青いチビの使い魔 34話 |
ジンSide
「アルビオンに渡る船はジンの言ったとおり、出せないと言われてしまったよ」
ワルドは困ったという表情をしながら席に着き俺らに話した。
ラ・ロシェールに俺たち一行が着いてから女神の杵というこの街で一番の宿をとり、一階にある酒場で夕食を摂ろうと注文をした後、ワルドは料理が来るのを待っている間にアルビオンへと行く船を手配する為に桟橋へと交渉をしに行き、ルイズもその後について行っていたのだが、案の定だったようだ。
「本来は4日後の出航予定なわけだからね。アルビオンまでの距離もあるし、風石の積載量の関係もあるからな」
「ああ、船員にも同じようなことを言われたよ。でも何とか交渉して明後日の早朝には出してもらえるようにしてもらった」
ワルドがそう言いながらグラスにワインを注いで、それを一口含む。
「急ぎの任務だってのに……」
「文句を言ったところで無理だというのだからしょうがないだろ」
ルイズはそのことに不満がるらしく口を尖らせており、リオンに((窘|たしな))められていた。
「じゃあ、明後日までは一休みだな」
俺がそう言って話をまとめて、各自食事を再開する。まあ、話してる間も自分は関係ないとばかりに飯を食い続けてる人は居たけど、タバサチャンとかキキとか。……チトセとか。
ってかなんでチトセが居るのさ!? ホント勘弁してくれよ! 今朝方、ガンダダで繭みたいにして、さらに氷のフラグメント使って氷の中に閉じ込めて、トドメとばかりに香のリリステンプテーションを氷内に充満させたのに……。
「な、なあ、チトセ? お前さ、どうやってあの状態から外に出たんだ?」
俺は横で料理をパクついているチトセに恐る恐る問いかける。チトセはキョトンとした表情で一旦食事を止めて
「ん。ああ、まったくアレから抜け出すの苦労しましたよ。何てことしてくれるんですか。こんな楽しそうな催しのに可憐な美少女である私を置いていくなんて、男性としてダメダメじゃないですか」
「うん黙れ。そんなこといいから抜け出した方法を言えや」
俺は笑顔でチトセの戯言を切って捨て、本題を促す。チトセはそんな俺の態度にふくっれ面になり、むーとか唸りながら右手を頭部へと伸ばし、一本の髪留めを引き抜いた。見た目はシンプルな((簪|かんざし))であり、丸いピンクの珠が3つほど装飾品としてついていた。
「これであの変な糸と氷を切り裂いたんです」
「は? それでどうやって? 実は隠し刃が仕込んであってそれでとか言うなよ。そんなもんじゃ傷すら付けられないはずなんだか」
俺が不審げな眼差しで見ていたら、チトセは人を小馬鹿にした様な表情と気持ち見下したような態度で鼻を鳴らしてきやがった。ウゼェ……。
「まったく、これだから辺境の田舎惑星の時代遅れ魔法使い(笑)貴族はwww。説明の途中なんですから最後まで聞いていてくださいよ。これはですね、ロストテクノロジーと言われる物で、名前を超次元空間割断刃と言います」
…………なにそれカッケェんだけど! 超次元空間割断刃って。なにその必殺武器みたいな奴!! 俺は表情はナニソレーみたいに冷めた表情を作っているが、内心はめっちゃドキワクもんである。形が簪なのが残念だなぁ。ナイフとか小太刀とかだったらもっと良かったのに。
チトセは簪に付いてるピンクの珠の一つを弄ると簪の先端3〜4サントほどが黄緑色に光り始めた。なるほど、実際に刃が出るんじゃないんだ。俺はへぇと興味があるような無いような曖昧な返事を意識してしてみる。はよはよ説明の続きを!
「この光っている所が刃となっていて、ここで任意の物を切断する事が出来るんです」
「ふーん。……ん? んんん? まあ刃なんだから物を切るのは当たり前だし、それ以前にアレは物理的に切るのは無理だと何回も……」
「いえ、物を切っているというより空間や次元そのものを切っているんです。それで結果、そこに有った物も切れてしまうって感じですね。ですから物の強度とか大きさとか、まあそういう色々な事に関係なく切ることが出来るんです。なのでいくらあの糸や氷がいくら硬かろうがなんだろが関係ないんです」
それ何てチート武器? それすんごくヤバイ物じゃね? 確かにカッコイイけど、それって絶対にこいつが持ってちゃイカンもんだろ!
