鏡の中の11番 二球目「夢を掴むための腕」
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 第二話「夢を掴むための腕」

 

 

 

 ときめき青春高校の野球部が九人揃った次の日、パワプロ達は学校の部室に集まっていた。

 

「うーん、困ったね」

「困ったでやんす……」

「何が困ったの〜?」

 

 ホワイトボードの前で腕を組んで悩んでいるパワプロと矢部に声を掛ける美代子。

 

「うん、ポジションがね……投手が出来る人が一人もいないんだ」

 

 ホワイトボードにはメンバーの名前と、その担当ポジションがズラッと書き並べられていた。

 

 矢部明雄 センター

 小山雅 ショート

 茶来元気 セカンド

 鬼力剛 キャッチャー

 神宮寺光 ファースト

 稲田吾作 サード

 三森右京 レフト

 三森左京 ライト

 

「ホントだ〜、投げる人いないね〜」

「仕方ないから誰かコンバートするでやんす?」

 

 その矢部の一言に、他の部員達は否定的な意見を述べる。

 

「う〜ん……この中でまともに投げれそうなのはいないと思うけど……」

「オレッチの昔のチームメイトにスッゲー投手いたけど、そいつ中学生なんだよねー」

「ど、どうしてもって言うなら俺がなってやってもいいぜ!?」

 

 そんな中一人そわそわしている神宮寺、しかしそんな彼の一言を無視して美代子はある提案を出す。

 

「ねえ〜、パワプロ君がピッチャーやったら〜? マネージャーやめてさ〜」

「えっ!!!?」

 

 その一言に何故か必要以上に驚くパワプロ。そして他のメンバー達は失笑を零していた。

 

「パワプロがピッチャー? ないない。塁間すらまともに投げれない奴に出来る訳ねえよ」

「フォアボールとデットボールとワイルドピッチだけでコールド負けしそうだよな」

「さ、散々な言われようだ……事実だけど」

 

 皆の言い草にかなり凹んだ様子のパワプロ。すると矢部がある提案を出してくる。

 

「やっぱりここは青葉君に頼むしかないでやんすかね?」

「どうなんだろう……あれだけの事があったんだし、簡単に触れていいのやら……とにかく他にピッチャーが出来そうな人をさがしてみよっか?」

「それしかないみたいだね……とにかく今日は練習しよう!」

 

 そして部室を出て河原の野球場に向かうパワプロ達。その日、パワプロは皆の練習に付き合い、度重なる暴投で右京を5回、左京を5回、神宮寺を8回、稲田を3回、矢部を11回キレさせた。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 次の日の放課後、パワプロと矢部は今日も練習に向かう為正面玄関に来ていた。

 

「そう言えば小山さんは?」

「先に行っているみたいでやんす。オイラ達も早く行くでやんす」

 

 そう言って下駄箱の中の靴を取り出そうとした時……パワプロは偶然、学校を出ようとする青葉を発見した。

 

「あ、青葉君だ」

「ホントでやんす。一人で帰る所でやんすかね」

「……」

 

 するとパワプロは急いで靴をはきかえ、青葉の後を追いかけた。

 

「青葉君!」

「……またお前か」

 

 青葉は自分を追いかけてくるパワプロを鬱陶しそうに睨みつける。

 

「しつこいぞ、俺はもう野球はやらない……やれないんだ」

「……イップス?」

 

 パワプロの一言にハッとなる青葉。

 

「……知ってんのか?」

「うん、前に世話になったお医者さんに教えて貰ったんだ」

「なら話は早い、俺はもうボールを握れないんだ、握ろうとしたら……あの時の事を思い出しちまう」

「あの時……?」

 

 すると青葉は、学校の屋上の方を指さす。

 

「来い、話してやるよ」

「う、うん」

 

 パワプロと矢部は青葉に言われるがまま付いて行く。するとその様子を、少し遅れて校舎から出てきた雅が発見する。

 

「あれはパワプロ君達と……青葉君? どこ行くんだろう?」

 

 気になった雅は彼等に向かって駆けよろうとする。

だが次の瞬間その時……彼の横から突然バッと複数の手が伸び、彼を路地裏に引き込んでしまう。

 

「……!」

 

 声を出そうにも口をふさがれ声を出せない雅、そのまま彼は人気の無い所に引き摺り込まれていった……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 パワプロと矢部は青葉に連れられ、人気の無い学校の屋上にやって来た。

 

「俺の話、どこまで知っている?」

「その、改造ボールを使って失格になったって話を……酷いよね、濡れ衣なんて……」

 

 そのパワプロの一言が意外だったのか、青葉は少し驚いているようだった。

 

「疑わないんだな、お前」

「だってビデオの中の君の投球、すごくイキイキしていたもん、あんな球を投げられるピッチャーが不正なんてする訳ないよ」

「ふん……そう言ったのはお前が初めてだよ、チームメイトは俺が何言っても信じてくれなかったってのによ」

 

 そう言って青葉は自嘲めいて笑った。

 

