とある傭兵と戦闘機 (SW編最終回) 戦いの果てに  
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 「作戦開始!!」

 

反抗作戦開始の合図とも言える全艦隊の主砲一斉発射

 

 ドゴォォォォン!!

 

幾重もの・・・逆再生される雨の映像のように海面から砲弾がネウロイの巣に向かって飛翔する

 

轟音が、その空の空気を震えさせる

 

連合軍の総戦力全てを投入して望んだ決戦

 

その要となる戦艦ーーー”大和”

 

破壊せずに鹵獲したネウロイの心臓ーーー赤い輝きを放つ中心角である水晶体、コアを搭載し

 

一年前のブリタニアにて暴走事故を引き起こしたコア搭載型自立機動兵器ウォーロックのデータを解析し

 

扶桑皇国の技術を持って

 

 ”十分間の間、ネウロイのコアの暴走を抑止しつつ非金属装甲水晶体の形成を制御する”

 

魔導ダイナモと呼ばれる遠隔操作システムを開発

 

大和の鋼鉄の装甲を全て非金属装甲水晶体に置き換え、コアの持つ反重力能力を生かして飛行を可能にした

 

つまりーーー大和をネウロイにする事でネウロイの巣に直接至近弾を叩き込むという大胆な作戦

 

 「まさに、毒をもって毒を制すだな」

 

船の上から、上空を見上げるラリーは目を細めた

 

ラリーは前回、ブリタニアでの決戦時にウォーロックと対峙しただけにその技術に疑念を抱かざるをえなかった

 

 「なんだそれ」

 

 「敵と同じ力で敵を打ち倒すって意味だ・・・この作戦の要とやらは

 

  ネウロイの技術を用いてるんだ。ただそれだけのことさ」

 

 「ただそれだけ・・・ねぇ」

 

ダウェンポートは納得した顔で煙草を吹かしていた

 

 「さて、俺達はここから見上げる事しかできんが・・・まあ大丈夫だろう」

 

 「だな・・・”何もなければ”だが」

 

戦艦の主砲から放たれた火の玉は空中で炸裂、多数の護衛ネウロイを消滅させた

 

しかし相手の物量を前に護衛艦達は次々と大破し、海中に引きずり込まれていく

 

ラリー達が居るのは空母天城の飛行甲板・・・そこから上を見上げていた

 

空に上がる501の少女達に課せられた任務は、大和の護衛

 

 「それにしても、よく総司令官はこの作戦を承諾しましたね」

 

 「だな。自身の娘が一部作戦を担っているとはいえ

 

  ネウロイという存在がどういうものなのかを本当に理解しているのか判らんな」

 

しかし、俺達はネウロイという存在が存在しない世界から来たイレギュラーだ

 

 「人を殺す事が当たり前か、人を守ることが当たり前か・・・ココに来てから色々考えたな」

 

 「そうだな。でもやっぱり駄目だ」

 

俺達には、この世界は眩し過ぎる

 

やはり俺達には、曇り空の方が性に合ってる

 

だがーーー

 

 「ペリーヌ、リーネのロッテは広範囲掃討形態より大和直衛補助に回って芳佳を援護!!」

 

 「「了解!!」」

 

天城甲板から無線で指示を出す蒼き姫君はしっかりとその任務を全うしていた

 

 「バルクホルン・ハルトマンのロッテは弾薬補充の為に天城に低速進入!!

 

  銃器を甲板にパージ後フライト・バイで補充機銃を受け取って!!」

 

 「「了解(わかった)!!」」

 

と、二人のウィッチが天城の甲板に低速で侵入する

 

その際、バルクホルン大尉が先行、ハルトマン中尉が大きく遅れてタイミングをずらす

 

 ガシャアッ!!

 

二丁のMG42機銃が甲板に落ちて転がる

 

 「3・2・1・Now!!」

 

俺達二人が、片方に一丁ずつ機銃を空に投げる

 

つか、このクソ重い重機関銃を片手で軽々持てるウィッチってのはハンパないな

 

 「ありがとう!!」

 

と、大尉はそれをキャッチして再び空に戻った

 

ハルトマン中尉の方はサイファーが直接手渡していた

 

 「ありがと・・・あっ!!フィリアありがとう!!」

 

 「どういたしまして〜」

 

手を振りながら、相棒は無線設置場所に戻った

 

 「何かしたのか?」

 

 「機関銃のコッキングレバーの所にチョコ挟んでた」

 

士気は上げるに越した事はないからねと付け加える相棒

 

ふむ・・・やっぱりお前はこっちの方が似合ってるぞ

 

 「サイファー!!MG42と二十ミリ機銃の用意完了したよ!!」

 

 「ありがとう鈴音、501ミーナ・坂本のロッテは弾薬補充!!」

 

 「了解しました・・・美緒、行きましょう」

 

