英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 900 |
その後ロイドは仲間達と共に協力し合い、終点に到着した。
〜戒の領域・最奥〜
「―――至ったか。」
最奥に到着したその時、聞こえてきた声を聞いたロイド達は声の主―――アリオスに近づいた。
「―――アリオスさん。」
「もう、あの長官の格好はしてねぇんだな……?」
「クロイス氏の要請とはいえ、元々、無理のある人事だからな。独立国の無効宣言があった以上、俺にあれを着る資格はない。」
ランディの問いかけにアリオスは静かな口調で説明し
「……アリオスさん。今、クロスベル……いえ、ゼムリア大陸がどのような状況になっているのかご存知ですか?」
エオリアは真剣な表情で尋ねた。
「―――エオリアか。お前がロイド達と共に”ここまで”来るとは予想外だった……まさかお前が俺を阻む者になるとはな…………」
エオリアに見つめられたアリオスは答えた後エオリアを見つめ
「―――私はクロスベルの遊撃士として……そして己の無力感を救ってくれたセリカさんの為に、例え相手が貴方でも刃を向けさせてもらいます……!」
見つめられたエオリアは決意の表情でアリオスを見つめていた。
「フッ……なるほどな……お前が行方不明になった要因にまさかセリカ殿達が関係していたとは……想定外だ。それにセシル。やはりお前も来てしまったのか。」
「……ええ。今度こそガイさんの件の”真実”を答えてもらいますよ。」
「………………」
セシルに見つめられたアリオスは目を伏せて黙り込み
「……………………やはりお前達も俺を阻むか、ルファディエル……それにフェミリンス。」
すぐに気を取り直して厳しい表情でルファディエルとフェミリンスを見つめ
「その様子だと随分前から、私の事を警戒していたようね……」
「――――当然ですわ。”人の身”で因果を操る不相応な事を……”神”が許すと思っているのかしら?ディーター・クロイスが”六銃士”に殺されたのも、”人の身”で因果を操ろうとした愚か者の末路と言ってもおかしくありませんわ。」
見つめられたルファディエルとフェミリンスは厳しい表情で答え
「……確かにあの者の死もまた自然の”理”と言ってもおかしくはあるまい。過去、”至宝”を悪用しようとした者達は例外なく何らかの形で”裁き”を受けている。」
「…………」
フェミリンスの答えを聞いて頷いて呟いたツァイトの話を聞いたエリィは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「……何だと?クロイス氏が……?まさか…………」
フェミリンスの話を聞いたアリオスは信じられない表情をした後ロイド達を見つめ
「―――今のクロスベルは局長……いや、”ヴァイスハイト皇帝”と”ギュランドロス皇帝”が宣言した通り、”クロスベル帝国”になり……ディーター・クロイスは二人に”処刑”された。」
「……そしてメンフィルとクロスベルの連合軍によって二大国は本日、滅ぼされる事になるであろうな……」
「なっ…………!?―――!?まさか貴方は…………”光の剣匠”―――アルゼイド子爵!?何故ここに…………」
ダドリーとヴィクターの説明を聞いて驚き、そしてヴィクターを見て信じられない表情をした。
「………様々な理由により彼らと共に此度の決戦に同行させてもらった。―――このような形でそなたと邂逅する事になるとは非常に残念だ……”剣仙”殿が誇っていた弟子の一人にしてあのカシウス卿の弟弟子……それもトヴァル殿やバレスタイン教官も尊敬していた遊撃士であったそなたが今回のような大悪事に手を染めるとはな…………」
「……………………今の私は国防長官でも、遊撃士でもなく……ましてや八葉の剣士でもなく……ただの無類の剣士としてここに立っている……そう思って頂いて結構です。」
ヴィクターの問いかけを聞いたアリオスは静かな表情で答えた。
「マクレイン……」
「どうしてそこまで……」
「……律儀すぎです。」
アリオスの答えを聞いたダドリーは真剣な表情になり、エリィは複雑そうな表情で疲れた表情のティオと共にアリオスを見つめていた。
