真・恋姫†無双 裏√ 第二十九話 孫呉編其二
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孫呉編其二

 

 

 

 

 

 

雪蓮「きゃーーーーっ!!!」

 

冥琳「ん?どうした雪れ…えー」

 

 

 

ガチャッ バタンっ ぼふっ

 

 

雪蓮「むーーーー」ばたばた

 

私は部屋まで全速力で駆け込み、そして寝台に飛び乗り枕に顔を埋めて思わず唸った

 

なんで?なんでよ?なんでなのよ!?

どうして零士がここにいるのよ!?

聞いてないわよ!華佗がいると聞いたから行ったのに…

久しぶりに会えてとっても嬉し…

 

 

コンコン

 

 

零士「あのー、東零士ですけど…雪蓮ちゃん大丈夫?僕、何かしちゃったかな?」

 

雪蓮「ひゃい!」

 

いやーーーー!!ひゃいってなによーー!!

 

なんで追いかけてきたのー!?しかも何故か私を心配してくれてる…嬉しい!!

じゃなくて!零士誤解してる。私が急に逃げたからだ。あ、謝らないと…

 

 

ガチャ

 

 

零士「あ、よかった。雪蓮ちゃん大丈夫?」

 

雪蓮「あ、ああああ、あの!ご、ごめんなさい、急に走っちゃったりして」

 

あぅ。目ぇ見て話せない…顔が凄く熱い…心臓の音がうるさい…

 

零士「あぁいや、それはいいけど、もしかして僕が原因?何かしたんなら、謝りたいんだけど…」

 

雪蓮「ち、違うの!あの、そうじゃなくて…その…」

 

あーもー!!

ちょっと意識し過ぎじゃない!?こんなのは孫伯符じゃないわ!!

ほんと、私はどうしてこうなっちゃったのよ!!

いや、理由は私が一番わかってるけどさ…あの日の事があったから。

あれは約三年前、母様が死んでしまった時…

 

 

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三年前

 

 

 

 

 

 

零士「こんにちは。久しぶりだね、雪蓮ちゃん」

 

咲夜「久しぶりだな。蓮華達はどうしている?」

 

雪蓮「咲夜、零士。来てくれたんだ。咲夜、蓮華達なら部屋よ」

 

咲夜「そうか。零士、私は蓮華の方へ行く」

 

零士「あぁ。頼むよ」

 

この日の数日前、母様は戦で亡くなってしまった。死因は毒矢。

乱戦の中、一人の下衆が母様を狙い、矢をかすめた。

だがそれだけで十分だったらしく、賊を退治した直後に、母様も息を引き取った。

母様は、最期まで戦い抜いた…

 

零士「惜しい人を亡くしたよ…」

 

雪蓮「そう…」

 

亡くなって初めて見える、母様の影響力。母様は多くの人の心の中にいた。

皆が涙し、皆が悔いた。そして私は、そんな母様の後を継がなければならない。

まだ数日だが、とんでもない重圧を感じる。

正直、耐えれるかどうか、母様のようになれるか不安だった

 

零士「少し、歩こうか」

 

私は零士に連れられるように歩き、やがて小川があるところまでやってくる。

この男なりに気を遣ったのだろう

 

零士「大丈夫かい?」

 

零士は、私の事を見透かしているかのように問いかけてきた。

この男はもう、私が抱えている問題に気づいている、そんな気がした。

だけど私は…

 

雪蓮「えぇ、大丈夫よ。問題ないわ」

 

あえて強がった。

ここで「大丈夫じゃない」と答えてしまってはいけないと、こんな事で参ってると知られたくなかった。

母様のように強く生きなきゃいけないのに、それではまるで、弱さを露呈してしまうようだった

 

零士「そう…」

 

零士はただ一言、そう呟いた。それからしばらく無言が続いたが、再び零士が口を開いた

 

零士「雪蓮ちゃんは、蓮鏡さんの事、お母さんの事をどう思っていた?」

 

雪蓮「母様は、最期まで戦人だったわ。親という意味では、あまり良くなかったと思うわ。

だって赤子の私を戦場に連れて行くのよ?」

 

母様は、私が物心つく前からずっと戦場に立っていた。

そして私自身も、母様に鍛えられ、戦場に立たされた。

それは蓮華、小蓮と生み、父を亡くしてからも変わらなかった。

とても厳しい人だった

 

雪蓮「それでも、一人の女性として、また王としての母様は、素直に尊敬するわ。

本当に、大好きだった」

 

もちろん、母親としても…

 

零士「…僕も、彼女の事が好きだったよ。っと言っても、恋愛感情じゃないぞ?

