義輝記 雷雨の章 その参
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【 董仲穎以下、謁見の件 】

 

?宮廷内にて?

 

正門より手続きを踏まえ、長い廊下を歩き続け、謁見の間に辿り着く。

 

頑丈で重厚な扉が、武官の大声により、ゆっくりと開かれた………。

 

左右に並ぶは文武百官、こちらを値踏みしているように思える顔ばかり。

 

一番奥に玉座が、何段も高い場所にあり、そこに痩せた小柄の老爺を傍に置き、金髪、銀髪の少女が二人、玉座とおぼしき場所に座っている。

 

月「………………ヘゥ…」

 

詠「………………!」

 

颯馬「………………」ブルッ

 

謙信「ボソ(『氣』が淀んでいる………)」

 

長慶「ボソボソ(やはり、そう感じられるか…)」

 

義輝「ボソボソ(…我が足利家も…そうだったかもしれん…)」

 

光秀「ボソ(義輝様……)」

 

信長「ボソボソボソ(…おっー、見事な百鬼夜行が繰り広げているな……)」

 

ーーーーーーーーーー

 

俺達は、先導役たる文官に案内され、皇帝陛下の謁見を行う……が。

 

玉座の傍に居た老爺が、月様に事情を説明しつつ命令を下す。

 

『 霊帝陛下及び皇后陛下は、既に密葬しているため、後日葬儀を行う。 

 

だが、後継者たる皇女様方は、姉思い妹思い故、即位を互いに譲られ皇帝が不在のまま。どちらも相応しい聡明な方々だけに、我らも決めかねてな?

 

だが、皇帝不在のままでは、国が回らぬ……………。 

 

武官最高位の何進大将軍と相談して、皇女様のどちらかが即位をしていただきたいのだが、肝心の大将軍が病気で宮廷に出れない有り様…………。

 

話に聞けば、董仲穎は大将軍と交遊があると聞く。 皇女様方も顔が見えず寂しい思いをされている故、出廷を即してもらいたい! 』

 

膝を付き、顔を下に向けながらも様子を窺うが、老爺は下がりて押し黙る。

 

壇上より皇女様の声が、何故か俺に掛かる?

 

金糸「君、『天城颯馬』氏名?」

 

颯馬「はっ! 姓は天城、名は颯馬、字や真名はございません!」

 

金糸「!」 銀糸「!」 老爺「…うむ」 

 

皇女様の問い掛けは、これだけ……。 何だろう?

 

─── ソウマ ─── クスクスクス ──!?

 

月、詠以外「!」

 

今、久秀殿の声と………………殺気が!

 

俺は、この場で顔を上げる事が出来ない! 皆も同じ! 対処が出来ない!?

 

俺の背中に、冷や汗が流れる───。 

 

…………ふと、頭の中に、懐かしい声が聞こえた。

 

??『そ…まさ…ん だい…じょぶ……ですよ……』

 

     ダァ!  ??「キャッ!」  トスッ!

 

颯馬「!?」

 

老爺「……以上、謁見を終了する! 董仲穎以下退出せよ!」

 

だが………何も、起きなかった……………。

 

あの声は……いや、そんなはずは───!

 

俺の心情とは裏腹に、謁見は静粛に終わりを告げた。

 

………俺達は無事に、宮廷を後にする事ができた…………。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━時間経過

ーーーーーーーーーーーーーー

…………………………………

 

宮廷を退出する。

 

護衛の兵に月様と詠を任せ、残りの俺達は後から付いて行く。

 

今回の謁見は、本来なら幾ら有名と言っても、客将の身分に出来る訳がないはずだった。

 

だが、俺達にも会いたいと言う要望があるため、異例の謁見となり行われた。

 

一人、いや二人は、皇女様方。 もう一人は…………張譲。

 

お二方は、多分何進大将軍の話を聞いてだと予想出来る。

 

だけど、張譲は……検討が着かない……………ウグッ!!

 

  ガクッ!  足の力が…………抜ける………

 

光秀「颯馬!」 長慶「!」 ガシッ!

 

宮廷の門を通り抜けた直後、俺は極度の緊張のためか、倒れそうになる!

