GF 〜The Galaxy Century〜 第二章 〜始まりの試練〜 Chapter2 |
同時刻。
エルミナ「見えました。 惑星マーベラスです。」
スティア「ああ、予定通りの場所に着く。 例のあれのほうは?」
エルミナ「すでに完了しているもようです。」
スティア「そうか。 では、このまま大気圏に突入する。」
これだけのやり取りでは掴めぬ者もいるようだが、この俺、黄金の神皇はいま”あいつらが認識できない別の異次元で覗き見ている。”
軽くいうのなら、これを見ているお前達は”読み手”と呼ばれる存在。
俺はそのポジションでやっている。
お前達読み手は見ることはできるが、俺があのときにやったように介入することはできないし、都合よく改変することもできない。 例え、同人誌などで妙な内容を捏造しても正規の物語の前では、所詮妄想に過ぎず結果組み込まれることはないということ。
つまり、人が良くいう万能の神みたいに創意工夫することができないのだ。
それは何故か? なら、模倣すればいいと? いいや、違うな。
答えは“情報起源”を生み出した“創始者”だけでしかできないからだ。 情報起源は世界やこの世にないものを生み出す素材と呼ばれるものであり、後にそれが原点として扱われることになる。 それを元にいまのような物語を生み出した者を創始者と呼ぶ。
俺にとっての創始者は、世界や理を生み出した創造者とも呼べる存在だ。 まあ、わからないという奴は、お前が見ていたと思われる漫画、小説、アニメ、映画、ゲームがあるだろう? んで、それを生み出した奴の名前があると思われる。 お前達人類は、その者を作者やらそういうのを呼んでいる模様だが、なら何故これを例えたって?
答えは明白、その作者こと“エンターテイナー”が創始者であり、その創始者だけが持つ情報起源でしかさっきいった漫画、小説、アニメ、映画、ゲームの内容を生み出すことはできないからだ。
それは例え、情報起源を盗み取ったとしても完成することはできず、ましては移譲することはできないからだ。
ん? なら完成したところを盗み取ればいいと? 愚か者め。
できるわけないだろ。 盗み取ったとしてもそれはお前の生み出したものじゃないだろ? 故に、お前が作ったという証明にならない。
それなら情報を捏造すればいいと? 愚問だなそれは。
お前は情報起源者でもないのにできるわけないだろ。 いったはずだ、盗み取っても完成することはできず、ましてや捏造してもそれはお前のものではない。 それを生み出した創始者のものだ。 ガキのように駄々をこめても不可能である。
故に・・・、でっ!!
黄金の神皇「なにをする?」
???「説明長いですよ。 ラ・・・あいだっ!!」
黄金の神皇「こらそこ。 俺の真名はあのフェイアブルが会ってから名乗る予定だから、ネタバレはやめてくれ。」
すかさず、チョップする俺。 セーフだぜ全く。
???「ちぇ〜。 じゃあ、私の名前を名乗っていい?」
黄金の神皇「NOだ。」
???「ええ〜〜〜。」
というか、あいつらの会話から随分と脱線しているな。
???「ていうか、そもそも誰と話していたのですか?」
黄金の神皇「悪事を働くであろう“不正者”に軽く説教しただけだ。」
不正者とは、この物語に出てくることはないが主に外界などの正規の物語に乱入し、良からぬことをしようとするいわば“チーター”共である。 軽く言えばチートである。
基本的に不正者であることは間違いないが、稀に変な能力を持っている奴もいたり、オタッキーな奴もいたり、その上憑依しているものまでいたりと要はそんな変人奇人を中心であることがなにかと多い。 現にあの白崎 逢魔や遠月 春のような奴がいい証拠である。
ん? じゃあ、五十嵐 直のほうは不正者ではないのかって? いや、あいつはもう一人のフェイアブルであり、あれとは違うほうでの主人公であるからな。 ちなみにさっきの二人は不正者ではないからな。
なら、フェイアブルの説明をしろって? あれの方はあいつがあれに会ったときに説明されるからそれまで待っておれ。
???「説明長いっす〜〜〜。 スティア一行はもうすぐ惑星マーベラスに着陸するっすよ〜〜〜。」
黄金の神皇「ああ、もうわかったから。 んで、あいつに例のあれは仕込んだのか?」
???「ばっちりだよ。 いまごろ驚いているだろうねあの三人は。」
黄金の神皇「よし、後は・・・・・・。」
俺は、ブリッジにいるスティア達を見ると・・・・・・。
エルミナ「では、スティア様。 後は私がやりますので、その間にあの三人に連絡をしてくださいな。」
スティア「ああ、そうする。」
おっ、良かった。 “予定通りで。”
ちなみに何度もいうが、俺と黒ずくめ野郎はあいつらから違う次元の世界で見ているからそこを忘れるなよ。
黒ずくめ野郎「それは酷いっす。 やっぱ名乗っていいっすか?」
黄金の神皇「断じてNOだ。」
黒ずくめ野郎「けち〜〜〜。」
このまま埒があかんからここでシーン終了な。
プツン!!
■
直「ていうか、なんで二人とも俺と同じ結果なんだ?」
春「それはこっちも聞きたいくらいです!!」
逢魔「つっても、何度も試しても結果は同じだったぜ。」
確かに、あれから何度もやっても結果は同じだったしな。 その挙句にスティアからの連絡で移動しながら喋っているわけだが・・・・・・。
直「違う名前にしても同じ結果だったしな。」
といっても、春と逢魔の名前を借りただけだが。
ちなみにその結果の内容は、”あなたは近いうちに波乱が起きます。”らしい。
逢魔「なあ、これっていわゆる死亡フラグの前兆なんじゃね?」
春「だとしても、物凄く縁起が悪いです。」
それ以前に死亡フラグを持ち出すのはどうだろうか? いくらこいつらがゆとり世代の名残の産物だとしてもっと真面目な言葉が欲しいくらいなんだが・・・。
逢魔「いくらなんでも名残の産物は酷いだろ!!」
春「そうですよ!! ゆとりはともかく名残の産物は酷過ぎます!!」
ゆとり辺りは否定しないのかよ。 というか毎度人の心を読んで・・・それをツッコむのはやめよういい加減に・・・・・・。
直「そう言っているうちに着いたな。」
その言葉通りに目的の場所に辿り着いた。
逢魔「ここでなんかテストの内容が聞けるんだっけ?」
春「そうですね。 どんなのでしょう?」
直「ま、ここでいっても仕方ないし入るか。」
と、俺は部屋をノックしてスティアのいる部屋へと入ったのだった。
スティア「きたか。」
ロゼット「あ、こんにちは。」
メリア「おはようございます。」
スティアは俺達が来たのを確認し、ロゼットとメリアは俺達に挨拶をしたのに対して俺達も軽い挨拶はした。 ちなみにメリアさん? 時間帯ではもう昼だけど、まあいいか。
逢魔「それで、例のテストって奴はどんなものなんだ?」
春「そうですよ。 気になります。」
確かに、俺も内容がどんなものかは聞いてはいないから多少の興味はある。
スティア「そうだな。 では、お前達“ヴェイグレントズ”に集まってもらったのは他でもないテストの内容について話すとしよう。」
直「あの、その前にヴェイグレントズって?」
意味は放浪者を意味するが・・・ん? ということは。
逢魔「あ、チーム名ね。」
春「なんかかっこいいですねそれ。」
前者は確かにそうだが、後者は意味わかってないだろ。
スティア「そのとおりだ。 いちいちお前達三人をいうのもどうかと思って無断でチーム名を結成させてもらった。 以降はそう呼ぶから注意しろよ。」
直「それはわかったが、リーダーは?」
スティア「一応はお前だが、慣れるまではしばらくロゼットやメリアなどの者達がお前達のリーダーになるからしばらくプロの戦い方でも学んで覚えろ。」
