ショタ一刀のお祭巡り(秋蘭編)
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『華琳様の気持ち』

 

サバゲーを制した秋蘭は(ショタ)一刀と共に、祭中の宿泊する部屋に入っていく。

6畳ほどの広さで、正面には1m四方の窓、部屋の右奥には寝台、左中央には机と椅子がある。

 

実家は布団であったため、初めてホテルのベッドを使用したとき、その弾力に驚いたことがある。

ベッドの上で飛び跳ねトランポリンのように楽しんだ経験がある一刀は、

高級そうなベッドを見ると、その上で飛び跳ねたい衝動に駆られてしまうのだ!

 

今回も例外ではなく、見た目高級そうなベッドを目の当たりにしたときから、だんだんと体がうずうず…

ベッドに向かって飛び込みたい衝動を抑えきれず、それに向けて駆け出し、椅子を踏み台に高く飛び上がり、

放物線を描いて、彼の体はベッドに身を沈め…

 

「待て待て。何をやってるか」

 

られなかった。重力の法則により、放物線を描いて下に落ちていこうとする一刀を秋蘭が掴んだからだ。

襟首を掴まれ宙吊りの状態の一刀の顔を自分に向けて何をしようとしたのかを聞こうとする。

 

「えっとね…前にねホテルに行ったときもベッドがあったんだけどね。

 そこのベッドがね、その上でとんだらぼよんぼよんはねて面白かったんだ!!」

「(ベッド、ホテル…天界の言葉だろうな…意味は分からんが、とにかくそのときの感覚からここでもと思ったわけか)

 なるほど…だが、ここのは君がいた場所とは違っていて、飛び跳ねて遊べるほど丈夫ではないのでな。

 もしこの上で飛び跳ねたりしたら壊れてしまうかもしれん。だからやってはならんぞ」

「は〜い」

 

説明に納得はしたものの、楽しみがなくなってしまいかなり残念そうだ。

楽しみにしていたことが出来なくなって残念そうにする…

身近な所では、姉の春蘭が主である華琳の絡まれることを期待し却下されるときがある。

普段はその姉の悲しむ姿を見て萌えていたのだが、今回は自分も、内容は違えど華琳と同じ立場にあるのだ。

ちょっと罪悪感を感じつつも、こういうとき華琳様はこうゆう風に感じているのだなぁと、

残念そうにしている一刀を見て、その姿に萌えながら思ったそうな。

 

「さて、祭はまだ続くが…どこか行きたいところはあるか?」

「ん〜…シュウランおねえちゃんと一緒ならどこでも!!」

「はは…そうか」

 

自分のことを信頼し懐いてくれる一刀のこの言葉に秋蘭は喜んだ。

パンフレットを見せた所で字が読めないので意味は無いのだが…

 

「では、明日のために今日はもう寝ようか」

「うん!…お風呂は入らないの?」

「風呂か…君がいた場所ではそうではないのかもしれないが、ここでは湯は貴重でな。

 明日からは問題なく入れるのだが今日はな…」

「え〜…そうなんだ…」

「我慢できるか?」

「ボクはいいけど…おねえちゃんは大丈夫なの?」

「ん?大丈夫とは?」

「汗かいたでしょ?このままねたらおねえちゃん風邪引いちゃうよ?」

「む…ま〜そうだな。では湯を貰ってくるか…」

「おゆを?」

「ああ、風呂はダメでも体を拭くためのお湯くらいならいいだろう。貰ってくるから大人しくしているのだぞ」

「は〜い♪」

 

ちょこんという効果音が出そうな感じで、一刀は寝台の上に正座する。

素直だなぁと感心しながら秋蘭は退室して、宿の店主にお湯を貰いに行く。

 

お湯を沸かしてもらい、大きめな入れ物に入れて秋蘭は部屋に戻る。

扉を開けて直ぐに目に入ったのは、出てきたときと寸分違わず同じ姿勢で固まっている一刀だった。

 

「……何も動かないでいなくても良かったのだがな。そら、拭いてやるからおいで」

 

正座を崩し、床に足をつけてもう一歩目を踏み出そうとした所で…

突然膝カックンを喰らったかのように足を崩し音を立てて倒れた!

慌てて駆け寄り起して立たせてあげようとした所、

 

「…えっとね…立てないの…」

「……………なに?」

「足がしびれててね立てないの…」

 

どうやら秋蘭が出て行ってから戻ってくるまで…

具体的に言うと、部屋を出てお湯を頼み沸かしてもらい、それを受け取って戻ってくるまでずっと正座していたのだ。

そんだけ正座を続けていれば足が痺れて立てなくなるのは当然だ。

 

春蘭とは違った、萌える馬鹿な行動をみて、なんとも言いがたい衝動が秋蘭に走る。

 

「はは、大丈夫か?」

「うひゃおぅ!?」

「……………」

 

正座して足がしびれた奴の足ってついつい突いて悪戯しちゃいたくなりますよね?

秋蘭も例に漏れず突いてみた所…先ほど走った衝撃が急加速した。

 

ツン「んっ」

 

ツンツン「ふぅあっ」

 

ツンツンツン「うぅああ」

 

しびれる足を突かれて、一刀はたまらず悶える。

その反応、その喘ぎ声に秋蘭はもっとやりたいと思うも、持ってきたばかりのお湯を見て現実に戻ってくる。

 

「フルフル)…さて、気を取り直して…体を拭くか。では服を脱げ」

「う、うん」

 

ボタンをはずして上着を脱ぎ、シャツを脱ぎ、未発達な子供の上半身が露になる。思わずゴクリと息を呑む…

次いでベルトをはずし、ズボンを下ろし、身を包む最後の布地に手を書けたところで、

 

「ん?どうした?」

「……や、優しくしてね///?」

 

どこで仕入れた知識なのかと疑う所だが、それ以上にこの言葉は秋蘭の急所を突いてしまった。

抱きしめたい、撫で回したいという衝動に襲われるも、頭の中で必死に止める。

とりあえずそこまで脱がなくていいと告げて拭こうとにする。が…

 

ジャブジャブゴシゴシ「…っ」

 

ゴシゴシゴシ「っっぅく」

 

ゴシゴシゴシゴシ「っうっあう」

 

体を拭かれるくすぐったさから笑いそうになり、そうしてしまうと洗いづらくなってしまうと思い必死にこらえるだが、

その行動や反応がまた悶えているように見え、秋蘭の興奮は更に高まってしまった。

この様な童子に手を出してしまっては…という理性は、火のついた導火線のごとくすり減っていく。

 

このまま襲ってしまいたいと言う理性の爆発を防ぐべく、秋蘭は拭く速度を速める。

先ほどと比べると二乗の速度で洗うことで、火が爆弾に到達する前に秋蘭は洗い終えることが出来た。

体を拭かれスッキリしたことで一刀の顔は晴れやかだったが、秋蘭は息を荒くして突っ伏していた。

 

気を持ち直して秋蘭は自分も拭こうとするが、ここでちょっと思いつく。どうせなら一刀に洗ってもらおうと…

自分の半分くらいかそれ以下の体の一刀が必死になって自分の姿を洗おうとする仕草…

先ほどまでの煩悩を払ってくれるほどに微笑ましいのだろうなと期待しお願いしてみることに。

 

「うん!洗いっこ〜♪」

 

恥じることなく嬉しそうに自分の体を拭く一刀に、和むことが出来、先ほどまでの苦悩が薄れていった。

 

 

お互い体を拭き終え、寝巻きに着替えて寝ることに。

各武将達にあてがわれた部屋には寝台は1つしかないのでもちろん二人で一緒に。

布団を被り秋蘭の腕を枕にした一刀は、頭をおいてそう経たない内に寝てしまった。

可愛らしいなぁ…と思い頭をなでながら秋蘭も寝入った。

 