 

直ぐ隣に居てくれた光秀と長慶殿が、俺を支えてくれたため、何とか無様に地面へ這い蹲ることを避けられた……。

 

光秀「颯馬!? ど、どこかしら、手傷を負ったのですか!? 」

 

長慶「…! 光秀殿、颯馬を頼む…!」

 

長慶殿は、光秀に俺を支えて貰うように頼み、全身を隈無く確認してくれた。

 

前方より、後方の俺の様子に顔色を変えて、二人が戻ってくるのが見える…。

 

信長「………久秀の仕業…か!」ギリ

 

義輝「……いや、それは無い。 妾が氣で『結界』を築き上げ、颯馬に害する物あれば、対応するつもりでいたのじゃが…何か別の者の働きが…」

 

謙信「…あっ、大丈夫のようだ…。 長慶殿が安堵した顔をされている。 …………全く、心配させて…!」グス

 

月「天城様ー!!」  詠「月ー…、待って…!」ゼハァゼハァ  コッ! 

 

「アッ!」 トン! 「キャッ!」 ドン!! 「ゲフゥ!」

 

詠が、疲れ果てたか足がもつれて、前にのめり込む! 勿論、前には月様が居て、その後、勢い良く俺に突っ込んできた月様……。 

 

はい、お約束ですね。

 

…疲労困憊な俺は、その衝撃に耐えられず……気絶した……。 ガクッ

 

◆◇◆

 

【 久秀を止めた者…の件 】

 

?宮廷内張譲の部屋?

 

ん……………。

 

張譲「………危なかったですな……」

 

………久秀は………確か、謁見の間。 ここは、どこ………?

 

張譲「儂の部屋でございます、久秀様。 人払いは済んでいますので…」

 

張譲の……声が…。 久秀は………どうしたの………?

 

張譲「久秀様、あの『天城』と言う男は、それ程まで久秀様のお心を乱す男なのですか!? 儂は……とても………信じられません!!」

 

そ…そう………ま? 颯馬! 颯馬は? 颯馬はどこ!? 言いなさい張譲!

 

張譲「董仲穎達は、既に退出しております。 儂が謁見を急いで打ち切りましたのでな…。 久秀様、どうか、お心を鎮めて聞いて下さい」

 

張譲は……………ポツリポツリと話を始めた。

 

『 謁見の間、儂は、奇妙な視線を感じました。 すると、百官の後ろにいらっしゃる久秀様が見えたのです……。 

 

あの『天城』と言う男を、目をつり上げ睨みつけながら笑う御姿を…………。

 

その姿を見て、控えさせていた子飼いの武官で、久秀様を取り押さえました。

 

持っていました小刀も、注意深く手から離させていただきました。 

 

………余りにも強く握りしめられていて、外すのに思いの外、時間がかかってしまった……と武官より報告を受けています。

 

勿論、刃に毒が塗ってあるのは、承知でございますよ。

 

 

…………久秀様を止めた儂は…殺されるでしょう。 久秀様に……。

 

ですが、儂は充分、自分の欲を満たさしていただいたので、いつ殺されても、お恨みはしません。 …しかし、一つだけ心残りが出来てしまいました。

 

………何故、あのような場で、殺そうとしたのです?

 

儂が止めねば、久秀様は捕らえられ、斬首は間違いございません。

 

皇女様方の謁見の最中ですから、大罪なのはお分かりの筈……。

 

……儂は、その応えをお聞きし、あの世に向かいたいと存じます 』

 

 

そうだ───! 久秀は颯馬を、あの場で見付けたのだ!! 

 

張譲より、この宮廷内に来る日は知っていた。 だけど、その刻限になっても謁見がされないため、宮廷内の仕事に戻ったのよ………。 

 

それが、急に現れたと言うので来てみれば………何で!! 何でなの!!! 

 

私が于吉の駒になった後、間違いなく日の本に残った『三好長慶』、『上杉謙信』が颯馬のすぐ傍にいるのよ!! どぉーして─ぇ─……!!!

 

 

…………久秀の記憶は、ここでお終い。 

 

後は、張譲の言う通りなのでしょう…………。 悔しいけど、張譲を許さなければならない。 久秀の暴走を止めてくれたのだから。

 

颯馬、長慶サマ、運が良かったわね………。

 

真相を聞き出した後、ほかの姫武将も共々あの世に送ってあげる!

 

必ず───────!

 

◆◇◆

 

【 皇女の秘密の件 】

 

?宮廷内金糸の私室にて?

 

謁見が終わり、銀糸と別れ自分の部屋へ戻る。

 

私は…………先程、体験した事を、今も信じられずにいる。

 

だが、あの少女と誓った事、私は忘れない!!

 

☆★ 先刻の出来事 ★☆

 

あれが、『天城颯馬』か……?