やっぱそうなるか、というかあの言葉を聞く限りロゼットとメリアさんだけじゃないようだな。
逢魔「ってか、ここは俺がリーダーになるべきだろ!!」
春「むしろ、私がなるべきです!!」
直「おいおい。 仮だけど一応俺がリーダーなんだけど。」
そういったときに。
二人「「どうぞ、どうぞ。」」
直「・・・・・・・・・・・・。」
おおう。 なんか古臭いネタでまんまと引っ掛かってしまった後悔をした。
逢魔「というか、異論ないからそのつもりで。」
春「そうですよね〜〜〜。」
よくまあ俺を嵌めやがって悪びれもなしにいうなこいつら・・・。
スティア「・・・・・・そろそろいいか?」
直「ああ、どうぞ。」
そして、律儀に待つこの人もある意味大物だな。 いやむしろ大物だけど。
スティア「ではテストの内容だが、さっそく実戦をしたいと思う。 場所は惑星マーベラスのとある場所にある”試練の森”を受けてもらう。 監督はこちらにいるロゼットとメリアの二名だ。 以上でなにか質問はあるか?」
実戦か。 場所を聞く限りおそらく自然豊かなところで受けるだろう。 そして、それを採点する側があの二人ってわけか。 要は俺達ヴェイグレントズをどう対応するか見極めるためだと思うな。 そう考えていたとき・・・・・・。
逢魔「それって、死ぬリスクありですか?」
春「それとも、ボスはいるんですか?」
二人は真っ先にそう質問してきた。 まあ、確かにそれも気になるわなそれ。
スティア「それは変なことをしない限り死ぬことはないだろう。 いくらプレイルが不老永久だからといって死んだり殺されたりすることについては変わりなどないからな。」
そう、確かにプレイルは不老永久で寿命がないし、衰退死すること自体はあまりない。 だが、スティアのいったとおり死んだり殺されたりすることについては通常の人間と変わりはない。 しかし、プレイルは”劣等科学”などの兵器で死ぬことは絶対に有り得ないのだ。
劣等科学とはおそらく俺達のいた世代での兵器の類を指しており、火器はおろか核ミサイルでも死ぬことはないほどである。 何故なら、プレイルに宿しているA.O.Eウィルスそのものが強固すぎるのだ。 多分、自動最適化したせいでほとんど効くことはないらしく、政府や軍はプレイルに効くための兵器を造り続けながら更新していくのがやっとだというほどだ。
つまり、プレイルに効くのは”A.O.Eウィルスを付与した最新の兵器”と”ロストウェポン”、そして”超能力などの異能の類”だけである。
だからといってそれらを怠らずにしたら相手が強くなって効かなくなるという非常識な特性があるので注意が必要である。
スティア「ボスについてはいるが、自分で考えろ。 そうでなきゃ、お前達の能力を測ることができないからな。」
おそらく、臨機応変できるかどうかで試そうとしているからそこは自力でやれってか。
スティア「他に質問はないか?」
俺達はその問いに頷いた。
スティア「では、そろそろ着くと思うがヴェイグレントズは十分な準備をした後、”白い大きな門”の前に集合な。」
白い大きな門・・・?
直「あの、それって?」
スティア「すぐにわかるから心配はないだろ。 ほら、着いたぞ。」
と、そういった直後になにやらアナウンスの声が聞こえてきた。
エルミナ「ええっと、現時刻にて惑星マーベラスに到着いたしました。 場所は”ベゼルク村”の南東あたりに着陸していますのでどうぞ御用のある方はすみやかに降りて下さい。」
スティア「というわけだから、1時間後に集合だから遅れるなよ。 あと、俺はベゼルク村に行ってくるから聞きたいことは必ず連絡か声を掛けておけ。」
そんなわけで、俺達ヴェイグレントズはしばらく準備をしてからアルシオンを降りたのだった・・・。
■
逢魔「緑豊かでいいところだけど、ここからは自由時間でいこうぜ。」
直「いいけど、唐突にどうしたお前?」
場所は、ベゼルク村辺りなのは当たり前だが、まず印象的にいうのなら自然が良くて逢魔風にいうのなら、ゲームに出てくる中世での村を感じさせるほどだ。
まあ、それはいいとしてだが、突然逢魔からの提案に首を傾げるわけで。
春「えっ? 三人で行動するんじゃないですか?」
確かにそう思っていたけどな。
逢魔「いやあ、お決まりの定番としてはここで自由時間としてやりたいのだが、お前らはそれで異論はないよな。」
直「まあ、どうせなにか考えているだろうと思うがその提案に乗ってやる。」
春「あ、それなら私もです。」
逢魔「つ〜わけで、んじゃさっそく俺はあっちに行ってくるから、後であの馬鹿でかい白い門のところに集合だから迷うなよ。」
春「じゃあ、私はそっちにいきますから集合時間に遅れないでくださいね。」
そういって、逢魔と春はそれぞれのところにいったというべきだろう。
ちなみに、スティアのいっていた白い門って文字通りこの村を知らない俺でもわかりやすいほどの大きさだった。 これでどう遅れるやら迷えるのやらね・・・・・・。
直「ま、とりあえずぶらぶらしておくか。」
ま、この村の治安はそれほど悪くはないから気楽に散歩する俺であった。
■
同時刻。
???「ギィ・・・。」
そのものは先ほどの目標達がばらばらに行ったのを確認し、どう追跡するべきか迷っている。 普通の人なら自然出てくればいいだけの話だが、そのものは普通の人ではなく”人の形をした異形”だった。
その異形は文字通りの黒い人影のような姿だが、よく見るとなにやら小さい目がついたような球の姿をした異形がいたり、中には真っ当な形をしたものもいるがそれもやはり黒い異形であることは変わりなどない。
???「ぐるるるるる。」
奴らを追うか? と、問いかけているがそのものは首を振った。 何故なら”まだ早すぎるのだ。”確かにそのもの達の力であれば不可能ではないが、その前に最も障害ともなるあのGFという組織の連中がいるため、迂闊に近づくことすらもできない。
何故なら、そのもの達はミリオンハンドレットナンバーのアークエネミーことバディレス達であるからだ。
かつてバディレス達はスピリエンスワールドに猛威を振るい、瞬く間にその世界の大半へと手中にしたほどの実力を持ち、更なる勢いを上げんと外界へといくつか侵入したわけだが、そのほとんどはあのGFの妨害によって幾度も退けられたからだ。 その結果、外界を掌握することはできなかったものの、代わりに数多くの敵や協力者の力と技術を手に入れることができたのだからこれでよしとしている。
元々バディレスは世界そのものを支配するためではなく、”試練を与えるために存在している。”その使命のためなら世界ごと支配しても構わないし、いっそ滅ぼすことも躊躇なく実行するし、なんなら更なる力を得て対抗しようではないかという感じでここまでやってきた。
とはいうものの、このままでいいのだろうかとか更に力を付けてあいつらに立ち向かおうとか相手の意表を突くべきだろうとかで、そこらにいるバディレス達はそれぞれ問答をしている。 だからといって、バディレスはなにも動物みたいな鳴き声でしか喋れないのではないが、ちゃんと人語を理解して喋るものもいる。
故に・・・・・・。
???「貴様ら、そこまでにしとけ。 例の獲物共が我らの予測通りにあれに行くのなら、それは我々にとって非常に好都合である。 そのことに理解しない奴はいるまいな。」
バディレス一同はそのことに異論はなく頷く。 バディレス達に話かけてきた赤いベージュの大きなマントと黒銀をベースとした鎧を着た大男を思わせる。 しかし、鋼鉄のようなフルフェイスを被っており、目と口というより歯のようなものでしか見えないから余計な不気味な雰囲気を合わせ持つ。 一言でいえば、死神のようで騎士の風格を持つという奇妙な組み合わせである。
