真・恋姫†無双 再現6
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「報告致します!楽進将軍がお戻りになられました!」

 

一人の兵士が私の元に報告に来る。いよいよね、この3年間貴女が私のモノになる事を望んできたわ。ようやく叶うのね

 

「通しなさい」

 

「はっ!」

 

兵士が頭を下げたまま評定の間を出て行き、凪と少女が入ってくる。凪は入り口で頭を下げたまま、少女が前に歩いてくる

 

年端もいかぬ幼い顔立ちでありながら、知性を感じさせる切れ長の眼。一切の汚れもない白い肌。幼いながらも醸し出す色気は紺碧の羽織によって一層増している様子が感じられる。整えられた長い髪を結った金の糸は奇抜でありながらも上品であり、場にいる人間がその所作に心を奪われる

 

少女は静かに、王座の前にて頭を垂れる

 

「司馬仲達、曹孟徳様の命により参上仕りました」

 

澄んだ声が響く。ここにいる誰もが司馬仲達という人間を識る。美しいと

閨に呼んだ時、どんな可愛らしい姿を見せてくれるのか楽しみで仕方が無いわ

 

「よく来てくれたわ仲達。体の加減は良いのかしら?」

 

「はっ、孟徳様のお心遣いにて病魔も退散し、健康そのものでございます。こうしてここにいるのも、全て孟徳様のおかげでございます」

 

食えぬ。しかし、面白い。この曹孟徳を前にして顔色一つ変えずに皮肉を言えるとは

 

「貴様!」

 

春蘭が声を荒げる。仲達は自身が病気にかかっていない事、即ち仮病である事を見抜かれていると知っていながらこの返答である。「来たくなかったが、仕方がなく仕える事にした」そう発言した仲達に対して怒りを覚えたのだろう

 

「止めなさい春蘭。今のは冗句よ。仕えるつもりが無かった仲達を無理に呼びたてたのは私に非があるわ」

 

でも、と私は続ける

 

「そんな嫌がる貴女を召し抱えなければいけないような時なのよ。知っている通り、学校はあまり上手くいっているとは言えないわ」

 

一度は軌道に乗ったはずの学校はすぐに問題が発生した。教師の不足、学費の徴収、建設場所。一つの問題を処理する事が出来てもまた次の問題に苛まれる

 

「この学校制度が軌道に乗ればこの国だけでなく呉や蜀の、三国の次の世代達が育つわ。平和を続けていく為には、この平和を築いた私達が止まるわけにはいかないのよ。

土台がきちんとしていなければ家が倒壊するように、私達はその土台を作り上げなければいけない。その為に司馬一族で一番才に恵まれた貴女の力を貸して欲しいの」

 

愛する民、愛する国、そして愛する男の為に。一刀に笑われないように、頑張ったな。と褒めて欲しい。我ながら情けないわね

 

「この街並みを見て」

 

目を閉じて聞いていた仲達が言葉を発する

 

「今の言葉を聞き、少々思っていた人物とは違う事が分かりました。乱世の奸雄と謳われた孟徳様は今は違うようです。自らを未来への礎とするそのお覚悟、感服いたしました」

 

仲達は深く頭を下げた

 

「非礼をお詫び致します孟徳様。氏は司馬、字は仲達。真名を玲と申し上げます。この玲の才、微々たるものでありましょうが存分にお使いください」

 

「えぇ、ありがとう。決心してくれて嬉しいわ。私の真名は華琳。これからは真名で呼んで構わないわ」

 

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「それでは玲、貴女の部屋を案内させるわ。禀、案内してあげて」

 

かしこましました。そう言うと禀と呼ばれた人が玲の目の前に来ます

 

「司馬懿殿、お部屋に案内させていただきます。私は郭嘉。字を奉考、真名を禀と申します」

 

こちらへ、と言う禀様の後ろをついていきます。カツカツと靴底を鳴らしながら歩くその様は出来る女を感じさせます

 

ん・・・・・・?

