着いたときはすでにお父さんたちと賊は交戦状態になっていた。

足が震える　のどもからからだ

けど

いま

ここで

退いたら

お母さんや恋が待っている邑が

襲われるかもしれないんだ

殺れ！殺すしかないんだ！殺さなきゃ自分の大切な人が殺さる！

僕は迷いなく賊に向かって駆け出した

「うおおおおおおおおおおおおおおお！！！！！！！！！」

瞬時にこっちに気づいた賊の首を剣で薙いだ

肉の切れる感触を感じる

吐きそうだ

でも

我慢しなきゃ！耐えろ！

そこからは目の前に現れた賊を切り殺し続ける

切っても切っても数が減らない。

「あ！」

賊に囲まれているお父さんを見つけた。

その包囲網に穴を開けるように賊を切り倒す。　

「お父さん！！大丈夫！？」

「その声は悳か！！　お前こそ大丈夫か！？」

お父さんと背中合わせになり、周りを囲んでいる賊をにらみつける

切りかかってくる賊を薙ぐ、切る

薙いでも薙いでも減らない

どのくらい時間がたったのだろう？

お父さんも僕も体力はほとんど残っていない

僕はここで死ぬのか・・・？

こんな賊に殺されるのか？

生き残れるのか？

「おい！ぼさっとするな！」

「一点突破だ！いくぞ！！！！」

そうだ、しっかりしなきゃ

行くぞ！

切る殴るまた切る殴る切る切る切る

いくら切っただろうか

またお父さんと僕を中心に囲まれていた

お父さんも僕も片足を地につけ肩で呼吸をしているような状態だ

「おーおー随分とやってくれたのーぉー」

あれがこの盗賊たちの頭領か！

「ふーむふーむそーだのーぉーおぬしら逃げたいか？」

は？何を言ってるんだそんなの当然

「逃げた「逃げたいと言って逃がしてくれる相手じゃないだろ」

「なぁ、賊の頭領とやらよ　俺と交渉しないか？」

・・・突然何を

「ふーむ内容によるのーぉー」

「俺をここで殺していいから、こいつを逃がしてやってくれないか？」

な！確かにここで共倒れするのは間違ってるけどそんな・・・

賊の頭領の目が一瞬笑った気がした

「ふーむなるほど別によいぞ　ただ、こちらも条件があるのーぉー」

賊たちは不満そうだが・・

「なんだ」

「その子供がおぬしを殺すのだったら、別に良いぞ」

な！そんなことできるわけがない。お父さんを殺すなんて！！赤の他人でも躊躇うのにそんなの嫌だ

お父さんは僕の目をじっと見た

「分かった」

え？なんで嫌嫌嫌だ　そんな自分の父を殺すなんてふざけた事を嫌だ嫌だ嫌だよ　待てよ！殺されるのを僕にしたら・・　

「待って！それって僕が殺されるのはだめなの？」

「だめだ、お前はまだ若い」

なんでお父さんが答えるのさ！！

「さぁ、さっさとするのじゃー」

「俺は細作として生き引退した後も変わらず戦場に立ってきた！！俺の死に場所は戦場だけだ！」

「いいか、悳！これからもたくさん苦しくて辛いこともあると思う。だがな、お前ならそれを乗り越えていける！！！！お前への最後の頼み事だ　愡と恋を頼んだぞ」

最後の頼みごとなんて言わないで！なんでも言うこと聞くから！嫌だ嫌だ！

お父さんが僕に剣を持たせた

力の入らない僕の手を支えて胸に剣を向ける

力が入らない止められないうわああああああああうわああああああああああああ

「愛しているぞ　愡　悳　恋」

剣がお父さんを貫く　

血がお父さんの血がああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「ふふ、とーても面白かったよー　それじゃーこいつも殺しちゃってー」