「……はは、参ったな……聞きたい事が色々ありすぎて整理できていないんですけど……まずは”答え合わせ”をしても構いませんか……?」
その時ロイドが苦笑しながら一歩前に出てアリオスを見つめて尋ね
「ああ―――元よりそのつもりだ。聞くがいい……ただ一つのことを除いて全てに答えよう。」
尋ねられたアリオスは頷いて答えた。
「それでは…………辛いことを聞くようで申し訳ありませんが……5年前の”事故”について教えてもらえませんか……?」
「ああ……もはや隠す必要もあるまい。5年前、東通りで起きた運搬車の爆発事故……お前達も気付いているように、あれはエレボニアとカルバードの諜報戦の結果として起きたものだった。」
「やはり…………」
「何の罪もない民人(たみびと)まで巻き込むとは愚かな事を……」
「……権力争いで真っ先に巻き込まれて被害を受けるのはいつも”弱者の立場”である民なのはどの時代も同じですわ……」
アリオスの話を聞いたエリィは複雑そうな表情をし、ヴィクターとフェミリンスは重々しい様子を纏って呟き
「……………………」
ダドリーは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「フフ、当然一課ではその事実を把握していた筈だな?そしてエレボニア・カルバード派に配慮した上層部の判断で、当然のように握りつぶされたわけだが………その事自体に失望はあっても今更恨みはない。」
「……言葉も無い。」
「アリオスさん……」
アリオスの話を聞いたダドリーは疲れた表情で呟き、エオリアは複雑そうな表情をしていた。
「……それでアリオスさんの奥さんとシズクちゃんは……」
「ああ……サヤの命は失われ、シズクの光は奪われた。」
複雑そうな表情をして呟いたティオの言葉を聞いたアリオスは重々しい様子を纏って頷き
「……アリオスさん。何故、一度は眼が見えるようになったシズクちゃんを退院させなかったのですか?あのまま眼鏡をかけていれば、普通の生活ができたのに…………」
「……あれは俺の”我(が)”を通した愚かな結果としか言いようがない。シズク自身は満足していながらも、俺は満足できなかった…………その結果が以前の手術の結果だ。」
「……………………」
「……視力がわずかとはいえ、戻っただけでも”奇蹟”だというのに、欲を張ったからそのような結果になったのだ。」
自分の問いかけに答えたアリオスの答えを聞いたセシルは疲れた表情で黙り込み、ツァイトは厳しい表情で呟いた。
「……もしかして今回の事件を起こした原因の一つはシズクちゃんの眼を治す為ですか……?」
そしてエオリアは複雑そうな表情で尋ね
「……それも要因の一つにはある。シズクの眼を治すにはもはや”奇蹟”に頼るしかないのだからな…………その”奇蹟”を持っていながらも、特定の人物達の為にしか使わない”女神”もいるようだがな…………」
尋ねられたアリオスは答えた後真剣な表情でフェミリンスを見つめ
「……私に責任転嫁までするとはつくづく愚かな男ですわね。―――”神”は全ての人々に対して平等でなければなりませんが……”神”とて心がある存在。私がエステル達に助力しているのはあの娘達にあの娘達が生きている間では返し切れない恩があるだけの事。」
見つめられたフェミリンスは呆れた表情で答えた後真剣な表情でアリオスを見つめ
「なっ!?エステル達が”神”が”恩”と思うほどの事をしただと……!?」
フェミリンスの話を聞いたアリオスは信じられない表情をし
「”神”が特定の者達に助力するのはそれ相応の理由があるのです。元は一流の捜査官だったというのに、そんな簡単な事も推測できないとは………やはり己の欲の為に信頼を寄せられている者達を裏切り、邪悪なる道に走った愚か者ですわね。」
「……………」
フェミリンスに蔑まれ、厳しい表情でフェミリンスを睨んだ。
「あれから5年……両国の諜報機関が整備された事に加えて、メンフィル帝国まで関わって来た事で無為な破壊工作は無くなったが………数十年に渡る暗闇の結果、サヤたちと同じような被害者は少なからず出ていた。ロイド――――お前の両親やイアン先生の家族も含めてな。」
