九番目の熾天使・外伝 一年戦争 -蒼の始まり-
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一年戦争。

 

それは宇宙世紀0079から0080まで続いた、サイド3「ジオン公国」と「地球連邦」との

一年にわたる戦争の事だ。その戦争では各地で多くの人の命が散ってのだ。

 

その中の地上戦で最も激戦と言われた「オデッサ作戦」。

 

ジオン公国が資源確保の為に重要視した拠点だ。そのオデッサを奪還しようと連邦も総力を上げて戦いに挑むのだった。だが。数に勝る連邦はその物量と独自に開発したMSでジオンを圧倒しつつあったのだ。そしてついに、オデッサを防衛するジオン軍はHLV(正式には大量離昇機)で残存する部隊を宇宙に送り返すことにしたのだ。だがその為には当然、HLVを防衛する部隊が必要となる。其処である一人の男に白羽の矢がたったのだった・・・

 

 

 

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11/9、オデッサ、司令室・・・

 

司令官「以上が君に与えられた任務だ。了解したかね。」

 

「・・・はい。」

 

司令室では一人の司令官と尉官の男が話しをしていた。どうやら男はここの殿を任させた、否、自ら買って出たそうだった。

 

司令官「既に部隊の大半はHLVに入り、残る部隊は君に預けた臨時小隊を入れて7つしか残っていない。まぁマ・クベ大佐がグフの部隊で抜刀隊を編成しているが。正直それは一方面だけだ。残る個所は君たち残存部隊で守らなくてはならない。」

 

「・・・はい。」

 

司令官「・・・正直、私も君ほどの人材をココに残したくは無い。だが・・・それは君が志願したことだ。私はそれを受け入れよう。」

 

「・・・ありがとうございます。司令。」

 

司令官「・・・うむ。君の部隊は第三ブリーフィングルームに集まっている。君達の奮戦に期待する。」

 

「・・・ジークジオン。」

 

司令官「ジークジオン。」

 

そそして男はそう言って敬礼をして部屋を後にした。残った司令官は机に飾られていた写真を持って一人で呟くのだった。

 

司令官「・・・・・私は・・・何と愚かな人間だ・・・・・どうか・・・・彼等を生きて終戦まで導いてくれ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三ブリーフィングルーム・・・

 

ブリーフィングルームには三人の軍人が席に座って誰かを待っていた。

一人は黒髪の男で昼寝をしていた。

その男の左前には白髪の女性が眼鏡を掛けて資料を読んでいた。

そして一番前には金髪の青年が一人、拳銃をいじっていたのだ。

 

男「・・・・・」

 

女「・・・・・・・。」

 

青年「・・・・・。」カチャカチャ・・

 

すると。ドアが開き、先ほどの男がブリーフィングルームに入ってきた。そしてその姿を三人は揃って見つめたのだった。

 

「・・・・・君たちが臨時の第07小隊のメンバーだな。」

 

青年「・・・・はい。」

 

女「と言う事は・・・貴方が小隊長ですね?」

 

「ああ。早速だが名前と前の所属。そして階級を言ってくれ。」

 

男がそう言うと手前に居た青年が敬礼をして口を開いた。

 

ドライ「ドライ。ドライ・ベルシュタインです。前は第04MS小隊に所属。階級は上等兵であります。」

 

そしてその次に女性が資料をたたんで、敬礼をして自己紹介をした。

 

ヴァイス「ヴァイス・ヒルフェ。元第09MS後方支援小隊所属。階級は伍長。」

 

次にヴァイスと名乗った女性が自己紹介をすると男は残った昼寝をしていた男について問いただした。

 

「・・・・彼は?」

 

ドライ「あ・・あの人は確か・・・」

 

 

 

 

テルミ「テルミ。テルミ=ヒュウガだ。階級は兵長。元第00MS小隊所属っ・・・ふぁあ・・・。」

 

するとテルミと名乗った男があくびと共に目を覚まして自己紹介をした。そして、テルミの前の所属を聞いてヴァイスがテルミに突っかかっていったのだった。

 

ヴァイス「第00MS小隊って・・・・00小隊はジオンの地球侵攻作戦時に発足した「地上型モビルスーツ試験小隊」よ!?それにその小隊のメンバーは今は全員宇宙に・・・」

 

テルミ「ところがどっこい。俺だけはココに残されちまったんだよ。あの臆病者どもが俺を囮にノコノコと宇宙に帰っちまったんだよ。」

 

ヴァイス「っ・・・・・・」

 

テルミはその話をすると胸糞悪そうな喋り方になって行き、ヴァイスはそれに少したじろいだのだった。

 

テルミ「・・・・で。隊長さんは自己紹介しないのかよ?」

 

「・・・・ああ。すまない。」

 

男はテルミにそういわれると何事も無かったかのように返事をして、テルミはその返事に「へっ・・」と言って顔をそらしたのだった。

 

「そうだな。だか・・・正直、俺には名前が無い。」

 

ドライ「えっ・・・それって・・・・」

 

「別に気にしなくていい。俺も気にはしていない。だが・・・やはり名がないと色々と不便でな。だから・・・仲間内から言われていたこの名前にするよ。俺の名は・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トイフェル。」

 

 

テルミ「悪魔(トイフェル)だぁ?」

 

トイフェル「ああ。だが面倒ならトイで構わん。階級は大尉。前の所属は第04特務MS小隊。」

 

ドライ「04特務小隊・・・・・ジオンの最強と言われる地上遊撃部隊ですか!?」

 

