三羽烏戦その後 |
楽進達との戦いに強制的に終止符を打った鋼牙達。
現在はその帰路についているところ。
「…兄上?」
「なんだ?」
そっけなく答える鋼牙に、心配そうに大河が尋ねてきた。
「よろしかったのですか?伝令兵を逃してしまって…」
実は先程曹魏の伝令が駿馬で走り去って行ったのだ。
それをみた大河は、止めようとしたのだが、鋼牙がそれを遮った。
「問題無かろう。それより、楽進達の事だが…」
「あぁ、彼女達なら本陣に送った直後に念のため縄で拘束しておきました。」
「ほぉ。流石大河だな」
「いえいえ、それほどでも…っと、天幕に着きましたね。」
「………。」
天幕に入った途端、鋼牙が硬直してしまった。
「どうか致しましたか、兄上?」
「…いや…その…なんだ…つまり…」
鋼牙がなにやら言い淀んでいると、
「「「んー!んー!」」」
…ん?なにやら騒がしいですね?
「…なぁ、大河?」
「はい?」
「…その縛り方は一体?」
そう言って、鋼牙は拘束されている楽進将軍達を指差した。
「これですか?亀甲縛りというのですよ。ついでに、猿轡はオプションです。」
「いや、そうではなく…何故そんな縛り方を?」
「…?僕の趣味ですが?」
そう答えると、鋼牙は呆れ気味に、
「…そうか。」
とだけ言いました。
「「「んー!んー!」」」
「おっと、すっかり忘れてました。はいはい、少々お待ちを…」
そう言って、大河は猿轡だけをはずしました。
「貴様らぁぁ!」
「こんな事してただですむと思うななのぉ!」
「そうや!」
「…まったく、口の減らないお嬢さん達ですね。…では」
そう言って、大河は懐から『液体』を取り出しました。
そして、それを楽進将軍達の口に…
「…せやっ!」
「「「むぐっ!?」」」
…無理矢理突っ込んだ。
その途端――――!
「ん…あっ…ぅん」
「ぅあ…くふ…」
「…あっ…き、貴さ…ぅん…!な…にを…はぁあん…!」
突如、三人が艶しく喘ぎ始めた。
ついでに、上から于禁、李典、楽進の順である。
「お、おい、大河!御主今なにを飲ませたんだ?」
「クフフ…実は、先程飲ませたのは、僕特製の媚薬なんですよ。しかも、かなり強力な。少なくとも、あと二刻はこの状態ですよ。…と、忘れるところでした。」
そう言って大河が取り出したのは…
「…ビデオカメラか?」
「それと、媚薬の解毒剤です。」
言いながら大河は、カメラを起動し撮影を開始しました。
勿論、モデルは楽進将軍達。
「…ぅん…ぁふ…ひ…しゃま…なん…ら…しょ…れあ…?」
呂律のまわらない喋り方で、目をトロンとさせながら、楽進将軍が聞いて来た。
「これについては後ほど…。そして、」
そう言うと、大河はおもむろに小瓶を三つ取り出し、
「これの中身は、今飲ませた薬の解毒剤です。」
そう告げた。途端、
「「「ッ!?」」」
三人の目の色が変わった。
まぁ、敵にこんな無様な姿を長時間曝すなんて普通は嫌なものだ。
「クフフ…これが欲しいのですか?」
そう言って大河は三人の前で小瓶をチラつかせる。
「…はや…く…よ…こせ…!」
楽進将軍が苛立ちながら話し掛けて来た。
「良いですよ?ただし…貴女達三人が僕達に降伏するのならばね。」
大河がそう言うと、
「…たかが…媚薬…ごときで…我らが…降伏…など…!」
「ん?…あぁ。なんだ、もう二刻経ったのですか、道理で。では…そうですね。于禁将軍。解毒剤を飲ませますので口を開いてください。」
そう言って大河は于禁の方へ行き、于禁の頭を自分の太腿へ持って行った(ひざ枕を想像してくれ)。
「ふぇ?!で、でも媚薬はもう切れて――「せやっ!」――むぐっ?!」
大河は于禁に有無を言わせず解毒剤を飲ませた。
「ケホッ、ケホッ!いきなり何を…」
噎せながらも、何かを言おうとした于禁だが、
「…え?」
目の前の光景を見て絶句した。なんせ…
「う…ぐぁ…く…るし…かはっ…!」
「ハァ…ハァ…なん…やねん…体…が…アツい…!」
友二人が、苦しそうにもがいていたのだから…
「凪ちゃん?!真桜ちゃん?!」
フラつきながらも、苦しんでいる友のもとへと駆け出した于禁。
「なんで…どうして…!」
楽進達を抱き抱えながら、于禁は泣き崩れた。その時…
「言い忘れてましたが…」
大河が于禁に近づき耳元で囁いた。
「先程飲ませた媚薬にはですね…毒薬が混ざっていたのですよ。クフフ…」
「―――――ッ?!」于禁が振り向いた先に居たのは、黒い笑みを浮かべていた大河だった。
「おい、大河!なにも、そこまでせんでも――「兄上は黙っててください。」――ッ!?」
鋼牙の説得も聞き入れず、大河は于禁に向き直る。
「さて、于禁将軍?選択権は貴女にあります。誇りの為に友を見捨てるか、それとも、友の為に誇りを棄てるか?」
于禁は怒りで肩を震わせていた。
「沙和…私…たちは…大丈夫…だ…」
「…ッ!?」
「そう…やで…ウチらの…ことは…気にせんで…えぇから…な…」
「凪ちゃん…真桜ちゃん…グスッ…ヒク…」
大粒の涙をこぼしながら、于禁は大河を見据えた。
「わたしは…」
苦しんでいる友二人に言われた于禁の出した答えは――――
「…友達を助ける」
友を救う。
迷い無く于禁はこの答えを選んだ。
「仲間を…友達を見捨てるなんて、わたしにはできない。」
「「沙和…」」
「わかりました。貴女ならばそう言ってくれると思っていましたよ。」
そう言うと、大河は持っていた解毒剤を楽進達に飲ませた。
途端―――――ッ!