君と同じように、人として好きだった。

僕のいた国の王は、民の事なんて気にしないような連中ばかりだったんだが、彼女は違った。

彼女は誰よりも、民を愛していた。そして民の為に尽くしていた。

時には自ら街に出て、民と一緒の目線に立ち、談笑することもあった。

それでいて、しっかり威厳もあり、力もあり、目先の事だけじゃなく先の事もしっかり見ていた。

僕の中の王の印象をがらりと変えてくれたよ。こんな人もいるんだって。

尊敬したよ。この人についていけたらなとさえ思えた。それだけ魅力があった」

 

雪蓮「ならなぜあなたは、うちにとどまらなかったの?母様の事だから、誘われていたはずでしょ」

 

零士「…ある事情があったからさ」

 

零士が話してくれたこと、とてもじゃないけど信じられない内容だった。

遥か未来からやって来た事、天下に名を挙げることを封じられたこと。

彼が表舞台に立つと、この世界が崩壊するかもしれないこと。

荒唐無稽すぎていた。だがそれでも、零士が嘘を言っているようには見えなかった

 

 

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零士「本当に悔いている。ここにずっと居たら、蓮鏡さんは今も存命だったかもしれないのにって」

 

雪蓮「過ぎたことよ。過去を悔いても仕方ないわ」

 

零士「…だが、そのせいで君は今、その偉大な王、孫堅と言う名の重圧に押しつぶされそうになっている」

 

やはり、この男は…

 

雪蓮「…そんなことないわ。余裕よ。

私も母様のように、みんなを引っ張っていかなきゃいけないんだから」

 

零士「…君は、蓮鏡さんが亡くなってから、涙を流したかい?」

 

雪蓮「…いいえ。そんな暇なかったもの」

 

半分本当で、半分は嘘。確かに忙しくはなったが、冥琳のおかげで時間はあった。

それでも、泣くことはなかった。泣いてしまったら、いろんなものが崩れる。

そんな気がしたからだ。母様の意思を受け継ぎ、みんなをまとめなきゃいけない。

涙は弱さでしかない。だから、私は我慢していた

 

零士「雪蓮ちゃん、泣くことは、弱さじゃないよ?」

 

雪蓮「いいえ弱さよ。精神的に脆いから泣くのでしょ?

王がそんなほいほい泣くわけにはいかないわ」

 

零士「……雪蓮ちゃん、君は今どこにいて、そして君の周りには誰がいる?」

 

雪蓮「はぁ?ここは小川で、私の周りには零士一人しか…」

 

零士「そうだ。僕たちは小川に来ていて、そして僕の目の前にはただの女の子しかいない」

 

雪蓮「違うわ!!私は…私は王よ!孫文台の娘、孫伯符よ!!

そこらの女子と一緒にするな!」

 

零士「…君は、王というものに縛られ過ぎている。いや違うな。

先代である孫堅という名に縛られている」

 

雪蓮「なにを!」

 

零士「君の王道はどこにある?彼女の模倣をする事が君の王道なのか?」

 

雪蓮「な!?私を侮辱するか!」

 

私は母様が使っていた孫家に代々伝わる家宝、南海覇王を抜き、零士に向けた。

だが零士は、そんなこと構いもせず近寄ってくる

 

零士「彼女の存在は確かに大きい。彼女のようにならなくてはと思う気持ちもわかる」

 

雪蓮「く、くるな!」

 

零士「だが、だからって、彼女になる必要がどこにある?そのせいで、君は君自身を見失っているぞ」

 

雪蓮「やめろ…」

 

零士「雪蓮、君は蓮鏡さんの意思を受け継がなければならない。

だが、それは決して蓮鏡さんになることじゃない。それに、君は彼女にはなれない」

 

雪蓮「やめろー!」

 

私は南海覇王を振り下ろす。だがそれは簡単に受け止められ、そしてそのまま…

 

 

がばっ

 

 

雪蓮「あ…」

 

私は優しく抱きしめられた。その温もりが、不思議と心を落ち着かせた

 

零士「君は君の王道を進めばいい。蓮鏡さんを目指す必要ない」

 

雪蓮「でも、みんな母様についてきたのよ?」

 

零士「なら今度は、その人たちを雪蓮の力で、雪蓮のやりかたで認めさせたらいいんだよ」

 

雪蓮「私に…できるかな?」

 

零士「雪蓮ならできるよ。蓮鏡さんを、君のお母さんを越えるんだ。

だがその為にも、ここで一回発散しておくといい。ずっと我慢してきたんだろ?

