アンタは俺達が会うことを選択すると判断していた、そういうことだな?」

「寡兵なれど、戦場を俯瞰し、戦略的に動ける部隊ならば、大軍を率いて現れた不確定要素を放置する訳はない。……それが分かっていただけよ」

 

 さも当たり前のように言ってくれるが、分かっていたとしてもあっさり実行してしまうあたり、只者ではない事を感じさせる。

 

「改めて名乗りましょう。我が名は曹操、官軍に請われ、黄巾党を征伐するために軍を率い、転戦している者よ」

 

 淡々と自己紹介を済ませた曹操に対し、我らが劉備は、

 

「こ、こんにちは。私は劉備っていいます」

 

わりとあっさりと済ませた。

 

「劉備……。良い名ね、あなたがこの軍を率いていたのかしら?」

「え、えーと、私が率いてた、って言うよりも、私たちのご主人様が……」

「ご主人様ぁ?」

 

 あれ? 何だか知らんが一気に言葉の雰囲気が変わったぞ? どちらかと言えば嫌な方向に。

 

「はい。えと……」

「俺がそうだよ。北郷一刀、よろしく」

 

 自己紹介をした北郷が手を差し出すが、曹操は目もくれずに無視する。だが、完全な無視というよりは、何かを思い出そうとしているため、その手に気が付いていない、と言った方が正しそうだ。

 

「北郷一刀……。どこかで聞いたことがあるわね」

「そりゃそうですよ。ご主人様は、最近噂の天の御遣いなんだもの♪」

 

 なぁーんて嬉しそうに言ってはいるが、曹操はそういった類の話は信じないタチだと思うのだが……

 

「天の御遣い……ああ、あのつまらない噂ね。まさか、あの与太話が真実だと、そう言い張りたいのかしら」

 

 ……案の定か。だが、北郷はそれに冷静に答える。

 

「ん〜、天の御遣いだって証明する物が分からない以上、それは結局自称って事だ。だから俺は信じてくれる人にだけ信じてもらえればいいと思ってる。だから、本物だー! なぁんて言い張るつもりなんて毛頭ないよ」

「貴様! 曹操様になんという口のきき方を!」

 

 さっきの美女が腰の大剣を抜こうとするが、曹操がそれを制した。

 

「し、しかし華琳様……」

「いいの。この男の言には筋が通っているわ。本物と証明する術がない以上はそれを信じるか信じないかはそれぞれが考えるべきこと。本物かどうかは置いておくとして、あなたがこの部隊を率いていた、という訳ね?」

「ああ」

「でも、確か噂の御遣いは二人ではなかったかしら?」

 

 その問いに答えるため、俺が口を開いた。

 

「その方は今、休んでおられる」

「……貴方は?」

「御剣と申す、もう一人の天の御使いの護衛としてこの世界に来たものだ」

「なるほど。相当腕は立つようね」

「そちらこそ」

 

 ハッキリ言って、強い。並大抵の相手では敵う相手ではない。俺が戦ったとして、負けるとは思わないが、苦戦するのは間違いないだろうし、要因が重なれば負ける可能性も出てくる。まぁ、それはこの部隊にいる将全員に言える事ではあるが。

 

「でも、戦いが終わった後に一人のんきに休むとは、そちらはこの男とはだいぶ違うようね」

 

 その言葉の端には侮蔑がみられる。

 

「……のんきに休んでいる訳でない、とだけは言っておく」

 

 自分では押さえているつもりだったが、言葉に怒りの色が付いてしまう。

 

「貴様!」

 

 で、さっきの美女がまた剣を抜こうとするが、また制される。

 

「……どうやら、それなりの訳があるようね。知らずに侮蔑したのは謝りましょう」

「……いや」

 

 実際、雪華は天幕で休んでいる。彼女にとって俺が傍にいないという事はかなり不安だったらしく、戦いが終わって、本陣へ戻ってきた俺を見かけた途端、その場に倒れてしまったのだ。

 

「まぁ、その様子だと率いているのはやはりこの男で間違いなさそうね」

 

 そう言われた北郷は静かに首を振ってそれを否定した。

 

「いや、俺一人の力じゃないよ。みんなの力があったからこそ、部隊を率いれたんだ」

「……へぇ」

 

 その発言に感心したのか、曹操は北郷の顔を品定めするようにジロジロ見ている。

 

