屍食教典儀(Cults of the Ghouls)中編 |
屍食教典儀 (Cults of the Ghouls) 中編
1.飢餓等による食人(続き)
飢餓による食人は全世界にあるが時代が明確に紀元前から食されたとわかる記録は中国の史書に多く中世ヨーロッパまでは悪魔に連れて行かれた子供等と称して(トロルの交換子供・妖精の神隠し)と詭弁をいって食人の事実を隠蔽していた。
古くは紀元前に『韓非子』の一文では「紂為肉圃、設炮烙、登糟丘、臨酒池、翼侯炙(あぶり肉)、鬼侯臘(干し肉)、梅伯醢(塩漬け肉)」という記述が見られる。この「醢(かい)なる言葉は塩漬け全般を指す語でもあり、獣肉の料理を指すこともあれば、見せしめのために塩で防腐した遺体を指すこともあり、必ずしも人肉食を指さない.場合がある。
しかしそれ以前、孔子が高弟子 子路が醢(かい)になったときに家にある孔子の大好物である醢(かい)を全て捨てたとの故事がある。これを孔子が人肉で作った醢(かい)」を好んで食していたとの確信はないが、孔子は身分の隔てなく授業料として束(干し肉)を受け取っていたが。貧しい者が牛・羊等の家畜の干し肉を手に入れることができるか。また当時の情勢から親族以外は食べるという悪習があった。(これについては2章食材調達とその調理方法についてで説明)
さらに、孔子は復讐について論じている話では、仇を殺すだけでは孝行ではなく、その血肉を喰らってはじめて孝行になると言っている。また孔子は仕官できない為、孔子の台所事情も悪く必ずしもよい食事を取っていないと考えられる。以上のことから、多くの弟子を抱える孔子は安価な人肉を頻繁に食していたのでないか憶測がされている。
蛇足だが「醢(かい)」の作り方は
肉の筋・脂肪をそぎ、赤身を千切りにして、同等の麹と塩をいれ3ヶ月暗いところで保存しておく。毎日かき混ぜ、食する1〜2時間前に美酒で麹等を洗い食す。人間ではなく牛の醢(かい)を食べた人の感想としては味は塩辛いユッケのような感じだとこと。
2.呪術的目的による食人について(ダレット伯爵家に伝わる呪われた伝説ついて)
人肉を喰らうことによって、その人肉が待っていた能力を獲得する。怒り・復讐のための食人、儀礼的(供物)としての食人または治療目的の食人等が挙げられる。
たとえば、完全版グリム童話の白雪姫では女王は猟師を呼び出すと、白雪姫を殺し、証拠として彼女の肝臓と肺臓(※作品によっては心臓となっている)を取って帰ってくるよう命じる。しかし猟師は白雪姫を不憫がり、殺さずに森の中に置き去りにする。そして王妃へは証拠の品として、イノシシの肝臓(※心臓の場合には若鹿の心臓となっている)をかわりに持ち帰る。王妃はその肝臓(心臓)白雪姫のものだと信じ、大喜びで塩茹にして食べる。
ここで注目すべきは、女王が白雪姫の肝臓を食べることにより白雪姫のその美貌を継承するという考えと猟師が若い娘の肝臓はイノシシの肝臓と同じ食感(心臓では若鹿の心臓)をもっていると言う人肉料理の知識がある点である。すなわち当時の猟師には人肉料理に関する知識を普通に身に着けていたことが暗喩されている。
ダレット伯爵家に伝わる伝説では大航海時代、船乗りの物語に未開な部族に襲われ食べられるという話があるが、これは誇張ではなくラテンアメリカ等において前記1の飢餓以外に威嚇行為としての食人がある。これが発展されて死体に死鬼を憑依させ使役させる方法がインドで魔術として3000年前に確立されていた。
魔術は一見、非合理的迷信的である反面、合理的な側面をもっている。インド魔術の起源はバラモン教の経典である「ヴェーダ(訳:知識)」を言い、知識は「ヴィドゥヤー(訳:明)」と言う。真言・マンタラ等の呪文を指す。インド魔術の根底には呪文こそが知識、魔術の真髄であるという確信がある。ただし、効果的な呪文を唱えるにはそれにふさわしい”力”の持ち主が望まれる。ここでいう”力”とは”念力(神通力)”をいう。
インド魔術の方法はこの念力をいかに獲得するかに帰着する。そこで数々の”魔術的ヨーガ”を集大成したのが「タントラ」である。インド魔術は3000年以上の長きにわたって編み出され星占いから性愛術までかなり広い分野に及ぶ。
