魔人・響窃を倒す…………

大陸に暗闇をもたらした響窃を倒したことにより再び大陸に光が蘇った

それはまるで

最初から何もなかったかのように…………

　　　　最終章‘笑顔の蒼天’

俺達はあのあと、真っ直ぐ成都に帰還し一日ゆっくりと休んだ

皆、俺を含め激しい戦いを繰り広げたので体は疲労困憊………

特に蒲公英、凪、蓮華、華佗は一度『死』を経験しているため、直ぐさま床につかせた

だが華佗以外の三人はどうしても俺と一緒に寝たいとのことなので周りも俺も渋々承諾した

雪蓮や思春、愛紗、華琳と人悶着あったのは言うまでもない………

俺は仲間から追い打ちがかかったため余計に疲れた

一刀「で、そこから一夜あけて今現在に至る」

起床した俺の横では蒲公英達が静かに寝息を立てていた

今の時間は俺の世界で言えば午前5時頃………逆に起きている方が不思議だ

凪「すぅ…………すぅ………」

蒲公英「う〜ん…………むにゃ………」

一刀「よく寝てるなぁ…………」

蓮華「私は起きてるわよ、一刀……」

一刀「おっと………そうみたいだね、蓮華…………」

いつの間にか起きていた蓮華が後ろから抱きついていた

一刀「おはよう蓮華

もう体は大丈夫なの？」

蓮華「おはよう一刀♪まだ体は重いけど歩くくらいならどうってことないわ」

一刀「そうか………よかった…」

正直、少し心配していたんだ

生き返るというのは神をも恐れぬ人生の禁忌………

何か副作用が起きてもおかしくないからな

だけど左慈や貂蝉は………

左慈『その心配………無意味だぞ？』

一刀『？？何でだ？』

貂蝉『これは【生き返る】というよりも【元に戻す】と言ったほうが正しいわん

だから大丈夫のはずよん♪』

左慈『時間経てば全てが元通りになる

気長に待て、北郷…………』

一刀『………まぁ、二人がそう言うんだからそうなんだろうな……』

貂蝉『あらん？信じてくれるのん？』

一刀『今更お前等が嘘なんてつかないだろ？』

貂蝉『それはそうねん♪ね、左慈ちゃん』

左慈『だぁぁぁっ!!毎回言ってんだろ!!俺に触んな!!近づくな!!人類の恥!!』

貂蝉『きぃぃぃぃっ!!誰が天狗も気絶する山姥の親玉の大妖怪よん!!?』

左慈『そこまで言ってねぇし、耳障りな声を大音量で出すんじゃねぇぇぇ!!!!』

一刀『………………仲いいな』

左慈『おい北郷!!響窃の後を追いたいのか!!?』

一刀『遠慮しておくよ…………』

…………といった感じに話が終わった

蓮華「…………ねぇ、一刀…？」

一刀「ん？なに蓮華？」

蓮華「もぉ?！聞いてなかったの!?」

どうやら蓮華に話しかけられていたようだ

蓮華が可愛く頬を膨らませて怒っている

一刀「ゴメン、ゴメン

ちょっと昨日のことを思い出していてさ………

っで、なに？」

蓮華「むぅ?！折角私が勇気だして言ったのに………」

一刀「ゴメンってば……もう一回言ってよ」

蓮華「仕方ないわね…………

あの………一刀…………」

一刀「？？」

蓮華は突然顔を赤らめてモジモジし始めた

何を言いたいのか俺には分からない

蓮華「その……………あの……」

一刀「？？なに？」

俺は首を傾げた

蓮華「今この部屋で起きてるのは私と一刀だけじゃない………」

一刀「ん？そうだね………二人共ぐっすり寝てるね」

蓮華「はぁ…………本当に鈍感なんだから……」

一刀「えっ………えっ？」

蓮華「だから！」

一刀「っ!!」

蓮華は突然俺の真正面に移動した

俺の目の前には蓮華の顔が直ぐ側にある

蓮華「ん！」

一刀「ん!?んう…………」

蓮華は直ぐさま俺の唇に唇を重ねてきた

蓮華「ん……………ふぅ……ん」

一刀「う……ん…………ふぅ………」

蓮華「ん……はぁ…………」

蓮華は名残惜しそうに自ら退いだ

一刀「蓮華…………」

蓮華「これで…………分かったでしょ………？」

一刀「……………あぁ」

蓮華「じゃあ、今度は一刀からして……」

一刀「あぁ…………んむ」

蓮華「ふふっ♪…………ん」

俺は改めて蓮華にキスをした

一刀「んむ……ふぅ……………ん」

蓮華「ん…………はぅ……んん」

蓮華とキスをしていると

左慈『おい……北郷』

一刀「ん………？(左慈？)」

頭の中に左慈の声が流れてきた

左慈『お楽しみのところ悪いが庭に来い…………渡したい物がある』

一刀「ふぅ……うむ………(了解………今行くよ)」

左慈の声はそこで聞こえなくなった

蓮華「んちゅ…………一刀？どうかしたの？」

一刀「あぁ、ちょっとね………用事を思い出しちゃったんだ」

蓮華「そう……………分かったわ」

蓮華は抱きつくのをやめ、俺から離れた

一刀「用事が終わったら戻ってくるからね、待ってて………………ちゅ」

俺は部屋を出て行く前に最後に蓮華にキスをしていった

蓮華「あ…………ふふっ♪」

蓮華は少し驚いていたが、直ぐに顔を赤らめて微笑んでいた

左慈「来たか……………意外と速かったな」

一刀「あぁ……………すぐに戻る約束をしたからな」

于吉「北郷さんらしいですね……」

左慈「お前を呼んだのは他でもない

昨日、蒲公英に遮られた話の続きだ」

左慈はそう言うと、昨日出していた紫色の宝玉を俺に渡した

一刀「左慈…………これ何だ？」

左慈「そいつは……………」

左慈「響窃の魂だ…………」

一刀「っ!!?響窃の魂!?」

思わず大声で言ってしまった為

于吉「しーーーっ!!声が大きいですよ！」

一刀「ご、ごめん………」

于吉に注意されてしまった

左慈「まぁ、驚くのは無理もない……」

一刀「………響窃の魂って…………あいつは俺が……」

左慈「そう、確かに響窃はお前が倒した

それは紛れもない事実だ」

于吉「ですが、『魔人』という生命体は例え体がバラバラになろうと、心の臓が破裂しようとも、魂だけはこの世界に残るのです」

左慈「だから前回、于吉は魂に強力な術をかけて封印したんだ

もっとも、俺達は奴を『倒した』んじゃなく『封印』したんだがな」

一刀「…………これはどうすればいい？」

卑弥呼「弔うのだ、ご主人様」

一刀「弔う？土に埋めるとかでいいのか？」

貂蝉「えぇ………それでいいはずよん」

左慈「過激派の奴らの話しによると、どうやら魔人はあの世に行ったら性格が真逆になって蘇るらしいんだ

記憶も何もなしでな」

于吉「更に言えば蘇るのは数十年間後ですので心配はないと思われますよ」

一刀「……………例え敵でも敬う心遣いは必要か………分かった」

俺は頷くと『天木』に近寄り

一刀「安らかに眠れ………魔人・響窃よ………」

『天木』の根本に響窃の魂を埋め、手を合わせた

左慈「最後まで手のかかる野郎だったぜ…………全く……」

于吉「でもこれでようやくですね……」

貂蝉「そんねん

この50年間の忌まわしき戦いに終止符が打たれたわねん」

卑弥呼「これも全てご主人様方のお陰じゃ、改めて礼を言いますぞ……ご主人様」

一刀「そんな大層なことはしていない

俺は………皆が…北郷一刀というたった一人の男の為にここまでしてくれた………その恩を返しただけさ」

左慈「甘いな………全く」

左慈はそう言うと懐から

左慈「………………ふぅ?」

莨を取り出し火をつけ、喫煙をしだした

一刀「…………何で現代の物を所持してるんだ？」

左慈「ん？それはお前の世界に行って買ってきたからだよ」

于吉「えらく気に入ってしまったんですよ

体を壊すと言って止めたんですがねぇ」

一刀「てか、年齢制限は………？」

左慈「誤魔化した」

一刀「違法じゃねぇか…

それと、そんな銘柄あったっけ？何だその銘柄？」

左慈「セブンスター・リアルリッチだ

他にもケント・Sシリーズとかメビウス・スプレッドとかあるぞ」

一刀「やれやれ………早死するなよ」

左慈「俺は……北郷、お前を殺すまで死なねぇよ」

一刀「へいへい………それじゃ俺は部屋に戻るわ」

于吉「はい、まだ時間的には早い時刻ですからね

ゆっくりお休みになってください」

一刀「そうするよ」

そう言って俺は部屋に戻ってきた

蓮華「お帰りなさい♪一刀♪」

一刀「うん、ただいま

蒲公英と凪、まだ寝てたの？」

蓮華「えぇ、やっぱり疲れが残ってたみたいね」

一刀「だろうな………………」

蓮華「ふふっ♪私からしたら好都合なんだけどね♪」

一刀「おっと…………やれやれ、甘え上手なんだから………」

蓮華はそう言うと俺に寄りかかってきた

蓮華「貴方にだけよ…………」

一刀「それは嬉しいね………」

俺と蓮華の唇が重なりかけたその時

愛紗「ご主人様？起きていらっしゃいますか？」

一刀「っ!?」

蓮華「あ、愛紗!?」

雪蓮「一刀?？起きてるの?？」

華琳「むしろ起きてないと困るのだけど」

どうやら早起きして華琳達が起こしにきたようだ

一刀「お、起きてるよー！」

俺は返事をして素早く、蓮華から離れた

蓮華「あっ…………もう……」

蓮華は少し寂しそうな表情をしていた

そこへ愛紗達が部屋へ入ってきた

愛紗「おはようございます、ご主人様、蓮華殿」

雪蓮「やっほ?♪おはよう一刀♪」

一刀「おはよう、愛紗、雪蓮、華琳」

凪「ふぁ……………ん???、もう朝ですか………」

蒲公英「まだ眠いよ?…………」

急に騒がしくなった事により凪と蒲公英も起き始めた

愛紗「ほら蒲公英、早く顔を洗ってこい」

華琳「凪、貴方もよ」

凪「はい、では」

蒲公英「あ〜………ふ」

雪蓮「蓮華、行きましょう」

蓮華「は、はい」

蓮華も慌てて部屋を後にした

一刀「じゃあ、俺も着替えたら行くから、廊下で待ってて」

華琳「あら？着替えさせてもいいのよ？」

雪蓮「ふふっ、それ面白そうね」

愛紗「駄目ですよ！お二方、早く廊下の方に！」

雪蓮「やん！一刀を着替えさせたい?!!」

華琳「ちょっと！愛紗!!」

愛紗は華琳と雪蓮の背中を押して部屋を後にした

一刀「着替えさせられたら俺が困るよ………」

俺は着替えを終わらせて箪笥に手で寄りかかり、響窃の事を考えていた

一刀「ちゃんと弔えたのかな………

華琳や桃香達に相談した方が良かったかな…………」

俺は少し悩み

一刀「一回聞いてみるか」

そう考え箪笥から手を離した

一刀「よし、いくか………ん？」

その時、箪笥についていた右手に違和感を感じた

一刀「………なんだこれ？」

右手には鼠色より若干白い灰のようなものが掌全体に付着していた

一刀「響窃の魂を埋めるときについたのかな？

……………まぁいいや、とりあえず行こう」

俺はそう簡単に考え、部屋を後にした

その時、俺は

右手がついていた箪笥に手の形に灰が付いていることを知らなかった………

一刀「さて、平和を味合うとしますか！」

　　　　　真・恋姫†無双

　　　　　Another Story

　　　　‘闇’の御遣い?

　　　　聖なる力と復讐の魔人

　　　　　　　完?結