IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode240 ISN
次の日、隼人は車でとある場所へとやって来た。
「・・・・」
花束を手にしてとある物が沢山ある中を通っていき、一つの物の前に来る。
「・・・・」
隼人がやって来たのは墓地で、目の前には墓石が立てられている。
その墓石には、『凰鈴音』と黒い文字で刻まれている。
「久しぶりだな、鈴」
墓石の前で片膝を付けて腰を下げ、花束を墓石の前に置く。
隼人は目を瞑ると合掌し、黙祷する。
バインド事件の後、鈴の遺体は中国で埋葬する予定だったが、鈴の母親が「日本の地で眠らせて欲しい」と要請があったので、日本で葬式を行い、こうして日本の地で眠りについている。
「・・・・」
目を開けてゆっくりと立ち上がる。
「約束通り、これからも世界を守り続ける。お前の様な犠牲者を出さない為にな。
だから、これからも・・・・みんなを見守ってくれ」
そうして後ろへと振り返り、鈴の墓を後にする。
一瞬だけだったが、半透明で墓石の近くに立っている鈴がその後ろ姿を見届けると、微笑み浮かべて姿を消す。
――――――――――――――――――――
隼人は車を運転して高速道路を走る。
乗っている車は『スカイラインGT-R BNR34型』と呼ばれるスポーツカーで、色はメタリックブルー。今となってはかなり(と言うか骨董品レベル?)古いモデルの車であるが、廃車となっていた本車を隼人が買い取り、自らレストアした後中身を最新型のスポーツカーの物をレストアした外装に合うように改装を施した。
一応車検には通っているので公道を走れる。
「分かった。じゃぁ駅まで迎えに行く。それまで待ってくれ」
『うん』
『出来れば早めに来て欲しいものだな』
「何も無ければ早く着くさ」
テレビ電話で颯とシノンと会話を交わし、電話を切る。
(あの二人と直に会って話すのも本当に久しぶりだな。IS学園はどうなって、千冬さんも元気かな)
色々と話したい内容が頭に浮かび、会うのが楽しみだった。
(IS学園も俺達が在学中よりも大きくなっているらしいし、今の状況も聞いてみたいものだな)
12年も経ったので、IS学園がある人工島の面積が以前よりも大きくなっているので、規模が大きくなっているとのこと。
「・・・・?」
すると周りが何やら騒がしくなり、隼人は周囲を見渡す。
(何か騒がしいな・・・・)
(それもそうだ。何せ先ほど港に運ばれた重要物資を謎の武装集団が奪取し、今も重要物資を持って高速道路を逃走中だそうだ)
(なに?)
(先ほど無線を傍受して聞いた内容だ)
ノルンの言葉に隼人は驚きを隠せない。
すると隣を猛スピードで大型トラックが通り過ぎる。
(噂をすれば、来たな)
「マジか。帰ってもゆっくりと休む事すら出来ないのか」
(何時何が起こるか分からないのが、犯罪だ。そうだろ?)
「全くだ。本当に」
隼人は左脇のレバーを引くと、車の屋根にV字型パトランプが出現し、光ると同時にサイレンを鳴らし、アクセルを踏み込んでトレーラーを追跡する。
「ユニコーン!聞こえるか!」
『聞こえるよ。こっちも状況は把握してる』
インカムを付けてユニコーンと通信を繋げる。
「現在逃走車輌を追跡中!すぐにお前達も出撃し、確保しろ!」
『そうしたいけど、全ISNが調整中だからすぐには出撃できないよ!』
「だったらお前とバンシィがこっちに来てくれ!時間は一秒も無駄にはしたくはない!」
『わ、分かった。すぐに出撃するけど最低でも十分は掛かるよ』
「それまで俺が追跡し、可能ならこいつを止める!」
『無茶だけはしないでね』
「あぁ」
隼人は通信を切り、トラックの方に目を向ける。
すると運転席の窓より運転手の腕が出てくると、その手にしているマシンガンを向けると弾を放ってくる。
隼人はハンドルを切って弾をかわす。
「ちっ!」
隼人は左脇のレバーの傍にあるスイッチを押すとラジオの下より棚がせり出し、ハンドガンが出てくるとそれを手にし、セーフティーを外す。
トラックは前方の車に追突するとバランスを崩して車が隼人の車に迫るも、とっさにハンドルを切って車をかわす。
「無茶苦茶をやるな!これ以上被害を広げさせてたまるか!」
窓を開けて左手でハンドルを持ち、右腕を頭を外に出すとトラックにハンドガンを向ける。
すると助手席よりもう一人出てくるとマシンガンを隼人の車に向けて弾を連続で放ってくる。
「っ!」
とっさにハンドルを切ってかわすも、片手で運転しているのでバランスを崩しかけるも何とか保つ。
「いい加減に!」
狙いを付けて引き金を引き、弾丸は一直線に放たれてトラックの後部右タイヤに直撃させて破裂させた。
それによってトラックはバランスを崩し、そのまま横転して火花を散らしながら道路を滑る。
隼人は車を道の隅に止め、ドアを開けて外に出るとハンドガンを両手に持って構えながら近付く。
「投降しろ!抵抗しなければ罪は軽くなるだけで済む!」
呼び掛けるも反応は無い。
(そういえば、こいつの中身は何だ?)
