GF 〜The Galaxy Century〜 第二章 〜始まりの試練〜 Chapter1 |
今回のあらすじですが、この俺、白崎 逢魔が担当することになりました〜〜〜!!
この後も活躍するこの俺だが!! まずは最初に前回のおさらいをしてみましょう!!
えっ〜と、突然の隕石襲来からいきなり7億年後の世界に来てしまった俺達!!
若干とまどいながらもGFのみんなが俺達のためにサプライズパーティーを開催し、その不安を拭ってくれた!!
そして、元の世界に戻るためにGFに臨時加入した俺達はこれから待ち受けるであろう数多くの試練に阻まれることになる!!
謎の組織の襲来!! 毎日くる地獄の訓練!! ときにヒロイン達との甘い蜜!! 果たして俺は数多の試練を乗り越えてライバルを打ち倒し、ヒロイン達とのハートをキャッチすることができるのだろうか!! 俺はハーレム王になっ・・・ぶほぁ!!
直「勝手に捏造すんじゃねえ〜〜〜!!」
アルティ「誰があんたと甘い蜜をするものですか〜〜〜!!」
逢魔「ちょ、まっ、タンっ、ぎゃああああああああ!!」
春「というわけで、GF始まりま〜す。」
■
直「・・・・・・・・・・・・。」
あれから一週間が過ぎた・・・・・・。
それは歓迎会というのもあるのだが・・・、俺の場合は”あのときアルティがある言葉をいった途端に気を失った”その日での一週間後だ。
気を失った俺はすぐさま医務室へと運ばれ、一命を取り留めた。
といっても、そんな重症でもないし、すぐに目覚めた俺は医者である十織さんに軽い脳震盪という形で処理された。
そして、アルティの方は気まずさそうにこちらを見ていたが、すぐに謝り、あのときの出来事をなかったことにされた。
要するに聞かなかったことにしてくれということだろ。
その日からは、アルティとの関係は落ち着いているが、未だにあのことを聞きだせずにいるのが今の状況だったりする。
では何故、この一週間の間なにしていたかというと・・・・・・。
1日目。
逢魔「おい、直。 覗きに行こうぜ。」
直「はっ? なにを?」
逢魔「決まっているじゃないか。 風呂にだよ。」
直「断る。 どうせえらい目にあうんだろ?」
逢魔「そんなこといわずにさ。 ほら、同志達も参加してくれることだし。」
カイ「安心しなって、秘密の花園を一緒に共有しようぜ〜。」
リク「兄貴・・・、俺はどうしても嫌な予感しかしないッス・・・。」
それは同感だが、スケベ組と同行している辺り説得力がないと思う・・・。
だって、お前そういいながらもなんかにやついているし・・・。
逢魔「ってなわけで、一緒に行こうぜ〜〜〜。」
直「さっきもいったが、断固断る。」
逢魔「ちえ〜〜。 じゃあ、行こうぜ。 俺達三人で、いざアルカディアへ!!」
後悔するなよ。 っと、俺にそう言葉を残して風呂に行った結果・・・・・・。
アルティ「この、覗き魔共がっ!! そこに直りなさい!! ここで切り捨ててやるんだから!!」
イゼルト「マセガキ共・・・。 覚悟はできているのだろうな・・・。」
アサキ「は〜っはっはっはっはっは!! エロガキさん、天誅ネ!!」
メリア「成敗・・・。」
スケベ組「「「ぎゃああああああああああああああ!!!」」」
ほら、みろ。 いわんこっちゃない・・・・・・。
二日目。
イゼルト「今日から貴様達には少しでもまともになるまで体力づくりをしてもらう。 特に白崎とマキア兄弟!! 貴様達は前日の罰として10倍にする!!」
スケベ組「「「ええ〜〜〜〜〜〜!!」」」
イゼルト「つべこべいうな!! 走れっ!!」
スケベ組「「「は、はいっ!!」」」
直「馬鹿だろ、お前ら・・・。」
春「そうですね。 かなりドン引きですね〜。」
逢魔「だが!! こんなところで挫く俺達ではない〜〜〜!!」
カイ「そうだ、そうだ。」
イゼルト「では、100倍にしようか貴様ら三人?」
逢魔とカイ「「ひいっ!!」」
リク「俺なんもいってないのに、とばっちり喰らった〜〜〜!!」
そりゃ、自業自得ってやつだろうが馬鹿たれが・・・・・・。
三日目。
スティア「では講義を始めたいが、その前になんで寝ている。 逢魔と春?」
バチィ!!
逢魔「ふぎゃああああああ!! なんだ、なんだ、なんだ?」
春「ひゃう!! 静電気ですか今のは?」
スティア「違う。 ”コマンド”を使っただけだ。」
直「コマンド?」
スティア「ああ。 だが、その前に貴様ら寝るな。」
バチチチチチチチチィ!!
逢魔と春「びゃあああああああああ!!」
おいおい・・・・・・。 これじゃ、始まらねえな・・・・・・。
四日目。
逢魔「今日こそ、俺が勝って主導権を貰ってやるぜ〜〜〜!!」
場所は、レクリエーションラウンジで逢魔はラゼインさんとゼルファさん、そしてリルティさんを相手に今日も麻雀を対戦している。
ちなみに、逢魔はこの数日でこの三人に一回も勝っておらず、既に50敗以上負けている。 ほとんどは、ゼルファさんとリルティさんが独走しているけど・・・・・・。
逢魔「リーチっ!! あとはあれを揃えば・・・。」
ゼルファ「国士無双です。」
逢魔「なんでやね〜ん!! おかしいだろっ!! それ既に3回連続出しているでしょうが〜〜〜!!」
さすがに、神運持ちが相手じゃ分が悪すぎるだろうな・・・。 しかも、銀河チャンプ二人を相手にロクな点数を出してないどころか、逆に取られまくってマイナスが積み重なっているし・・・。
あといい忘れたが、その二人に勝てばなんでも言うことを聞いてくれるらしく、逢魔はそれに乗って今という状況にあるが・・・・・・。
逢魔「くそっ!! 今度こそリーチっ!!」
リルティ「ロンですわ〜。」
逢魔「なんでだ〜〜〜!! しかも一色〜〜〜!!」
とまあ、こんな感じであの二人の独壇場となっているわけで、それ以外のゲームでも完全無双状態で逢魔をぼろくそに打ち負かしている。
ラゼイン「よおやるなお前。 懲りないのか?」
逢魔「勝つまでは、何が何でも引けぬわ〜〜〜!! 一億玉砕の覚悟でやってやるぜ〜〜〜〜!!」
それ、どっかの国のお偉いさんが言っていたな・・・・・・。
ゼルファ「ロン。」
リルティ「あら、また国士無双ですわ〜。」
逢魔「うわあああああああ!! あんまりだ〜〜〜!!」
でも、実際。 負け続けているよねそれ・・・・・・。
この後も、逢魔がゲームを変えながら粘り続けていたが、結局全敗したのだった・・・。
五日目。
逢魔「でさっ、今度はどこいく?」
直「そうだな。 とりあえず情報収集しようか。」
逢魔「ええ〜〜。 そればっかだなお前・・・。」
春「そうですよ。 例えば三人で遊んで気分転換するとか。」
直「おいおい、ガキじゃねえんだから社会の対応をしないと・・・。」
そういった途端に・・・。
ユナ「きゃあああああ!! どいて、どいて〜〜〜!!」
春「って!! ユナさん!!」
逢魔「おい!! 今度は階段から落ちてくるぞ!!」
またか・・・、あの人って次々と問題を起こしてくれるねえ・・・。 前は確か、怪しげなものをうっかり誤作動して大パニックになったんだっけ・・・・・・。
その度に、被害出てくるんだからこの上厄介極まりないので・・・・・・。
直「よし、パターンHな。」
春「はいっ!!」
逢魔「えっ? なにそれ? って、俺をガードするな!! ぎゃああああああ!!」
仕方ないから、逢魔を身代わりにすることで難を逃れるが、その代わりユナが運んでいた大量のメスやその他の医療器具が逢魔に襲い掛かるわけだが・・・・・・。
逢魔「お前ら!! 俺を殺す気か〜〜〜!!」
ユナ「きゃあああああ!! すみません!! 大丈夫ですか!!」
おお、全身血まみれになりながらも生きているとは、さすがタフ男。 あと、ユナさんは奇跡的に軽傷で済んだ。