バディレスA「しかし・・・、襲撃・・・する・・・タイミング・・・は・・・どう・・・するの・・・であるか?」
こんな風に途切れ途切れで話すものや・・・。
バディレスB「だが、それでGFの連中が勘付かれないか?」
流暢に話すものがいるなど様々なものが存在する。
???「それについては、我の指示を待て。 それまでは何も手出しはするな。」
バディレスC「それで、目標は・・・・・・散らばる・・・・・・これどうしたいい?」
???「心配は無用。 捨て置いても問題はないだろ。 いずれにしても自然に集まるだろうと思われる。 よって、各自指定されたとおりに動くぞ。」
その言葉によってバディレスはそれぞれの場所に赴き・・・。
???「では、狩りを始めよう。」
と、その大男は不気味なほどに口をニヤリと笑ったのであった・・・。
■
(気を付けろ。 奴らがもうそこまで来ているぞ。)
直「えっ?」
謎の声が聞こえて振り向けば奴らというものが全く見当たらない。 いるのはただの村人とそこらにいるGFのメンバー達のみである。
直「気のせいか。」
ま、これが空耳だと思えばむしろありがたい気分だ。
直「それにしても、賑やかだな。」
あれから色々と回って遭遇したのは、村人達ばかりなのは当たり前だが、GFのメンバーで最初に遭遇したのはイクスとかなたの二人だった。
直「あ、なにしているのですか?」
イクス「おお、直か。 いま、ここの商売仲間と商談しているところだ。」
商人「ん? おまえさん達知り合いか?」
かなた「ええ。 新しく入った新入りでして。」
商人「がははは、そうか。 ところでイクスの旦那。 今回は質のいいのを持ってきやしたけど、これでどうですかい?」
中年太りのようなおっさんが、なにやらシルクやら絹のような布を見せてイクスに伺っている。 昔の商談って、こんな感じだっけな・・・。
イクス「ふむ。 悪くはないですね。 では、こちらの方は。」
商人「それを選ぶとはお目が高い!! これはここでしか手に入らない希少なものですけど、それも買い取りますか?」
イクス「ほう。 この肌触りがなんともいい。 間違いなく本物だなこれは。」
商人「あっしは、旦那ほどの偽物を出しても意味はないと思ってやすので。」
イクス「これはどうも。」
ん〜〜。 俺には少しわからんものだな。 商人同士でしかわかるものなのか?
かなた「どうしました?」
直「なんか、どっちも腹黒そうな気がするなって。」
かなた「まあ、商人なんて腹黒くて当たり前です。 中にはとんでもないものまで押しつける商人もいますから。」
なるほど、そういった駆け引きもあるってわけか・・・・・・。
直「それじゃ、俺はこれで。」
かなた「それでは、ご健闘をお祈りしています。」
商人「おう、坊主。 お前さん試練を受けるんだろ? 頑張ってこいよ!!」
イクス「私も同じ気持ちだから頑張っていきなさい。」
直「おお、わかった。」
なんかそういわれると、むずかゆいなこれ。
イクス達と別れたあと、次にあったのが・・・・・・。
カイ「ふんっ!!」
逢魔「おうりゃ!!」
がしっ!! と、印象的にいえばなんか腕相撲みたいなところで始まっている。
しかも、ご丁寧にギャラリーが大勢いることで・・・。
村人A「そこの金髪の兄ちゃん負けんじゃねえぞ!!」
村人B「白髪の坊主も負けてんじゃねえぞ!!」
村人C「お前には2万と賭けているからな!!」
と、こんな感じですっかり賭博状態になっているが、もしかして逢魔の奴、注目を集めて人気を得るという考えか。
リク「おっ、そこにいるのは直じゃねえか。」
直「ん? ああ、リクさんか。 どうしたんですかその腕は?」
その場にいたと思われるリクさんに声を掛けられていったものの、よく見るとリクさんの左腕になにやら赤く腫れ上がっているような感じがするけど。
リク「リクでいいっすよ。 あと、これはあれの腕相撲大会で運悪く兄貴のガチ本気にやられちゃってこの有様に・・・・・・。」
どんなことをすりゃ、そんなに赤く腫れ上がるのやら・・・・・・。
直「一応聞くが、この腕相撲大会をしようって言ったのは誰だ?」
リク「いうまでもなく、逢魔と兄貴の方っすね。」
・・・・・・やっぱりか。 そんなことだろうと思った。
リク「それにしても、おたくの友人さん。 周囲に場を盛り上げる術を持っているっすね。」
直「まあ、幼い頃からいつもあいつ中心に盛り上がっていったからな。」
そのことを思い出せば思い出すほど面白おかしなものばかりであるが、一生忘れないくらいの思い出でもあったからな。 例えば、皆で夜の階段とかしたり、自分達の予算でバーベキューをしたり、なんか男子全員で覗きやら大食いやら恋バナやら我慢比べやらプロレスやらで色々していたな。 そういう積極的な行動はいつか社会へと役立っていくんだけど。
そういえば、元の世界に帰れない時点で社会すらもできないうえに世紀末的な状況になっているしな。 けど、それがなかった場合はどういう道を歩んでいるのだろうか?
きっと、俺は表に出ることを嫌って裏方の仕事に方に就職しているだろうと思うけど、逢魔や春の場合はどうなるのであろうか? きっと・・・・・・。
逢魔と春「「直のいる仕事がいい!!」」
・・・・・・・・・・・・。 なんかそう考えると妙に不安感があるのは気のせいだろうか?
というか、そもそも俺離れしておくのが先決ではないのか?
せっかくだから、この機に・・・・・・。
リク「どうしたんっすか? そんなに深く考えて?」
直「ん? ちょっと、懐かしかったからな。」
ああ、そうだった。 今はリクと話している最中だったな。 とりあえず、これは封印しておこう。
リク「深く考えるほど、そんなに懐かしかったんっすか?」
直「まあな。」
これは、嘘偽りないことだから問題はない。
村人達「「「おおっーーーーー!!」」」
村人達が物凄い歓声が聞こえる。 そういえば、あっちの方は。
カイ「さすがに、やるな。 だが、俺はまだ本気を出してはいないぞ!!」
逢魔「こっちもまだ本気をだしちゃいねえよ!!」
凄い汗まみれだなあの二人・・・・・・。
リク「というか、大丈夫っすかね? この後、あれがあるっしょ。」
直「確かにそうだけど、まあ大丈夫だろ。 そういうわけで俺はこれで失礼する。」
リク「おう、気を付けていけよ。」
直「ああ。」
そんなわけでリク達と別れて最後に遭遇したのは・・・。
葉尾里「あっ、直さんこんにちは。」
春「おやあ、こんなところで遭遇するってことはイベントフラグ発生ですか?」
相変わらず、好きだなそのゲーム知識でいうの・・・・・・。
直「それはともかく、お前は何やっているんだ?」
春「何って、見てのとおりお花屋さんを見にきたに決まっているじゃありませんか!!」
確かに、女子が好きそうな花屋できゃきゃと騒ぐのが定番だからな。
直「それにしても、重度のゲームとBLオタクが珍しくも花に戯れているとは至極驚きだったなこれは。」
なにせ、今までそれしか見てなかったからなこいつの日常。
春「それ何気に酷いですよ!! 私だって美少女らしくお花さんに戯れたい気分ですよ!! というか、今までしていなくて悪いか〜〜〜!!」
ホントの美少女は自分で宣言しないっつうの。 というか、自分で認めているし・・・。
葉尾里「まあまあ、春ちゃん。 落ち着いて。」
春「う〜〜。」
そこ頬を膨らむなよ。 思わず突っついてやりたくなるぞ。
ぷみぷみ。
春「ぶっ!!」
直「そんなに驚くことか?」
春「な、な、なななっ!!」
な?