「確かに俺は改造ボールなんて投げていない。あの時も誰かがボールをすり替えていたんだ。でも……チームの皆は誰も信じてくれなかった。俺に恨み言や罵声を浴びせるしかしなかった」

「「……」」

「お前等にわかるかよ? 信じていたチームメイトに何も信じて貰えず、一方的に罵られて追い出される奴の気持ちが? それ以来俺はボールを握ろうとするたびにその事が頭に浮かんで握れなくなるんだ」

 

 青葉の話を聞き、この場に付いて来ていた矢部はこっそりパワプロに耳打ちする。

 

(パワプロ君……青葉君を勧誘するのはやっぱり無理でやんす。他を当たるでやんす)

(……)

 

 しかしパワプロは矢部の忠告を無視し、青葉に問いかける。

 

「青葉君……野球は嫌い?」

「……なんだよ、その質問」

 

 パワプロの不可解な質問に、青葉は若干戸惑いながら答える事はせず逆に質問で返した。

 

「君は……確かに仲間に裏切られたかもしれない、でも野球自体は体が忘れていなかった……ていうことは、心のどこかではもう一度野球をやりたいって思っているんじゃない?」

「イップスの俺がか? 冗談だろ。適当な事言うんじゃねえよ」

 

 青葉ははっと鼻で自嘲気味に笑う。それでもパワプロは真剣な面持ちで話を続けた。

 

「適当な事じゃないよ、前に同じことを言っていた人がいたんだ。君は……君の心はきっと、まだ野球をやりたがっている」

「お前……」

 

 パワプロの必死の説得に、青葉の心はボールを握れる握れない以前に揺れ動き、それと同時に何故パワプロがここまで言えるのか気になり始めていた。

 

(やっぱりこいつは“あいつ”なのか?)

 

 

 

「くっくっく……見つけたぜ、青葉ぁ……」

 

 その時、パワプロ達のいる屋上に、別の高校の制服を着た男子生徒が現れ、彼等に声を掛けてきた。

 

「!? なんでやんすかアンタ!? オイラでさえこの空気に入り込めず喋れなかったのに!?」

「君は……確か青葉君にボッコボコにされた……」

 

 パワプロは自分達の眼の前に現れた男子生徒が、先日駅前で青葉にボコボコにされた不良達の内の一人だという事に気付く。

 

「何だお前、復讐しに来たのか? 一人で来るなんて度胸のある奴だな」

「くくく……そんな余裕言っている暇があるのか? これを見ろ!!」

 

 そう言って不良は、自分の持っているスマートフォンをポケットから勢いよく出し、待ち受け画面をパワプロ達に見せる。

 

「あ、スイマセン画面小さくて見えないでやんす」

「ちょっと寄りますね」

 

 が、流石に画面が小さくて見えないので、パワプロと矢部と青葉は寄り添うように集まり、不良が見せる待ち受け画面を見る。そしてその画面を見て驚愕する。

 

「お、小山さん!?」

 

 そこには白い布で目隠しされ、体はロープでグルグル巻きの雅が映っていた。

 

「くくく……こいつお前のダチだろう? 近所の廃ビルに監禁してある。返して欲しかったら一人で……」

「誰コイツ?」

「え?」

 

 その青葉の一言に、不良はスマートフォンを持ったまま目を点にする。

 

「そう言えば青葉君、小山さんとは面識なかったでやんすね」

「会ったことすらねえぞ」

「ええ〜!? 座子川の勘違いかよ〜……」

 

 そう言ってがっくりと肩を落とす不良、その時……バタンと屋上の扉が勢いよく開けられる音がして、皆一斉にその方角を見る。そこにはいつの間にか移動していたパワプロの姿があった。

 

「パワプロ君!? どこ行くでやんす!?」

「小山さんを助けに行かないと!」

「お、おい!?」

 

 矢部達が止めに入る暇も無く、パワプロは屋上を飛び出し雅を助けに駆けだした。

 

「あのバカ……! おいそこのメガネ!」

「矢部でやんす」

「俺はあのバカを追う! お前は助けを呼んで来い!」

 

 そう言って青葉はパワプロを追って屋上を飛び出し、矢部もその後を追うように駈け出した。

 

 

 

「……あ、うん? 俺の役目はこれで終わり?」

 

 そして一人取り残された不良はどうしたらいいか解らず立ち竦んでいた。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 数分後、ときめき青春高校野球部の部室……そこで美代子や他の野球部のメンバーは、未だに来ないパワプロ達を待ちながら談笑したりババ抜きに興じていたりした。

 

「どぁー!? またババかよ!? 鬼力表情読めなさすぎ!」

「雅ちゃん達遅いねー」

「どっかで女でもナンパしてるんじゃないのー?」

 

 その時、突如バァンと部室の扉が開かれ、そこから息を切らした矢部が現れた。

 

「うお!? なんだよいきなり!?」

「たたた大変でやんすううううう!!! スマホで小山さんがパワプロ君を攫われて青葉君が駈け出して助けに!」

「おい落ち着け、何言ってんのか解らん」

 

 三森兄弟は取り敢えず矢部を落ち着かせて、彼から詳しい話を聞く。

 