直「まあ、ともかくいつも通り医者に診てもらうか。」
春「そうですね。 それがいいですねきっと。」
逢魔「人の話を聞け〜〜〜〜!!」
このあと、怪我人二人を連れて医務室にいくのだった・・・。
六日目。
逢魔「はぐ、もぐ。 むぐぐぐぐぐぐ。 ぷはっ、おかわり!!」
カイ「おお、やるね。 リク!! 俺らも負けてられないぞ!!」
リク「ええっ!! 勘弁してくださいよ!! もう食べきれないって!!」
アサキ「はっはっはっはっは!! まだまだいけるネ〜!!」
と、場所は食堂で大食い競争が始まっている。
事の発端は逢魔が言った一言であいつも含み、マキア兄弟、アサキ、イクス、ロゼット、そしてメリアの七人が参加し、勝ち残れば参加者に対して好きなことを命令するということで始まったわけだが・・・・・・。
イクス「こ、こりゃ思ったよりきついね・・・。」
ロゼット「僕もだよ。 まさか、こんなにも食い意地のある人達とは思わなかった・・・・・・。」
メリア「・・・・・・・・・・・・。」
と、こんな感じで苦戦しているものがちらほらいるが、一番リードしているのは以外にもメリアであり、2位であるアサキとの差はすでに10枚の差を出している。
アサキ「むう〜やりますネ。 だがしかし、ここで引き下がる私ではありまセン!! 私の奥義、疾風食いを見るネっ!!」
逢魔「なにっ!! こいつ両手に二本箸で食いやがってやがる!!」
要するに、箸をもう二本もって物凄い勢いで一気に食べているだけだが・・・・・・。
メリア「・・・・・・むっ。」
メリアも負けずにと、さっきよりも二倍くらいの速さでどんどん食い尽くしている。
ルミ「あはははは・・・・・・。 すごいねあの人達。」
アルティ「ルミ。 だからといってまねしない方がいいわよ。 絶対後悔するから。」
アリス「ふれ〜!! ふれ〜!! ファ・イ・ト〜〜!!」
クロハ「負けるんじゃないぞ!! 貴様には三万Gz賭けているんだからな〜〜〜!!」
鬼舞羅「何を〜〜? 余は主に五万Gz賭けているんじゃ〜〜〜!!」
と、まあ。 ギャラリー達も結構盛り上がっているからな・・・・・・。
ラナ「は〜い。 追加注文持って来たよ〜〜。」
イメル「どれくらい食ったら気がすむんですかあなた達・・・。」
キア「・・・・・・激辛挿入。」
リエン「駄目だよキアちゃん。 そんなことしちゃ。」
四姉妹は、結構忙しそうだな。 一部、変なことをしている奴がいるが・・・・・・。
ギルド「この戦いに意味はあるのか?」
エイガー「さあな・・・・・・。」
まあ、ごもっともですけど。 俺はさっきからこれしかいっていないからな・・・。
結局、大食い勝負はメリアが勝利し、報酬である命令権で優勝者以外全員に自腹で払うという手痛いことになり、それに対して大絶叫が起こったのだった・・・・・・。
そして七日目。
逢魔「うう〜。 どうして俺がこんな・・・。」
かなた「仕方ないですよ。 だって前日あなた負けましたし・・・。」
イクス「ま、結果として皆から一部借金することになったんだから、働いて返すことだね・・・・・・。」
いうまでもなく、前日大食い大会で負けた逢魔は、皆から借金することになり、ショップで働くはめになった。 まあ、Gz持っていない以前的にラクター持っていないから当然だけどね・・・・・・。
直「とはいっても、ラクター持っていない時点でGz得ることできないだろ・・・。」
イクス「そういえば、そうだね。 でも、リーダーによるともうすぐ届くっていってあったし、それまでは私のラクターでしばらくGzを預けて置くよ。」
逢魔「そりゃ、電子金ですからそうですよね。」
直「ま、とりあえずガンバだ。」
・・・・・・という一週間を過ごしたわけだ。
さて、回想を終えたことだし、朝食に行きますか・・・・・・。
■
アルティ「・・・・・・・・・。」
私ことアルティ・ロウキルは、未だにあのときのことで思い悩んでいる。
それは勿論、直達が体験した出来事である。
直の両親がすでにいないという話に驚き、そこに触れてしまったことを罪悪感に思っていたが、直が連続で宝くじを大当たりしたことにもっとびっくりした。
そのときは直が気遣っていたのだろうと思ったけど、それにしては内容があまりにも急展開していたのだ。 だって、両親がなくなった途端にいきなり宝くじで連続大当たりしたって聞いたものだから、 てっきりそれのせいでとても不安定な強運を得てしまったと思ってしまったのだから。
でも、直達の過去を聞いていくうちになんだか”違和感を覚えた。”なぜなら、あまりにも”直が酷い目に遭っておらずに過ごしているのだから。”
宝くじの賞金で”誰も狙わず、何事もなかったかのように孤児院をあっさり出て家を購入”したのもそうだし、不良達を集めて、バトルロワイヤルを始めている間に”何故か直を狙わず、それどころか逆に逢魔だけが酷い目に遭っている。”
そのあとのことも何も悪いことが起こらなかったということにいくらなんでも強運とは思えない安定した幸運な生活を充実している。
あまりにも疑問すぎることに逢魔や春にそのことをいったけれども・・・・・・。
逢魔「そういわれても、実際それが起こった日常だから仕方ないだろ。」
春「アルティちゃんのいうとおり、普通の方なら確かにおかしいと思いますけど、そのおかけでいろんなことができましたし、なにせ幼馴染ですから一切疑いませんよ。」
と、疑問もせずに受け入れているという結果だった・・・・・・。
そういえば、直が正体を明かしたときだって”なぜかすんなりと信用してしまったけど、理由は自分でもわかっていない。”
じゃあ、本人に問い出せばなにか聞きだせるかも・・・・・・。
そう思い、私は直のところに真相を問いだしたところ、彼すらも疑問に思っていなかったことで、ある確信が浮かび上がった・・・・・・。
あまりにも無意識且つそれを違和感に思っていないということはつまり、彼は間違いなく”コマンダー”である。それもかなり特殊な能力・・・・・・。
コマンダーとは、能力者のことを指し、その能力もとい異能がコマンドと呼ばれる。
しかも、彼の持つ能力の場合、希少なため”レアコマンド”かも知れないし、もしかしたら彼だけの固有または特殊能力”エクゼスト”かも知れない。
レアコマンドは、とても希少な能力で一般のコマンドよりも特殊で強力な力を指し、大抵は上位組の分類になる。 そのレアコマンドを持つものを”レアリクター”と呼ばれる。
エグゼストとは、コマンドやレアコマンドよりもかなり少なく、もしかしたら世界の均衡を覆してしまうかもしれないほどのユニーク能力を指すが、たった一つでしかない本人専用の能力であり、何故か奪うこともできず複写することもできない特殊な能力で、例えできたとしても本人以外のものが使用すれば必ず戦闘不能になるほどのとてつもない消費量を必要とする特性を持っているため、下手すれば死の危険もある。
そうした特級クラスの力を持つ能力者を”エグゼクター”と呼ばれるものの、レアリクターやエグゼクターはあくまで区別でしかなく、一括りにコマンダーとまとめられている。
そんなわけで、私は直にその能力の特徴ともいえる内容をいった瞬間に、突然気を失ったのだ。
それが能力のせいなのかは知らないけど、”あまりにも都合が良すぎるほどに気を失った。”まるで、直に真相を伝えさせないかのように・・・・・・。
ともかく、私は今すぐに医務室に運び、直が目を覚ましたときに謝ってあの話をなかったことにしたけど。 おそらく、同じ内容いってもまた気を失う恐れがあるだろう。
(もしかしたら、直が自力で辿り着くまで何いっても意味がないのでは?)
