バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第四十二話
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1番 近藤吉宗 サード

2番 横溝浩二 レフト

3番 木下秀吉 ファースト

4番 島田美波 セカンド

5番 須川亮  センター

6番 福村幸平 ショート

7番 姫路瑞希 キャッチャー

8番 坂本雄二 ライト

9番 冴島鋼牙 ピッチャー

 

 球技大会決勝戦。ここまで来たらもはやFクラスの闘志は消えることが無い。むしろ燃え上がっている。こういうところを普段の勉強面に使って欲しいと常に思うな。

『プレイボール!』

 審判の掛け声で一斉に挨拶をしながら皆は頭を下げる。

 こちらは後攻。まずは教師人の攻撃が始まった。

「姫路、分かっているが初回から容赦なく行く。」

「はい。翔子ちゃんのためにがんばりましょう。」

 初陣のバッターは布施先生。

「ははは・・・・・・。野球なんて二十年ぶりでしょうかね 。試獣召喚。」

化学教師 布施文博 VS Fクラス 冴島鋼牙

化学   501点    1300点

「なかなか・・・・・・・すごいですね。」

 布施先生も流石に苦笑いをしている。伊達に魔戒騎士の称号は持ってないことはこれで証明できるな。

 鋼牙の第一球、内角上すれすれのストレートを投げる。

「ストライク!」

 続いて鋼牙の第二球。今度は外角下すれすれのを投げる。布施先生はバットを振るがかすりもせずにスイングをする。

「ストライクツー!」

 第三球、鋼牙は無回転のボールを投げる。

(なるほど。さっきまで普通の球を投げていましたがここではその手は通用しません。)

 布施先生は余裕の表情で打つタイミングを見計らうがそのボールは予想だにしない軌道を描いた。グラグラとゆれながら下に下にと落ちてゆく。

「なっ!」

 野球経験者でもこのような変化球はめったに出てこないボール、ナックルである。 布施先生の召喚獣は前のめりになりながらスイングをするがボールはバットの先に当たりピッチャーゴロ。鋼牙の召喚獣はそのボールを拾いファーストに投げる。

「アウト!」

 まずはワンアウトを取る。

「次は僕ですか。試獣召喚。」

現代国語教師 寺井伸介 VS 冴島鋼牙

化学     211点    1300点

 鋼牙はサインで姫路に指示を送るが姫路は思わす声を上げてしまう。その光景を教師達は見逃さなかった。

 鋼牙の第一球、真ん中に投げられた遅いストレート。寺井先生は余裕の表情でバットを振るが空振ってしまう。

「ストライク!」

 寺井先生は何が起こったのかわからなかった。

 続いて第二球も同じ場所に投げるが寺井先生は空振りをする。

「ストライクツー!」

(な、何故だ!何故当たらない!)