死体を運ぶ王と死鬼の対話を綴った話では、ヨーガ行者が死体を手に入れ、それに呪法を行い、神通力を得ようとした話である。つまり、祭壇を作って死体を荘厳し、そこに死鬼を憑依させ生贄供えて祈る。
このときに必要な犠牲は人間の首と心臓で、祭壇には血を塗り四方に血を満たした容器を置かなければならない。死鬼は血を好むと信じられ、そのため祭壇の前で殺人が行われるのである。
※死霊崇拝のマンタラ
死鬼に供える物は髑髏の容器に盛り、献げる香は人間の目玉を焼く煙だ。また灯明の油も人間の脂肪でなければならない。死体を置く祭壇には、人骨の粉末でマンタラを描き、死体を仰向けにして置く。そして死体の胸に座し。人骨でできた匙で死体の口に溶けたバターを注ぐ。すると死体の口かた火を噴出すがそれに驚いてはいけない。
むしろ、剣を抜いて死鬼を脅迫すべきなのである。このような勇敢な者であってはじめて神通力を得ることができる。
資料としては、中国の食人については豊富に記録があることから2章にで細かく言及し、本文では中世ヨーロッパの食人と霊による憑依により食人行為をしたケースを論ずる。
○【ユダヤ民話 ディビューク (Dybbuk)悪霊憑きについて】
ディビュークとはユダヤ民話に登場する死霊・悪霊等の邪悪なもの封じ込めた箱の名前を言う。ディビュークが着目されたのは2004年7月25日のLAタイムスにeBayで小さな小箱を売りに出した大学生の忌まわしい経験談が紹介された。インターネットオオクションにこの箱が出展され、持ち主の逸話により信憑性に興味をもった神秘主義者や霊媒師、オカルトマニア等に本件が注目された。
※ディビュークの箱
※箱の中身
箱の中には二つの髪束、御影石、乾燥したバラの蕾、ゴブレット、二つのコイン、燭台、そしてイディシュ(東欧州のユダヤ人)民話で有名な霊魂が一つ入っていた。この箱を開けてから被験者は気味が悪いぐらい髪の毛が抜け始めるなど身体に異常な状態が起こり始めた。
一般にはディビュークに封じるのに使われる箱は縦30cm横50cm高さ40cmのレバノン杉で作られている。箱周りにはダビデの星、ユダヤ教の聖句等が刻まれている。なかには内蓋裏には鏡が貼り付けれおり箱の中には触媒となる人形、2本の蜜蝋と灯籠、縫い針、被験者の髪・爪、愛用している銀製の指輪・貴金属等が入れられる。
※ディビューク(悪霊憑き)の旅人
ディビューク(悪霊憑き)になると少女でも大人なみの力を持ち、人を襲いその血肉を喰らうようになる。ユダヤ教では被験者の家に入るごとに、メズーザーに手を当てて祈る。それをしない場合には悪霊等のような力に負けて司祭(ラビ)は絶命してしまう可能性があるという。
ユダヤ系の考古学に詳しい大学教授からこの箱は1920年代のポーランドのユダヤ人の手で作られたもので、この世ならぬ邪悪なものを封じ込める箱だと言う。箱の上書き「ディビューク」とは「封じられた霊」だ。
青年はLAの正統派ユダヤ教の長老に助けを求めた。しかし長老は怯え「その魔物はとりついた相手と一体となり肉体も魂も喰い尽してしまうだろう」と助言だけだったとのことで祓うことは現在では難しい。
そもそもディビュークとは大きな罪や痛ましい自殺のために(最後の)審判を免れた、浮かばれない魂である。ディビュークはニヤニヤ笑う悪霊で狂気に満ちた目と、操り人形のように痙攣し揺れ動く血のように赤い手を持つ。
ゴーストのように定命のものの世界に漂っており、永遠にその魂に刻まれた大いなる過ちを正すという愚かな願いを果たそうとしたり、永遠に直面することを運命付けられた苦痛を単に拡散したりする。実体がなく彷徨っているがゆえ、肉体が無く、盗んで苦痛をはみ散らかすために延々と定命のものや命のない身体を探し求める間に、ディビュークは次第にその苦しみと怒りを強めていく。
