【獣機特警K-9UG】消えた密猟者(後編)【戦闘】 |
…ここはとある絶海の孤島。
この島の内部ではなにやら怪しげな実験が行われていた。
連れてこられた動物たちは無惨に殺されていた。
よく見るとその身体には噛み砕かれたようなあとがついている。
その中央には、なにやら巨大な生物体がうねり、吼えているようだった。
「フフフ、ここまで寄せ集めた甲斐あってずいぶん立派になったモンじゃねえか」
数人の科学者とともにその様子を見ていたのは、ブラッドファミリーのボス、スレイ・ブラッドだ。
スレイの目に映っているのは、ゾウより巨大で、オオカミやライオンより獰猛な生物。
それはまぎれもなく、遺伝子工学の産物…幻獣だった。
「あとはこいつを人の多い場所に送り込めば街を更地にできる。そんでそこにオレらブラッドファミリーの取り仕切る暗黒街を作ってやれば大もうけだぜ!ハーッハッハッハ!!」
その時、大笑いを浮かべるスレイの背後の扉が開き、光が差し込んだ。
「なるほど。そういうことだったのか」
「そんな恐ろしい計画を企んでいたなんてね」
声の主はK-9隊のジョナサン・ボーイングとイシス・ミツザワ。
「げっ!くそっ、どうしてここがわかった!!」
焦るスレイに、隊長のクオンが切り返す。
「ノワールが僕のもとに送ってきたんだ。お前たちの居場所と計画の全容をね」
さらに、ナタリア・フタロイミツィと煌月空、ベルタ・カシイ・アインリヒトが続く。
「動物さんたちをこんな化け物の材料にするなんて…許せません!」
「ましてやそれを使って沢山の人たちを踏みにじろうなんて、言語道断!!」
「あんたたちみたいな悪い奴、謝ったって許してあげないんだからね!!」
続いて、宮之陣竜矢、三沢颯、筑波未来が吼える。
「さぁ観念しろブラッドファミリー!」
「お前たちの好き勝手になどさせるもんか!!」
「どーすんの?投降するなら今だよ!」
しかし、スレイはすぐに落ち着きを取り戻したかと思うと、大声で笑い出した。
「ククク…クヒャハハハハハ!まったくめでてえ奴らだよ。ここを突き止めたのはお見事だが、残念だぜ。わざわざ死にに来るたあな!」
「なんだと!?」
「ちょうどいい。そろそろコイツも食後のウォーミングアップをさせてやらねえとな。…ベヒーモス!そこのクソ犬ロボットどもをスクラップにしちまいな!!」
スレイが指を鳴らすと、その幻獣…ベヒーモスはゆっくりと巨体を動かしK-9隊に迫る。
「恐れるな!総員制圧配備!!」
「了解!!」
負けじとクオンの指示で、戦闘態勢に入るK-9隊。
その時ベヒーモスが雄たけびを上げる。すさまじいその咆哮はK-9隊の鉄の身体にも響き渡った!!
「ぐっ…くそぉ、なんて音圧だっ…!」
「か、身体が動かない!!」
身動きが取れなくなっているソウとナタリアに、ベヒーモスが突進する!!
「うわっ!!」
「きゃあ!!」
「ソウ!ナタリア!!」
「はーっはっはっは!ベヒーモスの吼え声には気をつけな。ヘタすっとてめえらの回路も壊れるかもしれねーからよ、ん?」
そう言うブラッドは洞窟の外へ逃げようとしていた。
「待ちやがれブラッド!…ぐあっ!?」
すぐに追いかけようとするジョニーもまた、ベヒーモスの尻尾の一撃に吹き飛ばされ岩肌に激突する。
「ヒャッハハハハ!まあせいぜい苦しみながら仲良くあの世に行くこった。あばよ!!」
スレイはそう言うと、島の外へと逃げ去っていった。
「くっ…まったく逃げ足が速いヤツだわ…!」
「どーするのイシスお姉ちゃ…きゃあ!!」
ベルタに、ベヒーモスの蹴りが炸裂する。
「ベルタちゃん!…くっ!!」
咄嗟にビームカービンを構えるイシスだが、やはりベヒーモスの尾に弾き飛ばされてしまう。
「あうっ…!!」
「イシスお姉ちゃんっ!!」
絶対的なベヒーモスの力の前に、次々に弾き飛ばされ、苦戦を強いられるK-9隊。
その時、ミライがクオンの元に歩み寄って告げる。
「…ねえ隊長、突然ですけど昨日の『アニマルX』見ました?」
「作戦中だぞ!何を馬鹿なこと言って…」
「いいから黙って質問に答えてくださいよ。見たんですか?」
「そりゃ、娘が出てるし…毎週見てるけど…今はそんな話をしてる場合じゃ…って、ミライ?」
動揺するクオンの話も聞かず、アニマルXの話を続けるミライ。
しかし、その表情はいつものおちゃらけたモノではなく、クオンもその様子に気づき、思わず息を呑んだ。
「…じゃあ、その回で繰り出されたキメの技。覚えてますよね?」
「…まさか…『アニマハリケーン』?」
…それは『少女戦隊アニマルX』でのワンシーン。今回の敵は巨大な体躯をもつドカタヒューム。
「みんな!アニマハリケーンよ!!」
「おう!!」
アニマレッドの合図で、この頃すでにシルバーとゴールドが加わり7人となっていたアニマルXがフォーメーションを組む。
ユイが手にしているのはボール型の爆弾。それをチームがパスし、敵を翻弄しつつ繰り出す技だ。
「ゴールド!」
「よしきた!…シルバー、パス!!」
「キャッチ!…ホワイト!!」
次から次につながっていくパス。
ホワイトからイエロー、ブルー、ブラックへと続いていく。
「一気に決めて!レッド!!」
「ええっ!」
ブラックが高いパスを繰り出すと、レッドがジャンプし、トドメの一撃を食らわせる。
「アニマハリケーン…アターック!!」
強烈なアタックを顔面に食らったドカタヒュームは倒れ、そのまま爆発四散したのであった。
…話は事件現場に戻る。
「…あの技を使えば、もしかすると突破口が開けるかもッスよ!」
「…なるほど。これならいけそうだ!…みんな聞いてくれ!!」
クオンの叫びに、一同が反応する。
「チャンスは一度だけだ。ソラ、君のボール形爆弾を貸してくれ。チームプレイが肝心だ。今から作戦を説明する!!」
クオンの指示で輪になり、作戦内容を聞き取る隊員一同。
その表情には、一点の迷いもなかった。
やがて9人がベヒーモスに向き直ると、クオンが号令を飛ばす!