春「何するんですか!! ていうかこれはあれですか!! 朴念仁が無神経に乙女の肌に触って赤面させるフラグですかこれは!!」
それ言ったら台無しだろうと思うが、少なくともそんなつもりでやった覚えはないし、あと誰が朴念仁だ。
葉尾里「あの。 直くん? それはあまりにも無神経すぎると思うよ?」
・・・・・・結果的に俺が悪いのかこれ。
直「まあ、とりあえずすまんな。」
春「と、とりあえずって〜〜〜!!」
そう赤面しながら俺にポカポカするなよ。 地味に痛い・・・ん?
アリス「とりゃ〜!! 乙女を泣かす不埒者は正義のキックで滅されろ〜〜〜!!」
クロハ「我も助太刀いたす!!」
お〜い。 これ、俺に目掛けて飛び蹴りする気かよ・・・・・・。
直「仕方ないから、これでガードな。」
と、掌に魔法陣を展開してちびっ子金髪ズの飛び蹴りを何気に防ぐ。
アリス「ああっ!! シールドを展開して防ぐなんて非常識だよ!! そこはあえて喰らうべき立場だとあたしはそう思うのだけど〜〜〜!!」
クロハ「このKYが!! 少しは空気を読め!!」
いやあ、だってそうしなきゃ多分どっかに吹き飛ぶんだろうと思うからな。
今のはプレイルなら誰でもできる初歩中の初歩こと”プロテクトシールド”である。 展開する魔法陣の面積は使用者を覆うほどの大きさだが、その面積を更に大きくすれば護る範囲が広くなるが強度を薄くなる傾向があり、逆に小さければ強度が高くなるが護る範囲が狭くなるというリスクがある。
ちなみにプロテクトシールドのような魔法陣は応用が広く、カウンターや受け流し、ビットのように遠隔操作することができればビームなどの追加攻撃することができるなど、誰でも扱いやすいからか他にも合体技や複合技、転移などの用途に使われることが一般的になっている。
直「というか、この世界でも死語と思えるものが出るとは驚きだな。」
なにせ7億年後だし、そういうものは存在しないじゃないのかって思っていた。
アリス「そこ人が文句言っているのに無視しないでよ!!」
クロハ「ほほう。 我らを無視するほどの余裕があるとは上等じゃ!!」
あ、そういえばこの金髪コンビに絡まれているんだっけ。
直「そうだな。 とりあえず悪人らしく逃げるとしよう。 というわけでまた後でな。」
葉尾里「はい。」
春「ええっ!! 美少女を赤面したままって放置プレイですか!!」
悪いが、そんな暇はない。
アリス「ああっ!! あいつ逃げるよ!!」
クロハ「敵前逃亡でくるとは、こちらは追うぞ!!」
俺は金髪コンビから物凄い逃げ回ったのであった。
・・・・・・そんなわけで。
直「確か、そんな感じであったような気がするんだよな。」
ここで回想は終了するが、今もあの金髪コンビから逃げ回っている最中である。
直「というか、あの二人。 なんで俺の位置がわかるのだろうか?」
さっきから逃げてばっかの繰り返しなのだが、やっと撒いたと思ったらすぐに発見されては追いかけられて、んでもってまたやっと撒いたと思ったらまたすぐに発見されるのループ状態。 ああ、自分でもわからないほどの同じ内容を言っているしな・・・・・・。
ていうか、あの二人。 俺に発信機か何かで付けているのだろうか?
スティア「ん? そこにいるのは直ではないか? 何をしている?」
直「えっ? ああ、ちょっとあの二人に追い掛け回されてな。」
そこで不意にスティアに声を掛けられ、俺は応える。
スティア「あの二人って、逢魔と春のことか?」
直「いや、アリスとクロハのことだよ。 わけあっていま逃げ回っているところ。」
ま、スティアから見れば俺はいつも逢魔と春をつるんでいるように見えるだろうな。
アルティ「大方、何かやらかしてアリス達のターゲットになったでしょう。」
直「何故かは知らんが、的になったのは確かだ。」
ルミ「あはははは。 大変ですね。」
いや、ほんとに大変なのだが・・・・・・。
直「それにしても、なんであいつらは俺の位置を正確にわかるんだ? なにか心当たりはないのか?」
かといって、ベゼルク村はそんなに小さくはないし、十分に逃げ切れるほどの広さはあるはずなのに、何故か正確無比に俺を追いかけることができるのだろうか?
スティア「・・・・・・ああ、もしかして。 お前、”その衣服に髪の毛は付いているか?”」
直「えっ? 念のために調べたけど、全然見つからなかったぞ。」
というか、触れてすらもいない。
アルティ「・・・・・・なるほど。 じゃあ、あんた”頭調べたの?”」
直「・・・・・・・・・・・・。」
マジで? あ、ほんとだ。 しっかりと付いていやがる。
直「まさかとは思うが、この”髪の毛一本で発信機代わりになっているのか?”」
ルミ「ええ、そうですね。 多分、アリスちゃんの仕業だと思います。」
やっぱり・・・・・・。 そういえば、アリスはナノバイオというナノマシンの究極世代にして最終形態だったな。 ということは、俺の知らぬうちに仕込まれたというわけか。
直「よし、そうとわかればいますぐこれを捨て・・・・・・。」
スティア「ああ、言っておくが捨てても無理だと思うぞ。」
直「えっ? なん・・・・・・でえっ!!」
不意に、なにか二人分の足の感触をしたものが・・・・・・って、しまった!!
クロハ「ぬははははは!! やっと追いついたぞ!! このやろっ!!」
アリス「しかも、あたしが付けた”ヘアサーチ”を見つけて捨てようとするなんて!! リーダーに、アルティ!! あたしのヘアサーチのことばらしたでしょ!!」
スティア「いや、直が質問したからついな・・・。」
アルティ「というか、”始めから筒抜けでしょうに・・・。”」
ルミ「まあ、二人とも悪気があったわけじゃないから。」
・・・・・・どうやら、アリスのいうヘアサーチと呼ばれた発信機(というより髪の毛だが)は、相手の場所だけではなく、盗聴もできるらしい。
だから正確無比にかつ、あんな気が付きにくいところに仕込んでいたとはさすがにわからないなこれは・・・・・・。
直「ともかく、どおりで何度も発見できるわけだな。」
アリス「だからといって、人に質問するのはメッ〜!! だよ。」
俺は、お前の子供かい・・・・・・。 というか、別にいいだろそれくらい。
クロハ「お前が、生意気にも逃げ回るから悪いのじゃ!!」
アリス「そうだそうだ!! 断固として、直が悪い!!」
何故に、俺が悪者ムードになっているんだ?