「という訳でやんす! 皆で助けに行こうでやんす!」

「い、いやでも……なあ?」

「俺達喧嘩からっきしやNEN」

 

 そう言って歯切れの悪い返事をする稲田達。

 

「ええええ!? だってみんなこの荒くれ者共が集うトキセーの生徒でやんすっしょ!?」

「う、うん……確かに俺ら見た目不良だけどさ、野球ばっかやってたから喧嘩はからっきしなんだよ」

「えええ〜!? なんという見かけ倒しでやんす!?」

 

 そう言って矢部はがっくりと肩を落とす。すると茶来が思い出したかのように手をポンと叩いた。

 

「そうだ! 光ッチなら行けんじゃね!? 舎弟引き連れてるぐらいだし!」

「なっ!?」

 

 突然の無茶振りに、明らかに驚愕している神宮寺。

 

「そうだな! おめえ喧嘩強そうな雰囲気醸し出しているし行けるだろ!?」

「頼む! パワプロ達を助けてくれ!」

 

 ここぞとばかりに神宮寺を持ち上げる三森達、後ろでは土佐犬みたいな容姿なのにチワワみたいにプルプル震えていた鬼力が、ものすごい勢いでコクコク頷いていた。

 一方神宮寺は、心の中でものすごく焦っていた。

 

(やっべぇ〜!! 俺もただアニメの真似して不良のフリをしているだけだから喧嘩からっきしなんだよ! でも言い出せねえ!)

 

 しかし場の空気が神宮寺の逃げ場を塞ぎ、彼は意を決しつつもちょっと半泣きになりながら声を震わせ顔を上げる。

 

「よ、よぉし解った! 俺に任せ「貴方じゃ無理」

 

 その時、震える神宮寺の肩をポンと叩く人影があった。その人物を見て、一同は驚愕する。

 

「ミヨ……ちゃん?」

 

 それは美代子だった。ただしいつもの様なぽややんとした雰囲気を醸し出すことはなく。眼光が肉食獣のように鋭い、歴戦の戦士のオーラを醸し出していた。

 

「矢部君……雅ちゃんが連れていかれた場所に案内して」

「あの、ミヨちゃん?」

「早ぁくっ!!」

「は、はいっ!!」

 

 その圧倒的な闘気に、矢部を始めとしたその場の男共は縮こまる。そして美代子は矢部に連れられ、雅が連れ去られた廃ビルに向かう。

 

漢女(おとめ)大空 美代子の伝説は、この瞬間から始まった……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 さらに数分後、雅が連れて来られた廃ビル、その屋上で雅は縛られた状態で複数の不良に取り囲まれていた。

 

「あの〜、僕はいつまでこうしていれば……?」

「うるせぇ! 青葉が来るまで大人しくしてろや!!」

(青葉君とは話したことも無いのになあ……)

 

 そんな事を思いながら抵抗せずに大人しくしている雅、一方不良……座子川は先程ときめき青春高校に向かわせた生徒からの連絡を受けて苦悩していた。

 

「ぐあ〜! なんで無関係の奴連れてくんだよ! これ普通に犯罪じゃね!?」

「テメエの指示通りに動いたからこうなったんだろうが!」

 

 言い争いをする座子川一味と、それを見てもう帰りたいと思っている雅、その時……。

 

「小山さん!!」

「パワプロ君!?」

 

 突然雅や座子川たちのいる部屋にパワプロが駆け込んできた。

 

「テメエは青葉と一緒に居た奴!? なんでここに!?」

「う、うおおおおお!!! 小山さんを返せー!!」

 

 座子川達が驚く間もなく、パワプロは近くにあった鉄パイプを拾い、座子川達の元に駆けだした。が、すぐに後ろから不良の一人にタックルされ取り押さえられた。

 

「なんだコイツノープランでツッコんできたのか!? みんなやっちまえ!」

 

 そしてそのまま複数の不良に袋叩きにされるパワプロ、そんな彼に雅は声を掛ける。

 

「パワプロ君! なんで一人で来ちゃったの!?」

「いででで! だ、だってその……体が勝手に動いちゃって、友達を放っておけないよ!」

 

 不良達から暴行を受けつつも、雅を救おうと必死にもがくパワプロ。

 

「やめろ!!」

 

 その時、突然パワプロ達のいる部屋に青葉が現れた。恐らくパワプロの後を追ってきたのだろう。ゼエゼエと大きく息を吐いていた。

 

「青葉君!?」

「現れたなあ、青葉ぁ……!」

 

 座子川はにんまりと歪んだ笑みを浮かべると、ボロボロのパワプロの髪の毛を掴みあげる。パワプロは頭皮の痛みにウッと呻いた。

 

「やめろ! そいつらと俺は無関係だ!」

「ははは! そうか……」

 

 次の瞬間、座子川はパワプロの髪の毛を掴んだまま、彼の顔面を床に叩きつけた。それを見た雅は

 

「じゃあ俺がこいつに何しても関係ないよなぁ?」

「お前!」

 

 一方パワプロはうめき声を上げ鼻から血を垂れ流しながらも、泥まみれの顔で青葉に言い放った。

 