(あぁそれか。無線には中身の事に関する事は言っていない。恐らく機密的な物が載せられているのだろう)
(なに?)
(だが、無線内容から察すれば、恐らくこいつは――――)
するとコンテナが弾け飛ぶと、何かが出てくる。
「っ!」
隼人は目を見開くと、それがコンテナから全身を現す。
しかも四体も・・・・
全身薄い緑をしている全身装甲の機体で、頭にはピンクの一つ目があり、右肩にシールドを持ち、左肩にはスパイク付きのショルダーを持つ。右手にはドラム式マガジンを持つマシンガンを手にしている。
「まさかこいつは・・・・・『MS06J ザクU』か!?」
(そのようだな)
「だが、配備されたばかりの試作型の陸戦ISNがなぜ!」
(輸送中の隙を狙われて奪取されたのだろうな)
「・・・・」
するとザクUは手にしているマシンガンを隼人に向けて弾丸を放ってくる。
「くそ!」
とっさに横へと走って弾丸をかわすも、次々と弾丸は隼人へと飛んできて道路を破壊する。
(さすがにISNが相手じゃ分が悪い)
(かと言っても、バンシィ・ノルンはユニコーンとバンシィの承認が無ければ展開できないようになっている。向こうも忙しいのだろうな。連絡が付かない)
(こんな時に限って・・・・)
するとザクU四体はトラックから向こう側に降りると少し宙を浮いて高速道路をホバーで走り出す。
(しかし、今回に限って、持っていて良かったな)
(あぁ。全くだ)
と、隼人は首に提げているネックレスを服の下から取り出す。
それは白銀のドックタグであり、黒くGと刻まれている。
「ISN・・・・・・『マドロック』!起動!!」
隼人が叫ぶと、光の粒子が隼人の身体に纏い、形を形成する。
カラーは白をメインに紺が各所に施されており、形状は至ってシンプルであるが、赤いツインアイを持ち、V形アンテナを持っているなど、その形状はガンダムに通ずるものだった。両肩に補助ブースターが搭載された増加アーマーを持ち、両脚にホバーユニットを搭載している。背中のバックパックに大口径のキャノンを搭載し、両腕にはグレネードランチャーを搭載するアーマーを持ち、左腕にシールドを持っている。右手には本来ビームライフルだったが、製造が間に合わず実弾マシンガンを装備している。
束が陸戦型ISNのテストをするためにザクUを開発したが、それ以前に製作されたのがマドロックである。
隼人は両脚のホバーを起動させて地面を滑るように移動し、ザクUを追跡する。
ザクU四体も隼人が追いかけていることに気付いたのか、ホバー移動しながら後ろを向くが、隼人はマシンガンをザクUに向けて引き金を引く。
四体のザクUはバラバラに散らばるとマシンガンをマドロックに向けて弾を放ち、隼人はホバー移動しながら弾丸をかわし、背中のキャノンをザクUに向けて轟音と共に放つも、ザクUは三体はバラバラに動き、一体はシールドを角度を付けて前に出し、砲弾を上に弾く。
「ちっ!」
マシンガンをザクUに向け、マシンガンを放ちながらバックパックのブースターを噴射してザクUに接近を試みる。
四体の内一体がマシンガンをリアアーマーにマウントして左サイドアーマーよりヒートホークを抜き放ってマドロックに向かってくる。
とっさに左腕のシールドを前に出して斬撃を受け止める。
「お前達は何者だ!ISNを奪って何をする気だ」
しかし返答は無い。
「だんまりか。まぁそうだろうな!」
隼人はザクUを押し返して背中のキャノンを放つも、砲弾はザクUの左肩のショルダーのスパイクを掠る。
直後に別のザクUがヒートホークを手にして切り掛かるが、とっさに左腕のシールドで受け止める。
『我々は亡国機業だ!』
「っ!?」
その名を聞いて隼人は驚きを隠せれなかった。
『そして貴様は神風隼人と見た!』
「だったら、何だ!」
ザクUを押し返してマシンガンを向けるも、他のザクUがマシンガンを放って銃身を撃ち抜き、爆発する。