こうして、その日は幕を閉じる。この一日、と言うより寝る前にあった一連の行動から、

自分達の主、華琳様の、部下と戯れているときの気持ちを実感した秋蘭であった…

 

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『その子供は…ま、まさか!?』

 

祭の二日目、秋蘭と一刀との二人だけの祭の一日目。

少し早めに起きた秋蘭は、自分の腕を枕にして眠る一刀の子供らしい可愛らしさを感じさせる寝顔を堪能してから、

一刀を起しに掛かった。

軽くゆすりながら声をかけ、一瞬起きるが、

 

「う〜ん…後五分…Zzz」

 

お決まりの寝言を言ってまた直ぐに夢の世界へと旅立ってしまった。

特別予定が入っているわけでもないので、寝かせてやることにする。

 

その間に秋蘭は朝飯の調達に向かう。

ルームサービスなんて電話が無いこの世界にあるわけがない。よって自分で持っていくしかないのだ。

厨房で二人分の朝食を頼んで、出来上がった料理を持って部屋に戻ったところちょうど一刀が目を覚ました。

 

朝食を食べながら、一刀にどこに行きたいか、何をしたいだなどを話して今日の予定を決める。

 

朝食を済ませて、顔を洗って、いざ出発!したのだが…

結論から言うと…予定通りには行かなかった。

何があったかと言うと…

 

宿を出発し、二人仲良く手をつなぎながら街を歩いていく秋蘭と一刀。

最初は予定していた店を回っていく二人であったが…

何件か回るうちに秋蘭は自分達に向けられる住民の視線や、会話の中に自分達の名前が出てきていることに気付く。

敵意や悪意が感じられるわけではないので、別にたいしたことは無いだろうと判断し先へ進む。

 

暫く歩いていると、一刀が道端でうずくまっている老婆に気付く。

優しい心を持っている一刀はその後の予定なんかどうでもいいとばかりに真っ先に老婆に声をかけに行く。

この優しさが天の御遣いとして民に慕われるひとつの要素なのだなと感心する秋蘭であった。

 

「おばあちゃん、どうしたの?」

「おぉ…それがのぅ、家に帰ろうとしとったら人の波に飲まれてのぅ…

 人にぶつかるは押されるは荷物はぶちまけちまうわ、挙句腰をやられてしまってのぅ」

「だいじょうぶ?」

「あぁ…荷物も大丈夫じゃったし、腰のほうも暫く休めば大丈夫じゃろうて」

 

こんな老いぼれを心配してくれるとは優しいなぁ、と感心しつつ、別に大丈夫だというが、

 

「だめだよ。それじゃ帰るのおそくなっちゃうよ?」

「しかしだのぅ…坊やもせっかくのお祭を楽しまにゃ」

「それよりもおばあちゃん!!おねえちゃん、いい?」(涙目+上目遣い

「///っ!ああ、もちろんだ!」

「おぉ…すまないねぇ」

 

秋蘭が老婆を背負い、一刀が荷物を背負って老婆の目的地へと向かう。

住民がその光景を微笑ましく見守る中、3人は目的地に到着。

 

「ありがとうの。ほんにいいお子さんだなぁ」

「ああ。全くだ」

「これならば、将来御遣い様の様ないい男に育つでしょうのぉ」

「ああ、そうd……なに?」

 

どうやらこの老婆、事情を知らないため、ショタ化した一刀のことを、北郷一刀の息子と勘違いしている様子。

 

「あ〜、老婆よ…この子はな…」

「それに母親も優しいお方であらせられるしのぅ。将来も安心じゃわ」

「母親……!?まてっ、私は」

「これからも御遣い様のお子様をよろしくのう」

「待てマテ待て!!だから私は彼の母ではなくてだな」

 

更には秋蘭のことをこの子供の母親、つまりは北郷一刀の妻として認識。

誤解を解こうと頑張るも、こういうときのお約束「わし〜みみがとおくてのぅ…」発動!

秋蘭の言葉を無意識のうちに無視して、一刀と秋蘭に礼を言いながら老婆は家に入って行き、

その扉が閉められる…

 

誤解を解けなくてどうしようかと悩むが、相手は年寄り、この日はもう出かけることは無いだろう。

だから、これ以上広まることも無いだろうと考えてこの場を去ることに。

 

…が、その考えは甘かった。

秋蘭はお年寄の縁側ネットワークを甘く見ていた。

お年寄り通しの会話により、【妻:秋蘭、子供:北郷一刀に良く似た男の子】説はご近所に瞬く間に広まる。

それに加えて、秋蘭と一刀の様子を見ていた住民にも老婆との(一方的な)会話が聞かれていた。

住民は、昨日ショタ一刀が何人かの武将達と一緒に祭を回っている光景を目撃しているので、

あの中の誰かがショタ一刀の母親、つまりは天の御遣い様の伴侶で、他の武将は彼女らに付き添っているのだと考えていた。

そして今日、秋蘭と一刀が二人だけで祭を回っている光景を目撃したことで、この説は町中に広まっていった。

 

ここに来てようやく自分に向けられていた視線の意味を知った秋蘭は行く先々でその誤解を解いて回っていく。

 

こうして、誤解を解いて回るうちに日が暮れてしまった。

我が子を持つことを楽しみにしてはいるが、夫もいないのに子持ちになるのは抵抗がある秋蘭だった…

 

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『たとえ姉であろうとも…』

 

祭二日目の夜、秋蘭と一刀はとある施設に訪れていた。その施設とは…銭湯。

お湯が貴重であるため、毎日入浴できないからこそ、どうしても入浴したいと思ってしまう。

その思いをかなえるべく、一刀は真桜と協力して(以下略

そして完成したのが銭湯!

といっても、運営費は結構掛かるので夜にしか開かないが…

 

ともかく、入れる風呂があるのに、それに入らないのはもったいない。

と言うことで、秋蘭は一刀を連れて銭湯に来た。

 

番台に二人分の料金を払い脱衣所へ。

男女別になっているが、童子幼女は保護者についていくことを許されている。

一刀はというと…秋蘭と手をつないで女子脱衣所のほうへ!

そこには男性にとってのパラダイスが!…ま〜今の一刀は子供なので特別なことは無いんだが…

 

ガラガラと音を立てて浴室の扉を開けると、既に何人かの客が体を洗ったり湯に浸かっていた。

自分達も体を洗おうと思うが、椅子は満杯で空いているところは見当たらない。

が、その中で秋蘭は見慣れたストレートロングヘアーを見つける。姉の春蘭だ。

 

「あ、シュンランおねえちゃんだ!」

「ん?おお、秋蘭に一刀ではないか」

「ああ。姉者も来ていたか」

「勿論だ!風呂に入れると言われているのに入らないなどそんなもったいないこと出来るか!」

「そうだな」

 

言いながら春蘭は体全体を洗っていき、これならそんなに時間が経たない内にあくだろうと考え待つことに。

その間先ほど見たシャワー(真桜に以下略)にでも行こうとしたところ、春蘭の前においてあるある入れ物が目に入る。

 

「姉者、その入れ物は何だ?見たところ同じような入れ物を持っているものが大勢いるようだが」

「ん?あぁ、これか。これはしゃんぷぅという代物だ」

「しゃんぷぅ?」

「ああ。北郷が薬師と協力して作った、入浴のときに髪を洗うためのものだそうだ」

「ほおぅ」

「僅かな量で髪全体を泡で覆いつくせるほどに泡立せることができるのだ!髪に香りもつけることも出来るしな」

「それは便利だな。して、余っているのか」

 

女性の命とも言える髪をそれほどまでに綺麗にすることができると知り秋蘭も使ってみたくなる。

が、

 