もしそうならば、自分が直にあの事を教えることはできない。
う〜ん。 と、自問自答しながら悩んだときに・・・・・・。
直「お、アルティじゃないか。 どうしたんだ? そんなところで考えて?」
アルティ「いやああああああああああ!!」
直「へっ? どわぁ!!」
ドゴンっ!! と、思わず反射神経でそこにいた直を思いきっし蹴り飛ばしてしまった。
アルティ「えっ、あっ、ちょっと、大丈夫なの!!」
直「いっつ・・・、大丈夫だよ。 背中がズキズキするけど・・・・・・。」
と、背中をさすりながら立ち上がる直。 というか顔一つ変えずに大丈夫って、ある意味すごい・・・・・・。
アルティ「ご、ごめん!! てっきり、後ろを取られたんだと思って・・・・・・。」
もう自分でもわかんないくらい動揺しまくってめっちゃ恥ずかしいじゃない〜〜〜!!
直「あ〜、そんなに心配しなくても大丈夫だって・・・・・・。」
アルティ「で、でも・・・!!」
直「朝食いこっか?」
アルティ「・・・・・・・・・うん。」
なんか、物凄く恥ずかしい思いをしながら直と一緒に食堂にいく私であった・・・。
■
まあ、なんかトラブル起きたけど。 それを気にせず、アルティと一緒に食堂に入った途端・・・・・・。
アヌリル「は〜い。 みなさんお待ちかねの大人気ニュース、ネバーエンドの時間だよ!! 担当はこの私、アヌリル・マリンスワーサだよ!! それじゃあ、今日のニュースをピッ〜クアップ!!」
と、食堂に配置されているテレビから見慣れない長い金髪の女の子が無邪気にニュース番組に出演していた。
逢魔「おお〜〜!! アヌリルちゃ〜ん!!」
春「今日もプリ萌えですね〜。」
それと同時に一部の声援が湧き上がった。 ってか、プリ萌えってなんだよ・・・・・・。
直「あいつらすっかり馴染んでいるなおい・・・。」
アルティ「そりゃ、あのニュース番組視聴率非常に高いからね。 なにせ、スピリエンスワールドの5割以上が見ているんだし・・・・・・。」
直「それって、バディレスとかいう奴に占拠された場所でもか?」
アルティ「ええ。 とはいっても彼らは非常に高い知能を持っているから人々を不安にさせないようにかなり特殊な政策でやっているそうよ。」
その内容は知らないが、ストックホルムシンドローム現象を利用して懐柔させている感じで、そのせいか何故かバディレスじゃなく政府などを敵にしているほどであり、しかも催眠を掛けていないどころかバディレス信者が一方的に増え続けているというありさまらしい。
ちなみに、一週間の間にスティア達にいろいろ講義をして貰ったせいか大分知識を得ることができたものの、それでもまだ一部しか言っていないとスティアがいっていたな・・・・・・。
まあ、7億年だし、情報量はまだまだあるのだろうな・・・・・・。
直「となれば、ニュースに出てくる内容って?」
アルティ「多分、バディレス関連の記事は出てくるわよ。 ほとんどは、占拠された人達からの情報だけどね・・・・・・。」
直「えっ? なんで占拠された人達からの情報が?」
アルティ「大方、バディレスは私達の敵じゃないって証明したくて提供しているのよ。 勿論バディレス率いる勢力も既に公認済みよ。」
数多くの侵略行為だけではなく、情報戦略によって次第に相手側の不利を晒し出すことか。 確か、うちの世界でも似たようなことをしている国があったな・・・・・・。
例え、世界の脅威となる相手でもこうやって自分達は正義だなどという情報によって教え込ませ、気が付けば誰もそれを疑わずにいつの間にか世界の脅威と戦っている相手が避難されるはめになるという仕組みになってしまうのである。
実際それをプロパガンダ戦術と言われ、歴史において既に証明されているのだから決してそれを侮ることができない。
直「このまま、情報負けしたら完全にバディレスと戦っている自分達が悪者になるわけだよな・・・・・・。」
アルティ「ええ。 だからといって引き下がるわけにはいかないし、例え世界中が相手でも私達は数多くの外界で乗り越えてきたのだから。」
・・・・・・・・・・・・はい?
直「えっと、いま最後のほうはなんていったんだ?」
アルティ「え? 例え世界中が相手でも私達は数多くの外界で乗り越えてきたのだから。 って、言ったわよ。 それがどうしたの?」
直「その数多くってどれくらい?」
アルティ「軽く数千くらいね。」
直「即答すぎるわっ!! んでもってどんだけやねん!!」
逢魔「お〜い。 お前ら二人でなにしてんだ?」
春「直。 私達はこのあと講義がありますからさっさと食べましょう。」
アルティ「だそうよ。 いきましょう。」
直「スルーかいっ!!」
なんかムシャクシャな感じが残ったまま朝食を済ませて逢魔達と一緒に講義にいくのだった・・・・・・。
■
スティア「よし、全員いるな? では、講義を始めたいところだがその前に紹介したい者がいる。」
と、講義に集まった俺ら三人はルミやアルティに似た姿を持つ淡い水色の髪の女性が俺達の前に立ち。
ルミティス「初めまして、私はルミティス・エルサイドといいます。 あなた達のことはスティアによく聞いていますからよろしくお願いいたしますね。」
と、落ち着いた雰囲気で俺達に自己紹介をしてきた。
逢魔「なあ、あれ。 あの二人に似てねえか?」
春「そうですよね。 いわゆる大人バージョンみたいな感じですよね。」
確かにそうだが、俺には“何故かルミとアルティが一つになったように見えるのだ。”
スティア「さて、自己紹介も終わったことだし、今回の講義はおさらいということでお前らがどんだけ覚えているのかきっちりテストをしてもらう。」
春「ええ〜〜〜!! まだ半分も覚えていないのに〜〜〜!!」
逢魔「俺なんて、ちんぷんかんぷん過ぎてわからないぞ!!」
そりゃ、お前らあんだけサボれば記憶に入っているわけないだろ。
あとちんぷんかんぷんって、全部頷いただけで全く頭に入ってないよな。
スティア「では、テストは問答で担当はルミティスがお前らに質問するから、できるだけ多く正しい答えを出してくれ。」
ルミティス「それでは、始めますね。」
というわけで、問答によるテストが始まったのだった。
それからしばらくして数十分後・・・・・・。
逢魔「おっ、お・・・、もう限界かも・・・・・・。」
春「ううっ、もうわからないです・・・・・・。」
直「だらしないぞお前ら・・・・・・。」
結果は、この有様でバカ二人はすでにリタイア宣言をしている。
俺のほうは、事前に情報仕入れてきたおかげですんなりと答えることができた。
スティア「どうした? そんなことじゃ、この世界では生きてられないぞ。 そら、まだまだあるぞ?」
ルミティス「もう、スティアったら。 そんなに意地悪くしなくてもいいのに。」
スティア「言っておくが、スピリエンスワールドの住人達は誰もが知っている常識だぞ。 そんなことじゃ、対応しきれないぞ。」
逢魔「だって〜、別にそんなことしなくてもいいんじゃないのか?」
春「そうですよ。 別にしなくても生きてられますよ〜。」
おいおい、すぐに文句垂れてんじゃねえよ・・・・・・。
スティア「では聞くが、お前たちはこの世界の常識を持たずにわかるのか?」
直「それに俺達の常識で、ここの生活とかでやっていけるのか?」
諦めモードの二人「「・・・・・・・・・・・・。」」
なんかズルいとか思ってんだろお前ら。
諦めモードの二人「「うん。」」
即答かよ。 これで会話が成立するから不思議なんだよなこれが・・・・・・。
スティア「とにかく、最低でもここの常識を詰めておけ。 というわけで続きをよろしく。」
ルミティス「はい、わかりました。」
諦めモードの二人「「鬼〜〜〜〜〜〜!!」」
仕方ないだろ諦めな・・・・・・。
ルミティス「次の質問ですが、惑星を一つの国としているプラネット、惑星の中にある大陸ごとにいくつか分かれている国々がカントリー、では宇宙に存在する人為的に造られている国はなんでしょうか?」
春「うぐっ、なんでしたっけ?」
直「簡単だろ、“コロニー”が正解だ。」
逢魔「あ、やっぱそのままなのね・・・・・・。」
大抵、人工惑星や中継基地など宇宙に存在する人為的に造られたものがコロニーとして分類されている。 それはゲームの世界でも変わらない用語だが、中にはアルダやミューグなど違う言葉で言っているのも存在する。
スティア「ふむ。 優秀だな五十嵐 直。」
直「どこぞの馬鹿と違って事前に情報は入れるタイプなので。」
スティア「そうか、では“ロストウェポン”は知っているか?」
直「勿論。 ロストウェポンは過去、現代、未来において失われた事象兵器の総称であり、大抵は武器に防具、装飾などの存在が確認されています。」
スティア「その他にも、カメラや自動車、パソコンなどかつての文明で存在していたもの確認されている。 その共通点がわかるか?」
直「つまり、“その共通点は世界の文明で失われたものばかりということだろ?”」
スティア「そうだ。 しかもそれだけではなく、中には外界などの兵器も確認していることから、おそらくは異世界や平行世界にも存在すると思われる。」
直「けど、そのロストウェポンと契約しなければ力を発揮できないのが確認されている。」
スティア「そうだ。 大抵のロストウェポンは意思を持っており、使い手を選ぶからな。 その証拠に・・・。 『具現せよ!! 神雷無双!!』」
と、スティアの周囲から魔法陣らしきものが展開し、その魔法陣らしきものから二本の刀、それもかなり業物であろうと思われるものがスティアの前に出現した。
スティア「というわけで、逢魔。 これを持ってみろ。」
逢魔「えっ? うおっ!! なんじゃこりゃ!! 重すぎるぞ!!」
スティアがその刀を投げて逢魔がそれを受け取った瞬間、ズシン!! と、その刀に重力が掛かり、逢魔が物凄く重たそうに抱えているという構図になっている。
春「傍から見ると、まるで刀すらも持てない素人みたいですね・・・・・・。」
逢魔「じゃあ、持ってみろよ!!」
春「へっ? ちょっ、きゃあ!! 何これ重すぎます〜〜〜〜〜〜!!」
いわんこっちゃない。 今にも涙目してんじゃねえか・・・。
春「ううっ・・・。 直、パスです!!」
直「ちょっ、なんで俺が、って重っ!!」
うおいっ!! こっちまでとばっちりかましてきやがった!!