『貴様は我ら亡国機業にとっては貴様は脅威な存在。ここで消えてもらう!』
他のザクUがヒートホークを手にしてマドロックに向かってくるも、隼人は背中の右側キャノンの砲身にマウントされているビームサーベルの柄を抜き放って攻撃を受け止める。
「何を勝手な!お前達はもうあの時解滅んだはずだ!」
ザクU二体を押し返してキャノンを放つも、別のザクUが前に出てシールドで砲弾を弾く。
『例えバラバラになろうが、信念ある限り亡国機業は滅びやしない!』
更に二体のザクUがマドロックに接近してヒートホークを振り下ろすが、ビームサーベルとシールドで受け止める。
(こいつら・・・・動きがいい!)
(恐らく他にもISNを奪っているようだな。動きが素人じゃない)
(厄介な!)
隼人は前に居るザクUを蹴り飛ばし、ビームサーベルで受け止めているザクUに頭部バルカンを放って頭部のカメラを破壊する。
すぐにキャノンを頭部のカメラを破壊したザクUに向ける。
『やめてもらおうか』
するとザクUの一体が隼人を止める。
「・・・・何のつもりだ」
『それ以上やれば、多くの命が失われる事になるぞ』
「なに?」
隼人はそのザクUが左手に持っている物を見つける。
『このボタンを押せば、そこの橋が爆発するぞ』
「っ!」
隼人は斜め上の橋を見る。
そこには電車が絶えず走っており、その橋げたに爆破物が付けられている。
「卑怯な・・・・」
『戦いに卑怯もらっきょうも無い』
どこかで聴いた事があるような迷台詞が聞こえたような気がするが、気のせいだろう。
『爆破されたくなければ、武装を解除し、貴様が持つ黒獅子を明け渡せ』
「・・・・」
『さもなければ、多くの命が失われる事になる』
「くっ・・・・」
ガリッと奥歯を噛み締める。
『どうする?』
「・・・・」
すると一体のザクUが突然倒れる。
「っ!?」
見ればザクUの両足と両手首が切り落とされ、背中のバックパックに半透明の鋭利なフィンが突き刺さっている。
「Cファンネル!?って事は・・・・」
すると頭部のカメラを破壊されたザクUも何かがいくつか横切ると両手首と両足、背中のバックパックが切り裂かれて前のめりに倒れる。
「本当にしぶとい連中だね」
と、高速道路に一体のISが下りてきて、機体の各所に半透明の黄緑のフィン・・・・・・『Cファンネル』が戻る。
「やはり、颯か」
それは今も尚愛機として颯が使用しているAGE-FXであった。
「だが、どうして・・・・?」
「駅で待っていると騒ぎを聞きつけたからね。まさか兄さんが戦っていたなんて思っていなかったけど」
「そうか」
『くそっ!こうなれば!』
亡国機業の元メンバーがボタンを押そうとしたが、その直前にザクUの左手首がCファンネルによって切り落とされる。
直後に起爆装置はCファンネルによって真っ二つに切り裂かれる。
『っ!?』
その直後にCファンネルが右手首と両足を切り落とされて前のめりに倒れる。
「久しぶりの再会がこんな形になったのが、本当に惜しいぐらいだね」
全身装甲なので表情は読み取れないが、それでも声は弾んでいるも、恐らく表情は笑顔のまま血管マークが浮かんでいるだろう。
(本当に颯は怒らせるとろくな事がないな)
(それほどお前は愛されていると言う事だろう)
(それが行き過ぎなければ良いんだがな)
すると残りの一体が逃げ出そうと背中のバックパックのスラスターを噴射して飛び出す。
「っ!逃がすか!」
とっさにキャノンをザクUに向けるが、その瞬間ザクUは突然後ろに吹き飛ばされる。
「っ!」
更に遠方よりピンク色のビームが飛んできてザクUの頭部に着弾してカメラが破壊され、その直後に金色の光が横切ると両手首と両足、背中のバックパックが切り裂かれる。
そのまま落下するかと思ったが、周囲にビットが出現し、銃口よりエネルギーチェーンが放たれてザクUを拘束する。