さっきも言ったけど、泣くこと自体は弱さじゃない。その悲しみを乗り越えれるかどうかなんだ。

そして、雪蓮なら乗り越えれるよ。君は強いからね」

 

雪蓮「でも、私は…」

 

零士「君には失礼かもしれないが、僕から見たら雪蓮は女の子なんだ。

それにずっと王でいる必要はない。この瞬間だけは、僕以外誰も見ていないんだから」

 

雪蓮「う…ぐすっ…」

 

私はもう、我慢できなかった。ずっと溜めていたものが、溢れ出てきてしまっていた

 

雪蓮「ああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

零士は、泣きじゃくる私を優しく抱きしめ、そして子どもをあやすように頭を撫で続けてくれた。

ずっと悲しかった。ずっと泣きたかった。でもだめだと思ってた。

けれど零士は受け止めてくれた。それがとても嬉しかった

 

 

その後日

 

 

 

零士「やぁ雪蓮ちゃん。もう大丈夫かい?」

 

雪蓮「あ、あわわわ、だ、大丈夫よ…」

 

零士という存在が私の心を大きく占めてしまい、彼を直視できなくなるほど好きになってしまった。

本当に彼の言う通り、これでは王ではなく、そこいらの町娘と変わらなくなってしまった

 

 

零士と咲夜が帰る日には…

 

 

 

雪蓮「咲夜!!いつかあなたのその場所、私が奪ってやるんだからね!!」

 

咲夜「はい?」

 

咲夜にも宣戦布告してしまった

 

 

 

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現在

 

 

 

 

 

 

雪蓮「そ、そっかー。華佗のお願いで来てたんだー」

 

私と零士は、母様の墓に向かい歩いていた。せっかく来たから、墓参りも済ませたいらしい

 

落ちつけ私。大丈夫。いつも通りに振る舞えば大したことはないはず…

 

零士「それにしても、雪蓮ちゃんの活躍は聞いていたよ。呉の独立おめでとう。

君ならやり遂げると思っていたよ」

 

きゃーーーー!!褒められちゃったーー!!!頑張ってよかった!!

 

………ハッ!落ち着け私!!

 

雪蓮「あ、ありがとう。でも零士と咲夜がいてくれたら、もっと早く独立できたのにー」

 

零士「う、ごめんね」

 

雪蓮「いいわよ。仕方ないわ」

 

大丈夫。普通に会話できてるわね。慣れてきたわよ!

 

零士「ふふ。よかったよ。しっかりやっているようだね」

 

雪蓮「えぇ。少し遠回りしちゃったけど、これでようやく、母様を越えられるわ。

零士、改めてお礼を言わせて。ありがとう。

あの日、零士が私を支えてくれたから、今の私があるんだと思うわ。

きっとあのままだと、母様の重圧に押しつぶされちゃってたかも」

 

ずっと言いたかった感謝の気持ち。

あの日泣いていなかったら、きっと今こうして笑うこともできなかっただろう。

本当に救われたと思っている

 

零士「……そっか。君の力になれたみたいで、本当によかったよ」

 

雪蓮「えぇ。私は私の王道を貫き、そして母様を越え、仲間を、民を導いていくわ」

 

 

 

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同時刻  とある茂みにて

 

 

 

 

 

 

男1「おい、本当にやっちまうのか?」

 

 

男2「あたりめーだろ!あのアマ、孫策さえいなきゃ俺たちは…」

 

 

男3「あぁ。俺たちの人生を奪ったあいつだけは許さねぇ」

 

 

男4「確実に仕留めるぞ。俺たち五人がこの毒矢を使えば、一矢くらいあたるだろう。

そしてあたりさえすれば…」

 

 

男5「必ず死ぬ。幸運にもあいつ、のこのこ人気のないとこにきやがった。全員、配置につけ」

 

 

男1「孫策の隣の男はどうする?」

 

 

男4「放っておけ。見たところ武器も持ってない。大した脅威じゃないだろう」

 

 

男5「俺たちの狙いはあくまで孫策ただ一人だ。これが成功すれば一生遊んで暮らせる。

必ず成功させるぞ!」

 

 

 

 

説明
こんにちは
孫呉編の二話目です。
キャラ崩壊注意です。
うちの雪蓮ちゃんは乙女なんです!
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コメント
この雪蓮たん かわいいよー     暗殺部隊の末路に合掌でもしとこう(qisheng)
若干とはいえ要所要所で係ってきますね零士君は。(禁玉⇒金球)
ギャップ萌えは大好物! この雪蓮ちゃんいいわー(じゅんwithジュン)
うわぁ…………ここで暗殺部隊が来るのか(ohatiyo)
タグ
真・恋姫†無双 オリキャラ 雪蓮 

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