真・恋姫†無双 〜孫呉千年の大計〜 第3章 5話 |
第3章 群雄淘汰・天下三分の計編 05話 『 長沙城包囲戦 其の参 』
「黄忠様! 北・東・西、各門同時に戦闘が始まった模様です!
北門には張遼、東門には黄蓋、太史慈 西門には程普率いる軍勢が押し寄せている模様です」
「報告ご苦労様でした 想定内の攻撃のようですので、予定通り守備をと各隊長へ通達してください
くれぐれも兵糧庫の警戒は厳重に いいですね?」
「ハッ 承知致しました」
「黄忠よ そなたは?」
「私は東門へ就くつもりですわ 呉の誇る弓の名手と呼ばれる将が、お2方とも揃っていらっしゃるようですし」
「そうか 武運を祈っておる」
「はい それでは!」
黄忠の歩くヒールの小気味良い足音が、長沙城内の廊下に響いている
そんな軽快な足音とは裏腹に、黄忠の思考は先程から一向に晴れることはなかった
全て日頃の訓練通りの実力を発揮出来れば守りきれる
自身が注意喚起をしていれば大丈夫 そう皆を励ましつつ自身にも言い聞かせるように戦場へと赴く
黄忠の言っている事はあながち間違いではないだろう
普段の力が発揮出来ないようでは、いざという時の役になど立つはずもない
しかし、この時黄忠の抱きし不安は、奇しくも最悪の形となって的中してしまうこととなる
孫堅が江夏・江陵を抜き襄陽に迫り、あと一歩の所まで追い詰められた戦いから何年が経っただろう
それ以降、黄巾賊との小競り合いはあったものの・・・荊州での大きな戦いはなかった
また荊州の中心部に蔓延った、黄巾賊達の鎮圧を行ったのも、孫呉の兵達による大規模な掃討作戦によるものであったのだ
そして、一方では董卓を始めとした十常侍達のの排除、水関、虎牢関の壮絶な戦いにも勝利
もう一方では、蔡瑁・黄祖を始めとした水軍の面々の隙を突いた侵攻すらも、こちらは利用され痛打されてしまった
すべては呉の軍師・周瑜に踊らされたせいだと、蔡瑁は憎憎しげに病に臥せった劉表様へ語っていたことを記憶している
果たして本当にそれだけなのだろうか?
孫呉は一度は我々によって、滅亡寸前にまで追いやられた勢力である
負ける筈がない そうした油断も心の奥底にあったのではなかろうか?
そして、その事はこの長沙の地での戦いでも、もちろん当て嵌まっていることであろう
普段の練習通り・・・だったにも関わらず
三方の砦を易々と焼き払われ無効化されてしまい、長沙城への篭城を余儀なくされてしまった
相手がこちらの予測を上回る行動をしたからだと言い訳するならば
それは蔡瑁が劉表様に申し開きした事となんら変わらない行為である
敗北の原因は全てと言ってもいいだろう
兵数も将も兵達も・・・軍師から全て我々は劣っており、劉表軍に属する兵達の多くが、死線を潜り抜けた数が絶望的に不足している
これでは負けるのは自明の理というものであろう
孫呉は存亡の危機から立ち直り今の繁栄を得るに至った
我らにも、いや私にも可能かどうか? ・・・そんなのは逆立ちした所で無理である
蔡瑁達、中央を牛耳る者達に左遷され、ここ長沙に今いるのだから・・・
”貴方の今の言葉がどこまで本当なのか 今後ゆっくりと見定めさせてもらいますわ” ※第3章 2話
私はあの時出会った青年に、ついカッとなって、そんな偉そうな言葉を吐きぶつけていた
けれども、あの青年が歩んできた道程は、決して端から見るほど、平坦で楽なものではなかった事だろう
孫呉財政の健全化、黄巾党の殲滅、呉への進駐、山越との同盟、反董卓連合軍での勇躍と
孫呉に優秀な人材が揃っていたとはいえ、その1つ1つを成功へと導くのに、どれほど困難な事が伴う事であろうか
しかも青年自身は常に先頭に立ち、武神と名高い飛将軍・呂布ですら退けたというではないか
私が逆立ちしようとも出来ないことを、青年はやってのけてけていた
彼が天から遣わされた人物である事に、今ならば素直に信ずることが出来る
どうして我が軍ではなく、呉へと遣わされたのだろうか? そんな女々しい想いまで喉元まで競り上がってくる
だがだからといって、防衛を一任されたこの長沙城を、あの青年に易々と明け渡す気にはならない
ここまで押し込まれ勝つことは至難の技であろう しかし黄忠自身とて、弓の名手として大陸に名を馳せている将なのである
長沙城へと押込められたものの・・・ このまま無様に終わる訳にはいかない
そうした強い決意を胸に秘め、自身と同じく呉で弓の名手と謳われる黄蓋と太史慈がいるという東門へと向かう
黄忠の心中は、東門へと近づくにつれ興奮を抑えきれず
その足は踊っているかのように、自然と軽やかにその後の彼女達との戦いを思い描く黄忠でありました
長沙東門の防衛へと就いた黄忠は、すぐさま辺りの守備兵へと激励の言葉と指示を飛ばしたのを
戦闘が開始されてから、じっと前線にいながら鳴りを潜めていた2人が動き出した
少し後方に下がって待機していた祭は、もう一度桜へと近づき緊張を解してやるべく声をかけてやる
「漸く目的の敵さんのおでましのようじゃの 引き付け頼んだぞ 桜」
「心得申した 不本意でござるが、軽く捻られてくるでござるよ」
老婆心ながら声をかけてみた祭ではあったが、どうやらいらぬお節介だったようだ
祭に声をかけられた桜は、不敵な笑みを浮かべつつ、祭へと言葉を返してきたのであった
祭と桜、お互いの付き合いは僅かである筈なのだが
ここにきていつの間にやら、まるで長年付き合いがあったようなの如き、息の合った関係となっていたのである
「くっくっく この負けず嫌いめ」
「それはお互い様でござろう?」
あとは互いに与えられた自身の仕事を全うするだけ・・・
憎まれ口を叩きつつも、2人の間の意思疎通はもう十分になされていたのである
「はっはっは 違いない!」
祭はそう豪快に笑い飛ばし、桜との会話を打ち切るのであった
この2人の間に流れる余裕こそが、歴戦の勇士たりえる証なのだといえ
また周囲の者達へと士気と良き緊張感が伝わり波及していく
「拙者は太史 子義! 黄忠よ! 名手と謳われし腕をここで競い合おうではござらんか! 」
桜の大胆不敵とも取れる宣言に対し、
黄忠自身がこの戦いを望んでいた節があったので、尚の事、黄忠は嬉しさを滲ませる
「いいでしょう! その申し出望むところです!! 我が名は黄 漢升!
