Need For Speed TOHO Most Wanted 第7話 追跡
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 私のクルマが仕上がって早速、勇儀がテスト走行を兼ねて一緒に走ろうと申し出た。

「私もこの前のバトルで大幅に仕様を変更してね。そのテストもしたいからね」

 言われてみると勇儀のクルマは所々仕様が変わっていた。爆発的なトラクションだったドラッグスリックタイヤをやめ、通常のハイグリップラジアルに履き替えられて、見たときは気付かなかったがリアのディフューザーの形状が変わっていた。

「おかげでだいぶライフは長くなったよ。ストレートスピードはかなり犠牲になったけど、バランスは大幅向上だ」

「面白そうだな。望むところだ。んじゃあ萃香、私達はそろそろ行くよ。クルマ、ありがとな」

「いいっていいって。またクルマのことでなんかあったら、ウチに来るといいよ。それじゃ、私も数日ぶりの睡眠をいただきますかな・・・」

 萃香は店のスタッフと少し会話した後、店の奥に姿を消した。

「数日ぶっ通しで仕事して終わればその分を回復するように丸二日くらい寝込む奴だからね、あいつは」

「・・・身体壊さないのか?」

「まぁ、あいつは餓鬼の頃からの付き合いだけど、昔っから変わらないよ。だからあんなちっこいままなんじゃないかね?」

「なるほどね・・・」

 私が奥に消えた萃香の子供体型を思い出していると、

「聞こえてるよー!」

 奥から萃香の大声が飛んできた。

「うおっ、地獄耳・・・」

「ああ見えて意外と気にしてるみたいだからねぇ・・・」

 その理由の大半は子供の頃からの付き合いだというこのデカ乳女にあるんじゃないかと私は思う。まるでどこかの死神と閻魔様だな。

「んじゃ、行くかい?」

「そうだな」

 私たちはクルマに乗り込み、ショップすぐ脇の高速99号線へ入る。

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「1200馬力もあったのか、あの時は」

『まぁね。どんどん上げてたら歯止め効かなくなってね。丁度エンジンにもガタがあったし、今は700馬力まで下げてるよ』

 ハイウェイを200km/h巡航で一般車をスラロームしながら会話を続ける私達。私達からすれば軽く流している程度なのでこの程度なんてことはない。

「さて、そろそろおしゃべりは終わりにしようか」

『おっ、そうだね』

 勇儀の相槌でアクセルを床まで踏み込む。

「うおっ!」

 瞬間、シートに体が押し付けられる加速。元々トルクの太いメルセデスのエンジンにスーパーチャージャーを組み合わせてることもあり、下からの加速はM3の上を行っている。それでも勇儀のコルベットには劣るようだが。

 トンネルを抜けると少し道幅が狭くなるテクニカル区間だ。コーナリング性能はいかほどなものか。

「とと・・・!」

 分厚いトルクのせいで4速からの加速でも優にホイルスピンが起きる。ワイドフェンダーのおかげでかなり太いタイヤが履けているが、それでもこんな事態に陥るあたり、過給機というものの恐ろしさを感じる。

 ブレーキ性能も悪くない。さすが天下のブレンボ製を奢られているだけのことはある。この重い巨体をしっかり止めるあたり、その凄さが感じられる。

 完全レースカーそのものだったM3と比べてしまうと見劣りしてしまうものの、それを除けば相当な出来である。萃香のチューニングの腕も相当なものだ。

 トンネル後のテクニカル区間で勇儀を抜き、バトルは私優位で進んでいく。

 その時だった。

「げっ!」

 視界に入った時にはすでにパトランプは光っていた。御役所様のご登場だ。嫌なタイミングで割り込まれたもんだ。

『スピード違反者を発見!・・・以前止まらぬ模様、コード3で追跡を開始する!』

 周りにも数台いたのか、みるみるパトカーが集まり私達を追い始める。

『クルマは黒のメルセデスとゴールドのコルベット!150km/h以上のスピードで走行中!』

 私が追跡に舌を打っていると、勇儀から通信が入った。

『面倒なことになったねぇ。一度散開して追跡を分けよう!』

「ああ。どうやらあまり好ましくないテスト会場になったようだぜ」

 勇儀の横に並んだパトカーに、コルベットが体当たり。パトカーはバランスを崩しインターの分離帯へ激突。破片をバラまいて道路中央にはじき返され宙を舞う。それを避けようとしたパトカーが数台巻き込まれ多重事故を起こす。

『ハッ!ウイングライダーだね、ざまぁみな!』

 私は大学付近のインターでハイウェイを下りる。勇儀はそのまま直進し、ルートを分ける。

『くれぐれもドジって捕まらんようにね。じゃ、また後で!』

「おう、お前もな」

 と言いつつも、後方に従えるパトカーは6台ほど。どう切り抜けるか・・・。勇儀に気を使ってハイウェイのルートを譲ったが、ローズウッドはロックポートの都心部と違って道も狭く道路も整備が届いてない。ベンツのようなハイパワー車にはおいしくない所だ。

(降りるインターを間違えたかな・・・!)