トイフェル「ああ。だかその時には幽霊とも言われていたよ。」

 

ヴァイス「第04特務小隊・・・通称「ゲシュペンスト部隊」・・・地球侵攻作戦での多くの活路を開いた地球ジオン軍の最強部隊・・・」

 

トイフェル「最も・・・今は五人しか残ってないがな。」

 

ヴァイス「・・・・・・。」

 

トイフェル「さて。自己紹介はここまでだ。作戦の説明に入る。」

 

トイフェルは手を叩くと全員の目を自分に向けさせた。そして全員に一枚の資料を渡したのだ。それは今度のオデッサでの作戦時の部隊の配置図だったのだ。

 

トイフェル「今度のオデッサ防衛線では我々は第二陣として配置される。場所は基地から北西の連邦軍補給基地だ。」

 

ドライ「え!?敵の補給基地ですよ!?」

 

トイフェル「ああ。だからまずは第一陣の部隊が補給基地に向かって適度な砲撃をする。その後、第一陣は前進しこの直後に我々が基地を襲撃。制圧して即座に補給。そして第一陣がこの基地に後退して彼らと共にこの基地で敵を足止めする。」

 

テルミ「なーるほど・・・敵の飯をかっぱらって敵に嫌な思いをさせるって理由だ。隊長さんも嫌な作戦を立案するこった。ヒヒヒ・・・」

 

ヴァイス「・・・・・・・。」

 

その後、トイフェルは詳細な説明をしてブリーフィングは終了した。

今回の防衛作戦の内容は最初に先鋒の第一陣のMS小隊が連邦の補給基地を支援火器を装備したMSで砲撃。その後、第一陣は第一防衛ラインに向かい、第二陣として第07MS小隊が補給基地を制圧するということだった。勿論、補給や整備、そして地上制圧の為に歩兵部隊も同行するとの事だった。その後、HLVの発射一分前に第一陣は占領した補給基地に後退。応急の補給と整備で第二陣と共に最後まで其処で部隊を足止めするという作戦だったのだ。

 

 

 

MSハンガー・・・

 

MSハンガーでは残った部隊のMSの最終調整と整備が行われていた。流石にオデッサだけにあって資材は困らず、安心の状態で出撃は可能とされていた。

トイフェルが率いる第07MS小隊のMSは全部で四機。

 

隊長のトイフェルはドムを現地改修した「ドム重装備仕様」。左腕にザクの肩アーマーを盾代わりとして装備しており、腰にはロケット弾のシュツルムファウストが装備されているのが特徴で全体的に火力と防御力が向上し機動性を少し犠牲にした機体だ。だが、ドムの特徴である地上での高機動戦法は変わらず、その戦力としては申し分なかった。

 

その隣にはドライが搭乗する「ザク改」が整備を受けていた。

ザク改はマ・クベが立案した「統合整備計画」に元づいて開発されたMSでパーツの規格を他の種類のMSと合わせる事で整備性と生産性、互換性を向上させた計画なのだ。その計画の結果、生まれたのが、このザク改なのだった。

 

そして、その隣には迷彩のカラーリングを施した「ザクU重装備仕様」が弾薬を装填していた。ザクはそのバリエーションの多さがもう一つの特徴でこのザクはトイフェルのドム同様、現地で改修された機体で支援砲撃に特化した機体となっている。機動性を犠牲にはしたが、変わりに高い火力を得て狙撃にも優れた機体になったのだ。ちなみにドライのザク改は後に最近になって開発された機体でこのザクUは大戦時の中盤に生産されたモデルを現地で改修したのだそうだった。そしてその機体に搭乗するのはヴァイスだった。

 

そしてその隣にはザクとは違う種類のグフ、それも「グフカスタム」と言うグフを再設計した機体で格闘に特化していたグフに75ミリの六連式ガトリング砲を装備したシールド「ガトリングシールド」を装備しその他にもフィンガーバルカンとして固定武装と化していた左腕を通常の腕に戻しとりと多くの改修を受けた機体であった。そしてその搭乗者は当然、最後の一人、テルミだったのだ。

 

 

 

ドライ「にしても・・・ウチのMSは種類が富んでますねー・・・」

 

トイフェル「そうだな。高機動のドムに後方支援に特化したザクU。臨機応変に戦えるザク改に・・・圧倒的な格闘能力のグフ・・・」

 

二人はそう言って四機のMSを見ていたのだ。他の部隊は殆どがザクかドムで他に珍しい機体といえば自分達の先鋒を行く部隊の第04MS小隊のザクタンクの砲撃仕様ぐらいだったのだ。ザクタンクはザクを現地改修した機体で脚部が完全に破壊されたザクをジオンが独自の技術で開発した戦車「マゼラ・アタック」のキャタピラ部を移植して開発した機体で歩く事は不可能となったがそれでも機動力の低下は少なかったのだ。そしてそれに180ミリキャノン砲を装備させ、ミサイルポットとMMP-80マシンガンを両腕に持った完全な戦闘仕様の機体だったのだ。

 

 

ドライ「ザクが小隊の大半を占めているって話・・・マジだったんですね・・・」

 

トイフェル「・・・・ああ。」

 

二人がそう話しているとヴァイスが近づいてきてトイフェルに報告をした。

 

ヴァイス「隊長。小隊の全MSの最終整備と補給が完了しました。」

 

トイフェル「了解した。」

 

ドライ(うわっ・・・やっぱり伍長綺麗だな・・・・)

 

