IS‐インフィニット・ストラトス‐黒獅子と駆ける者‐
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episode239 帰りを待つ者達

 

 

 

 

 数日後―――――

 

 

 

 

 隼人は日本のとある空港に到着し、ロビーに居た。

 

(一年ぶりの日本か。みんな元気にしているかな)

 

 内心で呟きながらロビーから外に出る。

 

 暖かい太陽の光が照り付けられて気持ちが良かった。

 

 

「迎えが来ているはずなんだが・・・・少し早かったか?」

 

 周囲を見回して迎えに来ている者を見つけようとする。

 

 

 

 

 

「お父さん!!」

 

 と、聞き覚えのある声がして、その声がする方を向くと、一人の女の子が走ってきていた。

 

「昴!」

 

 隼人は走ってきた昴と言う女の子を抱き上げる。

 

「お帰りなさい!」

 

「ただいま。少し見ない内に大きくなったな」

 

 昴は「えへへ」と笑顔を浮かべて隼人の頬に頬ずりをして帰りを迎える。

 

 

 

「お帰りなさい、隼人」

 

 と、一人の女性が隼人の元にやって来る。

 

 少し幼さを残していた少女は、今や一人の女性となり、一児の母となった。

 

「ただいま、簪」

 

 隼人は昴を抱えたままその女性・・・・・・簪に身体を向けて笑みを浮かべる。

 

 

 この昴と言う女の子は・・・・・・隼人と簪の間に生まれた娘である。

 

 

 転生当初では、様々な力を持つ事になるので、決まりとして子孫を残すことは出来なかった。しかし二度目の転生によってこうして子孫を残す事ができるようになっている。

 しかし、隼人は子供を持つ事に少し抵抗があった。なぜなら、その子供に自分の神の力が宿ってしまうのではないかと思うと、どうしても抵抗感が生じる。

 

 

 でも、簪の言葉で気持ちの整理が付き、こうして二人の間に昴が生まれた。今の所それらしい力は確認されないが、少なくとも他の子供とはどこか違うように思える。

 

 色々と言ってはいるが、昴は隼人と簪の愛の結晶である事に変わりは無い。

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 そうして隼人と簪、昴の親子は簪が運転する車で自宅に向かっていた。

 

「そういえば、どうして今回帰って来たの?」

 

「たまの休暇は必要だ、って部下達から言われたからな。もう一年ぐらい帰ってないから、甘えさせてもらった」

 

「そうなの。でも、連絡を受けた時は嬉しかった。またあなたと会えると思うと」

 

「俺もだよ」

 

 

「ねぇお父さん!後で遊ぼうよ!」

 

 と、後部座席に座っていた昴が隼人に声を掛ける。

 

「そうだな。後で公園に行くか」

 

「うん!」

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 しばらくして車は自宅に到着する。

 

 

 隼人の収入はかなりの額であるが、暮らすにはこのくらいで十分という事でさほど大きくも無ければ狭くもない一軒家で暮らしている。

 

 

 車を車庫に入れて、三人は家の前に向かう。

 

「ただいま」

 

『おかえりなさい。あっ!隼人さん!!』

 

 ドアを開けると短パンにTシャツとラフな格好のツヴァイが出迎えた。

 

「久しぶりだな、ツヴァイ」

 

『はいです!隼人さんも元気そうですね!』

 

「お前も相変わらずだな」

 

『元気なのは一番です!今お姉ちゃんを呼んで来ますね!』

 

 と、嬉しそうにツヴァイは部屋の奥に向かう。

 

 

 

『お帰りなさい、隼人』

 

 少しして私服にエプロン姿のリインフォースが奥より出てきた。

 

 

 リインフォースとツヴァイの二人は身分を隠しながら現在隼人の家で家事の手伝いをする為に住んでいる。

 

 

 ちなみにリインフォースは徹底した調査でもバレないように束によって徹底的に作り込まれた戸籍で『神風リオン』と言う偽名を持ち、夜の予備校に通って勉強をしているとの事。