「うぁ…」
「くふ…」
奇声をあげ、楽進と李典が気絶した。
「凪ちゃん!?真桜ちゃん!?」
そう叫ぶ于禁に大河は笑顔を向けた。
先程とは違う、穏やかな笑顔を…
「さてと。念のために…『再』!」
そう言うと、楽進達の苦痛に歪んだ表情が、幾分か柔らかくなった。
「これで大丈夫。あとは、安静にしていれば…直に…目覚める…かと…」
ドサッ…
そこまで言うと、大河はその場に倒れ込んだ。
「大河!」
途端に鋼牙が大河のもとに駆け寄り、抱き抱えた。
「馬鹿者め…」
「申し訳…ありません…兄上。」
「まったく…少しは自分の身を考えろ。」
「ハハッ…肝に銘じます。」
そんなやり取りをしていると…
「たっだいま?!今帰ったで?!」
「只今戻った。」
「……ただいま。」
「ただいま戻りました。」
「…フンッ!」
董卓軍?1が帰ってきた。
何故『?1』なのかと言うと、実は董卓軍にはもう一人居た様なのだ。
尤も、現在そいつは蜀に帰っているらしい。
「霞様ッ!?」
「ん?おぉ、沙和やんか!元気にしとったか?」
そう言って、于禁の肩をバシバシ叩く張遼。
「そや!凪と真桜はどうしとるん?」
そう言った途端、于禁が辛そうな顔になった。
「凪ちゃん達は…そいつに毒を飲まされたの…」
そう言って、于禁は大河を指差した。
「「「んなっ!?」」」
「「――ッ!?」」
その場に居た鋼牙を除く全員が大河を見た。
「…えぇ。事実です。ですが…解毒…と…治癒は…施してあるので…問題…ありま…せん。」
大河は、息切れ切れに答えた。
「それと兄上…楽進将軍達の…縄なんですが…切っておいてください。」
ガクッ…
そこまで言って、大河は気を失った。
「やれやれ…」
そう言いながらも、鋼牙は先の戦いで使っていた武器を取り出した。
「行くぞ、『金剛暗器』よ…」
そう言って鋼牙は、たった数秒で武器の型を変えた。
「三の型、極。大ばさみ!」
できたのは、文字通り、大きなハサミだった。
「よっ!ほっ!」
チャキンチャキン!
鋼牙はそれで楽進達の縄を切った。
「…于禁将軍。」
「…なんなの?」
于禁が訝しげに答えると、
「すまなかった。」
突然鋼牙が土下座をした。
「…え?」
「今回、大河がやったことは決して許されることではない。だが、あやつは楽進達を殺したくてやった訳ではないのだ。だから、あいつを…許せとは言わぬが、せめて信じてほしい。」
それから四、五分経った。
「…わかった。あなた達の言葉を信じるの。」
「…!真か、于禁将軍!」
そう聞く鋼牙に、于禁はゆっくりと頷いた。
かくして、魏の三羽烏こと楽文謙、李曼成、于文則の三人が軍下に入った。
これから、鋼牙達はどうなるのか―――
次に起こる、戦いとは――――――――
一刀には会うことがるのか――――――
次回に続け!
説明 | ||
前回の続きです。 それと、前回書き忘れてたのですが鋼牙が使っていたのは、『金剛暗器』という『烈火の炎』っていう漫画に出て来るものです。 原作のものとは、所々変えますので、ご容赦を… 読みにくい作品で申し訳ございません。 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
3587 | 3110 | 20 |
コメント | ||
次回一刀の出番はあるのかな?www(ブックマン) 大河GJ!!(トウガ・S・ローゼン) 一刀〜種馬能力より、凄い能力を持った奴らが来たで〜(ノд<) さて、わざと逃がした伝令が早く一刀達の元に辿り着きますようにw 次回に期待や!(Poussiere) |
||
タグ | ||
恋姫 無双 オリキャラ オリジナル | ||
呂布さんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |