IS〜蘇りし幻〜ゲシュペンスト〜第10話〜亡国企業/再会 |
ダブル主人公、確定事項
今回は短めです。
バー:ファントム
一夏side
バーのカウンターに座り、霧生の作ったカクテルを飲む。
「こうやって飲むのも久し振りだな、一夏」
「あぁ…………そうだな…………」
「どうした元気ないぞ」
「どうしてだろうな………………割り切っていた筈なのにな…………………お前らを見るとな………………」
「…………引きずってんのか?俺達の事」
中村の言葉に言葉が行き詰まる。
「俺からしたら仕方のない事だったと思う…………………あの命令は正しかった、お前の判断は間違ってなかったんだ…………」
「それでも俺は……………お前らを……………」
ピリリリリリ,ピリリリリリ、
「チッ、誰だよこんな時に、(ピッ)はいもしもし?どうした?……………おう……………はぁ!?わかった、すぐ行く」
ピッ
中村が電話を切ると困った顔をして此方を向いた。
「どうした?」
「一夏、幸輔、すまん」
「何があった?」
「IS学園から呼び出しだ」
「IS学園?なんでお前が呼び出されるんだ?」
「なんでって、俺がIS学園の教師をやっているからな」
俺の疑問にすぐ中村が答えた。
ん?教師をやっているから?
「教師、誰が?」
「俺が」
「どこの?」
「IS学園の」
「なぜ呼び出された?」
「行方を眩ませていたから」
「「さっさと行け!!!」」
ドゴン!!!!!
「ぐばらぁ!!!!」
俺と霧生の蹴りが中村にクリーンヒットし中村は吹き飛んだ。
何やってんだ中村の奴……………
「わかったよ……………………一夏…………」
「ん?」
「期待しているぜ…………またな」
そう言って中村はバーから去っていった。
「幸輔…………」
「なんだ?」
「いつまでもウジウジしてるのも駄目だな」
「そうだな、アイツは昔からいつも周りを明るくするし、悩ませたりする」
苦悩していた俺が馬鹿みたいだな、コイツらが変わることが無いってわかっていたのにな。
「霧生、頼みがある」
「ふっ、言われなくても分かっている」
「流石、No.1ハッカーは違うな」
「これだろ?」
そう言って分厚い封筒を俺の目の前に置く。
中身の資料を見て確認する。
「亡国企業、デュノア社、IS学園、篠ノ之束、確かに受け取った」
「一夏、ドイツなんだが」
「何かあったのか?」
「確定ではないが、ドイツ近辺に異常な異空間異常があった」
「なんだと?」
「まだ確定ではない、だが注意しておいた方が良いかもしれん」
「分かった、ありがとう」
幸輔に礼を言ってバーから出て自宅へ向かう。
潜入する為の材料は揃った、さぁどうしようか。
「本当にどうしようかな?」
どうしてでしょうか?目の前には金髪のロングで長身の女性がいた。
俺を見ている。
(まぁ、俺には関係無いかぁ)
完全に俺に関係ある感じだが、そうではないと心に唱えながら背を向けて立ち去ろうとすると。
「あら、何処に行こうとしているのかしら?」
「やっぱりかぁ〜〜」
女性の方を振り向き見る。
人生、そんなに甘くないよな…………。
「はい、何でしょうか?」
「彼から聞いてないかしら?」
「彼?」
「シラカワよ、シュウ・シラカワ」
俺や知り合い以外にシラカワを知っているということは……………
「亡国企業(ファントムタスク)か」
「えぇ、私はスコール、スコール・ミュゼールよ………織斑一夏君」
まさか亡国企業が来るとは、それも幹部クラス直々とはな……………。
それも俺の名前も知られてるか………。
「一体なんでしょうか?幹部直々にここまで来るなんて?」
「貴方をスカウトしようと思って」
「スカウト?」
「貴方はISを使えないけど、並外れた身体能力と頭脳を持っていると彼から聞いて興味を持ったの」