 疑問を抱いた。いかさまはで出来ないし物理干渉はまず不可能。コンピューターをいじるのでさえ無理と思うと何が起こっているのかすらわからなかった。

 しかしこのとき気付いていなかった。物理干渉で操作技術の長けている鋼牙のみこの技が出来ることに。

 そして第三球、ど真ん中にボールを投げるが寺井先生は空振り三振になる。

「ストライク!バッターアウト!」

 これで2O。続くバッターは高橋先生だ。

「寺井先生、わざと打たなかったんですか?」

「いやそれが・・・・・ど真ん中に来たと思って振っても当たらないんです。ちゃんと見ているのに・・・・」

「そうですか。わかりました。」

 寺井先生とすれ違い様に高橋先生は話した。

「試獣召喚。」

学年主任 高橋洋子 VS Fクラス 冴島鋼牙

化学   801点    1300点

「さすが鋼牙くんと言ったところですね。教師の私も追いつけていません。」

「いやいや、頑張っていると思いますよ。」

 鋼牙の第一球、内角低めの遅いストレートを投げる。高橋先生の召喚獣は振るが空振る。

「ストライク!」

 続く鋼牙の第二球、今度はど真ん中である。高橋先生はバットの下で打ちサードゴロになる。

「まかせろっ!」

 近藤が近づきボールを拾おうとするが・・・・・

「うおっ!」

 スイングの際に生じた突風で鋼牙と姫路、そして外野にいた召喚獣以外吹っ飛ばされた。

『なんじゃそら〜〜〜〜〜!』

「くそっ!」

 鋼牙の召喚獣は急いでボールを拾おうとする。

「高橋先生、今なら二塁打ですよ。」

「わかりました。」

 高橋先生はそのままマウンドを歩いて二塁の方へと脚を進める。

「・・・・・・高橋先生、アウトです。」

「なぜですか?」

「そういうルールだからです。」

 ・・・・・・この人は本当に頭がいいのかつくづく思ってしまうな。

 攻守が変わり次は2−Fの攻撃。近藤、横溝、秀吉の三人はバッターとして出るが見事三者凡退であった。せめてファールを出してくれ。

 二回表の科目は世界史。4番は西村先生。子の人に関しては超人的身体能力を持っていると言ってもいいくらいの力を持っている。

「試獣召喚。」

補習教師 西村宗一 VS Fクラス 冴島鋼牙

世界史  741点    1309点

「まさかこのような形で戦うことになるとはな。」

「組み手以外で戦うのは久しぶりですからね。」

 鋼牙の第一球、ど真ん中の遅いストレート。西村はバットを掬い上げる形で振るとボールは姫路の召喚獣の後ろに飛びファールになった。

「まさか俺が気付いてないとでも?」

「いいえ。でも勝負は終わっていません!」

 第二球、鋼牙は内角高めの遅いストレートを投げる。西村先生はそのボールを振らずに観察する。

「ストライクツー!」

(ふ、冴島。貴様がなにをしたのかは分かっている。貴様は操作技術を応用した低回転ボールをしたことは明白だ。つまり投げたボールのバット一つ分下を打つ。それが勝利の鍵だ!)

 西村は確信をしていた。鋼牙は第三球を投げる。ボールはど真ん中。西村は下に落ちると想定しバットを振った。

しかしボールは上に浮き、姫路のミットに入る。

「ストライク!バッターアウト!」

 観客の歓声が湧く。

(ま・・・・・・まさか私の検討ちが・・・・・・・はっ!ま、まさか!)

 西村はこのときに気付いた。鋼牙がさっき投げたのは低回転ボールではなく、高回転ボールであることを!

 低回転ボールは普通に投げるボールより抵抗が掛かるため早くしたに落ちる。しかし高回転ボールは空気抵抗を軽減しボール軽くする。正確に言うとボール自体の重さは変わらないがボールに掛かる空気の重さを軽減すると言ったほうが正しい。

(してやられた・・・・・・・と、いうところか。)

 西村は見事に鋼牙に今負けたことを悟った。

(だが試合は始まったばかりだ。今度は打つぞ。)

 続くバッターは保険教師の大島先生。

「試獣召喚。」

保健体育教師 大島武 VS Fクラス 冴島鋼牙

世界史    233点   1309点

 第一球、内角低めに投げる。大島先生の召喚獣は強引に引っ張りファールにする。

「なるほど。自分でするのとは大分違うようだな。」

 大島先生が小さく呟いた。第二球、鋼牙はど真ん中を投げる。

「遅い!」

 大島先生はど真ん中よりバット一つ分下を振る。大島先生も気付いていた。しかし鋼牙の投げた弾は上に浮くように進み、大島先生のバットの上をかすめ、ピッチャーフライになり鋼牙がキャッチする。

「アウト!」

 これで2O、後少しで交代だ。続く長谷川先生も三振し交代になる。

 こうして攻守は続きどちらとも0−0のままついに九回表、科目は日本史。西村先生の打順。ランナー二塁、2O1S2B。第四球を投げたときであった。

「ホームラン!」

 西村の撃ったボールが場外ホームランとなった。

「甘かったな、冴島。」

 次のバッターを三振にし、Fクラスの攻撃が始まった。須川及び福村は三振になり2O。次は姫路の番である。

「姫路、ちょっと。」

「?」

 鋼牙は姫路の耳元でささやく。

「そ、それって・・・・・」

「この状況を奪回するために頼む。」

 鋼牙は頭を下げる。その姿に姫路は折れた。

「・・・・・・・わかりました。今回だけですよ。」

「すまない。」

 姫路は召喚獣を召喚する。

「試獣召還。」

保健体育教師 大島武 VS Fクラス 姫路瑞希

日本史    213点   441点

「プレイ!」

 姫路は内角のボールは毎回空振りをしていた。そのことは大島先生にも分かっていることであり、初球はそこを突くのは最初から計画されている。

 大島先生の第一球、内角のボール、姫路の召喚獣は内側により、ボールに当たる。

「デッドボール。」

 姫路の召喚獣は一塁に回る。

(殺気当たってきたな・・・・・・・姫路の行動は流石に講義しようと思ったが私も同じことをしていた。これには敬意を表そう。)

 続くバッターは雄二、雄二に鋼牙はアドバイスをする。

「そんなんでいいのか?」

「ああ。多少警戒心は薄れるかもな。」

「かもなって・・・・・まあ掛けてみるか。」

 雄二は召喚獣を召喚する。

「試獣召喚。」

保健体育教師 大島武 VS Fクラス 坂本雄二

日本史    213点   251点

 雄二の召喚獣はファーストにバットの先を向ける。

(これは・・・・・・・なるほど。冴島の考えはファーストに警戒を寄せ、サードにバントをして類の人数を稼ぐ気だな。)