スティア「わかっただろう? 契約した使い手以外が持つといかなる手段を用いて拒絶しているからな。 これでも警告程度で、無理矢理使用すれば大怪我するがな。」
と、スティアはパチン!! と、指を鳴らすと先ほど持っていた刀がスティアのところに瞬時に戻ってきた。
スティア「大抵、自分のイメージで呼び出すことができるし、戻すこともできる。 さらに錬度が高ければ、ロストウェポン自体を動かすことができる。」
スティアは持っていた刀を放すと、浮いたままくるくると回転した。
おおっ!! と、逢魔と春が感動するが・・・・・・。
直「けど、それって武器などの手に持っているものだよな?」
スティア「そうだ。 始めから手に持つ必要がないものはできるが、それ以外だとさっきもいったとおり、かなりの錬度を必要とするからな。」
ルミティス「それに、使いこなせば更なる進化をすることができますよ。 とはいっても、どんなものになるのか使い手次第ですけど。」
なるほど、俺達三人もいずれあれと似たようなものを契約したらそれらの技術を要することになるのか・・・・・・。
逢魔「そういえば、今日なんか俺達専用のラクターがくるって言っていたけど。 どうなん?」
春「そうですよ。 どんな色をしたラクターなんですか?」
なんか、テストから遠ざけようとしているなお前ら・・・・・・。
スティア「ああ、そうだな。 ルミティス、あれを用意してくれ。」
ルミティス「はい。 すでに用意してあります。」
と、ルミティスが持ってきた箱の中には三つの黒いラクターが並んでいた。
春「えっ? なんで黒なんですか? もしかしなくても組織の方針なんですか?」
スティア「いや。 正確には、“あのときお前らを救出したときに持っていたものだよ。”」
あのときって廃棄惑星のことだよな。 ・・・・・・ん? ってことは・・・・・・。
直「もしかしなくても、俺らの携帯だよな・・・それ。」
ルミティス「そうですよ。 とはいっても、私たちが見たときにはすでに黒でしたけど。」
逢魔「って、ちょいまて。 形は違うが、間違いなく俺が持っていた携帯じゃねえか・・・・・・。」
春「ああっ!! よくよく見れば、私の携帯じゃないですか!! ピンク色だったのがいつの間にか黒に変色しているって、故障したんですかこれっ!!」
スティア「そう思うのなら、“触って確かめてみろ。”」
俺ら三人「「「・・・・・・?」」」
俺達は不思議に思って変色したと思われる携帯ことラクターに触れると、突然膨大な知識量が俺の脳内にへと流れて込んでくる。
直「な、なんだこれ? いきなり、変なものが脳に流れ込んで!!」
スティア「安心しろ。 今のはそのラクターについての使い方の知識をインストールされただけだ。 少なくともこれで、“やり方がわかったんじゃないのか?”」
スティアにそういわれ、俺はさっそくそのラクターをイメージで思い描き・・・。
直「『戻れ。』」
そう唱えた瞬間、“そのラクターが突然消え、俺の中に入っていくことが自然とわかった。”
逢魔「うお、すげぇ!! じゃあ、俺も!!」
春「ずるいですよ!! 私も!!」
と、俺と同じことをした瞬間、いうまでもなく二つのラクターが瞬時に消えていた。
直「そして、『出でよ。』」
と、そう唱えた瞬間に先ほどの黒いラクターが俺の中から出てきたのがよくわかる。
それを見た二人も同じようにやると、さっきの黒いラクターが二つ出てきた。
ルミティス「それが出来ているということは、あなた達はそのラクターの持ち主というわけですね。」
スティア「だろうな。 では、お前達に語っていなかったその“ブラックラクター”についての説明をするぞ。」
と、スティアはそのブラックラクターについての説明をしたのだった・・・・・・。
ってか、完全にテストから脱線しているよな。 と、思いながら・・・・・・。
■
がらがら・・・・・・。 ガゴンッ!!