ドライはそう思いトイフェルの後ろからヴァイスを見つめていた。彼女は先ほどまで整備の手伝いをしていたのか軍服の上着を脱いで黒シャツ一枚だったのだ。当然下はちゃんと軍服だが。それでもスタイルはいいのでドライは少し見とれていたのだった。

 

ドライ(でも・・・隊長は内心どう思っているのかな・・・)

 

ちなみにトイフェルはこういう光景を何度も見ているので見慣れているというのは誰も知らなかったのだった。そしてそのことを知らずにヴァイスは後ろに居たドライに対して「?」を浮かべていたのだ。

 

ヴァイス「上等兵・・・私の顔に何か?」

 

ドライ「い・・いえ・・何も!!」

 

ヴァイス「・・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

テルミ「ヒヒヒヒヒ・・・・まだまだケツが蒼いな。坊主。」

 

すると近くのコンテナに持たれて寝ていたテルミがドライを見て茶化していた。その声に驚いたドライはビクッと身体を震わせ、ヴァイスはテルミを睨んでいたのだった。

 

ヴァイス「あら、居たの?てっきりションベンしに行ってそのまま逃げたのかと思ってたわ。」

 

テルミ「ヒヒヒヒヒ・・・いいねぇ・・・威勢がいい女は嫌いじゃねーぜ・・・俺はな・・・・・」

 

ヴァイス「っ・・・・・・・」

 

トイフェル「・・テルミ。機体はいいのか?」

 

テルミ「ん・・・ああ。いつでも?俺もアイツも何時でも連邦のゴミクズ共を切り刻めるぜ。ヒヒヒヒヒ・・・・・」

 

テルミはそう言って不適に笑い、ドライはその見えない顔に寒気を覚えるのだった。

正直、トイフェルもこの男の実態をつかめずにいたのだ。頼もしいというよりかは何処か恐ろしい男。そう思えたのだ。

 

ヴァイス「いざって時には後ろから撃ってやる・・・」

 

テルミ「ご自由に?ただしそん時はお前がとっ捕まるだけだがな。」

 

ヴァイス「そんなこと無いわよ。フレンドリーファイアと見られないように交戦地帯で撃つから。」

 

テルミ「ほうっ・・・なら少しは期待させて貰うぜ。「白き救済者」さんよぉ。」

 

テルミはそう言ってその場から離れて自分の機体へと歩いて行ったのだった。

そしてヴァイスは舌打ちをしてドライは一安心するのだった。

 

 

トイフェル(・・・やれやれ・・どうやら敵よりも難しい相手だな・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。

 

 

地球連邦はオデッサに向けて侵攻を再開。ここにオデッサ攻防戦の三日目が始まりを告げたのだった。

 

 

 

トイフェルたちも自分のMSに搭乗し出撃の準備をした。

 

トイフェル「第07MS小隊。一番機、出撃準備完了。」

 

ドライ『二番機。準備完了です。』

 

ヴァイス『三番機。同じく完了です。』

 

テルミ『四番機、いつでもいいぜぇ。』

 

 

 

ヴァイス『・・・・・。』

 

トイフェル「ヴァイス伍長。今は抑えろ。」

 

ヴァイス『・・・・了解・・・』

 

ヴァイスは少し嫌そうに答えると通信を切った。それに対してトイフェルは息を吐くとドムを動かした。

ドムは足にホバーがつれられているが一応歩行も可能で人がいない場所までは歩きをすることとなっていたのだ。

 

そして07小隊の横には歩兵部隊の輸送車両が三台と司令車両が止まった。彼等は今回の任務で補給基地の制圧を手伝う部隊だった。そしてその部隊の隊長からトイフェルに通信が送られたのだ。

 

ジェイ『こちら第093歩兵部隊の隊長。ジェイ中尉だ。基地の制圧はアンタ達に掛かっている。頼んだぜ!』

 

トイフェル「了解した。そちらも無理はするなよ。」

 

ジェイ『へっ・・了解した!』

 

そして歩兵部隊の隊長との通信が切れると同時に第一陣のMS小隊が出撃したのだった。

 

『第一陣。第04小隊。出撃するぜ!』

 

第04小隊はザク二機とザクタンク二機の小隊で山岳地域をザク達は歩いて進んでいくのだった。その三分後には第二陣の07小隊が出撃するのだった。そして開戦の合図か基地に向けて砲撃が始まり、基地からも砲撃が始まるのだった。

 

ドライ『始まりましたね・・・』

 

テルミ『何だ?怖いのか、僕?』

 

ドライ『べっ・・・別にそう言う訳じゃ・・・』

 

テルミ『ヒヒヒ・・・声が震えてっぜぇ?』

 

ドライ『うっ・・・・・』

 

ヴァイス『いい加減にしなさい。なんならココで撃ってあげましょうか?』

 

テルミ『おー怖い怖い・・・』

 

テルミは少しビビッていたドライを茶化すとヴァイスがテルミに突っかかり、グフカスタムに向けて主兵装の「マゼラ・ドップ砲」を向けたのだ。そしてそれを見るとテルミは不適に笑い、通信を切るのだった。

 

トイフェル「・・・・・時間だ。第07MS小隊。出撃する!!」

 

そしてトイフェルの号令で07MS小隊の四機は第一陣の後を追って出撃するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

補給基地付近・・・

 

補給基地が見える崖の上にジオンの兵士が一人、双眼鏡に布を被せて偵察していた。

布を被せていたのは反射する光で敵に察知されない為だ。そしてある程度見終わると兵士はゆっくりと後ろに引いて通信機を取り出した。

 

