ガールズ&パンツァー nazi zombie army V2製造工場は人間精肉工場です!
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暗くて狭い地下通路を松明に灯した明かりを頼りに進む中、最後列を歩く麻子はずっと震えながら歩いていた。

 

「麻子ったら・・・もう高校卒業なのに・・・」

 

18歳になっても未だに克服できない麻子に、沙織は苦言を漏らした。

麻子が閉所恐怖症なら、戦車などには決して乗れない

 

「明かり・・・?着いたぞ」

 

先行していた陽炎が、今一行が進んでいるこの狭い通路の出口を見付けた。

みほ達の先を行く者達は、明かりのある場所へと向かっていく。

出口の前で、明かりが灯っている場所を見渡すと、そこは重戦車クラスでも十分に通行可能な広さと高さを持ち、布で覆われた機関車が止まった地面に二本のレールがある地下トンネルであった。

無論、ここも生ける死者達の手が伸びており、ゾンビの雄叫びがトンネルを反響して聞こえてくる。

それを耳に入れたみほは小さく悲鳴を上げる。

 

「ヒャ・・・!」

 

「ここにも生ける屍の魔の手が・・・全員装備を((確認|チェック))しろ」

 

周囲を見回すカールの指示に一同は従い、それぞれの装備を確認する。

戦車無しのみほ達は、ガス欠の戦車から持ってきた装備を身に付け始める。

 

「重い・・・まるで75o戦車砲の砲弾を抱えてるみたい・・・」

 

戦車長であるみほは、MP40、ルガーP08、パンツァーファウスト一本を持っている。

予備の弾薬も出来る限り持っており、着ているドイツ戦車兵の制服の所為か、眼帯さえあれば、上層部に戦車を取り上げられて戦車猟兵をやらされたドイツ国防軍陸軍の戦車中隊の中隊長を思い浮かばせる。

みほの装備を見た優花里はその中隊長のことを言った。

 

「西住殿〜!まるでバウアー大尉殿ですぅ!持っているのがStg44ならば!」

 

「え、そうなの・・・?」

 

この問いに苦笑いをしながら返した。

ちなみにみほは、優花里の自宅でその某WW2物の戦記劇画数ページ程読んだ程度である。

話し掛けてきた優花里の装備はドイツ軍の携帯式M41火炎放射器とワルサーP38だ。

並の少女が火炎放射器を背負うと、重さでひっくり返りそうだが、優花里は重い砲弾を抱えたまま踏ん張ることが出来るので携帯できた。

 

「バババババン!決まってるかな?」

 

ドイツ軍の急造短機関銃MP3008を撃つ振りをする沙織の装備は今持っているMP3008とワルサーPPk、それにM39卵型手榴弾が4つ。

当然ながら、MP3008は急造兵器なので、お世辞にも命中精度は高いとは言えない。

後程kar98kを持たされる。

 

「決まっていると思いますよ?」

 

沙織の問いに答えた華の装備はkar98kとモーゼルM712、M24柄付手榴弾4本。

見るからにかなりの重量がある。

 

「重い・・・」

 

装備の重さに少し苦言を漏らした麻子の装備は、急造自動小銃VG−45にウェンチェスターM1912散弾銃、ワルサーPPk。

小柄な麻子に対してかなりの重量のある装備だ。

最後に言い忘れていたマリとルリの装備は、マリの方がみほ達に渡されたStg44、狙撃仕様kar98k、ワルサーPP。

ルリの方は事前に持っていたMP40、ワルサーPPk、パンツァーファウスト二本。

ベルリンで持っていたMG42とM1919A4は紛失した。

余り対したことではないが、インニェヤルドが持っている武器がFG42に変わっている。

 

「よし、これで準備は整ったな?行くぞ!」

 

各々準備を整えたところで、先へと進むこととなった。

まず始めに遭遇したのは、ソ連兵の屍を貪り食うゾンビだ。

肉を食うのに忙しくて、こちらの存在には全く気付いてない。

華が手に持つ小銃をこちらに背を向けた血塗れなドイツ海軍水兵の服を着たゾンビに狙いを付け、引き金を引いた。

銃弾はゾンビの頭部と額を貫通し、被っているヘルメットが吹き飛ぶ。

これを見たカールは華の射撃センスを褒めた。

 