 「私は・・・もう・・・・戦えないのか・・・?」

 

少佐の様子がおかしい・・・やはり、もう魔法力が限界なのかもしれない

 

離陸時の魔法力の揺らぎから推測するに、烈風丸を使用する事はもう不可能

 

烈風丸は、確かに大型ネウロイを一刀両断する力を得る事ができる最強の刃だ

 

しかし、代償として膨大な魔法力を使用者に要求する諸刃の剣だ

 

飛行に関して魔法力の大半を使用する航空ウィッチがこの技を使うのは

 

明らかに、その一撃のみで全てを使い切ってしまうのは明白だ

 

諸刃の剣・・・妖刀

 

それを判っていてその剣を手にした

 

それは少佐の決意と意思の表れだ

 

そしてその烈風丸は、今は人類の希望たる戦艦 大和の艦首甲板に突き立っていた

 

あたたかも、これは敵だ と訴えかけるように

 

 「魔道ダイナモ始動!!大和、ネウロイ化開始!!」

 

と、いう艦内放送と共に大和のブリッジが黒く変色する

 

ネウロイのような、接合部が赤く光る黒い結晶体に大和は変色していく

 

 「本当に・・・ネウロイになってる」

 

不気味な雰囲気が、大和を包み込む

 

 「くそっ・・・気味が悪ぃぜ」

 

 「全くだダウェンポート」

 

501.5の面子は皆それを不安に思っていた

 

扶桑軍人共は何やら勝利を確信しているみたいに歓声をあげているが

 

それでいてお前達は、あの”敵を利用している”という事を威張り

 

お前達は、もし世界からネウロイが消滅した場合は大和をどうする?

 

ネウロイのコアを使っているあの”化け物”をどうするつもりだ?

 

 恐らく   お前達は何の躊躇いも無く壊すだろう?

 

 いらなくなった物のように   使うだけ使って最後は勝手に壊すだろう?

 

 俺達のように   使って都合が悪くなれば口封じするだろう?

 

だからーーー俺達はーーー

 

 「国というモノに、大した執着なんか持っていないんだ」

 

 「だな・・・でもよ」

 

 「そんなものよりーーー」

 

三人は空を見上げる

 

そこには、三人が追いかけた鳥の姿があった

 

 「今を生きる事の方が大事だ」

 

三人の思いは一緒だった

 

パイロットの強さは、今も劣らずその瞳に光を宿し続けていた

 

 

 

 

あの後、無事大和は敵本体に取り付く事ができた

 

 「よし。全機対衝撃波体勢!!身体防護を最優先!!」

 

無線で指示を出して、私も耳を塞ぐ

 

 ゴォォォォォン!!

 

と、馬鹿でかい鐘を突いたような轟音が空を揺るがし、甲板に重く響く

 

重量、総排水量、火力共に世界一の超弩級戦艦が全速力で体当たりしたのだ

 

さあ、あとは止めだ

 

 「全砲門発射!!」

 

艦長の号令

 

勝負の一言だ

 

終わるのだ・・・この戦いが

 

空を見上げて、ネウロイの巣が砕け散る様を拝もうとしていた

 

・・・だが、その瞬間は訪れなかった

 

 「魔道ダイナモ停止、火器管制不能!!主砲撃てません!!」

 

想定外の・・・作戦失敗の知らせが私たちの耳に届いた

 

私はすぐに無線に呼びかけた

 

 「501ウィッチ隊にに告ぐ。いますぐ空母天城に帰還せよ」

 

私は冷徹に、彼女達に呼びかけた

 

自分でも驚くほど冷静に、感情に無頓着になれた

 

 「っ・・・了解」

 

皆・・・動揺した声を喉元で抑えて指示に従ってくれた

 

彼女達に戦う意思があろうと無かろうと

 

どのみち弾薬も魔法力も戦闘行為を行うには消耗しすぎている

 

 ”戦闘行動時間限界”

 

恐らく戦意も・・・でも、まだーーー

 

 「まだ終わってない!!」

 

無線から聞こえたのは・・・少佐の声だった

 

 「少佐、今すぐ天城に帰還せよ!!少佐!!」

 

 「私が大和に突入し、魔道ダイナモを再起動させる!!」

 

無線機に指示を呼びかけるが、恐らく少佐は聞く耳を持っていない

 

少佐はーーーここで、命尽きてもいいと考えている

 

少佐の願いは・・・最後まで501の一員である事

 

自身のウィッチとしての寿命を烈風丸と呼ばれる魔剣に捧げ

 

501のウィッチとして生命を終える事を少佐は望んでいる・・・ったく

 

 「ヘイト、葉夏ロッテに通達・・・少佐の大和への突入を援護せよ」

 

上空で501の援護をしていた501.2航空隊の二人に指示を出す

 