 

董仲穎…叔父上が申していた『硬骨の士』、外見と内面がこれほど合わない人物も、また珍しい。 叔父上の風貌にもたじろぐ事無く直言した人物。

 

私達も今でこそ平気だが、幼き頃は叔父上の顔を見るたびに泣くため、父上より宮廷内の出入りを禁じられた事がある。 ……仕方ない事だ、うん。

 

その董仲穎の横に畏まる者、女性ばかりの将の中一人異彩を放つ『男』が…。 

私は更に観察をする。 一見すると、ただの優男に過ぎないのだが、あの叔父上が珍しく『男』を高く評価していているので、興味があるのだ。

 

『天の御遣い』=皇帝と同じ、いやそれ以上の力を持つ者。 この者なら、この漢王朝や私達姉妹の天命を救ってくれるのでないか……そう、思ったのだ!

 

……………少し確認したら、変わった物が見え始めた。

 

天城の周りに居る将達、多分、叔父上の話に聞く天城の仲間だろうか…。

 

一人の将より濃い『氣』が立ち上り、天城を守るかの如く周りを囲む。

 

……まるで、竜が天に昇るために必要となる『瑞雲』を見ているように……。

 

銀糸にも見せたい美しい光景だが、生憎、私とは違い『見鬼』では無い。

 

『見鬼』は、鬼を見れる目。 …………不思議なモノを見れる目だ。 話せば人は羨ましがるが、結構辛い物なんだがな………。 

 

その様子に少し気を取られ、目の端に動く者の影に気付くのが遅れた。

 

……百官の列の後ろに女官の姿が見える。

 

そのまま通り抜けると思えば、急に立ち止まり─! なんなのだ、アレは!?

 

立ち止まった女官、その後ろにユラリと恐ろしい姿をした『悪鬼』の姿が浮かぶ! 悪鬼の顔の向く方向は…………………天城!?  何故!?

 

ここは、皇帝や権力がある者が集う場。 その為に怨恨、欲望の塊がその者達に向かうのは、よくある事。 

 

それなのに…………ただの女官にしては、強力かつ怨恨の念が強い悪鬼が、初めて宮廷に上がるはずの天城に、何故襲いかかるのだ?

 

私は『見鬼』だから見る事はできる…だが対処など───出来ない!

 

ただ、見ているしか……………出来ない。  すまん!

 

 

───────!!!!!!

 

天城の身体を守護していた氣が、急速に形を成し始めた!

 

一つに纏まり、更に『少女』の姿に変化した!! 

 

『少女』は、天城の傍に降り立って、言葉を掛けているように見える。

 

少女『…………………………』 

 

天城の頭を一撫ですると、悪鬼の方を見詰める。 

 

戦場に立っているかのような厳しい表情を見せて…………。

 

悪鬼は、不貞不貞しい態度で、天城と『少女』の元へ近付いて行く! 

 

悪鬼は氣の塊だから、物理的な障害な物は障害にはならない。関係無い者には無害だが、標的には被害がある。 あの悪鬼なら、死は確実…! 

 

悪鬼は、百官の者達をすり抜けて、距離を縮め襲いかかろうとしていた!!

 

 

少女『 今です! 十面埋伏の陣!!! 』   

シュッ!  バッ!!

 

 

『少女』が手に持った軍配?を天に突き上げ、前に振り下げる!

 

 ──! ──! ──!───!───!──! ─!

 

地面から………無数の兵、無数の民が現れる!? 

 

姿は幻の如く向こうが透けて見えるが、この国の民の服装の者や異国の鎧を着用している者だと分かる。 

 

その者達、何十何百の者が手に武器を持ち、悪鬼に向かって突撃した……!

 

悪鬼は、手に持った棒状の武器を振り回し対抗し、倒された者は、地面に溶けるように消えていく………。 

 

されど、地面より現れる者は無限なのか、幾人も現れて、悪鬼に傷つけては消え去る。 そのため、悪鬼は次第に弱っていき─────。

 

少女『!』    ───── シュッ!!

 

  ━━━! ━━━! ━━━! ━━━!

 

少女が、横に軍配?を凪ぐと、槍を持つ異国の兵が左右に新たに現れ、悪鬼を串刺しに捕らえる!! 

 

    !!!! ━━━━━──── ………………

 

悪鬼は…苦悶の表情を浮かべ消えて……しまった。

 

私は、慌てて辺りを見渡すと、二度驚く事になった!

 

誰も…………動いて………………いない!?