「凄いじゃないか。何処で小銃の扱いを習った?」

 

「え?サンキュー・・・?」

 

最後の部分が聞き取れなかったらしく、取り敢えず礼は言っておく。

少し前進すると、銃声に気付いた複数のゾンビ達が一行に襲い掛かってきた。

地面からもボロボロなドイツ全軍の制服を纏ったゾンビの何体かが這い出てくる。

直ぐさま手に持つ銃や近接用武器などで倒していく。

 

「ちょっ、いっぱい出て来た!」

 

「と、取り敢えず迎撃しましょう!」

 

「うぅ・・・怖い・・・!」

 

麻子が震えながら急造自動小銃を構える中、みほ達も迎撃に加わった。

案の定、沙織が持つ急造短機関銃は命中精度が悪すぎ、前に出ていた浩二郎を誤射しかけた為、ボニファーツから近くで死んでいた迷彩服を着たドイツ兵が持っていたkar98kを弾薬と共に持たされた。

沙織は難の不満も無しに、赤面しながら受け取る。

向かってきたゾンビを撃ち倒しながら進んでいくと、何かの機械らしき物が見えてきた。

それを見たカールは思い出したかのように口走る。

 

「そうか!ここはV2製造工場だ!」

 

「なに、V2製造工場だと!?」

 

「あぁ、電気も付いてパイプからガスが漏れている!まだこの工場は生きてるぞ!」

 

ヒゲが聞いてくれば、カールはそれに答え、ここV2製造工場はまだ稼働の状態と言った。

パイプからガスが漏れていると聞いて、火炎放射器を持つ優花里は少し不安になる。

天井に付けられた拡声器から、生存者の声が聞こえてくる。

 

『銃声?助けか?なら早くこちらを助けに来てくれ!』

 

用件だけ伝えて、向こう側の人物は拡声器を切ってしまった。

ゾンビを倒しながら二階に上がって、道なりを進んでいく。

みほ達が銃を撃っても急所は外れ、怯ませる程度であったが、近接戦闘組が倒してくれた。

途中で狭い通路から複数のゾンビが来たので、火炎放射器を背負った優花里がショウグンの目に止まった。

 

「よし、ガスは臭ってこない。腐った死体の臭いだけだ。お前、火炎放射器でやれ」

 

「え?ちょっと、待って・・・」

 

急に訳も分からず狭い通路の出入り口に立たされた優花里は少し困惑した。

ゾンビの呻き声や、それらが発する訳の分からない言葉が耳に入ってくる。

 

「☆●○◇▽#・・・」

 

安全装置を外して優花里は火炎放射の砲口をゾンビの影に向け、引き金に指を掛けた。

 

「ひ、ひぃ・・・」

 

歯を鳴らしながら震え、ズボンの染みが広がっている。

ゾンビが優花里の視線に入ってくると、彼女は迷い無く引き金を引いた。

勢いよく炎が放射され、視界に入った空軍の警備兵の制服を着たゾンビが燃え上がる。

後続のゾンビも火炎放射を受けているが、死を恐れずただ目に付けた相手を殺すことか喰うことしか頭に無い為、そのまま他のゾンビと共に燃え移る。

燃やされているにも関わらず、死を恐れずに向かってくるゾンビに優花里は恐怖した。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

このままではパニックって自分達まで燃やされる為、カールは火炎放射の引き金を優花里の指を弾き、ツェーザルに排除させた。

全て排除したので、狭い通路の先を進んだ。

みほ達に抱えられていた優花里は、何か良からぬ物に覚めたようだ・・・

 

「燃やしていると、何か奇妙な快楽が・・・」

 

それを耳にしたみほ達は何が何だか分からなかったが、一行の後へと進んだ。

出た先は大型のゲートに入り口が閉ざされた場所だ。

恐らく大型ゲート開閉は右手の制御室でするらしく、早速一同はそこへと向かう。

やはりそこにもゾンビが居り、近接戦闘組に一瞬で倒される。

これを見ていたみほ達は「自分達が必要ないのではないか?」と思ってしまう。

 