「あ、青葉君逃げるんだ……! この人達は君を……!」

「誰が喋っていいっつった!?」

 

 座子川はもう一度パワプロの顔面を地面に叩きつける。

 

「やめろっつってんだろ! 早くそいつらを放せ!」

「ん〜……放してやってもいいけど、お前の態度が気に食わないなあ」

 

 座子川はにんまり笑うと、青葉にある要求をしてきた。

 

「土下座しろ、そしたらこいつらを放してやってもいい」

「駄目だ青葉君! 言う事を聞くな!」

「オメーは黙ってろ!」

 

 すると青葉はギリリと歯を噛み締めると、床に膝を付いた。

 

「……俺が頭を下げれば、そいつら開放すんだな?」

「「青葉君!?」」

 

 青葉の行動に驚きの声を上げるパワプロと雅、そして青葉はそのまま両手を床に付け、額をゴンとぶつける形で地面に押し当てた。

 

「は……あはははは!! 本当に頭下げやがったコイツ! よおーっし……」

 

 座子川はそのままパワプロから手を放すと、青葉の元に歩み寄り、彼の後頭部を思いっきり踏みつけた。

 

「“今まで舐めた真似してスイマセンでした座子川さん”って言え!」

「……! 今まで舐めた真似してスイマセンでした座子川さん……!!」

 

 悔しさを噛み締めるような声で、青葉は座子川の言葉を復唱する。その様子を目の当たりにしたパワプロは目いっぱい叫んだ。

 

「やめろ青葉君! こんな奴等に頭なんて下げるな!!」

「だから黙っていろっつってんだろ!!」

 

 座子川はパワプロの頭を一発叩くと、近くにあった鉄パイプを拾い上げた。

 

「よおっし……じゃあ最後にその右手をぶっ潰したら許してやる」

「……!!?」

「お、お前えええええ!!!」

 

 暴れるパワプロを他の不良達が必死に抑える中、座子川は青葉に歩み寄って鉄パイプを振り降ろそうとする。

 

「今までの屈辱……万倍にして返してやるぜええええええ!!!」

「っ……!」

 

 青葉は目をギュッと瞑りつつも、地面に置いた手を避けようとしなかった。その時……。

 

「がああああああ!!!」

「うわぁっ!?」

 

 突然パワプロがものすごい力で暴れ出し、取り押さえていた不良達を吹き飛ばした。そして座子川と青葉の間に割って入った。

 座子川が振り降ろした鉄パイプは、青葉の手に覆いかぶさったパワプロの背中に、鈍い音と共に叩きこまれた。

 

「な!?」

「おまっ!? なんてバカな事を!」

「ううう……き、君の腕はこんな事で壊されちゃ駄目だ……その腕は夢を掴むための腕なんだ!!」

「……!!」

 

 パワプロの叫びに、はっと目を見開く青葉。そんな彼等を見て座子川は鬱陶しいと言わんばかりに再び鉄パイプを振り上げた。

 

「くそ! 青春ごっこしてるんじゃねええええええ!!!」

 

 そして座子川が鉄パイプを振り降ろそうとした次の瞬間、突然パワプロ達のいる部屋の扉が、まるで爆発があったかのように吹き飛んだ。

 

「どべふっ!?」

 

 吹き飛んだドアが不良の一人の直撃し、その場に居た一同はドアが飛んできた方角を見る。

 そこには何故かしゅーっと煙を上げている右拳を突き出している美代子と、その後ろでガタガタ震えている矢部の姿があった。

 

「み、ミヨちゃん!?」

「なんだテメエは!?」

 

 驚きの声を上げるパワプロと雅と、怒声を上げる不良達を尻目に、美代子は静かに部屋を見渡して状況を確認する。

 

「貴方達……恥ずかしくないの? 大勢で人を浚って、大勢で抵抗できない人をボコボコにして……」

「はあ? 何なんだよお前!? いきなり出てきて説教かましてんじゃねえぞ!!」

 

 いつものぽややんとした姿からは想像できない、異様なオーラを醸し出す美代子に、不良の一人が威勢よく近付いていく。

 

「貴方達……人として終っているわね」

「だから何だオラァ!! 痛い目に遭わせるぞ!!」

 

 そう言って不良が美代子の肩に触れようとした瞬間、美代子は突然右足をドンと前に踏み込み、不良の顎に渾身の右アッパーカットを叩きこんだ。この間0,1秒の出来事である。不老はドゴオオオオオンという轟音と共に、天井に上半身を埋め込ませた。

 何が起こったか解らず、口をあんぐり開けて呆然とする一同。そして部屋に美代子の鼓膜が破れかねない程の鬼神の如き叫びが轟いた。

 

 

「痛い目見るのはテメエ等だコラァァァァァァァァァー!!!!」

 

 

 そこからはもう、地獄と形容するには温すぎる惨状が繰り広げられた。

 美代子はまず常人離れした跳躍力で飛び上がり、雅の周りにいた不良三人を滞空したまま一瞬で蹴り倒す。それを見た不良数人が襲い掛かるが、美代子はそれを目にも止まらぬ速さのジャブで粉砕していく。