 「フィリアちゃん!?」

 

芳佳が私に掴み掛かる

 

でも私は芳佳に目もくれずに無線に続けた

 

 「少佐を、必ず守り通せ」

 

 「「了解!!」」

 

そうして無線を切る

 

 「どうしてっ!!どうして止めないんですか!?」

 

そして皆から非難の視線と罵声を浴びせられた 

 

それを全て私が受ける・・・中佐の心の負担を増やすわけにはいかないから

 

 「皆、私はこういう人間だよ」

 

 「「!!??」」

 

そういう風に仮面を被る

 

悲鳴を上げて否定しようとする自分の良心を押し殺して

 

 「戦いに勝利する為には犠牲を伴う

 

  その犠牲が仲間であろうと家族であろうと恩師であろうと、失ってしまうかもしれない」

 

 「フィリア・・・ちゃん?」

 

恐らく、人が変わったようになってるんだろうね

 

 ”犠牲があっても仕方がない”

 

そう今の心に解釈させているのだ

 

失いたくない・・・でも失ってしまった

 

もう二度と戻らない存在を悔いる事を止めた人間だ

 

そう、心に言い聞かせる

 

 「・・・・・」

 

船に戻った皆から非難の視線を浴びる

 

背中に突き刺さるそれの痛みなのか、それとも身体的疲労なのか

 

昔はなんとも思わなかったはずのその気持ちに

 

私は、心臓を抉られているかのような苦痛に抗っていた

 

 

 本当は今すぐに飛んでいって少佐を殴り止めたい

 

 でも、私にはその為の翼は無い

 

 私が、何の為にここに居る?

 

 

 

 

 

     私は、これ以上大切なものを失わない為にここに居る

 

 

 

 

 

それ以上でもそれ以下でもない

 

否定したかったらすればいい

 

恨みたかったら恨めばいい

 

でも、私の前に立ち塞がるのであればーーー容赦はしない

 

たとえ大切な仲間でも叩き潰す

 

でも・・・そう覚悟を決めたはずの私は少佐を止められなかった

 

いつかの空のように、自分の隣を離れた相棒を止める事ができなかったように

 

私は・・・やっぱり無力だよ

 

 

 

 「坂本少佐が大和に進入しました」

 

葉夏からその連絡をもらい、私は胸を撫で下ろす

 

少佐、道は作りました後は貴女次第です

 

そして、ヘイはが保護したミーナ中佐と共に天城の甲板に降り立った 

 

少し遅れて葉夏が空母に着艦する

 

二人とも、お疲れ様

 

 「・・・・・・」

 

 「中佐・・・・」

 

私は、中佐を抱きしめた

 

 「・・・中佐、貴女の判断は私が背負います」

 

 「・・・・!!」

 

小声で中佐の耳元に囁いて  

 

 「お疲れ様です。ミーナ中佐、皆が待ってます」

 

そう言葉を言って、中佐に背を向けた

 

さあ、あとは少佐が戻ってくれば全てはノープロブレムです

 

 

 

   戻ってきてください、中佐

 

 

 

 

 

 「ありがとう。そうフィリアに伝えておいてくれ」

 

私の道を守ってくれたあいつの仲間に、そう伝える

 

しかし

 

 「そんな一言ぐらい自分で直接言ったらいいじゃないですか」

 

銀髪の少女がそう返してきた

 

それに続いて黒髪の・・・扶桑人と思しき少女は私にこう問いかけた

 

 「あなたが居なくなって・・・残ってしまった501の皆はどうするんですか?」

 

それには・・・答えられなかった

 

なぜだろうか・・・私には理解できなかった

 

 

 

 「さあ、最後の戦いだ ”紫電改”!!」

 

魔法力の全てを、大和ブリッジにある魔道ダイナモの核に押し込む

 

ダイナモの計器類が反応してメーターがどんどん上がっていく

 

そしてーーー

 

 ビキビキビキッ

 

紫電改が、ネウロイの非金属装甲に侵食されていく

 

成程・・・お前は私を必要としているんだな

 

紅いネウロイの核に、私は心で呼びかける

 

 いいだろう・・・いくぞ大和!!

 

そして、全てのメーターが振り切った

 

魔道ダイナモ臨界ーーー主砲二基六門、副砲一基三門!!

 

 「撃てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 ズドォォォォォン!!