ロゼット「うしっ、あとは報告するだけだよね。」
メリア「ええ。 リーダーに連絡すれば、任務は完了。」
この僕、ロゼット・アーズはリーダーから例の物を運んである部屋のところに設置して一段落したわけだが・・・・・・。
ロゼット「にしても、なんであんなものをここに置かせるように指示したんだろ?」
メリア「ロゼット。 私達はそのことに私情を挟まないだったはずでしょ?」
ロゼット「まあまあ、そんなに堅くならなくても・・・・・・。」
相変わらずといえば、相変わらずだけど、幼い頃からある施設にずっと一緒にいたけど、いつになってもその表情は一切変わることはないんだね・・・・・・。
まあ、そんな思い出はいいとして・・・・・・。
メリア「でも、ロゼットのいうことに一理あります。 なぜあのときのバディレスはわざわざ“あれを残してきたのでしょうか?”」
ロゼット「正確には、“喰らうはずであろうと思われるあれを喰らわずに退却した。”あれは間違いなく何かの意図があると思うけど。」
メリア「けど、それはすでに何度も調べましたよ。 結果は異常なしと・・・。」
確かにメリアのいうとおりだが、思えば廃棄惑星で直達を救助しようとした矢先にバディレスの大群が現れて、すぐに応戦したけど、その中にバディレスが持っていたと思われる例の物を手に持った“上位種”のバディレスが三つ確認された。
上位種のバディレスは、通常の“下位種”のバディレスとは違って無差別には喰わないが、その代わりにある特定のものを偏食する特性を持っている。
例えば、剣や鎧を喰らい続けたバディレスが上位に進化した瞬間に、その時点で剣や鎧だけしか喰わなくなるという。 つまり、“進化したその素材でしか喰わないということだ。”
その代わり、食べた素材の特性にふさわしき姿へと進化し、戦闘能力が大幅上がるが、下手をすれば達人級の強さを得る上位種がいてもおかしくはない。
更に、上位種のバディレスによる偏食活動を続けていくうちに強大な力を持ったバディレスに進化してしまうこともあるが、中にはそれで巨大化する種もいる。
ちなみに、下位種のバディレスは大きく分けて喰らうことと、対象を憑依して変異させる二つしかしないが、知ってのとおり知能が俺達より遥か高く、かなりの高度な連携で脅威となるものを徹底的に崩しにかかって喰らいに掛かるほか、対象を憑依して変異させてから攻撃してくるものもいるが、正確には“喰らってから変異させる”ということが正しいけど。
その場合、上位種ではなく“変異種”と呼ばれるということになる。
基本的には、未知のものを喰らうのがバディレスなはずだけど、それをせずにあれを持ったままということ自体が明らかにおかしかったのだ。
なにせそれが、“ロストウェポンならなおさらだ。”バディレスならば真っ先に喰らうはずのものを何故喰らわなかったのか、今でもそれが気がかりになっている・・・・・・。
メリア「もしかしたら、バディレスはどこかの使い手を契約させるために運んでいたのではないですか?」
ロゼット「そうかなあ? だとしたら何故それをもったまま俺達を襲ってきたんだ? 正直それの理由がわからないし、それに真っ先に直達を狙ってきたからね。」
メリアのいったとおりなら俺達を襲う理由がないし、真っ先に巣に帰ればいいだけの話だ。
けど、それをせずに俺達や直達を襲い掛かったってことはつまり・・・・・・。
ロゼット「まさか、“直達三人に契約させようとした?”でも、一体なんのために?」
メリア「そうだった場合、もし私達が直達を救助していなかったら・・・・・・。」
イゼルト「敵になっていたという可能性も少なくはないな。」
ロゼット&メリア「「イゼルトさん!!」」
俺達が会話していると、イゼルトさんがいつの間にか現れてその答えを言ってくれた。
ロゼット「それがそうだとしても、ほんとに俺達の敵になっていたのでしょうか?」
イゼルト「それはあくまで可能性の話。 実際、私達のところにいるだろ?」
それは事実であり、今にもこうしてあの三人は俺達の組織に加入している。
メリア「そうですけど、あの三人は何か特別な力を持っているのですか?」
そこはメリアに同意だが、見たところ何か特別な力を持っているとは思えない。
イゼルト「それはさすがにわからないな。 だからこそ、“あの場所で確かめるのだろう?”」
ロゼット「そこは確か、僕達の担当だったね。」
メリア「それに、“あの人の故郷でしたよね。“」
イゼルト「ああ、そうだな。 それにしてもいいのか? リーダーに報告するのだろう?」
ロゼット「あっ、そうだった・・・。 すぐに連絡しないと。」
僕は、ラクターでうちのリーダーことスティアさんに連絡するのだった・・・・・・。
■
直「ええっと、つまり俺達が持っているラクターは、通常のラクターと違ってかなり特殊なラクターってことになるよな?」
俺達は未だにブラックラクターについての講義をしている最中で、大抵わかったことが俺達のような者にしか持っていないということ。
つまり、“一般人は造られたラクターでしか持っていないが、俺達やスティア達の場合はこのブラックラクターのような特殊なラクターしか持っていないということになる。”
スティア「ああ、このブラックラクターは本体の色を偽装できる“カモフラージュモード”があるが、さっきもいったとおり通常のラクターはその機能がないのだ。」
ルミティス「それに、ブラックラクターはモードやシステムなど無数に存在していますので、わかっているのは、その一部でしかないのですよ。」
要するに、完全にブラックボックスで解析はおろか、分解すらもできないほどの複雑な構造をもっているため、スティアでもお手上げ状態だそうだ・・・。
逢魔「ってことは、自力で調べろってこと?」
スティア「そうなるな。 とりあえず、ブラックラクターのことで伝えたかったのはそれで以上だ。 三人ともそのラクターを自由に使用してもいいぞ。 どのみち本人でしか使用できないからな。」
逢魔「えっ、そうなん? おい、直。 ちょっと貸してみろ。」
直「ん? いいけど?」
俺のラクターを逢魔に渡し、さっそく開けようとすると・・・・・・。
逢魔「ちょ、開かねえじゃねえか・・・。」
直「じゃあ、これは?」
俺がやるとすんなりと開き、逢魔はそれを操作すると・・・・・・。
逢魔「全然、反応しねえ。 壊れているのか?」
直「こうすればいいだろ?」
俺が操作すると、あっさりと反応した。
逢魔「こりゃ、マジだな。」
春「傍から見ると嫌われている感じがしますね。」
逢魔「そうなのっ!!」
直「失敬な。 そもそもロックしてないぞ?」
というか、プライベートに関わるものならさすがにロックしているがな・・・。
スティア「さっきもいったが、本人しか操作できないっていったぞ。」
直「ということは、わからないときは他人に聞きながら自分でしなきゃならないってことか?」
要するに、自分しか操作できないから自然に考えればそうなるだろう。
スティア「いや、思い浮かんだだけで勝手に操作するからな。」
逢魔「おっ、できた。」
パシャ!! と、カメラのシャッター音の効果音をした・・・・・・って。
直「いま、なにした?」
逢魔「ん? お前の写真を撮っただけだが?」
春「それに見てくださいよ!! これ触れずにスケッチできますよ!!」
と、春の持つラクターの画面を見ると確かに触れずにスケッチはしているものの・・・・・・。
直「お前、なにを描いている?」
春「なにって、直の似顔絵を描いているにきまっているじゃないですか。」
直「・・・・・・・・・・・・。」
はんぱなく、絵心ないよな・・・・・・。 というか・・・・・・。
逢魔「原形すらもないよな・・・それ。」
うん。 俺も思ってた。
春「ひど〜い!! 私の自信作なんですよ!!」
どこかだ。 実際それ人なのかすらもわからん絵をしてんじゃねえか・・・・・・。
スティア「うん? ・・・・・・ああ、できたか。 わかった。 すぐ行く。」
と、ちょうどスティアのラクターから誰かに連絡をし終えた直後に・・・・・・。
スティア「お前ら、場所を移動する。 ついてこい。」
春「えっ? もう終わりですか?」
ルミティス「詳しいことを知りたければ資料をお持ち致しますよ。」
直「できれば、インパルシア語の資料で・・・。」
逢魔「なんか、分厚い予感がするんだよな・・・・・・。」
そんな感じで、俺達はスティアにあるところにへと連れて行くのだった・・・・・・。
■
スティア「着いたぞ。 お前ら、ここがどこだがわかるか?」
直「どこって・・・。」
そりゃ、場所は研究室なんだけど・・・。
逢魔「研究室だよな・・・?」
そうだね・・・・・・。
春「あ、でもあそこに三つの武器っぽいなにかがありますよ!!」
確かに、よく見れば三つの武器が台座に鎮座している。
スティア「そうだ。 ここで、お前達は目の前にあるロストウェポンと契約をしてもらう。」
ふ〜ん。 あの武器と契約するのか・・・・・・って、ちょっと待て!!
直「つまり、俺ら一般人に武器を持たせる気か!!」
スティア「そうだ。 なんのために訓練したと思っているんだ?」
あっ、そういえばそうだった・・・・・・。 ここ、戦闘集団の組織だったの忘れてた。
逢魔「でも、あるのは”剣”と”爪”と”杖”だけどなんで?」
ルミティス「それは・・・・・・。」
と、ルミティスさんが何かを言いかけた瞬間。
アルティ「そりゃ、あんた達を狙っていたバディレスの戦利品だからよ。」
なんと、”予想はついたというかルミティスさんが突然光ったと思えば、アルティとルミが二つに分かれて出てきた。” ・・・・・・なんで、これを知っているのだろうか?
逢魔「うおっ!? アルティじゃねえか!! っていうか、ルミちゃんも!!」
春「ほわぁ!! ルミティスさんが、アルティちゃんとルミちゃんになったって、どういうことですか!!」
うん。 狼狽するのも無理はないけどね・・・・・・。 そもそも狼狽っていうんだっけこれ?
ルミ「あれっ? 直さんだけ、驚かないですね。」
直「もう、慣れたから。」
なにせ、この世界で新鮮なことが起こりすぎて麻痺っているのもあるけど。
そもそも、”なぜそれを知っていたのか自分でもわからない。”これって、デジャブもとい既知感というやつかね・・・・・・。
???「それは違うな。」
そのとき、俺の脳内から突然聞き慣れない男性の声が響いていた。
???「ああ、ついでに”その時点で周囲の者からは聞こえていねえから安心しろ。”」
謎の男性に言われて、”辺りを見渡すと全員が止まっていた。”
いや、違う。 これは!!