「それって……、あ、安全、なのか? つまり何でも切れちまうワケだろ?」
「ああ、これは一番小型なので出力も小さく、刃先も短いので切れても大体2〜30メートル程度の範囲ですし、スイッチ入れて振り回さない限り大変な事にはなりませんよ。確かに昔ミルフィーユ先輩が大型のやつを誤って最大出力で振り回して周辺の惑星をバラバラにした時はそりゃあ怒られて減給にされてましたけど、私はそんなミスしませんって」
「……ああ、そうか。ホント気をつけてくれな」
可愛い表情でコロコロと笑いながらトンデモねぇことを言いやがるチトセに俺は笑顔を引きつらせてワインを煽る。ウチュウコワイ。
さて、どうしたものか? きっとここでチトセを再度行動不能にしても直ぐに復活するんだろうなぁ。ならもう放っとくしかない訳だし、こうなると俺の完璧な計画は破綻確定。最悪だ。
こうなったらキキに協力してもらうしかないか。俺はそう考えをまとめるとキキの所へと移動をした。
キキSide
「ん、嫌だよ」
「なんで!?」
ジンからウェールズ王子を助けたいと言う話を聞かされて、その協力を頼まれたが俺は即座に断った。だって、
「むぐむぐ…面倒だし、モッチャモッチャ……ダルいし、ングング…面倒臭いし」
「せめて食べるの止めてっ!! なあなあ、頼むよ。お前だって、知識持ちならわかるだろ?」
分けどさぁ、もと居た世界で世界補正とか歪みによる皺寄せ現象とか色々ヤバイの知ってる分、こういう分岐っぽい所で余計な事するの怖いんだよなぁ。まあ、既にリオンとかアッシュとかチトセとかが居る時点で今更感あるけど・・・。そう考えると別にいいかな? でもなぁ、
「タダ働きってモチベ上がらなくない?」
「金なら言い値を払う」
「よし、とりあえず今夜あたりにワルドを((殺|ヤ))っておこう」
俺は頭の中で暗殺の手順を組み立てる。アレでアレのコレがソレで………
「ちょっ、それはダメだろ」
「ええ〜」
なんでダメなんだろ? ここで殺っちまえば何の問題も無くなるのになぁ。
「とにかく、色々計画があるんだからそれに従ってくれ」
「ふーん。分った」
よく分らんやつだなぁ。まあいっか。俺もちょっとテンション上げ過ぎたし、落ち着かなきゃな。ジンは話しが終わると自分の席に戻っていき、酔って暴れ始めたチトセを取り押さえようと戦闘しはじめた。
「何の話?」
「ああ、ちょっとした頼みごとされただけ。気にする事ないって」
タバサがモキュモキュ食べながらジンとの会話のことを聞いてきたので適当に答えて内容をはぐらかした。流石に未来起こるであろうことを喋るわけにはいかないしな。しかし、不審に思っているタバサはじーっと俺の事を見続けてくる。可愛かったのでポンポンと頭をなでてやったら叩かれた。
「それじゃあ、今日はもう休もうか。部屋はもう取ってある。タバサとキュルケ、チトセの部屋がこれ。ギーシュとリオンにキキの部屋がこっち。そして僕とルイズは同室だ」
食事も摂りおわり、ワルドが懐から3本の鍵をテーブルに置きながらそれぞれの部屋割りを言って鍵を渡してきた。俺らは男女に分けて、自分だけルイズと同室になるというちょっと頭の悪い部屋割りだ。
「そんな、ダメよ! まだ、わたしたち結婚してるわけじゃないじゃない!」
「大事な話しがあるんだ。二人きりで話がしたい」
その部屋割りを聞くと、ルイズはハッとした表情になりワルドを見ながら抗議をしたがワルドは真剣な表情で話がしたいからとルイズに言い聞かせた。二人きりで話がしたいだけなら別に部屋一緒にする事無くね? と思うのは俺だけじゃないはずだ。まあいいや。
「それじゃあ、行こうか」
と、ワルドはルイズの手を引いて一足先に階段を上って行ってしまう。その際、ルイズが戸惑い気味にリオンの方をチラチラと見ていたが、リオンはまったくと言っていいほど気にしていなかった。
まあ、こういうのは本人達の心の問題だし、余計な茶々は入れないのが吉。なのだが、可哀相な事にリオンは酔っ払っているギーシュと通常運行のキュルケにルイズの事はナンダカンダーと絡まれていたりする。すごく鬱陶しそうだ。
「んじゃ、俺らも部屋行くか」
と、すごく嫌な顔をしてるいリオンからギーシュを引き離しながら言って部屋へと移動をしはじめた。ジンも酔いつぶれて寝てしまったチトセを背負い席を立ち、キュルケ、タバサも部屋へと移動した。
部屋に着き、ギーシュをベットに放り投げて俺もベットに入る。さて、確か明日はワルドがリオンに決闘を言い出すんだったよな? と、俺は色々思い出してみる。えっと、それから夜当たりにフーケと傭兵崩れが襲撃してきて……ルイズ達だけでアルビオン行って………なんだっけ? ………………そうそう…なんやかんやでワルドにウェールズが殺されて…………まあいいや……。
なんて考えてたら、いつの間にか寝ていおり、ふと目が覚めると朝になっていた。
説明 | ||
アルビオン編5 | ||
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コメント | ||
さすがロストテクノロジーww ミルフィーも安定のドジっ子ww 最強はやっぱりちとせだったってことですねww(神余 雛) | ||
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