 

主砲の砲撃煙と、少し遅れての着弾衝撃波が

 

艦首、主砲砲塔、そしてーーー

 

 バキィィィン

 

艦橋の全てを飲み込んだ

 

 

 

 

 超爆轟音

 

連合軍の艦隊全てが一斉砲撃した時よりも数段上の衝撃が世界を揺るがす

 

 「うおぉぉぉっ!?」

 

 「くっ・・・なんという衝撃波なのだ・・・」

 

後ろで頭を抱えるハミルトンさんとダウェンポートさんにはこの砲撃音はかなり効いたらしい

 

私はと言うと、衝撃に少しはふら付いたがヘッドセットをしていたお陰で音は防げた

 

そして頭を上げると、ネウロイの巣を覆っていたドス黒い雷雲は消し飛び

 

爆煙と自由落下する白い破片だけが空を満たしていた

 

 「少佐・・・」

 

 「坂本さん・・・」

 

皆が悲しげに空を見上げる

 

少佐・・・

 

 「っ!!」

 

全員が息を呑んだ

 

爆煙の中から大和の黒い船体が顔を覗かせていたのだ

 

天城甲板上に居る501のメンバー達は喜びの声を上げていた

 

私も、胸を撫で下ろして一度深呼吸をした

 

 ドクン・・・

 

そんな私に、安堵する暇も無く鼓動が一度大きく咳き込む

 

嫌な予感がした私は空に浮かぶ大和を見上げた

 

そしておかしな点に気が付いた

 

喫水線以下の船体腹部の色が、本来の大和が持つ赤錆のような色の塗装ではなく

 

黒い金属の輝きではない物を纏っていた

 

 「まさか、ネウロイ化が解けていなーーー」

 

空中浮遊する大和は艦首をこちらに向けた・・・そしてーーー

 

大和の一部が一瞬赤く光った・・・瞬間!!

 

 ズドォォォン!!

 

天城前方に居る連合軍の戦艦に大きな穴が開いた

 

 「なっ・・・!!」

 

船体が真っ二つに折れ、一分と経過せずに船体は海面から見えなくなった

 

その事実を見て、私は確信した

 

ネウロイのコアがーーー暴走している

 

そしてあそこにはーーー

 

 「坂本少佐!!」

 

大切な仲間がーーー閉じ込められているという事に

 

 「少佐!!」

 

呼んだ。叫んだ

 

応答を・・・返事を求めた

 

 ザザッ・・・ぐっ・・・ザッ

 

微かに、僅かにだが少佐の声が聞こえた

 

生きている・・・確かに意識はあるみたいだ

 

でも・・・

 

皆は飛ぶ為の力を使い果たしている

 

ヘイトや葉夏も、帰ってきた時にはフラ付いていて消耗の頻度が伺えた

 

ラリーは機体をここに連れて来ていない

 

そして、501の皆も疲労を隠さずにはいられない程に消耗していた

 

  どうすればいいの?

 

  何をすれば救えるの?

 

私は自分の手を見つめた

 

常人にも劣る体格なのに、どうして私の心は空に行こうとするの?

 

私は、私自身に聞いた

 

答えは返ってくる事はありえない

 

 ヒュオッ

 

横から風が、私を軽く撫でる

 

その風は私の周りを囲うように

 

それが、何故かは判らないけど・・・これ以上に無い程に心地よかった

 

頭の中に上る血液の熱は、その風に持っていかれ

 

代わりに私の中に残していったものがあった

 

 

何をすれば救えるのか

 

そんな事・・・こんなにも単純な事はないよね

 

救いたいと、強く願えばいい

 

この世界はーーーその願いを叶える事ができる世界なのだから

 

 

 風が置いていったのは

 

     ”意思”の力だった 

 

 

 

大和の攻撃がーーー天城の甲板に向かって飛来していた

 

赤いレーザー・・・TLSのような射線を引きながらそれは私に向かっていた

 

完全にそれを捕捉した私の意識はただ思った

 

   ”それがどうした?”

 

手を横に凪いだ瞬間、赤いビームが横一文字に拡散する

 

そして砲撃が止んだと思えば、大和の周囲に小型のネウロイの戦闘機隊が編成される

 

その数 およそこの海域に居る連合軍の航空母艦戦力の数十倍を軽く凌ぐだろう

 

 「「「フィリア!!」」」

 

 「「「フィリアさん!!」」」

 

 「「「フィリアちゃん!!」」」

 

 後ろから声をかけられる

 

 大切な仲間達から声をかけられる

 

 そうだーーー守る為の力を持つ事ができたのは皆のお陰だ

 

 だから、失望されないように私は振舞うだけだ

 

 円卓の鬼神としてではなくーーー

 

  一人のウィッチとして

 

 

背中にあの感覚と体全体に浮遊感を覚えた

 

今ならーーー今だからできるはず

 

  魔法力ーーー開放

 

  固有魔法”零の空域”終末展開

 

  

      空制零奏

   

 

  

 

 

 

 「あの白い翼はーーー蒼の霞じゃ無いのか!?」

 

 「全艦隊に通達せよ!!伝説の女神が現れた

 

  繰り返すーーー”白き姫君”の再臨だ!!」

 

天城の艦橋から飛行甲板中央部を見た艦長である沖田が下仕官に命じた

 