兵士「こちら偵察班。敵地の状況を確認。いい具合に穴ぼこにされています。」

 

トイフェル『了解。撤収して戻って来てくれ。』

 

兵士「了解です。」

 

そして兵士は通信を切るとその場に大きな布で隠してあったホバーバイクの「ワッパ」に乗ってその場から撤退した。それと同時にトイフェル達のMSは起動しトイフェルは三人に通信を送った。

 

トイフェル「これより敵補給基地を征圧する。敵の残存MSは残すなよ。」

 

『『『了解。』』』

 

トイフェル「では・・・・行くか・・!」

 

 

刹那、ドムはホバーを全開にして動き始めた。四機の中では最も足が速いので後を追っていたザク改とグフは置いて行かれることになっていた。

 

ドライ「さ・・・流石ドム、速いって言うか速過ぎますって隊長!!」

 

テルミ「ヒヒヒヒヒ!いいねぇ!面白い隊長さんだよ!でもなぁ・・・残りモンは俺の獲物だぁ!!」

 

 

 

 

 

 

連邦兵『て・・・敵のMSです!数は1・・・いや3!』

 

仕官「ええい・・・ジム隊出撃!敵を足止めし(ドオッ!!)っ!?」

 

すると出撃しようとしていたMSのジムの一機が爆発した。それを見て仕官は唖然としていたのだ。

 

ヴァイス「まずは一匹・・・」

 

カシャコン!

 

ヴァイスはそう言いザクのマゼラ砲のボルトアクションで次の弾を用意した。

スコープの向こうでは三機のジオンMSに連邦軍はなす術も無く倒されていくのだった。

 

ヴァイス「さてと・・・・隊長さんがよろしくやって・・・・・っ!!」

 

するとヴァイスは何かに気付き、トリガーを引いた。

 

 

 

 

 

 

 

ドゴッ!!

 

 

 

ドライ「うわっ!?何だ!?」

 

着弾したのはドライのザク改の近くでドライは驚きの声を上げていた。

 

ヴァイス『戦車よ。貴方は後ろは気にせずに隊長たちと進みなさい!』

 

ドライ「り・・了解!」

 

すると前方にジム改が現れて手持ちの銃で攻撃しようとするがそれよりも早く、ドライがトリガーを引いたのだった。

 

 

ドガガガガガガ!!

 

 

ドライ「・・・ふぅ・・・これで三機だな。」

 

 

 

 

 

一方でテルミはグフのサーベルでジムを切り裂き、もう一機がビームサーベルを抜くが切られたジムをサーベルを抜いたジムに向かって投げたのだ。

 

テルミ「ほい。お疲れちゃーん。」

 

そしてガトリングで一機と半分もろ共、蜂の巣にしてジムは撃墜されたのだった。

だがグフの後ろでは四台の戦車がグフに向かい砲撃をしようとしていた。

 

連邦兵『一つ目め!喰らいやが』

 

 

 

ガガガガガガガガガガガガガガ!!!

 

 

 

テルミ「えー?何か言ったー?全っ然聞こえないんだけどぉー・・・フヒヒヒヒヒ・・・・ヒャハハハハハハハハハ!!」

 

テルミは狂気ともいえる笑いで戦車を粉々に打ち砕き、グフの足で踏み潰すのだった。

 

テルミ「悔しい?ねぇ悔しい?そうだよなぁ・・・勝ちそうなのに死んじまうんだからなぁ!!

 

ヒャー・・・・・ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 

 

 

 

 

そして隊長のトイフェルはバズーカでジムを破壊しその隙に左手にヒートサーベルを抜刀。

もう一機のジムを真っ二つにするのだった。

 

トイフェル「そろそろだな・・・歩兵部隊!後は頼む!!」

 

ジェイ『よし来た!!行くぜ野郎共!!』

 

ジェイの通信の後ろでは兵士達の叫びが響き、それと同時に輸送車両とヴァイスのザクが前進したのだった。

 

それを妨害しようと戦車が立ちはだかったがそれはドムのバスーカで破壊され、補給基地に居た連邦の戦力はほぼ全滅するのだった。

 

だが残存の連邦兵が輸送機のミデアで撤退しようとしそれをドライが発見するが・・・

 

ドライ「っ!!隊長!敵がミデアで・・・!!」

 

トイフェル『何っ!?』

 

ヴァイス『私が撃ち落します!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザクッ!!

 

 

 

ヴァイス『えっ・・・・・・』

 

トイフェル「なっ・・・・・・・」

 

 

だか其処にはテルミのグフカスタムが既に居ており、スラスターを破壊して飛行できなくさせていたのだ。

 

ドライ『テルミ兵長・・・いつの間に!!』

 

テルミ『んー?何か連邦のゴミ共がこれに乗ってるの見っけたから試しにアイツ等乗せてからスラスターぶっ壊そうかと思って。』

 

ヴァイス『っ・・・・まさかアンタ・・・!!』

 

テルミ『・・ご名答・・・・・こんな敗走兵に生きてる資格なんざ欠片もねぇんだよぉ!!』

 

テルミはそう言うと操縦席をサーベルで叩き、近くに落ちていたジムのブルパップ・マシンガンとガトリングで中の兵士を手当たり次第に撃ち殺していくのだった。

 

 

ドガガガガガガ!!

 

ババババハバババ!!