「了解！頭！」

ああぁ、ああぁ、剣を持った賊が近づいてくる

あぁ今度こそ本当に死ぬんだ

こいつはお父さんとの約束を護らんかったんだな

ああ、死ぬのか

僕にもっと力があればな

気づくと声が聞こえる　賊も何もかもが止まっている

「力がほしいりゅ？」

そんなの当然

「どんなことでも耐える覚悟があるかりゅ？」

あるさそんなの今ここで生きながららえるのなら

「人を辞める覚悟はあるありゅ？」

あるさ妖怪でも吸血鬼でも

「リューリューリュー　おもしろいりゅ　なら、力を渡すりゅ」

力があふれてくる

なんでもっと早く力を渡してくれなかったんだよ

この力さえあればお父さんをお父さんを殺さなくて済んだかもしれないのに！！！！！！！！！！！！！！

「そんなことは知らないりゅ　来るりゅ！」

再び時は動き出した

「ひゃっはー死ね！」

賊が剣を振り下ろしてくる

よける

そして、手刀で首を薙いだ

切れる

賊が驚いている

血に塗れているけど僕の手は白かった・・・これは本当に自分？夢なんじゃ？

試しに近くにいた賊の胸を突き刺す

突き刺さる

賊が死ぬ

どうやら、現実みたいだ・・・ならこの力で殺してやる

お父さんとの約束を破ったあいつを殺してやる

圧倒的ただ圧倒的

薙げば死ぬ

刺せば死ぬ

ああ、いた　あいつだ　あいつだ

体が思うより早く頭と胴体を切り離していた

死ね

ああ、復讐を果たしたのにまだ足りない満ち足りない

殺す全員殺す

時は大分さかのぼり

Side　恋

...お父さんと悳兄は大丈夫かな？

...無事かな？

...ん！賊がこっちにも来ている

......戦わなきゃ.....戦わなきゃ他の人が死ぬ

....戦おう

...賊の数はあまり多くなさそう

....覚悟は決めた

切る！

斜めに体を切った

...これが人を殺す感触

.....うぅ、吐きそう

.....でも悳兄も頑張っているから恋も.....

「..ん....ん」

....切る....目に入った人をただ切る

賊たちが逃げ出す

....戻ってくるかもしれない.....切る

逃げた賊を追った

山の中腹あたりまで追いかけて全員殺した

戻ってきたとき、邑は燃えていた　

...なんで？

....お母さんは？みんなは？

目に入った賊を切っていく

.....お母さんはどこ？

「恋！大丈夫？怪我はない！？」

「お母さん！」

振り返る

お母さんは無事だった

「なんで邑は燃えているの？」

「恋が守っている逆の門からも攻められたの・・・」

.......そんな...恋にもっと力があればまもれたかもしれない....

この時恋は敵のことがまったく頭のなかった

先に気づいたのはお母さんだった

「恋、あぶない！！！」

お母さんが恋を突き飛ばした

恋のいた位置には矢が三本刺さっていた

刺さっていた

矢が

突き飛ばした母に

「お..お...お母さん？」

「ごめんね、恋」

「お母さん、血が....血が」

「私はここまでみたい、ごめんね、恋」

そんな....そんな...嫌だ嫌だよお母さん！別れたくないよ！お母さん！離れないで！お母さん！

「.....怦と悳によろしく言っといてね　愛してるわ　怦　悳　恋」

「..嫌ぁ..嫌ぁ....お母さん...お母さんんんんんんんんんんんんんんんんんんん」

その時、恋に飛んできた矢を誰かが撃ち落とした

「くそぉ、すまない！」

撃ち落とした女の人が連れてきた軍は　丁　と描かれた旗が立っていた

Side 悳

殺して殺して殺した

屠って屠って屠った

これで残り１２人

手刀で胴体を薙ぐ

残り１１人

突っ込んできた奴らをすかさせ殴る

残り８人

逃げようとした奴らを拾った矢を投げる

残り５人

残りは隠れて隙を狙ってるやつか・・いや怯えているだけか

一人ずつ殺してやる

動いた

残り４人

逃げた

残り３人

三手に分かれたか

右の奴から

頭を斬る

あと２人

そいつが持っていた矢を投げる

あと１人

落ちていた剣を投げる

終わった

敵討ちは果たしたよ・・お父さん

だから安心して眠っていてくれ

疲れたし少し寝るよ

お休み　お父さん

Side　恋

矢を撃ち落とした人が恋とお母さんを抱きかかえる

「残存の賊を討伐せよ！！！！！！！！！！」

「うおおおおおおおおおおおお」

「おい！((女子|おなご))！しっかりしろ！」

....無理.....お母さんが死んだのに....私も死んだらお母さんに会えるかな？

自然と持っていた剣を首元まで持ってきた

「何をする気だ！！」

...剣を取り上げられる

「お前の母が望むことは、お前が生きることだ！！お前を護って死んだお前のお母さんにお前は顔向けでき

るのか！」

「.....ごめんなさい」

....しばらくしてこの人の本陣についた

「着いたぞ」

「おい、霞、烈火、大丈夫か？」

「なんとかや」

「うぐぐぐぐ」

「なぁ、かあさん　その子はどうしたん？」

....恋のこと

「戦場で拾った」

「かーさんは相変わらずやな〜」

......これからどうなるんだろう？

「おい、女子、少しそこで寝て休んどけ！

　ふらふらどこかに行かないように霞、烈火見とけ！！」

「わかったでー」

「なんとかがんばる　うぐぐぐ」

....寂しい....寂しいよ　お母さんお父さん悳兄ぃ

........会いたいよぉ.....早く帰ってきてよぉ

Side　霞

かーさんが連れてきた女の子はずっと座ったまま、泣いていた

ウチはなーんもすることがでけへん

話しかけようにも話しかけてええのかもわからへん

やっぱり話しかけたほうがええんやろか？

うーん、こうやって悩んでいるのはウチらしくない

話しかけてみるだけ話かけてみるか

「なぁなぁ、あんたさぁ名なんて言ううん？」

やっぱり泣いてて返事はかえってこーへんかぁ

どうするのがええんやろうなぁ？

励まそうにも何を励ましたらええかもわからんしなぁ

そーこーしてるうちにあの子泣き疲れて寝てもうてるやないかい

よー戦場で寝れるなぁーウチは緊張して全然ねれへんわぁ

流石に烈火ちゅう風に吐くことはないけど