シラカワの奴、ISを使えることをわざと隠したのか……………奴のやりそうなことだが。
「どうかしら?」
「その前に、俺の後ろで待機させているレディを出してくれないか?」
ミュゼールは少し驚いた表情をしたがすぐに戻る。
ミュゼールが左腕を少し上げると、俺の後ろの物影から女性が出てきた。
女性はミュゼールの隣に立った。
短気で口が悪そうだな。
「お前、何時から気付いていた?」
「彼女に背を向けて立ち去ろうとした時にね」
「へぇ〜〜〜そうかい!!!」
女性は俺との間合いを詰めて拳を飛ばし、俺は拳を避ける、次々と蹴りや拳が飛んで来るがそれも少ない動きで避ける。
「クッ!!!」
「女性を殴る趣味はないが……………」
少し変態(不本意なのだが………)のスイッチを入れて、彼女の腕を掴み、片手で彼女の腕を背中に回して拘束する。
空いた手で彼女の顔を俺の顔に寄せる。
「縛るのは好きだ」
「そこまでよ」
「ふむ、まぁ良いだろう」
ミュゼールの制止で彼女の拘束を解く、俺に拘束されていた彼女は顔を少し紅くしながらミュゼールの隣に戻った。
「どうかしら?」
「中々鍛えられてるな、動きも普通の軍なら問題ない……………だが」
「だが…………何かしら?」
「俺のいた部隊ならこのレベルは初級………………いや、入門レベルだろう………………なら、俺は彼女を強くしようと思う」
ISが使えるからと言っても動かしているのは自分の身体だ。
「交渉成立だ、仲間に入ろう」
「ようこそ亡国企業へ、それと貴方のコードネームを考えないとね」
「それなら問題ない、昔から使っていたものがある」
「それは、何かしら?」
「ケーニッヒ、それが俺のコードネームだ」
「ケーニッヒ………王者という意味ね、良いじゃない」
「さて、仲間に入るんだが、そろそろ貴女の名前を聞きたいんだが」
俺はミュゼールの隣にいる彼女を見ながら言う。
いまだに顔を紅くしていた。
「オータムだ………………」
「良い名前だ、何かあれば連絡してくれ」
「あら、一緒に来ないのかしら?」
「悪いがこれで失礼させてもらう、これが俺の自宅の住所のメモだ、またなミュゼール、オータム」
「えぇ、それと私の事はスコールで良いわよ」
「あぁ、またなスコール」
二人に別れを告げ、商店街に戻ると八百屋のおばさんが困った顔をしていて俺を見つけたと同時に駆け足で寄ってきた。
「一夏君、大変なの!!!」
「どうしたんですか?」
「魚屋の伊藤さんの娘さんが昔付き合ってた男にナイフを突き付けられてビルの屋上に連れていかれたのよ!!!」
「警察に通報は?」
「数分前にしたけど来ないのよ」
「それで俺に?」
「最近の警察は頼りにならないしかなりヤバめなのよ、ねぇお願いよ」
これまた厄介事だな、これは…………………仕方ないな。
「わかりました、案内してください」
「ありがとう、こっちよ」
八百屋のおばさんに連れられて魚屋の娘さんが連れていかれてたビルに着いた。
ビルの周りは近所の人で溢れかえり、心配そうに見ている。
高さは八階建て位だろう。
屋上に上がると、男が女性にナイフを突き付けていた。
「そこで何をやっている」
「ふん、お前も俺を笑うのか?」
「そんなことはどうでも良い、彼女を放せ」
「良いよな女子って、この世界では優遇されて良い気になって威張り散らして」
「逆恨みか?下らない」
「そうか、お前も笑うのか…………」
「助けてください!!!!、この人は………」
男はナイフをしまい俺の方へ向く。
すると彼女からとんでもない事を言った。
「この人は数年前に亡くなっているんです!!!!」
「なっ!!」
「チッ!!!」
彼女がそう叫んだ瞬間、男は俺の目の前に現れ奴のハイキックが俺を襲う。
(速い!!!)