スティア「よくわからんが、謝ったらどうだ?」
アルティ「そうね。 それがいいわよ。」
ルミ「・・・だそうです。」
俺の周囲に味方なしか・・・。 まさに孤立無援状態だね・・・・・・。
直「仕方ない。 ここは謝って・・・・・・。」
アリス「あ、あんなところに悪人発見!!」
クロハ「なぬっ!! 確かに見た目通りの悪人じゃ!! 成敗するぞ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・。
謝ろうとする前に、あの二人どっかいきやがった・・・・・・。
カイ「おらあっ!! そろそろ降参しやがれっ!!」
逢魔「なんの!! これしき・・・って、ぎゃあああああああ!!」
そして、未だに腕相撲している二人組に突撃しやがった。 というか、確かに両方共、目がギラギラしていたから悪人と間違われるのは無理もないが・・・・・・。
というか、まだ腕相撲していたことに驚いたけどな・・・・・・。
スティア「良かったな。 ターゲットが変わって・・・・・・。」
アルティ「そうよね。 悪人役が変わって良かったね。」
ルミ「私はなんといっていいのか・・・・・・。」
確かにそれは同感だが・・・・・・。
直「なんか意地悪くいってません二人共?」
スティア「いや。」
アルティ「別に・・・。」
・・・・・・これ以上いっても無駄か。
村長「これは一体どうなされましたか“スティア王子殿?”」
スティア「ああ、ちょっと世間話をしていただけだ。」
・・・・・・ん? スティア王子?
直「なあ、スティア王子って?」
村長「おや、そこの方にはまだ話しておられませんでしたか?」
スティア「ん? アルティ、お前が言っていたのではなかったか?」
アルティ「あ・・・、そういえばそうよね。」
直「どゆこと?」
ルミ「ええっと、つまりスティアはロウキル王家の第2王子なんです。」
・・・・・・はい?
スティア「今は元であるがな。 とっくにロウキルの名は捨てたっていわなかったか村長?」
村長「いやはや、例え名を捨てていたとしてもスティア殿が王子であることは変わりありませんし、今でもわが村の誇りに思っています。」
直「よくわからないけど、凄く慕まわれているんだなスティア殿?」
スティア「嫌味か、それ・・・・・・。」
おおっ、若干困惑気味なところ発見できたな。
直「ってことは、アルティは“王女”ってことだよなそういえば。」
あのときに、スティアのことお兄ちゃんといっていたし・・・。
アルティ「ええ、そうよ。 別に隠すことじゃないけど、それに私も元だけどね。」
直「え? でも、ロウキルの名は捨てていないだろ?」
実際に自己紹介でアルティ・ロウキルっていっていたし・・・・・・。
アルティ「心配しなくても、本来の名はあるけどそれじゃ区別しやすいようにこのままで名乗っているのよ。」
ん〜? でも、本来の名って・・・・・・もしかして。
ルミ「知っているかもしれませんがエルサイドという名です。 でも、両方ともその名を名乗っていたら、何故かどっちの方を呼んでいるのかわからなくなっちゃって・・・。」
アルティ「で、仕方ないから互いに今の名を名乗っているわけ。 こっちの方がわかりやすいみたいだったしね・・・。」
要するに、実感がないのかその苗字で呼ぶ奴がいたから仕方なくそうせざるを得なかったということか。
スティア「そういえば、そろそろ時間ではないのか?」
直「もうそんな時間か・・・。 そういうわけだから、もうそろそろいっておくぞ。」
村長「お気を付けてくだされ。」
ルミ「頑張ってくださいね。」
アルティ「怪我をしないよね。」
スティア「行ってこい。」
スティア達に見送られながら俺はあの集合場所である白い門にいくことになった。
■
逢魔「おう、直。 お前が最後だぞ。」
春「そうですよ。 遅いじゃないですか。」
直「スマン。 ちょっと、用事をしていたもので。」
やれやれ、俺で最後になるとは思わなかった。
ロゼット「じゃあ、全員揃ったところで、ここから先が“試練の森”だから準備はいい?」
メリア「門番には、既に話を通していますので中に入ることを勧めます。」
確かに、あの白い門は開いている。 まあ、中に入ればいよいよテスト開始だからな。
逢魔「んじゃ、とっとと入ろうぜ。」
春「そうですね。 わくわくします。」
直「お前ら、目がキラキラしすぎだろ。」
門番「それでは、お気をつけてください。」
こうして俺達は、門番に見送られながら試練の森と呼ばれたところに入るのだった。
〜試練の森〜
直「ここも、自然豊かなんだな。」
今現在、試練の森の中にいる。 ベゼルク村と変わらない雰囲気を出しているが、辺りは森林に包まれているため、より一層神秘的に感じられる。
ロゼット「とはいっても、原生生物がいるから早めにロストウェポンを出したほうがいいよ。」
直「ああ、わかった。 『来い!! ヴェルセルク!!』」
逢魔「お、じゃあこっちも。 『きやがれ!! ジャルハダ!!』」
春「ずるいですよ!! 『来て!! ユングヴェル!!』」
と、各魔法陣からそれぞれロストウェポンが召喚し、それを手に取った。
メリア「それでは、私達は手を出しませんのでどうぞ進んでください。」
直「えっ? つまり、三人でここをクリアしろと?」
ロゼット「そうだね。 説明するの忘れていたけど、試練の森はヴェイグレントズだけで進行する。 んで、僕達は緊急のとき以外は一切手を出さないからそのつもりで。」
まあ、そのためのテストだから仕方ないか。
逢魔「ま、監督っていったからついてくるわけだよな。」
メリア「ええ。 そのための試験官ですから。」
春「緊張しますね。」
なんか本格的な感じがするな・・・・・・。
直「じゃあ、遠慮なく進むとするか。」
そんなわけで、しばらく進むこと数分・・・・・・。
逢魔「なあ、ロゼットのいった原生生物ってこれか?」
直「そのようだな・・・・・・。」
まあ、確かに原生生物もといモンスターは出たわけだが、なんといっていいのかゲームに出てくるスライムのボールバージョンみたいな感じである。
メリア「あれは、スピリエンスワールド中に出てくる一般的な原生生物、“ポムポム”です。 放っておいても無害な存在ですが、危害を加えると攻撃してくるので注意が必要です。」
なるほどね。 ・・・・・・というか、あれがスピリエンスワールド中に出ているんかい。
ポムポム「ポム〜〜。」
点目が二つと口はあるが、なんとも鳴き声がかわいらしい・・・感じである。
ロゼット「まあ、マスコットとしても有名だからね。」
確かに、あれの形をした商品があったからな。
春「ところで、なんで誰も攻撃していないんですか?」
直「ん? 確かに誰も攻撃していないな。」
メリア「さっきも言いましたが、手を出しませんよ?」
逢魔「ですよね〜〜〜。」
そりゃ、監督兼試験官だから当然だろ。
春「じゃあ、私が攻撃します!!」
と、一番先に春が乗り出し・・・。
春「そ〜〜れ・・・・・・。」
そして、ポムポムに攻撃する直前に止まった。
直「おい。 なんで攻撃を止める?」
春「だって・・・・・・、あんなに無害そうな目で見られたら攻撃できません!!」
・・・・・・・・・・・・はあ?