艦橋から見下ろす甲板には、青い光が半円球のドームが形成されている

 

そして閉鎖空間であるはずの艦橋内の空気が冷たくなった

 

 「なっ・・・何だ?」

 

艦橋内の空気が変わったのだ

 

空間が・・・・視界がぼんやり蒼白くなっていた

 

 「エーテルの飽和反応・・・これ程の魔法力とは・・・!!」

 

見下ろしていた甲板上のドームが大きく膨らんで消失した

 

甲板には薄黒い鳥の羽のようなものが散らばっていた

 

その中央部、散らばる羽の円半径の真ん中座り込んだ白いそれは起き上がった

 

完全に起き上がると同時にそれを包んでいた翼が大きく広がった

 

 「な・・・なんだあれは・・・」

 

それは、おおよそこの世界の定義を覆す可能性のある姿だった

 

通常、ウィッチの魔法力行使時には使い魔の一部が体から該当する位置に発現する

 

そのサイズも、使い魔の実態的なサイズと大体同じになる

 

大抵・・・と、言うよりはそれ以外の例が全くといって無いのだ

 

もちろん、特殊な方法で魔法力を用いる例もあるのだが

 

目の前で起こっている事象は、それを遥かに凌駕するものだった

 

フィリアの体に発現した使い魔の一部は、使い魔の物とは思えない異質のものなのだ

 

先述の通り、使い魔の部分発現はほとんどは使い魔のサイズに依存する

 

発現位置も、頭部に翼や耳。腰部には尻尾や尾翼が発現する

 

これも通常のウィッチは全て同じである

 

しかしーーーフィリアは違った

 

フィリアのそれは、およそ動物のものとは思えない程巨大な翼

 

獰猛な猛禽類が持つそれの形状をしていながら、その色は圧倒される程に白ーーー純白

 

そして、特筆すべき点は発現位置と大きさ

 

彼女の体を軽く覆い隠せる程の大きさを持ち、それは通常ではありえない背中に発現している

 

 「本当に・・・ウィッチなのか?」

 

そう疑える程に、フィリアの姿はウィッチとはかけ離れていた

 

何より、放出される魔法力の密度、量、精度はどれを取っても常軌を逸していた

 

それだけに・・・その姿を見た兵士は呟いた

 

 「女神の・・・誕生・・・」

 

そう思える程にその姿は圧倒的で、神秘的で、そしてーーー幻想的であった

 

 

 

 

 「・・・これは・・・」

 

自分の体を確認する

 

心地よい浮遊感と清涼感が私の体を覆っていた

 

よく見ると、体が少し浮いていた

 

甲板からだいたい十センチ・・・何も考えていないのに、私は翼を用いて浮いていた

 

肩から胸に流れる私の髪は、真っ白な白髪に変わっていた

 

ちょっと前までは濃い青色をしていたはずの自慢の髪はその色を失っていた

 

・・・変わっている

 

私はーーー変わり始めているのかもしれない

 

それにーーーこれならできる

 

 「坂本少佐・・・今から行きますから」

 

ネウロイの航空機編隊がこちらに全て向かって来る

 

私が取る判断はーーー迎撃

 

数は・・・まぁ

 

 「関係ないか」

 

両腕を大きく広げて、私は想像し、創造する

 

以前、私がラリーと戦った時に使用した西洋剣

 

それを私の周りに、全て空の敵に全て当てる為にできる限り作り出した

 

50・・・100・・・200・・・500・・・1000

 

いつか数えるのも億劫に感じた私はカウントするのを止めた

 

 

 

 

 「なっ・・・何だこれは・・・」

 

501のシャーリーは目の前の光景が信じられないという風にフィリアを見ていた

 

両手を広げたと思えば、フィリアの周囲に全方向・・・空に切っ先を向ける青く輝く剣が生まれる

 

それは無尽蔵に・・・気が付けばハリネズミのように彼女の周囲には数え切れない程の剣が埋め尽していた

 

それは神話に出てくるような姿と光景に口が開いたままだった

 

 「それじゃあ・・・行くよ」

 

フィリアは開いていた両手を空に向けて仰いだーーー瞬間

 

フィリアを囲むように展開していた魔法力の刃でできた剣はすべて空に向かって飛翔した

 

一瞬の出来事だが、その剣達は航空機型小型ネウロイに突き刺さり、そして刺さった剣は爆発した

 

砕けたネウロイの破片で近くにいたネウロイが被弾、撃墜

 

空を覆うように存在していたネウロイの大軍は・・・あろう事かその一度の攻撃で八割が白い破片に姿を変えた

 

 「なんて・・・光景を目の前にしているんだ私達は・・・」

 

物量では世界一ィィ!!な祖国を持つシャーリーは呟いた

 

絶望を感じてしまう程の絶対的戦力差は、あろう事か一人の少女だった存在によって反転した

 

