【獣機特警K-9UG】潜入!少女誘拐の現場(後編)【交流】 |
さて、オトリ捜査の決行当日。
ベルタはいつものようにクラスメイトと別れ、いつものように帰途についていた。
一見どこにでもあるような下校の風景だ。
そんなベルタが歩く通学路から横道にそれたあたりのビルの陰。
そこにいたのは、デイノニクス形とタルボサウルス形のレプターであった。
「へっへっへ、今日もカワイ子ちゃんがきたきた」
「気づかれないように一気にかっさらうんだ。いいな!」
そして、恐竜男二人組はベルタが交差点に差し掛かったのを見るや、持ち前の脚力で飛びかかる!
「!?」
とつぜん挟み撃ちにあったかと思いきや、首筋にスタンガンを当てられ機能停止してしまうベルタ。
恐竜男たちはベルタをすばやくかっさらうと、路地裏へと逃げ込んでいった。
だがこの時、ベルタがオトリ捜査に臨んでいることなど、恐竜男たちはまだ知る由もなかった。
「…ん、う…」
ベルタが目を覚ますと、そこは薄暗い建物の中。どうやら廃港の廃倉庫のようだ。
辺りを見回すと、連れ去られた少女たちの姿。みな手枷足枷をつけられ涙を流していた。
「ここ…どこぉ…?」
「ママ、パパ…」
「おうち帰りたいよぉ…」
さらに少女たちの見張りについているのは、ワニやゾウガメなど、強面のレプターばかりであった。
(あれは先日さらわれたっていうリリィちゃん、他にも今日までに連れ去られた子ばっかりだわ!でも、こんなところに集めてどうするつもりなの?)
ベルタが考え込んでいると、鋼鉄製の扉が開け放たれ、先ほどベルタをかっさらった恐竜男二人組と、その後ろからもう一人の影。
「上出来じゃないか。どれもこれも可愛い奴ばっかりだよ」
「へへへ、俺らにかかればちょろいもんでさァ」
「これはいい見世物になりますぜ、レクサナの姐さん」
「ああ…あとはこいつらをまとめてレプティス星に売り飛ばせば、あたいらも大金持ちってもんよ」
もう一人の影は、レクサナと呼ばれたティラノサウルス形の女性レプター。この組織の女ボスと思われる。
ベルタは、この一連のやり取りを一言も残さず聞いていた。
(大変だわ!このままじゃこの子たち、レプティス星に連れ去られて見世物にされちゃう…なんとかしなきゃ!!)
ベルタの耳に内蔵された特殊発信機から、K-9隊に向けた暗号電波が発信された。
ナインキャリアー車内。
ベルタからの暗号電波は、ナインキャリアーの受信機に届いていた。
「ベルタから緊急連絡!位置情報も同時に発信されました!」
画面を見つめながらイシスが叫ぶ。クオンが瞬時に反応する。
「それで?場所はわかるのイシスさん!」
「ポルト・ティグレのF地区。すでに廃止された港ですね」
「それで、ベルタはなんて!?」
「犯行グループはレプティス星出身のマフィア。少女を見世物として売り飛ばそうとしているようです」
そのやりとりに、まずミライが噛み付く。
「冗談じゃない!女の子を見世物のために売りさばくなんて…許せませんよ!!」
続いてジョニー、ソウ、タツヤ。
「俺も許せねえ!女は商売道具なんかじゃねえってのに…」
「ああ、ジョニーさんの言うとおり!」
「女の子を何だと思ってるんだ…こんなのひどすぎる!!」
さらにソラ、ナタリアも続く。
「場所も特定できた。犯人を叩くなら今です!」
「隊長!すぐに行きましょう!!」
その言葉を受けて、クオンは一気に号令をかける。
「よし!ナインキャリアー発進!!ポルト・ティグレへ直行だ!!」
「ラジャー!!」
そのころ廃倉庫には、レプティス星からの宇宙船が到着していた。
「へっへっへ。お嬢ちゃんたち、残念だけどもうこの星とはサヨナラだよ」
「これからは俺らのためにずうっとずうっと見世物にされるんだ。グヘヘヘ」
「いやー!」
「たすけてー!ママー!パパー!!」
次々に宇宙船の前に運び出されていく少女たち。
そして、ベルタが倉庫の外に引き出されたそのときだった。
「はいーっ!!」
「うわ!?」
突然ベルタが身を翻し、近くにいたトリケラトプス形レプターの男にキックを一発!!
さらに自分を縛っていた特殊ワイヤーをパワーに任せて引きちぎると、そのままスタンガンを奪い反撃に移る!!