???「まあ、察しのとおり”零秒世界”で静止しているという感覚にすぎん。」
単純にいえば、”零秒の中の世界で静止したように入っているからだ。”・・・・・・ん?
???「まあ、身体は覚えているようだな。 なら、説明はいらぬか。」
え? なんで知っているんだ? 俺は”その単語すら知らないはずなのに!!”
???「ふむ、混乱しているか。 時期尚早だったなこれは。」
直「なんのことだ? そもそもお前は何者だ!! 姿を現せ!!」
???「ん? お前は何か勘違いをしているな。」
直「えっ?」
そうならどこにと、そう思ったとき・・・・・・。
直「うっ!?」
途端にかつて経験したことのないプレッシャーに襲い掛かり。
???「”さっきから、ここにいるぞ? お前の目の前に。”」
そして、俺は絶句した。 なぜなら、さっきまで見えていなかったものが”突然現れたからだ。”それだけではなく、”こいつとは、戦ってはならない。”という警告が本能に告げている。
全身に若干金色の部分がある黒いレザースーツと、長い黒髪で後ろに束ねて左辺りに前を出している。 およそ、180cm以上の長躯の男性なんだけど、両目がまるで”黄金の龍の眼をしており、いまもそれが光輝いている。”
???「ふむ。 その様子じゃ、俺の名前を聞くことすらできないな。 では、単刀直入にいよう。」
まさに、そのとおりだ。 俺は動くことは愚か、さっきの声を出すのが精一杯なのか、これ以上出せないでいる。 というか、呼吸することすらも辛いってのに・・・・・・。
???「お前が、いま起こっているのは既知感ではない。」
は? それを既知感っていうんじゃないのか?
???「違うね。 なにせお前は・・・・・・っと、まだ早いか。」
誤魔化すなよ。 っていうか、あんたも人の心読むのだな・・・。
???「いっておくが、その領域に達すれば誰でもわかるぞ?」
その領域って、どういうことだそれ?
???「まあ、いずれわかる。 それよりもあの剣を選べ。」
あの剣って、あれか。 なんでそういうんだ?
???「理由なんざいうまでもない。 その剣は、お前との長い付き合いになるのだからな。」
まるで、この先を知っているようなそぶりだな。
???「それをいってもいいけど、生憎ネタバレになるから駄目だけどね。」
おいおい。 じゃあ、何しにきたんだよ。
???「とはいっても、まだ早すぎたからまた改めて来るな。」
待て!! まだ、お前の名前を聞いちゃいないぞ!!
???「ん〜? そうだな。 とはいっても真名は伏せておくとして、とりあえず。」
奴は、深く考えたあと。
黄金の神皇「”黄金の神皇”という異名で、呼んでもらおうかしばらくは。 っと、もう時間だからそれじゃあな。」
黄金の神皇とそう名乗った。 って、言っているうちに勝手に進めんじゃねえ!!
黄金の神皇「それと言い忘れていたが、壁に激突するぞ。」
直「へっ? ぐおっ!!」
奴にそういわれて気がつくと、言葉どおりに壁に激突した。
春「えっ!? なになに!?」
逢魔「どうした直!!」
アルティ「え〜〜。 なにやっているの?」
ルミ「ええっと、大丈夫ですか?」
そりゃ、そうなるわな。 ってか、痛てぇな・・・・・・。
スティア「なにやってんだお前?」
直「あ、ちょっと足挫いちゃって・・・・・・。」
我ながらなんと情けない言い訳やらば。 というかあいついねえし・・・・・・。
春「にしては、見事に減り込んでますね〜〜〜。 珍プレイですか?」
逢魔「これはあれか? ギャグなのか? そうなのか?」
・・・・・・弁解しても、意味なさそうだなこれ。
スティア「・・・・・・とりあえず、さっさと三つのうちのどれかを選べ。」
直「・・・・・・そうします。」
と、改めて三つに並べている武器もといロストウェポンに振り向く。
その一つは、剣で刀身に変わった刻印らしきものが刻まれてある。
(確か、これを選べっていっていたな。)
その他にも、杖のようだけど先端に四角い変なものがあったり、一方は爪ではあるものの、どちらかというと機械の腕みたいな印象を受ける。
(う〜ん。 ぱっと見ても自然にあの剣の方に向くな・・・・・・。)
まるで、運命に導かれたような気分だ。
スティア「どうした。 選んだなら、さっさと台座の前にいってこい。」
直「ん? こうか?」
言われたとおり、俺が台座のところに着くと同時に。
スティア「ほら、お前らもさっさといく。」
逢魔「じゃあ、俺あれな。」
春「私はいうまでもないですね。」
逢魔はあの爪のところに、春は確かに杖の方にいった。
スティア「よし、着いたな。 では、契約の段取りをするから良く聞けよ。 準備はいいかお前ら?」
俺達は、そう頷くと。
スティア「まず、各自獲物を手に取れ。 そうすれば、ユナが描いた魔方陣が自動的に展開するようになっている。」
直「それ、リスクはあるんですか?」
スティア「講義でさっきいっていたが、そいつらは意思がある。 つまり、手に取ることでお前らがその使い手であるのかどうか見極めようとあらゆる手段でやってくるからその保険としてその台座の中心に被害が被らんように防護結界が張ってあるからな。」
逢魔「お〜い。 それ俺達が被害被るわけだよね。」
スティア「そうだ。」
春「即答すぎますよ〜〜〜!!」
アルティ「まあ、大丈夫よ。 諦めずにひたすら手に取っていればそのうち認めてくれるわよ。」
直「そんなことで契約できるの!?」
ルミ「あはははは。 とりあえず、手に取り続ければわかりますから。」
スティア「ちなみに、二度はないから一発勝負でやれ。」
三人「「「え〜〜〜〜!!」」」
んな無茶な・・・・・・。
スティア「というわけで、いまからスタートだ!! 遅れた奴は訓練メニューを10倍にするぞ!!」
三人「「「は、はいっ!!」」」
あっ、やべっ。 思わず手に取ってしまった。 と、思った瞬間。
直「うぐっ!!」
何か途轍もない威圧感のようなものが俺に襲い掛かってきた!!