『遅れてごめん!ちょっと手続きに手間取っちゃった!』
と、ユニコーンより通信が入る。
「全くだ。颯が殆ど片付けていたぞ」
『そうなの?なんだか悪かったね』
と、外装を纏ったバンシィが近くに来ると、後から同じく外装を纏ったユニコーンもやって来る。
「お久しぶりです!ユニコーン、バンシィ!」
颯はすぐに二人の元に行くと頭を下げる。
「久しぶりだね」
「話は聞いているよ。教師は色々と大変だね」
「はい!でも生徒はいい子ばかりで助かってます!」
「ん?最初は手こずる生徒ばかりで困っているって言っていたじゃないか?」
まぁ憧れの眼差しを向ける者が居れば、そうでもない生徒が居たらしい。
「ま、まぁそうなんだけど、そんな生徒にお話ししたら大人しくなったんだよ?」
「オイ」
恐らく隼人が思った通りになっているかもしれない。
「そういえば、シノンはどうした?」
「姉さんなら、駅で待ってもらってるよ」
「そうか。後でグチグチと言われるんだろうな」
「かもね」
『く、くそ・・・・』
すると一人が這いずりながらも動き出す。
『我々は負けん。決して、負けんぞ!!』
するとザクUより甲高いアラームが鳴り響く。
「こいつ!?」
「まさか、自爆するつもり!?」
事態を察したメンバーは目を見開く。
「くっ!ユニコーン!バンシィ!承認を!」
「!う、うん!」
「分かった!」
二人はとっさに投影型モニターを出すと、パネルが表示される。
「システム起動!」
「プロテクト、及びリミッター解除!」
「「バンシィ・ノルン!起動・・・・・・承認!」」
二人は承認パネルを叩きつけるように押し、起動承認が確認された。
(行くぞ!)
(あぁ!)
隼人はマドロックを解除し、そのままバンシィ・ノルンを展開し、すぐにユニコーンモードからデストロイモードへと変形する。
「っ!」
すぐに飛び出すとザクUの頭を掴み、スキャンする。
「そこか!」
隼人はザクUのをうつ伏せに倒し、バックパックに勢いよく右手を突き出してめり込ませると、その中より自爆しようとしている動力炉を抜き出す。
「それをどうするの!?」
「ちょっとばかり・・・・行って来る」
すると隼人は動力炉を持ったまま勢いよく真上に飛び上がり、空高くへと向かう。
「兄さん!」
颯はとっさに追いかけようとするも、ユニコーンが止める。
「大丈夫」
と、ユニコーンは颯に声を掛ける。
「すぐに帰ってくるよ」
「・・・・?」
すると空の彼方で何かが破裂して光を放つ。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
そしてしばらくして、デストロイモードからユニコーンモードに戻りながらバンシィ・ノルンが降下してくる。
「さすがに同じ事はしないよ」
「・・・・そう、だよね」
ホッと颯は安堵の息を吐く。
(お前は本当に危ないやつだな。また宇宙の旅にでも出るつもりか?)
(さすがに・・・・あれはゴメンだ)
(ふん)
ノルンの毒舌を聞きながら隼人はユニコーンとバンシィ、颯の元に戻っていく。
(で、どうするんだ?試作機をあぁも派手に壊して)
目の前には高速道路にどれも両手首と両足、背中のバックパックを切り裂かれてうつ伏せで倒れているザクU四体を見る。
(・・・・・・後の処理は政府の方に任せる。IRへの負担はユニコーンとバンシィの二人に任せるさ)
(・・・・)
その後亡国機業のメンバーは拘束され、政府の方に連行されたとの事。
ちなみにIRの評判が更に上がったのは後の事であった。
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! | ||
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