新世紀より〜エヴァンゲリオン 1 《第壱話 使徒、襲来》 「外」からの手紙 |
あれから、数年の時が流れた。
あの研究所は、正式には東雲研究所という。
研究所と名がついている以上、何かを研究しているべきであり、実際にこの東雲研究所でもちゃんと研究は行われている。
しかし、その内容はというと、正直言って実に理解しがたいものであった。
昔、シンジは研究の内容を発表・議論する会議のようなものを何度か見に行ったことがあるのだが、そこで繰り広げられている内容はというと専門用語の塊のような微に入り細をうがつがごとき議論から、非常に漠然としていて抽象的な、哲学的ともいえる議論まで本当に難解かつ多種多様であった。
シンジは、そこで出されたアイディアの一つを持ち帰って辞書とにらめっこしながら理解しようと努力したことがあるのだが、一昼夜粘った挙句得たものは知恵熱だけであった。
今は、一部の研究のごくごく表層なら何とか理解できなくもないといったところまで来てはいるのだが、それ以上は別にほしいとは思わない。
それに、この研究所の所員とはいえ、なにも研究内容を理解しておく必要はないのだ。
この東雲研究所は、規模という点でも相当にぶっとんでおり、研究所というより十分に大国の部類に入る。
さらに非常に強い独立性、というより完全な孤立・秘密性を持っているため、そもそも存在自体知られていない。
NERVのような、あくまで非公開であるだけで存在していることはちゃんと知っている者もいる組織ではなく、完全に秘密なのだ。
少し前までは存在を知る者もいたらしいが、いまとなってはオカルトにすら登場しない。
物理的に孤立しているこその秘密であるのだが、セカンドインパクトの時には混乱にまぎれ全世界的に救助活動を展開。
相当の数を救助することに成功したのだが、その際に少々記録には残ってしまったらしい。
その時は常識では考えられないことがいくつも起こっていたらしいので、わずかな東雲研究所の姿を捉えた記録もその膨大な異常な記録の中に埋もれてしまった。
その際に流入したいわば難民によって、ただでさえ多かった東雲研究所の人口は激増。
所内の大改革を行い、何とか混乱は防いだものの、規模はより一層拡大。
第一支部を中心として各支部の大拡張が行われた。
もとよりかなりの数がいた、研究にあまりかかわらず、かといって実働部隊たるNEVECに籍を置いているわけでもなく、普通にのんびりと暮らす人口がさらに増えることになった。
前とはずいぶん様変わりした、それでも変わらず住みよい東雲研究所の第一支部。
そこに隣接、というより内部にある東雲研究所実働部隊NEVECの基地。
その一角に、シンジはいた。
「すぅはぁ、すーはー…よし!」
ぺしっと頬を叩き、長袖長ズボンに安全のためのベストとヘルメットを生真面目につけたシンジは目の前の細長いテーブルに目を落とし、そこにあったものを取り上げる。
人間工学と各種装備との兼ね合いからデザインされた、曲線を多用したデザインの自動小銃をマニュアル通りに構え、照準システムを起動する。
銃の上に展開される仮想ディスプレイを、先の方に立ち並ぶ的の中心に合わせる。
自動で照準がズームされ、付帯する情報が、横に展開した別のディスプレイに表示される。
「すう…ふっ」
息を止め、引き金を絞る。
鈍い反動と音ともに放たれた弾丸は一瞬で的に到達する。
それと同時に的の上にディスプレイが展開し、弾の当たった箇所と点数を表示する。
そして、その点数は、
「0点…」
着弾箇所は、的の中心から右上に大きくそれて0点であった。
それを確認したシンジは、無言で二発目を撃つ。
今度は、左に外れてまた0点。
続けて撃つが、今度は右で1点。
0点、1点、0、0、1、1、0。
十発撃って合計点四点である。
十点中ではない、百点中である。
「だ〜っ!なんで当たらないんだよ〜!」」
がちゃりと音を立てて小銃を机の上に放り出し、シンジは身を反らせる。
「たしかに、なんで当たんないかな」
そんなシンジに、後ろから声がかかる。
「仕方ないでしょう。才能ないんですよ」