この部屋は何なのでしょうか。扉を止める部分は壊れ、その扉自体も所々が壊れていてなんとも斬新で前衛的な・・・・・

 

「その部屋は、4年前に帰られた天の御遣いの方がいられた部屋です。帰られた時のままにしているので、扉もそのままにしてあるのです」

 

「天の御遣い様のお部屋ですか。興味がありますね。少々入ってみても」

 

「駄目です」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

な、何故でしょう。とてつもなく怖い目で玲は睨まれています。蛇に睨まれた蛙とでも言うのでしょうか全く動けません

 

「少しだけで」

 

「駄目です」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

玲は学びました。この国において、天の御遣い様はとても大事な方なのだと。会ったばかりの玲にはとても話せないような、魏の国家機密といった所でしょうか

 

「玲殿」

 

「は、はい」

 

「玲殿の部屋は此方です」

 

そう言うと禀様は歩き出します。触れてはいけない話題、という事が分かりましたね。教訓といたしましょう

 

「ここが玲殿の部屋となります」

 

通された部屋には書簡を収めるのに十分な棚、寝台、明かりを灯す為の蝋燭。仕事をする為の大きな机があります。ふむ、中々良いですね。惜しむらくは調度品が無い事でしょうか

 

「玲殿の部屋を尋ねる時にはノックをいたします」

 

聞きなれない言葉が玲の耳に届きます

のっく・・・・・・載吼?部屋に入る時に叫び声を上げて知らせるという事でしょうか。叫ぶ必要は何処にも感じませんが

 

「ノックとは、天の国に伝わる来訪を知らせる合図です。部屋の中にいる人間に、扉を軽く叩き知らせる文化なのだそうです」

 

天の国の知識に触れられるとは!!玲の知的好奇心が擽られますね。いずれ、他の知識を得る機会もあると良いのですけれど

 

「玲殿」

 

禀様が真剣な眼差しで玲を見ます

 

「華琳様は3年間も貴女に執着しておられます。その思いがようやく今日成就しました。その思いに似合うだけの価値は貴女にありますか?」

 

「3年間お待たせてしまった事は申し訳なく思います。その上で、失礼を承知で申し上げますが」

 

「玲は7年分の価値があると自負致します」

 

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「では、これより授業を始めたいと思います」

 

玲は席につき、座っている生徒達に対して力強く宣言します

 

「初めに言っておきますが貴女達ははっきり言って教えるという事に向いていません」

 

玲は落胆しました。最初こそ、学校という国民に研鑽を積む事を義務付け、次代を担う若者を育てるという素晴らしい制度に携われると喜んだものですが。先生が不足しているという問題は深刻なようなのです

 

「10個の桃があります。この10個の桃を5人に分けると一人何個の桃が貰えるでしょうか」

 

「この文章をどうしてそのまま教えられないのですかーーー!?」

 

「何を言うの」

 

一人の生徒が声を発します

 

「その文章を生徒により分かりやすく伝える為に少し文章を変えているだけじゃない。」

 

 

「見目麗しい孟徳様が、忠誠を誓う配下の中でも一番可愛い文若ちゃんに日頃の苦労を労う為に桃をくださいましたが、他の人間があろう事が、不平不満を孟徳様に出してしまった為、とても可愛い文若ちゃんを含めた5人に褒美として10個の美味しい桃をお与えくださいました。それを筋肉しかない元譲、何を考えているかわからない妙才、より何を考えてるのか分からない仲徳、鼻血で地図が描ける奉考、そして最も孟徳様に愛され、信頼され、寵愛を受け続けている文若ちゃんの5人で分けた時、孟徳様がくださったとても美味しく水々しい桃を天の国を含めたこの世界中で一番可憐な孟徳様に愛されている文若ちゃんは何個の桃をいただけるでしょうか」

 

玲は無表情で感情を押し殺し読み上げます。何が問題なのか分かっていただくために

 