汚らわしい操縦者である彼らは、苦痛をもたらすために犠牲者の近くにある素晴らしい潜在力を持つ肉体を探している。その仲間を破壊したり内部から無辜なるものに拷問を加えて導く者の意図を変えることで喜びを得る。ディビュークはまた恐怖を撒き散らすために命を持たない物体を活動させる。混乱し恐怖させるために死体を操り、引き起こされた混乱を大いに楽しむ。彼らが選んだ犠牲者を苦しめるために永遠の全てを持つことに気づいているものがほとんどだ。そして生きた目標を何週間も何ヶ月も静かに待ち続け、新たにその恐怖を引き起こす瞬間を待ち続けているのかもしれない。
○【ヴァランティーヌの結髪】
これは肉体をもたない幽体に対して手傷を負わせる効果のある鞭となる。また髪の持ち主の念(信仰心)が高いほど効果も大きい。2ペーキュス(約90cm)の長さに切った一握り女の髪、これを三つ編みにする。オリーブから採った油 月桂樹の葉を燃やした灰、なお女の髪は12歳以下の処女の持つ髪が望ましい。
○【ヴァランティーヌの結髪を使った異形の神に礼拝方法】
(名も無い幾つかの小神について、その礼拝の方法や怪しげな奥義などが記載、翻訳不可能な単語があり不明点は○で伏せている)
※異形の神の礼拝
【儀式をする日取り】
オリオン座が天球に出ており、月が満月の夜 火星が黄道にある時期
儀式をする周辺にY字型で、長さ19.5インチのハシバミの枝で大きく円を描くこのとき、ヨハネの黙示録21章17節を唱えながら周辺の邪気を払う。
中央に石の台座を設け、乳香を焚き、髪、オリーブ油、灰を入れた銀製のカップと2台の蜜蝋のロウソクを燃やす。作業としては石の台に三つ編みをした髪を置き、満遍なく髪に油が馴染むように塗りながら下記の
呪文をとなえる。
一篇が終わったら灰をかけ、また油を塗り固めるということを繰り返す。
【儀 式 次 第】
黙祷
讃美歌 312番
聖書 詩編91編1−16節
主の祈り
聖書 ヨハネによる福音書8章31−32節
祈祷詩(日本語訳)
主よ、感謝いたします。
今日いのちが与えられ、生きていることを感謝いたします。
私たちに与えられている恵みを感謝いたします。
私たちが受けている試みを感謝いたします。
主よ、○○○○の心を解き放ってください。
この○○○○とらわれている心を自由に解き放ってください。
この○○○○に不幸を見いだしてしまう彼の心を、目覚めさせてください。
主よ、○○○○の心に、不幸を遠ざけ、幸福を呼び寄せる力を宿らせてください。
主よ、彼に明るく強靭な光のような心を与えてください。
○○○○の毎日のくらしを守り導いてください。
彼がいま抱いている企てを、御心にかないましたら、かなえてくださいますように。
この感謝と願いを、イエス・キリストの御名によってお献げいたします。
アーメン。
宣言
もうこの○○○○には呪いがかかっておりません。
この二度とこの○○○○を見てと不幸を見いだすことがありませんように。
アーメン。
聖書 マタイによる福音書7章7−11節
頌栄 541番
祝祷
黙祷(後奏でもよい)
1798年版の式次第によると朗読される箇所は以下の通り。
詩篇53
ヨハネ1章1-14節
マルコ16章15-18節
ルカ10章17-20節
ルカ11章14-22節
ルカ1章46-55節 (Magnificat マリアの賛歌)
ルカ1章68-79節 (Benedictus ザカリアの賛歌)
その他以下の詩篇の中から選んで朗読される場合もあるが必ずしも読まれなくてもよい。
詩篇3、10、12、21、30、34、53、67、69、90、117
祓魔式は聖書朗読だけでなく、諸聖人の連祷に始まり、数々の祈りから構成されている。
朗読が占める割合は半分程度となっている。
(続く)
説明 | ||
この本書は、アジア最大の古本屋街神保町で発見した書の翻訳・編集したものである。世界の真実を知り、精神が耐えられない者は本書を閉じ、この本の存在を忘却すべきが最善である。だが、世界の秘密を知り、一時的発狂を受けてでも本書の禁断の知識を知りたい者は本書の禁断のページをめくるべし。 汝に幸あらんことを…… ekm様の作品をレスポンスさせて頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。 |
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