むすっとした顔と口調でシンジは答える。
それと同時に振り向くと、後ろには銃を背中に担いだ若い男の姿があった。
背負う銃はシンジの使っていた自動小銃よりかなり先進的な細長いタイプのものだ。
「そんなんでエヴァで戦えるのか?」
「エヴァは、考えれば動くらしいですから。実際の肉体能力がどうというより、要するにイメトレが重要ですよイメトレが。それに乗ると決まったわけじゃないですし」
そういうとシンジは前を向いてもう一度銃を取り上げる。
「うりゃ」
そういうとシンジはフルオートに切り替え、残弾をすべて撃ち込んだ。
当然、先ほどよりさらに命中精度は落ち、的にはほんの少ししか当たらない。
シンジは撃ち尽くした銃をまた机に置くと今度は体ごと振り向く。
「あと、こんな手紙でほんとに来ると思ってんですかね?」
そういってシンジは腰のポシェットから封筒を取り出す。
中には、「来い ゲンドウ」と殴り書きのような字で書かれた手紙と、IDカードらしきもの、それから「私が行くから待っててね(ハートマーク)ココに注目!」と書かれた、矢印とポーズで胸元が強調されている女性の写真、それに待ち合わせ場所らしい地図があった。
本文より付属の写真に書かれたほうが文字数が多いのはどうかと思う。
ちなみに、この女性はNERVの戦術作戦部作戦局第一課所属の葛城ミサト一尉、29歳独身らしい。
「まあ、行こうとは思ってるんですけど」
「上はなんていってるんだ?」
「自分で考えといてね、です」
「いつもの放任主義だな」
「まあ、行きますよ行きますよ。はぁ…」
「そろそろカテゴリーGが出現するらしい。急いだ方がいいぞ」
「大丈夫、たんとわかってますよ」
そういってシンジは射撃場を後にした。
「急いでくれ!もう時間がない!」
それから少したち、場所は変わってNEVEC基地の飛行場。
その上では、NEVECの輸送機が唸りを上げていた。
といっても大型のものではなく、分隊規模の少人数、一両程度の車両や少量の物資輸送を担う小型のVTOL機だ。
それに向かって、シンジは大きな荷物と、スーツケースほどの大きさの金属製の箱を乗せたカートと共にえっちらおっちら進んでいた。
「ちょ、その荷物なんだ?」
ハッチから身を乗り出して手招きしていた男が、シンジの荷物に目を止めて言う。
「いや、荷造り手伝ってもらったんですけど、これもいるこれもいるって…」
「そんなわけないだろ!ちょっと見せてみろ…」
そういって男はシンジの荷物を開けて中を漁り始める。
「これもいらん、これもいらん、これも…ってなんで非常食なんて入ってるんだ?あとこれ寝袋か?キャンプにでも行く気か!あとこれも…ガラクタが多すぎるぞ!」
輸送機からぽんぽんと荷物が放り投げられ、最終的に荷物を入れていたトランクそのものが放り出される。
結局、ごく一部の荷物だけを詰めた小さなバッグをシンジに押し付けた男は、次にカートに乗せられたトランクに目をやる。
「なんだこれ…ウェポンパッケージ!?戦場に行く気か!まあ、ある意味戦場だけど…そもそも機内にある!」
その箱も機外へ投げ出される。
「うわ、まさかあんなに入っていたとは…」
「自分もやったんだろ…おい、だしてくれ!」
男が操縦席の方に呼びかけると、輸送機は唸りを一層強くし、そして飛び上がった。
「いってらっしゃーい、気をつけてー」
ぐんぐん高度と速度を上げていく輸送機を、地上から何人かが手を振って見送っていた。
説明 | ||
数年前、碇シンジの前に現れた奇妙な「研究所」。「ねぇ君、こっちに来ないかい?こっちにくれば、地球なんかを守ったり出来るかもよ?」 それから数年後、2015年。 ここから、物語は始まる。 さまざまな作品から登場人物、兵器、用語など流用します。 TV版(たまにコミック版、新劇場版)を元としますが、進むにつれ原作とはどんどん乖離します。 にじファンからの移転作品です。 理想郷、ハーメルンでも投稿しています。 感想募集中です。 |
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