真・恋姫無双〜Re:道〜 |
第二章‐陸話 『 天は蒼く黄天は沈む T 』
≪天水side≫
「う〜ん此処はこうで…此処はこうか?こいつは…今はほっといていいか」
詠が執務室でこの前の試合での御遣い達の実力を元に部隊の編成を見直しているときだった。
「…詠いる?」
「白雪?あんたが訪ねてくるなんて珍しいわね。兵の鍛錬は?」
なんだか珍しい奴が訪ねてきたものだが、それだけにすこし彼女が訪ねてきた用件が気になった。
「…今頃恋に吹っ飛ばされてるし。それよりお願いがあるんだし」
「なんでここで恋が出てくんのよ、まあいいわ。で?お願いってなによ」
「…ちょっと太白達を迎えに行くから兵隊貸して欲しいんだし」
「はあ?」
訳も分からずにいるボクに対して白雪が傍に近寄ってきて耳打ちをしてくる。その内容に最初は唖然としてその後
「はあぁぁぁぁぁああ?!」
思わず絶叫していた。
「…で、どうするし?」
頭が痛くなってくるのを堪えつつ一つの書簡をしたためる。
「これを鬼灯に渡して。部隊の編成を書いてあるから」
「…ん。詠、ありがと」
お礼の言葉を残して出て行く白雪を他所にボクは別のことを考えていた。
「和輝の馬鹿〜〜!」
その後天水から白雪をはじめ鬼灯、楓の三人は兵を率いて荒野を進んでいた。
「しかし、私の部隊と和輝殿の部隊で行くのは分かりましたが、千とは流石に少なくないですか?」
「しかもお兄いないし。先輩もいないし」
「…ちょっと太白達を迎えに行くだけだから大丈夫だし」
「それです。人を迎えに行くのになぜ兵を連れる必要があるのでしょうか?」
「…敬語要らないし。今太白達は親分に言われて黄巾とかいう賊のところにいるんだし」
「なんですって?!」
「へぇ〜お兄、親分って呼ばれてるんだ」
「和輝殿はなんでまたそんなことを?」
「多分お兄のことだからその黄巾の首領に興味あったんじゃないかな?」
「分かるのですか?楓d…楓」
「まぁ、兄妹だからね」
そう言った楓は何故か嬉しそうに笑っていた。
≪黄巾side≫
「ん〜やばいんさ。周りは全部囲まれてるのさ」
「そんなこと今更言わなくても皆知ってるッス」
現在黄巾党の陣営には本来和輝と共に董卓配下となっているはずの太白と白妙が居た。と、言うのも和輝が黄巾の噂を聞いた際に二人に対して黄巾の首領を連れて来いと言ったためだが現状、接触には成功したものの、そのまま黄巾党討伐に巻き込まれ身動きがとれなくなっていた。
「梁ちゃん。なんかいい案は浮かんだんさ?」
「浮かぶわけ無いじゃない」
「あの、とりあえずご飯にしませんか?」
「「わーいご飯だ」」
「ちょ、姉さん達。はぁ、ごめんなさい典偉さん」
「いえ、別に気にしないでください」
「そうなんさ。気にすることないんさ」
「白妙は気にしてよ!」
騒がしい中出された料理にも手をつけず白妙に『梁ちゃん』と呼ばれた少女はウンウン唸りながら考え込んでいた。
此処は山中に築かれた砦の中。砦と言っても随分前に破棄されていたらしく今は黄巾党の根城となっていた。その一室で黄巾首領張角を始めその妹である張宝、『梁ちゃん』と呼ばれた三女の張梁、そして典偉、太白、白妙の六人が集まっていた。
どうやってこの六人が集まったのか、それは約一週間ほど前まで遡ることになる。
〜*〜*〜一週間前〜*〜*〜
「太ちゃん、お腹すいたんさ」
「次の邑までもう少しッスよ」
太白と白妙は和輝からの命で黄巾首領張角に接触するために一路黄巾の根城と噂されている場所を目指していた。情報源は天水近郊で和輝は抱え込んだ賊からのものだが和輝曰く『餅は餅屋』とかでとりあえず向かうことになった。
「そろそろ見えてもいいと思うッスけど」
「太ちゃん!あれ!煙が上がってるんさ」
白妙の指差す方には確かに黒煙が上がっているのが見える。そしてそこには今まさに向かおうとしていた邑がある方角だった。お互いに一度頷き合うと得物を構えて駆け出した。
「くっ、キリが無い」
邑の前、そこでは一人の少女達が迫る賊を相手に善戦していた。一度邑へと侵入していた賊ではあったがたった一人で押し戻したうえで更なる賊の侵入を阻んでいた。だがそれも次第に限界が近づいていた。彼女…典偉が扱う武器、『伝磁葉々』は現代でいえばヨーヨーを馬鹿でかくした様な形をしておりその性能を十分に発揮するには中距離が理想的だが数に物を言わせて攻め入る賊に押し込まれ十分に振るうことができずにいた。それでも一歩の退かずにいるのはいつか帰ってくるであろう親友の居場所を失くさない為だった。
「うりゃぁ!」
「しまった!」
いつの間にか別の方向から近づいていた賊が剣を振り上げていた。伝磁葉々は放ったばかりで引き戻すのも間に合わない。そう判断し鎖で受けようと身構えたとき
パンッ