「…あ〜…すまぬ、先ほどほとんど使ってしまったのだ…|||」

「……何故だ?容器を見たところ使い切るにはかなり使わなければならないと思うが…」

「あ〜…使ってみたら予想以上のものだったからな。つい…」

「…そうか。それはどこで手に入るのだ?」

「ああ。入り口に見張りの女がいただろ。あの者が売っているぞ」

「そうか。では買って来ることにしよう」

 

そして入り口に戻ろうとする。一刀には待ってってもらうことに…

 

 

シャンプーはかなり人気であった(特に女性に)。5、6人くらい並ばされてやっと購入できた。

思った以上に時間が掛かったので、秋蘭は急いで一刀の元に駆けつける。

 

扉を開けて早歩きで先ほど姉、春蘭がいたところに向かう。

そこで見たのは、春蘭が一刀の髪を洗っているところだった…

 

ふざけているのかそうでないのかは分からないが、一刀の頭にはアフロの様な泡が出来ていた。

それを成したのは春蘭。彼女の表情は楽しそうであり嬉しそうであった。

 

普段ならば姉が喜んでいる所を見て自分も喜んでいる所だが、今回は違う…

 

本当ならば、今姉がいる位置にいるのは自分のはずだ。

なのに、少しはずしている間にそれは横取りされてしまった…

 

「ア・ネ・ジャ」

「ん?なんだ秋らっ!?」

 

振り返り自分の妹秋蘭を見た春蘭は恐怖で固まってしまった…

 

そこにいたのは、秋蘭であった秋蘭でない何か…

 

その目は円と呼べるほどに大きく開かれ、しかしその瞳に色は無く虚ろである…

 

その口は普段はあまり大きく開けずにしているそれが、裂けんばかりに開かれた笑みを浮かべ…

 

その手に持つ手ぬぐいは、何故か不気味に光る処刑刀に見えてしまう幻が…

 

ヤンデレの笑みを浮かべる秋蘭に、これまで感じたことの無い恐怖を春蘭は感じた!

 

「私がしゃんぷぅを入手しに行っている間に…な・に・を・し・て・い・る・の・だ?」

「ああああああのだな、しししし秋蘭がいない間、かかかか一刀が暇そうにしていたのででだだな」

「そうかそうか…どぅえ?」

「わわわわずかだがしゃんぷぅがあまっていたのででだだだな…かかか髪を洗ってやろうt」

「あぁそうか…では後は私がやるからもういいぞ

 (いくら姉者であろうと…私の楽しみを奪うなど許さぬ、とっとと去ね!:副声)」

「じじじじじじじじじゃぁな!!」

 

その恐怖から、秋蘭の心の命令に逆らうことが出来ず、春蘭は逃げるように風呂場を後にする。

その瞬間、秋蘭の表情は穏やかなものへと戻っていった。

 

「おねえちゃ〜ん、前が見えないよぅ」

「ああ、すまんな。今流してやろう」

「あれ?シュンランおねえちゃんは?」

「姉者は用事を思い出したようでな。後は私がやろう」

「は〜い」

 

幸いなことに、一刀はアフロの泡により視界がふさがっていたため、

ヤンデレの笑みを浮かべる秋蘭をみることはなかった(見てたら100%怖がられていただろう…

 

「それで、髪を洗ってもらう以外に何かしたか?

 (もし体も洗い終えていたなら、そ・の・と・き・は……)」

「ううん、シュンランお姉ちゃんず〜っとぼくのかみ洗ってた」

「…だからあんな風(アフロ泡)になっていたのか」

「シュンランお姉ちゃん、ちょっと強く洗ってくれたんだけどくすぐったかったな〜」

「………そうか」

「くすぐったいって言ったらすごくゴシゴシってされちゃった」

「…………ソウカ」

 

無邪気に楽しそうに先ほどの事を告げていくが、それは秋蘭の怒りのボルテージを上げていくだけだった…

 

「…ま〜とにかく、体を洗っていないなら私がやってやろう」

「うん!」

「一刀も私のを洗ってくれるかな?」

「うん、洗いっこ〜♪」

 

そして始まる洗い合い。体を洗うのと同時に、秋蘭は先ほどまでの怒りも一緒に洗い流すことにした。

 

お互いに洗い終えて、今度は髪も洗ってもらうことにした秋蘭だが、

一刀の小さな手と非力な力加減では満足に泡立たず、むしろ絶妙なくすぐったさで、

ずっと続けていたら(いい意味で)変な気分になりそうだったので辞退した。

 

シャンプーの良さを体験した秋蘭は、先に湯船に行かせた一刀の元に。

一刀は頭に手ぬぐいを載せ、両腕を組んでそれを枕にして湯船に使っていた。

 

「24…25…26…27…」

「何を数えているのだ?」

「お父さんがね、ゆぶねには100数えるまでつかりなさいっていってたの」

「そうか」

「うん…28…29…」

 

そしてカウント再開。

とりあえず秋蘭は一刀に合わせて上がることにする。が…

 

すでに100は行っている筈なのに、一刀は上がるそぶりを見せない。

おかしいと思い一刀を前から見てみると、

 

「…さんじゅうし…しじゅうに…にじゅう…じゅう…じゅて〜む…」

 

顔を真っ赤にして、カウントも上に言ったりしたに行ったり時にはわけの分からないことを口にしたり…

明らかにのぼせ上がっていた。

 

一刀を救出して、秋蘭は風呂から上がる。

脱衣所にて体を拭いて服を着せてお姫様抱っこで抱えて部屋に戻る。

 

一刀を寝台に寝かせて団扇を仰いで涼ませていると程なくして寝てしまった。

そんな一刀を見て、自分の姉も昔こんな風に介抱してやったなぁとしみじみ思い出す秋蘭であった…

 

 

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『お姉ちゃんと一緒』

 

祭の三日目。今日も朝起きて、朝食をとりながら今日の予定を決めるが、特に希望は無いとのこと。

秋蘭は一刀を中心に考えていたので、彼の方が希望が無いとなると自分も特に無いので迷ってしまう。

そこでメニューを見ていると前回の平和祭のときにもあった、面白いと思った催しが目に入った。

自由市という項目だ。

 

自由市:英語で書くとフリーマーケット。

    老若男女誰でも参加でき、商品は髪の毛一本から国宝まで何でもござれ。

    規定などは無いため、いくらで売るかは商人次第。

 

とりあえず今日は自由市に行くことに。

 

この自由市、ただ商品を見て回るだけでも面白いものだ。

こんなものが売れるわけが無いだろうといったゴミのようなもの…

こんなものを売ってしまっていいのか!?と問いたくなるような宝飾品…

ある意味すごいもので【関羽様の料理の瓶詰め】なんてものまであった。

 

いろんな店を回っていくと、ある店で一刀が釘付けになってしまった。

その店は玩具店、売っている商品は…武将達のカラクリ人形(1/10スケール)!