「先へ進める場所がないな・・・」

 

制御室を見回しても、ゲートの向こう側へ行ける場所がない。

そう困っている一行に、拡声器から声が聞こえてきた。

 

『お前等、どうやら制御室に居るようだな?電機は生きてるから多分開くだろう。開けて早くこちらに来てくれ。それとゲートが開いた瞬間には銃を向けておくんだぞ』

 

拡声器から声が聞こえなくなると、最期の言葉に疑問を抱いたが、カールは言われたとおり、大型ゲートが開いた。

開いた瞬間、ゲートの先が不気味な霧で見えないくらいまで漂い、そこから大多数のゾンビが入ってきた。

 

「全員迎撃準備!!」

 

入ってくる大多数のゾンビを見たボニファーツは叫んだ。

その次に拡声器からあの男の声がまた聞こえてくる。

 

『殺しまくれ!!』

 

入ってきたゾンビの数は多かったが、弾薬補充を済ませた一行は的確に倒していく。

近接戦闘組は、撃ち漏らしたゾンビを片付ける。

第一派を全滅させると、自爆ゾンビがセットになった第二波がやって来た。

自爆ゾンビを先に撃ち殺し、周囲のゾンビを纏めて爆風に巻き込む。

第二波を全滅させた一行は、霧が晴れた向こう側へと向かったが、機関車が脱線して横転しており、さらに火災が起こっている為、前には進めない。

 

「放水器でもありゃ・・・?」

 

奈子が木刀を抱えながら火災している場所を見ていると、そこから多数のガイコツが襲い掛かってきた。

優花里が前に出て、ガイコツ等に向けて火炎放射を放った。

 

「ヒヤッホォォォウ!汚物は消毒だぜェェェ!!」

 

想像できない台詞を吐いた優花里に、麻子を除くみほ達は、初めて戦車に乗って興奮する彼女のことを思い出した。

炎はガイコツを全て呑み込み、バラバラにしていった。

倒れていた無惨な死体にも引火して、死体が燃え始め、凄まじい悪臭が鼻に来る。

 

「うっ、この臭いは・・・うぇぇぇ!」

 

余りにも慣れない悪臭に麻子はその場で嘔吐した。

優花里は奈子に頭を叩かれて、テンションが元に戻った。

先へと進むと、上半身が無く、骨と内臓が見えるくらい損傷の酷い死体と誰が誰だか分からないほど食い荒らされた死体がみほ達の目に入った。

間近、しかも生で凄まじく損壊の死体を見た為、麻子と同等その場で吐き始める。

 

「こんなの見たこと、おえぇぇぇ・・・!」

 

「だ、駄目・・・もう・・・うげぇぇ・・・」

 

「余りにも酷すぎて・・・ガハッ・・・!」

 

「もう、我慢・・・ぶはっ!」

 

麻子は吐くことが無かったが、取り敢えず早くセーフハウスに入り、横になった。

軍人ではない者達は慣れていたのか吐かなかったが、見ないようにする素振りを見せていた。

マリとルリに背中をさすられながら、みほ達はなんとか立ち直った。

 

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弾薬補充と軽い食事を済ませると、少し休憩してからセーフハウスを出た。

また狭い通路を抜けると、三つに分解したV2ロケットが目に入った。

 

「あれは・・・」

 

「V2ロケット・・・!」

 

優花里がワルサーP38を持ちながら言うと、沙織がV2ロケットについて聞いてきた。

 

「ねぇ、あのロケットみたいなのがV2ロケットって言うの?」

 

「はい、V2ロケットはナチス・ドイツが報復兵器として開発した弾道兵器です。あれはまだ組み立て段階ですが、恐らく燃料は・・・」

 

V2ロケットを見ながら優花里が説明を終える前に、ジェットエンジンが火を噴き、近くでジェットエンジンを叩いていたゾンビが吹き飛ばされた。

 

「燃料が入れっぱなしのようです・・・」

 