曲張比肩と謳われし弓の業、その身をもってとくと味わいなさい!!」
かかったな 桜は心の中で小躍りしつつも、表情には出さないよう必死に我慢する
「「いざっ! 尋常に勝負!!」」
この物語で初となる『大弓』同士の一騎討ちが、開始されようとしていたのである
黄忠がいる場所は長沙城の城門がある壁上である
一方、挑発した桜はというと、遮蔽物の一切ない地上である
誰がどうみても、低き位置にいる桜が不利で、高く位置する黄忠が有利な状況である
しかしそんな事は少しもお構いなしに
桜は挨拶代わりにとばかりに、弓・不惜身命で第一矢めを黄忠へと放ったようである
子憎たらしい娘ね そう感じた黄忠もまた愛弓である颶鵬を手に、お返しとばかりに矢を((番|つが))えて間断なく放っていく
両者の間で、大弓に瞬時に矢を番え放つ 一矢の時もあれば二矢放つときもあった
本来、普通の者達が、2人が手にしている大弓が立派だからと手にした所で
満足に引き絞る事など出来よう筈もなく、矢を満足に放つことなど夢のまた夢なのである
だが2人が魅せる名手による射ち合いは
弓に矢を番え引き絞った横顔の立ち姿が、なんとも言えぬ美しさを纏っていたと表現するに値する
桜が不惜身命を引き絞り、鋭き眼光で黄忠をにらみ付けながら
((弓懸|ゆがけ))をした手で弦を限界まで引き絞り、あごに当て照準を合わせ放つ姿は
今にも黄忠を射抜きそうな迫力を纏っていた
一方の黄忠はというと、桜へと向ける鋭き眼光は同じであるが
桜とは違い、長々と照準をつける訳でもなく、軽々と瞬時に矢を番え引き絞ったかと思うと
次の瞬間には、もう矢を放っていく感じである
黄忠、祭、夏侯淵は同じスタイルといえ、桜だけが彼女達名手とは”一線を画す特徴”を有していたのだった
それは追々説明する時が来るので、その時にでも説明することとししょう
ビィィーーーーーンと両者の大弓から弾じかれ、矢が放たれた弦の音が
周囲から息を呑み、行方をジッと見守る者達に、なんとも言えぬ緊張感を漂わせたかと思うと
次に注がれる皆の視線はというと、放たれた矢の行方を自然と追い結果を追い求めることとなる
黄忠はストールを翻し、桜から放った矢を瞬時に絡めとっていく
一方の黄忠の放った矢もまた、桜の身体に突き立つというような事はなく
地へと叩き落とされるか、身体を素通りし地へと突き刺ささっている
一騎討ちでありながら、互いの距離は直線距離にして、ゆうに1000mは軽く離れてはいるのだが
油断をすれば瞬時に命さえ奪われかねない緊張感が漂っていた
槍や剣を持って戦う一騎打ちとは、また一味違う独特な展開といえたが
両者が並みの射手でないことが災いし、矢筒を2度変えるものの、決め手の見えない膠着状態へと陥っていくのであった
・
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しかし、この2人の戦いの膠着状況を見た上で、口角をあげニヤリとする者がいたのだ
そしてもう1人、心の中でしてやったりと思っている人物もいた
前者は祭であり、後者は戦いの当事者である桜であった
今更いう必要もないだろうが、彼女達の役目はこの長沙城の防衛上一番厄介な存在である黄忠をこの場に長く留めて置く事にあった
そして先に祭を出してしまっては、黄忠は誘いに乗らない可能性すら考えられた
というのも、呉内での弓の評価・評判はやはり宿将である祭>桜なのであった
まぁ そんな誤解は、すぐ当人同士による模擬で吹っ飛んでしまっていたのだが
呉内での評判や評価を、両者と交流のない黄忠が、知れという方が難しいだろう
そしてこの度の戦いの結果、桜の腕前を知った黄忠は
桜の誘いに乗った手前、仮に祭が誘っても乗ってくるだろうと察したのが理由である
また一番手である桜は、、矢筒を2度取り替える程の長時間、黄忠を長く留め置くことに成功していた
目の前の激しい戦いが、心ならずも膠着状態に陥った以上、黄忠に他の場所へと意識を移す余裕などあろう筈もなかった
結果、思春・明命の両名が潜入しやすくなったのは言うまでもなかろう
作戦を後押しする北門の張遼隊、西門の程普隊の面々もまた、各門を執拗に攻め立てている
この間にきっと明命と思春の両名ならば潜入に成功しているだろう
彼らがこう信頼していた通り、彼女達両名は易々と長沙城内へと潜入を果たし想像通り事を運んでいた
あまりに上手く行き過ぎて、逆に怖くなったくらいであると、後々思春はこの時の模様を述懐している
「思春殿は何事も深く考えすぎです!」
思春が述懐している隣で、飄々と笑顔浮かべ突っ込みを入れている明命がいた
黄忠と桜の戦い、各門の攻撃の熾烈さが、彼女ら2人の存在を上手く消せたのであろうが
この2人の手練にかかっては、防備を固めていた筈の長沙城を守備する劉表軍も形無しである
