十間君と向島さん~初詣で会いましょう~ |
十間君と向島さん
〜その後もまた会いましょう〜
●初詣で会いましょう編
「あ!十間君!こっちこっち!」
身長の高い彼を見つけるのは、簡単なのだけれど
向こうからこちらを見つけるのはきっと難しいと
思うので、大げさに手を振って呼んでみた。
気付いてくれただろう、彼が笑顔で手を振り返してくれる。
「…お、おぉ!?」
段々とその姿がはっきりしていくとあることに気がつく。
もしかしてもしかすると。
「おはようございます。」
「…お、はよ…」
「?」
「いや…それ…着物じゃん!」
彼が着ているのは深竹月の着物に紺のトンビコート
硬くなりすぎず、やわらかく着こなしている姿は…思わず見惚れてしまう。
そしてあの高身長だ、彼は気付いてないが隣の女の子はチラチラと見ているんだぞ。
「あ、あぁ…これ祖母が…」
「へー似合ってんね!」
近くで見るとより一層眩しく見えてしまうのは俺だけだろうか?
俺より年下なのにさ。
「向島さん。」
「へ?」
少し悶々と考えていると、変な顔をしていたのだろうか
不安そうに顔を覗かれた。
「大丈夫ですか?もしかして人に酔ったり…」
「あ、いやいや違うよ!大丈夫だよ!」
「なら良いですが…向島さんも着物なんですね。似合ってます。」
「あ、ありがとう…へ、くっしゅん…はは」
彼とは違って羽織にマフラーを巻いただけだったので、くしゃみが
出てしまった。空は気持ちいほどの天気だが、季節には逆らえない。
冷たい風が通る。
「向島さん。」
スッと目の前に影ができれば、首元にあるマフラーが外され
ゆっくりと、俺の首に巻かれる。
「…マフラーを巻き直しました。さっきよりは暖かいかと。」
「あ、あぁ…ありがとう。」
巻き直してくれたマフラーはさっきよりも綺麗に巻かれていて暖かい。
でもそれはマフラーのおかげなのか、それともこの顔の熱さのせいなのか、分からない。
少し顔を埋めながらもう一度お礼を言うと、彼が驚いた顔をした。
頬はほんのり赤い。
「…行きましょうか。」
「う、うん!あ、おれ食べたいものあるからお参りした後いい?」
「いいですよ。」
少しずつ君との距離を近づけたくて、
少しずつ君とのことを知りたくて、
自分のことで新しい君を見つけるのが
こんなにも嬉しく思ったりする。
…今年はどんな君に会えるのでしょうか、神様?
「お!あんみつたい焼きだって!食べよー!」
「…甘そうですね…。」
終わり
説明 | ||
この作品は、よしづかまやこ先生の『今日は早く帰ろう』に収録されております『停車駅で会いましょう』の二次創作でございます。 この2人が大好きで…!ツイッターで先生が2人のイラストを描いてくださった時の私の顔は相当酷かったものだと思います← そして今回、そのイラストから私が勝手に妄想したものを文章として残させていただきました! 先生、快く許可してくださりありがとうございます! |
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