そして残った航空戦力を、フィリアは呼吸をするかのように蹂躙していた

 

たった一人で、銃器など一切持たない完全非武装のはずなのに

 

どんなに強い武器で重武装したウィッチよりも、あいつは強かった

 

絶対的強者というものがどういう者なのかを一部を除いてこの海域に居る兵士達は理解してしまった

 

 「あれがーーー神話に語り継がれる存在なのだろう」

 

人類の救世主とも呼べるその姿は、人とは到底思えない程姿がかけ離れていた

 

沖田艦長は呟き・・・そして確信した

 

 あの少女はーーー人間という器を超越した者だ

 

 

 

 

 「これで・・・大方かな」

 

ネウロイのコア諸共貫いた刃から手を離し、蹴り飛ばす

 

剣が持ち主の手を離れて、数秒後に爆散した

 

これで邪魔にならない程度に雑魚は一掃した

 

残るはーーー連合軍艦隊旗艦、大和

 

試しに先程使用していた剣を大和に向けて高速で射出する

 

 ギィンッ

 

と、刺さり先程と同じように爆発を起こした・・・が

 

 「効果無し・・・か」

 

爆発したところでネウロイの非金属装甲は少し欠けた程度で砕けもしない

 

恐らく、ネウロイのあの岩石のように堅い非金属装甲と大和が持つ鋼特有の粘り強さを併せ持つ

 

そして、私の情報が正しければ、爆弾約50基、魚雷30本を食らって艦傾斜後水蒸気爆発

 

唯でさえその化け物じみた耐久性に化け物の再生能力が追加されたとなる・・・か

 

 「艦橋に穴開けて直接少佐を助けるが最適」

 

私は艦橋に向かった・・・しかし

 

 バラララララララララララララッ!

 

大和の対空機銃が私に向かって火線を引く

 

もちろん、対空機銃なんて私からすれば意味は無い

 

艦橋に穴を開けようと剣を撃ち込む・・・が

 

 「・・・シールド」

 

真っ赤なシールドに阻まれて、刃はそのシールドに吸い込まれた

 

扶桑特有の魔法障壁の刻印・・・という事は

 

 「少佐・・・」

 

少佐が、シールドを用いているのだ

 

 「・・・来るな」

 

インカムに少佐の重い声が聞こえた

 

 「少佐・・・何故このような事をするんですか?」

 

 「仲間を・・・守る為だ」

 

元気を失った少佐は、やはり違和感があるなぁ

 

 「似合わない事言わないでくださいよ」

 

対空砲火を圧縮空間で無力化しながら、会話を続ける

 

 「仲間を守るのが・・・私の仕事で・・・使命なのだ・・・」

 

・・・嘘ですね

 

 「少佐、あなたの想いを正しく表現しましょうか?」

 

 「・・・なんだ」

 

それはーーー

 

 「それは、あなたが逃げているだけじゃないですか」

 

 「っ・・・」

 

 「あなたは、本当に守る為には何をすべきかわかりますか?」

 

少佐は押し黙った

 

そして、私は答えを言った

 

 「それは・・・あなたが皆の傍に居る事なんです」

 

 「だが・・・私には魔法力が・・・」

 

魔法力・・・確かにそれが無ければウィッチとは呼ばれない

 

でも・・・そんなのただの一要素なだけだ

 

 「魔法力が無くたって、ストライカーが無くたって空は逃げません

 

  それこそ、何の為に飛行機があると思っているんですか?」

 

 「ーーー」

 

 「だから・・・戻ってきなさい。美緒ちゃん」

 

 「っ!!その呼び方は・・・」

 

私は心が揺らいだ瞬間を見計らい、刃を艦橋の窓に突き刺した

 

そしてーーー爆破

 

 ドォン!!

 

爆煙と共に艦橋内に入り込む

 

そこには、ネウロイのコアに手をかざす美緒ちゃんの姿があった

 

大きくなってねぇ・・・あの美緒ちゃんが

 

 「やはり・・・あなたが・・・」

 

美緒ちゃんは私を見て涙ぐんだ

 

理由は・・・わからない事は無いけど

 

 「みっともないですよね・・・あの時、あれだけ啖呵を切ったというのに・・・」

 

美緒ちゃんは嗚咽と共に下を向いて涙を流していた

 

 「啖呵じゃないじゃない」

 

私がそう言うと、彼女は泣くのをやめて顔を上げた

 

 「美緒ちゃんは私に言った事を全てやってのけた

 

  数多くの敵を倒し、多くの人々を救い、魔眼の制御も完璧にこなしているじゃん」

 

・・・

 

 「誰もあなたを責める事は無い、馬鹿にする事もない

 

  もし、そういう人達が居たとすれば・・・言わなくても判るよね?」

 