長沙城へと潜入に成功した明命と思春は、作戦目標である食料庫目指して移動を開始する
一方その頃、黄忠と桜との戦いが膠着したことで、少し後ろに控え頃合を見計らった祭が
黄忠へと提案する為、桜に並んだ所で黄忠へと大声を張り上げた
「太史慈の腕前を計るのは、もう存分に出来たのじゃろう? 次は儂とやってみんか?」
「なっ!? それはどういう意味でござるか!? 祭殿!」
桜は即祭へと、芝居染みた異議を激昂しつつ申し立てる
黄忠としても祭の実力は知りたかった けれども一騎打ちをして、途中で相手が替わるなど聞いたこともなかった
困り果てた視線を祭と桜へと視線を交互に移しつつ、困惑の度をさらに深める黄忠でありました
「・・・むうう 存分に戦こうたではないか! そろそろ譲ってくれてもよいじゃろう?」
「決着がついていないでござるから、祭殿は黙って後ろで見ておくでござる」
どちらも退く様子もない事に両者焦れたのであろう
「ここは黄忠殿に決めてもらうとしようではござらんか」
「そうじゃな 恨みっこなしじゃ」
と受けるともまだ一言も言っていない黄忠の与り知らぬ所で
勝手に話が進み展開し、結論を求めて祭と桜の熱き視線が、城壁にいる黄忠へと注がれる事となったのである
「黄蓋殿 お相手願いますわ」
「悪いのう 桜」
「うぐっ」
祭と桜 表面上はそんな遣り取りをしていたのだが
「やはり武将の性かのう」
「でござるかな どちらがより強いのか」
「その答えを求めて戦っているようなモノだからのう」
「あとはゆっくりと見物させてもらうでござるよ」
「まかせとけい」
実際はそうではなく、2人はすれ違いざまの僅かの間に、こんな会話を交わしていたのである
そして祭と黄忠の2人は対峙しあう しかし桜と対戦した時と違うことにすぐ気づくこととなる
黄忠の放つ矢の風切り音、勢い共に、先程とまでとまるで違っていたのだった
それは当然のことといえた
黄忠が現在祭へと放っている矢は、先程まで使っていた木製の矢より重い”鉄矢”であったのだから・・・
祭の射る位置から黄忠を射るには、どうしても弧を描く軌道を描かなくては当たらない
対して壁上にいる黄忠からは、直線で射て祭や桜を狙える事が出来たのだ
鉄矢の利点は、威力と速度が増し、風に左右されにくい点が挙げられる
逆に欠点としては、重いが故に飛距離が落ちる点、体力の消耗が大きい点が挙げられよう
では、弓で攻撃する最大の利点とは一体なんだろう?
それは相手がすぐに攻撃出来ない距離から、攻撃できる点にあるのではないだろうか?
銃が弓より発達し、狙撃を専門とする攻撃方法が確立されたのも、より自然の成り行きといえるだろう
銃による攻撃の飛距離、命中率、殺傷力、次弾装填速度
全てにおいて、弓より段違いに効果を発揮したからだと考察する
だが残念ながら、この時代に黒色火薬があるものの・・・ まだ銃を開発するという段階にはまだ至ってはいない
この時代に即した飛距離で例えるなら、弩弓砲>大弓>弩弓なのが実情である
黄忠が射る速度と威力の増した鉄矢が祭を容赦なく襲う
この状況に苦戦し、さぞ悔しい思いをしているのかと思いきや、祭の表情をみる限り全然そうは感じられなかった
「ふんっ 小癪な真似を だがそういう事なら・・・」
そう一言呟いた祭は、素早く引き絞り矢を連射し始める 時には二矢同時に放つこともあった
黄忠には当たりはしないものの・・・ 黄忠を支援している者達へと当たり被害が出始めたのである
そうなると、必然的に黄忠の一矢射る間隔は長くなり、祭がその間連射するという戦いの構図となってきたのだ
普通の弓矢であったならば、祭と同じ速度で連射する事も可能である黄忠であったが
祭と同じ事をするには矢筒毎を交換せねばならず
黄忠が祭と同じように連射した所で、支援する者は祭の近くに居ないのだから当たる事もない
祭は矢筒の端をかかとで蹴り上げ矢筒を立てるや
次の瞬間屈み込むと同時に、腕と頭を通し矢筒を背負って補充されてしまう
このまま不利のまま戦うのか、同じ型(スタイル)へと戻し戦うのか
黄忠は執拗に連射してくる黄蓋の矢をストールを翻し無効化する
太史慈は連射が得手ではなく、一矢一矢を大切に撃つのだろう だが黄蓋は違う
黄蓋は私と同じ種類の射手 絶対に負けたくない!
そう感じた黄忠は黄蓋と同様屈み込むと、先程まで桜と戦っていた時に使用していた矢筒を素早く腰へと装着させる
その様子をみた祭は、黄忠が換装する間敢えて攻撃しようとはしなかった
矢を番え引き絞るような事はせず、腰に手を当てじっと待ち構えていたのである
憎たらしい・・・ その余裕きっと失くしてあげる
換装を終えた黄忠はそう憎々しげに祭を睨みつけたのである
「お〜 お〜 そうこなくてはな!! こちらも張り合いがないしつまらんからの!