 人体から鳴っちゃいけない破壊音が響き、臆した不良数名が悲鳴を上げて背を向けて逃げ出そうとする。

 

「しゃらあああああああ!!!」

 

そんな彼等に対し、美代子は容赦ない飛び蹴りの追撃を次々浴びせた。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 その頃、パワプロ達のいる部屋に繋がる廊下では、茶来たちときめき青春高校野球部のメンバーがそれぞれバットを持って歩いていた。

 

「なあ本当に行くの? すげーヤバい雰囲気なんですけど」

「ででででも女一人に行かせる訳にはいかねえだろ!? 一応加勢しないとよ!!」

 

 そして一同はパワプロ達のいる部屋の前に到着する。すると……。

 

「うごげえええ!!!」

「「「おわっ!?」」」

 

 突然美代子が破壊してドアが無くなった入口から、顔がボッコボコに腫れ上がった不良の一人が吹き飛ばされてきた。

 

「な、なんだコイツ!?」

「こんなボコボコに……人間の仕業なのか!?」

 

 そう言って三森兄弟が意識を失った不良に駆け寄り、他のメンバーもそれに付いて行く。すると次の瞬間……傍にあった鉄格子付きの窓の隙間から突然にゅっと血まみれの右手が出てきた。

 

「ぎゃああああああ!!!?」

 

 突然の出来事に、一番近くにいた神宮寺は悲鳴を上げてひっくり返る。そして血まみれの手はバタバタと暴れながら茶来たちに悲鳴交じりの助けを求めた。

 

「だすげでええええええ!!! 鬼が! 鬼がいるうううううう!!!」

 

 しかしあまりにも怖すぎる光景なので固まってしまう茶来達。

 

「中で一体何がおこっているんYA?」

 

 そう言って稲田は入口から部屋の中を覗き込む、すると彼の視界に……。

 

「オラオラオラオラオラオラ!!!」

 

 美代子が見開きを大胆に6ページ分使ってそうな目にも止まらぬパンチの連打で不良の一人をボコボコにしていた。稲田は何も言わず顔を逸らした。

 

「う゛あああ!? こっち来……があああああああ!!!」

 

 そして鉄格子から出た腕はバタバタとものすごい勢いで痙攣すると、そのままガクンと力尽きて動かなくなった。

 

「……」

「……」

「……取り敢えず様子見で」

 

 茶来のその一言で、皆その場で正座した……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 一方、血みどろの惨劇が繰り広げられている中、雅は縛られた状態のまま芋虫のように這いつくばってパワプロ達の元に近寄って行った。

 

「ふ、二人共大丈夫?」

「あ、小山さん、今助けるよ」

 

 そう言ってパワプロは雅を縛る縄を解く。すると青葉がものすごい汗をかきながら、逃げ惑う不良達相手に大暴れしている美代子を指さした。

 

「おい! 何なんだアイツは!? これじゃパニックホラーじゃねえか!! これ野球作品じゃなかったのかよ!?」

「ぼ、僕に言われても困る!」

「あれ? そう言えば矢部君は?」

 

 その時、突然部屋にガァンという鉄パイプの音が鳴り響き、一同一斉にその方向を見る。そこには足をガタガタ震わせながら、同じく足をガタガタ震わせている矢部君にナイフを突き立てている座子川の姿があった。

 

「おおおおおおお前ら動くな! 動いたらこのメガネ殺すぞ!」

「ひえええええ!! ただ道案内しただけなのにどうしてこうなるでやんすー!?」

「矢部君!?」

 

 それを見て矢部を助けようとするパワプロだったが、青葉に肩を掴まれて制止される。

 

「おい! 下手に刺激すんな!」

「君! これ以上罪を重ねるのはやめるんだ!」

 

 雅が決死の説得を試みるが、聞く耳を持たない座子川。

 

「うるせー! ここまでされてもう引き下がれるか! てめえも大人しく……」

 

 座子川はそう言って、先程まで大暴れしていた美代子の方を見る。すると美代子は最後に残った不良を拳固で叩き潰すと、座子川をギョロっと睨みつけた。

 

「人質を取ってさらに人質を取るとは……この卑劣漢が! もはや容赦せん!」

「大空さん!!?」

 

 すると美代子は中腰になると足元からぶわっと衝撃波を出し、肩からなんか赤い闘気のようなものを出し始めた。

 

「貴様は我が野球拳最終奥義“野球咆哮拳”※で人質ごと粉微塵にしてくれるわぁー!」

「人質ごと!?」

 

※説明しよう! 野球拳最終奥義“野球咆哮拳”とは! 体に溜めた闘気をボールの形にして相手に向かって撃ち出し粉砕する捏造技である!!

