真・恋姫†無双―二つの呂旗― |
真・恋姫†無双―二つの呂旗― 第二十三話「帰還」
劉備の沙汰が下った、正確には各将にだが。劉備は華琳と白蓮のもとで為政者としての勉強を一からやり直し、張飛は愛紗の預かりで関羽隊副官に(食事制限付き)鳳統はどうやら隠居を申し出たようでそれならと同じく隠居を決めた永久と久遠の世話係という名目で一緒に洛陽の郊外で隠居生活をするようだ。黄忠厳顔の両名はそれぞれ益州に戻され益州の統治に尽力するように沙汰が下された。(厳顔に関しては禁酒1年が言い渡された)魏延は呉に赴任、黄蓋の預かりになりそれは厳しい鍛錬を課せられているとか・・・余談だが月が皇帝になり国号が変わり、『晋』と国号を変えた。統治者は違うがこれは歴史通りと言えなくもない。そんな事を考えながら俺は静夏母さんから呼び出されたので陳留に来ている。沙耶も一緒だ。
一刀「静夏母さん、どうしたの?」
静夏「一刀、沙耶。そろそろ私達が帰る時期になったわ。」
沙耶「へ?どうしてお母さんがそんなことわかるの??」
静夏「それはね・・・これよ。」
そう言って取りだしたのは明らかにこの時代には似つかわしくない紙だった・・・おそらく手紙だろう。
静夏「これは管理者の一刀からよ。」
一刀「なんだって?」
沙耶「まさかそれに変える方法が書かれてるの!?」
静夏「違うわ、大陸統一からどのくらいで帰るかが書かれてるの。そして・・・一刀、これはあなたによ。あなたの血で封が切られるって書いてあるわ。」
一刀「俺の血?・・・こうすればいいのかな?」
俺は封の場所に少し指を切り血をにじませ垂らす・・・すると手紙周辺に何やら魔方陣らしきものが浮かび上がりそれが砕けた。
一刀「なるほど・・・封印みたいなものだな。」
沙耶「・・・あっちのお兄ちゃんはなんでもありだね。」
静夏「外史の管理者だからじゃないかしら?」
一刀「・・・読むぞ?」
『呂北へ、この手紙が読まれると言う事はおそらく終端が近いのだろう。本来の管理者ならこのような手紙や情報をそちらに提供できないんだがそれが出来る権限を持っているのが俺だ。正直此処までするつもりはなかったんだが俺はお前が気に入った。さすがにご都合主義でそこに残るような事には出来ないが、お前の意思次第で一人だけ連れて行けるようにすることが出来る。ただ、これだけは分かってほしい。連れ帰ると言う事はそこにいる人間と永遠に別れさせる事を意味する。すべてを語らずともお前なら理解できると思う。何せ、神童なんだからな。今さら((童|わっぱ))扱いもなんだけどな。お前が誰を思い誰がお前を思うかは分からん。だが・・・後悔だけはするな。そして後悔だけはさせるな。そして・・・幸せになれ。以上だ。追伸、北郷戒刀は向こうで罪人として塀の中に居る事になっている。情報の改変と言うやつだな。面会ぐらいは行ってやれよ?』
一刀「・・・ははは、誰か連れてけるって?・・・そんなの・・・」
沙耶「お兄ちゃん・・・」
静夏「・・・一刀、沙耶、もう皆には帰る時期は教えてるわ。場所は泰山だから・・・それまで自由行動にしましょう?」
二人「・・・・うん」
こうして俺たちは帰還の時まで自由行動をとる事になった。
それから数日して俺たちは泰山へと足を進めた。同行者は華琳、月、蓮華、恋、の少数にで行くことになった。
一刀「泰山か・・・北の奴が言ってたけど此処って外史に関しては重要な場所らしいな。」
静夏「らしいわね。此処じゃなきゃもろもろまずいらしいわ。」
一刀「そっか・・・」
そのまま上って行くと俺たちは不思議な神殿の場所に到着した。
左慈「来たか。」
一刀「左慈!?」
沙耶「左慈さん?」
茉莉「私もいるよ。」
静夏「茉莉ちゃん・・・そう、あなた達が送ってくれるのね?」
左慈「そうだ。俺たちが介入しなければ下手したら記憶のリセットからの輪廻に囚われかねないからな。本来は禁忌なんだが俺は禁忌を許された管理者だからな。」
一刀「・・・そうか。よろしく頼む。」
左慈「任せておけ。」
茉莉「それじゃ、お別れがすんだら社に来てね。」
こうして俺たちはそれぞれお別れをする事になったのだ。静夏母さんはしみったれたのは苦手だって言って左慈達について行ったけど。
華琳「沙耶、これでお別れね。前にも話したけど、此処での記憶が残っている事を祈るわ。」
沙耶「はい、華琳さん。私、華琳さんみたいな素敵な女性になります。」
華琳「ふふふ、だめよ。あなたはあなたになりなさい。私は欲しがりの我が儘な女、そのくせ救いようのないくらい寂しがりの女なんだから。」
沙耶「それでも・・・私は華琳さんを目標に生きて行きます。」
華琳「・・・そう、ならこれは助言よ。覇道を胸に秘めるなら女は持っていても女の子は捨てなさい。そうでなくては女の身で覇道は歩めなくてよ。」
沙耶「はい!・・・華琳さん、ありがとうございました!」
華琳「・・・ええ、元気でね。私達の天の御使い。」