 

私の傍の銀糸は勿論、今の光景の天城達は顔を伏せたまま、百官達もいつも見る嫌らしい笑みを貼り付け状態で、停止している。

 

唖然とした私に少女が、近寄り話掛けてきた。

 

『あなたは、この国の皇帝陛下様ですかー?』

 

いや、まだ即位はしてはいない。 何故、そのような事を?

 

『いーえ、この国の皇帝陛下様は、臣下が襲われているのを、見て見ぬ振りをする薄情な人かと思っていましたよー?』

 

私には、対処する力がない。 あのような化け物を退治する力も、それに対処するべき権力も…………。

 

『あなたは、そう言い訳をして、何度も見殺しにしていくのですかー? 自分に力が無いから、誰かに頼るだけの寄りかかる生を続けていくのですかー?』

 

………………………………。

 

『はんべえさんが助けた天城颯馬は、天の国で君主を補佐し、君主を天下を取らせましたー。 無論、天城颯馬の力だけでは無く、多くの英雄たる綺羅星が集まり、それを成し遂げましたが〜 』

 

…………………………? 

 

『 その天城颯馬も君主だった者も、始めっから権力を持っていた訳ではありませんよー。 そうですね、例えば、漢王朝の高祖が最初に沛で張良に出会って配下に入ってもらった状態で天下統一を行った状態ですねー! 』

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━!!

 

『はんべえさんが言いたいのはー、諦めては先に進めないですよー! 小さい事でも前に進めなければ…。 天城颯馬は、今も研鑽に努めています! だからこそ、英雄達が認めて傍に来てくれたのですから〜』

 

……………私にも……………出来るの………か?

 

『諦めなければ、必ず───!』

 

────わかった。 まずは、始める事、そして継続、最後に諦めの不定。

 

『その通りです〜!』

 

そうか………。  天命に逆らうのは、割と簡単なのかもしれないのだな。

 

───────────────────

 

少しの沈黙の後、少女はクルリと私に背を向ける。

 

『 あの兵の皆さんは、あそこの天城颯馬に『恩がある人達』が手助けを申し出てくれた人達なんですー。 はんべえさん一人じゃ、無理でしたねー 』

 

『 この世界に、本来干渉が出来ないはずだったんですが、相手が相手だったので、こうして出てきてしまいました。 ですから、この事は秘密でお願いしますねー 約束ですよー!』

 

…? 私に一方的に言い放つ少女。 それは約束するけど、この状態は?

 

『刻は、はんべえさんが居なくなった時に、動かしますから! 』

 

少女は、天城颯馬に近付いて、もう一度頭を撫でて、一言残して消えた。

 

『 颯馬さーん、出来れば……また………お会いましょう………!!』

 

 

★☆   終了   ☆★

 

嘘か誠か…幻想か現実か……分からない。

 

ただ、あの退出するときに見た、少女の居た場所。

 

そこには、水滴が……二つ、三つ……落ちていた。

 

◆◇◆

 

【 何進大将軍との再会の件 】

 

?宮廷の門付近にて?

 

詠「月ー、ごめんね! 大丈夫、怪我はない!? 颯馬、アンタは!?」

 

月「へぅぅぅぅぅ、?°(>_< ;≡;>_<) °? 申し訳ありませんー!」

 

颯馬「………大丈夫ですよ。 何進大将軍もお待ちですから、急ぎましょう! 後、張譲様の言葉も伝えないと…………」

 

…とは、言ったものの、ゆっくりじゃないと動けないよな………。

 

義輝「……颯馬では無いが、妾も少し気怠い……。 そんな強い術でもないし別に反応があった訳でもないのだが………」

 

俺達の様子に、月様を中心にした思案する。

 

長慶「義輝様や颯馬の様子では、何進大将軍とやらに後日の面会を申し上げた方がいいのではなかろうか?」

 

謙信「……しかし、何進大将軍をそのまま置き去れば、張譲の手の者が来るかもしれぬ。……無理をしても用件だけ済ませ、帰ってきた方が賢明かと…」

 

信長「三太夫か小太郎を何進の屋敷に護衛をつけ、私達は明日出向くと言うのはどうだ!」

 

月様と詠も即断する事も出来ず、思案顔。

 

 

………すると、向こうから、話題の張本人が向かってくる!!

 

何進「おおぅ! 董仲穎と天城か! …! どうした! 体調が悪いのか? ならば俺の屋敷に来い! 遠慮するような奴もおらんからな!」

 

そう言って、俺をお姫様抱っこで持ち上げる!! 