勢いよく噴出するジェットエンジンを見た華はそれを口にした。

その場にいたゾンビを排除した後、一行はさらに先へと進んだ。

安全そうな道へと進んだが、瓦礫で防がれている為、きっとゾンビが待ち受けていそうな大型ゲートの方へと向かう。

手動で開くなどせず、右手の開閉スイッチを押しに行くしか無かった。

クレマンが押しに行き、何の躊躇いも無しに押した。

普段陽気な音楽が掛かってきたが、こんな状況では不気味以外何物でもない。

全員がゲートに向けて銃を構えていた。

もちろんこの際は銃が撃つのが下手なんて関係ないので、近接武器組にも銃を持たせている。

今鳴り響いている音楽に、みほ達は不安でいっぱいだった。

 

「この音楽・・・怖い・・・」

 

「い、今の状況で、な、流す物ではないな・・・」

 

みほがMP40を持つ手を振るわせながら言った後、麻子が尋常じゃないくらいに震えながら口を動かす。

 

「早く切れてくれないかな・・・!」

 

身震いしながら沙織が言うと、優花里と華もそれに便乗する。

 

「私も・・・そう思います・・・」

 

「こんな状況で聞きたくありません・・・」

 

言い終えた後、ゲートが完全に開き、大多数のゾンビがこちらに向かってきた。

その瞬間、一斉に銃声が鳴り響く。

向かってきたゾンビはバタバタと倒れていき、呆気なく全滅した。

直ぐに前へと進むと、ガイコツが燃え盛る炎の中からやって来る。

手早く軍人組と銃組が仕留め、右手からくるゾンビの大群に備える。

一行の後ろから一体のゾンビが襲ってきたが、あえなく玖美子の木刀で頭を強打され、地面に倒れ込む。

右手からやって来る大群は一行が放つ弾幕で次々と霧で見えないくらいの堅い床に倒れていった。

全てのゾンビを倒すと、一同は弾倉の交換を始め、準備を満タンにする。

 

「銃弾は持つかな・・・?」

 

玖美子がM3A1グリーズガンの弾倉の本数を見ながら呟いた。

先へと進むと、自爆ゾンビがこちらに向けて突っ込んできた。

直ぐにカールを含む狙撃銃を持つ者達があっさりと排除したが、突然出て来た自爆ゾンビの爆発にマリとルリが巻き込まれた。

 

「だ、大丈夫か!?」

 

陽炎が二人に近付いて様子を見たが、マリとルリは無事だった。

だが、二人が着ている衣服は爆風の衝撃で焼き飛び、大事な部分は下着で隠れている物の、その下着自体が露わに露出していた。

マリの場合は所々破れた箇所から右肩、胸元、腹、左太腿が完全に露わとなり、胸元に付けているブラから豊満なバストとかなり肉付きの良い太腿が見え、妖艶な下着と血色の良い白い肌が露わになる。

ルリの方はマリと同等血色の良い肌が一同の目の前で露わになっており、愛らしい下着も見えてしまっている。

 

『み、見(るなぁー!)ないで〜!』

 

「どわっ!?」

 

二人に蹴り飛ばされる陽炎を見て、少し一行は癒された。

かなり衣服がボロボロの状態である為、マリとルリは男性組と距離を置き、みほ達に近付く。

少しみほ達は二人の切れた布から見える肌に見取れてしまう。

 

「ちょっと・・・ヤバイくらいに綺麗じゃないの。何を食べたらあんなに・・・」

 

「私には分かりませんわ・・・」

 

そのまま先へ進んでいくと、カール達にこっちへ入るなと言われ、別の道へと進むことになった。

やはり進んだ方にもゾンビは居たが、殆どはカール達の方へ向かっているのか、楽に倒せることが出来た。

カール達と合流した場所は狭い通路だ。

先行して陽炎が先に行くと、突然飛び出してきたゾンビの攻撃を受け、ゾンビが持っていたバールを左肩に突き刺され、負傷した。

 

「クソッ!」

 

ボニファーツが直ぐにワルサーP38をガンホルスターから引き抜き、陽炎を襲っていたゾンビの頭を撃ち抜き、彼を救出して、止血剤を取り出して、応急処置を始める。

 