特徴を捉えた本人に似せた顔立ち、カラクリにより全身を稼動させることが可能、

武器(別売り)の装着も自由自在、着せ替えようの衣装(別売り)も用意されている。

 

顔見知りが人形になっていることに驚き、興奮しはしゃぐ一刀。

年相応の子供らしさを見せる一刀を微笑ましく見守る秋蘭。

そのはしゃぎ様から、暫くは動けないだろうと予想した秋蘭は一刀が見える範囲で市を見て回ることに。

 

 

玩具を売っている店の斜め向かいの店、ここでは本を扱っていたのだが、

そこにおかれた一冊の本に秋蘭の視線が止まる。

 

【天界の料理を貴方の食卓に! 著:諸葛亮孔明 編:鳳統士元 協力:北郷一刀】

 

著者編集者もさることながら、一料理好きとしてはかな〜に気になるタイトルだ。

手に取り流し読みして、内容を確認していく。

どうやら天界の料理の中で、一刀の記憶にある料理を、蜀の料理軍師二人が研究し再現したものを書いた本らしい。

材料、分量、作り方などが挿絵と共に細かく説明されている。

これならば自分も出来るだろうと判断し、この本を購入することに。

 

時間で言うとちょうど昼飯時。朝食を済ませたら早速作ってみることに。

 

未だに人形に夢中になっている一刀を促して、昼食に向かうことに。

最初はもっと見るんだと粘っていたが、本に書いてある料理の名前をいくつか挙げてこれから作るのだというと、

途端に「直ぐに行こう!」ってことになった。

 

が…立ち去る際、せめて一体だけでも欲しいといわれ、一体くらいならいいかと思ったが、

49体の内から1体だけとなるとかな〜り悩む…

ここで悩んでいてはますます遅くなってしまうので、ここで秋蘭はあることを教える。

この玩具店、商っているのは魏の商人で、この店に置かれている人形は魏のカラクリ師・真桜の作品なのだ。

彼女に頼めば作ってもらえるだろう、と教えると今度こそ移動を始める。

 

市を回って材料を揃えた秋蘭と一刀は、厨房を借りて料理開始。

秋蘭だけなら要領よく出来たかもしれないが、一刀と一緒に料理したため思った以上に時間が掛かってしまった。

 

危なっかしい持ち方で包丁を持ち、その所為で手を滑らせて指を切ってしまい、

それを秋蘭が指チュパで消毒したり…

 

正しい包丁の持ち方、材料の切り方を教え覚えさせるために、後ろから一刀の両手を持ってくんずほぐれつしたり…

 

調味料の分量を間違えそうになるのを慌ててとめたり…

 

調味料を間違えそうだったので、一つまみ指にとって、それを一刀になめさせて覚えさせたり…

 

そんなこんなで、いろいろあって完成にいたりましたるは…

 

「かれぇらいす…完成だ」

「かんせーー♪」

 

そう、子供の人気料理カレーライスだ。この時代にあるはず無いだろうって突っ込みはスルー…

見たことも作ったこともない料理であったが、一刀の反応からこうゆう料理なのだと納得する。

 

「それでは食べるか」

「うん!」

「「いただきます」」

 

作っている途中も少し味見したが、いままで食べたことの無い美味しさに秋蘭は大変満足している。

少し辛さが感じられるが、それが返っていい味を出し、更には白米との愛称も抜群だ。

一刀もここ最近カレーを食べていなかったので、久しぶりの味に大変喜んでいる。

食べる勢いもすごいことになっていて、食べるというよりがっつくと言う表現のほうが正解だ。

そんな食べ方をしていると口の周りにルーが飛び散ってしまうのは当然のこと。

 

「ほらほら、慌てて食べるから口の周りについているぞ」(チュッ

「///あ、ありがとう」

 

なんと!?秋蘭は布巾で拭かずに、口元の汚れを自らの口と舌をもって掃除した!手元に布巾があるにも拘らず!!

流石にこの行動にはてれてしまったが、ちゃんと礼はする。

秋蘭もほんの出来心で今の行動をとったが、予想通りの反応が返ってきたので満足する。顔はちょっと赤いが…

 

二人の…この場合姉弟というべきか親子と言うべきか?血の繋がりなんざ無いからただの二人でいいか…

共同作業で作ったカレーを平らげて、後片付けも仲良く二人で。

 

その後風呂に入り、寝巻きに着替えて寝台へゴー!

ちなみに、この日の風呂では誰に邪魔されることも無く、一刀の全身丸洗いが出来て大変喜んでいた。

 

布団にもぐりこんでから、それほど時間をかけずに一刀は眠ってしまった。

自分も子供が生まれたら、こんな風に親子一緒に料理を作って、このように穏やかに暮らしたいなぁ…と望む秋蘭であった…

 

 

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『思わぬ収穫』

 

祭の四日目、この日秋蘭は昨日の約束を果たすべくある人物の所へ向かっていた。

その約束とは、一刀に人形を作った人を紹介し、作ってもらうこと。

その人物とは、魏のカラクリ発明家こと真桜だ。

 

宿の受付にて彼女が外出したかを確認した所、まだ宿を出ていないとのこと。

 

彼女にあてがわれた部屋を確認して、人形についていろいろ話しながらその部屋に向かう。

扉の前まで来ると、部屋の中から三人の話し声が聞こえてくる。内容は、

 

「絶っ対に着ない!そそそんな服絶対に似合わない!!」

「そんなこと言わずに着てみるのー!と言うよりこの中でこれが似合うのは凪ちゃんだけなの〜」

「せやで、これはカッコ良さと可愛さをかねそろえとる凪やないとあかんってもんやで」

「何を言われようと絶対に着ない!着るものか!!」

 

と何やら沙和と真桜が凪に何か服を着せようとしている所らしい。

ノックをしようとしていた一刀は入っていいものかどうか迷っている。

が、そうこうしている間に中ではいろいろ進んでいっているようだ。

 

「くっ…二人掛なんて卑怯だぞ!」

「だってー…こうでもしなきゃ凪ちゃん着てくれないの〜」

「せっかくうちが凪のために作ったコレも着けずに終わってもうたら今までの苦労どないしてくれんねん?」

「それは…って、なんだそれは!?」

「これか?御遣いのあんちゃんの発想で作ったものなんやけど…自分で言うのもなんやけどすっごいで(ニヤリ」

「何が、何がすごいんだ…」

「それは、着けてみれば分かるわ(ニヤニヤリ」

「あぁあぁあぁ…」

 

そして静かになる室内。一段落したところを見計らって一刀はその扉にノック。

 

「はいはーい、どちらさんなのー?」

「沙和、私だ入ってもいいか」

「秋蘭様?はーいどう「ダメです!お願いです入らないで見ないでください!」ぞなのー「沙和ーーー!!#」」

 

凪の言葉を無視して入室。するとそこには…

 

いい汗かいたと言わんばかりに何かを達成して喜び晴れやかな表情をしている沙和と真桜…

そして、いつも装備している手甲ではなく、肉球が付いた獣の手をつけ、

服はニーソックスに歩くだけでも見えそうになってしまうほどに裾の短い袖なしチャイナドレス、

そして何より…彼女の腰辺りからは適度な太さの長い尻尾が…その頭には少々大きめの猫耳が!?(髪の色に合わせて銀色)

思わず世間に言葉に影響して猫耳と言ってしまいましたが訂正、太さや大きさからどちらかと言うと豹ですね

豹娘の格好をした凪が(OTZの状態で)いたーー!!

 

「ほおぅ、似合っているではないか」

「おねえちゃんかわいい〜」

「でしょー!やっぱり沙和たちの見立ては間違ってなかったの!」

「やっぱしこういう獣っ子は可愛さだけやのうてカッコよさももつ凪やないとな〜」

 

汗を拭いながら自慢する二人。その脇を通り過ぎて未だにOTZの状態の凪を心配した一刀が声をかける。

が、揺すろうが叩こうが反応する様子が無い…

相当落ち込んでしまっているのだと思った一刀は頭をなでてやることに…

撫でているときに、頭に装着したたれ〜んとしている豹耳に手が当たったとき、

 

ナデナデ、サワ)「っ!」

「??」

 

指が当たった瞬間、その耳はピンと立ち、連動して尻尾もピンと持ち上がった。

尻尾が持ち上がって一刀の体に当たったのだが、今度は尻尾のほうが気になって根元から先端にかけてなでてみる。

 

サワサワサワ)「っっっ!」

「????」

 

前進に電撃が走ったかのようにビクンと一瞬痙攣し、逃げるように距離をとる。

未だに何故凪がこんな反応をしたのか分りかねている一刀。

そして、その反応と一部始終を見ていたほかの者達は、

 

「なぁ、真桜、沙和」

「ふっふっふ〜、自信作でッせ〜」

「流っ石なの〜!!」

 

秋蘭は二人を褒め称え、真桜と沙和は得意げに胸を張る。

 

天界のネタ+真桜の技術+沙和のセンス+とある変態筋肉達磨が経営している店で売られていた魔術用具

以上を組み合わせて出来たものが…

装着者に神経を通わせて感覚を与えることが出来る豹耳&尻尾!!