たまには存分に暴れさせてもらわんとのう」
そう呟き終えるや、今度は祭と黄忠の連射による応酬と、戦いの様相が一変し様変わりしたのであった
祭も黄忠も互いに充実の時を迎え、戦いを面白いと感じていた
互いがそう感じていたというのも、2人が繰り出す矢の連射速度はほぼ同じくらい
黄忠の射掛けてきた矢を祭が矢で撃ち落とせば
祭が射た自身に向かってくる矢を黄忠が撃ち落とす
常人にはとても真似の出来そうもない綺羅星の如く輝きを放つ応酬の数々を
両者惜しみなくここぞとばかりに披露していた
戦いを祭に譲った桜とて、弓の名手と謳われし人物の1人である
2人の熱き戦いを見つめていて血が滾らない訳がなかった
祭と黄忠・・・ 熱き2人の戦いを皆が息を呑み見守る
手に汗握る緊張感が肌に纏わりつき、いつ終わるともしれない攻防戦が続く中・・・
長沙城食料庫での攻防が、今まさに開始されようとしていたのだった
長沙城へと無事潜入を果たした思春と明命は、周囲を警戒する敵を排除しつつ
一路食料庫を目指し慎重に事を運んでいた
「明命 食料庫防衛に回している兵が多いようだな 読まれていたか」
思春が隠れつつ周囲を確認した所、食料庫と思しき入り口前に、20名は軽く控えていたのだ
周囲を警戒している者を含めると、ざっと40名弱はいる計算となる
また食料庫内にも人数を配置していることも考慮に入れないとならなかった
そうした理由から、面倒な・・・という思考がつい言葉となって思春の口から漏れ出したのだ
「思春殿 先の戦いでは両軍ほとんど死者の損失は出していない筈ですから
相手方におかしいと思われて当然かと思います」
思春とてそんな事は百も承知である
だが面と向かって、明命に諭された事が少々・・・というか多分に癪に障ったようである
「ふんっ 明命の癖に偉そうだ なら明命ならあの人数をどう捌く?」
本来なら自身の考えを言い、明命に同意を求める形が多い2人なのだが・・・
この時は癪に障った事もあり、明命に先に聞いてみたのである
「1人が囮となって引き付け、その間にもう1人が作戦を遂行するので如何でしょう?」
あの中に斥候や手練が混じっているとも思えなかったので
天井を行くのもありとは思っていた思春であるが、明命が提案した方が満更悪くなかった事もあり
「そうだな 時間がかかりすぎては失敗すらありうる状況だからな
ベタで教本通りで手っ取り早い 悪くないだろう」
「引き付け役は私がやろう ほれ 私の分の焙烙玉だ 受け取れ」
「引き付け役なら私が・・・」
思春を察して自ら進んで申し出るものの・・・
「敵の排除なら、明命より私の方がまだまだ上だろう」
「ぶ〜〜 心外ですっ!」
と明命は頬をぷぅ〜〜〜と膨らませて反論する
「フッ 明命 自信に満ち溢れているいい表情をするようになったな
ここは先輩に任せろ いいな?」
明命の可愛らしい反論に屈した思春は、明命が素直に応じやすいように提案してみた
「そういう事でしたら、思春殿にお任せいたします」
本当に素直な奴だなと少し羨ましくも感じつつも
自身には到底真似の出来ぬ事と割り切ってもいたのだ
「ああ 任せておけ! 私がきっちりと、お前が仕事をし易いよう道を作ってやる」
「はいっ! 思春殿 御武運を!!」
2人は笑顔をみせ、互いの仕事を全うすべく別れるのであった
・
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・
「暇だなぁ〜 おい こんな所に本当に敵がやってくるんか?」
「黄忠将軍からの指図なんだ 来るんだろうよ」
再度確認してみるものの・・・
食料庫入り口で壁に背を預ける者、右へ左へ歩く者など人数だけ多そうな気配であった
隠れていた角から、思春は大胆にも姿を見せおもむろに近づいていく
最初は警戒していた味方が帰ってきたのか?と視線を向けるだけの者達が
徐々に表情が鋭く刺々しいモノに変化していく様子が見て取れた
「ご苦労さん その敵がやってきてやったぞ 暇なんだろう? 存分に相手してもらおうか」
思春がニヤリと口角を少しあげて言葉を吐き捨てれば、なんとふてぶてしく嫌味に聞こえることか
「こっこいつ・・・見覚えがあるぞ! 江賊の甘寧だ
マズい あっちは玉座の間がある方角だ 半分の兵はあいつを追えっ! 逃すなっ」
自身の顔を見知った者がいたとはな 引っ張るには好都合だと内心思いつつも
こいつ馬鹿なのだろうか?と思うような情報まで含まれていたのだった
そんな情報がなくとも、この城は元を辿れば孫呉の所有だったのだ
隠し通路を含めて熟知しているのだ
いまさら感たっぷりではあったが、思春はその言葉を利用し行動に移る
「ほう? いい事を聞いた 主の首を奪われたくなければ、私を倒すことだな・・・」
「ぎゃぁぁーーーーーーーーー」
思春は振り向き様に鈴音を抜き放ち1人を斬り殺す
「ふんっ 他愛も無い・・・ ただ私の後ろを付いて来るだけなら猿でもできるぞ?」
挑発の言葉を繰り返した事により怒髪天を衝く勢いのまま
食料庫前を守備する兵達のほとんどを思春は根こそぎ連れて行ってしまっていた
思春殿・・・ちょっとやりすぎです 大丈夫とは思いますが・・・ もう少しくらい残しておいても大丈夫なのに
そんな思考を巡らせながらも、明命の足はスルスルと音も無く歩みを進め、食料庫へと迫り中へと潜入を果たしていた
「おいおい この人数相手に何が出来る? 大人しく降参しろ」
明命が食料庫に潜入を果たした瞬間、そう声をかけられたのである
お前達の行動なんぞお見通しだと言わんばかりの偉そうな上から目線の態度と口調であった
そうそう、このような長い刀を抜き、すばやく振りぬくことなど出来まい
油断とも取れかねない思考をしていた瞬間に、明命とその男との勝負は決していたといえる
降参などしても意味あるのでしょうか? さっさと斬り殺せば良いものを・・・
そう思考しながら冷静に周囲を見渡していく
思春殿の見立て通り、人数はかけているものの・・・ 手練、斥候の類を配置している様子もなかった
「哀れな人達ですね 命と時間の無駄です! そこを退いて下さい!」
明命としては、無駄な殺生をするつもりはなかったので、そう言葉を発したのだが
明命が敬愛してやまない一刀が、いつもそうした姿勢で戦いに望んでいたからだった
マズは話して理解しあう 駄目なら仕方ない、容赦しない それが一刀のスタンスであった
助けた者達の子や孫達が助けてくれる未来があるかもしれないよ?