 

 そして美代子は大技を繰り出す為に気を溜め始めた。

 

「駄目だ! 極度の興奮状態で目的を忘れている! やめて大空さん……うおわっ!?」

 

 パワプロは慌てて美代子を止めようと彼女に近付こうとしたが、謎の闘気が壁になってバチンと弾き返された。

 

「我を阻むことは許さん! コオオオオオ!!!」

「ど、どうするの!? なんかミヨちゃんの体からバチバチ電流のような物が流れているうえに画面下にあるゲージが(?)グングン溜まって行っているんだけど!?」

「これパワプロだよな!? 龍○の拳じゃねえよな!?」

 

 一方、標的になった座子川と矢部は必死に叫んでいた。

 

「おおい!? 人質がいるっつってんだろ!!」

「ミヨちゃん! オイラいるでやんすよ!?」

 

 矢部が必死に自分もいるよアピールをするが、美代子は気力を溜めるのに集中しすぎて周りの声が聞こえていなかった。

 

「このままじゃ矢部君の命が危ない!」

「でも助けに入ったら僕等まで巻き込まれそうなんだけど!?」

「……!」

 

 どうしていいか解らずアタフタしているパワプロと雅、その時……青葉は偶然、足元にボロボロの野球ボールが落ちている事に気付いた。

 

「くそ! これで!」

「青葉君!?」

 

 青葉は落ちていたボールを右手で拾い上げ、座子川と矢部に向かって投げた。投げられたテニスボールは矢部を避ける様に右に曲がり、座子川の左側頭部に直撃した。

 

「げはっ!?」

 

 座子川は頭部にボールを受け、矢部から手を放して倒れた。それを見た矢部は心底ほっとする。

 

「は、はあ〜……助かったでや「今だぁ!!!」

 

 その時、美代子は両手を前に突き出して青くて電流を纏った衝撃波を放った。衝撃波は矢部を飲み込むように直撃した。

 

「うごおおおおお!!!?」

 

 矢部はそのまま押さえつけられる様に壁にめり込んだ。

 

「「「……」」」

 

 その光景を見て、部屋に気まずい沈黙が流れる。そしてパワプロと雅と青葉は小さく呟いた。

 

「「「助けられなかった……」」」

「はれ? もう敵はいないの?」

 

 それと同時に美代子はようやく正気に戻り、壁にめり込む矢部を見てしばらく考え込んだ後……。

 

「てへっ、間違えちゃった。ミヨちゃんうっかり!」

 

 可愛らしく舌をペロッと出して強引に誤魔化そうとしていた。そのあまりの酷さにツッコミを入れる気も起きないパワプロ達。そして彼等は……。

 

「あ、青葉君! ボールを握れたじゃないか!」

「そうだよね! 克服できたじゃないかイップスを!」

「あ……本当だな!」

 

 取り敢えず周りの現実に目を背け、青葉の野球部加入イベントを強引に進める事にした。

 

「きっと青葉君の誰かを助けたいという気持ちが(助けられなかったけど)、ボールを握らせたんだ!」

「今度は僕達を助けるもりで投げて欲しい!」

「……いいのかよ、こんな脛に傷持った奴を入部させてよ」

 

 するとパワプロは青葉の目をまっすぐ見て、青葉の右肩をポンと叩いた。

 

「あんな投球を出来るピッチャーが不正なんてする訳ないよ。君の夢を掴む右腕……僕等に貸してくれ」

「……はっ、わかったよ、お前達には色々迷惑かけちまったし、借りを返さないとな。こうなったらいけるとこまで行ってやるさ」

 

 こうして青葉はときめき青春高校野球部に入る事を決意した……。

 

 

 

・疲れが溜まった

・敏捷が上がった

・青葉が入部した

・矢部君が全身打撲の重傷を負った

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 試合当日、河原の野球場には極亜久高校野球部のメンバー約20人が集まっており、少し離れた場所ではパワプロ達が野球を教えている少年野球のメンバー達が離れた場所で見ていた。

 

「お兄さん達遅いなあ、ていうかメンバー揃ったのかな?」

「このままじゃ僕達の練習する場所が無くなっちゃう……」

「あ! アレ!」

 

 その時、少年の一人が何かに気付き土手の上を指さす。そこには青葉、鬼力、神宮寺、茶来、雅、稲田、三森兄弟、全身に包帯巻いた上に松葉杖をついている矢部が横に並んで降りてきていた。みんな縞模様の野球のユニフォーム、そしてTSというマークがついた黒い野球帽を被っていた。後ろにはジャージ姿のパワプロと美代子が付いて来ていた。

 

「なんとか9人揃ってよかったね〜」

「はい、そうですね……」

 

 パワプロはちょっと恐れ慄いた敬語で美代子に返事する。そして青葉を先頭にしてときめき青春高校野球部は極亜久高校野球部と向かい合った。

 

「待たせたな、約束は覚えているな」

「負けた方がこの球場から出ていく……だったな。コテンパンにしてやんよ!!」

 

 球場のど真ん中で睨み合う両者。プレイボールの時は刻一刻と迫っていた……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 一方土手の上には、球場の様子に気付いた通行人が何人か立ち止っていた。

 

「お? 野球の試合か?」

「ちょっと見ていくー?」

 

 そんなギャラリーの中に、緑色のおさげ頭のセーラー服姿の少女が居た。

 

「野球か……ん?」

 

 彼女はふと、球場にいるとある選手を見てある事に気付いた。

 

「あの子は……」

 

「あれ? なにこの人だかり?」

「どうやら野球の試合が始まるみたいだな、極亜久と……どこの高校だ?」

 

 ふと、後ろから二人の女子の声が聞こえ、彼女は後ろを振り向く。そこにはマウンテンバイクに跨った青い髪の女子高生と、キャッチャーミットを持った紫髪の女子中学生が球場の方を眺めていた。

 

(この子達も野球選手かな?)