 大島先生はサードにサインを送り警戒するように指示する。

 大島先生は外角低めにボールを投げる。その時雄二は驚くべき行動に出た。なんとスクイズを行いファーストに転がした。その光景に大島先生を含む教師は驚く。ファーストを担当していた先生は対応が遅れ、雄二の出塁を許してしまう。

 2O0S0B、ランナー一、二塁。

「さてと。」

 鋼牙がバッターボックスへと向かおうとした瞬間であった。

「タイム!」

 西村先生がタイムをかける。

「ピッチャー大島先生からキャッチャーを西村に。」

『なにぃぃ〜〜〜〜〜〜!』

 観客や Fクラス全員が驚いた。

「ふっ。冴島、ここで貴様を抑えればこちらの勝ちなのでな。」

「どうしても勝たせない気ですか?」

「当たり前だ!流石にこいつらの行動を見て分かるだろ。」

「確かに・・・・・・同情はしますね。」

「「試獣召喚!」」

補習教師 西村宗一  VS Fクラス 冴島鋼牙

 西村の第一球、力強いストレートが大島先生のミットに入る。

「ストライック!」

 さすが西村先生と言ったところかな?初球から勝負か。

 続く第二球はど真ん中に同じ球が来る。鋼牙はバットを振るがかすってしまう。

「ファール!」

 続く第三球も同じ場所にボールが来る。鋼牙は再度バットを振るが棚の勢いに負けてしまい、かすってしまう。

「ファール!」

「ファール!」

「ファール!」

 もう十球近くあれから投げたであろうか?已然としてカウントは2O2S0B。観客の視線が二人に集まる。鋼牙の手はフィードバックでもう痺れていた。

(普通のバットの持ち方じゃ・・・・・・・・・すぐに手が痺れてしまう。・・・・・・なら!)

 鋼牙は再度構えるがその構えはまさに剣で一刀両断する構えである。

(ほう・・・・・・その構えで来たか。ならば私もそれに応えよう!)

 西村は渾身の力を腕に込め、ワインドアップをする。

((これで決着を付ける!))

 西村は勝負の一球を振りかぶって投げる。その球を鋼牙はベストな場所で捕らえ、バットで捉える。

「うおおおおおおおおおおおおおお!」

 バットが折れると同時にボールは外野まで跳ぶ!

「いけ――――――――――――――!」

「いけ――――――――――――――!」

「いっけ―――――――――――――!」

『いけ―――――――――――――――!!!!!!!!!!!』

 Fクラスが、会場の観客が一つとなり落ちることを願った。そしてボールはそのまま場外へと落ちる。

『・・・・・・・・・・・・』

 しばらくの沈黙。そしてその後から歓声が湧きあがった。

『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!』

 九回裏、2O2S0B、ランナー一、二塁でスリーラン逆転ホームランが炸裂した。

西村先生は清清しい顔で負けを認めた。

「まさか・・・・・・・大河と同じことをするとはな・・・・・・・」

 こうして球技大会は幕を閉じた。

 

「お前たち、今日はよくやった。よってFクラスに掛けたクラスとお前たちには没収したものを返そう。」

『よっしゃああああああああああ!!!!!!』

 球技大会と体育祭が終わったFクラスでは勝利の雄叫びを皆が上げていた。

「なお、没収した者は親御さん名義で送り返す。」

『・・・・・・・・なんだと!』

「届くのは数日後だがよかったな。」

 そう言って西村先生は教室を後にした。

「やっぱりこうなったか。」

「鋼牙君、気付いていたんですか!」

「まあ、あんなもの持ってくるのが悪いからな。当然そうなるだろうけど。ところで姫路、美波。」

「なんですか?」

「なによ?」

「もし没収物で困っているのなら母親のほうがいいのではないのか?何かと分かり合えるかもしれないしな。」

 その言葉を聞くと二人は急ぎ足で西村先生の下に向かった。その後馬鹿どもが西村先生の補習室送りになったのは言うまでも無い。

 これは余談だが体育祭後のゴミ掃除を観察処分の仕事でやることになった鋼牙を優子、姫路、美波の三人が手伝った。

 

説明
更新が遅れてすみません。ハーメルンの方でも二つほど連載してしまいました。三つ掛け持ちで頑張ります。
キュウギタイカイモイヨイヨケッショウセン。鋼牙、マケンジャネエゾ!
「体育祭・後編」
シバラクマタセタナ。
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タグ
五つ バカとテストと召喚獣 

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