 

 

そしてその銃声と共に連邦兵士の叫びとテルミの狂声が響き渡ったのだった。

それを見てトイフェルは呆然とし、ヴァイスは吐き気がして、ドライは青ざめたのだった。

 

テルミ『ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!ヒャッヒャッ・・ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!ヒャーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後。小隊は一時補給をしており、ドムの弾薬などを入れていたのを見ていたトイフェルだったがやがて整備兵とヴァイスが一方向に目線が集中しているのに気がついたのだ。目線の先にはテルミのグフが立っていたが水色などでカラーリングされたグフの装甲とサーベルにはオイルと人間の血が大量に付けられていたのだ。それには流石もヴァイスも青ざめていたのだ。

 

トイフェル「・・・・・・・・。」

 

ドライ「・・狂っている・・・あの人は・・・・・」

 

トイフェル「・・・・・ああ・・・」

 

トイフェルはそう言いその場を後にした。するとテルミがどこかに行こうとしているので

それを見てテルミの後を追って行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンテナ群の上に寝転がったテルミは一人で宇宙を見上げていた。そしてニヤリと笑みを浮かべて口を開いたのだった。

 

テルミ「でぇ?俺に何か用かよ。隊長さんよ?」

 

するとその近くにはトイフェルが立っており、テルミの隣のコンテナの上に上って、テルミに質問を投げかけたのだった。

 

トイフェル「テルミ・・・・お前はどうしてジオン軍に入った?」

 

トイフェルの問いにテルミは少し笑い、トイフェルに答えたのだった。

 

 

 

 

 

テルミ「俺は・・・・・・元EFSFだ。」

 

トイフェル「なっ!?」

 

EFSF。それはある軍の頭文字から取ってつけられた物で正式には

 

 

 

Earth Federation Space Force。「地球連邦宇宙軍」。

 

 

 

つまり、テルミは元敵なのだった。

 

トイフェル「・・・なら・・・どうして・・・ジオンに?」

 

テルミ「・・・・簡単な話だ。

 

 

 

 

 

 

 

飽きたんだよ。」

 

 

トイフェル「っ・・・・・・」

 

テルミ「連邦の体制。主義。民族、国家、宗教に欲望・・・!!

 

 

 

んな腐った奴等に愛想尽かしたんだよ。だかその時に・・俺はあることを知った。」

 

トイフェル「ある事?」

 

テルミ「ジオン・ダイクンが提唱した「ニュータイプ理論」。人が進化してその進化した人類が人を導く・・・・・俺はそんな馬鹿げた話の先を見てみたくなった・・・ただそんだけだ・・・・」

 

トイフェルはテルミの理由を聞き、ただ考えが違っただけだと思ったのだった。

するとトイフェルに通信が入った。

 

トイフェル「俺だ。」

 

ヴァイス『隊長。第一陣が後退を始めました。こちらは何時でもいけます。』

 

トイフェル「・・了解した。二人は先に搭乗して待機しててくれ。」

 

ヴァイス『了解です。』

 

トイフェルは通信を切ると隣のテルミを見たが、テルミは寝るのをやめて起き上がってコンテナから下りたのだった。

 

テルミ「先いってんぜー」

 

テルミはそう言って先に戻っていき、トイフェルはそのテルミの後姿を見て、後から戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

第一陣が撤退を開始していた頃。オデッサの攻防はほぼ終局に入っていた。

司令官のマ・クベは戦死し、残る部隊も僅かとなっていた。そして、HLVは予定通り、発射一分前になり、07小隊の残る任務はHLV全機発射まで時間を稼ぐのみとなっていたのだった。

 

 

ヴァイス『間も無く、第一陣が後退してくるはずです。』

 

トイフェル「ああ・・・・・」

 

すると。

 

 

 

 

 

テルミ「・・・・・・二機だ。」

 

ヴァイス『・・・は?』

 

テルミ「戻ってくるMSの数は二機。俺はそれに五万賭けるぜ。」

 

ヴァイス『何を変なことを・・・第一。第一陣は遠距離からの砲撃をメインとした部隊よ?幾ら敵が砲撃機を配備しているからって・・・・』

 

テルミ「ヒヒヒヒヒ・・・・なら・・・答えはテメーの目で確かめな。」

 

ヴァイス『・・・・・・・。』

 

 

 

 

 

 

そして、MSの歩く音がし、小隊のメンバーは第一陣が戻ってくる場所を見つめた。

其処には・・・

 

 

 

 

 

ヴァイス「なっ!?」

 

ドライ「えっ!?」

 

 

 

 

 

たった二機のMSが中破し、撤退している途中だったのだ。

その撤退しているMSはザクとタンクが一機ずつで、それを見たテルミ以外の面々は驚き、テルミは笑っていたのだった。

 

テルミ「ほーらな。言っただろ?」

 

ヴァイス『なっ・・・どうして・・・・』

 

トイフェル『第04小隊!何があった!?』

 

 

04兵士『くっ・・・敵の・・・・木馬の所のMSがコッチに仕掛けてきたんだ・・・てっきり反対側だと思ってたのに・・・裏を書かれちまったぜ・・・・』

 

ヴァイス『そんな・・・・木馬はマ・クベ大佐の部隊が足止めをしていた筈なのにどうして・・・』

 

トイフェル『・・・・兎に角。一旦基地に入って補給と整備を行ってくれ!その状態では無理だ!』

 

04兵士『ああ・・・すまない・・・・!』

 

そして、ザクとザクタンクはそのボロボロな機体を引きずって基地の中に入って行ったのだった。それを見た後に追撃の部隊の警戒をしていると一機のMSが現れたのだ。

それはRX-77-2”ガンキャノン”だったのだ。

 

