IS〈インフィニット・ストラトス〉?G-soul?
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「珍しいね。そっちから連絡くれるなんて」

 

寮の自室に戻って来たアタシはルームメイトのティナにどこに行っていたのか聞かれて、一夏の家に泊まっていたと何とか誤魔化し、シャワーを浴び終えたところでかかってきた母さんからの電話に対応していた。

 

『あら、娘の声が聞きたくなったっていいでしょう? それとも今、都合悪かったかしら?』

 

「う、ううん。そんなことないよ。そっちはどう? 変わりない?」

 

『特に無いわ。アンタこそ風邪とかひいてない?』

 

「全然。相変わらず元気よ」

 

本当は誘拐されてて、ついさっき帰って来たばかりなことは言わないでおく。遠く中国にいる母さんに心配なんてさせたくない。

 

『そう! よかったわ!』

 

「や、やけに嬉しそうね」

 

『えっ、と、当然よ! 娘が元気で嬉しくないわけ無いでしょ? そう…元気ならいいの。そろそろ切るわ。国際電話の料金もバカにならないのよね』

 

「ま、待って!」

 

アタシは母さんを引き止める。

 

「ね、ねぇ、母さん」

 

『ん?』

 

「……父さん、元気かな?」

 

誘拐された時のことはほとんど憶えてないのに、父さんのことが頭の中に残っていたことがアタシはどうも気になっていた。

 

『…………………………』

 

母さんは黙り込んだ。当然っちゃ当然よね。いきなり、こんな、離婚した相手のこと聞いたんだもの。

 

「か、母さん?」

 

『……大丈夫。きっと、元気よ』

 

母さんの言葉に、少し安心した。

 

「うん……そうだね。そうだよね」

 

『…鈴』

 

「何?」

 

『ごめんね。母さん達…勝手だったわよね』

 

母さんの声が萎む。アタシは慌てて取り繕った。

 

「や、やめてよ。謝らないで。アタシそんなつもりで言ったんじゃないんだから…アタシはもう気にしてないから……だから…謝らないで?」

 

『そう……じゃあ、頑張ってね』

 

「うん。頑張る。じゃあね」

 

通話を終わらせて、深く息を吐いた。

 

「終わった?」

 

ベッドの上で雑誌を読んでいたティナが顔を上げた。

 

「あ、うん」

 

「何かあったの? 浮かない顔だけど」

 

「そ、そう? 疲れてるだけよ」

 

「…ハッ! まさか、帰って来ないで織斑くん家にお泊まりして……その日の夜に!? だから帰って来て早々にシャワーを…!」

 

「ちょっ!? な、何言ってんのよ! そんなことあるわけないでしょ!」

 

ツッコミを入れたら、足に力が入らなくなった。

 

「あぅぅ………」

 

「大丈夫? 相当疲れてるのね」

 

「ま、まぁね。すごく眠くなってきたわ…」

 

「休んでれば? 鈴がそんなことになるなんて、よっぽどよ」

 

「そうさせてもらうわ」

 

自分のベッドの上に横になる。

 

「足腰が立たない……鈴も大胆よね」

 

「だからー…」

 

「はいはい。わかってるって」

 

「もう…」

 

ティナに背を向けるように寝返りを打つ。

 

(なんなんだろう……どうして、父さんのことがこんなに気になってるの?)

 

いつもなら、こんなことは思わない。だけど、妙に嫌な感じがする。

 

(でも…疲れたな………)

 

答えの出ない疑問を頭の片隅に残して、アタシは目を閉じた。

 

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IS学園医療棟。

 

重傷を負った生徒を療養させる施設の通路を若干重たい足取りで歩く少女がいた。ラウラである。

 

ラウラ自身が傷を負ったわけではない。確かに傷はあったが、それはいかなる最先端医療機材をもってしても簡単に治る傷ではなかった。

 

しかし、ラウラにも自分がなぜここにいるのかわからなかった。一人になりたい、そう思い、気がついたらこの場所に足を運んでいたのだ。

 

「そこのドイツ代表候補生ちゃん」

 

物陰から声にラウラは立ち止まる。

 

「…楯無さん……」

 

部屋の扉の陰から出てきたのは、楯無だった。

 

「ここは立ち入り禁止よ? それに言われたでしょ。マドカちゃんと会うことは出来ないって」

 

「あなたが…見張りを?」

 

「そうよ。マドカちゃんが目を覚まして暴れても、私なら止められるからね」

 

「…マドカの様子は?」

 

