ランドシン伝記 第15話
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 第15話  巨人殺し

 

 ヴィル達は-いよいよ安らぎの森から旅立つ事となった。

ヴィル「テヒシ、ありがとな。本当に助かったよ」

 と、ヴィルは木人(きひと)のテヒシに対し、礼を言うのだった。

テヒシ「気にするな、ヴィルよ。また、いつでも来てくれ。

    我々は、お主(ぬし)らをいつだって心待ちにしておる。

    大地と雨の恵みが-お主らに与えられん事を」

 そう言って、テヒシは大きな手をヴィルに対し、

差し伸べた。

 その大きな手にヴィルは手を重ねた。

ヴィル「さぁ、行こう」

 そして、ヴィル達、ヒヨコ豆-団は先を進むのだった。

 

 ・・・・・・・・・・

 一方、白百合-騎士団は地元の人々の協力を得て、広範囲に

ヴィル達を探索していた。

ミリト(奴らは必ず、港町を目指す。すでに近辺の港町は封鎖してあるが、

    それでも万一、港町に入られ、秘密裏に

    漁船にでも乗られたら、手が出せなくなる。とはいえ、

    古の森には我々も手が出せない。故に、奴らが出てきた所を捕まえる)

 と、心の中で確認していた。

 すると、ミリトの乳母であり、副隊長でもある聖騎士エリー

が-やって来た。彼女は-恰幅(かっぷく)の良い中年女性で、ミリトと違い、

華麗さや洗練さは見られなかった。

エリー「ミリトお嬢様。護衛民(ごえいみん)の隊長殿が-お見えです」

ミリト「分かった、今、行く。それと、エリー。お嬢様は

    止めなさい」

エリー「失礼しました。聖騎士ミリト様」

ミリト「さ、早く会いに行こう」

 そう言って、ミリトは護衛民の隊長に会いに行くのだった。

 

 そこには頬に傷のある護衛民の男が待っていた。

ミリト「お待たせしました。聖騎士ミリトです」

護衛民「これは聖騎士ミリト様。お噂は-かねがね。私は-この

    近辺、つまり、イゼロックの治安を任されておる、

    レイヴンと申します」

ミリト「では、レイヴン殿。さっそくですが」

レイヴン「ええ。捕縛(ほばく)する対象が古(いにしえ)の森に居るとの事ですが、

     そこから港町に出るとなると、以下のルートが考え

     られます。そして、私なら、このルートを選びます。

     ここらは獣道が-しっかりしており、地元の民が

     良く利用する道です。そのヴィルという男、中々(なかなか)に、

     曲者(くせもの)なら、この道を通るでしょう」

ミリト「なる程。しかし、このルートだと、港町まで-かなり

     迂回(うかい)する事になりますね」

レイヴン「確かに、おっしゃられる通りです。しかし、ここらは高低差が激しく、

     むしろ、迂回(うかい)してでも、高低差が少ない道を行く方が、逆に

     近道となります」

エリー「なる程、〈急がば回れ〉、という事ですね」

レイヴン「ええ。聖騎士エリー殿の-おっしゃられる通りです」

ミリト「では、我々、白百合-騎士団が-このルートを押さえる

    という事で-よろしいでしょうか?」

レイヴン「ええ。お願い-いたします。その冒険者-達は、かなり

     の手練れとの事。我々では対処できぬ可能性が多いにあります」

ミリト「なら、決まりだ。エリー。すぐに支度(したく)を」

エリー「ですが、ミリト様。もう少し、作戦は練った方が良い

    のでは?」

ミリト「今は時間が勝負だ。急がねば-ならない」

レイヴン「まぁ、何か-あれば、連絡いたしますので」

ミリト「ありがとう、レイヴン殿。よし、出発の準備だ」

 

そして、白百合-騎士団は結果的に、ヴィル達に迫っていく

のだった。

 