 

感触が気に入ったのか、一刀は耳や尻尾を撫でたり、頬ずりしたり、息を吹きかけたり、触るか触らないかのところで弄んだり…

相手は子供なので反撃したくてもするわけにいかない凪はされるがままになり、も〜やばいことに…

 

その光景を(生)暖かい目で見ていた秋蘭があることを思いつく。

 

「なあ真桜、あの耳と尻尾はもうないのか?」

「うん?あるにはあんねんけど…豹やのうてこっちは狼やで」

「寸法は?」

「う〜ん、思索段階やったから結構大きくなってもうてんですわ…

 うちらが付けてもちょっと大きいくらいですけど…それが?」

「着けてみてくれないか?」(チラリ

チラリ)「…な〜るほど、了解でっせ。ほな早速」

 

されるがままの凪が今にも本物の獣になりそうなところで、真桜が呼びかける。

 

「なぁなぁ一刀君」

「ん〜?」

「ここにな狼の耳と尻尾があんねんけど…着けてみぃひん?」

「う〜ん、でもちょっと恥ずかしいかも…」

「大〜丈〜夫なの。一刀君はカッコいいから、コレ着けたらもっとカッコよくなるの!」

「うーー…うん!」

 

子供心に漬け込んで一刀の了承を取ってお着替えタイムへ突入。

服を着替えさせておまけにかつらを被せて、そしてとどめに件の耳と尻尾を装着!

 

そしてお披露目…そこには美少女(見た目)がいた。

裾の短い、しかし袖はやたらと長く拾い浴衣を着て(ちゃんと獣グローブも装着、袖に隠れて見えないだけで)…

さらっと流れる長い髪…のかつら、その両側頂点には片耳が顔の1/4位はあるであろう獣耳…

腰から伸びるは、今の一刀からすれば抱き枕にちょうどよいとも言えるほどの大きく立派な尻尾が…

題して【ケモ耳尻尾美少女】完成!!

 

完成した一刀を見て4人は、特に秋蘭は精神にかっなっりダメージを受けていた。

以前祭の景品として一刀がデザインした服(セーラー服やゴスロリ)を華琳が着た時なんか、

姉妹揃って稟のような状態になりかけてしまったことがあるが、

今回の一刀の容姿はそれに匹敵するものだった…

 

「ああああかん、コレは…耐え切れへんで…」

「う〜〜…女として複雑な感じがするのに全然憎めないの」

「かわいい///」

「/・/・/・/・/・/・/・/・/」

 

上から順に真桜・沙和・凪・秋蘭。上三人はともかく秋蘭はかなり末期だ。

鼻頭を抑えながらも視線は一刀に釘付け。

 

4人の注目を集める一刀は、恥ずかしいのか、彼にとって抱き枕サイズの尻尾で自分の姿を隠そうとする。

とどめだった…

男性は女性の恥ずかしがる姿を見て興奮すると言うが、逆もまた叱り。

4人は一刀の恥ずかしがる姿(ケモ耳尻尾付き)を見て噴水とまでは行かないが鼻から血を出し倒れてしまう。

4人が鼻血を出しながら倒れてしまったのを見て慌てて駆け寄るが、

元凶である彼を間近で見てしまい…意識を手放してしまった…

 

 

数時間後、いつの間にかかけられている布団(一刀が心配してかけてくれたらしい)をどかして起きようとするが、

そこにいたのは…未だに着替えてないケモ耳尻尾美少女の一刀。ピンク(本来はブラック)アウト再び…

薄れ行く意識の中かろうじて元の格好に着替えてくれと言うことができた。

 

 

更に数時間後、目を覚ました秋蘭はここに来た本来の目的を思い出す。

人形の作成を真桜に頼んだ所、明日の夜にでも作り上げると約束し解散となる。

 

一刀が頼んだのは今回かかわったもの4人の人形(武器付き)。

このとき秋蘭は、一刀に悟られないようにケモ耳尻尾美少女の人形を頼んでいた。

 

一刀の人形の作成を依頼しに来ただけのつもりが、

人生で再び味わえるかどうかわからないほどの貴重な光景を見ることが出来て、

これまでに味わったほどの無い萌と興奮と幸福を感じた秋蘭であった…

 

 

-6ページ-

 

 

『悪に情けは不要』

 

 

祭り五日目。この日は特に特別なことは無く平和に過ごしていた。

朝起き着替えて朝食をとり、祭が開かれている街をぶ〜らぶら。

秋蘭は一刀と共に平和になった今の世の中を満喫していた。

 

だが…このような平和の裏には必ず悪が存在する。

 

この日は一刀の希望により射的街を再び訪れていた。

前に行ったことがある店、今日始めていく店、いろんな店を梯子していった。

そして、密かに一刀が行くことを期待していた店、リボルバーを取り扱っていた店に近づいた所で、

秋蘭は不穏な空気を感じ取る。

 

警戒しながら店に訪れたが、そこには店主の姿は無かった…

客が何人か来たのか、設置された的は塗料が少々付着していた。

他を見てみると、店に残っているのは景品と塗料弾のみ…

不審に思っていると、僅かだが店の中から声が聞こえてくる。

これは何かあったと悟り、危険だからと一刀を残して店に突入していく。

だが…その行動を後になって後悔することに…

 

 

庶民にしては割と大きい家、その二階から話し声は聞こえてくる。

 

「天の世界の武器ってゆうからどんなものかと思ったが…これほどいいもんだとはなぁ」

「ああ、全くだ!指を曲げるだけでこんだけのことができるんだからな」

 

中を覗いてみると十数人の男達がリボルバーが入っている箱が置かれた机を囲っている。

部屋の隅には手足を縛られ猿轡をかまされた店主の姿があった。

 

「数も結構あるからな、俺達全員分あるわけだから、もう敵なしだわな」

「弾もこんだけありゃ村1つ、上手くすりゃ街1つもいけるだろうよ」

 

ただのチンピラであったならばこの場で秋蘭一人でも行けたかもしれないが、

 

「(あの銃…そして恐らくこいつら以外にもまだいるであろう賊、

  下手に突っ込まずにここは応援を呼ぶべきであろうな…)」

 

相手は現時点で最新の技術で作られた武器を持っている。

真桜に話を聞いたところ、リボルバー以外にも、それよりも単純な構造の火縄銃やマスケット銃も開発していたらしい。

そして今回の祭で塗料弾による試射を行い、それらの出来を一刀にも見てもらい、

合格をもらえたなら、それらを軍に取り入れようと、開発した銃を全て持ってきていたとのこと。

それが全員にいきわたると言っていた。つまりそれだけ数がいると言うこと。

 

扉の隙間から中をのぞいてなるべく多くの情報を得た秋蘭は音を立てないように、

細心の注意を払いながらこの場を後にしようとする。んがそこで…

 

「おねえちゃーーーーーん!」

「!!??一刀!!」

「誰だ!?」

 

外から聞こえた、残してきた一刀の悲鳴を聞き思わず声を上げてしまう。

秋蘭の存在に気付いた賊は扉に向けて発砲。

銃声が鳴り響き、扉を貫通して弾が壁に当たるが、幸い当たらなかった。

気付かれたことを知った秋蘭は、窓を突き破って飛び出し屋根を転がり落ちる。

地面に衝撃を逃がすように転がりながら着地して、そして顔を上げて前を向くと…

 

