超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ルウィー編
[全1ページ]

「……ふ、やはりと言うべきかイムナール。貴方は最後まで脅威として見ていたのですね」

 

世界中の迷宮の壁の間の影から自作であるロボットと四女神そしてブラッディハードの戦いを観察するナイアーラトホテップが合った。

ただ残念な思いが彼の胸の間を駆け巡る。

卑怯だ。こちらは遊戯の気分であちらは本気でこちらを排除する気で、叩き潰す気でありとあらゆる可能性を考えてこちらの手を止める気で合った。それでは負けるに決まっている。

それなりに長い付き合いだからこそ、イムナールはナイアーラトホテップのここまでを予測内に入れていたんだろう。勿論、全体的に見ればナイアーラトホテップの先手から始まり追い詰められているようだったかもしれないが、最後までイムナールは敗北を認めず着々と逆転の時を狙っていた。全ては邪神という存在をゲイムギョウ界から追放する為に。

 

「やれやれ、本当に毛嫌いされたものです。流石の私もこの世界が本当に嫌いになってきましたわよ」

 

自分の存在をかけても守ろうとするこの世界。

ーーーもし、この世界を完膚無きまで壊してしまえばイムナールは一体どんな表情になるだろう。

自分に対して憤怒を抱くだろうか?復讐心を抱くだろうか?感情をむき出しにするイムナールを見てみたかった。故にこの世界で遊んだ結果、イムナールはそれらの感情を出す前に必死で状況をいい方に向けようと走り回った。

イムナールの思いをここまでへばり付かせる理由を知った今、ナイアーラトホテップは思わず、ため息を吐きそうになった。

イムナールは最初から過激派ギルドを見捨てる覚悟で、ゲイムキャラが破壊された瞬間から他国からゲイムキャラを侵奪することか、『旧神の鍵・儀典』を使うつもりだったのあろう。そして、ナイアーラトホテップが過激派ギルドに加担している時点で、ヌギル=コーラスの落とし子達だけでは対処が難しいと判断して他の女神を加入させる手を躊躇なく使い、この場に導かれた。

 

「しかし、ですね。イムナール」

 

猛攻と爆破が世界中の迷宮に響き渡る。

既に傷を完治させたヌギル=コーラスの落とし子が紅の双翼を広げ、四女神がロボットに立ち向かっている姿を見ながらナイアーラトホテップは呟く。

 

「今回は素直に負けましょう。しかし、次は勝たせてもらいます。この戦いは次なる戦いへの糧。勝利を掴むための階段。私に残されたのは彼達がこの物語を終わらせるための力を得るため、邪神流の手向けです。決して無駄にしないでくださいよ?フフフッ……」

 

タネは撒いた。

後は、彼らに委ねよう。

楽しそうにいつもの冷笑を浮かべながら彼らたちの戦いを見ながら闇へと消える。

全てが終わったその時、イムナールとのデートを楽しみにしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

心強い仲間であるノワールとベールを加えこの世界を守護する四女神と共に新型ロボットと戦う俺達。

正直な所、五人対一と言うのもあり、俺一人で戦った時はボッコボッコにされていたけど、これならいけるんじゃないかと思っていた時期がありました。

 

「……私達を相手にして…」

 

「くっ…なんたる屈辱ですわ…」

 

|枯れ木の様な剣《アフトゥ》を握りを悠然と立っている新型ロボットは俺達を見下ろし。

俺達は地面に膝を付けて肩で息をしていた。五対一という見ればこちらが圧倒的に思っていた幻想は木端微塵に打ち砕かれていた。

 

「…強い、わね」

 

「畜生…、こいつデカい体をしているなんて動きをしやがるんだ…!」

 

この忌々しいロボットを作り出したのは間違いなく異世界の邪神ナイアーラトホテップだ。

異世界からということもあり、このゲイムギョウ界と違った武術の達人の戦闘プログラムでもいれているのか動きが全く読めない。ネプテューヌ放つ刀閃は弾かれ、ノワールの斬撃を軽く受け流され、ベールの連続刺衝には巨体ではありえないほどの速度で回避して、ブランの戦斧による豪悍の一撃は真正面から防いでも体制を一切崩さない。俺は臨機応変に銃撃戦や接近戦を女神達に合わせて行うが、的確に回避行動を取られて俺達は防戦一方まで追い詰められていた。……なにより、他にも問題が発生している。

 

「私が突進しますわ。貴方達は後方援護をお願いしますわ」

 

「バカ言ってんじゃないわよ。貴方の背中なんて守る気はないわよ。むしろこの中で一番の攻撃力を誇る私が行くのが常識よ」

 

「それより私が一撃を加えている隙に左右か、後ろから攻撃を加えた方が理に適っている。この中で一番火力があるのは私だ」

 

「いえ、私が牽制するからその間に打つのがベストよ」

 

……四女神が集まって調子乗っていました。

こいつらはよくよく考えてみれば、((戦争している真っ最の仲|・・・・・・・・・・・))でした。つまり互いに仲がいいと勿論言えず、むしろ仲悪い。

ネプテューヌはともかくノワール、ベール、ブランはお互いの視線が混じり合う所から火花が見える。

 

「……あかん」

 

突っ込みたいが、この四女神のバラバラ具合をサポートするので精一杯。

頭を掻いた。結構どころか、真面目にマズイ。どちらも女神のプライドがあるのが、融通が効かない所がある。悪く言えば我が強い。そもそも戦争している間の四人が肩を合わせて戦う事すら奇跡と言ってもいいのに、これにプラスしてコンビネーションを求めるのは間違っていたかもしれない。