逢魔「それじゃ、俺が攻撃するぜ!!」
今度は、逢魔が変わって攻撃した直前に・・・。
逢魔「・・・・・・できねえ。」
ピタッ!! と、動きを止めた。
直「・・・・・・お前ら、何をふざけているんだ?」
逢魔「だって、あんなに無抵抗な奴をやる勇気は俺にはねえ・・・。」
春「そうですよ!! 私もそれに同意です!!」
ロゼット「・・・・・・まあ、気持ちはわかるけどね。」
なんかすげぇ頭が痛くなってきたぞ・・・・・・。
直「もういい。 俺がやる。」
このノリでやっていたら日が暮れるので、ポムポムのところに行き、そしてすかさず剣を振り下ろそうとしたら・・・・・・。
ポムポム「ポム〜?」
と、なにやらほんとに無害そうな目でこっちを見てくる・・・・・・。
これは確かに攻撃できないが、だからといってテストをやめるわけにはいかないので、改めて勢いよく振り下ろそうとしたとき・・・・・・。
メリア「『インパルスバレット』」
直「へっ?」
ドコンっ!! と、大きな音と弾っぽい何かが飛んでいき・・・。
ポムポム「ポムっ〜〜〜!!」
そして、あっという間にさっきまでいたポムポムは跡形もなく消し炭にされた。
メリア「すみませんが、時間が掛かるので始末しました。」
と、メリアは砲身に両刃がついている馬鹿でかい巨銃らしきものを持って淡々と述べる。
ロゼット「ちょっとメリア!! 彼さっき剣を振り下ろそうとしていたところだよ!!」
直「・・・・・・・・・・・・。」
いま、眼前に弾飛んできやがったから超怖え〜〜〜〜〜〜〜!!
逢魔と春「「ああ〜〜〜〜!! ポムポム〜〜〜〜!!」」
おいこら、俺を心配しろよ!!
直「ていうか、これって緊急なんだっけ・・・・・・?」
メリア「・・・・・・。 次は善処をします・・・・・・。」
直「さっきの間はなんだーーーー!!」
俺の絶叫が辺りに響くのだった・・・・・・。
■
スティア「ん?」
アルティ「どうかしたの? スティア?」
スティア「いや、なんか声が聞こえたような気がするが?」
ルミ「気のせいじゃないですか?」
スティア「そうか。」
まあ、大きな音が出来るところといえばあの試練の森だけ。 ここベゼルク村に迷惑かけないように防音と空間隔絶の結界をしているから、こちらに被害がくることはないし、大きな音や声で騒いでも聞こえるはずもないからな。
そして、その結界に入るのは唯一あの白い門だけでそれ以外は一切入ることも出ることもできない。
なので、非常事態になったときには、ロゼットかメリアのどちらかが試練の森に配置している感知魔法陣を発動させれば、すぐに俺達が対応できるようにしている。
だが、本来はそれを配置するほどの危険性はない。 なにせ、試練の森にいる原生生物のレベルがそんなに脅威ではないからだ。
何故なら・・・・・・。
エイガー「やはり、奴らが来るのを警戒しているか?」
スティア「ああ。 そのために、いつでも対応できるように待機している。」
ギルド「俺達、“レギュラーズ”がな。」
一応説明しておくが、GFの構成図は大体2チームに分かれている。
一つは、俺がリーダーとしてやっているレギュラーズ。 メンバーは、俺とルミティス(アルティとルミも含む)、ギルドとアリス、エイガーとユナ、そして、ラゼインとゼルファとリルティの9人(11人)。 組織の主力チームなため、攻勢する立場である。
そして、もう一つは“ガーディアンズ”で、リーダーはイゼルトだが、ときにロゼットやメリアに任せることもある。 メンバーはその三人も含み、マキア兄弟に、アサキと鬼舞羅、フージとクロハ、十織と葉尾里、イクスとかなた、そして、エルミナ率いるティメットシリーズの四姉妹の18人で、主にアルシオンや各拠点の防衛を任せている。
以上が、GFでのチームの構成図と役割であるが、最近入ってきたあの三人はまだどちらのチームに入っていないため、ヴェイグレントという独立チームを結成させている。
メンバーは直と春と逢魔の三人であるが、場合によっては第3チームということになるだろうとは思う。 いや、”そうなるのであろうという確信を抱いている。”
そうなれば、リーダーは必然と直の方に傾くとは思う。 それが何故かは知らないが、さっきもいったようにそういった確信を抱いている。
エイガー「やはり、お前もそう感じるか?」
それは勿論、他のメンバーもそのことに気づいている。
スティア「ああ。 あの時の外界の状況とよく似ているな。」
ギルド「”世界の事象改変か?”」
スティア「そのとおりだが、なにかしらの兆候がないという結果に疑問を抱くがな。」
世界の事象改変。 それはこの世界だけではなく、外界にまで起こっていたシステムのような現象であるが、俺達がある特定の場所で間違いが起きたときに”ノイズのような兆候”が起こり、その時点での内容を書き換えられたというよりむしろ”修正されている現象”が常に俺達の前に起きていた。
それは、外界の住人達やうちのメンバー達などはそのときの記憶を覚えていないが、俺達のようなレギュラーズ全員が覚えており、エルミナや“あいつら”もその事を覚えている。
その事象改変を体験している俺達は、直達についてはある確信をしているものの、アルティの一件によって“話せないというよりむしろできない状況にある。”
アルティ「つまり、これであっているということなんでしょ?」
スティア「そう思いたいが、俺は悪い方向にいくような気がする。」
具体的にいえば、与えられた物語のとおりでないと意味をなさず、さもなければあのときのアルティのようにまた事象改変されるであろうと思われる。 ちなみにあのときとはアルティが直にある真実を言おうとしたときの件である。
だからといって、それが良い方向になるとはどうにも思えず、なんとかして回避はしたいものの、どう足掻いても後手に回ることが多く、見ていることでしかできない。
エイガー「だが、逆に対策くらいはできるだろ?」
スティア「ああ。 そのためにロゼットやメリアを直達に同行させ、万が一のときはあの二人の緊急コードでいつでも俺達が対応できるようにしている。」
そのため、ガーディアンズはアルシオンやベゼルク村での護衛を任せ、そして俺達レギュラーズは確実に後手になるであろうと思われるものに対応すべく待機している。
一部、それなら自分達が同行すればいいんじゃないかという声もあがったものの、それは完全に不可能でそんなことをしても事象改変されるため、今という状況に至っている。
ギルド「それで、敵がくるとしたら・・・。」
スティア「間違いなく、バディレスだ。」
俺が、その言葉を言ったときに・・・。
ギルド「ちょうど、アリスからの連絡だ。 内容はあいつらが動いたらしい。」
スティア「いけるか?」
ギルド「それが、ルミがいったところ事象改変されたらしい。」
やはり、不可能か・・・・・・。
ちなみに、ラゼインを筆頭にあいつらことバディレスの動向を探っていたが、どうやらここまでらしい。
ギルド「引き続き、ラゼイン達と一緒に見張っているだとさ。」
エイガー「それじゃ、結局見ていることでしかできないってことだな。」
スティア「そうだな。」
気楽に待っていようなんていってもおそらく意味はないだろう。 結局後手に対応することでしかできない状況に俺は自問自答するのであった。
■
直「『パワースラッシュ!!』」
逢魔「『牙迅・狼影!!』」
春「『フレイムバスター!!』」
ポムポム「ポム〜〜!!」
グリ−ンモンキー「うきゃ〜〜!!」