 

月以下「 ━━━━━━━━━━━━━━━!」

 

何進「お前等、何を呆けている! 体調が悪いの手伝うに貴賤の差などないぞ! 体調が良い奴が悪い奴を運ぶ! 常識だぞ!?」

 

何進大将軍の叱咤に、驚きつつ後に付いて行く一同。

 

月(………いいなぁ。 天城様に、あの抱き方して貰いたいな……へぅ!)

 

詠(べ、別に、興味があるって訳じゃ……ないのよ…決して……)

 

長慶「私でも出来るが…いや、絵柄的には、私が抱かれた方がいいのか?」

 

謙信「…まさか、颯馬は衆道!? いや、馬鹿な事…………(フルフル) 」

 

信長「義輝よ、このような状況を八百一関係者に流せば、容易く新刊を出してくれるのではないか? クククク」

 

義輝「うーむ、悩むべきところじゃ!」

 

光秀「悩まないで下さい───!!」

 

………後に、この事は数日後に洛陽に広がり、陳留を中心に何進×天の御遣いの八百一本が広まったという。

 

☆☆★

 

俺は、何進大将軍にお姫様抱っこされて運ばれると言う、法外な果報と言うか洛陽中の晒し者と言うか、寝台の上に寝かされている。

 

………で、俺の寝台の下には、鼻血を吹き出しながら呟く少女が……。

 

って大丈夫か! おいっ!! どう見たって出血量が普通に死ぬだけ出ているぞ?

 

何進「具合はどうだ! 天城!」

 

何進殿! 下に、下に! 早く手当てをしないと────!!

 

何進「あちゃー、また郭奉孝か。 そうがねぇなぁ、おーい、また鼻血が出たから頼むよ! 程仲徳!」

 

風「むぅぅ〜! 風は稟ちゃんの鼻血処理係じゃないですよ!」

 

何進「でも、お前しか止める奴は居ないんだから、頼む!」

 

風「仕方ありませんね。 はーい、稟ちゃん、おっきして後ろ向いて…」

 

倒れていた少女はムクリと起き上がり、先程の程仲徳の言葉通り座って後ろを向いたって、なんで俺の方に向くんだ!? 

 

血だらけの顔が、こっちに! 顔が整ってる分余計に怖い!

 

稟「 ……先程の御遣い殿と何進大将軍の寝台での運動の後、お顔を朱に染める御遣い殿。今度は攻めの行動に移すため、その官能的な肉体を私の上に覆い尽くさんと、手が伸びて─────ブハッ!!!」

 

ぬおっ! 鼻血を吹いて、こっちにぃぃぃ!! ぎゃぁ! 生暖かい! 鉄臭い!! なんで、こんなにぃぃぃ────────!

 

風「あ──。 方向間違えたましたー。 f(^_^) 」

 

☆★★

 

稟「───────本当に、申し訳ありません!!!」

 

風「そうですよー、稟ちゃん、ちゃんと反省しなさいと駄目ですよ!」

 

稟「向きを変えたののは、風ではありませんか!?」

 

宝ャ「 そんな昔の事は忘れたよ………」

 

何進「………本当にすまん! 軍師の不手際は主の責任! 」

 

────! 大将軍までに謝られては、こっちが困りますよ! 変わりの高い服を様相まで用意してもらい恐縮ですから!

 

俺は、自分の体に合わせてもらった、大陸西側の装束をもう一度見る。

 

黒色を基調として、白い線が両肩に伸びて模様を象る上半身専用の衣類。袴と違う身体に密着する下半身専用の『ずぼん』なる物、『まんと』と言う風除け雨除けに使用する大きな布、『剣』と言う刀と違う両刃の刃物。 

 

颯馬「うーん、これはこれで動き易いな。 皆はどう思う……!?」

 

俺は、そう言いつつ後ろを振り返った………。

 

月「──────もう、最高です! 本日から、これで!!」

 

詠「まぁ、そ、そうね。 わ、悪くは無いわよ、うん……」

 

義輝「ほぅ! 中々機能的な衣装じゃ! 妾もこのような衣装を用意しよう! 颯馬とお揃いじゃな!!」

 

光秀「…なら、私も西洋衣装を義輝と一緒に、ご用意致します!」

 

長慶「うん! 流石颯馬だ! よく似合っている!」

 

信長「私と同じ衣装か! 素晴らしい、素晴らしいぞ! 颯馬!!」

 

謙信「う、うむ。 よく似合っている!!!」

 