 「・・・はい」

 

 「じゃあ、帰りましょう」

 

手を差し伸べる

 

少佐・・・美緒ちゃんに手を差し伸べる

 

前と・・・昔と同じように

 

 「生きていれば、それでまだやれる事はあるよ」

 

優しく、微笑みかける

 

かつて私が見た若き鳥は、今や引退の波際に立っている

 

でも、それでも関係ない

 

意思っていうは、いつまでも持ち続ける為にあるものなのだから

 

 「はいっ・・・!!」

 

手を繋ぐと同時に魔法力を発動

 

 「それじゃあ・・・皆の所に帰ろう、美緒ちゃん」

 

魔法力を美緒ちゃんを通して、大和に魔法力を注ぐ

 

美緒ちゃんが付けていた紫電改からネウロイの文様が消え、艦橋内に青い光が満ちた

 

 

 

 

 

 「何が・・・起きているの?」

 

大和全体が青い光に包まれた

 

瞬間、大和から白い破片が剥がれ落ちていった

 

至る所から白い破片は砕け、崩壊し、粉末状になって海に落ちていった

 

そして、いつのまにかゆっくりと大和が落下を始めていた

 

 ドザアァァァァ・・・

 

割と遠くに着水した大和は、少し傾斜していたが船体は無事のようだ

 

 「・・・フィリアちゃんは・・・坂本さんを・・・」

 

芳佳は最後までは言わなかった

 

でも、この501のメンバー全員の頭に最悪の事態がよぎっていた

 

 「・・・大和に向かいます」

 

ミーナは芳佳達に指示を出した

 

そして全員、大和に向かって飛び立った

 

 

 

 

 「・・・・・」

 

壮絶な戦いの後の空は曇りの無い完璧な青い空だった

 

その下で、美緒ちゃんを膝に寝かせながら頭を撫でていた

 

何故、私が少佐の事を美緒ちゃんと呼ぶのか?

 

それはーーー私と美緒ちゃんは会って話しをした事があるのだ

 

さっきまで私は全然気が付かなかったけど、思い出してみればあの子は少佐の新兵時代だったと思う

 

しかし私の中の記憶の中の少女と今の少佐は口調と雰囲気が全然違っていた

 

まあ、その話はまた落ち着いてからでいいだろう

 

 「美緒ちゃん、起きなさい」

 

 「・・・お姉さん・・・」

 

うん、この呼ばれ方も美緒ちゃんと少佐が同一人物である事を証明しているね

 

それにしても、前に可愛がっていた子供に年齢を追い越された

 

年上の人にそう呼ばれるのはなんかくすぐったい

 

 「見なさい」

 

空の方向を指を差して、美緒ちゃんがそれに追従する

 

その指先に見えているのは

 

 「坂本さ〜ん!!」

 

 「少佐〜!!」

 

 「フィリアさ〜ん!!」

 

 「フィリア〜!!」

 

 「少佐!!」

 

 「フィリア!!」

 

501の皆だった

 

 「美緒ちゃんは、ずっと501のメンバーだよ。皆がそう思ってるから

 

  美緒ちゃんは慕われるのよ」

 

 「・・・っ!!はいっ・・・!!」

 

涙が浮いたのか、彼女は袖で目を覆った

 

 

 

 こうしてーーー無事ベネッチアの上空に佇んでいたネウロイの巣は消滅

 

 結果はーーー連合軍の勝利!!とはならなかった

 

 

 

 

 

 「ふぁ〜あ・・・よく寝たなぁ・・・」

 

決戦より二日後、普段通りに起床して一緒に寝ているフィアを起こす

 

 「ふあぁ・・・おはようございます・・・お母さん・・・」

 

目を擦る私の娘は、決戦中基地の整備班長さんに面倒をみてもらっていた

 

 「顔洗っておいで。もうすぐ朝食だから早めにね」

 

 「はぁい・・・」

 

そうして、私達は普段の生活に戻った

 

 

 

 「おはよう」

 

食堂にはいつも通り、芳佳達が食事を振舞っていた

 

 「さて・・・501も今日で最後か〜」

 

シャーリーが不意に言った

 

そう、最後なのだ

 

501統合戦闘航空団は、明日を以てその任務から解任される

 

つまりーーー501は解散する

 

 「また皆と離れ離れになるんですね・・・」

 

芳佳が寂しそうに呟いて、皆少し意識が沈む

 

 「おいおい、何言ってるんだよ。永遠の別れって事はねぇだろ」

 

と、ダウェンポートさんが皆に言った

 

 「そうだな。もしかすればまた新たな脅威が出現するかもしれないしな」

 

ハミルトンさんが挟み

 

 「脅威が現れなかったら平和だろ?だったら好きなだけ会って好きなだけ話せばいいさ」

 

ラリーが続ける

 