「負傷者が!この先で治療する。誰か先行しろ」

 

インニェヤルドがカールの指示に頷き、先に奥の部屋へと先行する。

銃声が聞こえ、みほ達も負傷した陽炎と共に部屋に入ってみると、インニェヤルドの前にゾンビの死体が転がっていた。

 

「はい、そこでじっとしてね・・・」

 

負傷した陽炎にリンダは手を翳し、掌に魔力を込める。

部屋にある機材から、放送室と分かるが、先程一行に拡声器で喋りかけていた人物は何処にも見当たらない。

先程のゾンビに喰われるか成ってしまうか、ここから逃げ出したかである。

 

「あの拡声器の男は何処にも居ないか・・・タケベとか言ったか、無線機を押せ」

 

「?押せって言われてるのかな・・・?」

 

リンダの医療魔法による陽炎の処置が行われる中、沙織はインニェヤルドの指示通り、無線機に近付き、何処か適当な場所に救難信号を発送した。

次の瞬間、ゾンビの呻き声が一行の耳に入り、部屋の外から銃声が聞こえてきた。

 

「食らえ、ゾンビ共っ!」

 

イサイが、皿形弾倉が特徴であるDP28軽機関銃を乱射しまくっている。

キースとホレイシオは正確に頭を撃ち抜いているにも関わらず、イサイは腕や足、胴体に当たっているだけだ。

それでも何体かは二回ほど殺して死体に戻している。

その頃には加わったカール達の追加攻撃でゾンビも全滅し、陽炎の治療も終わっていた。

一行は急いでセーフハウスがある場所へと向かう。

左右を燃え盛る炎で防がれた燃料貯蔵貨車がある場所で、複数のガイコツに襲われた。

直ぐ迎撃態勢を取り、近付いてくるガイコツの心臓を狙い、順次に片付けていく。

 

「西住殿、危ない!」

 

優花里が叫んだ方向を見ると、後ろからガイコツが引っ掻こうと飛び上がってきた。

反撃するにも間に合わず「このまま自分は」と思った瞬間、ガイコツが槍のような物を心臓に受け、バラバラになった。

槍が飛んできた方向を見ると、そこにマルゴットが居た。

助けて貰った礼を直ぐに言う。

 

「助けてくれてありがとうございます・・・」

 

「取り敢えず、後で良いから先に片付けましょう」

 

マルゴットの言うとおりみほはガイコツの殲滅に従事した。

ガイコツを殲滅させれば、ゾンビがまた複数ほど出て来る。

これをみほ達を除く一同は慣れた手付きでゾンビを瞬く間に排除し、やっとの事でセーフハウスへと辿り着いた。

 

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全員が弾薬の補充を行う中、マリとルリは早速衣服を探し始める。

数秒もすれば、新しい衣服を着た二人が一行の前に姿を現した。

服装はドイツ国防軍陸軍の迷彩服だ。

短い休息を終えると、一行はセーフハウスから出た。

狭い通路を抜けていくと外の光が見え、それと同時に胸をフックに突き刺された死体の影が見えた。

恐る恐る近付いてみれば、ずっとライトを付けている機関車の目の前にある貨車の上におぞましいほど引き裂かれた死体が載せられていた。

頭、腕、足、内臓などが貨車の上で散乱しており、それを見たみほ達はまた吐き始め、今度は軍人ではない者達まで嘔吐する。

 

「無理もない。こんな物を見せられては・・・ぬっ!?」

 

メガネが吐き続けるみほ達を見ながら口を動かした。

だが、機関車の大きな汽笛で中断される。

 

「ゲロを拭くのは後回しだ。全員、迎撃しろ!」

 