「えっと、俺の顔に何かついてる?」

「別に。取り立てて特筆すべきところの無い顔だと思っただけよ。……春蘭、秋蘭」

『はっ!』

 

 真名と思われる名で呼ばれた二人が返事を返すと、彼女は二人に指示を出した。

 

「部隊に戻り、進軍の指示を出しなさい」

『御意!』

 

 そして二人は一足早くこの陣を出て行ってしまった。残った曹操は目を細め、北郷に問いを投げかけた。

 

「北郷、と言ったわね。あなたがこの乱世に乗り出したその目的、一体それは何?」

 

 その問いに北郷は目を逸らさずに答える。

 

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「俺は神輿だ。主義主張って言うほどのモノは無い。ただ、劉備達の考えに賛同していて、それに協力しているだけさ。皆が言ってる天って世界からこの世界にやってきて、打算や計算はもちろんある。でも、劉備、いや、桃香たちの理想に共感し、力になりたいと思う気持ちは本物だ」

「神輿、ね。という事は、この軍の真の統率者はやはり劉備ということかしら?」

「そう思ってもらって問題ないよ」

 

 その答えを聞いた曹操は、その視線を劉備に戻す。

 

「再び問いましょう。劉備、あなたがこの乱世に乗り出した目的は何?」

 

 その問いに、劉備はまっすぐな瞳で答える。

 

「私は、この大陸を誰もが笑顔で過ごせる平和な国にしたいの」

「なるほど。それがあなたの理想なのね」

「うん。そのためには、誰にも負けない。負けるわけにはいかないって、思ってる」

 

 その瞳に宿る光は、初めて会った時と何ら変わっていない。力強くも、どこか脆い光だ。

 

「そう。分かったわ」

 

 何か納得したのか、曹操はゆっくりと頷き、その口を再び開く。

 

「ならば劉備よ。平和を乱す元凶、黄巾党を殲滅するために、今は私に力を貸しなさい」

 

 その口から出た言葉は、さらに威厳に溢れた言葉を紡ぎだす。

 

「今の貴女には独力でこの乱を鎮める力はない。だけども、今は一刻も早く暴徒共を鎮圧する事こそが大事。違うかしら?」

「その通り、だと思う」

 

 そう頷いた劉備だが、その瞳は若干不安そうに北郷を見つめた。見つめられた当人は、その真意を汲み取ったのか、北郷は少し考えた後、自分の意見を述べる。

 

「……申し出を受けよう桃香。曹操の言う通り、俺達にはこの乱を鎮めるだけの力は無い。でも、力のある人と協力すれば、もっと早くこの乱を終わらせることが出来る」

「良く分かってるじゃない」

「見た目より計算高いだけさ。……でも、一つだけ分からないことがある」

「良いでしょう。質問を許します」

 

 さっきから気になってたんだが、どうしてここまで上から目線なのだろうか? まぁ、確かに力は圧倒的にあっちが上なんだが。

 

(……どうでもいいか)

 

 気にしたところで意味などない。で、質問を許された北郷が自身の気になることを口にした。

 

「君と組むことは俺達にとっては大きな利点だ。でも、君が俺達と組む利点が分からない。それは何だ?」

「そうね、貴方は何だと思う?」

「……分からないから聞いているんだよ」

 

 その答えに曹操は小さく笑って、

 

「分からないのならば考えなさいな。……考えて、考えて、考え抜いた末に導き出された答えが貴方にとっての真実。ただそれだけの事よ」

 

 なんて謎かけのような答えを残して背中を向けた。

 

「あ、ちょっと」

 

 北郷が答えを聞こうとしたのを曹操は言葉で切り捨てた。

 

「話は以上よ。共同作戦については軍師同士で話し合いなさい。そして、北郷。言葉では無く、その行いによって人の本質を理解しなさい」

 

 それだけ言うと、そのまま陣を出て行ってしまった。

 

「……なんて言うか、取っつきにくい女の子だったなぁ」

「なんか、凄かったねー……」

「自信の塊、そんな感じの方でしたね」

「う〜、鈴々にはアイツの言葉は理解できないのだぁ〜」

「あの言葉は、もしかしたら曹操さんの哲学のようなものなのかもしれませんね……」

 

 各々が曹操の事を語る中、関羽は訝しげに自分の意見を述べた。

 

「言葉ではなく、行動によってその者の本質を見よ、か……。あの言をどこまで信じてよいものやら」

「だが、つまらん嘘を言うやつではないだろうさ」

「俺もそう思う」

「それって、信用できる人、ってこと?」

 

