英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 897
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その後ワジ達と合流し、先を阻む結界の解除を確認したロイド達はメルカバに戻って休憩をしてメンバーを編成し直して探索を続けていると、新たな結界とその近くに門があり、門の結界にロイドが触れるとシグムントの声が聞こえ、声を聞いたランディは結界に触れて結界を解除した後、仲間達と共に転移して新たな”領域”での探索を開始し、最奥に到着した。

 

〜業の領域・最奥〜

 

「クク――――前哨戦を潜り抜けたか。」

ロイド達が最奥に到着すると男性の声が聞こえ、声が聞こえた方向を見つめるとそこには不敵な笑みを浮かべたシグムントがロイド達を見つめ、ロイド達はシグムントに近づいた。

「叔父貴…………」

「……”赤い星座”の副団長”赤の戦鬼(オーガロッソ)”シグムント・オルランド…………」

ランディは目を細め、フィーは警戒の表情でシグムントを見つめ

「………とてつもない闘気の持ち主ですね…………」

エイドスは真剣な表情で呟き

「”赤の戦鬼”…………あの”猟兵王”や”闘神”と同格の”最強の猟兵”の一人…………!」

ヨシュアは警戒の表情で呟いた。

「クク…………その通りだ。俺と張るといったら”闘神”と”猟兵王”くらいだったが……その二人が死んだ今となっては、猟兵の中では俺が最強と言えるかもしれん。――――あくまで”現時点”ではな。」

「…………!」

シグムントが呟いた言葉を聞いたランディは目を見開き

「ランドルフ……最早お前も気付いている筈だ。このクロスベルの状況とエレボニア帝国の乱れによって大陸は激動の時代を迎えた。今まで以上に、俺達猟兵の活躍の場は増えていくだろう。テロリストどもは気勢を上げ、”蛇”と”教会”の暗闇は広がり、遊撃士どもは躍起となるだろう。貴様も肌で感じているはずだ。―――まさに終わるべくして平和な時代が終わったのだと。」

シグムントは静かな様子を纏って答えた後凶悪な笑みを浮かべた。

「ハッ、その様子だと何も知らないようだな、叔父貴?エレボニアとカルバードはメンフィルと局長達――――”六銃士”によるクロスベル帝国軍の連合軍によって今日中に制圧される上………”蛇”の方は”盟主”に加えて”使徒”共も全員”英雄王”達の手によって抹殺されたそうだぜ?だから、叔父貴が望んでいるような時代は来ないぜ?」

シグムントの言葉を聞いたランディは嘲笑し

「何ッ…………!?」

シグムントは目を見開いて驚いた。

「…………フッ……―――逆だな。エレボニアとカルバードが滅べばこのゼムリア大陸は更なる戦乱の時代へと加速する……新たな”国”となって、隙が出来たクロスベルごと西ゼムリアを手中に収めようとする東ゼムリアの国々がな…………」

そしてすぐに気を取り直して不敵な笑みを浮かべ

「……………………」

シグムントの言葉を聞いたエイドスは複雑そうな表情で黙り込んでいた。

「勝手な事を…………!」

一方ロイドは唇を噛みしめてシグムントを見つめ

「でも……あながち間違っていないわ。クロスベルの事件に加えてクロスベルとメンフィルの連合軍による二大国の侵略…………ゼムリア大陸自身は今、その2つの事件で大きく揺らいでいる……」

エリィは不安そうな表情で呟いた後疲れた表情になり

「もしかして……クロスベルの事件が起きなくても不可避だった……?」

「……大陸の至る場所で導火線がくすぶっていたのは確かだよ。クロスベルの事件もあくまできっかけになっただけだろうね。」

「それはわたしも同意。……まあ、さすがにクロスベルがメンフィルと手を組んで二大国に侵略する事は誰も予想していなかったと思うけど……」

真剣な表情で呟いたティオの疑問にヨシュアやフィーはそれぞれ頷いて答え

(かつてのような”混沌”が訪れなければいいのだけど…………)

エイドスは不安そうな表情で考え込んでいた。

「ああ……そうだろうな。そして確かに……俺はそれを肌で感じていた。嵐の予感を……戦場の匂いが立ち込めるのを。」

「……ランディ…………」

(クク…………一体どれだけ楽しめるかねぇ?)