一刀としては、明命にあまり血生臭い世界に浸かって欲しくなかっただけなのだが・・・
そう笑顔で一刀に諭されては、素直な明命は疑うことなど出来なかった
明命の中での小さな切欠となる変化であったのだが
しかし、そんな明命の優しさが、どうやら通じる相手ではなかったらしい
「馬鹿な奴だ 後で存分にかわいがってやる いくぞ」
明命を取り囲んでいる者達は、明命が視線を背けたくなるような
醜くニヤついた嫌な表情を浮かべながら、明命へと迫ってきていた ・・・1人の青年を除いて
「それでも本当に正規の兵隊なのですか? 汚らわしい」
明命の冷酷な宣告が食料庫に木霊する
明命の姿が目の前から消えた瞬間、男達の目の前で次々と魂切の閃きが男達の魂を容赦なく吸い取っていった
哀れにも断末魔さえあげる事すら叶わず、食料庫の防備に就いてた男達の最後の思考となり果ててしまったのであった
「ヒィッ!」
周囲の様子を視線で追う青年 青年の周囲には誰一人生きておらず、物言わぬ血と肉片が辺りに転がるばかり
背筋が凍りつく感覚に襲われた時には、すでに食料庫の石造りの床に、ぺたりと腰を抜かしへたり込んでいたのだった
「これから私のする事を邪魔しないでください そうすれば見逃して差し上げます」
明命はへたり込む生き残った1人の青年へ向けて、緊張を解くように笑顔を浮かべながら言葉を発した
だが助かった青年としては、この血生臭い状況でこちらへ笑顔を浮かべた明命の方が怖く
話すこともままならない状況に陥り、小刻みに震えるように頷くしか仕方なかったようである
青年の反応を見届けた明命は、大量に詰まれた食料へと近づき、焙烙玉に火をつけ次々と放り投げていった
「西門から逃げるといいですよ ここで拾われた命を大事にしてくださいね」
呆然と明命を見つめる青年を素通りして、出口へと足を運び食料庫を後にした明命は
すぐさま、敵を引き付けていた思春を見つけ出し助勢する
「作戦は無事成功です 思春殿! それより人数増えてますよ 思春殿!!」
「そうかよくやった 人数なら知らん!! どこからか勝手にやってきて増殖したんだ」
「そんな訳ないでしょ!」
「明命文句言っている間に手を動かせ!」
「動かしているじゃありませんか!」
小声で2人は互いにそんな憎悪態をつきつつも、追い縋る兵達の排除に成功すると
長沙城内の天井へと2人は姿を吸い込ませ、すぐさま気配を絶ったのでありました
明命が焙烙玉にて放火した食料は、すぐさま天井を周囲の部屋も焦がし、もうもうと黒煙を撒き散らし始めた
本陣にいた面々は、長沙城から黒煙が上がるのを確認した後、一斉に行動を開始する
一刀は東門へ、冥琳は北門へ、蓮華は西門へと、当初の作戦に沿ってそれぞれに軍勢を率いて動き出したのであった
城を背にして祭と一騎討ちをしていた黄忠が、この事態をすぐさま知りえよう筈もなく
祭と桜の2人は黒煙が昇ったのを確認するや、作戦の成功を悟り心の内で祝杯をあげていた
だが黄忠にとって不幸だったのは、彼女が防衛を指揮する立場の人間であったことである
食料が燃やされたという事実が、すぐさま伝令によって黄忠へともたらされる結果となった
「なんですって!?」
部下からの報告を聞いて、黄蓋と戦っている最中だというも忘れ立ち尽くしてしまう
叫んだ黄忠はもう遅いと判りながらも、意識をすぐに祭との勝負から一旦切り離し
防衛の総指揮をしている将としての立場から、自身へと飛来した矢を急いで処理し終え
足は自然と場内へと退こうとした
その刹那ーーーーーーーーーーー
黄忠の退く先へと導かれるかのように、1本の矢が飛来してきて黄忠の鼻先を掠めていった
黄忠の気づくのが遅く、後一歩踏み込んでいれば、頬のど真ん中を矢で射抜かれていた事であろう
黄蓋か! この期に及んで油断も隙もない! そう思い黄蓋へとキッと視線を移すものの・・・
黄蓋は矢を番え引き絞ったままの状態で、こちらを睨んでいただけだったのだ
それじゃ 一体誰がこの矢を放ったというの!? ・・・まさか!?