「身体的に問題は無いわ。でも当分目を覚ましそうにないわね」

 

「そうですか…」

 

「今度は私の番よ。ここに何をしに来たの?」

 

「わ、私、は…………その……」

 

ラウラは上手く答えることができなかった。かと言って楯無相手に誤魔化しが通用するはずがない。

 

「瑛斗くんのこと…かしら?」

 

考えてる内に言い当てられてしまった。

 

「わかるわ。一人になりたい。けど話を聞いてほしい。でもそれはただ自分の話を聞いてくれるだけでいい」

 

「……………………………」

 

ズバリズバリと言い当てられて、ラウラはいよいよ黙り込んでしまう。

 

「今のマドカちゃんなら、そうしてくれるから━━━━━━━━」

 

「わ、私はっ」

 

楯無の言葉を遮る。

 

「私は……どうしたら…………」

 

ラウラの小さな声に、楯無は困ったような笑顔を見せた。

 

「……不安なのよね。私もよ。私も不安。彼…瑛斗くんがいなくなったのは、私の責任でもあるから。それに簪ちゃんも心配よ。深く落ち込んでいたもの」

 

楯無はラウラの横に立つ。

 

「本当はそばにいてあげたいのに…でも見張りがいなくなるのも問題だし……虚を帰さない方が良かったかも」

 

うーん、と楯無は考えるような素振りをしてから『名案』と達筆な筆字の書かれた扇子を広げた。

 

「そうだわ! ラウラちゃん、あなたが代わりに見張りをしてちょうだい!」

 

「……え?」

 

「うんうん。そうね。ラウラちゃんなら安心して任せられるわ!」

 

「い、いや…私は━━━━━━━━」

 

「じゃあ、後はよろしくね」

 

そして有無を言わさずラウラの横を通り過ぎ、楯無はこの場から立ち去った。

 

「……………………」

 

ラウラは少しの逡巡の後、部屋の扉を開けて中へと入る。

 

一つだけ置いてあるベッドの上でマドカは眠っていた。

 

しかしラウラは不審を感じた。

 

「拘束されていない……?」

 

亡国機業、しかも専用のISを持っているというのに、マドカは何か特別な拘束具を付けられているわけでもない。

 

それどころか、貫頭衣に着替えさせられて点滴を施されている。

 

拘束と言うよりも治療中と言ったほうが正しそうな状態だった。

 

(教官は……いや、教官も、ということか…………)

 

そう考えつき、マドカのそばに近寄る。

 

ラウラはあの時の瑛斗の表情がその目に鮮明に焼き付いていた。

 

だから愛する人の負の感情に塗り潰された瞳に、何も出来なかった自分が許せなかった。

 

ラウラはマドカの眠るベッドの横の床に直に座り込んだ。

 

「なぁ…マドカ……私は、どうしていればよかったのだろう…」

 

言葉は返ってこない。それでも、眠り続けるマドカにラウラは吐露する。

 

「教官の言葉を無視し、簪のように瑛斗を追いかければよかったのだろうか……初めから、隠すことなく全てを話せばよかったのだろうか………!」

 

後悔ばかりが口を突いて溢れ出す。

 

「だが………怖かったんだ…あいつが…瑛斗が離れていってしまうのではないかと……そう…思ったら…怖くて仕方なかったんだ…………!」

 

ぼやけた視界の中、膝の上に雫が落ちるのを見た。

 

「私は……臆病者だな…」

 

そしてラウラは自分の膝に顔をうずめて小さくなった。

 

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「セシリア、何か飲むか?」

 

「あ…いえ……大丈夫ですわ」

 

セシリアが俺の部屋に来たのは、瑛斗と連絡を取ろうと試みた6回目の発信が失敗に終わったところだった。

 

「一夏さん、マドカさんのところには行きまして?」

 

用意した椅子に行儀良く座るセシリア。こういう何気ないところにも気品が出てる。

 

「いや…行ってはみたけど、楯無さんに門前払いされたよ」

 

「そうですか…」

 

一度部屋に戻って来た俺は、マドカのところへ行こうとしたけどすぐに楯無さんに見つかって、追い払われてしまった。

 

「マドカのそばにいてやりたいんだけど…かなわなかったよ」

 

「辛いですわよね……大切な人のそばにいられないというのは………」

 

「そうだな………それで、話ってなんだ?」

 

俺はセシリアと向かい合う形でベッドに腰をおろす。セシリアは部屋に入ってくる時、大事な話があると言っていた。何のことだろう?