そしてすぐに気を取り直したアリオスは説明を続け
「!?」
「なんだと……!?」
「ロ、ロイドのご両親が!?」
「……初耳です…………」
「わ、私も初めて聞いたわ…………」
アリオスの口から出た予想外な事実を聞いたロイドは目を見開き、ランディやエリィ、ティオは驚き、セシルは戸惑い
「………………」
ルファディエルは真剣な表情で黙っていた。
「フッ……動じないという事は…………まさかその件までお前は知っていたのか?」
ルファディエルの様子を見たアリオスは静かな笑みを浮かべて尋ね
「へ…………」
アリオスの問いかけを聞いたロイドは呆けてルファディエルを見つめ
「ええ。以前ロイドと共に捜査一課に一時的に配属された時に過去の事件の資料は全て頭に入れたわ。その時の資料にあった”事故”の被害者でロイド達の両親がいたのも覚えているわ。」
尋ねられたルファディエルは頷いた。
「何だと?全く……相変わらず油断も隙もない女だな…………」
一方ルファディエルの答えを聞いたダドリーは眉を顰めた後呆れた表情で溜息を吐いた。
「あら。今後起こる事件解決の為に”情報”を仕入れるのは当然でしょう?」
「まさに異名通り”叡智”よね……幾らさまざまな事件に関わっている遊撃士(私達)でも全ての事件を覚えていられないわ。」
笑顔で答えたルファディエルの答えを聞いたエオリアは苦笑していた。
「俺の両親は……15年前、就航したばかりの飛行船の事故で亡くなっている……俺は物心ついたばかりでほとんど覚えていないけど……じゃあ、その時に……イアン先生の家族というのも?」
「ああ、奥さんとお子さん二人がそれに乗っていたと聞いている。俺にはシズクが残されたが……全てを失った彼の嘆きと哀しみは想像もつかないくらいだろう。そしてその時、ガイとイアン先生も同じ遺族として知り合っている筈だ。」
「…………………」
自分の問いかけに答えたアリオスの話を聞いたロイドは真剣な表情で黙り込み
「その情報は一課でも把握されていなかった……」
ダドリーは疲れた表情で答えた。
「……そして5年前の事件の後、俺は警察を辞め、遊撃士協会の門戸を叩いた。警察への失望、シズクの入院費用の捻出、色々と理由はあったが……単にサヤを失った哀しみから逃れたかっただけかもしれない。その気になれば幾らでも遊撃士の仕事に没頭することでな。」
「アリオスさん…………」
そしてアリオスの説明を聞いたロイドは真剣な表情で黙り込み
「ずっと疑問に思っていた事があったんです。どうしてディーターさんたちと貴方の存在が結びつくのかと。」
次の質問をアリオスにした…………
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第900話 |
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総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1301 | 1230 | 2 |
コメント | ||
感想ありがとうございます 匿名希望様 言われてみればそうなのでフェミリンスの反論を増やしてみました 本郷 刃様 まあルファ姉ですしww(sorano) やはりルファ姉は黒いな〜・・・さすがともいえるけどw(本郷 刃) 責任転嫁というわりにはアリオス自身が自分に非があったことを自覚していますし。寧ろ今のフェミリンスには以前と違い特別な存在ができている以上、他と大切な人達を天秤にかけることすらあるでしょうからそういう意味で、アリオスの発言は極端にしろ確かに特定の人々を贔屓していることを認めた上で反論して欲しい(匿名希望) アリオスは自覚しながら間違った道を驀進している大馬鹿ですが、責任転嫁ではないのでは…?ただ力のある人は自分の意思でしかその力を振るわないことを知ったから、自分自身で(まあキーアの力ですけどw)どうにかしようとしているだけで(匿名希望) |
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