 ・・・・・・・・・・

 ヴィル達は獣道を進んでいた。

トゥセ「いやぁ、団長も良く、こんな道、知ってますね」

ヴィル「まぁな。だけど、この道は、地元だと有名だからな、

    もう少し-したら、道を外れるぞ」

トゥセ「了解」

 そして、ヴィル達は道を進んでいくのだった。

 すると、豪快な歌声が-どこからか響いた。

トゥセ「な、なんだぁ?」

カシム「この声・・・・・・。ドワーフのものですね」

アーゼ「ドワーフ。こんな所に」

ヴィル「・・・・・・まさか、この歌声。すまん、ちょっと、

    見てきていいか?」

トゥセ「団長?」

ヴィル「いや、聞き覚えのある声でさ」

アーゼ「じゃあ、俺が-ここで待ってますから、トゥセでも

    連れて、偵察に行かれたらどうです?」

ヴィル「そうだな。じゃあ、ここらで休憩していてくれ。

    三時間しても戻らなかったら、先に進んでいて

    くれ。まぁ、なるべく-すぐに戻るから」

アーゼ「了解」

ヴィル「トゥセ、行こう」

トゥセ「了解、了解」

 そう言って、トゥセはヴィルの後を付いていくのだった。

 

 しばらく、森を歩いて行くと、ヴィル達は泉に出た。

 そこではテントが張られており、その横で一人のドワーフが

たき火でしており、肉を焼いていた。

ヴィル「・・・・・・ギート。ギートじゃないのか?」

 と、ヴィルは-そのドワーフに声をかけた。

 すると、ドワーフは一瞬、怪訝(けげん)そうな顔をするも、ヴィルを

見るや、目を見開き、駆けてきた。

ギート「ヴィル殿?おお、ヴィル殿じゃあ無いかッ!なんだ?

    おお、本当にヴィル殿か?」

ヴィル「ああ。ギート、久しぶりだな」

 そして、ヴィルとギートは抱擁(ほうよう)をかわした。

 