ハイキックをギリギリで避け、間合いを取る。
「お前、何者だ?」
「……………任務完了、帰還する」
「このまま帰らせるとでも?」
「帰らせてもらうさ」
男は彼女の前に立つと、彼女を屋上から突き落とした。
「貴様ぁ!!!」
男の横を通り過ぎ、彼女の後を追うように飛び降りる。
(このビルの高さならまだ平気だ)
ビルの壁を蹴り、落下速度をあげて彼女の所まで追い付き、身体を抱き締めるとそのまま足から着地する。
降下訓練の時はかなりビビッたがもう慣れた。
彼女を地上に下ろし、奴のいる屋上を見る。
「一夏君!!!」
「おばさん、聞きたいことがあるのはわかりますが、後はお願いします」
「え?う、うん」
「後ですね、警察には俺の事は伏せといて下さい」
俺はまた屋上に上がるが奴はもう居なかった、奴は一体何を?
「一夏、何かあったのか?」
「幸輔」
後ろから声を掛けられ振り向くと、さっき別れた霧生がいた。
霧生に経緯を話した。
「……………ということなんだが」
「なるほど、他には?」
「彼女によると、そいつは数年前に亡くなっているらしいんだ」
「なんだと、本当か?」
「何か心当たりあるのか?」
霧生は米神に左手を当てて考える。
「その彼女に会えるか?」
「おばさんに言えば会えると思うが………」
「会わせてくれ」
その日の夜、八百屋のおばさんに頼み、助けた彼女と会えることになった。
待ち合わせ場所は霧生のバー、暫くすると彼女が来た。
「すまないね、こんな夜に呼び出して」
「いえ、あの時は助けていただきありがとうございます」
「いや、当然の事をしたまでだ、座りな」
彼女がカウンターに座ったところで話を聞く。
「辛いことかもしれないが、話してくれないかな?彼の事」
「はい、わかりました」
「彼の名前は?」
「鍵本静司です」
「君の彼氏だった人?」
「はい、付き合っていました」
「彼の職業は?」
「IS関係者のボディーガードをしてました」
「なんだと?」
「幸輔?」
「俺から質問、彼が亡くなる前にしていたボディーガードの仕事は何処だったか知っているか?」
「たしか、第二回モンド・グロッソの日本代表のボディーガードだったような気がします」
「わかった、俺達からの質問は以上だ、ありがとう」
「あ、はい」
「送っていこう」
俺は彼女を自宅まで送り、バーに戻ると、霧生はパソコンを立ち上げてキーを叩いていた。
「そうか、そういうことだったのか…………」
「幸輔?」
暫くするとキーを叩くのをやめ、俺の方を向いた。
「すまん、今日は帰ってくれないか?」
「あ、おう、またな?」
「あぁ、またな…………」
霧生に別れを告げ、バーから出て、自宅に帰宅する。
ガチャ
「ふぅ〜〜疲れたぁ」
リビングのソファに上着を投げ、ネクタイを取る。
「あれ?」
おかしい、一人暮らしの筈なのにベットに膨らみが…………
(酔った人が間違えたのか?そんなはずないか)
そう思いながら布団を捲ると…………
「ん……………ぅん…………」
「………………」
バサ
なんだ?何かさっき今日知り合ったばかりの人が寝ていたような……………………しかも下着姿で……………まさかな、そんなはずがあるわけ……………
バサ
「ん?……………あら帰ってきたの?」
「……………………何をしている、スコール」
「何をしているって?寝てたのよ」
「そういうことじゃない、どうして俺のベットで寝ているんだ?どうやって入ってきた」
「これを使ってよ」
そう言ってスコールが見せてきたのは、カード型のルームキーだった……………コイツ、作りやがったな。
「まぁいい、何の用だ?さっそく仕事か?」
「いいえ、違うわ」
「じゃあなんだ……んぐ!?」
するといきなりスコールは俺にキスをしてきた。
只のキスではない、ディープである。
スコールの舌が俺の口の中を舐め回してくる。
このままは流石に嫌なので逆に俺の舌をスコールの口の中に押し込む。
反撃を考えていなかったのか、スコールは俺にベットに押し倒された。
「あんたが悪いんだ、後悔しても遅いぞ」
「別に後悔はしてないわ」
はぁ、これまたゆっくり寝れないか…………………。
今年最後がこんな感じて……………。
年内最後の(本当に)投稿になります。
来年はどんな年かな、楽しみだ。
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KANNBARUです。 今年最後の投稿になります。 新年の挨拶を小説として出しますのを予告します。 そこには訳がわからない予告が……………。 まぁ今はこの作品を読んでください。 |
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