「くそっ!このガキ!!おいっ、アンタらそいつを逃がすな!!」
慌てまくるレクサナの指示で、屈強な男たちが次々とベルタのもとへ向かう。
そうしているうちにも、宇宙船のハッチは開いていく。
少女たちはこのまま連れ去られてしまうのか…そう思われた次の一瞬だった。
「うわーっ!!」
「ぎえー!!」
突然数本の光が宇宙船の燃料タンクを直撃。爆発炎上する宇宙船。
そう、ナタリアが精密狙撃で宇宙船を撃ったのである!!
降りてきたばかりの乗組員は吹っ飛ばされ、地面に倒れこむ。
「いててて…」
その様子を見たレクサナは声を荒げる。
「くそっ!どこのどいつだ!!」
辺りを見回すレクサナの前に立ちはだかったのは、われらがK-9隊だ!!
「そこまでだ!レクサナ・ティラナ…お前たちの野望はここまでだ!!」
クオンがレクサナに吼える!
「くそ!なぜここが…なぜここがバレた!?」
狼狽するレクサナにジョニーが答える。
「ジャーマンシェパード形のロボットの女の子だ。あいつはお前たちの企みを潰すために俺たちが送り込んだオトリだ!!」
「なに…!?」
レクサナが目をやると、そこでは複数の男を相手に暴れ回るベルタの姿があった。
「へへー!オトリ作戦大成功だねっ!」
「あ、姐さん、助け ぐえぇっ!!」
「こ、こいつ強いッス…」
その様子を見て驚愕するレクサナに、クオンは強い調子で言う。
「つまりお前たちはまんまと罠にかかったってワケだ。さぁ、全員お縄についてもらうぞ!!」
「ち、ちくしょう…あと一歩で…アタイらは大金持ちだったのに…!」
結局、レクサナ一味は次々に逮捕された後、レプティス星のプラネットポリスへと身柄を引き渡され強制送還となった。
そして、無事警察に保護された少女たちは全員、親元へと送り届けられたのであった。
ラミナ警察署。
報告を受けたエルザは、安堵に満ちた表情を浮かべていた。
「ご苦労だった。連れ去られた少女たちは怪我ひとつなく、親御さんたちのもとへ帰ったそうだ。さすがは我が署の誇るK-9隊だな」
「署長。そのことなんですが、今回の事件に片がついたのは僕たちだけの力じゃありませんよ」
「そうですとも、一番の功労者がいます」
クオンとイシスがこう語ると、ほかのK-9隊メンバーも大きくうなづく。
「一番の功労者?」
エルザが思わず訊ねると、ミライが答える。
「…あなたの娘さん。ベルタちゃんですよ!」
名前を呼ばれて、ほかのK-9隊員の前に現れたベルタは、少々照れくさそうに頬を染めていた。
「…フッ、そういえばそうだったな。では今回の功労者…私の娘、K-9隊5号のベルタ・カシイ・アインリヒトの功績を称えて、今夜はカチャーシーで記念パーティーをやるとしようか」
「賛成!」
「異議なし!!」
「ベルタちゃん!好きなだけ食べていいからね!!」
「え、えへへへ…」
K-9隊の小さな隊員ベルタ・カシイ・アインリヒト。彼女の活躍で、少女たちは救われた。
これからもK-9の一員として、がんばれ!ロボット少女ベルタ!!
説明 | ||
後編。 今回の悪役はほとんど恐竜とかカメとかワニとかそんなんばっか。 あと女ボスの「レクサナ・ティラナ」はティラノサウルス・レックスから、 「ティラノ」と「レックス」を女性形にしたもの。 ■出演 K-9隊の皆さん エルザ:http://www.tinami.com/view/551405 |
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コメント | ||
やはり父親としては心配なんでしょう。でもベルタちゃんは強いから大丈夫!(古淵工機) そしてその度神経をすり減らす男性が一人w アーサー「ホッ、何事も無くてよかった…(=▽=;」(Ν) きっと将来は優秀な指揮官として活躍してくれることでしょう!(古淵工機) 悪は敗れ去った!!強いぞベルタちゃん!!さすがエルザさんの血を引く娘だぜ!(Ν) そこら辺はいろいろあるんじゃないですかね。地球人(テラナー)と中の悪いファンガーだっているし。ちなみに今回の悪役はレプターといって、レプティス星という星の出身。爬虫類系の種族です。(古淵工機) ファンガーってやはり種族間の仲の良し悪しとかありますかね?(ノエルザブレイヴ) |
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