 特にこの大学をぐるりと一周しているこの辺りは道は狭い上にやたらと街灯が鎮座しているため余計に狭く感じる。大学の関係者か生徒のクルマかは分からないがやたらと交通量も多い。センターラインをはみ出した私のベンツをブロンドの女子大生と茶髪に黒い中折れ帽子をかぶった女子大生の乗ったZ4が慌てて急ハンドルを取り私とパトカーをかわす。

「あまり手荒なことはしたくないけど・・・!」

 私は路肩にはみ出し、手近にあったゴミ箱を撥ね飛ばす。中に入っていた空き缶が道路にばらまかれ、ゴミ箱が大きくバウンドして転がり、先頭のパトカーのフロントガラスを直撃。視界を失いコントロールを失ったパトカーは道路のど真ん中でスピンし、後方のパトカーを巻き込む。大学の敷地内にまで飛んでったのもいたが、ケガ人出てないよな・・・?

それでも二台ほど、フロント周りを大破させながらも追跡を続けるパトカー。これ以上大学に被害を出すわけにもいかない。そう思った私は進路を変え、病院方面を目指す。

『目標が進路を変更!病院の方へ向かったぞ!司令部、ロードブロックを手配できるか!?』

『応じられません、ブラボー12。現在他の件を優先しているため、そちらの対応には時間がかかります』

 どうやら追跡レベルが低い状態なのでまだ私の追跡は優先されないようだ。応援が手配できてない今のうちに追跡を振り切っておこう。

『ダメ、見失いそう!なんてスピードなの!?』

 ある程度広い通りに出られればもうこちらのものだ。あっという間に私は追跡を振り切り、丁度近くにあったセーフハウスに飛び込む。

「よっこらせっと・・・」

 私はすぐにベンツを隠し、一般人を装って外に出る。私が外に出て数分後にさっきの二台のパトカーが通り過ぎた。どうやら撒いたようだ。

 

 警察をやり過ごしたことを確認して私はセーフハウスに戻る。アリスが置いてってくれた紅茶が湧いたころ、追跡中止の通達を確認した。

「・・・ああそうだ。一応確認っと・・・」

 私はベンツの中に入れてた端末を取り出す。勇儀たちと昼食を摂った時にもらったブラックリストの詳細データの入ったデータベースだ。

「ユニット破壊数4、追跡時間5分以上、3つ以上の違反・・・。よし、全部クリアしてるな。バウンティは・・・もう少し待つ必要があるか」

 まだ警察が報告書を提出していないので懸賞金の詳細がデータベースにも掲載されていない。これは翌日くらいまで待つ必要がありそうだ。

 と、そこへ勇儀からの電話が入った。

『よう魔理沙、まだ生きてるか?』

 どうやら向こうもうまく撒いたようだ。

「お陰様でな。降りるインター間違えて散々な目にあったぜ。大学の敷地にパトカーミサイルブチ込んじまった」

『あーらら。こりゃ懸賞金も結構上がるだろうね。まぁいいんじゃないか?条件はそろうんだしね』

「ああ、一応マイルストンはクリアだ。あとはバウンティの結果を待ってバトル条件を消化するだけだぜ」

『さすが早いねぇ。フリーズを仕留めるのも時間の問題だね』

「開幕からコケるようじゃ、どの道先は無いぜ」

『ハハハ、違いないね。情報入ったら連絡するよ』

「ああ、またな」

 電話が切れる。今日だけでかなり暴れてしまったのでしばらくはほとぼりが冷めるのを待つ必要がありそうだ。バトルの消化は少しお預けだ。

 

 湧いた紅茶をすすり、私は束の間の休息を味わう。

説明
魔「受け入れろ、これがストリートだぜ」

霊「公道にもルールはあるでしょうに」

魔「ストリートレースにルールは無い。ただ相手に勝ち、警察から逃げるだけだぜ」

霊「犯罪者風情が、偉そうに・・・#」

 
 七話です。新車のテストに勇儀と軽くバトルすることになった魔理沙。しかし・・・?

 本作品は上海アリス劇団様・東方projectとエレクトロニック・アーツ様・Need For Speed Most Wantedの二次創作作品です。
 原作ブレイク、キャラ崩壊、独自解釈設定を多く含みます。物語そのものや、二次設定の使用、キャラクターの人選等不快感を覚える方は閲覧をお控えください。
 また、この物語はフィクションです。劇中のカーアクション等は非常に危険です。実際のクルマを運転するときは法規上の交通ルール・モラル面の交通マナーを守り、安全運転を心がけましょう。
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ニード・フォー・スピード 東方project 霧雨魔理沙 星熊勇儀 伊吹萃香 

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