 ヴィルとトゥセとギートは-たき火を囲んでいた。

ギート「ほら、肉だ肉。食え食え」

トゥセ「い、いいんすか」

ギート「当たり前だ。たくさん、食え、若いの」

トゥセ「ありがとう-ございます」

 そして、トゥセは骨付き肉をほおばった。

トゥセ「うめーッ!メッサうめー!」

ギート「そうか、そうか」

 と言って、ギートは破顔した。

ヴィル「ギート。申しわけ無いが、俺達は今、急いでてさ。

    追われてるんだ。あまり、長話できない」

ギート「なんだ。なんだ?穏やかじゃ無い話だな。話して

    見てくれ」

ヴィル「・・・・・・実は」

 そう言って、ヴィルは-ためらいがちに事情を話し出した。

 それをギートは何度も相づちをうちながら聞き入るのだった。

ヴィル「というワケなんだ」

 それに対し、ギートは『ウゥム』と唸(うな)った。

ギート「しかし、これも運命やも知れぬな。よし、ヴィルよ。

    ワシも協力するぞ」

ヴィル「いや、だけど。命に関わる事だし」

ギート「なぁに、今のワシは故郷にも戻れぬ、根無し草よ。

    むしろ、ワシが協力せずして、どのドワーフが

    協力する?ドワーフは-お主(ぬし)に対する恩義を決して

    忘れぬぞ。『巨人殺しのヴィル』よ」

ヴィル「照れるな・・・・・・。でも、本当に良いのか?」

ギート「気にするな。しかし、お主(ぬし)も面白い奴よの。

    まさか、ゴブリンの少女を助けるために、

    命を張るとは。とても、正気とは思えぬぞ」

ヴィル「はは、我ながら-そう思うよ」

ギート「しかし、だからこそ面白い。それでこそ、英雄ヴィル

    だ」

ヴィル「ギートはゴブリンを憎くは無いのか?」

ギート「フム・・・・・・。これが、巨人が相手なら話は別だが、

    ゴブリンからは直接の被害を受けたワケでは無い

    しのぅ。とはいえ、ヴィルよ。お主(ぬし)の理念には

    賛同できるのだよ。ワシは大陸を放浪して感じた。

    この世界は危険な状態であると。魔族を激しく

    憎む国ほど、内部での種族問題が顕著となって

    居る。そんな気がするのだ」

ヴィル「そういう所は-あるかもな・・・・・・」

ギート「このエストネア皇国(おうこく)も-そうであるし、サーゲニアなど

    ヒドイものだ。あの国には二度と行きたいとは思わぬよ」

トゥセ「サーゲニア・・・・・・」

 と、トゥセは暗く呟(つぶや)くのだった。

ヴィル「どうした、トゥセ?」

トゥセ「え?あ、いや。何でも無いっす。どうぞ、話を

    続けてください」

ヴィル「・・・・・・ギート、本当にいいのか?君が来てくれるなら

    正直、とても助かる。心強い味方だ」

ギート「はは、そう言われて、断るワシだと思うか?」

ヴィル「・・・・・・そうだったな。じゃあ、よろしく頼むよ」

ギート「ああ」

 そして、ヴィルとギートは握手を交(かわ)した。

 すると、指笛が聞こえた。

トゥセ「今のってッ」

ヴィル「まずいッ、アーゼ達が危ない」

ギート「よく分からんが、急ぐか?」

ヴィル「ああ」

ギート「よし、なら行こう」

 と言って、ギートは火を一瞬で消し、荷物を持った。

ヴィル「テントは-いいのか?」

ギート「こんなもの要らんわ。急ぐぞ」

 と言って、先に駆け出して行ってしまった。

 それをヴィル達は追う形となるのだった。

 

 一方、アーゼ達は白百合-騎士団から逃げ出していた。

アーゼ(クソッ、これじゃ、トゥセの言ってた夢の通りじゃ

    ないかッ)

 と、思いながら、木々を殴りつけるのだった。

 すると、木々は次々と折れていき、障害物となって、

女騎士-達の行く手を阻(はば)んだ。

カシム「ヴィルさん達-の気配が近いです。あと少し、頑張って

    くださいッ!」

 との言葉に、アーゼはゴブリンの少女レククを抱え、一気に

ペースをあげるのだった。

 そして、アーゼ達とヴィル達は開けた場所で出会った。

ヴィル「アーゼッ!」

アーゼ「団長ッ!」

 そして、アーゼはヴィル達のもとへと駆けて行った。

アーゼ「そちらのドワーフは?」

ヴィル「味方だ」

 と、短く-やり取りするのだった。

 しかし、気付けば、ヴィル達は完全に白百合-騎士団に

包囲されていた。

トゥセ「ヒィ、正夢じゃねぇかよ・・・・・・」

と、トゥセは身震いした。 

すると、聖騎士ミリトが歩み出た。

ミリト「大人しく投降しろ。反逆者の諸君。我が名はミリト。

    聖騎士ミリト。諸君らが投降を約束すれば、命の保証

    は確約しよう」

ヴィル「どういう事だ?」

ミリト「お前はヒヨコ豆-団の団長であるヴィルか?」

ヴィル「その通りだ。お前の言っている事が本当だという

    証拠は?」

ミリト「信じてもらうより他に無い。しかし、せめて誠意を

    示すため、真実を話そう。私達は-そのゴブリンの

    捕獲を命じられている。あくまで捕獲であり、危害

    を加えるつもりは全く無い」

ヴィル「信じられない話だ」

ミリト「だが、本当だ。ある事実が判明したのだ。それは、

    そのゴブリンが王の血をひいている-という事だ」

ヴィル「王の血を・・・・・・」

トゥセ「じょ、冗談だろ?レククが-お姫様だって言うのかよ?