 

「一夏さんには…お話ししなければならないと思いまして……」

 

セシリアの雰囲気からして、決して楽しそうな話題ではないと理解した。

 

「聞かせてくれ」

 

セシリアはうつむき、握った両手に力を込めた。

 

「瑛斗さんが一夏さん達の元へ急ぐ直前…瑛斗さんは……わたくしと闘っていましたの」

 

「え……?」

 

それから俺はセシリアに何があったのかを聞かされた。

 

瑛斗の知り合いらしい女からセシリアが自分の両親の真相を聞いたこと。そのメッセージを原因にセシリアが瑛斗と闘ったこと。

 

どっちの話も心から苦しそうに話すセシリアの姿には、俺も胸が痛くなった。

 

「セシリアの両親が…亡国機業に……」

 

「わたくしがいらない勘違いなんてしないで、瑛斗さんを行かせていたら…きっとこんなことにはならなかったはずですわ……」

 

「セシリアのせいじゃないよ。セシリアは悪くない」

 

「ですが………わたくしは…自分が許せませんっ……!」

 

セシリアは涙に濡れた目を震わせていた。

 

「決めたのに……お母様とお父様の墓前で………強い女になると…そう決めたのに……! 自分を抑えられなくてっ……………!!」

 

「………セシリア」

 

「……はい…?」

 

「セシリアはよくやってるよ」

 

「……?」

 

「って、セシリアのお父さんとお母さんがセシリアを見たら、きっとそう言うと思うな俺は」

 

「そう…でしょうか?」

 

「そうさ。そうに決まってる。セシリアにしか出来ないことをセシリアはやってるんだ。胸を張れよ」

 

「………………………」

 

「強い女に…って言ってたけど、セシリアは強いよ。力だけじゃない。心の強さがセシリアにはあるんだ」

 

俺は知ってる。セシリアはどんなに窮地に立っても、弱音を吐いたりしないことを。

 

「お前が気に病むことは何も無い。誰も、お前を責めたりなんてしないさ」

 

「…………………ふふっ…」

 

セシリアは小さく笑った。

 

「一夏さんは……やはり、お強い御方ですのね………」

 

そして椅子から立ち上がり、俺に近づいてきた。

 

「どうした?」

 

「一夏さん……とても、不躾な願いだと承知の上で…聞いていただけませんか?」

 

「な、なんだ改まって?」

 

セシリアは俺の隣に座って、少し迷うように顔を下げる。そして、顔を上げたセシリアに思わず息を飲んだ。

 

「…………抱き締めて?」

 

「…………………っ」

 

潤んだブルーの瞳が悲しげに揺らいでいて、それでも、美しかったから。

 

「な、なんだ、いきなりそんな…」

 

「いけませんか……? 少し…ほんの少しの間でいいですから………」

 

そんな目で見られたら、いやとは言えないだろ…

 

「わ…わかった………」

 

おっかなびっくりセシリアの背に腕を回した瞬間、ふわり、といい匂いが鼻を撫でた。

 

「こうか…?」

 

「………………あぁ…!」

 

セシリアが俺の胸に顔をうずめる。

 

「せ…セシリア?」

 

「わたくしが最期にお父様とお母様とした会話は、短い…数秒の、短いものでした………!」

 

震える声と僅かに上がる肩が、セシリアが泣いているんだと直感させた。

 

「わたくし……何も知らなくて…! 一番あの人達のそばにいたはずなのに…! 何も…何も知らなくて………!」

 

俺は、両親の顔はあまりよく知らない。

 

でも、セシリアは俺と違って、両親の顔をしっかりと覚えてる。

 

だから、寂しいに決まってる。

 

「…………………………」

 

俺はセシリアの背中をゆっくりと撫でた。

 

「…一夏、さん……?」

 

「こうすると、落ち着くだろ?」

 

「……………………」

 

「お前の両親の代わり…とはいかないけどさ、お前が満足するまで、こうしててやるから……」

 

「…! 一夏…さんっ……一夏さん………!」

 

それから、セシリアは声を上げて泣いた。

 

それでも、それは短い間で、5分とかからず泣き止んだ。

 

「…ありがとうございました、一夏さん」

 

「もういいのか?」

 

「はい。格好悪いところを……お見せしてしまいましたわね」

 

「いいよ。気にしない。それに…」

 

「それに?」

 

「な、なんつーか…綺麗だったし、な」

 

「綺麗………?」

 

「あ、あぁ…」

 

うぅ、言ってから恥ずかしくなった。いやでも、事実だったし。でも泣いてる女の子に綺麗って、失礼だったか?