カイ「おっ。あそこにもジオンのMSが居るのか・・・よーし!」

 

 

テルミ「おーおー・・隊長さんよ、来たぜ。お客さんがよ。」

 

ドライ『あれが連邦のMS・・・砲撃戦に特化しているようですね。』

 

ヴァイス『なるほど・・・それで彼らは・・・』

 

トイフェル『・・各機散開!囲んで即刻で倒すぞ!』

 

 

刹那、ガンキャノンは砲撃を放ち、それを四機は回避した。その後にガンキャノンは専用のビームライフルを放ち、距離を取った。だが、それをいち早く回避したグフは単身でガンキャノンへと向かって行ったのだった。

 

ドライ『え?!危ないですよ、兵長!!』

 

テルミ「ウルセーよ・・・コイツは俺の獲物だ・・・!」

 

 

カイ「い゛?!だけど・・・近づけばこっちの!!」

 

それを見たカイは驚いたが、直ぐにガンキャノンの砲撃を用意して放った。だがそれはグフのガトリングシールドで撃墜されたのだった。

 

カイ「な・・・なんだそりゃ!?そんなのアリかよ!?」

 

テルミ「行くぜ・・・・・!!」

 

 

すると、グフはガンキャノンに向かいサーベルを振るい、ビームライフルを手から弾き飛ばした。そして、そのままサーベルの柄頭でガンキャノンの頭部を殴り、キャノンの発射を遅らしたのだった。さらには。

 

 

 

 

ドゴッ!!

 

 

トイフェル「っ!?」

 

ヴァイス「ま・・・・回し蹴り!?」

 

グフは回し蹴りをガンキャノンにかまし、ガンキャノンは体勢を崩して倒れ、そこをグフに踏まれて動けなくなってしまったのだった。

 

カイ「ど・・どうやったらMSで回し蹴りなんて・・・・!」

 

テルミ「ヒヒヒヒヒ・・・さぁて・・・どうすっかねぇ・・・・このまま殺すってのもアレだしなぁ・・・・いっその事、このまま本国に連れて行くか・・・・・・」

 

カイ「ヒッ?!」

 

ヴァイス「あの馬鹿・・・!!」

 

トイフェル「・・・・・・。」

 

 

すると、グフに向かいビームライフルが何処からか放たれた。だがそれをテルミは軽々と回避しビームが放たれた方向を見つめた。其処には、「連邦の白いヤツ」と言う名で恐れられていたRX-78-2”ガンダム”が其処に居たのだった。

 

アムロ「カイさん!」

 

 

テルミ「おーおー正義の白いヤツさんのご登場かよ。けど・・・・どうするよ。今お前が撃てば俺は刺し違えでコイツをブッ刺すぜ。」

 

アムロ「うっ・・・そ・・そんなこと無い!ガンダムの性能と今の僕の腕なら・・・・!」

 

テルミ「じゃあやってみるか?」

 

テルミはそう言いグフのサーベルをガンキャノンのコクピットブロックのほぼ真上に置いた。それを見て、ガンダムはライフルを構えたが、発砲はしなかったのだった。

アムロは焦りと混乱でどうするべきかと迷っていた。もし、自分よりも相手が速かったら、また誰かが死ぬからだ。そう思うと操縦桿を持っているてが震えて押せなかったのだ。

 

それを見かねたのか、ヴァイスは何故かテルミに向かいトップ砲を向けたのだ。それを見て、ドライは驚いてヴァイスに通信を送った。

 

ドライ「ちょっ!?伍長何を!?」

 

ヴァイス「もしアイツがパイロットを殺したら私がアイツを撃つ!そんで上等兵が私を撃つ!!」

 

ドライ「それを堂々巡りって言うんすよぉ!!」

 

ヴァイス「じゃあこのままアイツがチンタラ時間使っているのを見ていろって言うの!?」

 

ドライ「そ・・・・それは・・・・・」

 

 

 

 

テルミ「さーて・・・どうするのかなーパイロットさーん。撃つのー撃たないのー?」

 

アムロ「・・・・・・・。」

 

テルミ「・・・・そうかい・・・・なら・・・・・・・先にコイツを贈ってやんよ・・・・・!」

 

刹那。テルミはサーベルを思い切りガンキャノンのコクピットに貫こうとした。

それを見て、ヴァイスはトリガーを引こうとし、ドライはそれをとめようとした。そして。アムロはそれを見て声を上げよとした。

 

 

 

 

 

たが。

 

 

 

 

 

 

トイフェル『其処までだ。テルミ。』

 

 

ドライ「えっ!?」

 

テルミ「・・・・。」

 

ヴァイス「た・・・隊長!?」

 

 

グフの隣にはいつの間にかドムが立っており、トイフェルはサーベルをグフの腹部に近づけていた。

 

テルミ「・・・・・・・・。」

 

トイフェル「・・・・・。」

 

 

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

テルミ「・・・・チッ・・・気が失せちまったぜ。さっさと消えな。このポンコツ。」

 

テルミはそう言いサーベルを戻して、ガンキャノンをガンダムの方に蹴った。それを見たガンダムはガンキャノンに肩を貸して接触通信を送ったのだった。

 

アムロ「大丈夫ですか、カイさん!?」

 

カイ「あ・・・・あああ・・・・・・」

 

アムロ「心配しないで下さい。もう少しで援軍が来ます。今のうちに撤退しましょう。」

 

カイ「そ・・・・そうだな・・・・・」

 