    なぁ、ジイさん」

 と、トゥセは黒猫に言うのだった。

黒猫「・・・・・・真実じゃ。確かに、レククは、いや、この方は、

   センル族の王ヤン・ファトの忘れ形見で-あらせられる

   のじゃ」

 との言葉に、ヴィル達は-唖然(あぜん)とした。

トゥセ「ま、まじかよ・・・・・・。でも、ジイさんは、こういう

    冗談は言わねーもんな・・・・・・」

 すると、ヴィルが口を開いた。

ヴィル「だとすると、レククを人質として、利用しようと

    いうのか?」

ミリト「端的(たんてき)に言えば、その通りだ」

 とのミリトの言葉に、ヴィル達は-ざわついた。

 そんな中、黒猫に憑依(ひょうい)した老人ゴブリンのトフクと、

ゴブリンの少女レククは、ゴブリンの言葉で話をして

いた。

ミリト「さらに、もし大人しく投降すれば、貴様らの処遇も

    悪くはしない。むしろ、無罪放免となる可能性すら

    あるだろう」

 とのミリトの言葉に、トゥセ達は顔を見合わせた。

ヴィル「レククはどうなる?」

ミリト「レクク?ああ、そのゴブリンの名か。それは、私の

    あずかり知る所では無い。しかし、人質として、

    丁重(ていちょう)に扱われるだろう」

ヴィル「子供を・・・・・・それも、女の子を人質にとるつもりかッ!」

ミリト「子供?汚らわしいゴブリンだぞッ!分かっているのかッ!」

ヴィル「・・・・・・お前は何も知らないんだな。レククは、とっても-

    良い子なんだ。とても、心優しくてさ。花とか、

    蝶々(ちょうちょ)とか好きでさ。辛い旅も文句、一つ言わずに、

    言う事を聞いてくれる。そんな子を人質にするだと?

    それで、貴様の騎士としての誇りは傷つかないのか?」

 とのヴィルの言葉に、ミリトは顔をしかめた。

ミリト「騎士の誇りだと?聖騎士の位を剥奪(はくだつ)され、あまつさえ、

    反逆者に墜ちた貴様がッ、それを謳(うた)うかッ!」

 と、叫び、ミリトは抜剣した。

 それに対し、ヴィル達や、騎士団の面々は緊張を高めた。

 すると、ゴブリンの少女レククが前に歩み出た。

ヴィル「レクク?」

 レククは目に涙を浮かべながら、口を開いた。

レクク「ごめん、なさい・・・・・・」

 と、たどたどしい言葉で、謝り、騎士団に投降しようとする

のだった。

 それを見て、ミリトは-フッ、と笑った。

 しかし、ヴィルは後ろからレククの肩に手を当てた。

ヴィル「言ったろ。お前を守ると。騎士として誓うと」

 とのヴィルの言葉に、レククは困ってしまっていた。

トゥセ「うおおおおッ!もう、知るかッ!団長、やりましょう!

    こんなのって無いっすよ!どうせ、こいつら、レククが

    エルフとか人間とかの女の子だったら、こんな事、

    しないんすよ。それって、やっぱり差別っすよ!」

アーゼ「まぁ、こいつらを信用するのも-どうかと思いますしね」

カシム「ヴィルさん。私は貴方の決断を誇り高く思います」

 さらに、茶猫のケシャも頷(うなず)いていた。

ヴィル「お前ら・・・・・・」

 すると、黒猫に憑依(ひょうい)したトフクがヴィルに頭を下げた。

トフク「ヴィル殿・・・・・・どうか、頼みます。レクク姫を、

    ククリ島へ・・・・・・、どうか」

ヴィル「ああ、分かってる。そういうワケだ。悪いな」

 そう言って、ヴィルはミリトに剣を向けた。

ミリト「愚かな・・・・・・。なんて、愚かな。せっかくの恩情を

    無駄にすると言うのか・・・・・・」

 その言葉に、ミリトは魔力を高めた。

 すると、聖騎士エリーがミリトを制した。

エリー「ミリト様。危険です。あの者達は並の者では-ありません。

    ミリト様が前に出られ、万一の事があれば」

ミリト「エリーッ!あんな反逆者どもに私が劣るとでも?