 

「………………………本当に、罪な人………」

 

「え?」

 

今何か言ったような気がしたけど…?

 

「なっ、なんでもありませんわっ。それよりも、わたくしたちにはまだやることがありますわよ」

 

「やること?」

 

「瑛斗さんのことですわ。連絡はつきまして?」

 

「さっきから何度も電話してるんだけど全然出ないんだ」

 

首を振って肩を竦める。

 

「気づいてないだけかもしれませんわよ」

 

「確かに…繋がりはするんだよな」

 

「もう一度おかけになってみたらどうでしょうか?」

 

「そうだな。もう一度………ん?」

 

携帯を開いて、動きを止める。変だ。

 

「どうかしまして?」

 

「いや…あれ? おかしいな…」

 

「どうしたんですの?」

 

「圏外なんだ。さっきまで普通だったのに。なんで急に? 壊れたか?」

 

設定を確認したり、携帯を振ってみても、圏外から戻らない。

 

「……あら?」

 

「どうした?」

 

「わたくしの携帯も圏外ですわ…?」

 

セシリアは怪訝な顔でそう告げた。

 

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「えぇぇぇ!? き、桐野のヤツ、どっか行っちゃったっすか!?」

 

フォルテの声が2年1組の教室に響く。

 

「…サファイア先輩、声が大きいです。これは、極秘の話」

 

それを梢が諌めた。

 

「す、すまんっす」

 

現在この室内にはシャルロット、簪、梢、フォルテの四人だけがいる。シャルロットと簪、梢を見つけたフォルテが瑛斗がどうなったのかを聞くために声をかけたのだ。

 

「桐野の居場所は?」

 

簪は首を横に振る。

 

「………そうっすか…」

 

「私が……瑛斗の、こと…追いかけてれば…………」

 

簪は自分の不甲斐なさを責めるように拳を固める。

 

「瑛斗は…本当は寂しがり屋で……なのに………辛いことは全部一人で背追い込んで…………きっと…今もどこかで………苦しんでる……」

 

簪の声は震えていた。

 

「………私の……せいだ……」

 

「簪ちゃんは悪くないっ!」

 

シャルロットが声を荒げる。

 

「僕なんて…僕なんて何も出来なかった……!」

 

シャルロットの目に、涙が溢れてこぼれそうになる。

 

「簪ちゃんみたいに追いかけることも…ラウラみたいに話しかけることも……何も出来なくて………。ただ…怖くて、立ち尽くしてただけなんだっ………!」

 

「デュノア……」

 

「僕は…瑛斗にっ、助けられてばかりで何も……何もしてあげられない………っ!!」

 

そして、堪えきれなくなってシャルロットは顔を手で覆ってしまう。

 

「なぁ戸宮、これ…誰が悪いとか、あるっすか?」

 

「…誰が悪いかなんて、わからない。これはきっと、私達が口を出していい問題じゃない……」

 

フォルテと梢の会話を聞き、簪は少し思案するように目を伏せて、そして顔を上げた。

 

「シャルロット、一緒に行こう…」

 

「行く…? 行くって……どこに?」

 

「瑛斗を、探しに行くの」

 

簪の目には、固い決意が宿っていた。

 

「この後…私、瑛斗を探しに行くつもりだった」

 

「え? 更識は桐野がどこにいるかわかるっすか?」

 

「……………わかりません」

 

簪はきっぱりと言う。

 

「…じゃあ、どうするつもりです?」

 

「ISで飛び回って、探す」

 

「おぉ……って、え?」

 

簪の答えにフォルテは一瞬納得しかけてから首を捻り、梢は渋面を作った。

 

「…そんな非効率な方法で、見つけられると?」

 

「それでも探しに行く」

 

「簪ちゃん…」

 

「例え織斑先生に、お姉ちゃんに止められても、私は行く」

 

簪は、たどたどしくないしっかりとした物言いで言い放った。

 

「だって、私は瑛斗のことが、大好きだから」

 

「………………………」

 

一同は簪の言葉に沈黙するが、すぐにその静寂は破られた。

 

「…そうだね。うん。行こう、簪ちゃん。瑛斗を探しに」

 

「シャルロット…」

 

「僕も瑛斗のことが大好きだもん。このままじゃいけないよね」

 

「うん…ありがとう……!」

 

簪は笑みを浮かべた。

 

