機動戦士ガンダム異聞?旭日の旗の下に?第1話 |
仏教の教えにこのような記述がある。
人の魂は、前世から現世へ至り、後世へ至る。
この物語は、その後世世界に転生し、世界最終戦争を阻止せんとする、ある国家の物語である。
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U.C.0079、3月1日。ジオン公国とザフトは、地球侵攻作戦「オペレーション・ウロボロス」を決行。オデッサ、黒海の沿岸に地球侵攻部隊を乗せたHLVを降下、数日後にオデッサは陥落し、ジオンはアフリカ、ヨーロッパに進軍を開始した。
3月11日、第2陣が北米に降下、ガルマ・ザビ指揮の下、大西洋連邦本土はジオンの勢力下となり、大西洋連邦はメキシコシティに首都を移転した。
3月18日、第3陣がオセアニア、ニューギニアに落下、これにより、地球の3分の1はジオンとザフトの勢力下となった。
連邦はバレンタイン・クライシスの影響と前々から進んでいた官僚化により後手に回り、尚且つMSの前に、連戦連敗を繰り返していた。
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U.C.0079 3月26日 ジオン公国首都バンチ「ズム・シティ」総帥府
「地球降下作戦の初期目的である資源の確保は完了した。今後も継続して侵攻作戦を続けていく」
ギレンは執務室でシーゲル・クラインと通信をしていた。今後の課題を話し合っていたのである。
『だがギレン総帥。戦いを長引かせるのも良くありません。兵達の中には、宇宙に帰りたがっている者も多いはずです。今ならまだ間に合います。こちらが優位な内に連邦と和平を締結させるのです』
シーゲルの意見にギレンは冷徹に返した。
「我々は既に和平の道を閉ざしたのですよ。シーゲル議長。それでもまだ和平の道がおありだと?」
その言葉にシーゲルは黙り込んでしまった。無理もない。レビルの演説により連邦は徹底抗戦を崩さず、尚且つブルーコスモスもその抗戦を主張していたのである。ブルーコスモスがいる以上、コーディネイターの国家であるプラントが退いてはいけないのである。
「では、今後も継続して侵攻作戦を行うという事で宜しいかな?」
『……ええ、勿論ですね』
ギレンは通信を切ると、執務室の窓からズム・シティの風景を見渡した。
「だが…問題はやはりあの国だな…」
そう呟くと、ギレンは世界地図の極東部分に目をやった。そこには、
「Japan Empire」
と書かれていた。
*
大日本帝国 帝都東京 軍務省大臣執務室
「まさかジオンとザフトがここまでやるとはな…」
高野軍務大臣は渡された資料を見て呟いた。手にした資料には、ジオンとザフトの侵攻状況が記載されており、東アジア共和国首都北京は陥落、ヨーロッパもほぼ全域を支配されており、アフリカはキリマンジャロまで押されており、連邦は首都機能をアラスカに移転したのである。
「モビルスーツの性能を見くびった連邦政府の落ち度だな」
その時、館内直通電話がなった。
「私だ」
『高野大臣ですね。開発部のレイ技術大尉です』
電話の相手は開発部主任のテム・レイ技術大尉だった。
テム・レイ。帝国軍開発部に所属するこの日系人は、18年前までミノフスキー学会にいた物理学者である。駐在武官時代にミノフスキー博士の講演を受け、そのまま学会に入会、駐在武官の任を解かれたと同時に学会を退会するが、帰国後に「日本ミノフスキー学会」を設立、独学でミノフスキー理論を学び、今では日本有数のミノフスキー物理学者である。
『例の件についてですが、ようやく開発のめどがつきました』
「おお!そうか!分かった。例の件は明日総理に提出する。予算が回り次第始めてくれ!」
そういって高野は電話を切ると、机からあるタブレット型ファイルを取り出した。そこには、中央に「V」の字が刻印されていた。
*
翌日 総理官邸執務室
内閣総理大臣大高弥三郎の朝は早い。早朝4時に起床し、5時に朝食を食べ、5時半に執務を開始するのである。そして大高は、この時長年の親友である高野から、ある書類を渡された。
「V作戦。ですな」
「はい、我が国最初のモビルスーツの量産試作タイプの製作と、MS運用を前提としたMS母艦の建造を目的としたプランです」
高野の説明に耳を傾けながら、大高はファイルを読んでいた。
「大幅な予算が必要ですな」
「予算の修正案の軍事費を5%増加するのが欠点ですが、この際止むを得ません。大高さん。日本の未来の為に」
「……」
大高は考えた。もし、ジオンとザフトが宣戦布告した場合、現状の戦力で対処できるのかを。対処できたとしても、大きな犠牲が出るのが予測した大高は、決断を下した。
「分かりました。軍事費の増加を行います」
「!!・・・感謝します!」
この日、皇紀2783年度修正予算案が決議され、V作戦は実行に移されたのである。
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4月1日 茨城県つくば市 帝国軍開発部新型兵器研究所ミノフスキー研究室
このつくばにある新型兵器開発研究所では、日夜新兵器の研究、実験、開発が行われていた。そして、このミノフスキー研究室では、ミノフスキー物理学を基にした新兵器の研究が行われていた。そして、ここである動力の実験がされていた。
「……どうだ?」
防護服を着たレイ博士は、所員に結果を聞いた。所員は驚いた声で結果を報告した。
「……やりました!ミノフスキー粒子を使用することにより、核融合の小型化を実現しています!」
この動力は、後に「ミノフスキー・イヨネスコ型核反応炉」と呼ばれる動力の実験であった。実験の成功を聞いたレイ博士だが、不安そうに呟いた。
「…さて、ここからが問題だな…」
今、小さな産声であるが、日本の存亡をかけた戦いが、始まろうとしていた…
*
キャラ設定
大日本帝国
高野五十六
初出:紺碧の艦隊
概要
大日本帝国軍務大臣。日本軍三長官の一人(三長官とは軍務大臣、統帥本部長、帝国軍最高司令官の三つの事)。後世転生者で構成された紺碧会の盟主。階級は元帥。
大高弥三郎
初出:紺碧の艦隊
概要
内閣総理大臣。後世転生者で構成された青風会盟主。高野の紺碧会とも繋がりを持つ。
テム・レイ
初出:機動戦士ガンダム
概要
大日本帝国軍開発部所属の特務大尉。日本ミノフスキー学会の学長を務める。紺碧会メンバーの一人、前世テム・レイの記憶を引き継いで転生した。
ジオン公国
ギレン・ザビ
初出:機動戦士ガンダム
概要
ジオン公国総帥(政治首班)。紺碧会では「ヒトラーの再来」と呼ばれている。
プラント
シーゲル・クライン
初出:機動戦士ガンダムSEED
概要
プラント最高評議会議長。プラント穏健派の一人で、早期講和に奔走している。
説明 | ||
第1話です。pixiv版とは若干内容が異なっています。 | ||
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コメント | ||
紺碧、旭日の艦隊シリーズは好きな作品でしたが…ガンダムとのクロスオーバーという発想は無かったw期待してます。頑張って下さい。(プロフェッサー.Y) | ||
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機動戦士ガンダム 機動戦士ガンダムSEED 紺碧の艦隊 クロスオーバー | ||
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