蒸気の中からやって来るゾンビに対し、カールはM1A1トンプソンを構え、全員に迎撃態勢を取る様に指示する。

吐いている者達は、口元に付いた嘔吐物を拭き取る間もなく、ゾンビを迎え撃つ。

向かってきたゾンビを全滅させた一行はそのまま外へと出た。

どうやら外の設備はV2ロケットを運び出す為の物らしい。

それぞれのレールの分岐器を変えれる管制塔まで上がれば、複数のスナイパーゾンビとゾンビが襲い掛かってきた。

狙撃銃を持つ者達が対処している間、他の者達はゾンビの迎撃に当たる。

途中、自爆ゾンビも出て来たが、機関銃などの撃ちまくる事によって簡単に倒す事が出来た。

襲ってきたゾンビを全滅させた一行は倉庫の前まで行くと、ドアや貨物列車から続々とゾンビが飛び出してきた。

手慣れた手付きで次々と頭を撃ち抜くか堅い物で殴って倒していき、建物の外階段を上がって、二階から中に入る。

案の定、そこにもゾンビが待ち受けており、取り回しの良い拳銃類などで倒す。

外ではゾンビが徘徊していたが、適当に数体ほど倒してセーフハウスの中へ入った。

先と同じ弾薬補充を終え、先へと進む。

セーフハウスを出ると、待ちかまえていたのは机の上に載せられ、腕と足を引き千切られた死体だった。

流石にもう吐けないのか慣れたのか、みほ達は嘔吐しなかった。

ちなみに優花里はPPsh41を持たされている。

しかし火炎放射器は背負ったままだ。

 

「おい、火炎放射器は使うなよ」

 

ショウグンからの忠告に、優花里は頷いて今持っているドラムマガジンのサブマシンガンを握り締めた。

ドアを強引に開けて入ってくるゾンビを倒し、外が見える場所まで出て来た。

下ではゾンビが複数体ほど彷徨き、向こう側の建物のドアからマシンガンゾンビがドアをぶち破って、手に持つMG42を乱射してくる。

 

「出てこないようにって祈ってたのに!」

 

ナターリヤが狙撃スコープ付きモシン・ナガンM1891/30をマシンガンゾンビの頭に向け、苦言を漏らした。

凄まじい銃撃に晒されたみほ達は、怯えて遮蔽物に身を隠す。

 

「あのでっかいの、戦車で戦ったときより怖くない!?」

 

「戦車は銃弾を通しませんから!」

 

「こ、怖い・・・早く戦車の中に・・・」

 

沙織が頭を抱えながら言えば、優花里がそれに答え、麻子が安全な場所へ隠れたがる。

向かってくるゾンビに向けて、みほはパンツァーファウストの安全装置を外そうとしたが、いつの間にか38式歩兵銃を持っていた浩二郎に止められる。

華の方は先のセーフハウスで手に入れた物か、kar98k専用小銃グレネードを、自分の小銃に取り付けていた。

マシンガンゾンビに向けて小銃用グレネードを放ち、巨体のゾンビに大ダメージを与えた。

腹にダメージを受けたマシンガンゾンビの腹に大きな穴が開き、そこから内臓が飛び出している。

頭を何発か撃たないと倒せないのか、内臓が外に垂らしながらも持っているマシンガンを撃ち続けながら近付いてくる。

内臓が飛び出しながらも向かってくるマシンガンゾンビを見た華は驚き、頬に銃弾が掠って、慌てて遮蔽物に身を隠す。

腹から内臓を出しながらも向かってくるマシンガンゾンビは、ツェーザルのMG34の射撃で何度も頭を撃たれて倒される。

二体目が下に居た為、直ぐにマリとルリが頭部目掛けての攻撃を行い、的確に処理する。

後のゾンビの頭を撃つか殴ったりして全滅させると、スナイパーゾンビが複数現れた。

 

「また狙撃野郎共か!笑うんじゃねぇっ!」

 

セーフハウスで入手した狙撃スコープ付きのSVT−40に持ち替え、屋根という屋根を飛び回るスナイパーゾンビを撃ち始める。

機関銃や狙撃銃を持つ者達もスナイパーゾンビを撃ち始め、素早く脅威を排除した。

向こうに動けそうなトラックを見付けた一行は、下におり、出て来るゾンビを排除しながらそのトラックに近付き、調べる。

 

「燃料がないな・・・別れて調べよう」

 