記憶喪失故に女神として自覚が最も薄く、尚且つ自分だけでは倒せないことを受け止めているネプテューヌは俺に向いた救助サインを送ってくる。

 

「俺にどうしろと……」

 

「この中で、誰とも関係があるのはあなたよ」

 

お前だって、大陸を巡って全員と関係があるだろうがーーそう言い返したかったが、ロボットの肩部が上下に展開されそこから拡散するレーザーが放たれるのを見て口を閉じた。バックプロセッサの翼を大きく広げて俺を含めて四女神を囲むように展開して放たれる光の散弾に衝撃に耐えた。

さっきのガトリングといい、人間なら一瞬で血肉と化す。絶対にアイエフやコンパは後方支援ですら任せられない。

こいつは邪神の作り出した人智を超えた鋼鉄の怪物だ。どう考えても少女二人の戦力が追加されたところで状況は大きく変わらない。

 

ーーー勝ち目は限りなく薄い。

 

ぶっちゃけ、コンビネーションというのは今日いきなり都合よく出来るわけではない。

個々の特性を理解して、それをどう生かしていくか、ポジションだとの問題もあるし、なによりこいつ等は互いに敵意を抱く同士だ。

空ならともかく、俺はそれを一目でこいつらの戦闘スタイルに合わせて作戦を練るような知識や戦闘経験はない。少なくてもこの四女神の特性はある程度は理解しているつもりではあるが、やはり無理。まとめ上げるカリスマとかない。どう考えても((今は|・・))無理だ。

 

「ネプテューヌ」

 

「分かったわ。あいちゃんとコンパを追えばいいのね」

 

ゲイムキャラの力をどのように生かすのかそれは直ぐに決定した。

アイコンタクトと名前を呼ぶだけでネプテューヌは頷き、その場を後にする。

 

「な、どこに行くのよ!?」

 

「空が言っていたゲイムキャラの力を強化する最奥の場所だ。俺達はこいつを抑えるぞ」

 

「……了解」

 

「むぅ、少しだけ追い抜かれたかもしれませんわ」

 

ノワールに補足を伝えれば直ぐに黙った。ブランも察して、ベールは気に入らないように口を尖らせた。

新型ロボットの肩と足にある剣の様な鋭さの装甲が翼のように広がり光の粒子が溢れ出す。そして加速、一気に距離が詰まる。

上段に振り下ろされる不可視の斬撃を放つ剣を大きく跳躍することで回避、続けて下段から迫ってくる追撃を体を捩じるように回すことで避け、そのままの急降下の加速で剣を持っていない方の腕に斬りかかるが腕から三つの獣ような鋭い光刃が展開され防がれる。

 

「このぉ!!」

 

「はぁぁ!!」

 

鍔迫り合いで動けないロボットに左右から黒色の斬撃と緑色の刺衝が奇襲を仕掛ける。

その瞬間、ロボットのアイカメラが不気味に光ると肩と足から広がる剣翼から発せられる魔力の粒子がロボットの頭上に集まり、剣の形を作った。

 

「下がれ!ベール、ノワール!!」

 

「「っ!!」」

 

咄嗟に指示を飛ばしたおかげで二人とも魔力の剣の雨を躱すことに成功した。俺も鍔迫り合い状態から腕を斬られながら離れることには成功した。痛みを歯で食い縛りながら飛び散る鮮血と共に後ろに下がる。

 

『気を付けろ!』

 

魔力剣が空中で((反転|・・))する。再度、鋭利な矛先を向けて襲ってきた。

 

「これは……!」

 

「ホーミング性能までついていますの!?」

 

迫りくる剣の流星群に今の技術で対処できる手段を直ぐに実行に移した。

((追尾氷撃弾|アフーム=ザー))が放つことが出来る黒曜日と((炸裂爆炎弾|イォマグヌット))が放つことが出来る黒曜日の両方を魔力の剣に向けて発砲する。跳ね上がりそうなほど反動を腕力で殺し、放たれた蒼と紅の弾丸は魔力の剣を粉々に破壊した。

バックプロセッサの出力を更に上げる。同時に頭に響く怨嗟の熱が徐々に増して狂いそうになる。それを気合で押し込み、突きつけられる鉤爪と同時に魔力を込めて赤く染めあがり一つに束ねた黒曜日と再び衝突する。逃げ場のない魔力は周囲に散らばり、地面を無尽蔵に走った。

 

「このぉぉ!!」

 

「はぁぁ!!」

 

ロボットの剣翼がガラスの砕けるような音と共に砕けた。

翠と黒の斬撃によって破壊されたロボットは魔力の剣を生成することはできない!

 

「ーーー女神さえも叩き切る超ド級の戦斧の一撃!」

 

鍔迫り合い状態の隙を見て、ブランが懐に潜り込む。ロボットの装甲に薄らと見える回路が光を放ち始めるが、既に間に合わず頭部に強烈な打撃が叩き込まれ大きく態勢を崩し、尽かさず腹部に掌底が撃ち込まれロボットは吹き飛ぶ、体制を整えようとするが壊されたブーストの所為で転げるように倒れる。

 

「決めろ、ブラン!!」

 

「おうよ!ーーーくたばれぇーっ!!」

 

バックプロセッサから光の推進剤を膨大に吹かして加速しながら、自身の持つ巨大な戦斧を形成させ大きく跳躍して運動エネルギーと女神としての人智を超えた怪力を上乗せした破壊の一撃が吸い込まれるようにロボットに叩き込まれる。爆砕する地面と粉砕された装甲がまるで鮮血のように飛び散り、爆発の轟音を響かせた。

 

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