ミサイル破壊作戦竹島沖海戦 |
「独島の裏に隠れただと?」
申はレーダー員に聞く
「は。敵は島陰に隠れました。」
申はうなった。
「うぬ。これではミサイルは当たらない。」
対艦ミサイルは急激な角度を追尾できない。洋上ならともかく、島陰となると当たることはない。
「やりおったな。我が艦隊を晒すほかないのか・・・」
すると、今度は通信員が叫んだ。
「ヘリ空母『独島』に魚雷攻撃!大破です!」
「なに?」
伊勢ばかり気にとられて、後方が留守になっていたのだ.
「潜水艦か?」
「いえ。そんなはずが。駆逐艦『王健』が追跡中。音源見当たりません。」
「……おかしいではないか。」
「『王健』に魚雷命中!」
「ぬぬぬ・・・なぜだ・・・」
王健の探知していたのは、現用の潜水艦だった。第二次世界大戦時の音紋は雑音にしか聞こえなかった。
一方、伊勢の方も戦いの佳境を迎えていた。
「敵、竹島まで距離40。」
「・・・。我が方も撃てません。島が邪魔です。」
弘美は言った。目の前には島、どうやったって、徹鋼弾を打つには島が邪魔だ。すると山口は
「主砲、榴弾込め!」
といった。
CICにちんもくが流れた。
「榴弾って、対艦戦ですよ。とてもじゃないですが・・・」
弘美は疑問をぶつけた。船に対し榴弾とは艦砲射撃ではないだろう。通常、装甲のある軍用艦を貫くために徹鋼弾がある。いわば拳銃の弾だ。一方榴弾は、中が爆発する事で敵の被害を拡大させる。火薬が詰まった爆弾だ。
「とにかく、榴弾だ。」
山口は聞かなかった。
「榴弾込めっ!」
弘美は復唱した。
「全門一斉発射。一気にカタをつけるぞ。仰角最大!」
「発射準備完了!」
「て―――――っ!」
島の向こうに向かって放たれた。弾は山を越えた。
「敵、発砲!撃ってきました。」
「あと、数分で我がミサイルの射線が取れる。やつら何処へ撃ってんだ?。」
山を越えた弾は空へ撃ったのと同じだ。弾道計算でもそうなっていた。
「・・・いえ・・・こっちに来ます!」
「なに?」
「落下してきます!」
「バカな!徹鋼弾ならそのまま突き抜けて行くんだろうが!」
「来ますっ!」
水しぶきをあげて至近弾、命中弾が降り注ぐ。
「我が方は撃てんのかっ!」
「無理ですっ!」
「奴等は一体何をした!」
山越しの攻撃は、あまりに現実的ではなかった。現用最強と言われる世宗大王級が次々破壊される。
「は、は、中破か・・・まだ何とか・・・」
申は起き上がり、周りを見た。
「み、ミサイル発射できます・・・」
申から笑みが漏れた。
「日本軍の亡霊など消し去ってやる。ミサイル発射っ!」
と言った時に、船は鈍い音を立てた。
ギギギ・・・
すると、ぐぐっと船が傾いた。
「な、なんだ?」
「栗谷李珥(ユルゴク・イ・イ)、西獄成龍(ソエ・ユ・ソンリョン)転覆っ!」
椅子にやっとしがみついている通信員が言った。
「ま、まさか・・・転覆・・・」
セジョンデワン級は重武装ゆえの復元性が悪いと言われていた。中破程度のダメージでバランスが崩れたのだ。
喫水線が上がったかと思うと、大きな水しぶきをあげひっくりかえった。黒い艦艇を上にして静かになった。
「敵、駆逐艦沈黙・・・」
レーダー員が言った。
「ど、どうして・・・」
弘美はおろおろ狼狽した。海戦の常識を超えた状況なのだ。すると山口は
「敵は大戦期の装甲艦じゃない。電子機器の固まりだ。それらを破壊するだけでよいのだ。南朝の駆逐艦はトップヘビーだ。それに、-徹鋼弾でなく榴弾にすることで、重い榴弾だから、途中で失速、落下したのだ。迫撃砲のイメージだ。セジョンデワン級は重武装ゆえの復元性が悪いのだ。兵器は武装ばかり強くするだけが能じゃない。穴をあけてやればひっくりかえる。」
榴弾にはそんな意味があったのか・・・弘美は思った。
「すぐに日本に向かうぞ。そろそろタイムリミットだ。天候が回復しつつある。」
そういえば風と雪は収まってきたように思う。ここは南朝だ。艦隊を沈められ、復讐の炎をたぎらせていることだろう。
「敵、対艦攻撃機多数発進しました!」
レーダー員が言った。
「それらが来るのは30分。こちらも戦闘機を出すぞ!取り舵60!最大戦速!」
伊勢は戦闘機隊の全機発艦を命令した。
「今までの大漢のようにはいかんぞ。」
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DLサイトで販売しています。 http://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ129589.html HP[ふじさんの漫画研究所」http://book.geocities.jp/hujisam88/index.html 戦艦伊勢が単艦独立戦隊とする「蒼海燃ゆ」の最終話。統一朝鮮軍による核ミサイル発射計画を頓挫させた戦艦伊勢は、日本領海に到達するまでに捕捉される。竹島沖で日本と南朝民国が衝突した。 |
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