と、スライムのボールバージョンことポムポムと緑一色の怪人猿ことグリーンモンキーの群れを薙ぎ払って倒したときに、俺達のラクターからGzがまた増えたのであった。
逢魔「いよっしゃあ!! これで30匹は撃破したぜ!!」
春「でも、獲得するGzが少なすぎです・・・・・・。」
直「そりゃ、ランクが低いから当たり前だろ。」
なぜゲームみたいなシステムがあるのかわからないが、さっきのとおり敵を倒すとその敵の強さに応じて自動的にGzが貰える仕組みになっているが、ブラックラクターのような特殊なラクターしか導入されておらず、通常のラクターでは機能しないそうだ。
ちなみに、いま倒したポムポムとグリーンモンキーはランクがFであるため、報酬額が通常のランクよりも少ないのが現状である。
ロゼット「それにしても、短期間で覚えるなんてやっぱり修行の成果があったんだね。」
直「そりゃ、伊達にイゼルトさんにビシバシと叩かれまくっているわけではないからな。」
逢魔「こっちは兄貴達の猛攻に死にもの狂いで避けてきたんだぜ。」
春「私もユナ先生にたくさんの知識を厳しく教わってきましたから。」
直と逢魔「「お前は俺達と比べて楽すぎる内容だったろ!!」」
春「あれっ?」
メリア「まあ、だいたいの事はわかりますので、一旦話を切り替えましょうか。」
そりゃ、お前らもあれと同じくらいの修行をしているからある程度の共感は持ってくれているだろ。 ・・・・・・多分。
メリア「こちらが、知恵の間という門でございます。」
メリアが指したその方向になにやら人の顔をした門がそこにあった・・・・・・。
直「・・・・・・随分とおっさんみたいな顔だな。」
ロゼット「まあ、そこは仕方ないよ。 そこで、この知恵の間の内容だけど。 簡単にいえば、その門が出す問題に答えればいいんだよ。」
逢魔と春「「直。 あとのことは任せた!!」」
直「お前らな・・・・・・。」
ほんと、こういうのに頭が上がらないなこいつら。
メリア「とはいっても、全部で5問ありますから速やかに答えて次の試練に進みましょう。」
そういえば言い忘れていたが、この試練の森には知恵の間、勇気の間、そして力の間の三つの試練がある。 その試練を乗り越えたさきになにやら賞品が置いているらしく、その事に逢魔と春は張り切ってあのときにあったポムポムは攻撃できないとかの威勢は完全に消え、今の状況になったということである。
直「・・・そうだな。 ここで問答しても意味ないし。」
そんなわけで、あの人面門に近づき・・・。
人面門「お前が、スティア様が言っていた直という者であるか?」
逢魔「うおい!! 喋ったぞあの人面門!!」
春「ほんとですよ!! どんな動力で動いているのですか!!」
・・・・・俺の方はもう驚かないというか慣れたこの状況・・・・・・。
直「ああ。 そこの逢魔と春も一緒でお前の問題を受け持つことになった。」
ワイズ「そうか。 なら話は早い。 我はこの知恵の間の守護をしているワイズだ。 さっそく我の出す全部で5問の問に答えろ。」
直「それじゃあ、やるとするか。」
その結果・・・・・・。
ワイズ「ほう。 一問もかすりもせずに全問正解したな。 よろしい。 では先に進むがいい。」
と、ワイズは自ら門を開いたのであった。
ロゼット「というわけで、次行こうか?」
そんなわけで、次の試練こと勇気の間では・・・・・・。
ブレイブ「我が名はこの勇気の間を守護するブレイブなり、汝ら、我の試練を乗り越えてみせよ!!」
と、ブレイブの前には大きな湖らしきものが渦巻いていてロクに進むことはできない。
逢魔「ちょっと、待て。 これを渡れというのか?」
春「無茶ぶり満載ですよこれは!!」
ロゼット「まあ、これが試練だからね。」
メリア「文句を言わずに進みやがれです。」
直「そういわれてもな・・・。」
かといって、どうすればいいのやらとそう思っていたときに・・・・・・。
(よく見てみろ。 その渦はまやかしで、そこらへんに通路らしきものがあるだろう? そこを真っ直ぐ渡れ。)
直「えっ? また?」
お〜い。 こんなときにまた謎の声が・・・ってそんなことより、さっき通路らしきものって・・・あ、あれか。
直「そうとわかれば!!」
俺は思いっきりその通路らしきものに真っ直ぐ走りだし・・・。
春「ああっ!! 直が渦に向かって飛び込んでいますよ!!」
逢魔「つうか、死ぬ気かあいつ!!」
肝心のロゼットとメリアは何も言っていないということはつまりこれで合っているということだろう。 そんな感じで・・・。
ブレイブ「見事、恐れずにこの試練を乗り越えることができたようだな。 では、先に進むがいい。」
と、ワイズと同じように門を開いたときに・・・・・・。
春「ちょっと直!! さっきから私達モブ扱いされているんですけど!!」
逢魔「そうだそうだ!! 少しは俺達にも活躍の場を与えてくれよ!!」
直「だったら、少しは頭を動かして行動せんかい!!」
というわけで、いよいよ力の間に辿り着き・・・・・・。
パワー「我・・・、この力の間を守護するもの・・・、パワーなり・・・。 汝・・・、我の出す試練を・・・乗り越えて・・・、みるがいい・・・。」
やたら、途切れ途切れだな・・・。
逢魔「んで、これはどういう課題で?」
ロゼット「ん? 見てのとおり力試しということさ。 ほら、あそこに君達の相手が来たよ。」
ロゼットが指をさした方向を見ると、そこになにやら機械仕掛けのロボットらしきものがこっちに向かってくる。
ガーディアン「ピピッ。 私はこの門を護る守護兵なり。 この私に挑戦をするのは誰か?」
メリア「はい。 そこにいる直と逢魔と春の三名が相手となります。」
春「ちょっ、ええっ!! なにやっているんですか!!」
直「どうやら、話をしている暇はないぞ!!」
ガーディアン「ピピッ。 承認。 ではこれより排除をする。」
ぶんっ!! と、大きな腕を振り回し、ドゴン!! と、大きな音を鳴らしながら地面を減り込ませた。
逢魔「おい!! これはマジでやばいぞ!!」
直「それを言っている暇があったら、行動をしろ!!」
俺の言葉を合図にガーディアンとの戦いが始まったのだった・・・・・・。
■
黄金の神皇「いよいよ始まったな。」
とまあ、俺はいつもどおりというかこうしてあいつらがガーディアンとの戦闘を開始しているところを見て満足するわけだが・・・・・・。
???「実際さ、それと同時にバディレスやGFがいま動いているけど?」
黄金の神皇「それは心配ない。 バディレスは物語に忠実だから不正することはないし、GFの連中はどう足掻いてもあの緊急コードの発令以外で動くことはねえよ。」
なにより、あの事象改変のせいで動けずにただ後手に回ることでしかできないからな。
???「ところで、なんで直に教えたの?」
黄金の神皇「ん? ああ、あれか。 そういってやらないと物語が進まないからな。」
???「少しはギクッ!! とか慌てた方が良かったな〜〜。」
つうか、あんな古典的な手に引っ掛かると思っているのかあいつは・・・・・・。
黄金の神皇「お前は、ほんとに“あのときから変わっていないな。 アーク・ゼロ?”」
アーク・ゼロ「お前こそ、“あのときからずっと変わっていないだろ? ラスト・アーク?”」
黄金の神皇「それは互いのコードネームだろそれは?」
そう。 俺達はアークエネミーであり、原初と終焉を司る大いなる脅威である。