中にいた賊と同じような格好をした男が数人、その中の一人が、一刀に銃を突きつけてこちらを見ていた。

 

「っ!?一刀!!」

「おら動くんじゃねぇ!」

 

真っ先に一刀の元に駆け寄ろうとしたが、賊の声に静止する。

そこを別の賊が、手に持った銃で秋蘭を狙い撃とうとするが、

それに気付いた秋蘭は即座に行動し身を隠し、今さっきいた所を銃声と共に一発の弾丸が通り過ぎ、勢いそのまま壁に風穴を開ける。

 

何事かと見ていた住民も、ようやく事態に気付き慌ててこの場を離れていく。

混乱の中秋蘭は動けずにいた。混乱に乗じて応援を呼びにいくことも考えたが、一刀が賊の腕の中にいる以上目を離すわけには行かない。

それに、応援ならば、これだけ騒ぎが起これば向こうが気付いてくれるだろうと予想。

 

銃声を聞いて家の中にいた賊達がぞろぞろと出てくる。

その数40人、それも全員が銃を装備している。同人数の弓兵部隊とは比べる必要も無いほどの強さを持つ遠距離戦闘部隊だ。

現代のように簡単に銃弾を確保できるわけではないので、銃乱射して相手を威嚇と言うことはしていないが、

会話を聞く限りでは、村1つ、あるいは街1つ占領することも出来るかもしれないくらいはあるようだ。

 

どうしようか考えていると、閑散としたが移動の先に警備隊数人の姿が見えた。

これに対し賊はどうするのかと見てみると、

 

長い筒状のようなものを持った賊が並び、警備兵に狙いを定めて、指を少し動かしただけで破裂音が響いた。

放たれた弾丸は警備兵に命中し、その兵達は着弾した箇所を抑えながらうめいている。

 

「おお、当たった当たった。どうよ感想は」

「すげぇな…これほどのもんとは。耳が痛えが慣れればどうってことねぇや」

「これなら…将軍とかでもいけるだろうよ」

 

口々に評価を言っていく。確かに、あれほどの速度であれば避けることはかなり難しいだろう。

 

と、噂をすればなんとやら…武将の方々がぞろぞろと集合。

それを見た途端、賊共は即座に迎撃。全員散開して各々手近な場所に隠れる。

秋蘭のいる場所にも数人隠れてきた。

一人は秋蘭の主・華琳、それから華蝶仮面's…こんなときに何してるんだか…

 

「秋蘭」

「華琳様、どうしてここに?」

「真桜が作った武器が賊に奪われて、街中で暴れているって報告を受けてね。それで…何があったの?」

「それが…」

 

そしてこれまでの経緯を説明。一刀が人質に取られていることを告げると、

その場にいた全員(何故か他の所に隠れている奴含め)から殺気が大放出。

賊はビビッて銃を数発乱射するが、壁を貫通するほどの威力は無いので武将達に負傷者なし。

 

「…賊風情が、舐めた真似してくれるわね#」

「全くだ!しかも我らが主を人質にとるなど、許しては置けぬ」

「しかし、その人質と言うのが問題ですね。あの新開発された武器だけなら何とか対処できたかもしれないのですが、

 あの様に囲まれている形で人質がとられている以上下手に動くことは出来ません」

「そうだな…なぁ孔m「い、今の私は朱華蝶です!」…朱華蝶、ここはどうするべきか?」

「姿を見せてしまえばその途端人質の命が危うくなります。ここから音も無く人質を捕まえている賊に届く何かがあればいいのですが…」

 

ここは射的街、探せばありそうな武器に期待を寄せる朱華蝶。そこに、

 

「………これ」

「?恋華蝶、それは?」

「…さっき食べてた飴の棒」

「これがどうし…ってこれは、吹き矢?」

 

そう、発する音は吹き込む息と矢が飛び出る音のみと言う正に暗殺には打ってつけの武器である。何故飴の棒に使われていたかは知らん。

 

「これなら…秋蘭、届きそう?」

「決定打は撃てそうにありませんが、隙を作るくらいならば」

「ならやりなさい。隙が出来れば他も気づくでしょう」

 

頷き吹き矢を構える。華琳や華蝶仮面's、他に隠れている者達も見たところいつでも動けるようにしている。

周囲を警戒しあちこち見回している一刀を捕まえている賊がこちらを向いた所で、

秋蘭は窓の僅かな隙間から吹き矢の狙いを定めて矢を吹く。

 

放たれた矢は兆度目に当たった。距離がかなりあり威力は落ちるが、とがったものが目に当たれば流石に平気ではいられない。

銃から手を離し両手で目を押さえ隙が出来た。

その隙を逃すことなく全員がいっせいに飛び出そうとしたそのとき、驚くべき光景を見た。

 

両手で目を押さえようとしたため、持っていたリボルバーは下に、一刀の目の前に落ちてきて、

一刀は反射的にリボルバーを手に取り……

 

身体の回転を加えたフルスイングによる、相手の腹を狙った銃のグリップによる打撃。

子供の一撃であっても何の構えもしていない状態であれば流石に悶絶してしまう。

腹を押さえて悶絶し顔が低い位置に来たところで、足を真上に上げてその顎に直蹴りを喰らわせ相手の意識を刈り取った。

 

気絶した男はもう一丁持っていたらしく、それをベルト(ホルスター・予備弾付き)ごと奪う。

そして一瞬で装着して左足を伸ばし右足を曲げて浅い伸脚のように開き、

左手は脚と並行に右手は銃が肩の位置に来る独特な構えを取り、不敵な笑みを浮かべながら一刀は宣言する。

 

「来い…銃の本当の使い方を見せてやる…(ニヤリ」

 

そこから始まる一方的な殲滅戦に、駆けつけた武将達は呆気に取られたり魅入られたりで思わず呆けてしまった…

 

仲間をやられた怒りか、子供に馬鹿にされ舐められた怒りか、賊たちは一斉に一刀に向けて発砲。

 

一刀は円を描きながらその弾道をかわしていき、その弾は反対側にいた敵に当たる。

 

それだけでは終わらず一刀は円を描くのを止めることなく動き次々と銃で打ち倒す。

 

賊もその動きに驚くが、相手は子供。押さえつければろくに行動できないだろうと判断。

弾が無くなれば、接近戦に持ち込めば勝てると判断し、一刀が12発打ち終えたところで飛び掛る。

 

が…一刀は大胆でありながら整った動きで相手の攻撃の全てを避け、全てを流しながら、

銃の銃身やグリップの底による打撃を喰らわせて次々と相手の意識を刈り取る。

 

余裕が出来た所で、一刀は予備弾をベルトから叩き上げる。

撃ち終え、銃の中でただの薬莢だけになったそれを弾き出し、

身体を回転させながら、重力の法則に従い落ちてくる弾丸を装填する。

 

そして銃撃戦が再開される。

賊も銃で対応するが、その全てが避けられ同士討ちの原因に繋がる。

それに対して一刀の攻撃は正確無比に的に当たっていく。

 

無駄も、油断も、隙もない動きで一刀は次々と賊の意識を刈り取っていく。

 

残りが数人になったところで賊は逃避行動をとろうとするが、

そのほとんどは武将達に抑えられる。

 

その中で一人武将の包囲網を抜けて何とか逃亡に成功し、馬を見つけ、それを奪おうとする。

 

だが、後方から見ていた一刀はそれを逃すことなくとどめの一撃を決め台詞を言いながら放つ。

 

「Asta la vista, baby!」

 

放たれた一発の弾丸は、捕まえようと動いていた武将達の隙間を飛んで行き、賊の尻に命中。

 

 