よ、良かった! これで似合わないなどと言われると、物凄く傷付くぞ…

 

何進「そういえば、まだ軍師を紹介していなかった」

 

何進大将軍が、軍師を招き紹介する。 まぁ、何人か紹介がすんでいるが。

 

何進「『郭奉孝』、『程仲徳』の二人だ。 俺の懇願を受け入れて軍師になってもらった。 それから、まだ見知らぬ天の御遣い人達よ。 ご挨拶が遅くなり申し訳ない。俺が漢王朝の大将軍『何進』と申す。 宜しく頼みたい!」

 

月「何進大将軍!頭を下げないで下さい!」ダッ!

 

月様は、慌てて何進大将軍に駆け寄るが、途中、手を広げ押し止め俺達に向かい、静かに礼をする。 

 

大将軍が俺達に頭を下げる、つまり、俺達は大将軍より位が高い、皇帝陛下並みとは言わないが、近い者『天の御遣い』と認めた事になる。

 

何進「…お前、いや貴方方は、皇女様方に拝謁出来て無事戻られた。 即ち『天の御遣い』の身分を保証されたも同然。 だから、大将軍として礼を尽くす。 当然の行いだ」

 

俺は、何進大将軍に礼を述べ、仲間達の紹介を行う。

 

何進大将軍と軍師達は、紹介するたびに感嘆の声を挙げる! 

 

多分、風評が色々広まっていたんだろうなと推測した。

 

最後に、足利義輝を紹介した時に、何進大将軍が片膝を付いて臣下の礼を取り始め俺達は狼狽する! 

 

義輝も少し驚きながらも、『何故に…』と問いかけると…………

 

何進「はっ! 貴女様から貴人の風格、皇帝の風格が感じ取れたため、臣下の礼を取らせていただいております! 」

 

何進大将軍曰わく、昔の霊帝に似た風格があるが、義輝の方が遥に皇帝らしい

と言われた。 確かに、日の本の時は、皇帝に近かった訳だが……。

 

義輝「……わかった。されど、お主は漢王朝に仕える身故、漢王朝存在すれば、漢王朝を優先せよ! お主が職を辞した時、改めて仕えれば良かろう!」

 

何進大将軍は、大いに喜んだようだ。 

 

後、俺達は張譲の用件を伝え、相談する事になった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

今回は、話の展開どうしようか迷いに迷ってこんな展開になりました。

 

雪風様には申し訳ないですが、長慶と久秀の会話は、また会えた時の楽しみでと言う事で。

 

後、金糸が述べている『見鬼』とは、『生まれつき、霊が見える力』(向こうでは、鬼は幽霊等の霊体を意味する)を意味します。

 

決して、『戦国恋姫』を意識して、行ったわけではありません。

 

っていうか、二条御所の襲撃辺りで止まった状態です。 

 

この小説考えているために。 

 

それに、安倍清明等も好きですから、出してみたかったんですよ。

 

呪法も幾つか知ってましたしね。

 

そんな訳で、この作品も作者の頭も混沌としてきます。 

 

それでも、よろしければ、また読んで下さい。

 

次回は、もしかすると、かなり遅れるかもしれませんので。

 

説明
義輝記の続編です。 今回少し変わった物を取り入れました。 それでも、宜しければ読んで下さい。
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コメント
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! すっかり二人の軍師が弄られ気味で、満足している作者です。 次回もまた少し物語が進みますが、どうなることやら。(いた)
鼻血一発目が衆道萌えとか…郭嘉さん後生ですから貴女は腐らないで下さい、捩じり褌でテカテカの二人が幻視できてしまったがまさか何進×颯馬のガチホモの御本とか出ませんように。洛陽陣営がかなり充実してきて今後の展開が楽しみです(禁玉⇒金球)
雪風様 コメントありがとうございます! 本当は出番はまた後の筈でしたが、皇女達との繋がりが思いつかず登場してもらいました。虎牢関戦には、全戦極キャラを出演してもらう予定です。(いた)
戦国の伏龍は守護霊として、天城を支えるか・・。これからの執筆に期待ね。(雪風)
追記 naku様 心配して下さりありがとうございます! 虎牢関戦までは、この調子で行きたいなと思いますが………。(いた)
naku様 コメントありがとうございます! 軍師としては稟の方が献策は高いですね、この外史では。 さーて、ゆっくりしようかなと思いましたが、構想が浮かび創作中。案外数日で出来るかもしれません。(いた)
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