その原初のアークエネミーがアーク・ゼロと呼ばれ・・・と、ここではまだ名を明かさないが、容姿は直と同じくらいで、俺と同じ黒髪と黄金の眼を持っている。
そして、この俺はアークエネミーのラストナンバーにしてラスト・アークと呼ばれている。
アーク・ゼロ「まあ、確かに・・・。 だが、ここで・・・。」
ラスト&ゼロ「「殺り合ってもいいんだぜ?」」
俺は究極形態にして最強のロストウェポンこと“大剣の形をしたアルヴァ・ナーグ”を、そしてあいつは“自らの虚無で生み出した虚ろな巨人の手腕”で互いの首筋を当てる。
黄金の神皇「俺の力で“お前の存在を創り変えてやろうか?”」
アーク・ゼロ「お前こそ、“俺の力でなかったことにしてやってもいいんだぞ?”」
単純にいえば、お互いの能力でもあるが、それを使ってもこいつには“効かないという確信を互いに持っている。”なので・・・・・・。
アーク・ゼロ「ま、そんなことをしても決着はつかねえし、それにお前はあれがあるからな。」
黄金の神皇「とはいっても、あれはこの物語一個分してもまだまだ足りないくらいだよ。」
なにせ、アーク・ゼロと俺の同類以外全員は弱すぎるからな。 まあ、そんなことより。
アーク・ゼロ「ん? どうやら、苦戦しているようだね。」
確かに、直達三人はガーディアンていうかゴーレムもどきを相手に苦戦はしている。
黄金の神皇「あの弱点のことを言ってしまいたい気分だなこれ。」
アーク・ゼロ「だからといって、またちょっかいかけるのは駄目だけどね。 そうなったらそれを頼りに依存してしまう癖を持ってしまうからここまでな。」
黄金の神皇「それはわかっているが、道標程度は教えておこうか。」
アーク・ゼロ「この試練が終わってから・・・・・・。」
はいはい、わかってますって・・・・・・。
というわけで、直達のシーンを戻すとしますか。
■
逢魔「やろっ!! 『閃爪っ!!』」
逢魔がガーディアンに向けて一閃を放つが、当のガーディアンはかすり傷をついただけでピンピンしている。
ガーディアン「その程度か。 その程度か。」
おおう。 なんかむかつくような挑発ポーズをしやがるし・・・・・・。
春「なんのっ!! 『ボルテッカー!!』」
春がユングヴェルの先端に雷の球体を作りだし、それを勢いよく振り回してガーディアンへと飛ばして命中するものの、やはり致命的なダメージを与えていない。
ガーディアン「無理。 無理。 この程度じゃ、私を倒すことはできない。」
そして、さっきと同じ挑発ポーズを取る。
春「むき〜〜!! さっきから全然効いていないんですけど!!」
逢魔「これはあれか? 序盤から倒されるかガーディアンは倒せないのあれがくるのか?」
それ、なんかの曲でやっていたな。 実際、それの攻略方法がわかっていないだけだろうと思うけど。 というか、相手の動きをよく見て対処していないのが悪い。
直「落ち着け。 相手は大雑把な攻撃をわざとしているが、あきらかに“俺達の攻撃を全部避けずに受けている。”」
逢魔「確かに。 闇雲に攻撃しても意味ないってことか。」
直「そうだ。 それにあいつが全部俺達の攻撃を受けているってことは、どこかに弱点らしきものがあるはず。」
とはいうものの、時折聞こえた謎の声の助けはさすがに期待はできないだろうな。 となれば、自力で探すしかないだろう。
直「それじゃ、俺と逢魔は手当たり次第にあいつの弱点となるものを攻撃していくから、春は攻撃しにくい頭部辺りを頼む。」
春「了解!!」
逢魔「そんじゃ、一丁やりますか!!」
よしっ!! ひとまず、簡単な作戦の方針で俺は背面を逢魔は前面を担当し、春は俺達が狙いにくい頭部辺りを攻撃し始める。
直「まずは、背中!! 『ソニックブレード!!』」
剣の衝撃波を出してガーディアンに命中するが、これも避けようとはしなかった。
逢魔「うらあっ!! 『剛撃乱舞!!』」
続いて、逢魔が手当たり次第にさっき当てたところを含め、腕や足、そして手の平などを攻撃してみるが、やはりこれも避けようとはしない。
春「これでどうです!! 『スナイプアロー!!』」
そして、ホーミング能力が高い誘導弾を春が頭部に当てようとした途端・・・。
ガーディアン「ほい。 ガード。」
そこで避けようとはしなかったものの、“あきらかにスナイプアローを腕で防いだ。”
直「そこかっ!! 『バーストブレイカー!!』」
と、すかさずガーディアンの頭部に攻撃するものの・・・・・・。
ガーディアン「そうはさせる・・・・・・。」
ガーディアンは慌ててガードしようとするが・・・・・・。
逢魔「わけないだろうが!! 『動脈殺し!!』」
ガーディアンの動きを封じたところでナイスと言いたいところだが逢魔よ。 そのネーミングセンスはなんだ。 というか、そいつに動脈なんてものがあるのか? ともかく・・・・・・。
直「もらったあっ!!」
そして、俺の渾身の一撃でガーディアンはズシン!! と、大きく崩れ落ちた。
ガーディアン「見・・・事・・・なり・・・ガクッ。」
なんかわざとらしいセリフで落ちよって・・・、まあそれはいいとして・・・・・・。
パワー「ふむ・・・。 よく・・・やった・・・。 見事・・・我の・・・試練を・・・乗り越えた・・・な。」
なんか、そのセリフだと一緒に倒した感じのような気がするのは何故だろう?
パワー「では・・・、これで・・・全ての・・・。」
ロゼット「ああ〜。 それはいいから普通の口調で戻って。」
ん? 普通の口調?
パワー「あ、やっぱそうっすか。 いや〜、これでいいんかなと思いやしてね〜。」
逢魔「割と軽い口調だったこいつ・・・。」
春「しかも、小物っぽいセリフを言ってますね・・・。」
まあ、それは仕方ないだろ。
パワー「ええ〜〜!! それはないでしょ!! ほら、門を開けるからさっさと進んでちょ!!」
なんか誤魔化す感じで門を開いて黙りやがったこいつ・・・・・・。
直「なあ、あれっていつもこうなん?」
ロゼット「まあ、そうだね・・・。 ああいう性格の持ち主だから仕方ないよ。」
メリア「と、リーダーがその様に言っておられました。」
・・・・・・そうですか。
逢魔「それはともかくとして、いよいよここを抜ければ賞品だな!!」
春「そうですね!! どんなものなのかわくわくしますね!!」
まあ、確かに初めての実戦でこの試練をクリアしたんだから、どんなご褒美なのかわくわくしてしまう自分がいる。
メリア「では、さっさと行きましょう。」
ロゼット「そうだね。 じゃあ、行こうか。」
そして、俺達もその二人に同行し・・・。
春「ねえねえ。 どうでしたか、今回のテストは!!」
ロゼット「うん。 まあ、文句なしの合格て・・・ぐあっ!!」
メリア「ロゼット!!」
逢魔「おい、嘘だろ。」
直「少なくとも、テストって感じじゃあないな。」
俺達が目にした光景は、ロゼットの腹辺りから“突然鎌の刃の部分が飛び出し・・・・・・。”
???「ふむ。 頃合いか・・・・・・。」
そして、ロゼットに危害を加えたと思われる黒いフルフェイスの怪人が姿を現したのだった・・・・・・。
Chapter2 END
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第五弾の作品です。 一応そこそこのペースでやっていますが、この先どうなるかわかりませんので、よろしくです。 |
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