賊を拘束し後処理を行おうと武将達が動く中、秋蘭は真っ先に一刀の元に駆け寄る。

 

「ご苦労だったな」

「ふ…ガン=カタを駆使する俺が、あんな奴らに負けるはずが無いな」

「ほおぅ、【がんかた】と言うのか先ほどの武術は。見事であったな」

「なぁに、大した事じゃないさ」

 

言いながら一刀は、手に持った銃をホルスターに収め手を離し…

突然下をうつむいて動かなくなった。

 

「ん?どうし「おねえちゃーーーーーん!こわかったよーーーー!!(豪涙」!?」

 

今さっきまでのクールな一刀から一変して泣きじゃくる子供へと早変わり。

が、事情(ショタ一刀二重人格)を知る秋蘭は直ぐに今の一刀の心情を察してあやす事に。

 

 

抱きつきながら泣き疲れて、胸の中で眠った一刀を抱き上げて、秋蘭は先に宿に行くことを告げる。

他の武将達は特に反対することはなかった。

 

 

日が沈んだころには昼にあった銃撃戦の騒ぎも沈静化していた。

一刀も起きてきたので、秋蘭は今日の活躍と無事を祝う。

記憶はないが、一刀は祝ってくれることを喜びはしゃぐ。

 

自分達に延びる間の手に怯え泣き崩れ、

自分の知る者達が無事である事に喜びはしゃぐ姿を見て秋蘭は思う。

自分が子を成したら、将来悲しみの涙を流すことが無いように強く育てようと…

 

そしてその相手は…

 

 

-7ページ-

 

 

『秋蘭の想い…』

 

祭の六日目。最終日は全員集まって後片付けなり何なりとやることがあるので、

一刀と二人きりでいられる最後の日でもある。

 

今日は思いっきり一刀と楽しもうと思うが、こういうときは何をしようか悩むのが定番だ。

例に漏れず秋蘭も思い悩み一刀とも相談して今日どうするかを決めていく。

結局朝食を済ませるまでずっと相談し続けたのだが決まらずじまいで終わってしまった。

 

だが…その悩みは思いもよらぬ所である意味解決した。

 

朝食を食べて街を歩きながら今日のことを相談しようと歩き出そうとした所で声を掛けられた。

 

「おお、秋蘭!こんな所にいたか」

「姉者、どうした?」

「いや、一刀を探して回っていたのだがな。やっと見つけた(ホッ」

「………何故一刀を?」

 

今日は一刀と二人で…二人っきりで楽しもうとしていた秋蘭は悪い予感が…

 

「昨日の活躍を称えようと華琳様含めて大勢がいろいろ用意してくれているのだ!

 その主役がいなくては話にらなんだろぅ」

「それはありがたいが…今日は一刀と思いっきり祭を楽しもうと決めていたのでな

 できれば遠慮したいのだが…

 (二人っきりでいられる最後のときを…姉者、邪魔するのか?#)」

 

心の中では自分の姉に対して敵意を出してきているが、姉に悟られている様子はない。

 

「そう言わずに〜…せっかく用意したのだぞ…」(涙目+上目遣い

「ため息)仕方ない…行くか

 (どうせ折れてはくれないだろうからな…)」

「おお、そうか!では参ろうか!!」

 

そして秋蘭に…ではなく一刀の手を取ろうと近づく春蘭。

秋蘭の悪い予感…二人っきりでいられる時間が減っていく…この予感が強まりだす。

 

手をつなごうと姿勢を低くした姉・春蘭に…

その首に斜め45度の角度から手刀を打ち込み、一瞬に一撃で春蘭の意識を刈り取る。

 

「(いくら姉者であろうとも…たとえ華琳様であろうと一刀と共にある今日を譲る気はない!)

 さて…突然寝てしまった姉者は放っておいて、いくか」

「…いいの?」

「ああ、姉者は時々突然寝てしまうことがあるのでな。今回もそれだろう」

 

自分でやっておきながら一刀を中心に考え、彼に罪悪感を募らせないように言葉を紡いでいく…

秋蘭、恐ろしい女!

 

だが…秋蘭はこのとき予想していなかった…これが1つの戦の始まりであったと言うことに…

 

 

 

宿を離れてから数十歩と言った所で、後方から何やら足音が…

振り向いてみると、神速の張遼こと霞がやってきた。

 

「こんな所におったんか秋蘭。春蘭に呼びに行かせた筈やのに全然来る気配無いから来てもうたわ」

「…霞、春蘭ならあちらに倒れているのでな。運ぶのを手伝ってもらえないか?」

「ん?ええけど、何があったん?」

「歩きながら説明しよう。一刀ちょっと待ってくれるか?」

「は〜い」

 

一刀を置いて、霞と共に歩き出し、彼からは見えない位置に来たところで、斜め45度!

神速と謳われる彼女でさえも、その不意打ちに対抗することは出来なかった…

 

「さて、行こうか(にっこり」

「はーい♪」

 

 

 

また暫く歩いた所で、今度は後方から地鳴りが聞こえてきた…

振り向き見てみると、三羽烏が駆け寄ってきた。

 

「秋蘭様…」

「凪、真桜、沙和…貴様らもか…」

「秋蘭様ー、二人を気絶までさせて一刀君を独り占めするなんてひどいのー!」

「なんとでも言え。私と一刀の憩いの時間を邪魔するならば容赦はしないぞ」

「う〜…やったら…なー一刀く〜ん」

「なに?」

「約束しとった人形完成したからちょっと取りに行かへん?」

「できたの!?」

「おう!ばっちしできてるで!!」

 

秋蘭にではなく一刀に狙いを定める真桜。一刀本人が行きたがれば秋蘭も断るわけには行かない。

それは秋蘭も承知している。

このままではまずいと判断はある考えを思い浮かべ、一刀にあることを耳打ちする。

 

「ねぇ、マオウおねえちゃん…お人形って1つしかないの?」

「…え?」

「ねぇ、1つしかないの?ボクもっと欲しい」(涙目+上目遣い

「うっ…ほんまに、ほっんまにすまへん!今はこれしか無いねんや!」

「…………そうなんだ…ないんだ…」

 

涙目、上目遣い、そして止めに…期待を裏切られたことによる失望の念を直撃してしまった。

あちらが一刀を狙ってくるのなら、こちらは一刀を誘導して対抗するようだ。

今度は凪と沙和の対処を思いついた秋蘭は再び一刀に耳打ちして誘導する。

 

「ねぇ、ナギおねえちゃん」

「なんですか?」

「何で今お猫さんの格好して無いの?」

「//////!!??」

「また凪おねえちゃんといっしょに動物の格好したいな〜」

「……………」

 

凪にとっては苦渋の選択…羞恥心に耐えて豹凪になるか…拒否してしまうか…

本人にとっては僅かな間の迷い…だが、子供にはこの僅かな時さえも、拒否ととってしまい…

 

「……おねえちゃん、イヤなの」(肩を震わせながらうつむく

「!?い、いや違うんだ!今迷ったのは」

「シュウランおねえちゃん…」(涙目で秋蘭にしがみつく

「あああぁぁぁ……」

 

一刀を泣かせてしまった…涙を流させてしまった…その罪悪感から、凪はのた打ち回る。

沙和はさっさと着替えさせればと思うが、先日の格好には真桜と二人係でやっと完成できたものだ。

肝心の真桜は一刀の失望の念を喰らい、彼女の頭上には未だに雨雲が漂っている。

着替えさせる対象の凪は無意識のうちに氣を込めながら地面に額を打ち付けてクレーターをいくつも作っている。

二人を押さえるのに必死になって、いつの間にか去っている秋蘭と一刀には気付けなかった…

 

 

春蘭、霞、そして三羽烏の5人が秋蘭の呼び出しに行って戻ってこない…

こうなったら全員で呼びに行こうとした所で、意識が戻った春蘭が戻ってきて告げる。

妹・秋蘭が一刀を連れて逃亡…というか今日一日独り占めしようとしていることを報告。

 

独り占め…絶対に許すわけには行かない!自分達もしたかったのに!!#

今ここにいる者達の心は1つ!秋蘭から一刀を奪回、自分達にも一刀を!!