「……………そういうことなら、お手伝いさせてください」

 

梢もそう言って簪へ歩み寄った。

 

「え…?」

 

「…私も、桐野瑛斗には借りがあります。…ね? サファイア先輩」

 

「へ?」

 

肩に手を置かれたフォルテは間の抜けた声を出す。

 

「…ね?」

 

三人の顔をそれぞれ見てから、フォルテはふぅ、と息を吐いた。

 

「やれやれっす。後輩の困ってるのを助けるのも先輩の仕事っすね」

 

フォルテのその言葉に簪とシャルロットは喜色を露わにする。

 

「そうと決まればさっそく動くっすよ」

 

「僕、ラウラも呼んでくる!」

 

「…蘭にも声をかけます。数は多い方がいいでしょう?」

 

「うん、お願い」

 

梢が携帯電話の画面を開く。

 

「…………………?」

 

しかし梢の動きはそこで止まる。

 

「どうしたっすか?」

 

「…おかしい」

 

「何がっす?」

 

「…電波が無い。ここ、圏外です」

 

「えっ?」

 

シャルロットと簪、フォルテも携帯を取り出し、確認すると梢と同様に圏外になっていた。

 

「本当だ…圏外になってる」

 

「ここ普通の教室っすよ? なんでこんなことに?」

 

「…私に聞かれても困ります」

 

「みんな一斉にこんなことになるなんておかしくないかな?」

 

「っ………?」

 

簪はさながら危険を察知した小動物のように体をピクリと動かした。

 

「簪ちゃん?」

 

「今…なんだか……空気が変わったような気がする………」

 

簪のその言葉にシャルロット達は言い知れない不安感を感じた。

 

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IS学園の校舎内職員室。

 

千冬は戻って来ると自分の机に向かい、パソコンを立ち上げた。

 

「これで送られてきた情報は全て消化したか………」

 

何者からリークされた亡国機業の情報達。ここ最近の千冬はこの情報の裏取りに動いていた。

 

「最後の最後にアイツにも知れることになるとは…送り主はそれすらも織り込み済みだったのか……………まぁいい」

 

千冬は送られてきた情報ファイルをゴミ箱へ移動し、消去。そしてパソコンに接続されている情報の入っていたUSBを引き抜き、親指に力を込め、握り潰す。

 

「これも送り主からの指示だからな……」

 

(しかし………)

 

短く息を吐いて周囲を見渡す。

 

(学園内になぜ私以外の教師がいない…?)

 

ここに来る前に教師の気配が無かったことが千冬は気がかりだった。

 

普通ならば、いくら夏休みと言っても学園には何人かの教師は必ず残っていた。

 

しかし、それは『普通ならば』の話だ。

 

「まさかとは思うが………」

 

千冬は携帯を取り出し、ある人物に電話をかけた。

 

『もしもし?』

 

「真耶か。私だ。織斑だ」

 

電話の相手は同じクラスの副担任の山田真耶だった。

 

『珍しいですね。千冬さんの方からの電話なんて。どうしました?』

 

「それはこちらのセリフだ。今どこにいる」

 

『帰省して実家にいますけど…何かあったんですか?』

 

「お前が非番なのは知っているが…学園に私の他に教師がいない」

 

『…っ!? そ、それ本当ですか?』

 

「あぁ。生徒達はさして気にしてる様子は無いが……学園の防御力が低下している」

 

『変です…今までこんなことはなかったはずですよ』

 

「少々嫌な予感がする。すまないが学園の外にいる他の教師達にも学園に来るように連絡してくれ。出来るだけ多くだ」

 

『はい。わかりま━━━━━━』

 

 

ブツッ。ツー、ツー。

 

 

「…真耶? どうした? 真耶?」

 

突然切れた通話。画面を見て千冬は眉をひそめる。

 

「圏外だと…? どういうことだ?」

 

画面の端の電波状態は、圏外の表示を出していた。

 

 

ブォォォォォンッ!!