複雑そうな表情で答えたランディの話を聞いたロイドは複雑そうな表情をし、エルンストは好戦的な笑みを浮かべ

「クク、それでこそ貴様が骨の髄まで猟兵である証拠……そしてオルランドの一族に流れる、戦士としての血の”業(カルマ)”だ。なのにランドルフ……なぜ貴様は未だ目を覚まさない?どうして自分を偽りながら安穏な生を送っていられるのだ?」

シグムントは不敵な笑みを浮かべて頷いた後真剣な表情でランディに問いかけた。

 

「……………………」

シグムントに問いかけられたランディは黙り込み

「―――これが最後だ。ランドルフ、”闘神”を継げ。足りない部分は兄貴の代わりに俺が仕込んでやる。そして名実共に”赤い星座”の団長となった暁には……どこに肩入れするも望むままだ。」

「…………!」

不敵な笑みを浮かべて言ったシグムントの話を聞いて目を見開いて息を呑んだ。

「………部下が全員殺されたのに、猟兵団を続けられると思っているの?」

その時フィーは静かな表情で尋ね

「フン、ガレスたちが逝ったのは非常に惜しかったが……また新たな猟兵を雇って俺達が”赤い星座”の猟兵として仕込めばいいだけだ。―――何なら貴様も来るか?”西風の妖精(シルフィード)”。何故貴様がランドルフ達と共にいるかは疑問だが……今はそんな些細な事はどうでもいい。貴様ならすぐに隊長クラスになれるだろう。」

尋ねられたシグムントは目を伏せて答えた後好戦的な笑みを浮かべてフィーを見つめ

「今の所は猟兵に戻ろうと思っていない。わたしは今の状況が気に入っているし。」

見つめられたフィーは静かな表情で答えた。

「フン、貴様もランドルフのように腑抜けたようだな…………まあいい。先程の話の続きだが……貴様が望むならこのクロスベルに肩入れしてやるのもいいだろう。この件がどう転んだとしても間違いなくクロスベルには西ゼムリア大陸とのゼムリア大陸中の覇権を賭けた”戦(いくさ)”が待ち受けているだろうからな。”お仲間”のためにもなるかもしれんぞ……?」

「……くっ…………」

不敵な笑みを浮かべて問いかけたシグムントの話を聞いたロイドは唇を噛みしめ

「貴方は……」

「……足元見すぎです…………」

エリィは怒りの表情でジト目のティオと共にシグムントを見つめた。

「クク、なるほどな……冷徹かつ合理的で、猛き衝動を飼い馴らす……さすがは”赤の戦鬼(オーガロッソ)”だ。」

一方ランディは不敵な笑みを浮かべてシグムントを見つめ

「それが猟兵の猟兵たる由縁……貴様もわかっているのだろう。平和な時代が去った以上、貴様が抗う”足場”はどこにもないはずだ。ならば迷う余地はあるまい?」

ランディに見つめられたシグムントは凶悪な笑みを浮かべてランディに問いかけた。

 

「そうかもしれねぇな……―――だが、答えはNOだ。」

シグムントに問いかけられたランディは頷いた後静かな様子を纏って答え

「……ほう…………?」

ランディの答えを聞いたシグムントは目を丸くした。

「どうやらアンタの不出来な甥は道を外れちまったらしいぜ……?激動の時代に平和を求め、欺瞞の世に正義を求め……守りたいと思う奴等を守りとおす…………しかもロマンや幻想もなく、自分達が出来ることを地道に積み重ねる事によって……―――そんな”足場”を見出しちまってるんだからな。」