二人はそう会話するとその場から引き上げた。それを見て、面々は一安心しヴァイスも落ち着きを取り戻すのだった。

 

トイフェル「・・・・・。」

 

テルミ「・・・・・・・・ヒヒヒヒヒ・・・・」

 

トイフェル「・・・各機警戒。恐らく次が来る・・・・・!」

 

ヴァイス「っ・・!」

 

ドライ「り・・・了解!」

 

トイフェルの言葉に再び気を引き締めた二人は再度正面を見た。其処には大隊規模の部隊が侵攻したきたのだ。

 

ヴァイス「あんなに・・・・・」

 

ドライ「HLVは・・・・・!」

 

トイフェル「あと数機だけだ・・・・皆・・・・行くぞ・・・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那。第07小隊の面々は連邦軍の一個大隊と互角の戦闘を繰り広げた。

この時。連邦軍のMSの総数は約30。対して小隊は全四機で物量としては圧倒的差だった。

だが、技量の違いが出てき始め、連邦軍は着々と数を減らされていったのだった。

 

 

トイフェル「ちっ・・・・次から・・・・・!」

 

ドライ「隊長。ココは一旦補給基地付近まで・・・・!」

 

トイフェル「それは無理だ・・・・今後退したら・・・・!」

 

ヴァイス「ですが・・・・・っ!!」

 

すると。ヴァイスが乗るザクに戦車の砲撃が当たり、ヴァイスのコックピットは激しく揺れた。そして、周りに打ち付けられ、ヘルメットはひび割れたのだった。

 

ヴァイス「がっ・・・・!」

 

トイフェル「ヴァイスッ!!」

 

ヴァイス「まっ・・・だ・・・まだぁ・・・・!」

 

 

 

連邦兵『撃て!打ち続けろ!!』

 

連邦兵『数なら我等が有利・・・・ってうわああああああああああああああ!!』

 

テルミ「ヒャハハハハハハハハハハ!戦いは数ってか!?甘いな!戦いは数と技量なんだよ!このカスどもがぁ!!」

 

テルミはそう言い左腕のガトリングを撃ち続け、右ではサーベルでジムを切り裂いていった。その近くではドライがザク改で応戦していたのだが、マシンガンの弾が切れてリロードする所だったのだ。

 

ドライ「うっ・・そろそろ弾が心もとないな・・・・・」

 

トイフェル「ドライ、弾薬は?」

 

ドライ「もうそろそろ不味いです・・・・・」

 

トイフェル「くっ・・・・・そろそろ限界か・・・・・!」

 

トイフェルはそう言いバスーカを撃ち、付近のジムを切り裂いて武装を奪い取ったのだった。そして、その武器も使って応戦し数を減らしていったのだった。だが、物量の差はほとんど変わらず、小隊は苦戦を強いられたのだった。

 

 

 

連邦兵『ジムの残りは!?』

 

連邦兵『残り12ですッ!?』

 

連邦兵『馬鹿な!?たった四機に半数も!?』

 

 

トイフェル「各機残り弾薬は!?」

 

ドライ「マガジンが三つです!グレネードは二つ!」

 

ヴァイス「っ・・・・カートリッジが三つとミサイルポットが4パック・・・」

 

テルミ「ガトちゃんが今弾切れ。後は満タン。」

 

トイフェル「・・・・・・このまま何が何でも敵を殲滅するぞ・・・・!」

 

 

 

しかし・・・

 

 

 

ピーピー!

 

 

ドライ「えっ・・・真逆・・・・・増援・・・・・」

 

ヴァイス「しかも・・・・・二個中隊・・・・・」

 

テルミ「・・・・・・ヒヒヒヒヒ・・・・いいぜ・・・死ぬまで遊んでやんよぉ・・・・・!」

 

トイフェル「・・・・各機・・・・絶対生きろ・・・・・!!」

 

 

トイフェルはそう言いドムのホバーを全開にして増援の部隊へとテルミと共に向かって行ったのだった。そして。これがヴァイスとドライにとって、トイフェルとテルミの最後の言葉だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後。オデッサは完全に放棄されてジオン防衛部隊は各地に散らばった。

連邦の作戦終了時の情報によると残ったジオンのNSの総数はたったの7機だけだったという。対して連邦の残存MSは30機ほどで。大半は中破。そして、損害の半数以上は第07小隊によるもので全部で50機がたった四機に破壊されていったのだった。

 

そして。その第07小隊も次々と戦闘不可になって行き、最終的に残ったのはヴァイスとドライの二人だけだったのだ。補給基地の歩兵部隊はトイフェルの万が一の時に言われていた命令であるオデッサからの撤収を実行し、物資をありったけ持ち去ってどこかに消えて行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴヴヴヴヴヴ・・・

 

 

ヴァイス「っ・・・・・・・」

 

ヴァイスは何かに揺られる感じがし、気がつくと其処はMSのコクピットの中ではなく、軍用の車両の天井だったのだ。

 

ヴァイス「・・・ここ・・は・・・・・」

 

ドライ「っ!!伍長!よかった・・・生きてて・・・・・!!」

 

ヴァイス「上等兵・・・・・・ここは・・・・・」

 

ドライ「っ・・・・・・ここは・・・・・・・・」

 

 

 

???「ここは連邦軍の輸送車両の中だよ。」

 

ヴァイス「っ!?連邦のっ・・・・・!」

 

ドライ「伍長まだ無理ですよ・・・・・」

 