逢魔「うおっ!! なんじゃこりゃあ!!」
春「な、ななななんですかこれ!!」
俺だけじゃなくあいつらも襲い掛かっている・・・って、逢魔のやつ楽だなあ。 はめるだけでガッチリ掴んでおけば振りほどけなさそうだね。
スティア「ようし、そのまま耐えろ。 そいつらはお前らの力量を測っているから離すんじゃねえぞ。」
直「それって、どこまでなんですか!?」
アルティ「ま、簡単にいえば”力ずくよ。”」
ルミ「要は、自分が相応しいと証明すればいいんです。」
直「なるほど、実にわかりやすい!! いくぞ、お前ら!!」
逢魔「おっ、いいね!! 負けたら、メシ奢りな!!」
春「じゃあ、負けませんよ!!」
よほど、食い意地が張っているなお前ら・・・・・・。
直「というか、お前は楽でいいよな逢魔。 それをはめるだけで・・・。」
春「ほんとですね。 できれば替わりたいものですね。」
逢魔「いやいや。 無理だろ絶対。」
スティア「ってか、よく暢気に喋ってられるなお前ら・・・。」
アルティ「相変わらず、そこは変わらないんだよね・・・。」
ルミ「というより、まだ一週間ですけどね・・・・・・。」
ま、こんな無駄話ができる時点で確かに暢気だなと自分でも思う。
と、そう思って握り続けたそのとき。
直「うおっ!!」
突然、剣が光輝いたと思えば、今度は謎の空間にへと飛ばされた。
いや、正確には”精神をこの空間に移動させられたのだ。”
???「汝、力を求めるか?」
と、不意に声を掛けられて振り向いた瞬間、そこに先ほどの剣がそこに浮かんでいた。
直「うおっ、すげえ。」
思わず、感嘆を漏らしてしまうほど凄かった。 逢魔ならイベントフラグキターーーーーーーーって、叫ぶわな・・・・・・。
???「もう一度問う。 汝、力を求めるか?」
おっと、そんなことをしている場合じゃない。 早く契約しないと・・・。
直「ああ、力を求める。」
???「なんのために?」
なんかテンプレな質問だな・・・。 まあ、いいや。
直「皆を護るために力を求む。」
そう答えればいいはずだと思っていたときに。
???「いいや、汝は未来を切り開くために力を求めにきた。」
直「えっ?」
意外な返答がくるとは思わなかったので、かなり動揺した。
???「よって、汝の求める力はそれが正しいと判断し、ここで名を問う。 汝の名は?」
直「五十嵐 直だ。」
???「では、五十嵐 直。 契約の理に従い、我の名をいうがいい。」
なんか、思ったのと全然違うけど。 ま、いっか。
直「んじゃ、今日からお前の名は、”ヴェルセルク”だ。」
ヴェルセルク「了解した。 これで契約は完了した。 あとは我を使いこなせ。」
と、ヴェルセルクが言い終えた瞬間。
直「うおっ!! またか!!」
またもや光り輝いた途端に今度はしっかりと現実世界に戻っていた。
スティア「よお。 その様子だと、無事に契約完了したみたいだな。」
確かに、手に持っているのを見れば一目瞭然だな。 他の奴らもちゃんとできている様子だしな。
逢魔「ふう。 契約できたにゃあ、できたが。 これじゃ、誰が遅かったのかわからねえな。」
春「確かにそうですね。 じゃあ、今回は引き分けですね。」
スティア「んじゃ、できたところでさっそく俺のいうとおりにしていろよ。」
と、俺達はスティアのいうとおりにしながら実行していくのだった・・・・・・。
■
それから数日後。
直「はあっ!!」
イゼルト「声が小さい!! あと、脇を締めて身体に体重を乗せる!!」
直「イエス、マム!!」
イゼルト「誰が、マムか!!」
直「あだっ!!」
と、こんな感じに数日間続けての戦闘訓練をやらされているわけだ。
なぜこうなったかというと・・・。
スティア「よし、お前らは各担当のもとで訓練をしてもらうから言われたところに行け。」
という感じで、俺はイゼルトさん。 逢魔はマキア兄弟。 そして、春はユナさんという形になった。
最初は武器を持ったことはなかったからかなり苦労したが、イゼルトさんの教えが上手いせいかかなり上達できたと思う。
ちなみに逢魔の方は・・・・・・。
カイ「ほらほらっ、どうした? そんなんじゃ、足を取られるぞ?」
逢魔「だからといって、それ喰らったら死ぬってマジで!!」
リク「お〜い。 そこ、よそ見していたらまた気絶するぞ?」
逢魔「先にいってそれ!!」
とあんな感じにほぼギリギリで躱しているわけだが、前はもろに喰らって医務室行きになったからな・・・・・・。
んで、春はというと・・・・・・。
ユナ「ええっと、前教えたとおりにできる?」
春「はい。 こうですね!!」
春の持つ杖こと“ユングヴェル”の先端にぼわぁ!! と、炎が燃え盛り。
春「そして、こうするんですね!!」
と、ユングヴェルを豪快に振り回す。 ・・・・・・思いきっし使い方が違うが。
ついでに逢魔の持つ爪みたいな機械腕は“ジャルハダ”というらしいが、どちらも由来はただ単にかっこいいからだろうな。
あと、いい忘れていたが数日前に起きたあの黄金の神皇について聞いたところやはり何も見ていなかったと全員が回答していた。
ほんとに、あの零秒世界は人が認知することすらもできないだろうな。
それはともかく、ルミティスの件に関してはどうやらアルティとルミが融合した姿らしく、あれがほんとの姿らしい。
アルティ曰く、普段はルミティスの2割程度しかだせないそうだ。
要するに、本来の姿に戻ればフルに発揮できるってことだな。
ルミによると、アルティとルミは“ユニゾンシスターズ”と呼ばれており、特殊な因果によって二つの存在に切り別れているのがアルティとルミで、その二人が一つになった本来の姿がルミティスというそんな体質になったというらしい。
つまり、アルティとルミは“同じ存在であって姉妹でもあるということ。”まあ、苗字が違うことからおそらく生き別れであっただろうと思う。
イゼルト「そこっ!! ぼさっとするな!!」
直「いだっ!! すみません教官!!」
イゼルト「教官と呼ぶな!!」
直「じゃあ、なにを呼べばいいですか?」
忙しいからここで中断してもらうが、さっきからイゼルトさんの持つロストウェポン“ドレットノート”のビーム的なあれで叩かれて痛い・・・。
ちなみに、ドレットノートはなんかゲームで出てくるビームサーベルみたいなあれだが、光刃部分が自由自在になるらしく鞭のようにしなやかに叩かれている現状でもあるが、全てのロストウェポンには“セキュリティモード”があって非殺傷にはできるものの、その代わり物理的な痛みは避けられないのが主な特徴であるため、結果的に俺は大怪我にならずに済んでいるが、それでも痛いことには変わりはない。
イゼルト「私は、マムやら教官やらそう呼ばれるのはかつての銀河連邦に所属しているときだけだ。 いまはGFに所属しているから普通に呼べばいい。」
イゼルトさんは、かつて銀河連邦所属の特殊部隊の隊長で、階級は大尉。 GFに所属するまでは趣味でウロンス街道の警護をしていたが、突然のバディレスの襲撃で戦うはめになってしまい、そこでたまたま遭遇したスティア達の援護でなんとか撃退したけど、二度目の襲撃でウロンス街道の警護をしていた部隊が壊滅状態に追いやられ、やむなく残りの部隊や住人は脱出をしたけど、イゼルトさんはスティア達のいるアルシオンに乗り込み、バディレスのある幹部がウロンス街道そのものに大きな穴をあけ、バディレスの大群と共にその穴に入っていくのを続いていったというわけで、そのままGFに所属するという形になったらしい。
あと、その穴から出たのは外界と呼ばれる自分達とは全く異なる世界で自分達の世界に帰るまでは、スティアを中心にいろんな異世界を数多く救ったという功績を持つ。
つまり、ある意味でこの英雄的な組織の集まりに俺ら三人はそこにいるというわけである。
ま、実感はないけど、とりあえず凄いってのはわかる。
直「じゃあ、イゼルトさんで。」
イゼルト「うむ。 それでいい。」
とはいっても、やたら個性的な人達が多いんだよな。 確かに少人数だけれども、少なくともあの模擬戦でかなり思い知った。
そのときの相手は、あのスティアだった。 スティアは俺達の今の状態を試したいと言って俺達三人まとめて相手することになった。 おそらくそれで、なにかの癖みたいなものを見極めるつもりだろうとは思うけれども、スティアの方は徒手空拳のみで相手するといって俺達はそれを見返してやろうという思いで戦ったが、全く当たる気配がなく、しかも全部受け流されたり、最小限の動きで避けたりとしばらくそうしていると思えば・・・・・・。
スティア「今から、10秒以内で終わらせる。」
と、頃合いを出したかと思った感じで言った瞬間、目を数回閉じたその時間内に逢魔と春を即倒させ、そしてあまりにも見えない速さで鳩尾を喰らってブラックアウトになってしまった。
そんなわけで、思い知らされた俺達にスティアは・・・・・・。
スティア「相手はさっきのような奴がくるかもしれないことをよく覚えておけ。」
そんな警告を出したことで、俺達は力を得たことで慢心がついていないか確かめるためにやっていたことに気付き、以上の理由で訓練をしているというわけだ。
直「それにしても、イゼルトさん。 俺達になんかテストとか言っていたけど、それって具体的にどんなのですか?」
そういえば、なんかテストとかでいっていたような気がするな。
イゼルト「それはまもなく着くはずだから、それまではひたすら訓練に励めばいい。」
直「それが来たら、どんな方法で俺達に連絡するのですか?」
イゼルト「そうだな。 多分だと思うが、リーダーから連絡来ると思うぞ。」
なるほど、それまではずっとこれなのね・・・・・・。
イゼルト「さあ、次は模擬戦でテンポを上げていくぞ。」
しばらく、痛みは延長する思いで訓練に励んだのであった。
■
逢魔「うっす、お疲れ。」
春「お疲れ様です。」
直「ああ、お疲れ。」
場所はピロティ辺りですっかりお疲れモードになっている二人。
直「その様子だと、今日も大変だったな。」
逢魔「だってさ、あの兄貴達思いきっし休憩せずにぶっちぎりで攻撃しなくったから、躱しながらの運動は懲り懲りだぜ。」
春「私は、ユナさんの教えで絶好調です。」
逢魔「そりゃ、お前は魔法を操るだけでいいよな。」
むしろ、楽すぎるような感じだよなそれ。
春「あ、でもユナさんが今度難しいことするっていってましたね。」
直「なんか、俺ら動き回る組と違って簡単すぎるような感じでしか聞こえないぞ。」
逢魔「あ、それ同感するわ。」
春「なんでですか!! というかそういう直もどうなんですか!!」
なんかやつ当たりされているような気がするが・・・。
直「俺の方は、イゼルトさんの教導で厳しく叩き込まれている最中だな。」
二人「「・・・・・・・・・・・・。」」
なぜ、そんな目で俺を見る?