小さな破裂音がして剣を振り上げていた賊が倒れた。その頭からは血が流れている。何が起こったのか理解する前に今度は賊を吹き飛ばしながら何かが一直線に此方に突っ込んで来る。その何かは邑の入り口、典偉の前で止まる。
「着いたんさーー!」
そんな場違いな台詞を叫んだ。
「大丈夫ッスか?」
その後ろからもう一人の人が典偉に声を掛けた。
「あ、はい。あなた達は?」
「そんなんは後なんさ。まずはこいつ等どうにかするんさ!」
そう言った彼女は馬鹿でかい鉄の板を振り回して賊を数人吹き飛ばしていた。
「でも流石にキリが無いッスよ。」
声を掛けてくれた子も武器を構えて応戦しているがやはり私と同じでこの数を気にしているようだった。
「あの、なんとかしてこの賊を指揮している人を倒せないでしょうか?」
「でも此処離れたらやばいんさ」
「なら、弓かなにかで…」
言いかけて気付いた。誰も弓など持っていない。だが、
「太ちゃん。さっきのもっかいできるさ?」
「出来るッスけど、距離があったらちょっと時間がかかるッス」
「なら頼むんさ。ここはアタイが押さえとくんさ」
この二人には何か秘策があるらしい。だが一つ気になる事がある。
「どうして助けてくれるんですか?」
二人とも此方を見ることもせずでも声をそろえて
「「親分がカタギは助けろって言ってたんさ(ッス)」」
そう言った。
邑の入り口を白妙と緑髪の子に任せて太白は入り口に近い建物の屋根に上っていた理由はもちろん賊の指揮官を狙うためだ。一度白妙の方を見てみるが何気に連携が取れている様で心配は要らなそうだった。
「よーっし。じゃあやるッスよ」
そう言って自分の武器であるトンファーを片方だけ構える。ただし、本来とは逆に。その構えのきっかけは和輝の何気ない一言
『こうやって持ったら((銃|ハジキ))みてぇだな』
そう言って今の太白の様に構えた。銃が何なのかは太白は知らない。和輝曰く『小せぇ鉄の弾を弾き出す武器』らしい。それを氣を使って自分なりに作り上げた。と言っても元々放出系の氣の使い方は苦手なので連発はまだ出来ないのだが。
「・・・あれッスかね?」
賊の中、一人だけ馬に乗ってふんぞり返っている男に狙いを定める。氣はすでに十分練れている。
「これが自分の((弾氣|ハジキ))ッス!」
バンッ
先程より大きな破裂音がして狙っていた男が倒れるのが見えた。その近くにいた者から次々と逃げ出していき、程なくして賊は引き上げて行った。
「本当にありがとう。さっ、遠慮せずに食べてね」
「いただきま…ガツガツ」
「白妙はしたないッス」
「でもるーちゃんの料理うまいんさ」
あの後、邑を助けてくれた二人…太白と白妙とお互いに真名を交換し合った。こうしてご飯を食べてるところを見てるとなんとなく親友とダブってみえる。
「それで太白達はどうしてこんなところへ?」
「アタイ達は親分に言われて猛禽狩猟に用があるんさ」
「鷹狩り?」
「白妙違うッス。自分達は黄巾首領に用があるッスよ」
なんだかますます白妙が親友そっくりに見えてきた。でもこの二人黄巾の首領に用があるなんて穏やかではない。と言うより
「黄巾って言ったらさっきの賊がそうだよ」
「「へ?」」
私の言葉に二人とも固まってしまう。なんか大丈夫かな、この二人。とてもじゃないけどほっとけない。
「もしよかったら私も手伝おうか?」
「え?いいッスか?」
「うん邑も助けてもらったし」
「でもお礼だったらもうご馳走になってるんさ」
「でも、この邑は私にとっては凄く大切な場所だから。それになんか二人が心配だし」
「ん〜、じゃあお願いするッス!」
「うん」
でも、この時私はもっとしっかりと二人の目的を聞いておけばよかったと後になって激しく後悔した。
あとがき
久々に太白達がでた。そして流琉はこんなんだったかなぁと思いつつ書いてましたもしかしたらキャラ崩壊してるかもしれませんが。そしてよく考えたらこの話露出率半端じゃないことに(太白達三人は一章‐参話にて説明でてます)
ではとりあえずはまた次回!
説明 | ||
本格的に黄巾編その1です 『Re:道』と書いて『リロード』ということで 注:オリキャラがでます。 |
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コメント | ||
禁玉⇒金球さん>もうね、書き終わって自分でも初めて気づいたんですよねw三女が一番の良心に思えてきましたよ。○○○ですか?白雪に毒を吐かれるのがオチですよw(ツナまん) 確かに久しぶりの登場の三人娘ですねこれからは露出四天王になりますか?、もう一方の三姉妹は相変わらずの質ですが三女以外はもうね…〇〇〇してもOKです。(禁玉⇒金球) |
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