 

 

「ただいま。留守をちゃんと守っていたようだな」

 

『はい。隼人の言われた通りに。しかし珍しいですね』

 

「たまには休暇は必要だって言われたからな」

 

『そうですか。仕事熱心も考え物ですね』

 

「かもな」

 

 

『あっ、そうでした。颯より伝言をいただいています』

 

「颯から?」

 

『えぇ。「仕事が近いうちに合間が出来そうだから、家に帰宅出来るから、会うのを楽しみにしてね」との事です』

 

「そうか。よくIS学園の教師をしていて休みが取れるな」

 

 我ながら優秀な妹を持ったと思う。

 

 

 颯は卒業後必死に勉強し、教師免許を取ってIS学園の教師となっている。

 

『それと、シノンも颯と一緒に帰るそうです』

 

「シノンもか。あいつはあいつでよく休みが取れたな」

 

 シノンはしばらくIS学園に居候した後教師免許を取り、輝春の後任として戦術教官としてISの操縦技術の指導を行っている。

 余談だが、颯と顔が瓜二つとあって見分けがつきにくい事を考えてか、シノンはメガネを掛けているとの事。

 

「そういえば、ヴィヴィオは?」

 

『ヴィヴィオちゃんでしたら、今買い物に言ってもらっているです』

 

「買い物って。ヴィヴィオから言ったのか」

 

『そうですよ。よく分かりましたね?』

 

「娘の事を分かってないと思ったか?」

 

『そ、そうでした』

 

 アハハハ、と苦笑いを浮かべる。

 

 この年でヴィヴィオと釣り合いが出来始めたが、ヴィヴィオはあの日以来容姿に変化が無いので、親子とはあまり認識されていない。

 最近は格闘技を学んでいるらしい。

 

「色々と不安だが、まぁそこまで言えるようになったのは良いことだな」

 

 以前ならあまり外に出歩かなかったが、今となっては活発的になっている。

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 隼人は着替えた後昴と一緒に近くの公園に来ていた。

 

 平日とあって人は少なかったが、逆にその方が気が楽だ。近所でもかなり有名人だから。

 

「さて、何して遊ぶ?」

 

「うーんとねぇ・・・・」

 

 昴は周囲を見回して何で遊ぼうか悩む。 

 

 

 

 

「あっ!昴!!」

 

 と、昴が周囲を見回していると、男の子の声がしてその方を見る。

 

 そこには手を振っている男の子と、母親が近くにいる。

 

「ハル!!」

 

 昴はすぐに男の子の方に走っていく。

 

 

「久しぶりだな、隼人」

 

「あぁ。そうだな、箒」

 

 隼人の元に女性事箒が近付いてきた。 

 

 大人へと成長した箒は更に磨きが掛かっており、和服も見事に着こなしている。大和撫子とはこういうものだ、と言えるものだ。

 本人の前では言わないが、あの部分がゲフンゲフン・・・・

 

 

 

 

「こうして話すのは一年近く久しぶりだな」

 

「あぁ。まぁ話す機会はあまりないからな」

 

 二人は公園のベンチに座って色々と話しながら昴と男の子が遊んでいるのを見る。

 

「お前の活躍はうなぎ上りだな。ニュースでよくお前達の事が言われているぞ」

 

「かなり有名になったもんだな。最初はなんやかんや言われていたし」

 

「まぁあの時はまだISへの偏見も残っていたから、仕方が無い」

 

「・・・・・」

 

 隼人は昴と一緒に遊ぶ男の子を見る。

 

「『春雪』も見ない内に大きくなったな」

 

「当然だ。私と一夏の息子だぞ?」

 

 ドヤ顔で自慢する。

 

(本当に変わらんな)

 

(その方がいいだろ?)