 

 緑のおさげの少女はそんな事を考えながら、再びグラウンドに視線を向けた……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 一方彼女達から離れた所では、二人の茶髪の兄弟が青と白のトレーニングウェア姿の若い兄弟二人がランニング途中で立ち止った。

 

「兄さん、どうやら野球の試合が始まるみたいですね」

「ふん、弱小校の試合など見るに値しな……!!!?」

 

 ふと、兄の方がグラウンドにいるある人物を発見して目を見開いた。

 

「あいつは……!!」

「どうしたんですか兄さん?」

「あいつ、ようやく見つけたぞ……! 僕を初めて負かした男!!」

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 そんな兄弟から少し離れた場所、そこに金髪で白いユニフォームを着て野球道具一式を抱えた少年が通りかかった。

 

「何だアレ……どっかの学校の練習試合か」

 

 少年はグラウンドにいるときめき青春高校と極亜久の選手たちを見て足を止める。

 

「同じ地区の高校か……ま、一応偵察しておくか」

 

 

 

 この日、高校野球……否、後の日本野球を代表する選手たちが初めて顔を合わせる事になるのだが、当の本人たちはまだその事を知らなかった……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 ☆〜今週のうろつき〜☆

 

「今日は球場に行こう」

 

 それは青葉が加入し、極亜久高校との試合が前日に迫った時の事、パワプロはいつものように河原の野球場にやって来た。

 球場に着くと、一人の野球帽を被りユニフォームを着た小学生が素振りをしていた。そしてその少年はパワプロの姿に気付くと練習を止め挨拶する。

 

「あ、パワプロさんおはようございます」

「ダッシュ君おはよう、今日も早いね」

 

 少年……ダッシュの元にボールが入った籠を持って歩み寄るパワプロ。ダッシュは極亜久との騒動で知り合った少年野球チーム“ガンバーズ”のメンバーであり、今ではこうしてパワプロと歳の離れた友達関係を築いていた。

 

「皆が来るまでトスバッティングしよっか、付き合うよ」

「あ、はい! ありがとうございます!」

 

 そしてパワプロはしゃがみながら片手でボールを放り、ダッシュはそれを外野に向かって撃ち返す。ちなみにダッシュのポジションはキャッチャー、理由は父親がかつて守っていたポジションであり、自然とそのポジションを守る様になっていたとは本人の弁である。

 そしてパワプロとダッシュは練習しながら雑談し始める

 

「どうだい? 最近のガンバーズは?」

「何とか人数揃えました! 試合が出来るんです!」

「そっか……よかったね」

 

 ダッシュの所属するガンバーズは、ときめき青春高校野球部同様選手不足に悩まされており、極亜久との試合の後に行われる他チームとの試合で勝利しなければ解散しろと市長に言われていた。それを受けてダッシュはメンバー集めに色々と駆け回り、つい先日足りないメンバーを集める事に成功したのだった。

 

「そっちも色々大変なんだね、応援してるよ」

「お兄さん達も、明日の試合頑張ってくださいね! 皆で応援に行きますから!」

 

 そしてダッシュは再び集中してバットを振りボールを打ち続ける。その姿を見たパワプロは心の中で感心していた。

 

(すごいな、ここまで野球に一生懸命になれるなんて……報われるといいなあ)

 

「おーいでやんす!」

 

 するとそこに、矢部達ときめき青春高校野球部の面々と、ガンバーズのメンバー全員が集まって来た。

 

「皆来たみたいだね、それじゃボール拾おうか」

「はい!」

 

 パワプロの言葉に素直に従うダッシュ、それを見た茶来がにやっと笑って指摘する。

 

「なんか二人共、兄弟っぽい感じするっつーか、雰囲気似てね?」

「えー? そっかな……見た目が全然違うよ」

「いやいや、パワっちがその鬱陶しい髪全部剃っちゃえばいい線いくんじゃね?」

 

 一方ダッシュはいうと、皆と少し離れた位置で、いつも持ち歩いているボールを持ちながら何やら一人でブツブツと独り言を呟いていた。

 

(ダッシュ、高校球児達と一緒に野球できるなんて、こんな機会早々ないからな、しっかり彼等から学ぶんだぞ)

(解ってるよ親父、俺達には時間がないしな……)

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

「おっしゃー! 次内野行くぞー!」

「はーい!」

 

 一時間後、ときめき青春高校野球部とガンバーズの面々は合同でトスバッティングを兼ねたノックを行っていた。ちなみに打つ順番とボールをトスする役は交代で行っており、今は神宮寺がバットを振り、ダッシュがボールをトスしていた。