調べたメガネが、燃料が無いと言い彼の言うとおり別れて燃料を探しに行った。

みほ達は、布で覆い被されている戦車を見付けた為、マリとルリに同行を願って、戦車のある場所へ向かう。

別れた者達からの銃声が聞こえる中、こちら側にもゾンビが襲い掛かってきた。

動けそうな布で被さられている様々な戦闘車両を探す中、W号戦車J型に目を付けた。

J型はW号戦車の最終形態であり、航空機からの攻撃に耐えるために装甲を強化されたが、その所為か砲塔の旋回速度が低下した。

 

「でも、無いよりはマシか・・・」

 

無い物よりはマシなので、途中で拾った燃料が入ってるジェリカンと共に見付けた戦車に近付き、マリとルリに護衛されながらエンジンを掛け、戦車に乗り込もうとした。

だが、最後にみほが向かおうとした瞬間、横から来たゾンビに持っているレンチで頭を叩かれた。

 

「あっ・・・痛い・・・」

 

みほを殴ったゾンビはルリに頭部をナイフで突き刺され、地面に倒れた。

頭から出血しながらも、みほはW号に乗り込んだ。

先に乗り込んで、いつでも発進準備を出来るようにしていた沙織達は、頭から血を流しているみほを見て、心配し始めた。

 

「だ、大丈夫ですか?!西住殿!!」

 

「西住さん、頭から血が・・・!」

 

「ひゃっ!大丈夫なの!?みぽりん!」

 

「早く止血しておけ・・・」

 

優花里や華、沙織を始めとした3人から心配される中、麻子から渡された包帯を手に取り、礼を言ってから頭に巻く。

 

「あ、ありがとう・・・麻子さん。では、行きましょう」

 

再びエンジン音を鳴らし、全員が集合しているであろうトラックの元へ向かった。

集合場所では燃料を入れ終えた者達が待機していた。

 

「もうすぐトラックが動く。それまでに何か来るに違いないから、周囲に地雷でも仕掛け爆弾でも仕掛けて備えておいてくれ」

 

メガネがトラックを動かせるようにする中、一同は取り敢えず無駄に持っている地雷や仕掛け爆弾をゾンビが来そうな場所に仕掛け始めた。

見張り台に上がったナターリヤは、ゾンビの接近に警戒する。

戦車に乗り込んだみほ達も、全員と同じく迎撃態勢を取る。

案の定、メガネが言ったとおり、ゾンビの唸り声が聞こえて、”何か”が来た。

それはゾンビの包囲攻撃であり、突然濃くなった霧の中からゾンビが多数出て来る。

 

「あいつの言ったとおり、やって来たな・・・全員撃ちまくれ!」

 

カールが叫び声で気付き、全員に迎撃態勢を取るよう指示した。

Sマイン等の対人地雷を仕掛けて置いた為、数体纏めて吹き飛び、割と弾薬は節約できた。

大多数のガイコツもやって来たが、心臓を撃ち抜かれて、次々とバラバラになっていく。

まず、第一派は殲滅できた。

直ぐにマシンガンゾンビやガイコツを加えた第二波が来る。

割と地雷は残っており、高い火力を持つ武器や戦車がある為、巨体を持つマシンガンゾンビは楽に倒せた。

 

「砲塔を一時の方向に!」

 

「はい!」

 

「装填完了!」

 

「射うてっ!」

 

ゾンビとガイコツの集団に向けて榴弾が撃ち込まれ、集団は全滅した。

一行を襲ったゾンビ達はあえなく火力の差で全滅する。

 

「よし、これで良いだろう・・・ベルリンへ戻ろう・・・まだ何か見落とした物があるかもしれない」

 

ボルトを引いて空薬莢を排出したカールは、ベルリンへ戻ることを皆に告げた。

一行はカールの言うとおり、トラックに乗り込み、ベルリンへと戻った。

マリとルリを車体の上に乗せたみほ達も、死者の帝都ベルリンに向かうトラックの後へと続いた・・・

 

説明
聖帝軍モヒカン「汚物は、消毒だぁ〜!」

グロ中尉!それと猟奇表現も!
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猟奇 ガールズ&パンツァー スナイパーエリート ゾンビ 戦車  

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