 

 

「…っ!?」

 

次の瞬間、何かの駆動音が轟き、空気が震える。

 

「何が…………」

 

窓の外に視線を投げる。

 

千冬の視線の先には、土煙を巻き上げる、大型トレーラーのようなマシン。

 

そしてそこから出て来たのは、数人の人影。

 

「何だ…ヤツらは……!?」

 

その侵入者達は、何処かの軍隊のような、完全武装をしていた。

 

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瑛「インフィニット・ストラトス?G-soul?ラジオ!」

 

一「略して!」

 

瑛&一「「ラジオISG!」」

 

瑛「読者のみなさんこんばどやぁー!」

 

一「こんばどやぁ」

 

瑛「…出番が、無かった……」

 

一「き、急にテンションを下げないでくれよ」

 

瑛「前回の作者のあとがきでさ、俺メインって言ってたのによー」

 

一「そ、そういう時もあるだろ。それにほら、もうすぐお前の見せ場も来るだろうし」

 

瑛「来るかな、見せ場」

 

一「いや来なきゃ進まないだろ」

 

瑛「そうか……よし! じゃあ見せ場が早く来るよう今日のラジオも張り切っていくぜ!」

 

一「えっと、カイザムさんからの質問! 一夏と瑛斗に質問です!! 今まで2人が出会った女性の中で一番性格が悪かったり、キツそうな人は誰ですか!?」

 

瑛「頑張ろうと思ったらちょっとアレな質問来たっ!?」

 

一「横に小さく(小声)って書いてあるぞ」

 

瑛「小声に出来ないのがラジオの悲しいところだな…」

 

一「女の人の性格の話って、なかなか難しいな」

 

瑛「でも答えないわけにもいかないか。うーん………オータムかな。アイツは、なんだ、悪いとかじゃなくて、強烈だ」

 

一「そうなのか?」

 

瑛「しばらく一緒に行動してたけどな、まぁ危ないこと危ないこと。何かあると殺しにかかってくるし。気が立ってたってのもあるんだろーが、俺への殺意がハンパなかった」

 

一「た、大変だったみたいだな…」

 

瑛「一夏はどうだ?」

 

一「誰だろうな………強烈っていうなら…束さん、かな」

 

瑛「篠ノ之博士かぁ…確かになぁ。でもあの人は性格どうこうより、何を考えてるのかがわからないってのがある」

 

一「なんだか、悪いとかキツいとかそういうカテゴリーの人が少ないな。俺らの周り」

 

瑛「確かにな。…ん? カンペだ。 え! もう時間!?」

 

一「今日は質問これ一つだもんな」

 

瑛「むぅ仕方ないっちゃ仕方ないか。それじゃあエンディング!」

 

流れ始める本家ISのエンディング

 

瑛「今日はそこの金髪の女の人に歌ってもらったぞ」

 

一「女の人? もしかして、あの和服着てる人か? 男の人っぽくも見えるけど?」

 

瑛「あぁ。なんでもノブナガって人の命令で男のフリをしてるそうな」

 

一「ノブナガ?」

 

瑛「うん。ノブナガ。どっかで聞いたことあるような名前だよな」

 

一「へ、へぇ?…」

 

瑛「あ、時間か。それじゃあ!」

 

一「みなさん!」

 

瑛&一「「さようならー!」」

 

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あとがき

 

お待たせしましたぁぁぁぁ! 一ヶ月! 一ヶ月もみなさんを待たせてしまったぁぁぁぁぁぁうぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!(錯乱)

 

ハァ…ハァ……失礼しました。取り乱しました。

 

瑛斗も言ってましたけど、予告通りいかなかった…早く見せ場を作ってあげたい。頑張ろ。

 

次回は侵入者が現れた学園の話を書きたいと考えてます。

 

次回もお楽しみに!

 

…あれ? 瑛斗の出番、まだ来ない?

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コメント
簪と梢ちゃんに質問です!! ファンタジー作品の舞台のモデルである「ドイツ」ですが、2人がもしもドイツへ行くなら何処が良いですが? 私なら中世の街並みや建造物がある「ハンブルク」、「ライプツィヒ」、「ケルン」、「ネルトリンゲン」あたりを行きたいですね(カイザム)
瑛斗と一夏に質問です。日本にはWASABIがありますがWASABIを始めて食べた時の反応を教えてください(キリヤ)
クラリッサさんに質問です!! 日本文化の愛好家としての質問なのですが、日本食の1つ「寿司」が有りますが、クラリッサさんの好きな寿司ネタは何でしょうか?(カイザム)
ラウラに質問です!!ずばり将来の嫁さんと新婚旅行するならどこがいいですか? ちなみに私はドイツ南部(バイエルン州)のロマンチック街道巡りなんかが良いと思います♪(カイザム)
更新お疲れ様です!!まさかのノブナガ・ザ・フール ネタが来るとは!! 現在そのアニメにハマッテます!!   こっちはこれから引っ越し作業やネット関係の調整で再び投稿が滞りそうです(汗)(カイザム)
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