黄忠は城壁ギリギリまで迫り視線を凝らした先には
黄蓋が構える場所よりかなり後方となる場所にいて、大弓を手に矢を放った後の残心のままで
黄忠を尚も睨みつけている桜を捉えたのであった
「あの位置からですって・・・!? うっ 嘘でしょ!?」
弓の名手である筈の黄忠から、ついそんな本音が漏れ出してしまったのだった
「祭殿との戦いを放置し、一体何処へ行かれるおつもりでござる 黄忠殿?
くっくっく ご油断めされるな? この不惜身命と共にあらば今の私は・・・
天空に浮かぶ太陽すら撃ち落せる事が出来るでござるぞ?」
今の桜の呟きが、遠く離れた城壁の上よりこちらを凝視する黄忠に届くことはないだろう
だが今桜が発した言葉に代わる一矢が、しっかりと桜の言葉を運び伝えたことだろう
それにしても・・・なんて場所から射てくるのだ ・・・ありえない
飛距離と命中はイコールではない 飛距離が出れば正確さなど無きに等しくなる
しかし太史慈はあんな遠い場所から、城壁の上から退こうと動いた私を射ってみせた
私でも届かないあの距離から・・・しかも正確に射て当てようだなんて・・・ 出鱈目すぎるのも限度ってものがあるでしょう!
そう、これが祭、夏侯淵、黄忠の三者の名手とは違う
桜だけのオリジナリティスキルと言ってもいいだろう”遠当て”である
先程までの動きは騙りで、私は太史慈さんの力量を見誤っていたようね・・・
でも反省は後だわ!! 今私のすべき事はひとつ・・・
「っ!! 実力を見誤っていたようです 太史慈 噂に違わぬ腕の持ち主だったようです!
これではこちらの被害が増すばかりです! 皆、盾ある位置にまで早くお下がりなさい!!」
黄忠は自身の持つプライドを金繰り捨てて、周囲で戦いの模様を見守っていた皆にそう吼えた
事実上の敗北宣言とも取れる言葉を・・・
その黄忠の様子をみた祭は、引き絞っていた矢を矢筒へと戻しつつ、肺から大きく息を吐いた
黄忠の言葉と祭の動作が示すこと、それは事実上の弓による一騎撃ちの閉幕の時であった
ふんっ 楽しき時はすぐに終わりを迎えるものよ
祭の達観したかのような気持ちを表した胸の内といえるだろう
しかし、祭の呟きが胸の内だけで収まる筈もなく・・・
「むぅ〜〜〜あやつめ! 儂が足止めしようと構えていたというに
黄忠が警戒して引っ込んでしもうたではないか! 最後に全部、いいとこ取りしおってからに・・・ブツブツ
時間を十分稼いだから良いようなもんの 後で説教じゃな!!
それにしてもじゃ・・・ 弓の腕に自信のある儂の目からみても、惚れ惚れする程の見事な遠当てじゃったのう
黄忠のあの様子では、さぞ心の底から肝を冷やした事じゃろうて
敵だった時は桜の腕前には全く気付かんかったが・・・ あやつが今は味方で良かったわい
黄忠のあの驚愕に彩られた驚愕の表情を拝めただけでも、今回は良しとするかの くっくっく」
そう誰にも聞こえぬ声で呟き終えた祭は、亞莎と子虎へと合図を送る
その合図を受け取った亞莎と子虎は、互いに視線を合わせ頷きあうと
「門へと攻撃開始!」
「者共! 余勢を駆ってかかれぇっ!!」
黄忠のいなくなった東門を突破すべく、全力を注いで攻略を遂行する孫呉軍兵士達でありました
黄忠が前線からいなくなって、それから間もなく、長沙城の北、東、西門が、ほぼ同時に孫呉軍勢に突破される事態と相成った
そしてこの呉の総攻撃の機に乗じて、長沙の街で息を潜んでいた多数の影もまたついに動き出したのである
???「すまないねぇ〜 邪魔なんで永遠に寝ておいてくれや
ほれ! お前らは剥がしたそいつらの鎧着て、さっさと目的の人物に接触して攫ってこい」
「「ハッ」」
長沙の街の防衛にと残されていた孫呉の者達の成れの果て、骸となった無残な姿のまま、折り重ねられ晒されていた
???男に命令された部下達は、終止無言で骸から鎧等の防具を順次剥がしつつ、忙しなく次々と身に着けていった
???「全員 着替え終わったな? さてとおっ始めますか!