 

そろそろ来るであろうと言う秋蘭の予想は当たった。

街のそれなりに広い場所に来たところで、その姿を捉えた。

 

屋根の上、壁の向こう、置物の影、etc…様々な場所から自分達を見ている存在がある。

直ぐに対処できるように一刀を抱き上げておく。

突然抱き上げられた一刀は何故と聞くと、武将たちが隠れんぼしていると耳打ちする。

そういわれて一刀は辺りを見回すと…武将達の姿の断片を見つける。

誰かを見つける度に「○○おねえちゃんみーっけ!」なんていうもんだから、

見つかったものは思わず体を硬直させてしまう。

 

一刀が見つけた者は大体秋蘭も見つけているのだが、2人ほど見つからないものがいた。

彼女等は隠密に優れ、一度隠れてしまえばその存在を認知することは困難だ。

件の二人は、気配を殺して秋蘭に接近し奇襲を図っている。

 

だが、偶然にもその姿を一刀が捉えてしまった。

見つけられなかったものの姿を確認できた嬉しさからか、彼は声を上げ、そのものたちに向かって手を振ろうとする。

秋蘭は自分を狙う存在に気付き、奇襲しようとした者達は自分達の存在を気取られたことを知る。

気付かれようともやることに代わりは無く、二人は吹き矢を吹く。

放たれたのは睡眠薬を塗られた矢。

 

秋蘭は辛うじて避けることができた…が、

先ほどまで自分の体が会った場所には、手を上げて振ろうとしていた一刀の手があった。

その矢は止まることも逸れることも無く一刀の手に当たってしまい、一刀は眠ってしまう。

 

眠ってしまった一刀を抱えて秋蘭は走る。安全な場所を目指して。

しかし、相手は三国の武将達…彼女らが1つになれば、いかに秋蘭でも逃げ切ることはできない。

ついに追い詰められ、四方八方を囲まれてしまった。

 

「もう逃げられないわよ、秋蘭」

「…華琳様」

「全く…賊を倒して国を救った…その活躍を称えさせないなんて、貴方は私に恥をかかせたいのかしら?

 (と言うよりも、今日までずっと一緒だったのだから、最後の日くらい私達にも構わせなさいよ)」

「すみません、華琳様」

「ま〜いいわ(良くは無いけどね)…とにかく一刀を渡しなさい、秋蘭」

「………申し訳ありませんが、華琳様であろうとそれはできません」

「秋蘭…あなた…」

「私が一刀と二人でいられるのも今日が最後…その時間を失うわけには行きません」

 

秋蘭自身含めて、この場にいる全員は驚いていた。

華琳への忠誠よりも、一刀と共に過ごす時間を選ぶ秋蘭に。

が…それも許されるはずも無く…

 

「ならば…仕方ないわね…全員、突撃!!」

 

そして、華琳の命令を合図に全員が秋蘭に飛びかかろうとする。が…

 

「全員動くな!!」

 

秋蘭の言葉に、その行動に動けなくなった。

彼女のとった行動は…一刀を抱え、頭を抑えて自分の顔の真正面に持ってくる。

それは、あと数cmで唇が当たってしまう距離。

 

「動けば…一刀の初接吻を頂いてしまいますよ(ニヤリ」

 

その体勢のままその場にいる全員に向けて脅しの言葉を発する。

この行動は、武将達にとっては、人質に銃を突きつけるよりも効果的であった。

 

「ししししし秋蘭!?」

「どうした姉者?顔が真っ赤だぞ…」

「おおおおおおおおまえ、そそそそんなこkk子供に!?」

「ふふふ…別に問題は無いではないか」

「ああああああアリマくりであろう!?」

 

と、春蘭以外にも口々にいろいろ行ってくるが秋蘭に変化は無い。

その体勢のまま移動して行き、ある程度距離を置いた所で全力で逃げようとしたそのとき…

 

「ん〜…むにゃ?」

 

一刀が目を覚ますと目の前には秋蘭の顔面ドアップ…

至近距離で暫く見つめあい、

 

「んん〜…ちゅ」

「!!??」

「!#%$&*†?♪@=>」(秋蘭、一刀以外全員)

 

故意なのか無意識なのか寝ぼけているのか、なんと一刀は目の前の人物に、ききkissを!?

それを成した本人はキスを終えると再び寝てしまった。どうやら寝ぼけていたようで…

 

見ていた者達はまるでムンクの叫びのような顔をして驚いている。

秋蘭も驚いている。脅しのために本当にするつもりは…ちょっとあったが、一刀の方からとなると彼女も驚いてしまう。

顔を赤らめながら、口に指を当てて暫く呆けていたが、すぐさま復活しその場から離脱、逃亡する。

立ち去る際、祭最終日には一刀を引き渡すことを言っておく。聞いていたものは僅かであったが…

 

宿に戻ってからは、それ以降外にでることなく、一刀と共にいられる最後の時間を存分に堪能する。

 

 

夜になり、夕食を済ませて風呂に入り、寝巻きに着替えてベッドイン。

安らかに眠る一刀を見ながら、一刀と過ごしたひと時を思い出していく。

 

振り回されながらもそれを喜び楽しんでいる自分がいた…

 

彼が喜んでいる姿を見ることで、彼以上に嬉しく思っている自分がいた…

 

10歳以上も離れている彼に、不覚にもときめいていた自分がいた…

 

願わくば、今後もこのような想いをすることを…

 

 

-8ページ-

 

 

あとがき

 

…まずは自分に突っ込み…どんだけ掛かってるんだよ!?#

 

思いつくネタを片っ端から書いていっていたらいつの間にかこんなに掛かってしまいました。

 

どうしてこう、肝心なものに限って時間が掛かってしまうんでしょうかねぇ?

 

ともあれ、なんとかこうして書き上げることができました。

 

では、解説をば…

 

本当ならばショタ一刀に萌狂ってしまう秋蘭を書きたかったのに…

 

何故かこんな感じになってしまいました。

 

内面では萌狂っていましたが、それを外には…出してるかな?

 

原作でも、前作と違って結構はっちゃけてた節があるので、彼女を壊すことはできませんでした…

 

ま〜自分としては、内面では結構逝っちゃってたんでいいかな〜…と。

 

外面見てみると、どっちかっつーと一刀のほうが壊れていたような…

 

変な知識は持ってるわ、ガン=カタは使うわでwww

 

秋蘭に関しては…内面はだんだんと壊れていきましたね。

 

外面で壊れた所といったら…ヤンデレ秋蘭くらいですかねwww

 

とりあえずこの辺で…

 

今後はどうしましょう?

 

以前書いた予定では、まずはサバゲーに参加したメンバー全員の個人ルートを書き終えてから、

他のイベントの団体のを書いていく予定でしたが…

 

もう出来上がったやつから随時投稿していっていいですか?

説明
え〜長らくお待たせしました(?)
ギャルゲー風に言うと秋蘭ルートでございます。

ここまで来るのにえらい時間が掛かってしまった…
必死にネタを思い浮かべていると、何故か他のネタがポイポイ浮かんできてしまい…

で、やっと完成できました。
普段と違う秋蘭を見せて萌えさせようと頑張ったのにこのような結果になってしまいました。
もしかしたら期待していたものとちがうかもです…
それでもいいという方どうぞ
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真恋姫†無双 恋姫    ショタ 一刀 秋蘭 

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