逢魔「こっちは同性同士で訓練しているのにお前の方はかなり贅沢なことをしているな。」
春「全くですね。 むしろ爆ぜろって感じですよ。」
逢魔「なにせ、そっちは美人の教官に教え込まれているよな。」
春「その上、なにも進展なしってほんとに贅沢ですね。」
確かにイゼルトは美人であることは否定しないけど、急にどうしたんだこいつら?
逢魔「その様子だとなにもわかってないよなお前・・・・・・。」
春「そうですね・・・・・・。」
・・・・・・・・・・・・こいつらもしかして。
直「まさかとは思うが、ここをギャルゲーやらばそういう恋愛フラグの期待を寄せているのかお前らは・・・・・・。」
二人「「そのとおり!!」」
やっぱり、アホだろこいつら現実見ろよ・・・・・・。
逢魔「だって、ここに所属してから数週間弱になっても進展なしってどうかと思うけどね。」
春「そうですよ!! 私達は思春期ですからそういう恋愛フラグってやつを欲しいんですよ!! というか悪いかーーー!!」
直「・・・・・・・・・・・・。」
いうまでもなく、呆れる俺。
春「なんですかその目は!! まるで私達が駄目な子を見るようじゃないですか!!」
直「そうだが。」
春「即答すぎます!!」
直「っていうか、お前らそんな簡単にくると思えないだろどうみても。」
逢魔「だが、二次元的な世界でヒロインと接するだけで恋人になることができるじゃないか!!」
直「それは、ゲームやアニメの話だろ。 実際、ここは二次元ではなく現実の世界だろうが、どんだけ都合が良すぎるんだよそれ。」
やれやれ、もうちょっと現実を見て欲しいんだがね。 と言ってもあいつらだからしょうがないか・・・・・・。
逢魔「というか、生まれて17年あたりかどうかは知らんが、よくよく思えば彼女作ったことはないな。」
春「そういえば、そうですね。 なんで私達は恋人を作っていないでしょうか?」
いうまでもなく、お前ら二人二次元の世界に走っていたからだろ。
かくいう俺は、いつもどおりの日常を過ごしていたけどな。
逢魔「どこがだ!! お前の場合は、ほとんどモテ期みたいな状況になったこと何度もあるだろ!!」
春「そうですよ!! この前だってラブレターらしきものがあったじゃないですか!!」
・・・・・・そういえば、そうだっけ?
非モテ組「「そう(ですよ)だよ!!」」
おお、ほぼ同時にくるとは・・・。
直「しかし、そんな目立ったことをした覚えはないはずだが? だってそのときは俺よりあのキザ野郎のほうがよりモテていたんじゃないのか?」
キザ野郎というか、名前忘れたけどね。
春「はあっ!! なんですかそれ!! 確かにそうでしたけど、鈍感にもほどがありすぎでしょう!!」
逢魔「あれか? 朴念仁野郎はハーレム体質を持つ王道主人公なのか? この女垂らし野郎め〜〜!!」
してねえよ阿呆共。 しかも失礼なこと言い過ぎだろうが・・・・・・。
直「それよりも、なにか連絡はきたのか?」
非モテ組「「・・・・・・・・・・・。」」
いいかげん機嫌直せよお前ら・・・・・・。
それから、数分後。
逢魔「いんや、それはきていないな。」
春「それは私もですね。」
直「そうか。」
もうすぐとはいったが、まだそんなに早いか。
春「それよりも、今日の占いを見てみましょうよ!!」
と、春のラクターから立体液晶画面が投影された。
逢魔「お、これでわかるのか?」
春「ユナさんお墨付きの占いサイトだそうです。」
直「でも、これプロフィール書かないと意味がないのでは?」
逢魔「よくよく思えば、生年月日とか入力しなきゃあかんよなこれ。」
確かに細かい項目が盛り込んであるな。 かといって、俺達の情報をどう入力すればいいのか。
春「心配いりません!! 今回はこっちのモードで名前と血液型を入力するだけで占ってくれますので安心です!!」
と、自信満々に言っているけど、まあ遊戯のそれだからそれに乗っておくか。
逢魔「その前に、俺らは一応自分のプロフィールを確認するから先に始めてくれ。」
春「了解です。 あと、メールであの占いのアドレス送っていますから自分で開いて入力してくださいね。」
というわけで俺と逢魔は、自分のラクターで“アナライズモード”で自分をかざして確認する。 そして・・・・・・。
逢魔「うっし、俺はB型のままだな。 そっちはどうだ?」
直「俺は、やっぱりΩ型のままだな。」
ちなみに、いまの世界では全人類がプレイルになった瞬間に血液型が大きく変わった結果、“完全血液型”と呼ばれる特殊な血液型が誕生した。
ほとんどは、AB型の突然変異によって誕生しているのがほとんどであり、実際の科学でも嘘偽りなく証明されている。 その完全血液型は、現在確認されているだけで数十種類以上存在しているが、その代表の四つを紹介する。
まず、完全血液型のスタンダートが“W型”である。
W型の特徴は、他の血液型よりも運動能力が高く、その血液保有者のほとんどは運動部に選抜されているほどであるが、中には隠れ文化部も存在している。
主な血液保持者はマキア兄弟や、エイガーさんなどが分類されている。
次に“R型”は一際運勢が高く、ほとんどの強運持ちはその血液型に分類されるらしい。
ちなみに、リルティさんやゼルファさんなどがその血液に分類するらしい。
その次に“U型”は他の血液型と比べてかなり希少だが、“マスターモーション”と呼ばれる技能で、それはモノマネ細胞こと“ミラーニューロン”が異常発達しており、一度見ただけでマスターするだけではなく、自由自在に組み合したり独特な対策をしたりと、傍から見ればチート的なスペックで世界中に重宝されており、そのほとんどの歴史人がその血液に分類している。 その血液保持者はいうまでもなく、スティアである。
最後に“Ω型”は大した特徴もなく、U型よりちょっと多いものの、この血液型はかなり特殊で全ての血液保持者との調律をとれるらしい。 要は誰とでも相性がいいということだ。
主な保持者が俺だけと思っていたが、意外にもラゼインさんもその血液の保持者だった。
その他の血液型もあるものの、中にはΩ/U型などの組み合わせの血液型があるが、それは完全血液型でしかならないらしく、普通の血液であるA型、B型、O型、そして完全血液型の元となったAB型の四つと珍しい血液であるRH型は絶対にならないらしい。
その結果からか、血液型が数十種類になったのはいうまでもなく、そしてこの俺はAB型だったものがいまのΩ型へと変わってしまっているのだ。
これを知ったのはさっきのアナライズモードで知ったときに驚いて、慌てて医者の十織さんに血液診査を頼んでみたら、データのバグではなく正真正銘の血液型であるということが判明した。
そんなわけで、ちゃんと確認してからあの占いのサイトに入力し・・・。
春「入力完了しましたか?」
逢魔「おう。 直は?」
直「こっちもOKだ。」
俺を含んだ三人とも準備を済ませ・・・。
春「では、いきますよ。 せ〜〜の!!」
ピッ!! と、同時に押した瞬間に・・・。
春「えっ?」
逢魔「はっ? なんじゃこりゃ?」
直「どういうことだ?」
互いに自分達のラクターの立体画面を見てみると全員同じ結果になっていた・・・・・・。
Chapter1 END
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第四弾の作品です。 最初の方はどうしても説明がちになりますが、どうぞよろしくお願いします。 |
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