「ランディさん…………」

「……何となくその気持ち、わかる…………」

苦笑しながら答えたランディの答えを聞いたティオは明るい表情をし、フィーは目を伏せて呟き

「フフ…………―――なるほど。これが皆さんが口にしていたロイドさん効果ですね……」

「ええっ!?み、みんなエイドスさんに何を教えたんだよ……」

優しげな微笑みを浮かべたエイドスの言葉を聞いたロイドは驚いた後疲れた表情で溜息を吐き

「ハハ…………多分その点に関してはエステルも負けていないだろうね……」

「そうですか…………」

苦笑しながら言ったヨシュアの言葉を聞いたエイドスは優しげな微笑みを浮かべていた。

 

「………………」

ランディの話を聞いているシグムントは厳しい表情で黙ってランディを見つめ

「この”足場”をもって俺は俺の”業”に抗わさせてもらう。あの懐かしい戦場の日々……修羅として生きるしかなかった俺自身と完全に決別する。これが―――俺なりのけじめだ。」

ランディは決意の表情でシグムントを見つめていた。

「ランディ……」

「……私達も見届けるわ。」

ランディの答えを聞いたロイドとエリィは明るい表情をし

「……クク……ハハハ…………」

シグムントは口元に笑みを浮かべて笑い続けていたが

「―――御託はそれだけか?」

目を細めてランディを見つめると共に膨大な闘気を纏った!

 

「くっ…………」

「っ…………!」

シグムントの闘気にロイドは圧され、ティオは真剣な表情になり

「”血染め”も凄かったけど……こっちはそれの更に上を行っている…………まさに”化物”…………」

フィーは警戒の表情でシグムントを見つめていた。

「フフ……いいだろう。その頼りなき”足場”をもって貴様の抗いを認めよう……だが……わかっているな?そこまで言い切ったからにはもはや手加減はできぬと……?」

「ああ――――望むところだ。」

シグムントの問いかけに頷いたランディはスタンハルバードを構え

「親父とアンタから学んだ戦技と持てる力の全てを掛けて…………最恐の猟兵であるアンタをブチのめさせてもらう!」

膨大な闘気を纏ってシグムントを見つめて叫んだ!

「これがランディさん……いや、”赤き死神”の闘気…………!」

「こっちもこっちで化物だね…………!」

ランディの闘気を見たヨシュアは真剣な表情で呟き、フィーは静かな口調で呟いた後闘気を纏って双銃剣を構え

「クク……面白い。ならば俺は、貴様を喰らって”闘神”を継ぐことにしよう!不出来な息子を持った兄貴へのせめてもの手向けとしてな!」

シグムントは凶悪な笑みを浮かべてランディを見つめて呟いた。そしてランディとフィーに続くようにロイド達も次々と武器を構えた!

「さあ、受けてみろ……戦場を喰らい、蹂躙尽くす、”赤の戦鬼(オーガロッソ)”の双戦斧を!」

そしてシグムントは双戦斧を構えてロイド達に向かって突撃し

「――――お前も手を貸せ、エルンスト!!」

「アッハハハハハハッ!”戦鬼(オーガ)”と”死神”の死闘……楽しませてもらうよ!!」

「……来るわ……!」

「迎撃開始……!全力でランディを援護する!」

ランディはエルンストを召喚し、ロイド達と共に迎撃を開始した!

 

こうして……”赤の戦鬼(オーガロッソ)”シグムント・オルランドとの決戦が始まった…………!

 

 

 

 

説明
第897話
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 しかも相手が相手ですからねえ Kyogo2012様 まあ、血染めの例がありますものねww(sorano)
ま、エステル達がいるので、負けるということはないと思うけど。で、倒したあと、そのまま、放置して、レンに殺されるという筋書きが見え隠れしてるのは気のせいでしょうか?(Kyogo2012)
ランディとフィーの元猟兵コンビに加えたエルンストの戦い方が気になりますね!(本郷 刃)
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