１９４５年４月２２日、ドイツ第三帝国の首都ベルリン・・・

同じ枢軸国の日本では、唯一の本土戦である沖縄戦が尚も続けられている・・・

我々の知る歴史では、この時にベルリンはゼーロウ高地を突破したソ連赤軍の砲撃にさらされ、瓦礫の山と化し、４月２５日にソ連軍が米軍とエルベ川で合流する。

後に「エルベ川の誓い」と歴史に記憶され、国際連合創設について議論されていた。

それと同時にイタリア共和国政府が崩壊、ムッソリーニ等は逃亡したが、後日２６日に愛人と共に逮捕され、良く２８日、銃殺された。

そして４月３０日に第三帝国の総統、アドルフ・ヒトラーが妻エヴァ・ブラウンと共に自殺。

ドイツ海軍元帥のデーニッツが大統領となり、宣伝大臣のゲッベルズが首相となったが、５月１日にゲッベルズ首相夫妻は共に六人の子供を殺害後、自殺する。

５月２日、ベルリン陥落、ソ連赤軍はドイツ国会議事堂に赤旗を掲げた。

その後、親衛隊長官であるヒムラーが自決。

８月１５日、日本も連合国に降伏、これにて第二次世界大戦と太平洋戦争・日本名大東亜戦争は終結。

終戦後、日本とドイツは連合国から屈辱の条件を呑まされた。

ここまでは我々の知る歴史であるが、４月２４日で、歴史は狂った。

それを確かめる為、ナチスの重鎮達が避難している総統地下壕を覗いてみよう。

ソ連赤軍の砲兵による絶え間ない砲撃とロケット弾の攻撃で、人工的な地震が起こっていた。

天井から塵が落ちてくる。

地下壕の作戦会議室では第三帝国の総統ヒトラーと宣伝大臣のゲッペルズ、ドイツ国防軍の陸軍・海軍・空軍・武装親衛隊の司令官達が居た。

ヒトラーの後ろに張ってある地図には、ベルリンへと迫る連合国軍の国旗で現在地が記憶され、完全に第三帝国が包囲されている事が分かる。

既にこの状況を打開する程の戦力は残されてはおらず、ただ徹底抗戦で死ぬまで戦うしか無かった。

敗北は確実であり、ある一人のドイツ国防軍陸軍の将官がヒトラーに降伏を進める。

「総統閣下マインヒューラー、我々は戦争に負けたのです・・・」

一息ついて、将官は言った。

「降伏しましょう・・・」

だが、ベルリンにいる全将兵に「最後の血の一滴まで戦うように」と命じたヒトラーが受け入れるはずも無かった。

ただ却下する訳でもなく、ヒトラーは降伏を進めた将官を護身用に持っていたワルサーＰＰで額に発砲し、その将官を殺害した。

「ドイツは二度と敗北せんのだっ！！」

机を叩き、目の前にいる将軍達に大きな声で告げる。

「戦局打開計画"プランＺ"を発動せよ！！」

この総統命令に従った将軍達は直ちに掛かった。

ベルリン各地から空に向けて不気味に光るオレンジ色の光の柱が撃たれ、青い空を不気味な雲で覆い隠していく。

たちまち空は不気味な空に覆われ、地上にありえぬ異変が起きた。

それは地面から、死したはずのドイツ全軍の兵士達が地中を這い出てあの時代に蘇たのだ。

兵士達の姿は死因となった傷が残っており、骨まで見える者や死亡レベルの火傷を負った者達まで居る。

眼は不気味に黄色く発光し、奇声を上げ、動きも鈍かった。

彼等が持つ武器は雑多な物が多く、とても戦場で出て行けば、直ぐに銃で撃ち倒され、全滅することだろう。

だが、彼等は死なない。

何故なら既に死んでいるからだ。

１９４５年のドイツに蘇った不死身のドイツ軍兵士達はベルリンや周辺に居た連合国並び友軍であるはずの味方兵士問わず殺害し、地獄絵図を作り上げた。

無論、この異常な事態を連合国が無視するはずもなく、各国家間の諜報機関のエージェントをベルリンへ送る。

運良く生き残った者達は不死身の兵団の弱点を個々に見つけ出し、敵味方問わず生存者達を増やす為に伝えていく。

さらに別世界、未来と言って良い場所からこの世界に放浪者達が現れたのだった・・・・・・