    あんな無名の元-聖騎士に私が劣るとでも?」

 との言葉にエリーは困ってしまった。

 すると、予期せぬ人物が前に出た。

 それはドワーフのギートだった。

ギート「お嬢さん、今の言葉は聞き捨てならんよ。ああ、

    聞き捨てならん」

ミリト「何だ、貴様は?見たところ、ドワーフのようだが、

    関係無い者は引っこんでいろッ」

ギート「フム。まぁ、落ち着きなされ、お嬢さん。ワシはな、

    名乗る程では無いが、ギートと言う者だよ」

 との言葉に、聖騎士エリーは少し反応するも、あえて、

何も言わなかった。

ギート「今、お前さんは、ヴィル殿の事を無名と言った。

    だがな、お嬢さん、この方(かた)はドワーフの国、

    ストルヘイブにて、英雄と称されておるのだよ」

ミリト「何を冗談を」

ギート「やれやれ、本当に知らぬのか。嘆(なげ)かわしい事だ。

    しかし、何と言う事か・・・・・・。異国にて英雄と

    称され、本国では無名とは、皮肉なモノだ」

ミリト「・・・・・・この反逆者が英雄だと?冗談も休み休み

    にしろ」

 とのミリトに対し、ギートは黙って-にらみつけた。

 すると、ミリトは-その威圧感に気圧(けお)され、口をつぐんだ。

ギート「では、話してやろう。そう、あれは獣魔-大戦が終わり

    世界が-ようやく復興へと向かっている時の事だった。

    そう、今より七年前、我が祖国-ストルヘイブに突如

    巨人族が襲ってきたのじゃ」

 そう言って、ギートは目を瞑(つむ)った。

ギート「ワシらは必死に対抗するも、そもそも、獣魔-大戦にて

    多くの勇士を失っており、不運な事に、第78代-国王

    ゴーフィス陛下も崩御なされた矢先の事で、国がまと

    まっておらんかった。そして、一つ、また一つと、

    砦が落ちていった」

 そして、ギートは静かに目を開いた。

ギート「ワシらは、近隣諸国に支援を要請した。しかし、誰も

    助けてくれなんだ。もちろん、ここエストネア皇国に

    も使者を送った。しかし、返答は色悪いモノだった。

    やれ、経費が-どうだの、やれ、戦死者がどうだの、

    そう言った事ばかりで、結局、贈呈した最上級の

ミスリルだけもらって、何も支援してくれなんだ・・・・・・」

 と言い、ギートは悔しそうに唇を噛(か)んだ。

ギート「ワシら-は絶望しておった。既に国土の2割は早くも

    奪われており、このまま女子供だけでも、難民として

    逃がそうかと言う案すら出ていた。そんな最中だった。

    一人の冒険者が噂を聞き、駆けつけてくれた。

    それが、このヴィル殿だ」

 と言って、ギートはヴィルを見た。

ギート「お主らに分かるか?確かに、ヴィル殿は-たった一人、

    たった一人であったが、ワシら-が、どれ程、どれ程

    嬉しかったか・・・・・・。お主(ぬし)らに分かるかッ!」

 と、ギートは目に涙をにじませ叫んだ。

ギート「そして、ヴィル殿は剣技や戦術を分かりやすく丁寧に

    ワシらに授けてくださり、さらに、最前線で指揮まで

    されたのだ。その結果、我らドワーフは未曾有(みぞう)の

    危機を脱し、再び、平穏を取り戻したのだッ!

    貴様らは本当に聞いた事が無いのか?

    巨人殺しのヴィルの名をッ!その名をッ!」

 とのギートの言葉に、白百合-騎士団は、うろたえた。

ミリト「・・・・・・巨人殺し。聞いた事がある。確かに、一人の

    人間が、ドワーフと共に多くの巨人を倒したと。

    しかし、その名は・・・・・・確か、巨人殺しのヴォル、

    では無かったか?」

ギート「・・・・・・・あれ?」

 と、ギートは首をかしげた。

ヴィル「なんか、こっちでは間違った名前で広まっちゃってて

    さ・・・・・・」

ギート「何と言う事じゃ・・・・・・」

 と、ギートは頭に手を当てた。

 すると、聖騎士ミリトが耐えられないように口を開いた。

ミリト「話は分かった。なら、その実力を示してみろ。

    決闘だ。一対一での決闘。

    ヴィル。巨人殺しのヴィル。

    私と決闘をしろ。

    もし、お前が勝てば、この場を見逃す事を

    騎士として約束しよう」

 と、ミリトは剣を向けながら宣言するのだった。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 

説明
逃亡の最中、ヴィルは一人のドワーフと
出会う。
しかし、一方で、白百合-騎士団は間近に
迫っているのだった。
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