 

(・・・・)

 

 

 男の子・・・・・・春雪は箒と一夏の間で生まれた息子だ。結婚時期は少しずれているが、昴が生まれたのと同じ年に生まれていると言う偶然が生まれた。

 なので昴と春雪はよくこうして遊んでいるとの事。 

 

 

「・・・・そういや、春雪は一夏似だな」

 

「そうか?私似だろ」

 

「瞳はお前と似ているが。顔つきは一夏だな」

 

「う、うーん」

 

 どこか納得が行かないのか静かに唸りを上げる。

 

 

 

「そういえば、最近一夏は何をしている?」

 

「倉持技研で新型ISのテストを行っていると聞いている。何でも第五世代の試作型だそうだ」

 

「機密情報をペラペラと喋るんだな。相変わらず口が軽い」

 

「かもな。だが、それでも相変わらず姉さんからあれが送られてくるんだ」

 

「・・・・ISか?しかも世代を一つ飛ばしたやつ」

 

「あぁ。第六世代のISだ」

 

「よくポンポンと新型を作るもんだ。ただでさえISNの開発が忙しいって言うのに」

 

 開発者として、少し呆れる。

 

「まぁ私も倉持技研のテストパイロットとして勤めているからISを持つ事は許されてはいるが・・・・。ちなみに今日はオフだ」

 

「そうか。ところで、そのISって言うのは・・・・」

 

「私のは紅椿の後継機『紅桜』だ。簡潔に言えば紅椿の強化発展型と言えるものか」

 

「なるほど」

 

 第四世代であれだけの性能を発揮したのなら、相当な性能を有しているはず。

 

「一夏には白式の後継機として『白楼』が送られた。これは白式のデータを基に強化発展させたようだ」

 

「なるほど」

 

「まぁ新型の様に言っているが、実質は白式と紅椿をベースに新技術を取り入れている感じだな。白式が追加装備を受け入れたのは予想外だったが」

 

「そうか」

 

 第六世代と言うが、実質は第四世代のISをベースにそれに準じた装備を施しているだけなのが現状で、正式な第六世代と言うわけではない。

 

 

「それはそうと、束さんはどうだった?」

 

「相変わらずだった。それに加えてアーロンとのラブラブっぷりが加算されたから、余計に鬱陶しかった」

 

「あー、そういう事」

 

 安易にその様子が想像できた。

 

「それに・・・・えぇとだな」

 

「・・・・?」

 

 すると箒は戸惑いの表情を浮かべる。

 

「姉さん・・・・・・どうやら・・・・・・母親になるようだ」

 

「・・・・・・・・・・・・は?」

 

 隼人な面食らったかのように声を漏らす。

 

「どうやら、最近分かったみたいなんだ。妊娠していたのは」

 

「・・・・マジ?」

 

「そ、そんな意外そうな顔をするな。私だって以外だったんだぞ。

 ・・・・最も意外そうだったのは千冬さんだったが」

 

(そりゃ他人嫌いな親友が母親になるとなればなぁ)

 

 内心で納得する。

 

 

 

 

「さてと」

 

 隼人はベンチから立ち上がって箒から離れる。

 

「なぜ離れる?」

 

「あのなぁ。人夫と人妻が一緒に居るのは色々とまずいだろ。変な噂でも立たれたらたまったもんじゃない」

 

 下手すれば外にすら出歩けないし、色々と傷つけられそう。

 

「うっ。確かに、そうだな」

 

 咳払いして、春雪を見る。

 

 

 

「そういえば、春雪は・・・・」

 

 少しして隼人が箒に問い掛ける。

 

「お前の思っている通りだ。・・・・この間試しに春雪にISを触れさせてみたんだが・・・・ISが反応を示した」

 

「やはり、か。親から子へ、遺伝したか」

 

「あぁ。まぁ、ある程度は予想していた」

 

「・・・・」

 

 

 

「一夏も知っている。いずれ春雪の事は知られる事になるだろうな」

 

「だろうな。その時はどうする?」

 

「その時はその時だ。今はな」

 

「・・・・」

 

「今考えてもしょうがない。その時で考えるさ」

 

「まぁ、それしかないよな」

 

 二人はそのまま遊んでいる昴と春雪を見つめる。

 

 

 

説明
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!
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