残った野郎共は分かっているだろうな? 俺について来てさっさとお仕事済ませて帰るとしましょ! 散っ!!」
そんな言葉を残し、長沙の街を足早に駆け抜けていった
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●『真・恋姫†無双 − 真月譚・魏志倭人伝 −』を執筆中
※本作品は【お気に入り登録者様限定】【きまぐれ更新】となっておりますので、ご注意を
人物設定などのサンプル、詳細を http://www.tinami.com/view/604916 にて用意致しております
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お手数をおかけ致しまして申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします<(_ _)>
■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン)
春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し
『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた
優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた
容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である
祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか
○張紘 子綱 真名は紅(コウ)
呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程c(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる
張昭と共に『江東の二張』と称される賢人
※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。
呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です
容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである
髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが
その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである
服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている
○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)
普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う
発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する
このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される
※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです
容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている
背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている
○張昭 子布 真名は王林(オウリン)
呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる
張紘と共に『江東の二張』と称される賢人
妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか
容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである
眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から
姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている
○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)
緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名
祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする
部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている
真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・
容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている
均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである
○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ)
荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると
知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる
以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま
呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている
容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女
(背丈は朱里や雛里と同じくらい) 真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます
○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族
槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人
部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす
容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ
胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている
○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)
弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人
『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが
一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で徐々に頭角を現し
後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる
容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである
二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える
○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)
朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される
その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される
天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為
未熟であった一刀の補佐にと転属させられる
初期には転属させられた事に不満であったが、一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に((蟠|わだかま))りも消え
一刀に絶大な信頼を寄せるようになる
後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している
容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである
服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・
と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)
○太史慈 子義 真名を桜(サクラ)
能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者 桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し
騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)
本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という
両者の良い処をとった万能型である
武器:弓 不惜身命
特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く
隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった
容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子
眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める
一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる
真剣に話している時にはござる口調であるが、時折噛んだりして、ごじゃる口調が混ざるようである
一時期噛む頻度が多く、話すのを控えてしまったのを不憫に思った為
仲間内で口調を指摘したり笑ったりする者は、自然といなくなったようである
○高順
「陥陣営」の異名をもつ無口で実直、百戦錬磨の青年
以前は恋の副将であったのだが、恋の虎牢関撤退の折、霞との友誼、命を慮って副将の高順を霞に付けた
高順は恋の言いつけを堅く守り続け、以後昇進の話も全て断り、その生涯を通し霞の副将格に拘り続けた
○馬騰 寿成 真名を翡翠(ヒスイ)
緋蓮と因縁浅からぬ仲 それもその筈で過去に韓遂の乱で応援に駆けつけた呉公に一目惚れし
緋蓮から奪おうと迫り殺りあった経緯がある
この時、緋蓮は韓遂の傭兵だった華雄にも、何度と絡まれる因縁もオマケで洩れなくついて回ることとなるのだが・・・
正直な処、緋蓮としては馬騰との事が気がかりで、ムシャクシャした気持ちを華雄を散々に打ちのめして
気分を晴らしていた経緯もあったのだが・・・当の本人は、当時の気持ちをすっかり忘れてしまっているが
この事情を孫呉の皆が仮に知っていたのならば、きっと華雄に絡まれる緋蓮の事を自業自得と言いきったことだろう・・・
○孫紹 伯畿 真名を偲蓮(しれん
一刀と雪蓮の間に生まれた長女で、真名の由来は、心を強く持つ=折れない心という意味あいを持つ『偲』
”人”を”思”いやる心を常に持ち続けて欲しい、持つ大人へと成長して欲しいと2人が強く願い名付けられた
また、偲という漢字には、1に倦まず休まず努力すること、2に賢い、思慮深い、才知があるという意味もある
緋蓮、珊瑚、狼をお供に従え?呉中を旅した各地で、大陸版・水戸黄門ならぬ
”偲”が変じて”江東の獅子姫様”と呼ばれる
○青(アオ)
白蓮から譲り受けた青鹿毛の牝馬の名前
白蓮から譲られる前から非常に気位が高いので、一刀以外の騎乗を誰1人として認めない
他人が乗ろうとしたりすれば、容赦なく暴れ振り落とすし蹴飛ばす、手綱を引っ張ろうとも梃子でも動かない
食事ですら・・・一刀が用意したモノでないと、いつまで経っても食事をしようとすらしないほどの一刀好き
雪蓮とは馬と人という種族を超え、一刀を巡るライバル同士の関係にある模様
○狼(ラン)
珊瑚の相棒の狼 銀色の毛並みと狼と思えぬ大きな体躯であるが
子供が大好きでお腹を見せたり乗せたりする狼犬と化す
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【あとがき】
常連の読者の皆様、お初の皆様 こんばんは 雪月でございます
いつも大変お世話になっております
文章にも書き起しましたが、物語で初となります弓同士の一騎討ちの模様をお送り致しました
また一騎討ちの途中で桜→祭へと相手が入れ替わるという一粒で二度美味しい?
それとも内容薄くなったじゃないかと感じられる方もいらっしゃるのでしょうか?
物語のきりの良い所を選ぶと、自然と文章が長くなってしまうというジレンマもまたございますが
皆様はいかがお感じになられましたでしょうか?