一刀「月、蓮華、二人とも今までありがとうな。」
月「そんな・・・私の方こそ・・・」
蓮華「お兄様・・・お兄様ぁぁぁ!」
蓮華は俺に抱きつくとそのまま泣きだしてしまった。
一刀「蓮華、俺は居なくなってしまうけど君は此処で生きて行かなきゃならないんだ。それは分かるね?俺と居た時間を糧に生きていってほしい。そして孫家の姫として、一人の女の子として生きていってほしいんだ。月、君もだよ?君は皇帝なんだから特にだ。俺の事を忘れるなとは言わない、けど俺以外の好きな奴を絶対作るんだぞ?じゃないと怒るからな。」
月「はい、だからこそ・・・一刀さん・・・愛していました。」
一刀「ああ、俺も愛していたよ。月。」
蓮華「ぐす・・・お兄様、私お兄様が後悔するくらいいい女になっていい人を見つけます・・・」
一刀「ああ」
蓮華「皆に祝福されて・・・呂北残念だったなって皆が口をそろえるくらいいい女に・・・なって・・・孫家を繁栄させて見せます・・・」
一刀「ああ」
蓮華「だから・・・お兄様、さようなら」
一刀「ああ、お別れだ・・・」
そのまま二人は最初に話し終わっていた華琳と一緒に泰山を後にした。沙耶も先に行ってると言って社の中に入って行った。
恋「・・・一刀。」
一刀「・・・恋。」
恋「・・・行ってほしくない。」
一刀「・・・行かなくちゃならない。でもね、恋。俺が消えるまで俺と一緒に居たいって思い続けてくれないか?俺も思い続けるから・・・」
恋「・・・そうしたら・・・一刀・・・居なくならない?」
一刀「・・・分からない。でも・・・奇跡が起こるとしたら、そう言う事の積み重ねだと思うんだ。」
恋「・・・分かった。思い続ける。一刀が居なくなってもずっとずっと思い続ける。・・・月や蓮華のように次の人は見つけない・・・恋は・・・一刀を絶対見つけるから。・・・約束。」
一刀「・・・ああ・・・約束だ。」
そう言って俺は社に向かって歩き出す。恋はそのまま社を見続けていた・・・
左慈「・・・来たか。もういいのか?」
一刀「ああ、問題ない。」
左慈「そうか・・・ならば目をつむれ。」
一刀「・・・・」
左慈の言う通り目を閉じると少しして温かい何かに包まれる感覚にとらわれる・・・ああ、俺は此処から消えるのか、あの世界に帰るのか・・・そう思うと何故か言葉が出てきてしまった。
一刀「・・・俺は・・・」
左慈「・・・・」
茉莉「・・・・」
一刀「・・・・恋と・・・一緒に・・・居たい!!」
その願いを口にして、俺の意識は途切れてしまった。
左慈「完了だ。」
茉莉「ふう〜疲れた〜」
左慈「お疲れ、これが終わったら二人で休暇だと一刀から言われてる。」
茉莉「マジ!?やた〜」
左慈「ふ、それにしても最後のあれは無いな。」
茉莉「そうだね。どんだけ好きなんだよってね〜」
左慈「ま、一途なあいつも在りなんじゃないか?」
茉莉「いや〜此処で複数手に出してる時点で一途じゃないでしょ。」
左慈「だな・・・まったく、何処に行ってもあいつは・・・」
茉莉「でも、そんな外史もあるみたいだよ?」
左慈「そうなのか?」
茉莉「お兄ぃが行ってたもん。あれほど胸やけする俺も珍しいなって・・・」
左慈「そうか・・・あいつが胸やけ起こしたか。」
茉莉「相当だよね〜」
左慈「だな。さてどこに行く?」
茉莉「ん〜久しぶりに琴ちゃんとこ行こうか。上ちゃんとの事をからかってやろうと思う。」
左慈「ははは、ほどほどにな。よし、行こうか」
そうして二人の姿は光の中に消えて行った。
恋「・・・ただいま。」
華琳「恋、おかえりなさい。」
蓮華「行ったのね。」
月「みたいですね・・・恋さん、大丈夫ですか?」
恋「・・・・ん、大丈夫。・・・思いは届くから。・・・いつかきっと。」
華琳「・・・そうね、届くわきっと。思い続ければきっと・・・」
恋「・・・一刀。・・・いつかきっと・・・」
次回
最終回『二つの呂旗』
少年と少女の物語は終わりを迎える。新たな始まりと共に。
説明 | ||
二十三話になるのです。 次回は最終話ですの〜 |
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コメント | ||
…全員が全員幸せになることなんてできない。でも恋には幸せになってほしい。(Jack Tlam) みんな幸せになってほしかったが無理なら恋だけでも幸せになってほしい〜(nao) 恋が幸せになってほしいな。(神木ヒカリ) まぁどう考えても恋ですわな、他の面子では残していく物が大きすぎますしな。でも恋にとっては一刀と爺ちゃんが1番でしたし、今まで戦っていたのも一刀が守ろうとしているから一緒に戦っていたって所ですしね。一刀のいる所が自分の居場所ってな訳ですねい(氷屋) おおー やっぱ恋さんだよね(qisheng) |
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