ヴァイスは自分が今何処にいるかわかると突然起き上がろうとしていた。だが、体に痛みが走り、起きる事は出来なかったのだ。すると。ドライとは反対にいる男がヴァイスの司会に入ってきたのだ。

 

ヴァイス「・・・・お前は?」

 

ファントム「・・・私の名はファントム。元ジオン兵だ。」

 

ファントムと言った男はそういわれると顔を肯かせた。歳は40ぐらいで濃いアゴヒゲが印象的な男だった。だか、ヴァイスはそれよりも別のことに驚いていたのだ。

 

ヴァイス「元・・・・ジオンだと!?」

 

ファントム「・・・前は第04小隊に所属していた。」

 

ドライ「それって・・・隊長と同じ・・・・・」

 

ファントム「隊長・・・・・トイフェルの事か?」

 

ヴァイス「・・・貴方はどうして・・・連邦なんかに・・・・」

 

ファントム「・・・・私はこの部隊。「トレートル部隊」の隊長を務めている。ココにいる兵士は全員・・・・元ジオン兵だ。」

 

ヴァイス・ドライ「「っ!?」」

 

ファントム「・・・この部隊は連邦からの脱走者や捕虜を隊員として扱っている。任務の内容は同族殺し同然。そして・・・今回も・・・君達を捕まえて連邦に引き入れろといわれたのだ。」

 

ドライ「そんな・・・・・・」

 

ファントム「無論。私だってそんな事は了承できない。むしろ・・・これ以上はゴメンだ。だから・・・・・」

 

ファントムはそう言うと二人の奥にある布に包まれた何かを覆っている布を取った。

其処には二人のジオン兵の死体があり、一人は女で一人は男だった。

 

ドライ「そ・・・それは・・・?」

 

ファントム「君達の代わりだ。私達は途中で君達を安全な場所に降ろす。そして。私はこの死体と共に本部に戻る。結果、君達は死亡扱いとなるがな。」

 

ヴァイス「死亡・・・・・ですか・・・・」

 

ファントム「ああ。」

 

ドライ「あの・・・・オデッサは・・・・・」

 

ファントム「・・・・オデッサは完全に陥落。ジオン軍は全軍その場から散り散りに散っていったよ。」

 

ヴァイス「・・・・そう・・・・ですか・・・・・」

 

ドライ「そうだ・・・・・隊長達は!?」

 

すると、ファントムはその質問を聞き顔をそれらした。二人はまさかと思ったが、彼からは別のことが口から出たのだった。

 

ファントム「・・・・君達の隊長と隊員の生存は機体共々確認できなかった。つまりは・・・・・・・・・・」

 

ヴァイス「MIA・・・ですか・・・」

 

その言葉を聞き、二人は気を落とした。MIAとは「作戦行動中行方不明」の事でつまりは消息不明と言うことだ。その認定がされたということは大抵はどこかで死亡したか逃走したかと言う事である。だが・・・

 

ドライ「・・・・隊長・・・・生きてますよね・・・・・?」

 

ファントム「・・・死体は無かったんだ・・・・生きてるさ・・・絶対に・・・・・」

 

ヴァイス「・・・・・そうね・・・・・絶対・・・・・」

 

 

そんな会話をしつつ一行はとある街に入って行ったのだった。

その後、ヴァイスとドライはここでファントムの部下四名と共に降ろされてファントムと分かれたのだった。

 

 

そして。一年戦争が終結したのはそれから数ヶ月後だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。どこかでは一機のMSが荒野の上に倒れており、ハッチが開いていた。

 

すると。そのMSに向かい、誰かが歩いて近づいてきたのだ。そして、MSをよじ登り、コックピットに着くと一人で話し始めた。

 

???「・・・大丈夫か?」

 

???「・・・・・・。」

 

???「そうか。君一人か?」

 

???「・・・・・・。」

 

???「どうやら喋る気力も無い様だな。」

 

???「・・・おまえは・・・・・誰だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「私か。私の名はレーツェル。レーツェル・ファインシュメッカー。」

 

???「・・・・謎の食通?」

 

レーツェル「ああ。君の名は?」

 

???「・・・・・名前か・・・・・・ないな・・・・」

 

レーツェル「・・・・・では・・・君はこれからどうする。名も無き者よ。」

 

???「・・・・・・・・・いき・・たい・・・・・。」

 

 

すると。その言葉を聞くとレーツェルの隣に一人の少女が現れたのだった。

少女は名も無き者を見て一人呟いたのだった。

 

少女「・・・・・・素質はあり・・・・かしらね。」

 

レーツェル「・・・・そうか・・・では名も無き者よ。君に一つ提案がある。」

 

???「・・・・・。」

 

レーツェル「私と共に来るか。其処から君の目的も・・・すべてを見つけられる筈だ。」

 

レーツェルはそう言い名も亡き者に手を差し出した。

それを見て名も無き者は少し静止したが、やがては手を差し出した。

レーツェルはそれを引っ張り、ヘルメットを外した。

すると少女は言ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女「まるで赤き炎のような目。そして蒼い心・・・・・いいわ。貴方は今日から・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Blazよ。」

 

Blaz「・・・Blaz・・・・・」

 

その後。Blazは気を失い、気がつけばクロガネに居ており、其処から彼の新たな人生が始まったのだった。

 

 

 

 

END

説明
これは・・・一人の男の「始まり」の物語。

一応熾天使シリーズです。
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コメント
科学こそ力だ!ヒャッハァ!!!(匿名希望)
熾天使シリーズブームですね(ohatiyo)
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