「・・・・・・この文章を聞いて、問題があると思った人は挙手をお願いいたします」

 

 

一人、二人、三人・・・なんと桂花様を含めた全員が手をあげていました。って問題があると分かっていらっしゃったのですね

 

 

「桂花様、問題があるとお分かりでしたか」

 

桂花様は困った表情で仰います

 

「そうね、やっぱり華琳様の素晴らしさと私への寵愛の描写が足りないと思うのだけれど。玲、ここに来たばかりでこの問題に気づくだなんて貴女中々に見所があるわね。その調子で励みなさい」

 

あ・・・・・・これ、駄目なやつですよね。根本から直さないといけません

 

「何を言うのだ桂花。このような文章で授業をするなど馬鹿にしているにも程がある」

 

春蘭様、残念ながらこの猫耳軍師様は何が問題か分かっていないようなのです。魏武の大剣と讃えられ、終戦後は教鞭を執られている貴女様なら!!

 

「良いか?華琳様が最も愛しておられるのは私なのだ。お前が現実を受け入れられないのも、気持ちは分かるが・・・・・・子供に嘘を教える事は関心しないぞ?」

 

あ、この人も駄目な感じですね

 

「あら?私の聞き間違いかしら?華琳様の寵愛を一番に受けているのはこの荀文若なのよ?平和になって戦に出ることが無くなってその無駄につけた筋肉の使い所が無い貴女とは違って、平和になったからこそ!より一層、華琳様が私の頭脳に期待してくださっているのよ?」

 

「はっはっは!笑わせてくれるな。たしかに戦は無くなり剣を振るう事は少なくなったが、所詮机の上でしか物事を判断出来ぬ貴様とは違い私は外に出て、見て、聞いて書簡だけでは判断出来ぬ物事を解決する事が出来るのだ。【百聞は一見に如かず】と言うだろう?」

 

嗚呼、頭痛がしてきます。頭の悪い会話というものでしょうか!?

生徒の見本たる先生が「分かりやすい文章」を伝える事が出来ないだなんて!!

 

「おや・・・・・・?」

 

稟様が震えていらっしゃいます。奇妙な会話なので怒っていらっしゃるのでしょうか、なるほど。真面目な人がいて玲はとても嬉しく思います。不覚にも涙が溢れて止まりません

 

「しばらく桂花様と春蘭様は放っておいて、私達だけで進めましょうか稟様」

 

「か、かか華琳様の桃・・・・・・た、たわわ」

 

んん・・・・・・?何か違う事を考えているような

 

「ぶーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

「きゃあああああああああああああああ!」

 

「おいおい、稟またか」

 

「相変わらずこの癖は治らないのね。ほら、トントン」

 

「す、ずみばぜん」

 

「ん?ところで玲はどうしたのだ。華琳様の美しさを上手く表現出来る言葉を聞きたかったのだが」

 

「まぁ、会って間もない玲に華琳様の素晴らしさを表現出来るかどうかはわからないけれどね」

 

「」

 

「む、気絶?稟の鼻血を見てか?」

 

「はぁ。この子、軍師には向いてないわね。血を見て気絶するだなんて、戦場では生きられないわ」

 

この日、生まれて初めて血を見ました。初めて見る血は、赤くて、温かくて。そして暗いものです

 

「し、失礼します!!夏侯惇将軍!」

 

「む、何だ!今は授業中だぞ!休み時刻まで待てんのか!授業中の私語は厳禁なのだからな!」

 

「か、火急の要件にございます。沛に向かわれた張遼将軍、典韋殿、程c殿からの連絡です!!

 

至急、沛に向けて出立をお願いいたします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
投稿していたと思ったら出来ていませんでした(°_°)
どうやら夢の中の出来事だったようです

きっと投稿出来ていた外史もあったのでしょう
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コメント
相変わらず桂花が駄目すぎる!先が気になります!(nao)
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