話の最後にですが、引っ掻き回す人を登場させました
オリ男キャラで真名なんてございませんがががが・・・(滝汗
どんな人物なのか?につきましては、当分明かす人物ではなかったりします
物語の進行上、他勢力の動向も描きますので、明かすのが遅れるという意味でですが・・・
そして最後になりますが、長沙城包囲戦につきましては
次週更新時か後2回(次週決着→その後)みたいな感じでケリをつけたいと思っております
長沙城包囲戦の次に関しては・・・まだ秘密って事にしておきます
毎回思いますが、戦いの同時進行を描くのは難しいと感じますね
少しでも皆様に緊張感溢れる戦いを感じて、再度読みたいと感じて頂けたら幸いです
久々に短く纏める事ができたと思います うんうん(自画自賛
これからも、皆様の忌憚のない御意見・御感想、ご要望、なんでしたらご批判でも!と何でも結構です
今後の制作の糧にすべく、コメント等で皆様のご意見を是非ともお聞かせ下さいませ
それでは次回更新まで(*´∇`)ノシ マタネ〜♪
説明 | ||
常連の皆様&お初の方もこんばんは いつもお世話になっております この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております 主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております ※猶、一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を! ※オリキャラ紹介は本文下記参照のこと 孫呉の長沙城攻略作戦とは!? 長沙城攻略の糸口を、一刀達孫呉勢はその手に掴む事ができるのであろうか!? 防衛側の黄忠を始めとする劉表陣営は 攻め手の孫呉に対して、窮鼠猫を噛むということわざにもある通り、頑強な抵抗を示す事が出来たのだろうか!? 長沙城包囲戦の火蓋が今まさに切って落とされた それでは心の赴くままに・・・ 作品を心行くまでゆるりとご堪能くださいませ どうぞ! |
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コメント | ||
>以後も皆様からのご意見・ご感想・ご批判などなど お気軽にカキコくださいませ またいつもコレクション・ご支援ボタンを押し、コメントカキコしてくださる皆様方 心よりお礼感謝申し上げます<(_ _)> (雪月) >naku様 わざわざの返信ありがとうございます<(_ _)> 私が思いつかなかっただけに質問してみたのですが、困らせるつもりは毛頭無く申し訳ありません<(_ _)> 設定がワイドに拡大され、物語が出来そうな勢いですね(笑 (雪月) >ツナまんさん 大抵この手の輩は平気で人を裏切りそうだな。外道の臭いがするとのコメントなのですが、大当たりですね 下記に記載しています通り、来週外道2(部下2がその片鱗をみせますね この男の正体につきましては追々出しますので、それまで誰なのだろうかと色々とご想像くださいませ(雪月) >下記続き 確かに戦ですので人の生死を描かれて当然であり、そこにドラマがあると指摘されればその通りでしょう ただこの物語で私は孫堅さん、雪蓮がもし生きてこの恋姫の世界を謳歌していたならと、想像して外史を創りましたので、恐らくそのご希望には副う事は出来そうにもありません 本当に申し訳ありません<(_ _)>(雪月) >禁玉⇒金球様 巨大おっぱい三つ巴対戦 脳汁垂らしながらお楽しみ戴けましたようで何よりでございます(。・ω・。)ムフフ メインの将の殺害に関してですが、恋姫本編で雪蓮が冥琳が亡くなっておりますので、現状殺すことは考えておりません(雪月) >下記続き 本来距離的にmではなく『間』を単位として使うべき所なのですが、550間ではちょっと凄さが伝わりにくいだろうと考慮し、キリの良い1000m表記にした次第です 祭さんや桜、紫苑さんの凄さを認識してもらう良い機会だったと、皆様のコメントを見て再確認しました次第です 皆様カキコありがとうございました(雪月) >下記続き トルコ弓での最大飛距離が600mほどだそうです ただ現代の素材を使えば、1000m以上は出せるそうなので、最後のその文章を参考にして、祭さん・紫苑さん・桜の舞台設定としました 1000mあれば、相手が城壁の上だろうと届くだろうという、安直な考えからだったりします(笑 (雪月) >観珪様、qisheng様、九条さんもほぼ同じご感想のようですので、まとめて返答させて戴きますね 先ず始めにこの度の話を作る前に、にネットで簡単に調べました所、弓道で使われる的までの距離は60mほど 那須与一さんで70m強の扇の的を当てたと言われているそうで(雪月) >西湘カモメ様 ふむふむ そうきましたか 来週分はすでにカキコしてますので、予想通りとなりましたのか その目でお確かめくださいませ 紫苑さんにつきましては・・・嫁?仲間?それとも?(結局解答なしってぉぃ(雪月) >下記続き 分りにくい文章だったのかもしれません 誤解を招いたようで申し訳ありませんでした<(_ _)> のちほど表記を直してみますね(雪月) >アルヤ様 ちょっと表記がまずかったかもしれませんね ご説明いたしますと長沙の街の防衛にと残されていた、孫呉の者達の成れの果ての姿=屍から、鎧を剥ぎ取り身に着けていったという感じの文章でございました なので、もしこの者達を味方と仮定しますと、味方殺しの上、鎧まで強奪という事に。。。(滝汗(雪月) >飛鷲様 ですね アニメ版劉備(♂)は強盗殺人未遂&詐欺師ですからねぇ 最後に出てきた男が1として、来週はその部下2が出てくる予定です お楽しみ・・・ではないですよね(滝汗(雪月) >naku様 ジャイ春、のび命、スネ誰だ(ぇ 楽しい表記ありがとうございます 反論?ないですね ごもっともでございます<(_ _)>(雪月) >naku様、飛鷲様、アルヤ様、西湘カモメ様、観珪様、禁玉⇒金球様、qisheng様、九条さん、ツナまんさん 皆様からの多くのコメントカキコ、誠に嬉しく感極まっております 本当にありがとうございます<(_ _)>(雪月) 最後に出てきた奴・・・大抵この手の輩は平気で人を裏切りそうだな。外道の臭いがする。(ツナまん) 現行の人物よりも10倍以上の世界かあ。まあ素手で壁を破壊する方もいるしあり得るのか……?w(九条) 弓で1キロを軽くとか さすが恋姫の世界としかいいようがない、、(qisheng) 熟女対決は良い加えて巨大おっぱい三対の乱舞が堪らない。黄忠を討ち殺ったら心底面白そうと真剣に考えました、兵は殺し殺される将も然り。黄忠のという”将軍の娘に現実を突き付けて悦に浸りたい。(禁玉⇒金球) 弓で飛距離1,000mとか、やっぱり常識外の実力者だったww(神余 雛) ↓「長沙の街の防衛にと残されていた孫呉の者達の成れの果て」ってのは鎧を奪った連中では?(アルヤ) ↓↓孫呉兵を殺ってるから敵は確定。(飛鷲) 最後に出てきた連中は蔡瑁の手下だろうけど、どうせ上手くいくわけ無い。全滅確定だな。 紫苑さんも一刀の嫁になるのか?(西湘カモメ) 最後の連中は味方だった!に一票(アルヤ) 最後にアニメ版劉備(♂)みたいなろくでもない奴らが出てきたな…。(飛鷲) |
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