 劉備が北郷に不思議そうに聞いてくる。

 

「今においては、って言葉が付くけどね。でも、一つだけ気になったことがあるんだ」

「気になったこと?」

 

 今度は俺の問いかけに答える。

 

「今は私に力を貸しなさいって言っていただろ? その言葉の意味が、ちょっとね」

「なるほど、な」

 

 確かにそう言っていた。そして、その意味は。

 

「いつかは敵対するのが分かっているんじゃないか、そういうことか?」

「うん。……俺達の理想があれば、当然、曹操にも理想があるはずだ。その理想がどんなものなのか、それは分からないけど、少なくとも俺達のとは違うものだと思う」

「理想が違うのならば、ぶつかるのは必然、ってことか」

 

 だが、理想が同じだとしても、ぶつかることはある。

 

「仮に同じだとしても、そこへ行く方法が違うならば、それでもぶつかるだろうな」

「そう、だろうね」

 

 で、そういう時に限ってどちらも本気だったりする。本気で思っているからこそぶつかり合う。

 

「ぶつかり合って互いを認められればいいんだがな」

「でも、その前に協力することは出来ないのかな、今回みたいに……」

「……どうだろうな」

 

 できなくはないだろう。だが、条件や状況がそろわない限りは、難しい、いや、曹操に限って言えば不可能だろう。

 

「人ってのは何かに直面しない限り手を取り合おうとはしない。そして、曹操って人間はそんな状況を作りはしないだろうし、直面したとしても一人で越えようとするだろうさ」

「そう、ですね。先の先まで読んで行動をする、そんな人間に見えました……」

 

 鳳統が小さな声で同意してくれるが、まさにそういう人間だと思う。

 

「ホントに完璧超人なのだなー、曹操は……」

「でも、俺達だって負けてないさ。そうだろ、桃香?」

「うん! どんな凄い人だろうと、私たちの理想、その実現を邪魔させないんだから!」

 

 その宣言に、俺以外の面々は頷いた。何故頷かなかったか、それはその言葉に引っ掛かりを感じたからだ。

 

(もし、その理想をよりいい形で実現できる人間がいたら、お前は引き下がらないのか? 劉備……)

 

 だとしたら、それは所詮、自分好みの世界にしたいってことだ。そんなのは、賊と大して変わらない。自分が楽しく生きるために他人の命を奪う賊と、なんら。

 

(……さて、どうしたもんか)

 

 本人に尋ねてみたいところだが、この場で尋ねるのは野暮というものだろう。だが、このまま靄がかかった気持ちで戦うのも、微妙だ。

 

 そんなことを考えながらも、俺は次の戦場へと向かっていった。

 

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あとがき〜のようなもの〜

 

はいどうも、おはこんばんにゃにゃにゃちわ、風猫です。

 

ついに覇王、曹操さまのご登場です。ええ、真恋姫において、私の中でNo1ヒロインです。なので、あんなエンドにしやがったばせそんさんを恨みました。

 

だって、一番報われないやん! 呉もアレだったけど、でも、結局は幸せになったやん! なんであのルートだけああしたんだゴラァ!

 

と、クリアした当初は憤り、今ではなんでだろうねぇ〜、と疑問を持ち続けている作者です。

 

さて、前にも書きましたが、キャラ設定についての意見の締め切りは明日までですので、お忘れなく(忘れても問題はないんですけどねw)!

 

では、何かありましたらコメントの方にお願いいたします。

 

また次回〜

 

 

 

 

説明
白髪の鬼子と黒の御使いの、守るために戦い抜いたお話

真・恋姫†無双の蜀√のお話です。

オリジナルキャラクターが蜀√に関わる話なので、大筋の話は本編とほぼ同じですが、そういったのがお嫌いな方はブラウザのバックボタンをお願いします。

大筋は同じですけど、オリジナルの話もありますよ?(´・ω・)
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コメント
naoさん:ふっふっふ、さて、どうなるでしょうかね〜w で、ENDの話はもう全くその通りです! あっても別によかったと思うんですけどねぇ〜(風猫)
玄輝がこのままこの陣営にいるとは思えんな〜今もひっかかってるようだし^^;魏エンドについては同意!帰ってくるその後の話がほしかった!(nao)
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蜀√ オリジナルキャラクター 鬼子 真・恋姫†無双 

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