 その様子をパワプロと美代子は微笑ましく見守っていた。

 

「あの子達と練習しているお陰で練習の効率がちょっと上がったよね〜」

「うん、あっちも急造で人数ギリギリのチームだけど、個人個人の能力は高いから、総合練習を繰り返して行けば強いチームになると思う」

「……ふふっ」

 

 練習するガンバーズを見て語るパワプロを見て、美代子は思わず笑みを零した。

 

「あれ? なんか僕おかしなこと言った?」

「だってパワプロ君、監督みたいな事いうんだもん。本当に素人だったの?」

「え? ああ、うん、見るのは好きだからね」

 

 美代子の一言に相当焦っている様子のパワプロ。

 

「パワプロさん、ちょっといいですか?」

 

 するとそこに、地味な上にあんまり名前と顔を覚えて貰えない三年生キャラの宿命を背負っているっぽい少年がやって来た。

 

「君はえーっと……石原君?」

「一堂です! ガンバーズのキャプテンの! ……実はお二人に相談があるんです」

 

 そう言って影薄いオーラを醸し出す少年……一堂光は、誰の名前も書かれていないオーダー表をパワプロ達に見せた。

 

「今度やる試合のオーダー、どうしようか迷っているんです……パワプロさん達の客観的な意見を着ませてほしいんです」

「そう言うのって監督さんが考えるもんじゃないの〜?」

「……うちの監督は基本アテになりませんから、今日も家でゴロゴロテレビ見ているし」

 

 はははっと乾いた笑みを浮かべる一堂を見て、他人事じゃないなあと後ろのベンチでプルプル震えながら湯飲みで緑茶を啜る大空監督をチラ見するパワプロ。

 

(一堂君は確かショートだったな、打力はチーム1だし足も速いし守備も悪くない、ダッシュ君はキャッチャーで長打力と肩がいいんだよな)

 

 そしてパワプロはグラウンドを眺め、ノックを受けているガンバーズ一人一人の戦力分析を行う。

 

「よーし、どんどんこいでやんすー!」

(無田税君、ダッシュ君のクラスメイトで何故か矢部君に似ている。ポジションはピッチャー、スタミナはあるし先発は彼に任せて大丈夫かも)

 

「ちょっと神宮寺さーん! 打球早いですって!」

(羽柴秀虫君、5年生でポジションはファースト、左投げ左打ちで長打力があるからクリーンナップを任せようか)

 

「オラー! 根性見せろ羽柴―!」

(晴川夏海君、5年生でポジションはセカンド、両打ちでミート打ちが特に上手い、打順は早い方がいいか)

 

「うむ、やはり高校生と練習すると上手くなるのが早い気がするでござる」

(小野玄空君、4年生でポジションはサード、この子はパワーあるけど空振りも多いんだよなぁ)

 

「やっぱり高校生の打つ球は速いなぁ……」

(二ノ宮金太君、4年生でポジションはライト、特に突出した物はないけど勝負強さだけはチーム1だ……と思う)

 

「はははー、頑張れ先輩―」

(明智五郎君、4年生でポジションはレフト、この子も突出した物はない、でも粘り強さや積極的に打ちに行く姿勢はいい)

 

「どすこーい! どんとくるでごわす!」

(徳川三太夫君、ポジションはピッチャー、球速は無田君より早いし、もう一人の先発として使えるかも)

 

「ううう……あんな打球取れないよ……」

(真薄牡丹君、ピッチャーだし足も速い。スタメンで起用するよりも代走やリリーフで使った方が能力を最大限に生かせそうだ)

 

「わんわん! わん子も頑張るワン!」

(芽森わん子ちゃん……この子はよく解らないなぁ、キャッチボールもちゃんとできないみたいだし、野球のルールしっているのかな? ていうか犬っぽい)

 

 

 

 一通りガンバーズの戦力を再確認し、パワプロはうーんと考え込んだ後、一堂に導き出した結論を伝える。

 

「取り敢えず僕達の試合が終わってからでいいかな? 野球部のみんなの意見も聞きたいし」

「ありがとうございます。よろしくお願いしますね」

 

 

 

 そしてその日、ときめき青春高校野球部は明日の試合に向けて一層気合いの入った練習に励んだ……。

 

 

 

・ダッシュ達ガンバーズのメンバーと出会った!

・チームプレイ○が身に付いた!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜あとがき〜

 

またギャグが寒いとか確実に言われそうだな……次回はようやく野球やります。パワプロ君の過去も明らかに!?

 

 今回ガンバーズを出した理由は、同じくここや某動画サイトで活動しているとある作り手さんのパワポケダッシュ作品にハートキャッチされまして、勢いで登場させてしまいました。夏海ちゃん可愛いよ夏海ちゃん。ダッシュ君のポジションと能力はボール親父のデータを参考にさせていただいてます。

 

因みにこの作品の世界観はダッシュとパワポケ7、10、13のストーリーも同時進行している物だと思ってください。つまりあの学校やこの学校も出るかも?

 

説明
パワプロ小説第二話になります。おまけではパワポケのキャラも出ます。
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