真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第126話「王允の忠告」 |
真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第126話「王允の忠告」
嶺上「赤斗っ!! 無事か!?」
張暗の屋敷に蜀の兵士を引きつれて、嶺上と焔耶たちが駆けつけた。
赤斗「嶺上、魏延さん。なんとか無事だよ――痛っ!」
嶺上「怪我しているじゃないか」
赤斗「ちょっとね。油断しちゃった」
嶺上「それで敵はどこだ!?」
赤斗「……逃げられちゃった」
雪蓮「何だ逃げられちゃったのー?」
少し遅れて雪蓮が姿を現す。
赤斗「ごめん」
雪蓮「逃げられちゃったのなら、しょうがないわね。城に戻りましょう」
赤斗「そうだね。でも司馬懿の居場所なら分かったよ」
雪蓮「ほんと?」
赤斗「本当だよ。詳しくは城に戻ってから――」
白虎との戦いのダメージのせいで、赤斗の身体はふらつく。
焔耶「おっと!」
焔耶が赤斗の身体を支えた。
焔耶「まったく、世話のかかる奴だな」
赤斗「すみません魏延さん」
焔耶「別に気にしなくていいさ。それよりも私のことをいつまで魏延と呼ぶな」
赤斗「え? だって魏延さんでしょう?」
焔耶「私のことは焔耶でいい」
赤斗「いいんですか?」
焔耶「ああ」
赤斗「本当に?」
焔耶「本当だ。しつこい奴だな!」
赤斗「だって、これぐらい確認しておかないと後が怖いもの」
焔耶「……お前は私を何だと思っているんだ」
赤斗「ははは…冗談ですよ。では焔耶さん。城に戻りましょう」
赤斗が焔耶に肩を借り、広間から出ようとした時、その異変は起こった。
赤斗「…焔耶さん?」
急に焔耶が動きを止めた。赤斗が呼びかけても返事はない。
赤斗「これは…」
焔耶はまるで石像のごとく動かなくなっていた。
否、焔耶だけでなく、雪蓮に嶺上、そして兵士たち、広間にいる誰もが石像のように動かなくなっていた。
赤斗「雪蓮!嶺上!」
赤斗が叫び、雪蓮たちの身体を揺するも返事はない。
赤斗「なんなんだ…これ」
?「無駄なことはしないことだな」
聞き覚えのない声が聞こえた。
赤斗「誰だ!?」
声のした方に赤斗は振り向く。するとそこには一人の老人が立っていた。
老人「風見赤斗だな?」
赤斗「……あなたは?」
老人「私の名は…王允」
赤斗「王允って、あの…連環の計の王允か?」
王允「まあ、お前の世界ではそうなるな」
赤斗「これはあなたの仕業か? みんなに何をしたんだ!?」
王允「騒ぐな。お前以外の時間を止めただけだ」
赤斗「時間を止めた?」
王允「そうだ。だが、そんなに長くは止められない。すぐに元通りになるから安心しろ」
赤斗「ふーーん。で、時間を止めてまで、いったい何の用だ?」
王允「ちょっとした忠告をしたかっただけだ」
赤斗「忠告?」
王允「今のお前たちでは仲達には勝てん。これ以上、奴に手を出すのはやめろ」
赤斗「何、どういう事だ?」
王允「実際、以前にお前は仲達に敗れたな。あの時は運良く悪夢の牢獄から抜け出せたようだが、次もそうなるとはかぎらんぞ」
赤斗「もしかして…あなたは王宮の抜け道に居たっていう世捨て人?」
王允「ああ、そうだ」
赤斗「そうでしたか。あなたにはお礼を言っておくべきですね。お陰様であの悪夢から目覚めることが出来たのだから…」
王允「礼などはいらん。お前を助かったのは、あの小娘たちのお陰なのだからな」
赤斗「もちろん二人にも感謝していますけど、あなたが居なければ、僕はきっと…」
王允「そう思うのなら、仲達には手を出すな」
赤斗「いや、あなたには感謝するが、それとこれとは話が別だ。司馬懿を放って置けば、この世界が滅びてしまうんだぞ!!」
王允「だが、手を出さなければ、その分長く生きることができる」
赤斗「なっ!? 世界が滅びるのをただ待てというのか?」
王允「……その通りだ」
赤斗「ふざけるなっ! そんなこと出来るか!!」
王允「ふぅー。やはりこうなるか」
赤斗「ん?」
王允「ならば好きしろ。一応、この外史の管理者として忠告はしたぞ」
赤斗「管理者? もしかして、貂蝉の仲間か?」
三国志演義では、貂蝉は王允の養女という事になっている。関係がないとは思えなかった。
王允「……さらばだ」
そう言うと王允の姿は消えてしまった。
赤斗「待てっ!」
王允が姿を消すと同時に再び時間が動き出した。
雪蓮「どうしたの赤斗? 急に大声なんか出して」
赤斗「雪蓮、元に戻ったのか?」
雪蓮「何のこと?」
赤斗「ごめん……何でもない」
雪蓮「変な赤斗。何かあったの?」
赤斗「…………」
貂蝉「どうやら、王允ちゃんが来たようね」
赤斗が王允のことを皆に伝えるべきか悩んでいると、突如貂蝉が姿を現した。
赤斗・雪蓮「貂蝉っ!!」
嶺上「ば、化け物か!」
貂蝉「喝ーーーーーーーー誰が化け物ですってーーー!!」
嶺上「うぅ…」
貂蝉の迫力にさすがの嶺上もたじろぐ。
赤斗「お前、こちらの世界には来れないのではなかったのか?」
貂蝉「それは赤斗ちゃんのおかげで、来れるようになったわ。ありがと♪」
赤斗「そうか。でも、ちょうど良かった。お前に聞きたいことがある」
いつも以上に真剣な顔で赤斗は貂蝉に睨んだ。
貂蝉「……………しかたがないでしょうね」
つづく
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あけましておめでとうございます。 主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきますので、オリジナルキャラクターが苦手な方はご注意ください。 |
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