この辺り、永遠のお別れになるのはまだまだ先らしい

 

 「まぁ、深く考えなくてもいいって事だよ」

 

最後に私が話しを括る

 

そして皆は思い思いに雑談をしていたり基地を回ったりしていた

 

ちなみにこの場に居るのは先程話した三人と私

 

ヘイトと葉夏、鈴音は私が部屋に行った時には居なかった

 

どこかに行った訳ではない・・・そんな気がする

 

多分、戻ったんだろうと思う

 

この世界に、彼女達はもう居ない・・・そう思った

 

 「さて・・・んじゃ、頑張れよ〜」

 

と、ダウェンポートさんが席を立った

 

 「何処に行くんだ?」

 

 「もっかい寝るわ」

 

そのまま廊下に戻っていった

 

 「俺も寝るか・・・」

 

ハミルトンさんがダウェンポートさんに続いて部屋を出て行った

 

ふと、私は二人が出て行ったドアを開けて廊下を見る

 

しかし、その長い廊下には二人の姿は無かった

 

そうだね・・・そうだよね

 

行かなきゃ、いけないんだよね

 

 「ふあぁ・・・んじゃ、俺も少ない休憩時間をゆったり過ごすかね」

 

ラリーが私の横を通り過ぎて、廊下を歩んでいく

 

不意に私が瞬きをした瞬間、そこにラリーの後姿は無かった

 

 「私も寝るから・・・それじゃあ皆、じゃあね」

 

 「さようなら・・・」

 

寂しそうにするフィアと共に、私は廊下に出た

 

 「フィア・・・ごめんね」

 

 「わたしは、お母さんにずっと付いて行きますっ」

 

 「うん。私も、ずっとフィアと居るから」

 

そうして、フィアと優しく手を繋いだ

 

 

 

 

 

 

坂本はハンガーにて、とある物を見つめて佇んでいた

 

 「烈風丸・・・いや、”零ノ空”・・・私は、やっとお姉さんの想いを受け取れた

 

  そんな気がするよ」

 

烈風丸ーーー叉の名を・・・”零ノ空”

 

そう・・・この刀は、フィリアがブリタニア戦役で沖田艦長より受け取った刀である

 

烈風丸というのは、坂本が刀を鍛錬した際に自身の魔法力を刀に刻んだ事に起因する名前なのである

 

通常の扶桑刀では魔法力の刻印に耐え切れず自壊、砕け散ってしまっていた

 

だが、魔法力の大きな要因であるエーテルをフィリアの魔法力と共に吸収した零の空は

 

その刻印に耐え切っていた

 

坂本は烈風丸を抜き放ち、魔法力を注ごうとする

 

しかし、既に魔法力が底を着いててしまった坂本には刀身を共振させる事すらできなかった

 

 「魔法力はもう無い・・・でも、私はまだ戦えるはずだ・・・そうですよね?」

 

刀に語りかける

 

その声は、現状に居ない本人に伝わる事は無いだろう

 

 

 

  こうして、501のベネッチアにおける役目は終わり

 

  十一人の少女達は守るべき場所へと還っていった

 

  

 

 

  表向きの歴史としても、世界を救ってしまった一人の英雄は

 

      再び時代の移り目で、今度は己の守った世界と向き合い始める

 

 

 

 

-2ページ-

 

 

  

  急ぎ足すぎて駄文ワロエナイレベルになってしまった・・・(汗

 

  遂に・・・ストライクウィッチーズ編完結になります!!

 

  ・・・え?色々とやり遺しがのこってないかって?

 

  未練バリバリです・・・はい

 

  って事で、最後の辺になって出てきた坂本少佐とフィリアの意外な関係については

 

  また後々投稿する予定になります

 

  さあ、始まりますのはIS編

 

  意見感想募集中

 

  以後よろしくお願いします  

 

 

 

 

説明
一大作戦が決行され、その戦いを下から見上げるしかない主人公
そのサポートをするエースパイロット達
501にとっても、向こう側のパイロットにとっても重要な戦いが
最後の戦いが始まる
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コメント
SW編お疲れさまです。IS編楽しみにしています(音狐)
SW編お疲れ様でした。ヘイト達が元の世界に帰った後の話は語られるのでしょうか? IS編も楽しみにさせて貰います。(ガルム)
SW編完結おめでとうございます!鋼の鳥達は自分達の世界に還って行った。次回のIS編はどうなる事やら・・・ってかラリー若いまま戻ったら色々大問題になるんじゃ・・・いや、地雷持ちはちらほらいるんだけどね。フィリア?地雷原でしょ(銀ユリヤ)
お久しぶりです、面白かったです。次回も楽しみにしています。(駿河)
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戦闘機 傭兵 タイムスリップ ストライクウィッチーズ クロスオーバー エースコンバット インフィニット・ストラトス 

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