「いくぞみんな!ナインハリケーンだ!!」
「おうっ!!」
一同が敵を翻弄するかのように走り出す。
ベヒーモスは狙いを定めようとするが、目の前を右に左に動かれてはなかなか狙いが付けられない。
「ナタリアお姉ちゃん!」
「まかせてっ!」
最初のパスはベルタからナタリア。続いて、ナタリアからソウへパスが繋がれる。
「ソウ君!!」
「よしきたっ!…タツヤ!!」
「はいっ!…ジョニーさん!!」
「OK!!」
美しい軌道を描きながら繋がっていくパスはジョニーからミライ、ミライからイシス、そしてイシスからソラへと続いた。
ベヒーモスはさすがに面倒くさくなったのか、ボールを受け取ったソラめがけて尻尾を振りかざす。
その時、ソラが勢いよく空中に舞い上がると、それを合図にクオンも一段と高いジャンプで追いかける。
「隊長!今です!!」
「よしきたっ!ナインハリケーン…アターック!!」
ソラからのトスを受けたクオンが、強烈なアタックをベヒーモスの額めがけて撃ち込む!!
その次の瞬間、爆弾は炸裂し、ベヒーモスはしばしよろめいた後、その巨大な身体を大地に横たえたのだった…。
「やった!やったぞーっ!!」
歓声に包まれる洞窟の中。クオンはミライに歩み寄ると、肩に手を置きそっと告げた。
「ありがとう。なんだか知らないけど今回は君の戦隊マニアぶりに助けられちゃったねw」
「いや、うれしいんだか恥ずかしいんだか…」
だが、喜んでいたのもつかの間であった。
「しまった!スレイの奴、洞窟に爆弾を仕掛けてやがッた!!」
「くそっ…こうなることも想定してたってワケか!!」
一難去ってまた一難!絶体絶命のピンチに陥ったK-9隊はすぐさま出口に向かい走り始める。
「お姉ちゃん…目の前、海だよ…!」
「くそっ、こんなところで死ぬのかよ!!」
メンバー全員が絶望しかけたその時、一隻の船がこちらに近づいてきた。
ファンガルド海洋保安局の巡視艇『ラミナ・ネレウス号』だ!!
「K-9隊のみんな!早く飛び乗れッ!!」
「トモエ!なんだか知らないけど助かった!みんな、急いで飛び乗れ!!」
かくして、K-9隊は全員ラミナ・ネレウス号に飛び乗り、窮地を脱したのであった。
…近くの海岸にて。
「結局、ブラッドは逃げていきましたね…」
と、いまだ煙の昇る島を見てイシスがつぶやく。
「動物さんたちもかわいそうだけど…それを無理やり組み合わせて作られたあのベヒーモスもかわいそう…」
ベルタは、目に涙を浮かべる。
「でも一番許せないのは、それを使って多くの人の命を奪おうとしたブラッドファミリーです!」
「そうです!あいつらを放っておいたら…!」
と、ソウとナタリアも同調する。
その言葉を聞いたクオンは、ただ島のほうをにらみつけ、拳を握るばかりであった。
かくしてブラッドファミリーのおぞましい企みがひとつ潰えた。
だが、悪がある限り鋼の刑事たちに安息のときはない。負けるな!われらがK-9隊!!
説明 | ||
この事件、ブラッドファミリーが一枚かんでいた様子。 そしてミライの出した奇策とは!! ■出演 K-9隊のみなさん トモエ:http://www.tinami.com/view/636406 スレイ:http://www.tinami.com/view/553585 アニマルX(レッド・ブラック・ブルー・イエロー・ホワイト・ゴールド・シルバー)のみなさんmn |
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コメント | ||
そしてその技を取り入れるという提案をしたミライもまた功労者w(古淵工機) まさか特撮の技が役に立つとはww またしてもK-9隊の勝利! 正義に敗北の文字はない!!(Ν) |
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